ゆっくり悟浄出世
――女偊（じょう）氏は、自分のかつて識（し）っていた、ある神智を有する魔物のことを話した。
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,' ヽ_ｒゝゝ-' ｰ',.-､- ､イ､ i
i ,.へ_ﾄｰ'"____,.ｨ ! ﾊ､___ ｲヽ､ｲ
r'⌒ r´γ /__,.i i / V__ﾊ ゝ
〈_,.イ ｲ ,ｨ´(ﾋ_] ﾚ´ ﾋ_ﾝ｀!ヽ! ﾊ
i i .レｲl' " ,＿__, " ! ﾊ/ヽ
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'.､ .;' ', i ´ﾊ_ _ﾊ ﾉ ﾒ !,!ヽ,.ヽ. ヽ| ! /-－ |_,/－-ト/! | ｲ
｀Y i Vﾚ'7;__,.!/ V !__ﾊ ﾊﾉ., ',ﾉ'; |＿_|,.ｲ(ﾋ_] ﾋ_ﾝ ) ﾄ､_ﾊ、 ＼
_ノ i=ﾊ ' (ﾋ_] ﾋ_ﾝﾊ.ノi i /｀|/"" "" | | ＼ ヽ ヽ
｀.>' iX|⊂⊃ ,＿__, ⊂⊃ﾉ!ﾚノ !／i、 -=- ,ﾊ/ ノ´｀ヽ! ﾉ
∠._ ﾉ |=ヽ､ ヽ _ﾝ ノ!i ﾚ 〈 ,ﾊ,＞､ ''／ 八 （ | ／
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_ノ i=ﾊ ' (ﾋ_] ﾋ_ﾝﾊ.ノi i /｀|/"" "" | | ＼ ヽ ヽ
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,.ﾍ,） | ｜＞,､ _____, ,イ| | ∨´＼/!｀＞‐rｧ / _/／｀ヽ） ﾚ'´
' | !＞;｀ヽ､「､,ハ.| | ﾉノ´ |／!/レ'´レ'´ヽ‐-､´ （|
その魔物は、上は星辰の運行から、下は微生物類の生死に至るまで、何一つ知らぬことなく、
深甚微妙な計算によって、既往のあらゆる出来事を溯（さかのぼ）って知りうるとともに、
将来起こるべきいかなる出来事をも推知しうるのであった。
// / ／ / ハ ＼ｰ──- ､
〈l! { , へ_ノ.,....! l ＼ ＼￣｀ヽ､ ＼
ヾ ､ ノ ,､_ノ''´::::| | / ヽ ﾞ, ::::｀ヽ＼
＼ヽ 〈__{ノlｰ-､ヽ＼ヽｌ .:ヽ l ::::::::::ヽヽ
ヾ､ _∨ﾉ└-<_ヽ ヽ＼ ::::! |_ _;;..-─‐┴‐-､
＿ ヾｒ''´ノ ／, -＞、:::ヽ 二ﾄ>_）'二-‐''´￣ ｀> ／
￣ヽ｀''┴'ﾞﾉ ノ / / / -､└､_,.-─-､＼ヽ､ _／／
__｀7ﾞ|/::'´_,,ｲ | l Yｒ､＼_ノ 丿! ｌ|〉 ヽ二ﾆ-‐〈
´￣ｲ､ﾆ二 ／ ノ,ｲ ﾉヾ少l ｨノノﾉ ﾉ ￣} ｊ⌒iヽ_ン
〈ﾉヽ＼ { ￣ｆ/ ﾉｲ ﾘ´ ノ､ﾆ-ﾉl ￣ﾉ ﾉ´ ＿＿
ヽ_＞‐-､ ｲ // ﾉ､ ｒ、 / 弋zゞ〉ﾉ ノ ／ ／, -─- ､｀ヽ
, -‐'' ￣｀ｰ'´.:::::::::::ノ ヽ!∧:!ヽ二 ＿ ／/ｲ／ ﾉ/ヽｰ＝ﾆ＝''´ ＼ ＼
! ヽ::: :: .:' ,イ _,,ノ 〉 ヾニﾞｲ､ヽY| i l|､ /ｲ〉 ）〉､ ＼
〉 ::::::〉:. ､ （〈/ｨノ-'ﾞ ＿|ヽ ｀ｰ''ﾞヽ! ､ｉ＼ー＜ノ
ﾉ､ :::/:::i: ｀''┌ヾ(/ﾉ、 ／;::-‐'´ ノ:::::::､ヽ、ﾆ三ﾞヽヽ
ヽ,,ノ-─- ､ .::L_/〉＿!/:／ :::::.... ＼､＼ ヾｉ: ） ＼
／｀ヽ'´／ヽｒ‐､ l､〈ﾉ 〉:'::/ l￣￣｀i ｒ─- ､ヽゝﾍ;ﾉノ /
! /￣｀ ｒ i、 ﾞ､ヽY|、（!:::/ ￣￣｀ └‐- ､/ |::L〈_>｀> /
ノl 〈、 ､ | !ヽ l ハ､＼〉:!::.... ...::ｌ::ｉ i/!‐'ノ/
ノ ｀ヽゝ､〉 ､ l ヽ !､ノ ヽ |::ｌ ､｀'' _,,ﾆ-_ノ::|/lﾉ::::ノ
／￣￣｀ヽﾉV ｀＼ !l:::i::::ヽー─ '''´-‐''´ //V_ノゝ、 , -‐､__,ｒｰ-┐
ヽ ＼ ||;;;|_ :::ヽ､ /::ｌ:::::｀ヽ:. | ,' ｒ‐-, へ _,､ヽ
／￣l ＼-､〉 .:::.. ヽ .:〈ｨ〈::. , へ ノ ! / ｒ/ ,ヽ〉
/ .: | ｀ヽ､: :::.... .. ＼ゞ 〈 _,,ｌ l 〃 / /､
/::' . . .: :! ｀ヽ､-┐:::: ヽ＼ ／ ヽ.|ノ/ ／!ノ l
'‐- ､_,,二| ￣｀ヽL￣｀ヽ _>'´ ｰ'´ ＼ノ
, -‐''´ ､ ￣￣ /二ヽ ￣｀ヽ_,,ノ
／ ..:::: ＼ ヽ ｀'' ｰ- ､
.::::::: ヽ ＼ ＼
ところが、この魔物はたいへん不幸だった。
というのは、この魔物があるときふと、「自分のすべて予見しうる全世界の出来事が、
何故（なにゆえ）に（経過的ないかにしてではなく、根本的な何故に）そのごとく起こらねばならぬか」ということに想到し、
その究極の理由が、彼の深甚微妙なる大計算をもってしてもついに探し出せないことを見いだしたからである。
.,ｒ'",,,,,`''i､
lﾞ ,i´ .ﾞi､ |
!-" 丿丿
／,／
lﾞ .|
二、
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_,.､ ／7ヽ.
/:::;ﾍヽ,.___,:'::∠i:::/_
,':::/´ i::| /::/ /:/ ｀'' ､
,.'"':;::'､ |:|_/∠､r'-'､_ﾉ ｀ヽ.
