前書き
今回のSSは計6話の短編集(そこそこ長いけど^^;)です。
全6話構成となっておりますが、1話ごとに完結しているのでお好きなものから読んでいただいて構いません。
ただ、最終話は1~5話を読んでからの方が内容を理解しやすいかもしれません。
作中には加工場の職員、最終話及びエピローグには原作キャラが登場します。苦手な方はUターンをオススメします。
目次
(前編)-プロローグ- 主な登場ゆっくり
第1話 ~お母さん霊夢の愛~ お母さん霊夢、プチ霊夢
第2話 ~2匹の絆~ ゆっくり霊夢、魔理沙
第3話 ~がんばれゆっくりパチュリー~ ゆっくりパチュリー
(中編)第4話 ~3匹のゆっくりアリス~ ゆっくりアリス
第5話 ~仲良し~ ゆっくりちぇん、みょん
(後編)最終話 ~光を目指して~ ゆっくり魔理沙、霊夢、アリス、パチュリー、ちぇん、みょん
-エピローグ-
-プロローグ-
ゆっくり加工場、そこは野生のゆっくり達にとってもっともゆっくり出来ない場所。
ここへは毎日様々な理由で捕まったゆっくり達が連れてこられる。
あるゆっくりは人里の畑を荒らし捕まった。
あるゆっくりは民家に進入し図々しくも自分のゆっくりポイントだと言い張り捕まった。
あるゆっくりは・・・・・。
加工場へ連れてこられるゆっくり達は皆絶望に打ちひしがれ号泣している。
「かこうじょうはいやだあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」
「おでがいじまずゆるじでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!」
「もうじまぜんがらあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」
必死に許しを請うがもはや遅い、加工場の中へ今日もゆっくり達が消えていく。
しかし、そんなゆっくり達に一筋の希望の光が差し込んだ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
時間は正午、突如加工場を地震が襲った。
建物が倒壊するほどの地震ではなく、戸棚から物が少し落ちる程度で損傷は軽微であるように思われた。
しかし、突如加工場内にゆっくりの脱走を知らせるアラームが鳴り響いた。
地震でゆっくり達が監禁されている檻の南京錠が破損してしまったのだ。
さらに檻が設置されている部屋の扉も半開きになっていた。
昼休みを取るために一時的に檻から離れた職員が閉め忘れたのだ。
「「「ゆっくりだっしゅつするよ!!!」」」
今まで窮屈な檻に監禁され絶望していたゆっくり達は皆歓喜の声を上げ我先にと檻の外へ駆け出していった。
こうして偶然と偶然が重なりゆっくり達の脱出劇が始まった。
第1話 ~お母さんれいむの愛~
「みんな、なきやんでね!ここからにげてもりにかえるよ!」
お母さんれいむは脱出に移るためにまず泣いて震えているプチれいむ達を励ました。
「「「ゆっくりなきやんだよ!」」」
総勢8匹のプチれいむは皆泣き止み笑顔に戻っていた。
「おかあさんのあとについてきてね!そうすればみんなでゆっくりできるもりにもどれるよ!」
ゆっくり一家は急いで檻の出口に向かった。
しかしその判断がゆっくり一家に悲劇をもたらした。
「ぴぎゃあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」
1匹のプチれいむが悲鳴を上げた。
お母さんれいむが後ろを振り返ると我先にと逃走を計るゆっくりウェーブにプチれいむが飲まれ押しつぶされていた。
「れいむのあがち゛ゃんがあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」
急いで押しつぶされたプチれいむの元へ駆け寄ろうとするが後ろからどんどん押し寄せるゆっくりウェーブに押され近
づくことが出来ない。
「ぴぎゃあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!おかあしゃあぁぁぁんたち゛ゅ!!!」
またプチれいむが押しつぶされ悲鳴を上げた。
「れいむの、でいぶのかわいいあがち゛ゃんがあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」
お母さんれいむは悲鳴を上げるが、今度は潰されたプチれいむに駆け寄ろうとはしなかった。
「みんな!いそいでおかあさんのくちのなかにはいってね!」
目に涙を浮かべながらプチ達を自分の口の中に誘導する。
プチ達も自分の姉妹が周囲のゆっくりに押しつぶされるのを見て我先にとお母さんれいむの口の中に飛び込んだ。
