ゆっくりいじめ系749 現代ゆっくり


※舞台は何故かゆっくりが当然のように存在している外界です。
※オリ設定満載です。
※ぬるいじめです。そして割と愛で気味です












数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。

人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。

が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。

そして私はそんな不思議に満ちた生物とはこれと言った縁もない普通の女子大生だ。



「やっぱり頑張った自分へのご褒美は塩辛に限るわ。む~しゃむ~しゃ、うめ~」

忌々しい試験期間を無事かどうかはまだ分からないが乗り切った私は、昼間っから大学の敷地内のベンチで塩辛をつまみながら、ビールを飲んでいた。

「んぐんぐんぐ・・・ぷはぁ!ZUNビールうめぇ!めっちゃうめぇ!」

彼氏は居ないし、友達も女同士の友情そっちのけで男とデート。

そんなわけで私は一人寂しくビールをかっくらっていた。何で大学でとか、そんな野暮なことは聞くな!

「ゆっくりしていってね!」

「んあ?」

すると突然何者かが声をかけてきた。

声の主のほうに視線をやるとそこには体高20cm程度の、赤いリボンがトレードマークの餡子生命体“ゆっくりれいむ”がいた。

「なんだ、ゆっくりか」

イケメンだったら良かったのに。まあ、イケメンが昼間からこんなところで酒盛りしてる奴に声をかけてくるわけがないんだけどさ。

「ゆゆっ!おねーさんはゆっくりできるひと?」

「ゆっくりせざる得ない人だよ、悪いか?」

人間の気持ちなんて何一つ理解しちゃいないド饅頭をねめつけつつ、ビールを胃袋に流し込む。

「ゆ!よかったね、おねーさん!れいむがゆっくりできるおねーさんといっしょにいてあげるよ!」

「そうかい、そうかい・・・そいつはどーも」

鬱陶しそうに、なおかつ投げやりに応えるが相手は所詮餡子脳生物ゆっくりだ。邪険にされていることに全く気付いていない。

そして、ぽよんとベンチに飛び乗って私の太ももに頬を摺り寄せると・・・

「ねえ、おねーさん!それちょうだい!」

厚かましくも私の自分へのご褒美の塩辛を要求してきやがった。

「だめだめ、あんたにやる塩辛はないよ」

しっし、と手を振ってあっちに行けと訴えるが、れいむは全く諦めようとしない。

「ゆううううう!!」

ぷくぅっと頬を膨らませて私を威嚇し始めた。

結構膨らむのな。見た感じ体積が1.5倍くらいにはなっている。

とは言え、そんなものが私に有効なわけが無い。

「おいおい、人にもの要求するときに態度か、それ?」

苦笑しながら膨らんだ頬を突いてみる・・・・・・柔らかい!

「おおぉ・・・!」

あまりに触り心地が良かったので、調子に乗って突っつきまくる。

「ぽーにょぽーにょぽにょ、アホまんじゅう~♪」

「ゆっ!おえーさん、やめ、やっ、や、ゆっくりっ、やめてね!」

そんな感じで遊んでいると、れいむは相変わらず頬を膨らませながらも嫌そうな表情を浮かべて文句を言ってきた。

「やだ」

満面の笑みを浮かべて即答してやった。

と言うか、そんな風に言われたら・・・やるしかない、って気分になるじゃないか!

