ひょんなことからにとりは外の世界の雑誌を手に入れた
どうやら子供向けの科学の本のようだ
読み進めていくと「ペットボトルロケットを作ろう」という企画が乗っていた
ロケットとはあの紅魔館に住む住人達がなにやら最近密かに作っている乗り物だ
これはその模型の様であるが原理は一緒らしい
早速作ってみることにした
必要なものはペットボトルを数本と空気入れと噴射口、それに発射台
香霖堂に足を運んだところペットボトルはすぐ見つかったが本に載っている噴射口と発射台はおいていないようだ
だがこのぐらいのものなら作れるだろう
小躍りしながら巣に材料を運ぶ途中
「「「「ゆっくりしていってね!」」」」
遊んでいた赤
ゆっくりより少し大きいぐらいのゆっくりまりさ・れいむ達とでくわした
どうやら箱の中身に興味があるようだ
「おねえさんそれなあに?ゆっくり出来るもの?」
「これはロケットの材料だよ」
「ろけっと?」
「ああ簡単に言うと空を飛べる乗り物だよ」
「ゆゆ!おそらをとべるの?おねえさんゆっくりのせてね!」
このロケットの推進力であれば子ゆっくり数匹程度なら問題なく乗せて飛べるかな?
まあ元は人を乗せるものだし試してみようか
「よーし乗せてやるからついといで!」
「「「「ゆっくりー」」」」
さて地上のラボについてから早速作業にかかる
空気入れにあう噴射口を作るのに少し時間がかかったがこれは問題なく完成
さて、燃料(この場合水)タンクの上の空洞部分がゆっくり達の搭乗スペースになるのだがそこに少し隠し味
ゆっくりたちと一緒に丸い玉を一つ入れる
「ゆゆ?おねえさんこれなーに?」
「これかい?これは遠くからでもおねえさんとお話できる玉だよ」
「ほんと?」「すごーい」
小型の発信機と周囲の画像や声の送受信を行える機械を入れる
これはこの間魔理沙のミニ八卦炉に搭載したもののプロトタイプ
かなり小さく作ったのだが八卦炉に載せるには大き過ぎたため没となったものだ
この機械を玉つめたものでこの子ゆっくり達より一回り大きいぐらい。なじみ易いようニコちゃんマークも描き加えてある
さあテープでペットボトル同士を巻いて完成だ
ゆっくり達もこれから空を飛べるのだと説明してやるとキャイキャイはしゃいでいる
さてロケットを発射台に装着し発射準備は整った
「それじゃあこれから空気を送り込んで飛べるようにするからね」
「おねえさんゆっくりいそいでね」
ゆっくりたちは今か今かと待ちきれないようだ
「それでは空気注入開始!」
「ゆー!」
空気入れのスイッチを入れる。機械の起動音にゆっくり達のわくわくもマッハで有頂天だ
「ゆ?おねえざんなにがおがじいよ」
「あ?気付いた?」
そうこのロケットには私なりのアレンジが加えられていた
外の世界の本物のロケットが発射する際Gと呼ばれる非常に大きな力が搭乗者に加わると本に書いてあった
その気分を少しでも味わってもらうためにゆっくり達ののっている部屋にも空気圧が加わるように改造したのだ
気圧を指し示すゲージが徐々に上がっていく
中のゆっくりたちも目が窪み口もすっぱい梅干を頬張りでもしたようなおちょぼ口になり全体的に少し小さくなったように感じる
「おねえざんばやぐどべでね」
「み゛み゛がきーんとずるよ」
「もうちょっとの辛抱だよーがんばってねー」
そろそろ限界かな
「よーし発射台角度調整よーし」
手元のリモコンを操作しロケットの舳先を空に向ける
「ゆ”っぐりできないがらおねえじゃんどこかいっでね」
「おちびちゃんはやくどいでね」
「このぼーるおみょいよ」
当然体を固定されてないゆっくりとニコちゃんボールはペットボトルの底に転がり落ちて不平の声が上がるがロケットがうまく飛ぶかどうかでいっぱいのにとりにはそんな言葉は届かない
「秒読み開始ー3・2・1発射!!」