お母さんれいむは潰されたプチれいむはもう助からないと判断し、今生きている6匹を生かす道を選んだのだ。
「ほめんね、ほめんね、おはあさんのせいで・・・。(ごめんね、ごめんね、おかあさんおせいで・・・)」
涙を流し潰された2匹に謝りながらゆっくり一家は檻から脱出した。
檻のある部屋から脱出すると目の前には長い廊下がどこまでも続いていた。
「やめて!おじさん!ゆっくりできないよ!」
「もりにかえりたいよぉぉぉ!」
「もっとゆっくりしたかったよぉぉぉ!」
ゆっくりウェーブの先頭付近から悲鳴が聞こえてくる。
どうやら怖いおじさん達に仲間が次々と捕まっているようだった。
お母さんれいむは必死に怖いおじさん達をかわし前へ突き進んだ。
何も考えずに突進するゆっくり達は次々に捕まっていたが、それが囮となりお母さんれいむは捕まらずに進むことが出
来た。
「もうふこしだよ、もうすほひでゆっふりでひるよ!(もうすこしだよ、もうすこしでゆっくりできるよ!)」
次々と仲間が捕まる中、必死に逃げるお母さんれいむは命からがらある部屋へ逃げ込んだ。
「ゆぅ~っ、ゆぅ~っ、ゆぅ~っ。」
お母さんれいむは息を切らしていた。
逃げ込んだ部屋には怖いおじさんや仲間の気配はしなかった。
「ほほにはほわいおひはんはひなひよ、ゆっふりおはあはんほふひはらへてね!
(ここにはこわいおじさんはいないよ、ゆっくりおかあさんのくちからでてね!)」
今この部屋にいるのは自分達だけだとわかるとお母さんれいむは口の中のプチれいむ達を出した。
口から出てきた4匹のプチれいむは皆涙を流し震えていた。
「ゆ?かずがすくないよ、ほかのこはどうしたの?」
母の愛か、ゆっくりは普通3までしか数えられないがお母さんれいむは子供の数を覚えていた。
しかしその母の愛がお母さんれいむを絶望に叩き落すことになった。
「ゆっ・・・いもうとは・・・ちゅぶれちゃったよ・・・。」
1匹のプチれいむが弱々しく口を開いた。
(つぶれた?そんなはずはない。にげるあいだずっとはをくいしばってこどもたちがそとにとびでないようにちゅうい
してはしっていたのだから。)
困惑しているお母さんれいむに先ほどとは違うプチれいむが口を開いた。
「・・・おかあしゃんの・・・おくちのなかで・・・。」
それを聞くとお母さんれいむの顔は一気に青ざめた。
(そういえばくちのなかであまいなにかと2つのやわらかいものが・・・。)
恐る恐る口の中からその何かを吐き出した。
お母さんれいむの目の前には2匹のプチれいむのぺちゃんこになった皮とその中身であろう餡子が吐き出された。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」
お母さんれいむは悲鳴を上げて泣き出した。
「ごめんねえぇぇぇぇぇ!おかあざんをゆるじでえぇぇぇぇぇ!」
「「「ぴぎゃあぁぁぁぁぁ!」」」
お母さんれいむの悲鳴が引き金となりプチれいむ達も今まで押さえ込んでいた恐怖に絶えられなくなり泣き出してしまっ
た。
しかし、大声を上げて泣いたのがいけなかった。
「おい、この中から声がするぞ。」
「俺がここで見張ってるからお前が中を見て来い。」
「ちょっとまってろ、捕獲の準備をする。」
とうとうゆっくり一家は怖いおじさん達に居場所がばれてしまった。
「ゆゆ!いそいでおかあさんのくちのなかにはいってね!こんどはぜったいみんなをまもるよ!」
泣いているプチれいむ達もお母さんれいむの緊迫した様子を見てただ事ではないと感じすぐに口の中に飛び込んだ。
4匹が口の中に入ったことを確認するとすぐさま部屋の奥に飛び跳ねていった。
部屋の奥には小さな個室が3つあり、それぞれの個室にはみょんな物体が備え付けられ天井からは紐が垂れ下がって
いた。
「「「こわいよぉおかあしゃぁん。」」」
口の中からは怯える子供達の声が聞こえてくる。
「だいじょうぶだよ、おかあさんがついてるからね!こわいおじさんにみつからないようにしずかにしててね!」
子供の数が半分になったのでお母さんれいむは‘はふはふ言葉’ではなくなっていた。
個室以外に周囲には他に身を隠せそうな場所がなかったので一番奥の個室にお母さんれいむは急いで入っていった。
みょんな物体の上に飛び乗ると中心部は空洞になっており、底には少量の水が溜まっていた。
(どうしよう、かくれるポイントがないよ、このままじゃこわいおじさんにつかまっちゃうよ。)
悩んでいるお母さんれいむの頭の上に突如硬い物体が倒れこんできた。
「ゆ゛!」
大して重くなかったので体が少し凹む程度で済んだ。
この瞬間お母さんれいむのゆっくりブレインは衝撃も加わりフル回転しだした。
(ゆ!このたおれてきたものはこのくうどうのふたになるよ!ここにこどもをかくせばいいんだ!)