「うりうりうりうりうり~♪」

「ゆうぅ~!おねーさん、おねがいだよ!ゆっくりやめてね!」

もう頬を膨らますのを止めていたれいむは、目に少し涙を浮かべながら懇願する。

しかし、そのうっとうしくも愛らしい表情が私の中に眠るSっ気に火をつけた。

「や~だ~」

つんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつん・・・

「ゆぅぅぅぅぅっぅぅぅぅぅううううううう~!?」

手を止めるつもりが微塵も無いことを悟ったれいむは少しずつ後ずさって行く。

そして、私の手はそれを追いかけながら執拗に頬を突きまくる。

「ゆううううううううう!?」

ぽろぽろと涙を零しながらも必死に後退し続けたれいむは、勢いあまってベンチから落下してしまった。

「ゆぐっ!?」

「あ・・・お~い、大丈夫か?」

落下したれいむの様子を伺うためにベンチから身を乗り出すと、底の部分を空に向けた逆立ちのような格好でれいむがひっくり返っていた。

「ゆわああああああああああん!おねーさんのばかぁ~・・・!ゆっぐ・・・!・・・ゆっぐ」

あらら、大泣きしちゃったよ。

その姿は流石に可哀そうだったし、私自身調子乗りすぎた節もある。

だから、れいむを抱え上げると膝の上に乗せて、頭に怪我が無いか見てあげた。

「あ~・・・ここ、ちょっとコブになってるなぁ~」

「ゆっ!?おねーさん、いだいよお゛お゛お゛お゛!」

どうやらコブに触れてしまったらしく、れいむはまた大声で泣き始めた。

「あははははは~・・・悪い悪い。さっき欲しがってた塩辛あげるから、それで許してくれないか?」

その言葉を聞いた途端、れいむはとても嬉しそうに微笑む。もしかして、私はゆっくりの嘘泣きに騙されたか?

まあ、いいかと心の中で呟きながら、塩辛の蓋を開け、箸でつまんで膝の上のれいむの口へ持っていってやった。

「ゆゆっ!むーしゃむーしゃ、しあわ・・・ゆうううううう!?」

れいむは4,5回咀嚼してから、クワッと目を見開いて、塩辛を吐き出した。汚いなぁ・・・そしてもったいない。

「ゆんゆんっ!おねーさん、こんなしょっぱいのたべられないよ!!」

「ん?そうか、口に合わなかったかぁ~」

「ゆぅ!ほかにないの?!」

よっぽど口に合わなかったのか頬を膨らませて怒りをアピールしながらも舌を出しっぱなしにしている。

器用なやっちゃ。

「他?そうだなぁ・・・」

ガサゴソと近所のスーパーの袋を漁ってみると、何故か売っていたジョロキア、たこわさ、焼きスルメ、カカオ99%のくそ苦いチョコレート、メントスとダイエットコーラなどが出てきた。