! ＼ゝ'-'"´￣;￣ヽ_>-､_,ノ i
rゝ､‐ '" / | ! ,ﾊ-‐ハ`'ｰrヽ､__」､
くr'"/ /／ /! ,' ＼ ヽ! i｀ヾr-r'
ﾉ i /(ﾋ_]:::::ﾚ':::::ﾋ_ﾝ ).ﾊ /! ,ゝ
,:' ／! ,ﾊ "" ,＿＿_, ""ﾚ' |/ |
/へrヽ 人 ｰ'⌒ｰ' 7 ,' i |
)ﾝ ﾄ＞.., _______,,, イ.ｲ / .ﾊ ',
,:' ／/｀"i':ｧr‐ ,r'i´､! ,' ,' i ヽ.
何故向日葵は黄色いか。何故草は緑か。何故すべてがかく在るか。
この疑問が、この神通力広大な魔物を苦しめ悩ませ、
＿ ,,､ ___,∧"´:ﾄ-､ _ ＿＿
／＼ ／ } ／＼ ／/ ヽ, >,ゝ/ヽ､ﾉ::V:::_」∠::::7ｧ_＞ｧ､ _,,.. -――Ｃ○ｨ ） ￣￣＼
| ', / | / } ,..└'"´￣ ￣ ｀.ヽ ､:'ｨiヽ':::_＞''"´ ￣ ｀ヽ!, /／￣ヽ ゝ○ｏ _ ヽ
| ', / | / ,. '´ 、 ､ ヽ ヽア'" ', ､｀ﾌ Y /／＼ ／ ＼`L_ ',
＿＿__ | V / ノ , lヽ N／ﾍ、ヽﾄ､_,,',/ ,ハ! / ! _!_ i ! Y .,' / ゝ､＿＿,..-､＼ ￣｀i う) i
｀ヽ. ｀ヽ､{ ／￣￣￣￣＼r'´ r'"ｲ､ﾉ＼| ﾚ' r＝ｧVｌ （ ） /´___!_ i ﾊ _ﾉ_｀ﾊ/ ﾉ | / i ｲ ,ﾍ ヽ ＼ `,,､し' |
'. ｀>' { !、 l rr=- / `'''l.>‐ ､仟ヒﾄ fヒ心｀Y i､( ゝ、| 斗仟ヒﾄ ヽfヒ心- ',／/ ヽ, ＼
ヽ、 / ﾚヽ.,トｌ ｰ=‐' / lｉ､,_,,ﾉ弋cｿ 弋cｿ)ﾊﾍﾉ' T{∧{弋cｿ 弋cｿ) ,..└'"´￣ ￣ ｀.ヽ ､
＞‐i ::(ﾋ_] ::::::: ﾋ_ﾝ（ ,}' ', ﾚﾍ, /ﾚ' ,／ .>‐､ﾄ fヒ心｀Y i､( ゝ、| 斗仟ヒﾄ ヽfヒ ,. '´ 、 ､ ヽ ヽ
､ｰ-‐ ´ | "" ,＿__, .7'´ ﾚ1 ヽ 人ル'ﾚ' .ｉ､ _ﾉｿ 弋cｿ)ﾊﾍﾉ' T{∧{弋cｿ 弋ノ , lヽ N／ﾍ、ヽﾄ､_,,',
｀丶､＿____! ヽ _ﾝ , ‐'､ ﾚ～i`ヽ 、 _ __ - ´ﾉ,,､', ﾚ､ !ｧ仟ヒﾄ fヒ心｀Y i､( ゝ、| 斗仟ヒﾄ r'´ r'"ｲ､ﾉ＼| ﾚ' r＝ｧVｌ （ ）
／ ､ !､_ノ / ｀丶､_,. ／/ ヽ, Vi 弋cｿ 弋cｿ)ﾊﾍﾉ' T{∧{弋cｿ { !、 l rr=- / `'''l.>‐ ､
/ ,ｨ＼: ／ __.. -‐'´ ,..└'"´￣ ￣ ｀.ヽ ､ ,＿__, "'ﾉノハ _ノ ﾑ!"" ,＿ﾚヽ.,トｌ ｰ=‐' / lｉ､,_,,ﾉ
∠._＿_／/ 丶､＿＿＿__／ヾ￣ ,. '´ 、 ､ ヽ ヽ ヽ _ﾝ '"',ﾊ ! ゝ.＿ノ人 ヽ（ ,}' ', ﾚﾍ, /ﾚ' ,／ .>‐､
′ ／l ## ／{ # # '. ノ , lヽ N／ﾍ、ヽﾄ､_,,', ,..イノ ソ ｀ー‐ ＞, ､.7'´ ﾚ1 ヽ 人ル'ﾚ' .ｉ､ _ﾉ
‐＝=､､∠ -‐'´ ｲ! / J{ヽ､#. i ,ｲ r'´ r'"ｲ､ﾉ＼| ﾚ' r＝ｧVｌ （ ）=':i´ノ´ンﾉ ／￣_ヽ`ｰ, ‐'､ ﾚ～i`ヽ 、 _ __ - ´
ヾ ､ / ,! |心j└- ヽ_}--‐',ﾉ { !、 l rr=- / `'''l.>‐ ､ !､_ノ
ヾ ､__,/ ! .,lﾞ .i｝ l'ﾞ:i_,,,‐''^^''''' ＞. ﾚヽ.,トｌ ｰ=‐' / lｉ､,_,,ﾉ
､....,,,,..,,_ ｀ｰr',lﾞ /! .ﾉ ,i',/'ﾞ｀,_ .,.ﾉ （ ,}' ', ﾚﾍ, /ﾚ' ,／ .>‐､
＼ .⌒＼ │ .|!.,,iﾐ／ .._,,,..／′ .7'´ ﾚ1 ヽ 人ル'ﾚ' .ｉ､ _ﾉ
i '^'''‐､..ﾞ'hノ| .||. ﾔ .￣'i、 , ‐'､ ﾚ～i`ヽ 、 _ __ - ´
.ヽ_ ﾞメリ| .|!、|' ﾞi :Y7. !､_ノ
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：,.- '"// ⌒ヽヽ //⌒l |：
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： i i .レｲl''" ,rｪｪｪ､ "'! ﾊ/ヽ：
： 〉. i i ' u |,r-r-| U 从 (：
： i /〈 lヽ, ｀ﾆﾆ´ ,.ｲﾉ Y：
：ﾉ ｲ /ヽ､| i＞r--r,=´/ _ハ,：
：,' ) i,.-ﾊ/ ゝ､__ 7 iゝﾉヽi ヽ.ｲ：
：i / ./ 〈 ﾉ i ヽ､｀}>n<{_,.ｲヽヽ!､：
：ﾊ !／ }><{､ Y Y}><{ﾍ ',：
：! 〈 ﾊゝ 〉 ｀ー´ ﾊｨ ゝｲ：
：/ iヽ/ヽ/ヽ/ゝｲ ノﾉ V i｀/i､：
ついに惨めな死にまで導いたのであった。
.,ｒ'",,,,,`''i､
lﾞ ,i´ .ﾞi､ |
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／,／
