ゆっくりいじめ系1126 れいむの転落人生

『れいむの転落人生』








都心に近い住環境の整った住宅地。
マンションが建ち並ぶ中に大きな公園がある。
桜の木で囲われた公園の中央には噴水が設置してあり、よく待ち合わせの場所に使われる。
他にも子供達の遊び場、老人達の憩いの場として利用されていた。

そんな公園の隅には公衆便所が設置されているが中は綺麗とは言えず、少しばかり臭う。
さらに女子便所の一番奥の個室には数ヶ月前から利用禁止の張り紙が貼ってある。
だが利用禁止なはずの個室の中で動き回るものがいた。

「ゆっくりしていってね!!!」

ゆっくりである。それも白いレースの付いた赤リボンが特徴のれいむ種だった。
れいむは野良ゆっくりで、人が入って来ないこの個室をおうちにしていた。
日が昇って間もない早朝に起きたれいむは狭い個室を跳ね回って寝起きの軽い運動をしている。
最後にぐぐーっと背伸びをして朝の運動はおしまいだ。

その後はドア下の隙間を潜り抜けて元気に外へと向かう。
バスケットボールほどの体長があるれいむだが、クッションのように柔らかい体なのである程度狭い隙間でも難なく抜けられるのだ。

公衆便所を出たれいむはまず公園中央の噴水で水浴びをする。
一度目の跳躍で噴水の縁に乗り、次の跳躍で噴水の水場に飛び込んだ。
水深はれいむの体長の半分程度で、れいむは全身の汚れを落とすために前転を繰り返す。
ゆっくりは水に弱いので体がふやける前に水場から上がり、体をブルブルして体表の水滴を周りに飛ばす。

「ゆふー、すっきりー!!」

早起きして公園に来た老人が迷惑そうな顔をしてれいむを見ていたが、れいむは気にしない。
それよりもすっきりした後はお腹が減った。だったら朝ごはんにしよう。
れいむは昨日のうちに目を付けていた公園の花壇へと駆けていく。
そして花壇に辿り着いたれいむは綺麗な花を愛でるわけもなく、花を引っこ抜いて食べ始めた。

「むーしゃ、むーしゃ、それなりー」

不味くもないが美味しくもない。
期待はずれだったのか、れいむは浮かない表情で近所の小学生が育てた花を食べていく。
花壇一列分を食べたところでようやくお腹も満足したようだ。

「そんなにゆっくりできなかったね」

そんな感想を残すれいむだったが、お腹は膨れたのでまんざらでも無さそうだ。

これからどうしようかな。
れいむが午前のスケジュールを考えていると公園の入り口に人間を見つけた。
腕に抱えたまりさと仲良さそうに会話しながら公園に入ってくる。
飼いゆっくりのまりさと朝の散歩に来たのだろう。

れいむはそんな一人と一匹を恨めしそうに見つめる。

(あのまりさはきっとおいしいごはんたべてきたんだよね)
(ねるときはふかふかのおふとんでねてるんだろうな)

そう考えるとまりさに対して嫉妬と怒りが沸いてきた。
自分がゆっくり出来てないのに他のゆっくりがゆっくりしているのは我慢ならなかった。

(ほんとうなられいむもゆっくりできるはずなのに!!)

そんなことを考えるれいむもかつては飼いゆっくりだった。





ペットショップで生まれ育ったれいむは子供の時にその身を買われて飼いゆっくりになった。

れいむ達ペットショップのゆっくりは赤ちゃんの頃から「人間に連れて行かれる子は最高のゆっくりが約束される」と教えられてきた。
なので人間がペットショップに来店したらゆっくり達の戦いが始まる。
人間に選ばれようと声を張り上げ、体を大きく動かしての自己アピール合戦だ。

「れいむがおすすめだよ! かわいくてきゅーとだよ!!」
「まりさのほうがいいよ!! えらんでくれたらゆっくりさせてあげるよ!!」
「みょんみょみょんみょみょみょんみょんみょん!!!」
「かっこいいおにーさんにはちぇんがおすすめだよー。わかるねー?」
「とかいはのおにいさんにはとかいはのありすがぴったしね!!」

