ゆっくりいじめ系1458 ちぇんと猫_後編



書きたかった事
  • とりあえず話を完結
  • 大きめのゆっくりって猫より強いかもね
  • 阿求の優しい暴行
  • サクちゃんは黒猫だったから新月の朔から命名されたよ
  • ちぇえええええん(*´∀`)
  • ちょっとくらい突然変異が特殊スキル持っててもいいじゃない
いまさらだけど注意
  • 前作ちぇんと猫.txt(fuku3438.txt)
  • オリキャラの猫が出てきます(といっても名前があるってだけですが)
  • 猫が賢いよ
  • 阿求が出てきます


夏も終わりを告げうろこ雲が空を覆う頃黒猫と三匹は集落近くの森に頻繁に出入りしていた。
突然変異の三匹達も阿求の手厚い世話のおかげかすっかり成体サイズになり、
サクに引けを取らない程の跳躍や走りをみせていた。
帽子もなく風貌も他のゆっくりちぇんと異なる、その上猫の速さで跳ねていく三匹に
他のゆっくり達は「ゆっ!」と反応できるだけでゆっくりできてないとゆっくり文句を
言う事は叶わなかった。

猫ちぇん達は自分の母親の最期の場所に何度も訪れた。
見上げれば周りの木々の枝は不自然に折れているし、焦げ跡もある。
この場所の近くにはゆっくり達がまったくいないからとても落ち着けた。
ここに来ては兄弟やサクと遊んだり、クヌギに集まる虫を食べたりしてゆっくりした。
そして帰る時間になるギリギリまで空を見上げながら三匹で語り合うのだ。

サクは多くは語らないがサクから授乳された猫ちぇん達は彼女の記憶も受け継いでいた。
はっきりした記憶ではない。きっと彼女が生まれたばかりだからだ。
ゆっくりの群れに囲まれたサクの兄弟や母親は絶体絶命の状況だった。
睨み合いの均衡を破ったのはサクの母親で、一番前にいたゆっくりまりさに飛びかかっていく。
そこまでの記憶しかわからない。でもはっきりとした記憶だった。

「きっとちぇんたちとおなじなんだねーわかるよー」全身真っ黒の猫ちぇんは空に呟く。
二月くらいの間に兄弟達にくらべて随分毛が伸びて、邪魔にならないように阿求に結ってもらっている。
「ままはきっとさがしてるんだにゃー」「ちぇんたちもかたきをさがすにゃー」
皆同じ気持ちでいた。育ての親の、そして自分の親の二匹の敵ゆっくりを探し出す。
無論見つければこの手で殺めることも覚悟し、その気持ちを深めていった。
そして『帰ルヨー』とサクが三匹を呼ぶ声に飛び起きるまで遊んで、四匹はいつも仲良く帰宅するのだ。

夜は猫達の時間だ。
稗田家の庭では頻繁に猫の集会が開かれる。この集まりに猫ちぇん達もよく参加する。
いつもは家族の話や季節の話、面白い出来事の報告に終始する会合も、
秋めいてきた日の晩は参加者の間に張りつめた空気が支配していた。
議題はずばりゆっくりの群れの集落への接近とそれらの撃退についてであった。

ゆっくりたちは普段一家族や小さな群れで生活していて、その場合何の害もない。
しかし巨大な群れになればなるほど人間だけでなく、そのほかの動物にも多大な影響を及ぼすのだ。
無論稗田家の猫達も例外でない。大きい群れのゆっくり達は態度を増長させ攻撃をしかけてくるからだ。
人間にはダメージの無い体当たりでも猫には充分被害がでる。

あちこちで好き勝手に話し合っているところに一匹の猫の声が響く。
『ヒトマズコノ子ト偵察ヲスルヨ』とサクが猫目ちぇんと前へ出る。
新月が近い夜には森は闇に包まれる。すると黒猫のサクと暗闇でも目が利く猫目ちぇんは活躍できるわけだ。
『他ノ者達ハ己ノ身ヲ守ル方法ト、奴ラノ撃退方法ニツイテ話シ合オウ』
猫のリーダーの元で残った猫とちぇん達の会議が再開された。

