ゆっくりいじめ系1134 【おろし金】

※【蟻地獄】のお兄さんです。



【おろし金】



「…」
久々に部屋が荒らされていた。
この仕事を初めて以来、荒らされたことは1度もなかったのだが。
数少ない家具は倒され傷付けられ、床一面に広がる食い散らかし。
そしてその中央で堂々と居座る、ゆっくり。


「ゆっ!ここはれいむのゆっくりプレイスだよ!」
「おにーしゃんはでていってね!」
「あとたべものをおいてってね!」
「…」ため息。こいつらは素晴らしく現状把握能力に欠けている。
この部屋を荒らすゆっくりがまだいたなんて。


ゆっくりをゆっくりさせない、《ハコ》の家を襲撃するなんて。


ゆっくりの駆除と野菜の売買を生業とし始めた頃から、
この部屋には禍々しい《ハコ》が増えていった。
まだ透明板が透き通っているものから、餡子で黒ずんでしまったものまで。
まさに部屋を埋め尽くす《ハコ》に、臆せずつっこんでいくなんて。
いい度胸だ。その心、ぜひへし折りたい。


「ゆー?」
無言でゆっくりたちに近づき、子供達から順に捕獲用の《ハコ》に入れていく。
襲撃したのはれいむ種の家族、親1匹に子7匹。子は小さく、生まれたてだろう。
よくわかってないうちのれいむ種は扱いやすくて助かる。
「おしょらをとんでるよ!」
「ゆっ!こどもをかえしてね!」
「…」
会話はいらない。話が通じるとわかるとつけあがる。
また一匹、また一匹と回収し、最後に親れいむも籠に詰める。
「ゆっくりだしてね!おうちかえる!」
ゆっくりぷれいすはここじゃなかったのかよ。餡子脳。


今回の《ハコ》は非常に大掛かりだ。この《ハコ》のために家を改装した。
家の床が、一面透明板張りになっている。見えなければ意味がない。
縁の下は角を埋めて円柱状に、出入り口は1箇所床に準備した蓋だけである。
高さは縁の下同等、多少の高さはあるがゆっくりが飛び跳ねることは出来ない。
その円柱を仕切る4つの板。部屋の広さも相成り、一度に多くの虐待が可能。

(地図記号の交番をイメージしてください。)

そして、床一面のおろし金。

ゆっくりは主に這って移動する。
なら這えないようにすればいい。
あとは想像通りだ。
その想像通りを眺めるために「虐待を始めよう」


「ゆ”っ」
蓋を開け、4部屋の1室にすべてのゆっくりを入れる。
乱暴に入れたせいか、子れいむ達がちょっと動かない。まぁ大丈夫だ。
4部屋にしたのは虐待しつつ効率を上げるためだが、今回はこれでいい。
まずは歯車を入れず、様子見といこう。


「みんなだいじょうぶ!?ゆっくりしていってね!」
「「「ゆっくりしていってね!」」」
突然のことで何が起きたか分かってないが、とりあえず子供の安全を確認する。
足元の感覚に気づいてないわけではないだろう。
「ゆ”ぅ”っ!」
好奇心旺盛な子れいむが動き出し、改めて気づく。
床一面に、細かい棘がびっしりと敷き詰められていることに。
「い”だい”っ!」
親れいむも、ここがどうなってるのか把握したようだ。
「みんなゆっくりきいてね!」
「「「ゆー!」」」
「ここはじめんがあぶないよ!けがしないようにゆっくりしてね!」
「「「ゆっくりー!」」」
親れいむはそれ以来、ケガを恐れてあまり動かないように、
子れいむ達は小さく跳ねて移動するようになった。
そうか、子供じゃ跳ねるのが出来るのか。これも考え物だな。


「おにーさん!ここからだしてね!ゆっくりできないよ!」
足元からゆっくりの声。聞こえているがもちろん華麗にスルー。
今回の《ハコ》は、日常に虐待を取り込んだ傑作だと自分では思っている。
だがお楽しみはこれからだ。これだけでは普通に生きてしまう。