lﾞ .|
二、
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〈〈,r'" 〉〉// ﾉﾉﾞヽ
<ﾍ,,ﾞｉ!_へ､7へy'ｰ^'r-） ,ﾍ
,ﾍ, 'r'7ｧ'ｒ'-'!ﾅ"ｳｲ''ﾚﾙ )/ /
'､ノ⌒(ﾙ Li(ﾋ_]'｀' ﾋ_ﾝ λ/⌒ゝ
（./ ,'ﾊﾙ""r-‐￢""ｲ:/ 丿
＼ >ゝヽ､__,ﾉ_ノ/ 、／ ,.--､_,,....,,__,. -- ､
弋ir. レ'／=::/入 ) ,.- '"// ⌒ヽヽ //⌒l |
弋(//:::::: ::::|!i.-イソ ／ l | ___ ___',',nｲk___,// ヽ,
||〓:〓||ヽリノ ,' ヽ_ｒゝゝ-' ｰ',.-､- ､イ､ i
:/L||:〓:〓:||」ヽ i ,.へ_ﾄｰ'"____,.ｨ ! ﾊ､___ ｲヽ､ｲ
/L||::ﾉ从从||」ヽヽ r'⌒ r´γ /__,.i i / V__ﾊ ゝ
/L||⌒ヽ .||」＼ヽ , っ 〈_,.イ ｲ ,ｨ´（ ）,ﾚ´､（ ）｀!ヽ! ﾊ
', ｰ- ､ ／/ i i .レｲl''" ,rｪｪｪ､ "'! ﾊ/ヽ
ﾍ ｀ー--‐'" ／ 〉. i i ' |,r-r-| 从 (
ヽ､ ,／ i /〈 lヽ, ｀ﾆﾆ´ ,.ｲﾉ Y
｀￣`ｰ- . -‐'´ ´￣ ﾉ ｲ /ヽ､| i＞r--r,=´/ _ハ,
,' ) i,.-ﾊ/ ゝ､__ 7 iゝﾉヽi ヽ.ｲ
i / ./ 〈 ﾉ i ヽ､｀}>n<{_,.ｲヽヽ!､
ﾊ !／ }><{､ Y Y}><{ﾍ ',
! 〈 ﾊゝ 〉 ｀ー´ ﾊｨ ゝｲ
/ iヽ/ヽ/ヽ/ゝｲ ノﾉ V i｀/i､
深甚微妙な計算によって、既往のあらゆる出来事を溯（さかのぼ）って知りうるとともに、
将来起こるべきいかなる出来事をも推知しうるのであった。
// / ／ / ハ ＼ｰ──- ､
〈l! { , へ_ノ.,....! l ＼ ＼￣｀ヽ､ ＼
ヾ ､ ノ ,､_ノ''´::::| | / ヽ ﾞ, ::::｀ヽ＼
＼ヽ 〈__{ノlｰ-､ヽ＼ヽｌ .:ヽ l ::::::::::ヽヽ
ヾ､ _∨ﾉ└-<_ヽ ヽ＼ ::::! |_ _;;..-─‐┴‐-､
＿ ヾｒ''´ノ ／, -＞、:::ヽ 二ﾄ>_）'二-‐''´￣ ｀> ／
￣ヽ｀''┴'ﾞﾉ ノ / / / -､└､_,.-─-､＼ヽ､ _／／
__｀7ﾞ|/::'´_,,ｲ | l Yｒ､＼_ノ 丿! ｌ|〉 ヽ二ﾆ-‐〈
´￣ｲ､ﾆ二 ／ ノ,ｲ ﾉヾ少l ｨノノﾉ ﾉ ￣} ｊ⌒iヽ_ン
〈ﾉヽ＼ { ￣ｆ/ ﾉｲ ﾘ´ ノ､ﾆ-ﾉl ￣ﾉ ﾉ´ ＿＿
ヽ_＞‐-､ ｲ // ﾉ､ ｒ、 / 弋zゞ〉ﾉ ノ ／ ／, -─- ､｀ヽ
, -‐'' ￣｀ｰ'´.:::::::::::ノ ヽ!∧:!ヽ二 ＿ ／/ｲ／ ﾉ/ヽｰ＝ﾆ＝''´ ＼ ＼
! ヽ::: :: .:' ,イ _,,ノ 〉 ヾニﾞｲ､ヽY| i l|､ /ｲ〉 ）〉､ ＼
〉 ::::::〉:. ､ （〈/ｨノ-'ﾞ ＿|ヽ ｀ｰ''ﾞヽ! ､ｉ＼ー＜ノ
ﾉ､ :::/:::i: ｀''┌ヾ(/ﾉ、 ／;::-‐'´ ノ:::::::､ヽ、ﾆ三ﾞヽヽ
ヽ,,ノ-─- ､ .::L_/〉＿!/:／ :::::.... ＼､＼ ヾｉ: ） ＼
／｀ヽ'´／ヽｒ‐､ l､〈ﾉ 〉:'::/ l￣￣｀i ｒ─- ､ヽゝﾍ;ﾉノ /
! /￣｀ ｒ i、 ﾞ､ヽY|、（!:::/ ￣￣｀ └‐- ､/ |::L〈_>｀> /
ノl 〈、 ､ | !ヽ l ハ､＼〉:!::.... ...::ｌ::ｉ i/!‐'ノ/
ノ ｀ヽゝ､〉 ､ l ヽ !､ノ ヽ |::ｌ ､｀'' _,,ﾆ-_ノ::|/lﾉ::::ノ
／￣￣｀ヽﾉV ｀＼ !l:::i::::ヽー─ '''´-‐''´ //V_ノゝ、 , -‐､__,ｒｰ-┐
ヽ ＼ ||;;;|_ :::ヽ､ /::ｌ:::::｀ヽ:. | ,' ｒ‐-, へ _,､ヽ
／￣l ＼-､〉 .:::.. ヽ .:〈ｨ〈::. , へ ノ ! / ｒ/ ,ヽ〉
/ .: | ｀ヽ､: :::.... .. ＼ゞ 〈 _,,ｌ l 〃 / /､
/::' . . .: :! ｀ヽ､-┐:::: ヽ＼ ／ ヽ.|ノ/ ／!ノ l
'‐- ､_,,二| ￣｀ヽL￣｀ヽ _>'´ ｰ'´ ＼ノ
, -‐''´ ､ ￣￣ /二ヽ ￣｀ヽ_,,ノ
／ ..:::: ＼ ヽ ｀'' ｰ- ､
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ところが、この魔物はたいへん不幸だった。
というのは、この魔物があるときふと、「自分のすべて予見しうる全世界の出来事が、
何故（なにゆえ）に（経過的ないかにしてではなく、根本的な何故に）そのごとく起こらねばならぬか」ということに想到し、
その究極の理由が、彼の深甚微妙なる大計算をもってしてもついに探し出せないことを見いだしたからである。
.,ｒ'",,,,,`''i､
lﾞ ,i´ .ﾞi､ |
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_,.､ ／7ヽ.