夜が明ければまた穏やかな朝がやってくる。
昼には縁側で数匹の猫と一緒にちぇん達もゆっくり日向ぼっこしている。
ここは主人の天国だ。猫一匹一匹を撫でては体に顔をうずめる。
猫の毛の柔らかさ、なめらかさ、そして暖かさは阿求をヘブン状態にさせる。
並んでいる順番通りにきて次は猫ちぇん達の番だ。
猫達の睡眠を邪魔するのは気が引けるがちぇん達は別だ、一応ゆっくりだから。
ちぇんを持ち上げて正座した太ももの上に乗せて撫でる。この重さがたまらない。
「ごろごろごろごろにゃー」
「喉が無いからって発音するのはどうなのかしらね」とつっこむんでみるものの
「しあわせなんだにゃー。ごしゅじんもしあわせなんだね、わかるにゃー」
とあっさり流される。垂れ耳ちぇんはおっとりした子だ。一番猫っぽいのかもしれない。
尻尾の根本から先まで絞るようにすると、ぞわぞわと髪の毛が逆立つのがかわいい。

そっと髪を撫でているうちちぇんは「ゆっ…ゆっ…」と寝息を立てはじめる。
普段は見せないゆっくりらしい台詞や行動は無意識に自分が抑制させているのかと思うと阿求は申し訳なく思う。
これもそれも全ては悪いゆっくり達のせいだ。
やはり悪い素性に進化したゆっくりは滅ぼさなくてはならない。

知らず知らずのうちに出していた殺気に驚いてちぇんが目覚める。
「ごしゅじんなんでおこってるのー。わからないにゃー」
「ごめんね、あなた達のせいじゃないのにね」
頭にハテナマークを浮かべているちぇんを膝から降ろし、ゆっくりしてねと言い縁側から立ち去った。



それから数週間経ったとても静かな晩の事、
「今晩決行します」『今晩対決スルゾ』
人間側、猫側が別々の場所でしかし同時にゆっくりへの攻撃を開始する事を宣言する。
猫側は昼間は草陰からゆっくりの会話を盗み聞き、夜は不自然な群れの発見を急いだ。
そして昨晩ついに決定的なものを発見した。ドスまりさだ。
村に近づきつつあるゆっくりの群れ、中規模の群れの消滅、小規模の群れの恐れ……。
今それらがすべて繋がったためだ。
これらの事象の中心にいたのは一匹のドスまりさだった。
村から離れた場所に存在したゆっくりの中規模の群れはどすまりさ率いる群れに襲われたようだった。
毎回夜に襲撃することでゆっくり達の巣に集中すれば、
一匹たりとも逃がすことなくその群れを壊滅でき餌も大量に確保できた。
逃がさなければ他の群れに知られる事はなく、次々と近くの群れも陥落させることができた。
それがこのドスまりさのやり方だった。そしてどうやらこのドスまりさが猫ちぇんの親を殺した当事者であるようだった。
これ以上の凶行を止めなければならない。
今やドスまりさは襲うべきゆっくりの群れはなしと判断し、この集落に近づいてきているようなのだ。

『……トココマデガ今回ノ作戦内容ダ。最モ危険ナ役目ヲチェン達ニ負ワセルノハ
 心苦シイガ』と猫達のリーダーが猫ちぇん達に頭を下げる。
昨晩探索に行ったサクと猫目ちぇんはドスまりさの居場所を突き詰めた。
しかしドスまりさを可視することができたのはドスの能力によりちぇんだけだったのだ。「わかるよー。ちぇんたちでおかあさんのかたきをうつよー」もはやちぇん達に迷いはなかった。
『調査ノ段階カラ協力シテモラッテイタカラ済マナイト思ッテイル。ソノ分我々モ最大限ノサポートヲ約束シヨウ』
猫ちぇん達は頷いて、鼻と鼻、頬と頬を擦り合わせて誓いの印とした。

ついに今夜、戦いの火蓋は切られた。



その頃村に向かうドスまりさを中心とした群れは高揚していた。
ドスまりさがこれまで味わった事のない質と量の食べ物をゆっくり達に約束したからだ。
ゆっくり達はもはや人間の集落は落ちたも同然だと確信していた。それはこのドスまりさの武勇伝からきていた。
ドスまりさの左目は縦に走る痛々しい三本の傷跡と共に失明している。
これは食物ピラミッド最上段の存在である熊との格闘で出来た物だと本人は語っていた。
人間よりも強い野生の熊を倒したとなるとゆっくりの餡子脳もドスまりさの凄さを納得し、
尊敬し、頼れば安泰の道があるとすっかり理解できた。

ドスまりさ達が群れ全体をゆったり包める森の広場に差し掛かったとき集団の動きが止まる。
「きゅうに止まってどうしたんだぜ」とドスまりさが先頭のゆっくりに問う。
「ゆっ!ゆっくりできてないちぇんがたちふさいでるの」
ドスまりさが群れの中央からよく見てみると三匹の帽子のない、しかも自分が嫌いなゆっくりちぇんがいることに気が付いた。
「どすまりささまにびびって動けなくなったのか。ともかくゆっくりできない奴は死ね」
そう言うが早いか先頭集団の子ゆっくり達がゆっくりちぇん達に襲いかかる。

