※特徴的な虐待お姉さんが出ます
「アハッ、意外にがんばるのね」
池には小さな舟が浮かべられており、そこには10匹もの
ゆっくりれいむが乗っていた。
いた。というのはそれが1ヶ月も前の話で今はそのれいむもわずか2匹にまで数を減らしている。
困惑して池に落ちたのはたった1匹。あとは全て共食いで死んだ。
生き残ったゆっくりれいむは2匹、舟の端と端におり、互いを睨み合っている。
「あらあら、ついこの間まで仲の良い姉妹だったのに」
池の岸では花柄の着物を着た少女と泣きじゃくるゆっくりれいむが一匹。
真冬というのに玉砂利の上に、革草履を履いている少女はともかく、ゆっくりれいむは寒くないのだろうか、
「お前の娘たちもそろそろ死ぬのかしら、楽しいわね。命の炎が消えるとでも言うのかしら、ふふっ」
舟の端にいる2匹のゆっくりれいむはどちらも痩せこけ、髪もボサボサになっており、内1匹はもうリボンがとれかかっている。
「おい」
少女は革草履を履いた足で傍にいるゆっくりれいむを小突く。
「しっかり見て。私を満たす為にお前は生きていられるのだから」
狂い花というのは少女の事でしたが、本名なわけがありません。
ただ、真冬に生まれた花のように愛らしい少女を周りが皮肉ってつけた愛称です。
名家の当主が入れ込んでいた白痴の女に産ませた娘で、正妻とその娘達には酷く疎まれておりました。
その子自身も当主から親子以上の男と女の関係を強制されておりましたが、
世間体にその事が漏れるのを嫌った正妻に別に屋敷を与えられ、そこでひっそりと暮らしておりました。
幼くして母親とも死別し、この境遇、この娘の奇怪な性格もそれが由縁なのだろうと、周りは少しばかり同情をいたしましたが、
長い髪をゆらゆら揺らし、少女は笑います。
「ああ、愉快愉快。早く死なぬかの?楽しみで仕方ない」
狂い花はその名の通り狂っている。ゆっくりをアレコレ工夫を凝らし殺す少女の姿に。
周りの同情はさっと掌を返したようになります。しかし、それはまたさっと表返りります。
正妻とその長女が相次いで病死なされたのです。残るは次女と三女、そして、この狂い花と呼ばれる少女だけです。
残念ながらこの家に今だ男の子は生まれておりませんし、体の弱い次女や生まれて間もない三女に比べれば、
側室の娘であってもこの少女の方がもしかすると、なんて事もありましたから、今の内に取り入ろうなんて輩も増えてきます。
正妻がお亡くなりになったのであれば、当主が少女を抱くのを誰も止めはできません。
しかし、世話をする者にとっては苦痛ばかり、ある侍女が少女の部屋を掃除に参った時など、
天井の梁に首吊りをさせられた胴付きのゆっくりれみりゃがずらりと並べられておりまして、
顔を赤黒くパンパンに腫らしているのにも関わらず、少女は笑いながら無造作に相手を選んでは大きな鋏で肢体をちょん切るのであります。
れみりゃはもう悲鳴もあげれないのか、うぐぅ、うぎぃなどと何か音は出すのですが、意味のある言葉は喋れません。
「お前もやるか?切り取った瞬間ビクンと動くのが面白いぞ、ほら」
そう言って侍女に見せ付けるようにれみりゃの腕を切り取ります。れみりゃは痛いのか赤黒く腫れた顔をもっとパンパンにして、
足をバタバタとさせます。それのどこがおかしいのか少女はケラケラと笑います。
少女の“遊び”はそれだけで済みません。
ある時は火薬でゆっくりの巣を吹き飛ばした事もありました。
火薬の量をわざと少量にして、そこが自分たちの住処だったと分かるようにして、
変わり果てた巣、吹き飛んで顔の半分がなくなってしまったお留守番をしていた赤ちゃんれいむ、
赤ちゃんれいむのもう半分を必死に探す母れいむを見ている様など、
壊れたかと思うほどの形相で。酷い悪口を言いながら笑っておられました。
「お前も私と出会わなければ仲良く森で暮らせただろうにね。ふふっ」
しゃがんだ少女はさっき小突いたゆっくりれいむの頭を優しく撫でる。
「お母様があの男と出会わなければ、幸せに暮らせたのにね。だから私、幸せな家族って大嫌い」
れいむには言われていることの意味が分からない。
