「ねぇ東郷。今回は 「さん」 「え?」 「東郷じゃなくて東郷さんと呼ぶように。今は姑状態に切り替えているんだから」 「わ、わかったわよ。東郷……さん」 「ふふっ、じゃあさっそく調理実習を始めましょう」 何故こうなったか。それは元を辿ると私と友奈が夫婦になったことから始まる 私たちの結婚に対して東郷は 「私は友奈ちゃんとはもはや家族なの。つまり友奈ちゃんと結婚した夏凜ちゃんも私の家族よ。家族が幸せになることは喜ばしいことだわ」 と言って優しく抱きしめてくれた なにかツッコミを入れるべきかもしれなかったが……それよりも私は東郷に家族と言われたことが嬉しくて胸が暖かくなったのだ 男女と違って女と女だから結婚した場合お互いが夫であり嫁となる そして私が料理をできないと知ると「良いお嫁になるには料理能力は必須なのよ」と言い、こうしてお料理教室をすることになったのだ 「それで今回は何を作るの東郷さん?」 「お嫁さんならできるようにならないといけない最低限の料理よ。それってなんだと思う?」 「……肉じゃが?」 「確かに肉じゃがはお嫁さんらしくて素晴らしい和食ね。でも今の夏凜ちゃんには難しいから今回はカレーにします」 「事実だけど腕前を否定できないのは辛いわね。まぁいいわ、やってやろうじゃないカレーくらい」 「カレーだからって甘くみてたらダメよ。簡単だけどカレーは家庭の数だけ味があると言われる程に奥の深い家庭料理なんだから」 「そうなんだ……それで友奈が好きなカレーの味付けって何よ?」 「それを考えるのがお嫁さんの仕事よ。私はあくまでも基本の手順を教えるだけだから」 「それもそうね。みてなさい、愛情をたっぷりこめて作ってやるんだから!」 ---------------------------------------------------- 「ど、どう?東郷さん」 「……うん、美味しい。合格点をあげます」 「やった!でも東郷さんが居なかったらこんなに上手くできてなかったから……まだまだね」 「そんなことないわ。夏凜ちゃんが友奈ちゃんのことを思いながら一生懸命つくったからできたのよ」 「だから……よく頑張ったわね」ナデナデ 「あ……うぅ、頭を撫でられるのは照れ臭い」ニヘラー (そんなこと言いながらも顔を赤らめてフニャってなってる夏凜ちゃんが愛おしくて仕方ないわね) (可愛い家族ができてよかった) 終わり