あとは500mlのZUNビールが4本ほど入っている程度だ。

「じゃあ、たこわさでも食うかい?」

「ゆぅ?それおいしいの?」

「ああ、美味しいよ」

首をかしげるれいむに微笑みながらたこわさを取り出してさっきと同じように口の中に放り込んだ。

「むーしゃむーしゃ、しあわ・・・ゆぎゅうううううう!!?」

あ、また吐き出した。人の膝の上で吐き出すものだから私の安物のジーンズが汚れてしまっている。

「あんたねぇ・・・食べ物を粗末にしすぎだよ?」

また、さっきと同じように舌を出しているが、今度はこきざみにぷるぷる震えている。

「だ、だっでぇ・・・ごんなのだべでないよ゛っ!」

「えー、美味しいのに・・・」

そう言って私は2口ほどたこわさを食べる。うん、やっぱり美味しい。

「おねーさん!ちょこあったでしょ?れいむちょこがたべたいよ!」

ああ、本当に厚かましくて可愛いなぁ~。だが、あのチョコは私の夜のおやつなんだ。

「えー」

「ね、おねーさん?」

露骨に嫌そうな顔をする私を潤んだ瞳で上目遣いに見つめてくる。

う~ん、別に可愛いとは思わないな。

「よし、じゃあ・・・お姉さんとじゃんけんで勝負して私が100勝するまでに1回でも勝てたらチョコをあげようか?」

「ゆ!じゃんけんってなに?ゆっくりできるもの?」

おおう、嬉しくなるほど予想通りの反応。とりあえず、私はれいむにじゃんけんのルールを教えてあげた。

「それなららくしょーだよ!おねーさんがいっぱいかつまでにれいむがいっかいかればいいんでしょ?」

「ああ、そういうことだ。それじゃ、さっさと始めるよ?」

そう言うとれいむは思いっきり空気を吸い込んだ。

「じゃんけ~ん、ぱー!」

れいむを見ると思いっきり頬を膨らませている。ちなみに、これは手の無いれいむのために私が決めてあげたグーのポーズだ。

「ゆぅ!まけちゃったよ!」

「よし、一勝!でも、まだまだ99勝もしなくちゃならないからなぁ~・・・」

「ゆゆっ!こんどはまけないよ!」

「よし、それじゃ2回目。じゃんけ~ん、グー!」

グーを出し、れいむを見てみると下を向いて両目を閉じている。これはれいむにとってはチョキに相当する。

「やった、2勝目!」

「ゆううう!また負けちゃったよ!」

「まあまあ、まだまだ先は長いんだし。三回目行くよ?じゃんけ~ん、チョキ!」

れいむは背中を向けている。別にじゃんけんに飽きたわけではない。これがパーのポーズなのだ。

「よし、三連勝!でも、先は長いなあ~」

「ゆゆ!またまけちゃった!でも、まだまだがんばるよ!」

そんな感じで、私とれいむは15分ほどひたすらじゃんけんを続けていた。

そしてその間に私が事前の呼吸や、向きの変更を見てれいむの手を把握していることに気付くことは無かった。

「はっはっは!98連勝!」

「ゆううううううううう・・・」

流石にここまで負け続けてはのん気なれいむも涙目にならざる得ない。

「どぼぢでがでないのおおおおおお!もうやだ!おうちかえる!」

「まあまあ、あと2回だけなんだし。頑張ろうや、な?」

ぽろぽろ涙を零しながらもれいむが「う゛んっ!」と勝負に合意するのを確認すると、再び掛け声をかけた。

「じゃんけん、パー!」

一方のれいむは下を向いて目を瞑っている。つまり、チョキだ。

「ゆ?ゆゆっ!れいむかったの!?」

信じられないといった風な表情で私に確認をとるれいむ。その姿に思わず噴き出しそうになるのをこらえながら応えてやる。

「ああ、そうだよ。お前の勝ちだ。だからチョコレートを食べても良いぞ?」

「ゆゆっ!やったね!これでゆっくりできるよ!」

じゃんけんが終わって、再び膝の上に戻ったれいむは歌らしき何かを口ずさみながら、私がチョコレートを差し出すのを待っている。

「ゆっくりできるよ~、ちょこれーと♪とっても~あまいよ、ちょこれーと♪」

ごめん、このチョコは凄く苦いんだよ。

「はいよ。今度は吐き出すなよ?」