「みんなこのなかでしずかにしててね!」
4匹のプチ霊夢をみょんな物体の空洞の水のない部分に入れ蓋を閉めた。
「「「ゆ!くらいよ!おかあしゃんたしゅけて!」」」
いきなり暗い場所に閉じ込められたプチ霊夢達は困惑しお母さん霊夢に助けを求めた。
「し!しずかにしてね!あとなにがあってもこえをだしちゃだめだよ!おかあさんからのさいごのおねがいだよ!」
お母さん霊夢は自分が捕まり、子供達だけでも逃がそうと決意していた。
プチ霊夢達はお母さん霊夢の言葉を守り必死に息を潜めていた。
「こんな所まで入り込んでいたのか。」
ついにお母さん霊夢は怖いおじさんに見つかってしまった。
「ゆ!こっちにこないでね!おじさんとはゆっくりできないよ!」
子供達を隠した蓋の上で顔を膨らませて最大限威嚇する。
「ん?さっき聞こえた声の中には子供も混じっていたはずだが・・・。」
「ゆ!?な、なんのこと?れ、れいむにこどもなんていないよ!」
お母さん霊夢なりに必死に嘘をつこうとするがバレバレであった。
「なるほどお前の乗ってる下に隠したんだな、はぁこれじゃ食品として扱えないじゃないか。」
男は慣れた手つきでお母さん霊夢を掴むと背負っている籠へ入れようとした。
しかし、お母さん霊夢は最後の抵抗とばかりに天井から垂れ下がっている紐に食らいついた。
「な!ばか、はなせ!」
次の瞬間!
「「「ぴぎゃあぁぁぁぁぁ!おみじゅこわいよぉぉぉぉぉ!たしゅけてぇぇぇぇぇ!」」」
男は急いで蓋を開けたが時既に遅し、プチ霊夢達は消えていた。
男の手に捕まれながらお母さん霊夢は跡形もなく子供達が消えているのを見て震えだした。
「れいむの、でいぶのあがち゛ゃんどごいっだのおぉぉぉぉぉ!」
「お前が殺したんだよ。」
「なにいってるの?おじさんばかなの?れいむはなにもしでないよ!」
「お前が何をしたのか見せてやるよ。」
男は子供達がいた場所がよく見えるようにお母さん霊夢を抱え、紐を引っ張った。
すると、水が勢いよく流れ出し、くるくると渦を描きながら底に消えていった。
「あ゛っ!あ゛っ!あ゛っ!」
お母さん霊夢は顔を真っ青にしていた。
どうやら自分がしたことを理解したようだ。
「わかったか?お前がこの紐に食いついたせいで水と一緒に子供達が流されたんだ。」
「れ、れいむがあがぢぁんを・・・・。」
「お前の子供は今頃悲鳴を上げて溶けている頃だろうな。」
「いやあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」
事実を受け入れられずお母さん霊夢悲鳴を上げて気絶してしまった。
お母さん霊夢が逃げ込んだ場所、そう、それは水洗トイレであった。
こうしてプチ霊夢達は水洗トイレに流され悲鳴を上げながら溶けてその生涯を閉じた。
その後お母さん霊夢は綺麗に洗浄され、成体には珍しく極上天然ゆっくり餡子となりその生涯を閉じた。
※補足
Q:ゆっくり一家はどうやってトイレに逃げ込んだの?
A:トイレの入り口は押し戸だった。
Q:仮に子供達が見つからなかったとしてお母さん霊夢はどうやって子供達を逃がすつもりだったの?
A:所詮フル回転してもゆっくりブレインです。そんな先の事まで考えていません。
Q:最後の珍しいってどういう意味?