同時に多方向から大声で叫ばれて来店した人間は何とも居心地が悪そうだ。
そんなことに気の回らないゆっくり達の一方的な自己主張はヒートアップするばかりだ。
だがそんな中で唯一、れいむだけは人間と目が合ったときにだけ「ゆっくりしていってね!!!」と叫んだ。
それが決め手になったかはどうか分からないが、結果としてれいむが選ばれた。


選んでくれた人間のおうちでの生活はまさに天国だった。
甘くて美味しいお菓子が毎日三食以上食べさせてもらえたし、
体も洗ってくれるのでずっと清潔でいられた。
れいむのために色んな遊び道具を用意してくれた。
寝る時だってふわふわであったかい布団に包まれて気持ちよく眠れた。

そして飼い主はとっても優しかった。
れいむの我侭にも嫌な顔をせずに応えてくれたし、家でも外でも一緒に遊んでくれた。
れいむはそんな優しい飼い主が大好きだった。


だがそんなゆっくり出来る生活は唐突に終わりを告げた。
飼い主はれいむをダンボールに入れると車に乗せて走り出す。
れいむは久しぶりのドライブかと喜んだが、飼い主は何故か涙を流して「ごめんな」とだけ呟いた。
そして見知らぬ街の見知らぬ公園の傍でれいむは置き去りにされた。

れいむは呆然とした。
何で自分が捨てられたのか全く分からなかった。
飼い主は何か話していたようだが、れいむには難しくて理解できなかった。
でも少なくとも自分が捨てられたという事実だけは理解できた。

「ゆ、ゆっくりしてってよー!!」

それでもそんな残酷な事実を事実として受け入れたくなかった。
飼い主の車が去っていった方向に跳ねていくれいむ。
だがここは見知らぬ街。すぐに迷ってしまった。

「ゆっ…ゆっ…ゆぅぅぅぅん!! ゆぅぅぅぅぅん!!!」

泣きながら飼い主を探し回るれいむ。
通りすがる人々はそんなれいむを一瞥するだけ。
誰も手を差し伸べてくれず、声すらかけてこなかった。


日が暮れる頃。
れいむは飼い主に置いていかれた公園に戻っていた。
ぽつぽつと降り出した雨はれいむの心情を表しているようだった。
れいむは心ここにあらずといった表情で空を見上げる。
このまま雨に打たれて溶けてしまいたい。
しかしそれも結局死ぬのが怖くなって手近な雨を凌げそうな建物に入った。

そこは公園に設置された公衆便所。
これがれいむが今のおうちを見つけた経緯。
そしてこの日からゆっくり出来ない生活が始まった。





それから一ヶ月。
れいむはこうして生きている。

最初は何をするにも辛かったが、日が経てば環境に適応するものだ。
今では雑草だろうと虫だろうとちゃんと食べられるし、体だって一人でちゃんと洗える。
それにトイレの固く冷えた床でもぐっすり眠ることができるようになった。

今では野良ゆっくりとしてのスキルを立派に備えたれいむだったが、
こんな生活レベルで感じられる幸せなんてれいむにとっては嘘でしかなかった。
れいむの視線の先で遊ぶまりさが感じている幸せこそ、れいむにとって本当の幸せだった。
だからこそあのまりさが、そして人間に飼われるゆっくり全てが妬ましい。
れいむはまりさの元へと近づいていった。

都合のいいことにまりさの飼い主はトイレのようで近くにいなかった。今こそ好機。
雑草を咥えて引っ張る遊びをしているまりさにれいむは声をかけた。

「ゆっくりしていってね!!!」
「ゆっくりしていってね!!」

れいむより二回りほど小さいまりさはまだ子ゆっくりだった。
れいむの挨拶に元気に返事をしてくれた。

「まりさ、れいむとこっちでゆっくりしようよ!!」
「ゆゆ、でもおねーさんがここにいてっていったよ!!」
「ゆ、すぐそこだからだいじょうぶだよ! ゆっくりついてきてね!!!」
「ゆっくりついていくよ!!」