黒髪ちぇんは今日の為に阿求にお願いしてもらった事がある。
髪の毛を結うときに笄のような小さい模造刀で結って欲しいと。
阿求の猫ちぇん達への思いからかあっさりと願いは叶えられた。
長さは人間の大人が手のひらを広げたくらい、切れ味は良くないが饅頭くらいなら切り捨てられる代物だ。
並ぶ三匹の左右にいた猫目ちぇんと垂れ耳ちぇんは黒髪ちぇんのかんざしから刀を抜き取り、
黒髪ちぇんは髪をほどいて尻尾で残った鞘を掴んだ。
「いっぴきものこさないにゃー」「かくごするんだよー」「わかったにゃー」

一番先頭にいたゆっくりまりさは功を急いていた。こいつらを倒せばドスに認めて貰えると。
近くにきて改めてちぇん達の風貌の異様さにたじろいだが後には引けない。
「ゆがぁぁああ、じねぇぇぇ」と向かって左にいた垂れ耳ちぇんに飛びかかった。
しかし飛びかかったのがまずかった。
垂れ耳ちぇんはまりさの下をくぐるように刀を振り落とし、まりさは縦に一刀両断され叫び声も上げぬまま絶命した。
刀と猫ちぇんの速さが相まって、今や模造刀は真剣の切れ味なのだ。
痛みの声が聞こえないものだから後続は恐怖もなくヘラヘラとした顔で体当たりしてきた。

突っ込んでくるゆっくり達に向かって刀をくわえたちぇん達が横回転をしながら跳ねる。
刀で真っ二つにし、尻尾で上半分をはたく。それは次から次へと流れ作業で繰り返された。
体を二つに分けられたゆっくりは「ゆ゛っ」「ぐげっ」など言葉にならない声を出すしかなかった。
そして先頭集団最後の一匹がようやく異変に気が付いた。
「どぼじでみんな゛うごがないの゛ぉぉぉ」状況が呑み込めず涙を流すほかない。
自分たちはゆっくりしているのに、自分たちは人間に勝てるのに、自分たちは正しいのに。
ゆっくりちぇんごときに何故この状態になっているのか分からずに泣くしかないのだ。
「わかるよー。それがぜつぼうだねー。いまらくにしてあげるよー」そういうと黒髪ちぇんは前転しながら二本の鞘を叩き付けた。



一瞬の出来事に群れ全体がざわついた。
自分たちの仲間がたくさん死んだ。しかし何故死んだのかは見えなかった。
あのゆっくりできてないちぇんがやったのか? わからない。
自分もあんなになるのか? それはいやだ。ゆっくりできなくなる。
不安や恐怖が群れを襲い集団は瓦解寸前だ。
「おまえらとくべつどすまりささまが相手になってやるぜ」
その一声で群れに活気が戻った。
そうだドスまりさがいる。あの強いドスまりさがいる。ドスまりさ来た!これでかつる!
烏合の衆だったゆっくり達がまた一気にちぇん達に殺気を向ける。

そして群れが左右に避けてドスまりさまでの道を作った。
三匹は他のゆっくりに警戒しながらドスまりさに近づく。ドスまりさの前まで来ると来た道が塞がっていくのがわかった。
「おまえら、死んだゆっくりのぶんまでここでゆっくりさせてやるぜ」

しかし三匹はドスまりさにまったく聞く耳を持ってなかった。それどころかわざわざ聞こえるように
「さくせんどおりにいくにゃー」「わかるよー」「どすはむしだにゃー」と言ってのけた。
こうなるとドスまりさの怒りが有頂天である。
「ゆ゛るさんんんんんん」と言いながら一気に三匹をつぶしにかかるという先程の発言の逆を行く行動を取り始める。
ドスまりさのタックルは並のゆっくりではちぇん種でさえ避ける事はできないだろう。
しかし三匹はいとも簡単に擦り抜け、さらに切り傷を入れていく。
ゆっくりしてるにゃー」「ふとりすぎだにゃー」「ゆっくりしたけっかがこれだよ!」
「うがあぁぁぁああ」これまでこんなにも貶されたことのないドスまりさのプライドはずたずたに切り裂かれた。
こうなればあとは三匹が計画通りことを進めるだけだ。
ドスまりさを避けつつ周りを囲むゆっくり達の内周を斬りつけ叩きつぶすことが三匹の役割だ。
そしてあっという間にドスまりさの群れは地獄に落とされる。