A:一般的に成体になると餡子がパサパサして不味いと言われています。しかしこのお母さん霊夢はとても深い恐怖
と絶望を味わったため、甘みが増してしっとりとした極上天然ゆっくり餡子となったのです。
第2話 ~2匹の絆~
「まりさ!ここからだっしゅつしていっしょにゆっくりしようね!」
「れいむ!もりにもどったらいっしょにゆっくりしようね!」
ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙は頬ずりをし合い絆を確かめ合う。
この2匹は将来を誓い合った仲だった。
「いくよ!れいむ!」
「ぜったいゆっくりしようね!まりさ!」
2匹はゆっくりプレイスを目指して我先にと逃走を計るゆっくりウェーブに身を投じ檻から脱出した。
「れいむ、だいじょうぶ?まりさのあとについてきてる?」
「だいじょうぶだよ!ちゃんとうしろにいるよ!」
荒れ狂うゆっくりウェーブの中をゆっくり魔理沙は巧みに掻い潜って進み、ゆっくり霊夢はその後ろに必死に追った。
「もうせまいおへやいやあぁぁぁ!」
「おねがい、ゆっくりさせてぇぇぇ!」
「おおこわいこわい、ゆっくりさせないつもりだよ。」
一部変わり者のゆっくりも混じってはいるが周囲の仲間は次々と怖いおじさん達に捕まっていった。
ゆっくり魔理沙は持ち前の本能を駆使して必死に前へ進み、扉が半開きになっている部屋を見つけると飛び込んだ。
「ゆぅ~っ、ゆぅ~っ、ゆぅ~っ、れ、れいむだいじょうぶ?」
「ゆぅ~っ、ゆぅ~っ、ゆぅ~っ、ま、まりさ、だいじょうぶだよ。」
息を切らしながらも2匹はお互いのことを気遣い合っていた。
しばらくすると呼吸は落ち着き、2匹は今自分達が置かれている状況を確認した。
逃げ込んだ部屋は白い壁に覆われ、入ってきた扉とは別の扉があり、大きな台と椅子が数個設置されていた。
もう一つの扉はきちんと閉まっており、ゆっくりの力で開ける事は不可能であった。
怖いおじさんや仲間の気配はなく、シーン静まり返っていた。
「まりさ~どうしよぅ。このままじゃこわいおじさんにつかまっちゃうよぉ。」
「だいじょうぶだよ!まりさがれいむをぜったいまもってあげるよ!」
不安がるゆっくり霊夢をゆっくり魔理沙は励まし、再び頬ずりをし合い絆を確かめ合う。
「ゆ!あまいにおいがむこうからするよ!」
「ほんとだ!おいしそうなにおいだね!」
頬ずりをしている最中だったのに2匹はケロっと態度を変え甘い匂いのする方へ飛び跳ねていった。
部屋の隅には大きな青色の入れ物が置かれていた。
「このなかからあまいにおいがするよ!」
「まりさ、どうやってこのなかのものをとるの?」
「かんたんだよ!」
ゆっくり魔理沙は青色の入れ物に体当たりした。
鈍い音を立てながら青い入れ物は倒れ、中からは大量の餡子があふれ出した。
「うわぁ~おいしそう!さすがまりさだね!」
「えっへん!まりさにかかればこれくらいかんたんだよ!」
2匹は自分達が置かれている状況など忘れ、餡子を貪り始めた。
2匹は気が付いていない。
青い入れ物が倒れた際、大きな音を立ててしまったことを。
「なぁ今この部屋の中から音がしなかったか?」
「確かに音がしたな、どうやらこの部屋にゆっくりが逃げ込んだみたいだな。」
「俺が中を見てくるから、お前はこの部屋からゆっくりが逃げないように入り口で見張っててくれ。」
「了解だ。」
とうとうゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙は見つかってしまった。
しかし当の2匹は見つかったことに気が付かないで未だに餡子を貪っていた。
2匹は背後に男が立った時ようやく自分達が置かれている状況に気が付いた。
そして恐る恐る振り向いた。
「ゆゆゆ!?ど!どどどどうしてここにまりさたちがいるってわかったの!?」
「ゆゆゆゆゆ!?」
ゆっくり魔理沙は動揺しながら声を上げた。
一方ゆっくり霊夢はあまりの恐怖からか声が‘ゆ’しか出なかった。
「本当に⑨だな。大きな音を出せば気が付かれるのは当たり前だろ。」
男の指摘を受け2匹は先ほど青い入れ物を倒した際、大きな音を立ててしまったことに今始めて気が付いた。
「さてと、鬼ごっこも終わりだ。ゆっくり捕まってね!」