「「「「ゆ゛べべべべべべーーーーーーーーーーーー」」」」
発射台のスイッチを押すと無理に押し込められていた水と空気の力が開放され
水柱を立てゆっくり達の悲鳴と水をばら撒きながら瞬く間に木々の向こう側にへと消えていった
「おー飛んだ飛んだ。烏天狗までは行かないがあの黒白ぐらいのスピードは出たかな?」
「さーて中の様子はっと」
内部の観察をするためにゴーグルのつまみをいじるとレンズに内部の画像が鮮明に映し出される
「お”ね”え”ち”ゃ”んゆ”っぐじじな”いでばやくどいてね」
「ゆ”ーうごけない」
「オロロロロロッロロロロ」
「おいじがえるー」
想像していた通りロケットの中は吐くわ叫ぶわのつぶれるわの阿鼻叫喚と化していた
発射の衝撃で不細工なゆっくり達の顔がさらに歪んだ所はそれはそれはひどいものだった
ペットボトルの底に押し付けられていたゆっくりたちだったが次第に圧迫する力が弱くなったようで体の自由が戻ってきたようだ
ロケットが水平飛行の状態に移ってきたのだろう
「ほらみんなー外を見てごらん」
「ゆーゆ!おそらをとんでるよ」
「ほんとだー きがれいむたちのしたにあるよ」
「ろけっとさんゆっくりとんでね」
「とりさんがまりさたちよりゆっくりしてるんだぜ!」
まあ思い思いの感想を述べ初めての空の世界をゆっくり堪能しているようだ
まあそう長くは続かないんだけどね
「ゆ!くっつかないでね」
「なんだかおかしいよ」
「またかたむいてきてるよ」
「ゆゆ!おねえちゃんせまいよぼーるさんもあっちいってね」
「あーそろそろ着地体勢に入ったかな」
「ゆ?どういうこと?」
「もうそろそろ地面につくよ。乗務員の皆様はお席を立たず座席に備え付けられたシートベルトの着用をー」
「おねえさんなにいってるの?」
「わかるようにはなしてね」
「まあ掻い摘んで話すと体を壁にでもくくりつけてないと命の保障は出来ないよ」
「だからわからないよ」
「もう馬鹿だなー壁にくっついてないと死んじゃうよって話」
「「「ゆゆゆ!」」」
命の危険があるなんて聞いてないと文句を言おうと口を開くや否や強い衝撃が艦内を襲う
「ぶべらっば「げぁあぁぁl」「おおっぷす」ぶけぇぇぇ」
ゆっくり達の断末魔を確認した後再びつまみを動かしレーダーを起動させる
着地地点を確認しにとりはゆっくりとロケットの回収へと向かった
ロケットの飛距離はにとりのアレンジのおかげもあって外の世界での記録を軽く更新している
まあ大会規約なんか守っていないのだから記録には載せられないが1・2キロは飛んだであろう
木々の合間をうまい具合に縫って地面に突き刺さったロケットは、外見に大きな損傷は見られなかったが乗員達は案の定ぐちゃぐちゃである
「ロケットを作る際は壁か何かに体をくくりつけておかないと体の丈夫な妖怪なら大丈夫でも周りに大怪我の危険性ありっと」
頭の中に思いうかべたロケットの内部設計に若干の修正を加えながら熱心にメモをつける
「ゅ・・・・」
「おや、まだ生きているのがいるのか」
「ぼーるさんが・・・おねえちゃんたちを・・・」
顔の3割がつぶれてはいたが1匹だけ奇跡的に生きていた
着地の衝撃で相当ニコちゃんボールが跳ね回ったのだろう他のゆっくりたちはものの見事に餡子の染みとなっている
「やっぱりねー」
「ゅ・・・おねざさんがわかってて」
「まってね今ゆっくりさせてあげるから」
そういうや否やにとりはロケットをすばやくシェイクする
「ゆべ!やべ・・・ごぁ」
「さてこの間作ったおはぎ製造機の試運転用の材料確保したことだし撤収しますか」
ロケットを小脇に抱え鼻歌交じりににとりは家路に着いた
この後河童たちのが独自にロケットの開発を進めていたが水面下で永遠亭の薬師達に阻止されたなんて事があったりなかったり
最終更新:2008年09月14日 11:28