/:::;ﾍヽ,.___,:'::∠i:::/_
,':::/´ i::| /::/ /:/ ｀'' ､
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! ＼ゝ'-'"´￣;￣ヽ_>-､_,ノ i
rゝ､‐ '" / | ! ,ﾊ-‐ハ`'ｰrヽ､__」､
くr'"/ /／ /! ,' ＼ ヽ! i｀ヾr-r'
ﾉ i /(ﾋ_]:::::ﾚ':::::ﾋ_ﾝ ).ﾊ /! ,ゝ
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)ﾝ ﾄ＞.., _______,,, イ.ｲ / .ﾊ ',
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何故向日葵は黄色いか。何故草は緑か。何故すべてがかく在るか。
この疑問が、この神通力広大な魔物を苦しめ悩ませ、
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｀ヽ. ｀ヽ､{ ／￣￣￣￣＼r'´ r'"ｲ､ﾉ＼| ﾚ' r＝ｧVｌ （ ） /´___!_ i ﾊ _ﾉ_｀ﾊ/ ﾉ | / i ｲ ,ﾍ ヽ ＼ `,,､し' |
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ヽ、 / ﾚヽ.,トｌ ｰ=‐' / lｉ､,_,,ﾉ弋cｿ 弋cｿ)ﾊﾍﾉ' T{∧{弋cｿ 弋cｿ) ,..└'"´￣ ￣ ｀.ヽ ､
＞‐i ::(ﾋ_] ::::::: ﾋ_ﾝ（ ,}' ', ﾚﾍ, /ﾚ' ,／ .>‐､ﾄ fヒ心｀Y i､( ゝ、| 斗仟ヒﾄ ヽfヒ ,. '´ 、 ､ ヽ ヽ
､ｰ-‐ ´ | "" ,＿__, .7'´ ﾚ1 ヽ 人ル'ﾚ' .ｉ､ _ﾉｿ 弋cｿ)ﾊﾍﾉ' T{∧{弋cｿ 弋ノ , lヽ N／ﾍ、ヽﾄ､_,,',
｀丶､＿____! ヽ _ﾝ , ‐'､ ﾚ～i`ヽ 、 _ __ - ´ﾉ,,､', ﾚ､ !ｧ仟ヒﾄ fヒ心｀Y i､( ゝ、| 斗仟ヒﾄ r'´ r'"ｲ､ﾉ＼| ﾚ' r＝ｧVｌ （ ）
／ ､ !､_ノ / ｀丶､_,. ／/ ヽ, Vi 弋cｿ 弋cｿ)ﾊﾍﾉ' T{∧{弋cｿ { !、 l rr=- / `'''l.>‐ ､
/ ,ｨ＼: ／ __.. -‐'´ ,..└'"´￣ ￣ ｀.ヽ ､ ,＿__, "'ﾉノハ _ノ ﾑ!"" ,＿ﾚヽ.,トｌ ｰ=‐' / lｉ､,_,,ﾉ
∠._＿_／/ 丶､＿＿＿__／ヾ￣ ,. '´ 、 ､ ヽ ヽ ヽ _ﾝ '"',ﾊ ! ゝ.＿ノ人 ヽ（ ,}' ', ﾚﾍ, /ﾚ' ,／ .>‐､
′ ／l ## ／{ # # '. ノ , lヽ N／ﾍ、ヽﾄ､_,,', ,..イノ ソ ｀ー‐ ＞, ､.7'´ ﾚ1 ヽ 人ル'ﾚ' .ｉ､ _ﾉ
‐＝=､､∠ -‐'´ ｲ! / J{ヽ､#. i ,ｲ r'´ r'"ｲ､ﾉ＼| ﾚ' r＝ｧVｌ （ ）=':i´ノ´ンﾉ ／￣_ヽ`ｰ, ‐'､ ﾚ～i`ヽ 、 _ __ - ´
ヾ ､ / ,! |心j└- ヽ_}--‐',ﾉ { !、 l rr=- / `'''l.>‐ ､ !､_ノ
ヾ ､__,/ ! .,lﾞ .i｝ l'ﾞ:i_,,,‐''^^''''' ＞. ﾚヽ.,トｌ ｰ=‐' / lｉ､,_,,ﾉ
､....,,,,..,,_ ｀ｰr',lﾞ /! .ﾉ ,i',/'ﾞ｀,_ .,.ﾉ （ ,}' ', ﾚﾍ, /ﾚ' ,／ .>‐､
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i '^'''‐､..ﾞ'hノ| .||. ﾔ .￣'i、 , ‐'､ ﾚ～i`ヽ 、 _ __ - ´
.ヽ_ ﾞメリ| .|!、|' ﾞi :Y7. !､_ノ
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：i / ./ 〈 ﾉ i ヽ､｀}>n<{_,.ｲヽヽ!､：
：ﾊ !／ }><{､ Y Y}><{ﾍ ',：
：! 〈 ﾊゝ 〉 ｀ー´ ﾊｨ ゝｲ：
：/ iヽ/ヽ/ヽ/ゝｲ ノﾉ V i｀/i､：
ついに惨めな死にまで導いたのであった。
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lﾞ ,i´ .ﾞi､ |
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二、
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〈〈,r'" 〉〉// ﾉﾉﾞヽ
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弋ir. レ'／=::/入 ) ,.- '"// ⌒ヽヽ //⌒l |
弋(//:::::: ::::|!i.-イソ ／ l | ___ ___',',nｲk___,// ヽ,
||〓:〓||ヽリノ ,' ヽ_ｒゝゝ-' ｰ',.-､- ､イ､ i
:/L||:〓:〓:||」ヽ i ,.へ_ﾄｰ'"____,.ｨ ! ﾊ､___ ｲヽ､ｲ
/L||::ﾉ从从||」ヽヽ r'⌒ r´γ /__,.i i / V__ﾊ ゝ
/L||⌒ヽ .||」＼ヽ , っ 〈_,.イ ｲ ,ｨ´（ ）,ﾚ´､（ ）｀!ヽ! ﾊ
', ｰ- ､ ／/ i i .レｲl''" ,rｪｪｪ､ "'! ﾊ/ヽ
ﾍ ｀ー--‐'" ／ 〉. i i ' |,r-r-| 从 (
ヽ､ ,／ i /〈 lヽ, ｀ﾆﾆ´ ,.ｲﾉ Y
｀￣`ｰ- . -‐'´ ´￣ ﾉ ｲ /ヽ､| i＞r--r,=´/ _ハ,
,' ) i,.-ﾊ/ ゝ､__ 7 iゝﾉヽi ヽ.ｲ
i / ./ 〈 ﾉ i ヽ､｀}>n<{_,.ｲヽヽ!､
ﾊ !／ }><{､ Y Y}><{ﾍ ',
! 〈 ﾊゝ 〉 ｀ー´ ﾊｨ ゝｲ
/ iヽ/ヽ/ヽ/ゝｲ ノﾉ V i｀/i､
女偊氏はまた、別の妖精のことを話した。
Ｔ￣￣＼ ン￣￣´ ｱ
〈 ｃｌ￢/フ |
ゝ ｰ ￣￣ ` ‐ 〉
／ ｀ く
/ ! ! ; i 、 ヽ
| ﾊ ,ﾊ /!. /;､ '; i |
丿 !,`ﾒ ∨ .i／／ ヽ ,ﾊ! 〈