れいむは子まりさを導いて人目に付かない場所へとつれていく。
子まりさは他のゆっくりと遊ぶことは少なかったのでれいむの誘いが嬉しかった。
なのでれいむを疑うこともなく言われるがままについていった。
公園の中で草木が多く茂っている場所があり、人目の付きにくいそこが目的地だ。
あそこならば誰にもばれずに事は済むだろう。


「ゆゅ? ここであそぶの?」
「ゆん、そうだよ!! いっしょにあそぼうね!!!」
「ゆっくりあそぼうね!!!」

子まりさはようやく遊べると嬉しそうに飛び跳ねる。
れいむはそんな子まりさを見て、とても美味しそうだと思った。

一か月も野良生活をしていれば自分以外の野良ゆっくりにも出会うこともある。
そんな時に取る選択肢は二つ。仲良くするか食べるかだ。
ゆっくりは自分が饅頭だと知っているので大好きな相手には食べてもらおうとするし、
お腹が空いていれば仲間を食べることもある。

「ゆー、なにしてあそぶの??」

何不自由なく暮らす子まりさには同じゆっくりと殺し合うなんて想像もつかない世界だろう。
れいむだって他の野良に一度襲われるまで同じゆっくりを食べるなんて思いつきもしなかった。
その時は相手が弱っていたので怪我を負うことも無く、逆に噛み付いて食べ返した。
そしてれいむはゆっくりの味、甘くて美味しい味を知ったのだ。

今ではゆっくりを食べることに何の迷いもなかった。
それどころか今のれいむにとって他のゆっくりはご馳走程度の認識だ。
特に幸せな飼いゆっくりなんかは不味くたって食ってやろうと思っていた。

「ゆっ、じゃあまりさはよこになってね!!」
「ゆゆー? ねころぶの?」

れいむは確実に仕留められるまでは牙を向かない。
顔に笑顔を貼り付けて、子まりさに寝転ぶよう指示する。
素直な子まりさは言われるがままに後ろ向きに転がって仰向けになった。

「そのままゆっくりまっててね!!」
「ゆっくりりかいしたよ! でもなにするの??」
「まってればゆっくりわかるよ!」
「ゅゅ、だったらゆっくりまつね!!」

まりさの目は期待に満ちている。
これから死ぬだなんて微塵にも考えていない平和な顔だ。

「そのままゆっくりしててね。じっとしててね」
「ゆっくりしてるよ! はやくあそんでね!!!」

そんなまりさにれいむは身を寄せる。

「わくわく」

ようやく遊びが始まるとまりさは喜んだ。

だが次の瞬間。
子まりさの下半身はれいむの口に収まる。
噛み付かれた痛みに痛がる間もない。
瞬く間に子まりさの体は真っ二つに切断された。

「…!! ……!!!」

下半身から先に食べたので耳障りな悲鳴は上げられない。もがいて逃げることも出来ない。
子まりさの反応といえば、唯一動かせる瞳を左右上下滅茶苦茶に動かすぐらいだった。
れいむはそんな子まりさの様子などどうでもよく、口に含んだ子まりさの下半身を咀嚼する。

「むーしゃ、むーしゃ……しあ、しあ、しあわっ………へぶんじょうたい!!!!」

れいむは思わず飛び跳ねた。
子まりさの味はこの上なく甘かった。どこまでも濃厚な甘味。
れいむも今までにこんな美味しいお菓子は食べたことがなかった。
それはこの子まりさが特別というよりも、この子まりさが非常にゆっくりと出来ていたからこその味だった。

ゆっくりはゆっくり出来るほど中身の甘味が増すという。
この子まりさは飼い主にゆっくりさせてもらったおかげで非常に甘くなっていた。
人間が食べれば甘すぎて気持ち悪くなるぐらいに甘かった。
だが甘いもの好きのゆっくりにとっては甘ければ甘いほど美味しい。
そんなわけでこの子まりさはゆっくりにとっては至高のデザートだった。
れいむはこの素晴らしい味に病みつきになりそうで、残る子まりさの上半身にもすかさず食らいついた。