歯車を、はめる。

だいぶ緩慢だが、ゆっくりを囲う壁が動き出す。
「ゆ”っ!?」
ザリザリと音を立てながら、確かな質量を持ってゆっくりに迫る壁。
壁自体はなんということもない。後ろの壁が迫ると同時に前の壁は遠ざかる。
そう、強制移動だ。
じっとされてはおろし金の床も意味を成さない。否応にでも動いてもらわねば。
これなら動かざるを得ないし、仮にじっとしていても壁に押されておろされる。
さぁ、頑張って生き延びてもらおうか。


「おかーしゃん!かべがうごいてるよ!」
「ゆっくりしてるよ!」
「ゆっくりしていってね!」
ことを理解してない子ゆっくり達。壁のゆっくりっぷりに感動している。
だが母れいむは、こと数秒で理解した。
「!ここじゃゆっくりできないよ!みんなきをつけてね!」
「「「ゆー?」」」
確かに棘はちょっと痛いが、跳ねてる分には我慢できる程度である。
だが今我慢できても、以降我慢できるだろうか。
まぁどうにもならないんだろうけどな。


やがて壁がゆっくりに追いついた。
子ゆっくり達はぴょんぴょんと壁から逃げる。
親れいむはできるだけ、それこそ壁に触れるまで動こうとしない。
だが壁はそれを許さない。動け動けと急かすように背中を押す。
「ゆ”うっ…ゆ”っ…」
仕方がなく動き出す親れいむ。天井は親には低く、跳ねることはできない。
必然、這うことになる。
「ゆぐっ…」
子供を不安にさせまいと、必死に苦痛をかみ殺しているようだ。
いつまでもつことやら。


「ゆ!いいことかんがえたよ!」
「ゆっくりおしえてね!」
「こうすればあんまりいたくないよ!ゆっくりできるね!」
なんと子れいむの1匹が、転がって移動を始めた。
それが痛くないことだとわかると、子れいむ達がみなコロコロと動き始めた。
「すごいね!ゆっくりできるね!」
「ゆっくりしていってね!」
親れいむも、転がって移動し始めた。

(ヨコ●マタイヤをイメージしてください)

「なん…だと…」
ダメだ、これは想定外。想定外すぎる。
削られることもなく、刺さることもなく、生き延びてしまう。
ダメだ、ダメ!もう悠長に朽ちるのを待ってられん。
こちらから能動的に、徹底的に、虐待する。
歯車を取り外し、もうひとつの、黒い歯車に入れ替える。
子ゆっくりを感動させた壁が、激しく吼える。
「ゆ”っ!?」
ものすごい勢いで回転を始める壁。
もう一時だってゆっくりなんてさせるものか。
「かべがこっちくるよ!!」
「ゆっくりできないよおおぉぉ!!」
傷を気にせず逃げ惑うゆっくり達。だがそれ以上に速い壁。
転がろうとも逃げ切れず、迫り来る死の予感。
やがて壁に追いつかれ、終焉の縁へと、押される。


「ゆ”う”う”う”う”ぅぅぅぅ!!!!」
「ゆ”ぎゃあ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁ!!!」
動きの遅い子、小さい子から壁に押され、床におろされる。
足として機能する部分を傷つけられ、より動くことが困難になる。
やがて底面だけでなく、全面転がりながら摩り下ろされるようになる。
そうなればもう声すら上がらない。
皮を削られ、身を削られ、ひたすら餡子の塊になるだけだ。
壁際にはすでに餡子玉が2,3あるのだが、パニックの家族はそれに気づけない。
動けば動くほどに動けなくなる、その感覚はどんなものなんだろうか。


「…しまった」


気づけば、親れいむだけになっていた。
子れいむの姿はない。代わりに、円の外側に塗りつけられたような餡子。
そして親れいむも悲鳴をあげなくなっている。
すっかり激情してしまって、この光景をゆっくり眺めることができなかった。
ただ足元では、大きな餡子の塊が壁に押されているだけである。
なんとも滑稽。自ら滅ぶ姿を見たかったのに、手を下してしまった。
まんじゅうごときにかっかする自分が情けない。
もっと冷酷に、もっと静かに確実に、ゆっくりをゆっくりさせないための


「…いい《ハコ》を、作らねば」





【あとがき】
おひさしぶりですタカアキです。
ハコネタがいくつかあるんだけど、書く時間とストーリー性に欠ける。
しばらくはハコモノを書きますよ。

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最終更新:2008年12月14日 19:28
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