れいむに分かるのは今、自分の娘たちが自分の手の届かない場所で憎しみあって今にも死にそうな事だけ、
「人間の都合なんて知らないわよね。私もよ。ゆっくりの都合なんて知らない」
しばらくすると、端にいた1匹が異変に気付く、自分が睨みつけていた相手が一向に動かない。
今まで大きな動きこそ無かったが、にじり寄ったり下がったり、そういう駆け引きはあった。
しかし、今は全く微動だにしないのだ。油断を誘っているのかと、れいむは少し相手に近づいてみる。
動かない。もう一歩進む。動かない。
もうれいむは言葉なんて失っているから間抜けに「そろーり」なんて言わない。
言った奴を殺して食ってきたからだ。そのためストレスが溜まっているのだろう。
相手がリボンが取れかけているのに対し、このれいむは見事な10円ハゲがある。
一歩、二歩とどんどんと間合いをつめていく。
母親である池の岸にいるゆっくりれいむはまた殺生が行われるのだと気付いて、大声で辞めるように呼びかける。
「やめてね、しまいであらそうのはやめてね、おかーさんとゆっくりしようね!!」
この声で戦意を喪失して殺された姉妹もいる。そんな声などここにいる限りは意味がない。
ここから飛びつけば、確実に相手の目を潰せる所まで来た。そして、れいむは動かない相手に一気に飛び掛る。
右目に噛み付き、噛み千切る。次は左目、そして少し距離を取る。視力を失って闇雲に暴れる姉妹もいたからだ。
それの体当たりで一度、命を落とし掛けたこともある。
動かないことを確認すると、次に攻撃の手段である口を食い千切っていく。
「やめでぇ!!しまいなんだよぉ!!」
岸にいる母れいむの事など気にもとめず一心不乱に食い続ける。
母れいむも自分の姉妹を食う娘に気を取られている。舟の上のれいむが1匹になった、その時。
「ゆぎゃぁ!!」
1本の矢がれいむの眉間を貫く。
「はい、お終い」
満足そうに、自慢げに。少女は母れいむに語りかける。
「どう?餓死もいいと思ったけど、すぐに死んで欲しかったの」
母れいむはもう抗議する気力すら湧いてこない。
「まだ好きなだけ、眺めていていいわ。ふふふっ」
「あんな事して、・・・」
侍女は言い難そうに少女に話す。
「おかしい?気晴らしよ。ふふふっ、あなたもする?命を弄るのって本当に楽しいわよ」
少女は意地悪そうにクスクス笑う。侍女はと言うと諦めたようにため息をつく。
侍女が庭の掃き掃除に出ると、母れいむはまだジッと池に浮かんでいる舟を見ていた。
そこには自分が頑張って生んだ娘のリボンやら食べかすになった皮や餡子、そして、最後まで生き残り矢で射られた子れいむ。
母れいむは目に一杯涙を溜めて、ジッと池に浮かんでいる舟を見ていた。
侍女はそれまで掃き掃除に使っていた箒を強く握る。そして、高く振り上げ、
「ゆぎゃああ!!」
ポチャン、池に母れいむは叩き込まれる。
「やめでぇ、おねえざんだずげ、だすげで!!」
「楽に、楽にしてあげるのよ。早く死になさい。お嬢様に見つかる前に!」
「いやぁあ、れいむはまだ、まだあがちゃんぞだでる。ぞだでるんだからっ!!」
まだ浮いている母れいむに箒を何度も振り下ろす。侍女は次第に無口になっていく、そこに。
「あら、ダメよ。勝手に救っちゃ」
侍女はふと我に返り、後ろを振り向く。そこには花柄の着物の少女がほくそ笑んでいる。
トボトボと、侍女の傍にやってきた。足もとに落ちていた小石を拾い。母れいむに投げる。
叩きつけるように、勢いよく、石は母れいむの右目に当たる。
「ゆぎぇえ!!」
「手伝ってあげる。アレを楽にさせてあげるんでしょ?」
また一つ、小石を投げる。今度は額に当たり球形のゆっくりはくるくる水上で回りだす。
何度も口に水が入り、溺れそうになる。足と呼ばれる地に接している部分と口しか動く部分が無いゆっくりにとって水の中で姿勢を維持するのは至難の業だ。
「やめでぇ・・・ごぼっ・・どめ・・・どべでぇ!!がぼっ・・・」
「よく見てなさい。ほら貸して」
少女は侍女から奪いように箒を受け取り、柄の方を母れいむに向けた。
「それ」
短い掛け声と共に、馬上から槍で敵の小兵を突き殺すように箒を突き出す。
ちょうど柄は母れいむの右目に突き刺さり、回転は止まる。