「はふはふっ、うっめ! めっちゃうっめ!!!」

人間に飼われてるゆっくりがこんなに美味しいなんて。
れいむはこのことを深く深く記憶に刻むことにした。





素晴らしい食事を終えたれいむは日課としている"営業"に出かける。

「まりさー? どこ行ったのまりさー?? 返事してー」

と叫ぶ人間を尻目にれいむは公園を出て街へと繰り出した。
行き先は20分ほど跳ねていった先にある商店街だ。



商店街に着いたれいむは早速人間観察を行う。
自分をゆっくりさせてくれそうな人を見定めているのだ。
そしてれいむ的にゆっくりさせてくれそうな人を見付けると近寄って声をかける。

「おにーさん! ゆっくりしていってね!!」
「…?」

突然話しかけられた人間は返事するでもなく振り返った。
目が合ったことを確認したれいむはありのままの要求を伝える。

「かわいくてきゅーとなれいむをぺっとにしてね!!」

れいむには自信があった。
ペットショップから元飼い主に選ばれた時なんて「ゆっくりしていってね!!!」の一言で選ばれた。
そんな魅力的な自分が多彩な言葉で自分をアピールすれば人間たちはすぐに自分をペットにするに違いない。
れいむは本気でそう考えていた。

「……チッ」

だがれいむの話し掛けた男は舌打ちすると不機嫌そうに去って行った。
このように今まで誰もがれいむをペットにしないばかりか、触れてこようともしてこなかった。
れいむはショックだった。
人間がこれほど見る目がないとは思わなかったのだ。

でもれいむは幸せな生活をこの手に取り戻すために諦めない。
人間はたくさんいるのだから中には見る目があって可愛がってくれる人もいるはず。
れいむはそう信じて商店街を右へ左へ駆け回り、自分をペットにするよう呼びかけ続けた。



そしてその熱意がようやく天に届いた。

お昼過ぎ、ゴミ箱を倒して散らばったゴミを漁るれいむに一人の男が近づいてきた。
れいむは何となくこの男が自分をゆっくりさせてくれる気がした。

「ゆっくりしていってね!!!」
「ああ、ゆっくりしていってね」

返事が返ってきた。これは当たりの予感がする。
自然とれいむの気分も高まっていく。

「れいむをぺっとにしてね! ゆっくりさせてあげるよ!!!」
「そうかそうか。じゃあこの中に入るんだ。連れて行ってあげるから」

男が出したのは透明な箱。
飼いゆっくりを持ち運ぶためのケースだ。
窮屈だからと嫌がるゆっくりもいるが、れいむはお空を飛んでる気分を味わえるこのケースが好きだった。

「ゆっくりはいるよ!!」

男は蓋を閉じるとれいむの入った箱を近くに停めてあった車の助手席に載せた。
そして車が走り出すとれいむは上機嫌で男に話し掛けた。

「ゆゅ~ん! おにーさんのおうちはゆっくりできる??」
「ん? そうだなあ……」
「ゆゆ?」
「いや、ゆっくりできるよ。お前と同じようなゆっくりもいっぱいいる」
「それはしゅっごくゆっくりできるね!!」

他にも飼われているゆっくりがいることと聞いてれいむは思わず涎を垂らしてしまった。

「おふとんはふかふかしてるの??」
「そりゃまあ野宿に比べりゃずっとふかふかだろうな」
「ゆーん! ゆっくりたのしみ!!」
「野良に比べれば食べ物にも困らないし体も洗える。
 そういう意味じゃ確かにゆっくり出来ると言えなくもないか」

何とも妙な言い回しをする男である。
しかしゆっくりであるれいむにはそんな些細な所までは感じ取れない。
それよりもれいむはもうあんなゆっくり出来ない生活をしなくていいんだと大喜びしていた。
生活の全てを自力で行わなくちゃいけない日々とはもうオサラバだ。
これからは温もりに包まれた幸せな生活がれいむを待っている。