´１,ﾊ(ﾋ_] ﾋ_ﾝ ),ﾚi ! ｜
トﾚ"" ,＿__, "" / i Ｉ i |
丿| ｌ|､ ヽ _ﾝ :' ,' .ｌ ﾚ'i （
V| ﾚヽ、 ! .ﾊ.丨 .Ｉ ﾉ ヽ
ﾚ/Ⅴ ｀ ー-─ ´ﾚ' ﾚﾉ ﾚヽﾉ ヽﾉ
＼ ／
￣￣￣￣￣￣￣￣￣∨￣￣￣￣￣￣￣
, ＼, -─-- ､.,_ _,,....-'´─-＜::::::::｀ﾞ':.､
,.i (ﾋ_] ,＿__, ｀ヽ,. ／ ,:'´:::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::＼
./ ヽ _ﾝ ﾋ_ﾝ ) ／!::::_;;:: -──-- ､:;_::ヽ;:::::::::;＞- ､
_,./__,,. -‐ ''"´￣￣｀"'' .､｀ヽ,ｰ:' / ,rｧ'´ ｀ヽ!:::ｧ' ,ﾊ
,. ''"´ /´ / ;' ! ;｀ヽ,ヽ､ | '7 / ﾅト /! ﾊ i `Ｏ |
'.､ .;' ', i ´ﾊ_ _ﾊ ﾉ ﾒ !,!ヽ,.ヽ. ヽ| ! /-－ |_,/－-ト/! | ｲ
｀Y i Vﾚ'7;__,.!/ V !__ﾊ ﾊﾉ., ',ﾉ'; |＿_|,.ｲ(ﾋ_] ﾋ_ﾝ ) ﾄ､_ﾊ、 ＼
_ノ i=ﾊ ' (ﾋ_] ﾋ_ﾝﾊ.ノi i /｀|/"" "" | | ＼ ヽ ヽ
｀.>' iX|⊂⊃ ,＿__, ⊂⊃ﾉ!ﾚノ !／i、 -=- ,ﾊ/ ノ´｀ヽ! ﾉ
∠._ ﾉ |=ヽ､ ヽ _ﾝ ノ!i ﾚ 〈 ,ﾊ,＞､ ''／ 八 （ | ／
,.ﾍ,） | ｜＞,､ _____, ,イ| | ∨´＼/!｀＞‐rｧ / _/／｀ヽ） ﾚ'´
' | !＞;｀ヽ､「､,ハ.| | ﾉノ´ |／!/レ'´レ'´ヽ‐-､´ （|
Ｔ￣￣＼ ン￣￣´ ｱ
〈 ｃｌ￢/フ |
ゝ ｰ ￣￣ ` ‐ 〉
／ ｀ く
/ ! ! ; i 、 ヽ
| ﾊ ,ﾊ /!. /;､ '; i |
丿 !,`ﾒ ∨ .i／／ ヽ ,ﾊ! 〈
´１,ﾊ(ﾋ_] ﾋ_ﾝ ),ﾚi ! ｜
トﾚ"" ,＿__, "" / i Ｉ i |
丿| ｌ|､ ヽ _ﾝ :' ,' .ｌ ﾚ'i （
V| ﾚヽ、 ! .ﾊ.丨 .Ｉ ﾉ ヽ
ﾚ/Ⅴ ｀ ー-─ ´ﾚ' ﾚﾉ ﾚヽﾉ ヽﾉ
＼ ／
￣￣￣￣￣￣￣￣￣∨￣￣￣￣￣￣￣
, ＼, -─-- ､.,_ _,,....-'´─-＜::::::::｀ﾞ':.､
,.i (ﾋ_] ,＿__, ｀ヽ,. ／ ,:'´:::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::＼
./ ヽ _ﾝ ﾋ_ﾝ ) ／!::::_;;:: -──-- ､:;_::ヽ;:::::::::;＞- ､
_,./__,,. -‐ ''"´￣￣｀"'' .､｀ヽ,ｰ:' / ,rｧ'´ ｀ヽ!:::ｧ' ,ﾊ
,. ''"´ /´ / ;' ! ;｀ヽ,ヽ､ | '7 / ﾅト /! ﾊ i `Ｏ |
'.､ .;' ', i ´ﾊ_ _ﾊ ﾉ ﾒ !,!ヽ,.ヽ. ヽ| ! /-－ |_,/－-ト/! | ｲ
｀Y i Vﾚ'7;__,.!/ V !__ﾊ ﾊﾉ., ',ﾉ'; |＿_|,.ｲ(ﾋ_] ﾋ_ﾝ ) ﾄ､_ﾊ、 ＼
_ノ i=ﾊ ' (ﾋ_] ﾋ_ﾝﾊ.ノi i /｀|/"" "" | | ＼ ヽ ヽ
｀.>' iX|⊂⊃ ,＿__, ⊂⊃ﾉ!ﾚノ !／i、 -=- ,ﾊ/ ノ´｀ヽ! ﾉ
∠._ ﾉ |=ヽ､ ヽ _ﾝ ノ!i ﾚ 〈 ,ﾊ,＞､ ''／ 八 （ | ／
,.ﾍ,） | ｜＞,､ _____, ,イ| | ∨´＼/!｀＞‐rｧ / _/／｀ヽ） ﾚ'´
' | !＞;｀ヽ､「､,ハ.| | ﾉノ´ |／!/レ'´レ'´ヽ‐-､´ （|
これはたいへん小さなみすぼらしい魔物だったが、常に、
自分はある小さな鋭く光ったものを探しに生まれてきたのだと言っていた。
＿＿_＿＿ +
／ヽ------/＼
＼/───ヽ／
+ ￣￣￣￣
＼＿＿＿＿＿＿＿_ ＿＿＿＿＿＿＿＿／
∨
／^＼ ,.へ___
/ ＞''´￣￣｀'''ヽ7
| ／´ _ _'ヽ､
〉 / /´ / , ､ ､ ヽ〉
/ i ｲ レ＼ ハノ! ／i i
└ｒｲ レｲ (ﾋ_] ﾋ_ﾝ)ﾊﾍ| ｎ⌒i
く_ﾉ 〉 i"" ,＿__, " iﾊ _,,.! ノ
ﾊ. i ハ､ ヽ _ﾝ 人|´ ／
i＼ﾚﾍハﾚへ〉'=r--r='i´Vヽy'´
ヽ､,_｀ヽ,r'´ ｀ﾄ､ ∞」 i ノ
＜ ￣〉､___ノ ￣ Y／
＞_/ ／〉 , , ､!_ゝ
｀(⊆ノ／ / ! ハ
くﾍ,.へ_,.へ__,.ﾍ,.ﾍ
｀'r､__ﾊ___ﾊ__!ン
ﾄ_ﾝ ﾄ_ﾉ
その光るものとはどんなものか、誰にも解らなかったが、
（ ＿＿_＿＿ + ）
（ ／ヽ------/＼ ）
（ ＼/───ヽ／ ）
（ + ￣￣￣￣ ）
0 ⌒⌒⌒⌒⌒○⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒ 0
。 o ０ o
,. -''"´ ｀' 、 0 。 ヽ、
,'´ ,. -‐ｧ'"￣｀ヽｰ ､｀ヽ o ,-―-､ |
／/ ｀ヽ｀フ 。 { .ﾞゝ、''''""""ｷ'''‐-､_
/ .,' /! /! ! ﾊ ! ', ,. '"´￣￣｀"'' ヽ､/ヽ､__ ／:::::::::｀::::::::::::::::!:::::::::::::＼
( ! ﾉ-!‐ﾉ ! ﾉ|/ｰ!､!ﾉ ,.ゝ ／ //｀ｰ∠ /:::::::::::::/:::i::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
ﾍ ﾉﾚ' rr=-, r=;ｧir /! ﾉ / , ヽ!_／ヽ> . /:::::::::::::/!::::;!::i::::::､:::::::::::::::::::::::ﾊ
( ノ ! "! ﾍ（ i / i !__ ﾊ ﾊ-‐i- 「__rイ´', ｲ!:::::;:::i:/ゝ、 ＼ヾ/／、:/::::::::::::::|
) ,.ﾊ ''" -=- "'! ',ヽ. ! i / . ノ ﾚ' ＼ﾊ |/ .i | !:::!:iﾒ (ﾋ_] ﾋ_ﾝ )|::::::,::::::::!