男はゆっくり魔理沙を捕まえようとしたが、ゆっくり魔理沙は男の手をスルリと躱(かわ)した。
「れいむ!ゆっくりしてないでにげてね!つかまったらにどとゆっくりできないよ!」
ゆっくり魔理沙の声を聞いて正気に戻ったゆっくり霊夢はすぐさま走り出した。
「なかなか生きがいいな、こりゃいい商品になりそうだ。」
男は落ち着いていた。
部屋の出入り口は別の職員が塞いでいるので2匹に逃げられる心配はまずないのだ。
逃げ場のない部屋の中で2匹は必死に飛び跳ねながら身を躱して逃げ続けた。
しかし、じわじわと追い詰められ、とうとう部屋の隅にある台の上に追い詰められてしまった。
「ゆゆゆ!おじさんこっちにこないでぇぇぇ! 」
ゆっくり霊夢は必死に泣き叫んでいた。
一方ゆっくり魔理沙は冷静に周囲を見回していた。
そして床からでは見えなかったものがゆっくり魔理沙の目に飛び込んだ。
壁にゆっくりが1匹ほど入る凹みが口をあけているのを。
「さぁ、もう逃げられないよ。さっさと捕まってね!」
男の手がどんどん近づいてくる。
「まりさぁ、もうだめだよ・・・グスン。いっしょにつかま・・・」
「れいむ!ゆっくりつかまってね!」
ゆっくり霊夢の体に突如衝撃が走った。
そしてゆっくり霊夢の体は怖いおじさんの方へ向かって飛んでいった。
「まりざあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!なんでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!?」
何が起こったのかゆっくり霊夢にはわからなかった。
ゆっくり霊夢の目には口をニヤッとさせたゆっくり魔理沙が壁にある凹み目掛けて飛んだ光景が映っていた。
「しまった!」
男は飛んでくるゆっくり霊夢をキャッチすると急いでゆっくり魔理沙へ手を伸ばした。
「バイバイれいむ♪せまいおへやでゆっくりくらしてね~♪」
男の手が届く前に捨て台詞を残しゆっくり魔理沙は凹みの中へ消えていった。
「まりざのばがあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!うらぎりものお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !」
ゆっくり霊夢はゆっくり魔理沙と将来を誓い合った事を悔やみ、裏切り者をひたすら罵倒し続けた。
そして男はつぶやいた。
「・・・もったいないことをした。」
「ゆゆー!」
ゆっくり魔理沙は狭く暗い空間を落下していた。
「ゆ゛!」
なにやら柔らかいものに当たり、何とか体の形状を保ちながら着地した。
「れいむはのろまだね!あんなどんくさいれいむはこわいおじさんとゆっくりしてればいいんだよ♪」
嘗(かつ)て将来を誓い合ったパートナーだと言うのに自分の命を優先し見捨てたのだった。
すぐさま自分が置かれている状況の確認を始めた。
この冷静に状況を判断する能力こそゆっくり魔理沙が野生で生き延び続けられた理由の一つだった。
部屋はお世辞にも綺麗だとは言えなく、壁にはみょんな小さな穴が複数開いており、少しはなれた所に変わった扉が
あった。
そして下には・・・・・。
「ゆゆゆゆゆ!?」
ゆっくり魔理沙は怯えていた。
着地した際に当たった柔らかい物、それはゆっくり達の亡骸であった。
ほとんどの亡骸は苦痛で歪んだ顔で、真っ二つにされたり中身を吸い出されたのか皮だけになっていた。
「こ、ここじゃゆっくりできないよ!」
一目散に扉目掛けて走り出した。
「ゆ!はやくここからだしてね!ゆっくりできないよ!」
扉に体当たりをしたり叫んだりするが扉は微動だにしなかった。
そしてどこからともなく声が聞こえてきた。
「只今より焼却を開始します、焼却炉内部に残っている職員は直ちにその場から退去するか緊急停止ボタンを押してく
ださい。」
「ゆ!?おねえさん、まりさをここからだして!」
どこから声が聞こえたかはわからないが必死に叫んで助けを求める。
「焼却開始3分前。」
「ゆ!まりさのこえがきこえないの?」
「焼却開始2分前。」
「ゆゆ!はやくここからだしてっていってるでしょ!ぷんぷん!」
「焼却開始1分前。」