「ゆ!そんなことしないよ!むーしゃむーしゃ、しあわ・・・ゆぶふぇええええええ!!」

奇声を上げながら、れいむは今日一番と言っても過言ではないほど盛大にチョコレートを吐き出した。

エレエレエレエレエレエレエレ・・・。

うわぁ、ついでに餡子も吐き出しやがったよ。ジーパンがグチョグチョだわ・・・まあ、いいけど。

「おいおい、あんた吐き出しすぎ・・・」

呆れながら、お仕置きの意味も兼ねてれいむの両頬をつまんで引っ張ってやる。

「ばっへぇ・・・あほほえーほいがかかったんあほん!」

しかし、この饅頭柔らかいっすねぇ!本当に皮が良く伸びる。

そうやって調子に乗って引っ張っていると

「ほへーはん、ゆっふひやべでね!」

「びろ~ん、びろ~ん、びろりろり~ん♪」

ああ・・・このほっぺの柔らかさは反則だわ。すごく気持ち良い。

「ゆゆっ!まりさのれいむになにをするんだぜ!」

「んあ・・・?」

不意にどこからともなく声が聞こえてきた。辺りを見回して声の主を探すと、そこにはゆっくりまりさが私の足に懸命に体当たりしていた。

「まりふぁ!」

「れいむ、もうすこしのしんぼうだぜ!まりさが、すぐにたすけるんだぜ!」

そう叫びながら必死に体当たりをしているが、全く痛くも痒くもない。それどころか、まりさが作用に対する反作用でダメージを受けている。

その様子を見ていると、なんとなく気の毒になってきたので、私はメントスとダイエットコーラを掲げて、まりさも一緒にゆっくりしないかと提案した。

もちろん、れいむの頬を引っ張るのも止めてあげた。すると、あっさり私のことを許してくれた。

「ゆ!まりさもおねーさんといっしょにゆっくりするぜ!」

「も」とは言うものの、れいむはそんなにゆっくり出来てなかったけどね。

「はいよ」

まりさの口にメントスを10粒ほど放り込んでやる。

「うっめ!めっちゃうめぇ!」

「ゆ!れいむもほしいよ!」

「チョコを全部食べてからだよ」

「ゆううううううううううう!」

「ははっ、冗談だよ。ほら、口をあけて?」

今度はれいむの口にメントスを放り込む。

それから独り酒のつもりが思いのほかにぎやかな酒になったな、などと思いながら2匹にダイエットコーラを飲ませてやった。

「「ゆ~♪」」

口の中にメントスを貯めたまま、コーラを口に含んだ2匹は見た目は意地汚くて見苦しいが、非常にゆっくりしているように見えた。

確かにそう見えたのだが・・・

「「ぼぉ!?ぼぉぼぼぼおおおおおおぼぼっぼぼおおお!?」」

突然、2匹そろってコーラを噴水の如く吹き上げた。それも、ちょっとゆっくりの常識からは考えられないほどの勢いで。

「・・・・・・はあ、何なんだよ、これ?」

私はコーラまみれで呆然とするしかなかった。そして、傍らではコーラを吹き終えた2匹が再びエレエレしている。

テストも終わったので人通りは少ない。とはいえ、流石にあの噴水が人目を引いたらしく、人が集まってくる。

そうして、いつの何か出来上がっていた人だかりに気付いた私はスーパーの袋と2匹を抱えて、自宅へと逃げ帰った。

「っち、ここじゃゆっくり出来ないね!!」





「で、とっさに連れて帰ってきたけど・・・どうするよ、これ?」

現在独り暮らしをしているアパートに戻って、コーラまみれの体と衣服をどうにかするために風呂場に向かった私は、今になってここがペットの飼育禁止であることを思い出した。

いや、そもそも飼うつもりなんて微塵もないんだけど・・・どっちにしてもこいつら、どうしたものか?

「ねえ、おねーさん!れいむたちべとべとだからからだあらってね!」

「それからみんなでゆっくりしようね!」

なんと言う厚かましさ。だが、そこが良い。何だかくせになるのものがある。

そのゆっくりっぷりを見ていると「さっきのコーラ噴射のことをもう忘れてるのかよ」とか「何で途中でこいつらを捨てなかったんだ」とかそんな疑問は些細なことのように思えてくるよ。