) '! ﾄ.､ ,.ｲ i .ﾉ ﾚﾍ/ i (ﾋ_] ﾋ_ﾝ ) ! | | ヾi:;:!"" "".!／::::/ﾘ
ﾉヽ,! i｀＞r--‐ i´ﾚﾍ ノ | !7"" "" | .| | |:〈 Ｏ ／::;:'::/:/
ヽ（へ ﾚｨr'7ア´￣｀ヽ. ）' .| 人. Ｏ .| | i | !ﾍヽ、. /::／::/:/
.ノ /ｲ Y ﾚﾍﾊ＞.､.,___ ,.イﾍ,/ヽ.ﾊ/ ｀´｀ ー--─ｲkiﾝﾇﾝ'"
とにかく、小妖精は熱心にそれを求め、そのために生き、そのために死んでいったのだった。
,, ⌒ヽ、
（ ヽ
, ⌒ヽ ( ）
（ ' （ ヾｲ ヽ⌒ヽ 、
ゝ ｀ヽ( ヽ ） (⌒ 、
( ､⌒ ヾｿ ヽ （ ヽ
( (⌒ ヽ : ） (
（ ｀) ノ __i.＼_／!_
ゝ, "´⌒｀ヽっ
;;:;:;:;:::;;;;;;（○）○）（○（○）（○）（○）（○）○） ﾉ.ノノﾉﾊﾉ〉〉 っ○）（○（○）（○:;:;
;;; :::::::....（○）○）（○（○）（○）（○）（○ |＼ﾙﾘ! ﾟ -ﾟﾉ! （○）○）（○）;;;:;:;;;:;;;:;:
;;; :::: :: （○）○）（○（○）（○）（○）○）＼ k_(つ'i(つ （○）○） （○)（○）;;;;;
;:::: :::ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃|〃| ∠ ,く／/ i ゝ 〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃|〃|〃
;; ::: ::: ::: :::::::: ::（○）○）（○（○）（○）（○）（○）○）（○）
（○）○）（○（○） ,,.;;.,, ;;.... |〃|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃|〃|〃|〃;
ヽ|〃|〃|〃|〃
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. i:. ! ,ﾍ ,､
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.|.|. .. |:.｜ /7 ／> ,、i:. i 「! , |. | .、 ｢! ,ﾍ/ /
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... . ... ＼.;i:.. .::／ ^´⌒｀ ,ｨ .〈V:::.. ﾚ'/ i＼ ／i ー- ､,,_＞,＿_,/ｰ──./ ﾚ'::. ﾑク
.:.::.:.:.:.:.:. /;il;::::::...ヽ､,,._. |.| ＾´｀＾´｀´ ＜ '´ ￣ ヽ :っ. :..:. :. :. .,. , `''- ､,/::........:::::く_,,..::.
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:::::::::::..... ` ､
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;;;;;::::::::::::::::::::::..... ヽ
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ﾞ"'jill |-''￣
,,,,jiiiｌ |,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,.............................................................................................
ノ/ﾊヽ` "ﾞ"ﾞﾞ。｡‥'''' ""
;;;;;;; "ﾞ""ﾞo .. ...
""`ﾞ`Ｏ... ...... __i.＼_／!_
""`"~`ﾞ○......... ...... ゝ, "´⌒｀ヽ
'´"´ﾞ"`(⌒)....... ﾉ.ノノﾉﾊﾉ〉〉
ﾞ'''"ﾞﾞ'''""｀(⌒) |＼ﾙﾘ! ﾟ ヮﾟﾉ!
'''"´ﾞ"`'''''''""''(⌒)'(⌒) ＼ k_(つ'i(つ
,,,､ ､,,,,,,､､,,,､,,､,,,､､,,､,,∠ ,く／/ i ゝ
｀!,ﾝｨﾝ"´ (⌒)'(⌒)
,,､,,, ､､,,,,,,､､ ,,,､,, ､､,,､､,, '(⌒)'(⌒)'(⌒)'(⌒)
そしてとうとう、その小さな鋭く光ったものは見つからなかったけれど、
その小妖精の一生はきわめて幸福なものだったと思われると女偊氏は語った。
____ ,. -‐''"7__,,..-─ｧ
|::::::｀／ ／-‐─-='､＞ ,､
｀ヽ/ ｀＞ﾉ ) ヽ.＞|_ヽ/| _,,..-‐'"´ヽ.
|/ ＜ ´） Y--‐`''"´:::::::::::::::::／i__,,.. - ､
/| ｀＞ ､_） |￣V::::::::::::::::::::::::::::＼| ヽ､,ﾉ
/::::| ＜ l ) ./___∧:::::::::::::::::::::::::::／|-‐'"
l__,∧ ＼ ,ｲ:;:-‐‐-､__,,..--､:::::::::＼|´"'' ｰ､'"｀ヽ
/:::::ヽ､ __,＞ｰ-‐＜__ﾌ ｒ'´ i:::::::／| | ノ
￣￣ヽ､ ｰ‐-‐＜ !､ ゝ__,,..-＜::::::＼/___,,..-‐''"
`ヽｒ-､..,,_____,,.＞ﾌ｀￣|´ヽ. ヽ:／
く/ /| |
＼／ ＼/
何も要らない。
今の私に必要なのは思い出だけだ――それは持っている。
（星新一 『鍵』より）
自分はある小さな鋭く光ったものを探しに生まれてきたのだと言っていた。
＿＿_＿＿ +
／ヽ------/＼
＼/───ヽ／
+ ￣￣￣￣
＼＿＿＿＿＿＿＿_ ＿＿＿＿＿＿＿＿／
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／^＼ ,.へ___
/ ＞''´￣￣｀'''ヽ7
| ／´ _ _'ヽ､
〉 / /´ / , ､ ､ ヽ〉
/ i ｲ レ＼ ハノ! ／i i
└ｒｲ レｲ (ﾋ_] ﾋ_ﾝ)ﾊﾍ| ｎ⌒i
く_ﾉ 〉 i"" ,＿__, " iﾊ _,,.! ノ
ﾊ. i ハ､ ヽ _ﾝ 人|´ ／
i＼ﾚﾍハﾚへ〉'=r--r='i´Vヽy'´
ヽ､,_｀ヽ,r'´ ｀ﾄ､ ∞」 i ノ
＜ ￣〉､___ノ ￣ Y／
＞_/ ／〉 , , ､!_ゝ
｀(⊆ノ／ / ! ハ
くﾍ,.へ_,.へ__,.ﾍ,.ﾍ
｀'r､__ﾊ___ﾊ__!ン
ﾄ_ﾝ ﾄ_ﾉ
その光るものとはどんなものか、誰にも解らなかったが、
（ ＿＿_＿＿ + ）
（ ／ヽ------/＼ ）
（ ＼/───ヽ／ ）
（ + ￣￣￣￣ ）
0 ⌒⌒⌒⌒⌒○⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒ 0
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,. -''"´ ｀' 、 0 。 ヽ、
,'´ ,. -‐ｧ'"￣｀ヽｰ ､｀ヽ o ,-―-､ |
／/ ｀ヽ｀フ 。 { .ﾞゝ、''''""""ｷ'''‐-､_
/ .,' /! /! ! ﾊ ! ', ,. '"´￣￣｀"'' ヽ､/ヽ､__ ／:::::::::｀::::::::::::::::!:::::::::::::＼
( ! ﾉ-!‐ﾉ ! ﾉ|/ｰ!､!ﾉ ,.ゝ ／ //｀ｰ∠ /:::::::::::::/:::i::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
ﾍ ﾉﾚ' rr=-, r=;ｧir /! ﾉ / , ヽ!_／ヽ> . /:::::::::::::/!::::;!::i::::::､:::::::::::::::::::::::ﾊ
( ノ ! "! ﾍ（ i / i !__ ﾊ ﾊ-‐i- 「__rイ´', ｲ!:::::;:::i:/ゝ、 ＼ヾ/／、:/::::::::::::::|
) ,.ﾊ ''" -=- "'! ',ヽ. ! i / . ノ ﾚ' ＼ﾊ |/ .i | !:::!:iﾒ (ﾋ_] ﾋ_ﾝ )|::::::,::::::::!