「ゆふふふふん、いっぱいれいむをかわいがってね おにーさん!!」

男は何も答えなかった。





程なくして男の運転する車は大きな建物に着いた。

「ゆゆっ? これぜんぶおうちなの??」
「んー、まあそうなるね」
「おにーさんおかねもちなんだね!!」
「…はは」

れいむはこの男を選んで正解だと思った。
お金というのがあればとてもゆっくり出来るとれいむは知っていた。
前の飼い主の所ではお金がいっぱい入る日にはケーキをご馳走してもらえた。
これだけのお金持ちのおうちなら毎日ケーキを食べられるかも知れない。

だが全てはれいむの勘違いで、男はれいむをペットにするためにここに連れてきたのでは無い。
それはれいむ自身もすぐに知ることとなった。


この建物に入ったれいむはまず最初にホッペを摘み取られた。そして次に注射器で餡子を少量だが抜き取られた。
砂糖水を霧吹きされたおかげで痛みは引いていたが、傷付けられたことにれいむは激怒した。

「どういうこと!! なんでかわいいぺっとのれいむをけがさせるの!!?」
「お前さんの健康状態を見るためだよ。変な病気を持ってないかチェックするんだ」

そんな説明も怒り心頭のれいむには届かない。
騒ぎ立てるれいむは透明な箱に入れられたまま殺風景な部屋に放置された。
お仕置きのために放置するというわけではない。

"ここ"には騒ぐゆっくりなど山ほどいる。
れいむが放置された部屋には透明な箱がずらりと並んでいた。
その中にはれいむ、まりさ、ありす、ぱちゅりー、ちぇん、れみりゃ、ふらん…
多種類のゆっくり達が閉じ込められていた。
それらは全て野良ゆっくりだったものを捕獲したものだ。

"ここ"とはゆっくり専用の保健所。
この街の野良ゆっくりがこうして集められて管理されている。
捕獲されてきたゆっくりはまず、皮と中身を採取して健康状態をチェックする。
そしてその結果とそのゆっくりの性格などからその後の処遇が決まる。

以下がその一例で、
  • 引き取り先募集
  • 食品加工
  • 食品加工(家畜用)
  • 餡茎栽培の苗床
  • 殺処分
と大体こんなところである。

引き取り先募集というのはペットになれるチャンスが与えられたということだ。
これがれいむの一番望むものだろう。
だがそれはありえなかった。
れいむはペットに戻るには心が汚れすぎていた。


れいむはそれから別の部屋に箱ごと運ばれた。
六畳程度の部屋には1つのテーブル。その上にれいむ入りの箱が置かれる。
そして椅子に座った目の前の男がれいむを睨みつけていた。

「ゆ! なんなの!! はやくはこからだしてゆっくりさせてね!!!」
「その前に質問がある」
「そんなのいいかられいむをゆっくりさせてよね!!」
「お前は噴水のある公園に住んでいたか?」

男はれいむの言葉を無視して質問をぶつけた。
質問というよりも確認といった聞き方ではあるが。

「ゆっ、そうだよ! でもいまはここがおうちだよ!!」
「そこでお前はまりさを見なかったか? お前より小さい子供のまりさだ」
「みたよ! だからなに? それよりもだしてね!!
 かわいいぺっとのいうことはちゃんときいてね!!!」
「最後の質問だ。お前はその子供のまりさを食べた。そうだな?」
「ゆ! そうだよ!! すっごくおいしかったんだよ!!」
「そうか…」
「そうだ! またたべたくなっちゃったからもってきてね!!!」
「駄目だ」
「なんでなの! かわいいぺっとのいうこ「お前はペットでも何でも無い!」

男の大声にれいむは竦んで動けなくなった。
そしてショックから立ち直るにつれて怖くなったれいむは泣き出した。

「ゆ、ゆっ、ゆひっ…な、なんでおごるのぉ…ゆっぐりできない"ぃ"…!」
「…お前は人のペットを食い殺した害獣だ」

れいむのしたことは全てばれていた。
子まりさを食べたところを直接誰にも見られていなくても、
その後れいむが公園から出て行くところは子まりさの飼い主がちゃんと見ていた。
そして公園に住み着く野良ゆっくりはこのれいむ一匹のみ。
明らかに怪しいこのれいむはこうして捕らえられ、今さっき自白した。