「おがぁああざぁあん」
「ゆっぐりじだがったよ…」
「な゛に゛をずるのおおお!?」
「やめるんだぜ、まりさはわるくないんだぜ。わるいのはれいむだぜ」
「どほじでぞんだこどいうのぉぉぉおお」
「でいぶのおべべがあああああ」
「ぜんぜんどがいてぎじゃないぃぃぃぃ」
「い゛だい…い゛だい…」
「む゛ぎゅぅ……」
悲鳴と裏切りと混乱はあっという間に群れに拡がり、外周にいるゆっくり達が次第に森へと逃げていった。



森に逃げ切った群れのゆっくり達は一様に安心しきっていた。
「あんなところじゃゆっくりできなくなぐべっ」
「ここまでにげればだいじょうぶがっ」
しかしそこには別の地獄が待っていた。森の中には無数のハンターがいたのだ。
猫。猫。猫。
そうここは阿求の猫達の狩り場になっていた。
爪で引き裂かれ。牙で千切られ。脚で踏みつけられ。
森に入ったゆっくり達は無惨にも餡を吹き出しながら死んでいった。
今晩この広場周辺にはゆっくりできる場所など存在しないのだ。
そう時間もかけないうちにこの場所は黒い塊で埋め尽くされた。



半刻経った頃だろうか何度もタックルを避けられ、致命傷にならないものの
体に傷をつけられてドスまりさは疲労とともに冷静になり始めた。
このままではあんな下等な存在に敗北してしまう。
そう感じてかついに切り札のドスパークを使用した。
三匹に狙いを定めもせず自分の群れのゆっくりに当てぬよう中空に放った。
「「うおっまぶしっ!!」」
群れのゆっくりはそう叫び、猫ちぇん達も急に太陽が目の前に現れた状態に陥った。
ドスまりさの目的はそこにあった。つまり光線で焼きつくすことではなく光で目眩ましをさせることだ。
この方法で幾度も修羅場をくぐり抜けた。また相手が目が眩んでる間に押しつぶすこともできた。
これでようやく一匹を潰す事ができると目を瞑ってしまっている垂れ耳ちぇんに飛びかかった。
超重量とともに空から落ちてきたドスまりさにより森全体に振動と轟音が伝わる。
「ゆへへへへ、まずはいっぴきしんだぜ。どすまりささまにかかればこれくらいちょろいんだぜ」
目が血走った必死の形相で既に勝ち誇った様子でいる。しかしそれも一瞬のことだった。
「ねこだましだったにゃー」「おお、のろまのろま」「いしころのほうがいたいにゃ」

「な゛ぜ…だぜ……」ドスまりさが振り向くと離れた場所で三匹が擦り傷を負いながらもぴんぴんしている。
垂れ耳ちぇんが助かったのは猫目ちぇんのおかげだった。
猫目ちゃんはその瞳の能力にサクとの偵察中に気が付いた。
自分の意思で瞬時に瞳孔を開け閉めできる程度の能力だった。
ドスパークも瞳孔を閉めてしまうことで目も眩まず、
垂れ耳ちぇんを突き飛ばして圧死の危機から救った。
むしろ脅威だったのは着地の衝撃で飛んできた小石の弾丸のほうだったのだ。
おかげで内周に居た生き残りのゆっくり達もかなりの被害がでてしまった。

ドスまりさにとってもはや目の前の三匹は理解の範囲を超えた存在となった。
こうなれば三匹から感じるのは恐怖でしかない。
ゆっくりにとってゆっくりできなくことは死であり、ゆっくりできなくさせてくる存在は恐怖だからだ。
「あっ…」久しぶりに感じる恐怖。
「ごぶっ…」左目を失ったあの時以来の恐怖。
「お゛え゛ぇぇぇ」忘れていた恐怖に嘔吐する。
精神破壊を防ぐためドスまりさは拒絶反応のように嘔吐しはじめる。
それでも心の崩壊は止まらない。

ついに壊れる直前にドスまりさは叫んだ。
声にならない声で、天地を裂くようなエネルギーで。

猫ちぇん達はこの攻撃はまったく予想だにしてなかった。
あまりの音量音圧に他のゆっくりともども身動きが取れなくなった。
そこに白目をむき完全に意識を失ったドスまりさから二発目のドスパークが放たれる。
今度は完全にこちらを向き仲間を巻き込む形で魔砲は放たれた。