「どう?」
自慢げに母れいむに尋ねる。母れいむは回転が止まった事よりも目に異物が突き刺さっている事が注意を取られている。
「いだぁい!!なに、ゆっくりでぎな、いだいぃいい!!」
少女はそのまま母れいむを持ち上げ、箒を振ると、母れいむの右目から箒が抜け、母れいむは玉砂利の上を転がる。
「じゃあ、行こうかしら。・・・あなたも自分だけに優しくしていなさい」
ニコリと笑い少女は侍女に箒を返す、柄の先に餡子がべっとりとついた箒を。
くるりと屋敷の方にきび返す少女の手には母れいむの髪がギュっと握られていた。
母れいむは悲鳴を上げながら連れて行かれる。侍女はその場に座り込んで池に箒の柄を入れて餡子を落とした。
母れいむの右目は餡子が漏れ出ないよう瞼を縫い閉じられていたが、少女が酷く扱う度に痛みのあまり、
眼を見開いてしまい。何度も瞼が破れた。少女も最初は面白がって縫っていたが、最近はもう面白くなくなったのか、
眼帯をさせる事で餡子が漏れ出るのを防いでいる。
「お前、子をまだ育てたい?」
少女の問いかけに母れいむは答えない。前に一日中雪の中に放置したのが悪かったのか、
皮に何度も小刀で小さな傷を付けたのが悪かったのか、目の前で乱交した後に同族食いを始めるゆっくりありすの姿を見せたのが悪かったのか、
飲まず食わずでゆっくりぱちゅりーと一緒に放置し、同族食いをさせたのが悪かったのか、
何が原因か少女には思い当たる節が多く、わからなかったが、それで手が止まる理由にはならない。
「お前に夫を探してやったぞ」
母れいむの前に連れてこられたのは、1匹のゆっくりれいむ。眼は白目をむき、息は荒く、ガチガチと歯と歯を叩き合わせている。
何も知らぬ人が一見すると寒いのかと思うが、頬は紅潮しており、その予想は外れる事になる。
「で、でぇいぶぅ!!」
その声は粗暴で知性や情愛の欠片など一切感じられない。発言が上手くいっていないだけで異常だと十分理解できるが、
「・・・」
母れいむは怯えた目で身をよじり、少しでも距離を取ろうとする。
そして、相手を刺激しないようにそろりと逃げようとする。相手が飛びかかってくれば分かるように左目はそのれいむを見たまま。
そろりそろり、ある程度下がると、それ以上下がれなくなる。
「そんあに怯えずとも」
少女は優しく微笑む。
「お相手してさしあげて」
母れいむは蹴り飛ばされ、おかしなれいむの元に転がっていき、そして互いの頬が触れ合う。
獣のような荒々しい交尾を少女は嘲笑するかのように見下ろしていた。
無様だ、醜いだ、汚いだ、差別的な視線は母れいむの何よりの苦痛だ。
自分がいま、見ず知らずの同族に犯されている事よりも、この少女の思い通りになっている事が何よりも悔しい。
「ず、ずっぎぃ、ずっぎりぃいい!!」
やがて絶頂を迎え、おかしなれいむは挙動不審になる。
妊娠しなかった個体はすぐに快楽が消え失せ、行動ができるようになる。
本来は妊娠した個体を守る為の仕組みなのだが、行動のおかしいれいむはそれが上手く作用しない。
ずりずりと母れいむの周りを回るだけで、近づいてくる少女に威嚇すらしない有様だ。
少女は懐から小刀を取り出し、まずは母れいむの周りを回る鬱陶しいれいむに襲い掛かる。
小刀で薙ぐと、両目を一片に横に真っ二つにしてしまう。それから足の部分を何度も刺す。
「いぎぃいやぁあああ!!いがぁあ!!いがああぁああいぃい!!」
少女からふと力が抜け、ぽよんと先ほどまで悲鳴をあげていたれいむが床に落ちる。
れいむは目が機能してない故に、適当な方向にずりずりと這って逃げるが、痛めつけられた足が言う事を聞かないらしく、
右へ左へ行く先がブレて、なかなか少女との距離が伸びない。
「ゆぐっ、ゆっぐしぃ、ゆっぐしぃい!!」
悲鳴のような願望を叫び、れいむは逃げていく。その様子を母れいむは目で追いかける。
もちろん、あんな相手に期待などしていない。していないが、
少女は一歩、逃げているれいむに近づく。
しかし、れいむは自分自身の悲鳴と失明の不安からくる焦りとまともに歩む事ができない憤りから、
その事に気付いていない。少女はまた一歩近づく。