) '! ﾄ.､ ,.ｲ i .ﾉ ﾚﾍ/ i (ﾋ_] ﾋ_ﾝ ) ! | | ヾi:;:!"" "".!／::::/ﾘ
ﾉヽ,! i｀＞r--‐ i´ﾚﾍ ノ | !7"" "" | .| | |:〈 Ｏ ／::;:'::/:/
ヽ（へ ﾚｨr'7ア´￣｀ヽ. ）' .| 人. Ｏ .| | i | !ﾍヽ、. /::／::/:/
.ノ /ｲ Y ﾚﾍﾊ＞.､.,___ ,.イﾍ,/ヽ.ﾊ/ ｀´｀ ー--─ｲkiﾝﾇﾝ'"
とにかく、小妖精は熱心にそれを求め、そのために生き、そのために死んでいったのだった。
,, ⌒ヽ、
（ ヽ
, ⌒ヽ ( ）
（ ' （ ヾｲ ヽ⌒ヽ 、
ゝ ｀ヽ( ヽ ） (⌒ 、
( ､⌒ ヾｿ ヽ （ ヽ
( (⌒ ヽ : ） (
（ ｀) ノ __i.＼_／!_
ゝ, "´⌒｀ヽっ
;;:;:;:;:::;;;;;;（○）○）（○（○）（○）（○）（○）○） ﾉ.ノノﾉﾊﾉ〉〉 っ○）（○（○）（○:;:;
;;; :::::::....（○）○）（○（○）（○）（○）（○ |＼ﾙﾘ! ﾟ -ﾟﾉ! （○）○）（○）;;;:;:;;;:;;;:;:
;;; :::: :: （○）○）（○（○）（○）（○）○）＼ k_(つ'i(つ （○）○） （○)（○）;;;;;
;:::: :::ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃|〃| ∠ ,く／/ i ゝ 〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃|〃|〃
;; ::: ::: ::: :::::::: ::（○）○）（○（○）（○）（○）（○）○）（○）
（○）○）（○（○） ,,.;;.,, ;;.... |〃|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃|〃|〃|〃;
ヽ|〃|〃|〃|〃
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. i:. ! ,ﾍ ,､
. ,、 |:. | i:. ! i. i /7
.|.|. .. |:.｜ /7 ／> ,、i:. i 「! , |. | .、 ｢! ,ﾍ/ /
--<＼,ｌ .:|;.. |././‐ｌ|ー｢ﾚ'.／ー∥|;. |ｰ─i-|- |:|ｸｰ─---i|‐ﾚーー|;:.|-/7∥ｰ|:ﾚ〉─〉::./─
＼｀ヽ|;:.../ ﾑィ>／.:<´ . . , |::...ﾏ;:/〉 ＾´｀ ﾄ､_/:..У/ｸ ┴ ,ｨ ./:../
... . ... ＼.;i:.. .::／ ^´⌒｀ ,ｨ .〈V:::.. ﾚ'/ i＼ ／i ー- ､,,_＞,＿_,/ｰ──./ ﾚ'::. ﾑク
.:.::.:.:.:.:.:. /;il;::::::...ヽ､,,._. |.| ＾´｀＾´｀´ ＜ '´ ￣ ヽ :っ. :..:. :. :. .,. , `''- ､,/::........:::::く_,,..::.
.;:;.;:;::...シ',:'"⌒｀`ヾ(⌒＼/ ﾚ':〉...:::;;;;;:::..... _彡ﾉﾉﾉﾘﾉﾘ〉 っ ._,.-'' / ''''""´.:.＾"⌒｀⌒｀` :.:
;:-一''' ..:.:/. ..:.:. ..::､,, `''''''ﾞ＾ `ｿﾘ! ﾟ -ﾟﾉi,. . .... ... : .: .: :.:. :. :. :...:.::.::.:;:;.: .: :.:. :;:;.: .:
:,.;:.,.:;:;:／./:.:.::.:.,:. ＼ .::.:: ｀''- ､ :.:.:. :. :. :..∠/ｕ,_\_iっ:;.: .: :. ::. :;:.:. ::;.: .: :.:. :. :::.,,... :. .::;:.,..:.:.:.:::
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,,,,jiiiｌ |,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,.............................................................................................
ノ/ﾊヽ` "ﾞ"ﾞﾞ。｡‥'''' ""
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""`ﾞ`Ｏ... ...... __i.＼_／!_
""`"~`ﾞ○......... ...... ゝ, "´⌒｀ヽ
'´"´ﾞ"`(⌒)....... ﾉ.ノノﾉﾊﾉ〉〉
ﾞ'''"ﾞﾞ'''""｀(⌒) |＼ﾙﾘ! ﾟ ヮﾟﾉ!