「・・・まあ、何とかなるか?」

とりあえずさっさと服を脱いで、お湯をためながられいむとまりさを洗ってあげる。

「ゆ~、ゆ~♪」

「気持ち良いか?」

「ゆ!すっごくきもちいいよ!」

「そうかそうか。そりゃ良かった。でも、お前ら水苦手なんじゃなかったっけ?」

「ずっとつかってるとあぶないよ!でも、みずあびはすきだよ!」

浴場の床にあぐらをかいて、足の上にれいむを乗せた格好で、桶に溜めたぬるま湯でタオルを濡らして、丁寧にれいむの体を拭いてやる。

まりさはその傍らで、気持ちよさそうに目を細めるれいむをじっと見守っている。

「ゆゆっ!おねーさん!そのぬるぬるすごくきもちいいよ!」

当然といえば当然だが、こいつらにとってボディソープやシャンプー、リンスを使うのは初めての体験だろう。

そのあまりの気持ち良さにうっとりとしている。途中、シャンプーが目に入って絶叫していたのはご愛嬌か。

2匹を洗い終えてから、私自身の髪や体を洗い、それから2匹と1人で湯船につかる。

と言っても、れいむとまりさを湯の中に放り込むわけにはいかないので、れいむには風呂桶に入ってもらい、まりさは私が抱きかかえることにした。

外よりもずっと温かい風呂場でほっと一息をつく。

「おねーさん、すごくやわらかいね!」

生意気にも私の胸に頬ずりしながらそんなことを抜かすのは抱きかかえられているまりさ。

「・・・ん~、そうか?」

もっとも、そんなことを言われたところで自分では良く分からないのだが。

「うん、れいむのほっぺよりきもちいいよ!」

普通なら「パートナーに怒られるぞ」とか「ゆっくりと比べんじゃねえ」とか「もう、まりさってばえっちぃ」とでも反応するところなのだろうか。

しかし、私はれいむの頬の触り心地を思い出しながら、痴漢をする男の心境がなんとなく理解できるなぁ、なんてことを考えながら「そりゃ、どうも」と適当に返事しておいた。

それからまりさの頬をひっぱって、その柔らかさにしばし感動し、「愛でお兄さんはおっぱいフェチなんだろうか?」などとくだらないことを考えながら、風呂から上がった。

私が着替えのためにリビングに向かうと、先に体を拭いてやったれいむとまりさがソファの上でゆっくりしていた。

なんとなく枕にしたら気持ちよさそうだな、と思った時にはすでに2匹を枕にしていた。

そして、ちょっと昼寝のつもりが6時まで寝てしまった。れいむとまりさには「おもくてあんこがもれそうだったよ、ぷんぷん!」と怒られた。

それなら起こして言ってくれればよかったのに、と反論したら「おねーさんがぜんぜんおきなかったんだよ!」と更に怒られた。

でも、晩飯を一緒に食べようと提案したらあっさり許してくれた。流石は餡子脳だ、可愛いなぁ。

そんなわけで現在午後7時13分。テーブルの上にはしょうが焼きと味噌汁とほうれん草のおひたしと梅干の乗ったご飯、それかられいむとまりさのために作ったおにぎりが置かれていた。

私が手を合わせて「いただきます」と言うと、れいむ達もそれに倣う。

「「いただきま~す!」」

ちなみに、れいむ達のご飯は握りこぶし大のおにぎりが5つ。

右から焼きスルメおにぎり、塩辛おにぎり、たこわさおにぎり、カカオ99%チョコおにぎり、そしてジョロキアおにぎり。

具になりそうなものが無かったので、見ての通り、さっき酒のつまみに買ってきたものを入れてみたのだが・・・

「む~しゃむ~しゃ、しあわせ~!」

「うっめ、これめっちゃうめぇ!」

焼きスルメは好評。若干辛みがあるとは言え、子どもで平気で食べられるものだからさすがに大丈夫だったようだ。

「ゆ!かたい!かたいよ!」

「かみきれないよー!」

と、思ったんだが・・・どうやらゆっくりの歯ではスルメを噛み切れないらしい。

どれだけ貧弱なんだお前ら。

「むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」

「うっめ、これめっちゃうめぇ!」

次の塩辛おにぎりとたこわさおにぎりは意外に好評だった。

どうやら、ご飯がいい具合に辛さなどのゆっくりが苦手とする味に対する緩衝材になったらしい。

けれど、おいしそうにおにぎりを食べる二匹を見たとき、正直ちょっとだけつまらないなぁと思ってしまった。

虐待趣味は無いつもりだったんだけどなぁ・・・。

「れいむ、にんげんのごはんはおいしいね!」

「そうだね、まりさ!つぎのおにぎりもきっとおいしいよ!」

次のおにぎりはカカオ99%チョコレートおにぎり。人間だったらこの組み合わせを見ただけでしかめっ面をしそうな代物だ。

「むーしゃむーしゃ、しあわ・・・ゆぎゅううううううう!!」

「うっめ、これめっちゃうげえええええええええええええ!!」

やっぱり、このチョコレートの苦みはゆっくりにとっては毒にも等しいものらしい。

ご飯のおかげでさっきのようにエレエレすることはなかったが、テーブルの上を苦しそうに転げまわっている。

「おーい、大丈夫か~?」

「ゆべっ!だいじょうぶじゃないよ!どうしてにがいのいれるの!」

「ひどいんだぜ、おねーさん!まりさたちおこるぜ、ぷんぷん!」

もう何度目になるかもわからない怒りのアピール。このぷくぅと頬を膨らませる姿が可愛くて仕方ない。

「あはは、余ってたもんだから勿体無いと思って、ついね・・・ごめんな」


顔の高さで手を合わせて少し頭を下げるようなしぐさを交えつつ、素直に謝るとれいむ達はあっさりと許してくれた。

「ゆぅ・・・はんせいしてるならいいよ!」

「れいむ、さいごのいっこもたべちゃうんだぜ!」

「ゆ、そうだね!むーしゃむーしゃしあああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

「うっめ、これめっちゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

何だその絶叫?と突っ込んでやりたいところだが、この後エレエレするのは火を見るより明らかなので、その前に二匹の頭を掴んで、互いを正面から密着させる。

エレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレ・・・

エレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレ・・・

本日何度目になるかも覚えていないエレエレタイム。しかし、今回は2匹の口がぴったりとくっついているので、それが周りのものを汚すことはなかった。

「・・・エレエレエレエレ・・・むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」

「・・・エレエレエレエレ・・・うっめ、これめっちゃうめぇ!」

「エレエレしたものを、食うなっ!!」

気がついたときには電光石火の突っ込みでこピンを放っていた。





ゆっくりで遊ぶのに夢中になっていて、気がつけば日付が変わっていた。

そのことに気づいた私は思わず顔をしかめる。

「うわぁ・・・もうこんな時間か。さっさと寝よ」

明日は1限目から授業があり、それに夕方からはバイトもある。

だから今日は早めに寝て明日に備えるつもりだったのだが・・・新しいおもちゃの魔力は想像を絶するものだったのだ!