どれくらいの時間が経ったろう。
ドスまりさはゆっくり目が覚めた。
本人に叫んだときの記憶はないが、顎の痛みと伸びきって戻らない舌でうっすら理解した。
目の前いたはずの忌々しいゆっくりちぇんの姿はなく、先の森には一本の道が出来ていた。
木と仲間の焼けこげた匂いが香り、残った群れのゆっくり達から非難の声が聞こえてくる。
今は群れの事などどうでも良かった。自分はまた生き延びたのだ。それだけで良かった。
目を瞑りひとときの休息をえる事にする。これからのことはあとでゆっくり考えよう。



「あらドスまりささん、うちのペットがどうもお世話になったようで」
そのゆっくりタイムに割り込むように人間の声がする。
面倒ながらもゆっくり目を開けていく。そこには緑橙赤を基調としたモダンスタイルな袴を着た少女。そしてその手には
「っ……!?」
あの三匹が傷を増やしてはいるがまだ元気な様子で抱かれている。

「ふふふ、今日は少しあなたにお礼を差し上げようかと思います」
そういうが早いかゆっくりを空中に放り投げ、どこからともなく出した杭と槌で
ドスまりさの舌と地面とを固定した。意識も戻りかけのため満足な悲鳴も出ない。
「貴方、舌を出していては茸の魔術も大声も出せないんじゃなくて?」
ドスまりさは気が付かされた。確かにこのままでは何もすることができないのだ。
あせるドスまりさをよそに少女は周りを見渡しながら呟いた。
「しかしよくもまあ不細工なゆっくりどもばかり仲間にしたんですね」
そう挑発して少女はドスまりさを見るも、ドスまりさの視点は背後のペットのほうを見て固まっている。
少女の後ろでは空中を回転して見事に着地した猫ちぇん達、そして稗田家の猫たちが近づいてきている。

「あれ? もしかしてあなた"猫"嫌いですか?」

少女の言葉に動揺しぎくっとしたのがばれなかっただろうかとドスまりさは思ったが、
こんな大きい体で気が付かない訳がない。少女は子悪魔のような表情で耳打ちをする。
「聞いてくださいな。私、一度試したかったことがあるんです。この世には山羊に足の裏を舐めさせる拷問がありましてね。猫でもやってみたいんです。
 猫の舌はですね。骨に付いた肉をそぎ落とすようにトゲトゲになってるのよ。ということはどうなるか、あなたならゆっくりわかりますよね」
そして彼女は振り返り猫達に指令する。
「薄く皮を残し、すべて舐めて差し上げなさい。眼球もその対象です。手加減は無用です ので村人が来るまでの間に作業を完了してください」
光る眼と共に猫たちは飛びかかり、サクからの遺伝を引き継いだ猫ちぇん達ももちろん参加した。


エピローグ
「それにしてもあのときはしぬかとおもったよー」と髪を櫛ですいてもらいながら黒髪ちぇんが横のちぇんに言う。
「耳を閉じると音が聞こえなくなったにゃー」と垂れ耳ちぇんが返す。
垂れ耳ちぇんの耳は周りの音を消す程度の能力だった。まさかの騒霊キラーの誕生である。
ともかく音を遮断出来たおかげで自由に行動ができ、二人を森に放り投げて自分も無事ドスパークの射程範囲から離脱したわけだ。
猫目ちぇんは猫達に囲まれた猫団子状態でゆっくり夢の中にいる。
「わかるよー、あのばしょはあたたかいよりあついんだよー」
「まわりのねこさんがきもちいいにゃ」
二匹の猫ちぇんのゆっくりした会話を聞いて阿求から笑みがこぼれる。

黒髪ちぇんの髪も結い終わった頃、垂れ耳ちぇんはお腹というか足を上にしてゆっくりしすぎな格好で眠っていた。
阿求はまだ起きていたちぇんに向かって一つ提案をする。
「今度のドスまりさの群れの討伐は、ひとえにあなたたちの活躍があったからよ。それで何か私からプレゼントしたいのだけど何か欲しいものはない?」
しばらく考えたあと猫ちぇんは答えた。
「うーん、わからないよー。ここに居られるだけでじゅうぶんゆっくりできてるよー、ごしゅじんさまもゆっくりしようねー」
「うん、ゆっくりしましょうね」

                   終



あとがき
とりあえず話を完結させてみた。
ちぇえええええん(*´∀`)な気分を味わって貰えれば幸いです。
虐待分が少ないのはまだまだ手ぬるいせいです。
妄想を文章にする程度の能力ほしいよ!!
垂れ耳ちぇんの能力がどこかの月精と同じだって?なんのことかな(゚3゚)~♪
前作で感想くれた方ありがとう~!!






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最終更新:2022年01月31日 03:36
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