アリス×ゆっくり系9 ゆっくりによるゆっくりいじめ

アリスが外出から戻ってくると、なにやら家が騒がしかった。

「ゆっくりしていってね!!」
「おねえさんはゆっくりできるひと?」
「ここはれいむたちのおうちだからゆっくりでていってね!」

そこにいたのは1体のゆっくり魔理沙と数体のゆっくり霊夢であった。
どうやらドアの隙間から入ってきてしまったらしい。
部屋を見回してみると、大きく荒らされていた。

「――上海、蓬莱。こいつらを全部捕まえなさい」

その直後、人形たちがゆっくりたちに襲い掛かった。

「なにするの! ゆっくりやめてね!」
「シャンハーイ」
「ゆっくりはなしてね!」
「ホラーイ」
「ゆっ、ゆっー!」

次々と捕まり、非難の声を上げるゆっくりたち。
程なくして全てのゆっくりたちは檻の中へと捕まった。

「さて、どうしようかしら」

アリスはまるで感情のこもっていない目で檻の中を見つめた。
すぐにでも全員潰すことさえ厭わない目だ。
そうしていたら、1体の黒い帽子をかぶったゆっくりが訴えた。

「まりさはわるくないよっ! はいろうっていったのはれいむたちだよ!」
「「「「「ゆ゛っ!?」」」」」
「だからはやくゆっくりだしてね!」

ゆっくり魔理沙は、生き残るために簡単に仲間を売る。
話には聞いていたアリスだが、あまりの変り身の早さに少々驚いた。

「そう。だったらあなたは、助けてあげようかしら」

そう言ってアリスはゆっくり魔理沙を檻から出してあげた。
嬉しさのあまり、飛び跳ねるゆっくり魔理沙。

「おねえさん、ありがとう!」

そう言うが否や、ゆっくり魔理沙は素早く開いているドアから出て行った。
ゆっくり霊夢たちに、

「ゆっくりしんでね!」

と、言い残して。





翌日、ゆっくり魔理沙は昨日の事をすっかり忘れてゆっくりしようとしていた。
遠くに見えるのはゆっくり霊夢の家族。

「ゆっくりしていってね!」

今日もたくさん遊んでゆっくりしよう。
そう考えながら近づいていくゆっくり魔理沙。
だが、ゆっくり霊夢たちはゆっくり魔理沙の姿をちょっとの間見つめると、全員で体当たりを仕掛けてきた。

「ゆっ、いたいよゆっくりやめてね?」

最初はふざけているのかと思った。
しかし、一向にみんなやめる気配が無い。
それどころか、徐々に激しくぶつかられているようだった。

「ゆっ、ゅゅっ、どうしてそんなことするの?」

そう言うとゆっくり霊夢たちは口々にこう答えた。

「なかまをみすてるまりさとはゆっくりできないよ!!」
「うらぎりものはともだちなんかじゃないよ!!」
「ゆっくりあっちいってね!!」
「ゆっくりちね!」

「まりさはそんなことしないよ! まりさはいいこだよ!!」

「うそをつくまりさはわるいこだよ!」
「ゆっくりできないよ!」
「ほうっておいてわたしたちだけでゆっくりしようね!!」

罵って去っていく家族たち。
ゆっくり魔理沙はその場に立ち尽くしていた。
追いかければ本当に酷い目にあうことが分かったからだ。
しかし、なぜそんなひどいことを言われたのかは分からなかった。

仕方なく巣にもどってみると、巣の中は荒らされていた。
そこにいたのはたくさんのゆっくり魔理沙。

「ここはまりさのおうちだよ! ゆっくりでていってね!!」
「「「ちがうよ! ここはまりさのおうちだよ! そっちこそでていってね!」」」

追い出されないように抵抗したが、多勢に無勢。
果敢に体当たりを仕掛けるが、逆に大量のゆっくり魔理沙につぶされそうになってしまう。
とうとう巣から叩き出されてしまった。

「どぉ゛じでごんなごどずるの゛ぉぉぉぉぉぉ」
「「「ゆっくりのたれじんでね!!」」」


叩き出されたゆっくり魔理沙は、どこか遠くへ行くことにした。
きっとそこならゆっくりできると信じて。
しかしどこへ行っても、

「うらぎりもののまりさがいるんだって」
「おお、こわいこわい」

「ゆっくりしね、わかるよー」
「でていけちーんぽ」

「うーうー」

追い立てられてしまった。

「ゆっぐり゛でぎな゛いよぉお゛ぉぉぉぉぉぉ」



1週間後。
ゆっくり魔理沙はもうずっとゆっくりできていない。
身も心もボロボロになりながら、今日も食料を求めてよろよろと進んでいた。
そのとき後ろから、

「ゆっくりとばされてね!!!」

完全な不意打ちで勢いよく吹っ飛ぶゆっくり魔理沙。
力なくその方向を見てみると、ゆっくり霊夢たちがいた。
その姿を見てゆっくり魔理沙は思い出した。
そして無事なのを見て、