その様子を母れいむはじっと見ている。逃げているのは何も期待していない相手、何も期待できない相手。
「・・・」
逃げていたれいむが急に悲鳴をやめ、キョロキョロしだす。
絞り出すような声、掠れて今にも消えそうな声、でも、確かに聞こえる声。
「にげて、そのまま・・・まっすぐだよ」
逃げているれいむは声の通り進む。まだ多少ブレはあるが、慎重に進んでいるため確実に少女から離れていく。
悲鳴もやめ、母れいむの小さな声を一生懸命聞こうとする。まだ多少残っていた理性が恐怖に呼び起されて、冷静な判断を促す。
少女はというととても楽しそうにまた一歩、歩みを進める。
それが戯れである事は母れいむが一番よく知っている。この少女はその気になればすぐさま逃げているれいむに追いつき、殺せてしまう。
逃げていくれいむは部屋を出て、縁側を降り、庭に出る。
母れいむもそれに追いつきたいが、今、そんな激しく動けば、中にいる赤ちゃんが潰れてしまう。
庭の奥の方へ奥の方へ逃げていくれいむ。
期待などしていなかった。期待などしていなかった。
結局、逃げていくれいむは一度も母れいむの方を振り向かなかった。
声が聞こえてくる方向だ。目が見えなくても振り返ることはできるはずなのに。
「そこからさきはここからじゃみえないよ。がんばってにげてね!!」
そんな声に返事をする事なく。逃げて行った。
「ふふっ、私のお父様もそうだったわ。ああやって逃げていくの。お母様からね」
本当に楽しそうに少女が笑う。
「これからあなたは私のお母様です。さ、言葉は取り戻しましたね」
そこからポツリポツリと少女は母親の生涯の話をし始めた。
自分の他に母には数人の子がおり、どれも小さな戦争で死んでしまった事、
その後、気が触れた母を無理やり手篭めにした男がいた事、
男のおかげで母は言葉を取り戻したが、孕まされ手厚く世話をされた事、
「さ、お母様、冷たい風は御身体に触りますわ」
それまでと全く違う少女の態度、温かい部屋に母れいむをゆっくりと連れて行き、
毛布で作った寝床に置き、目の前にたくさんのお菓子を並べる。
「お父様はお母様にこう接したのよ。何でも望む物は全て。お母様、何か欲しい物はありませんか?」
少女は母れいむの頭を優しく撫でてやる。母れいむはこの豹変に思考が追い付いておらず、
しどろもどろなりながら、“まだすこしさむい”と答えるが、
母れいむはすぐにしまったと思う。前にも同じ事を言い、焼き殺されたゆっくりありすを見たからだ。
しかし、少女はニコリと笑い。
「まあまあ、それは気付きませんでした。少しお待ちください。炭櫃を用意しますので」
少女は火を起こし、黒い石のようなものに押し付けている。
母れいむは何をやっているのだろうと、興味深く見ていると、次第に空気の温度が上がった事に気がつく。
「ゆっ?あったかい・・・」
それからしばらく、子を産むまで母れいむは手厚く世話をされた。
母れいむはすっかり少女の事を見直し、何でも言う事を聞いてくれる少女を信頼しきっていた。
「ゆひぃ・・・うまれ、うまれるぅう!!」
「お母様、もう少しですよ。頑張ってください」
「ゆふぅ・・ゆぅうううううう!!!」
母れいむのお腹から1匹の赤ちゃんれいむが飛び出す。
その子は少女が用意してくれた柔らかい布団の上で少し転がり、大きな声であいさつした。
「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!」
母れいむも痛みを我慢しながら笑顔で返事をする。
「れいむがおかーさんだよ。ゆっくりしようね!!」
赤ちゃんれいむは母れいむを見つけるとすぐに飛んで行き、頬擦りをする。
「おかーしゃん、れいみゅだよ。ゆっきゅりしようね」
そして、母れいむは信頼する少女に自慢の娘を見せる。
「おねーさん、れいむのかわわ、ゆぎぃ!!!」
少女は突然母れいむの頬を抓り上げる。何が起こったのか母れいむには分からない。
急に頬が痛くなったと思ったら、自分の体が高く持ち上げられたのだ。
「ご出産おめでとうございます、お母様。お父様は生まれたのが娘であった事に大層お怒りになっております」