帰宅した時点ですでにお気に入りのピンクのストライプ柄のパジャマに着替えていた私は電気を消して、もそもそと布団にもぐりこむ。

が、私の枕元でれいむたちが泣きじゃくるので簡単に寝付けなかった。

「ゆううううう!くらいよおおお!こわいよおおお!!」

「おねーざん、あがるぐぢでえええええええええ!おばげがででぐるよー!!」

こいつらがやたらと怯えているのには理由がある。

その理由というのは8時ごろから観始めた『ゆ霊の盆踊り』という映画だ。

登場人物が全員ゆっくりで、その斬新過ぎる試みと、どうしようもない演技と、ホラーとは無縁のふざけた笑顔などさまざまな要素があいまって映画史に名を残した伝説の作品だ。

もちろん、映画関係者どころか、映画に関する知識なんてろくに持ち合わせていない一般人からも非難轟々。

そんなわけで、本来ならば映画館で上映されることすらありえなかったのだが、この作品には有名な美人女社長率いるゆっくりカンパニーという強力な後ろ盾があったため、無事上映にこぎつけたという。

聞くところによれば、この映画は「ペットのゆっくりと一緒に鑑賞できる」&「(良くしつけられた)ゆっくりの館内限定貸し出し」というサービスを行っていたらしい。

そして、私はその目的も効果も存分に味わう羽目になった。

「おばけさんこわいよおおおおおおお!!」

「あ、ありすこわいいいいいいいい!」

「で、でいぶがあああああああああ!!」

「おねーざんー、ごわいいいいいいい!!」

「「ごれじゃゆっぐぢでぎないよ!!」」

などなど、終始こんな調子で泣き叫びながら、私にすがり付いてくる。

そりゃ、この作品が上映される前のゆっくりの知名度が低かったころなら、この姿にだまされて飼いたくなる人もいただろうな。

以上が今までにも毎日のように接してきた宵闇をこの2匹が恐れる理由だ。要するにお化けが怖いらしい。

どうせ、ほっときゃそのうち寝るだろ。

そう判断した私は心頭滅却して2匹の泣き声を風の音か何かと思い込んで、とっとと寝ることにした。

「はいはい、おやすみ」

「「おねえざあああああああああああああああああああああああああん!ねぢゃいやあああああああああああ!!」」

そんな感じで、翌朝・・・

「「「「「「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」」」」」」

「・・・なに、このちょーてんかい?」

朝の日差しにたたき起こされた私の寝ぼけ眼に映ったのは産まれたてと思しきゆっくりの赤ん坊。

その数れいむ種3匹、まりさ種3匹の6匹。

「おねーさん!れいむのあかちゃんかわいいでしょ!」

「すごくゆっくりしたこだよ!これでおねーさんもゆっくりできるね!」

すまん、私にも・・・というか私でもわかるように説明してくれ。

「ゆゆっ!れいむたちね、よるすごくこわかったんだよ!」

ああ、怖がってるの無視して電気消して寝たからなぁ・・・・・・で?

「だからね、れいむとはなしてたらわかったんだぜ!おねーさんはゆっくりしたいからむしするんだって!」

まあ、睡眠ってのは人間の三大欲求なわけで、確かにその欲求を満たしたかったから無視して寝るという選択をゆっくり的に解釈すればそうなるだろう。

「それでね、おねーさんはゆっくりできればれいむたちをむししないんだよ!」

・・・なぜ決定事項なんだ?

「だからまりさたちのゆっくりしたあかちゃんをみせてあげることにしたんだぜ!」

つまり、そういう事らしい。

・・・・・・どういうことだよ。

「あぁ、やっぱりゆっくりの考えることはわからんわ・・・」

私はこのおちびもを捨てた場合の処理代やら、飼う場合の餌代やらを計算しながら頭を抱えることしかできなかった。


---あとがき?---
たまにはぬるいじめでも、と思って書いてみた結果がこれだよ!
どうでもいいことだけど、作中のおねーさんはドスなおっぱいの持ち主です。

byゆっくりボールマン






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最終更新:2008年09月14日 05:04
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