'''"´ﾞ"`'''''''""''(⌒)'(⌒) ＼ k_(つ'i(つ
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｀!,ﾝｨﾝ"´ (⌒)'(⌒)
,,､,,, ､､,,,,,,､､ ,,,､,, ､､,,､､,, '(⌒)'(⌒)'(⌒)'(⌒)
そしてとうとう、その小さな鋭く光ったものは見つからなかったけれど、
その小妖精の一生はきわめて幸福なものだったと思われると女偊氏は語った。
____ ,. -‐''"7__,,..-─ｧ
|::::::｀／ ／-‐─-='､＞ ,､
｀ヽ/ ｀＞ﾉ ) ヽ.＞|_ヽ/| _,,..-‐'"´ヽ.
|/ ＜ ´） Y--‐`''"´:::::::::::::::::／i__,,.. - ､
/| ｀＞ ､_） |￣V::::::::::::::::::::::::::::＼| ヽ､,ﾉ
/::::| ＜ l ) ./___∧:::::::::::::::::::::::::::／|-‐'"
l__,∧ ＼ ,ｲ:;:-‐‐-､__,,..--､:::::::::＼|´"'' ｰ､'"｀ヽ
/:::::ヽ､ __,＞ｰ-‐＜__ﾌ ｒ'´ i:::::::／| | ノ
￣￣ヽ､ ｰ‐-‐＜ !､ ゝ__,,..-＜::::::＼/___,,..-‐''"
`ヽｒ-､..,,_____,,.＞ﾌ｀￣|´ヽ. ヽ:／
く/ /| |
＼／ ＼/
何も要らない。
今の私に必要なのは思い出だけだ――それは持っている。
（星新一 『鍵』より）
かく語りながら、しかし、これらの話のもつ意味については、なんの説明もなかった。
, ＼, -─-- ､.,_ _,,....-'´─-＜::::::::｀ﾞ':.､
,.i (ﾋ_] ,＿__, ｀ヽ,. ／ ,:'´:::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::＼
./ ヽ _ﾝ ﾋ_ﾝ ) ／!::::_;;:: -──-- ､:;_::ヽ;:::::::::;＞- ､ つ
_,./__,,. -‐ ''"´￣￣｀"'' .､｀ヽ,ｰ:' / ,rｧ'´ ｀ヽ!:::ｧ' ,ﾊ つ
,. ''"´ /´ / ;' ! ;｀ヽ,ヽ､ | '7 / ﾅト /! ﾊ i `Ｏ |
'.､ .;' ', i ´ﾊ_ _ﾊ ﾉ ﾒ !,!ヽ,.ヽ. ヽ| ! /／ |_,/ ＼ト/! | ｲ
｀Y i Vﾚ'7;__,.!/ V !__ﾊ ﾊﾉ., ',ﾉ'; |＿_|,.ｲ(ﾋ_]:::::::::::::ﾋ_ﾝ ) ﾄ､_ﾊ、 ＼
_ノ i=ﾊ ' (ﾋ_] ﾋ_ﾝﾊ.ノi i /｀|/"" ,＿___ "" | | ＼ ヽ ヽ
｀.>' iX|⊂⊃ ,＿__, ⊂⊃ﾉ!ﾚノ !／i、 ヽ/___) ,ﾊ/ ノ´｀ヽ! ﾉ
∠._ ﾉ |=ヽ､. ノ!i ﾚ 〈 ,ﾊ,＞､ ''／ 八 （ | ／
,.ﾍ,） | ｜＞,､ _____, ,イ| | ∨´＼/!｀＞‐rｧ / _/／｀ヽ） ﾚ'´
' | !＞;｀ヽ､「､,ハ.| | ﾉノ´ |／!/レ'´レ'´ヽ‐-､´ （|
ただ、最後に、師は次のようなことを言った。
聖なる狂気を知る者は幸いじゃ。彼はみずからを殺すことによって、みずからを救うからじゃ。
聖なる狂気を知らぬ者は禍いじゃ。彼は、みずからを殺しも生かしもせぬことによって、徐々に亡びるからじゃ。
愛するとは、より高貴な理解のしかた。行なうとは、より明確な思索のしかたであると知れ――
＼
￣￣￣￣￣￣￣￣∨￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
＼.、 ／
(tﾃｭ] ´￣￣￣￣rｪz )
7￣ ￣',
,' -=- ',
ﾑ,,.. --‐==＝＝=- ､..,,_ﾍ
,. - ''"／ ｀ヽ.｀"' - .、
（ Y . ! / ｲ .! /! ﾊ ∨ ）
`''ｰ-|,ﾊ.__|/ヽ,ﾚ'|ノ .|､ﾉ／ ', / ',-ｰ"´
´ Ⅳ ttﾃｭ:::::::::::,rｪzｧ) Vﾖ .i
ﾊｲ'"￣ ￣"'|三|_) .|
／ / ゝ､ -=- / / 〈
く／|/| /!,＞,､_＿_,,..イ / ',
ﾚ',´ 1::::ゝ､＿ノ::レ'∨レへﾉ
| !ﾄ､:::::::::::::::::::ki/ '､
, ＼, -─-- ､.,_ _,,....-'´─-＜::::::::｀ﾞ':.､
,.i (ﾋ_] ,＿__, ｀ヽ,. ／ ,:'´:::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::＼
./ ヽ _ﾝ ﾋ_ﾝ ) ／!::::_;;:: -──-- ､:;_::ヽ;:::::::::;＞- ､ つ
_,./__,,. -‐ ''"´￣￣｀"'' .､｀ヽ,ｰ:' / ,rｧ'´ ｀ヽ!:::ｧ' ,ﾊ つ
,. ''"´ /´ / ;' ! ;｀ヽ,ヽ､ | '7 / ﾅト /! ﾊ i `Ｏ |
'.､ .;' ', i ´ﾊ_ _ﾊ ﾉ ﾒ !,!ヽ,.ヽ. ヽ| ! /／ |_,/ ＼ト/! | ｲ
｀Y i Vﾚ'7;__,.!/ V !__ﾊ ﾊﾉ., ',ﾉ'; |＿_|,.ｲ(ﾋ_]:::::::::::::ﾋ_ﾝ ) ﾄ､_ﾊ、 ＼
_ノ i=ﾊ ' (ﾋ_] ﾋ_ﾝﾊ.ノi i /｀|/"" ,＿___ "" | | ＼ ヽ ヽ
｀.>' iX|⊂⊃ ,＿__, ⊂⊃ﾉ!ﾚノ !／i、 ヽ/___) ,ﾊ/ ノ´｀ヽ! ﾉ
∠._ ﾉ |=ヽ､. ノ!i ﾚ 〈 ,ﾊ,＞､ ''／ 八 （ | ／
,.ﾍ,） | ｜＞,､ _____, ,イ| | ∨´＼/!｀＞‐rｧ / _/／｀ヽ） ﾚ'´
' | !＞;｀ヽ､「､,ハ.| | ﾉノ´ |／!/レ'´レ'´ヽ‐-､´ （|
ただ、最後に、師は次のようなことを言った。
聖なる狂気を知る者は幸いじゃ。彼はみずからを殺すことによって、みずからを救うからじゃ。
聖なる狂気を知らぬ者は禍いじゃ。彼は、みずからを殺しも生かしもせぬことによって、徐々に亡びるからじゃ。
愛するとは、より高貴な理解のしかた。行なうとは、より明確な思索のしかたであると知れ――
＼
￣￣￣￣￣￣￣￣∨￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
＼.、 ／
(tﾃｭ] ´￣￣￣￣rｪz )
7￣ ￣',
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ﾑ,,.. --‐==＝＝=- ､..,,_ﾍ
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（ Y . ! / ｲ .! /! ﾊ ∨ ）
`''ｰ-|,ﾊ.__|/ヽ,ﾚ'|ノ .|､ﾉ／ ', / ',-ｰ"´
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元ネタ：中島敦『悟浄出世』
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