そのまま母れいむを部屋の端に向かって投げ捨てる。
赤ちゃんれいむは目の前の事に呆然としている。自分の母親が絶大な信頼を寄せていた人が、
突然こんな暴挙に出るなんて、お腹にいた期間が長く胎教で何度も“ゆっくりできるおねーさんがいる”と教えてこられ、
始めてみた時、この少女がその人なのだろうと思い。声を聞いて確信したが、その声を聞いた時にはこの暴挙が始まっていた。
「お母様?もうお亡くなりになったの?本当のお母様はそんな程度ではありませんでしたよ」
母れいむに昔された酷い仕打ちの記憶が蘇る。少女は心を入れ替えたといったのに、どうしてなんだろう。
考えている内に少女は母れいむの所までやってくる。まだ窪みができているゆっくりの産道を小刀でズタズタに切り刻む。
一度傷ついた場所は硬化するが、この産道部分が硬化すると二度と腹部からの出産ができなくなる。
それどころか、運悪くそれでも腹部で妊娠してしまった場合、
子が出産されず体内で大きくなりすぎ最終的に親の身体を突き破って生まれてくることになる。
「お母様も子宮を焼き鏝で焼かれたの。それから口も聞けなくされたわ」
今度は口内を小刀で切り刻んでいく。前のようなショックからくる失声症ではない、口の機能を物理的に奪われる。
「髪も奪われたの、お父様から貰った大切な髪飾りも目の前で壊された」
母れいむのリボンを引き千切り、髪を掴んでは根元から小刀で切り落としていく。
頭皮が引っ張られる痛みと髪を奪われる悲しさから、何か悲鳴を上げようとするが、
口が痛くて、声が出ない。どうにか“ゆぎぎ”という音だけが出せたので大きくその音を出した。
「ゆぎぎぃいいい!!!」
「お母様もそうやって苦しんだのかしら?ねぇ、見える?」
唯一見える左目の前で千切ったリボンを揺らす。“かえして”の言葉も出ない。
部屋の真ん中においてあった。少女に初めて望んだ施しである炭櫃である。
今もあの時と同じように暖かく、その真ん中に少女はリボンを落とす。
火がつき、焼け、炭となっていくリボン。母れいむは左目に涙をためている。
今すぐに少女の手を振り払って、リボンの元に駆け寄りたかった。
その願いはすぐに叶う。
「ゆぎぎぎぃいいい!!ゆぎぃ!ゆぎぎぎぃいいいい!!!」
炭に何度も顔を押し付けられる母れいむ。
「お母様、最後はその美しいお顔を焼かれてしまったの」
執拗に何度も押し当てる。母れいむの顔面は炭化し、左目に溜めていた涙は蒸発してしまった。
「アハッ、お面みたい」
母れいむの炭化した顔面を少女は爪で引っ掻く。雪の様に白い肌を真っ黒くして、
ボロボロと炭化した皮が剥がれ落ち、中身の餡子が外気に触れ、もう顔面の感覚がなくなっていた母れいむに新しい苦痛が咥えられる。
中の餡子が痛いのかウニウニと動き、その度にボロボロと炭化した皮が剥がれる。
最後、母れいむは顔面の皮がなくなり、中身の餡子を露出していた。
もう機能していないだろうが左に白い球体があるので、かろうじてそこが目だったのだろうと分かるが、
それ以外は元々、そのゆっくりれいむがどういった顔だったのか探る術はない。
母れいむはまだ微弱ながらも足を動かし、逃げようとしている。生きているかどうか分かりやすいように足だけはこうやって残していたのだ。
「お母様、まだ生きていらっしゃるの?そうね。お母様は最後、足を切り落とされて死んだの」
そう言いながら、少女は露出している餡子の部分の淵、ちょうど足に当たる部分の端を掴む。
この部分を触れた者はみな、動く餡子の感触を気持ち悪がるが、少女は慣れているのだろう。何も思う所は無い。
「では、お母様、さようなら」
その言葉をかけた瞬間、足の皮を一気に剥ぎ取る。
顔面の餡子はもう熱で水分を失い硬化していたが、まだ水分を保っていた足の餡子は床にどんどんと流れ出す。
やがて頭頂部の餡子まで流れ出て、それまでくっ付いていた顔面の硬くなった餡子もゴトンとその塊ごと床に落ちて割れた。
少女は母れいむの残りの皮を捨て、生まれたばかりの赤ちゃんれいむにニコリと笑いかける。
「あなたは私、さあ、私になってください」
by118
最終更新:2009年01月19日 15:25