「みんなぶじだったんだね! よかったゆっくりしようね!!」

嬉しそうに駆け寄った。
自分が見捨てた相手だということさえも忘れて。
だから、言われた言葉に本当に驚いた。

「わたしたちをうらぎったまりさなんていなくなっちゃえ!」
「ゆっくりここからでていってね!!」
「もうみんなにつたえたから、どこでもゆっくりできないよ!!」
「もうずっとゆっくりできないよ!!」
「ゆっくりでていけ!!」

何を言っているのか良く分からなかったが、分かったことが1つだけあった。
自分がゆっくりできないのは、全てこのゆっくり霊夢たちのせいなのだと。

「ゆ、ゆ…こんなひどいことをするそっちこそでていってね!」
「「「「「ゆっくりしね!!」」」」」

口だけは一人前であったが、この数とこの状態で勝てるはずも無い。
全員に囲まれて、あっさりと袋叩きにされてしまった。

「ゆっ、やめでえ゛え゛ぇぇゆっぐり゛ざぜでえ゛ええぇ」
「「「「「ゆっくりしね、ゆっくりしね、ゆっくりしね、ゆっくりしね!」」」」」
「い゛だい゛い゛だい゛よ゛ぉぉぉお゛ぉ」

ひとしきり痛めつけた後、恨み言を言って去っていくゆっくり霊夢たち。
幸か不幸か、ゆっくり魔理沙は生きていた。
もっとも、生きているのか死んでいるのか分からないくらいであったが。
ゆっくり…したい。
そして気を失いかけていたゆっくり魔理沙の前に、1つの大きな影が見えた。

「どうしたの、そんなにボロボロで」

ゆっくり魔理沙はその影を見上げた。
そこには、あの時自分たちをつかまえて自分を逃がしてくれた者の姿が見えた。

「とりあえず、うちに来てゆっくりしない?」
「ゆ゛…ゆ゛っぐりじだい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛」
「何があったのかは知らないけど、そんなに泣かないの。さ、行きましょ」
「ゆ゛っく゛り゛ぃ゛ぃぃぃぃ」

もう2度とできないと思っていたゆっくりをさせてくれる。
ゆっくり魔理沙は力いっぱいアリスに泣きついた。





(ふふ、こんなに上手くいくとは思わなかったわ)
アリスは胸の中で微笑んだ。
全ては1週間前からアリスが仕組んだことだった。



わざとドアに隙間を残しておき、入ってきたゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢を捕まえる。
ゆっくり魔理沙が仲間を裏切ったらスタートだ。

「いや゛ぁ゛ぁぁぁぁだずげでぇぇぇ」
「わ゛だじだじもゆっぐりざぜでぇぇぇ」

ゆっくり魔理沙を逃がした後の檻の中は、パニック状態だった。
アリスは優しい顔をしてこう答える。

「大丈夫よ、あなたたちも逃がしてあげるわ。でも、1つお願いがあるの」
「ゆっ…? ゆっくりなんでもするよ! だからたすけて!」
「そう、じゃあ――」

アリスのお願いはこうだ。
ここから出た後に、今逃げていったゆっくり魔理沙がひどいヤツだということを他の全てのゆっくりに伝えてほしいと。
そして、追い出してほしいと。
最初は戸惑ったゆっくり霊夢たちだったが、

「あなたたちを売って逃げちゃったのよねぇ、酷いと思わない?」
「あなたたちは何も悪くないのにね」
「そんな悪い子に仕返しをしてやりたいと思わない?」

というと、反対する者はいなくなった。




アリスはゆっくり魔理沙を自分のものにしたかった。
それも無理やりでなく、相手から自分の方を向くように。

力で押さえつけても心から懐きはしない。
エサを与えたところでエサ役として認識されるだけ。
だからアリスはこの方法を取った。
他のゆっくりたちから追い出させ、自分だけを頼りにするように。
事実、ゆっくり魔理沙にはもう心のよりどころがどこにもなかった。
そんな中で現れた、ゆっくりさせてくれるアリスはまさに希望だった。
これから、外に出ようともせず自分だけを見ていてくれるだろう。

(色々揃えておいたのよ、この日の為に…)
これからこのゆっくり魔理沙とどんな生活を送ろう。
アリスの心はどこまでも躍って仕方がなかった。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年09月14日 10:53
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。