人の飼いゆっくりを殺したのは大きな罪である。
そして子まりさの飼い主の希望により、れいむは殺処分されることとなった。

れいむは他のゆっくり達と共に20平方メートルぐらいの部屋に閉じ込められた。
部屋の天井にはパイプが等間隔に何本も走っていて、これまた等間隔にシャワーヘッドが付いている。
といっても地を這うゆっくり達の中に気付くものはいない。
どのゆっくりも自分たちを閉じ込めた人間に対して憎悪の言葉を並べていた。

「なんでとじこめるの!! ちゃんとしたおへやにつれてってね!!」
「ひとりひとへやがきほんだよー。わかってねー」
「だしてね! これじゃゆっくりできないよ!!」
「うー! たーべちゃうぞー!!」
「ゆ"っ!? れみりゃはゆっくりくうきよんでね!!」
「ゆうぅぅぅ!! せっかくぺっとになれたとおもったのにぃぃぃ!!!」

罵声に悲鳴、嘆きもあって非常に騒がしい部屋だったが、
天井から液体が撒き散らされるとその全てが悲鳴と化した。
シャワーされているのは水じゃなかった。
低コストかつ高い効果が望めるゆっくり用の毒、高濃度の塩水だった。

「う"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」
「な"に"ごれ"っ! ごの"み"ずずっぎり"でぎな"い"よ"!!!」
「うぎぃぃぃぃ!!! めがい"だい"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!!」
「ぢょっどはゆっぐりじだがっだ…ァ」
「むっぎゅー!!?」
「しぬんだね。わかる…よ……」

体が小さく弱いものから次々と息絶えていく。
どのゆっくりも最後に何かを叫んで死んでいく。
れいむもまた、死の間際で心のままに叫ぶ。

「おにーざーん!! だずげ、で…だずげでっ……!!!
 もうわるいごどじないがらっ!! だじゅげでぇぇ!!!」

れいむは自分を捨てた飼い主に助けを求めて叫んだ。
最高の幸福と最悪の不幸をくれたお兄さん。
そのお兄さんがれいむを捨てたせいでこんな事になってしまった。
でも、それでもれいむはお兄さんのことがどこまでも大好きだった。

「おにーざん…おにぃざぁん……」

もう動かない体、何も映さない瞳で大好きなお兄さんを探し続けるれいむ。
彼女の周りにはもう動くゆっくりはほとんどいない。
あるのは苦悶の表情で息絶えるゆっくりの山。れいむもすぐにその一部になるだろう。

でも最後の最後にれいむは機能しないはずの目で確かにお兄さんの姿を見た。

「お"に"ーざん"、いっじょにゆっぐり、ゆっぐりじでい"っでね"……!!」

れいむは体が軽くなっていくのを感じた。












ゆっくりの死体を袋に詰める保健所の所員は一匹のれいむを見て動きを止めた。
他のゆっくりとは違い、とても安らいだ表情で死んでいた。
最後に何かゆっくり出来る幻でも見たのだろうか。
野良ゆっくりも野良ゆっくりなりの人生がある。
このれいむにも幸せな時代があったのかもしれない。

だがそれもこの所員には関係のないことだ。
所員はそれ以上何を考えるでもなく、死体の回収を再開した。
袋の中に投げ捨てられたれいむは単なる潰れた饅頭でしかなく、
ただの生ゴミとして処分された。












by 赤福 (ゆっくりしたい人から改名)


最近自分の作品が冗長すぎる気がしたので短めのを書いたのです。
というかペット捨てるのダメ。絶対。

ちなみにwikiで「ゆっくり~」の作者名が多いと指摘されてましたので、
今後は赤福と名乗らせていただきます。

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最終更新:2008年10月15日 22:43
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