「もう!まりさがこんなにたのんでるのに!おねえさんばかなの?」
「焼却を開始します」
壁にあいたみょんな穴から高温の炎と熱風が噴出し、あっという間に部屋中は高温に包まれた。
「いや゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!だずげで!だずげで!れいむ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ !」
ゆっくり魔理沙の体がどんどん炭化していく。
「あづい!あづいよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !だれがだずげ・・・・・」
ゆっくり魔理沙は消し炭と化した。
ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙が逃げ込んだ部屋はゆっくりに対して様々な実験をする研究室であり、ゆっくり魔理
沙が飛び込んだ穴は焼却炉に直結するダストシュートだったのだ。
こうしてゆっくり魔理沙は裏切りの代償として消し炭と化し、その生涯を閉じたのであった。
「ん?おまえひょっとして妊娠してるのか?」
男は手に普通のゆっくりとは違う感触を感じ、掴んでいるゆっくり霊夢に問いかけた。
「ゆゆ!?し、しらないよ!れれれ、れいむのおなかのなかにあかちゃんなんていないよ!」
まだ出産タイプで子供を生むほどの大きさではなかったので見ただけでは気が付かなかったが、ゆっくり霊夢の反応
を見て男は確信した、妊娠しているのだと。
つい先ほど裏切られたパートナーとの子供だと言うのに必死に守ろうとするとはなんとも健気なゆっくりである。
その後ゆっくり霊夢ある部屋に入れられめでたく母親となった。
しかし、生まれた子供はすぐに取り上げられ必死に抵抗するがすべて部屋から連れ出された。
ゆっくり霊夢はひたすら子供を作る事を強要され、その生涯をゆっくり生産機として生きることになったのであった。
※補足
Q:登場するゆっくり魔理沙はかなりずる賢く、身体能力も高いのにどうして捕まったの?
A:畑を荒らし夢中で野菜を貪っていたので、接近する人間に気が付かずにあえなく御用となりました。
Q:青い入れ物ってどんなの?
A:ポリバケツです。Googleで画像検索すればすぐに出てきます。
Q:焼却施設に直行のダストシュートなんてあるの?
A:昔やったPSのゲーム「パラ○イト・イヴ2」でそういうシーンがあったのを思い出して使いました。
Q:まだ出産タイプで子供を生むほどの大きさではなかったとあるけど、じゃあ何で出産タイプで妊娠したの?
A:加工場の中という恐怖からくるストレスと、確実に自分の遺伝子を残そうとする種としての本能がそうさせたの
ではないでしょうか。
第3話 ~がんばれゆっくりパチュリー~
「むっきゅー!これはちゃんすよ!」
ゆっくりパチュリーは檻の鍵が壊れたのを確認するとすぐさま脱出に移った。
「これでしんせんなくうきのもりにか・・・むぎゅ!」
ゆっくりパチュリーは背後から迫るゆっくりウェーブに飲み込まれた。
ゆっくりパチュリーはもともと体が弱く、運動能力も低い。
そんなゆっくりパチュリーが荒れ狂うゆっくりウェーブの中で無事にいられるはずもなかった。
ゆっくりウェーブの過ぎ去った後には生クリームが飛び出して潰れたゆっくりパチュリーの亡骸が残っていた。
(むっきゅーーー!みじかい!みじかいわよ!なんでこんなにすこしなのーーー!)
何やら煩いのでTAKE2
「むっきゅー!これはちゃんすよ!」
ゆっくりパチュリーは檻の鍵が壊れたのを確認したがすぐには脱出に移らなかった。
「いまいくとつぶされちゃうのよ、かしこいぱちゅりーはすぐにはだっしゅつしないのよ!」
ゆっくりパチュリーは荒れ狂うゆっくりウェーブが檻から出て行くのを待っていた。
「むきゅ!そろそろいいわね、これでしんせんなくうきのもりにか・・・むきゅ?」
ゆっくりパチュリーは宙に浮いていた、性格には加工場の職員に捕まっていた。
「残念だったね、もう逃げられないよ。檻の中でゆっくりしててね!」
逃げ遅れたゆっくりと一緒にゆっくりパチュリーは再び檻に入れられ鍵をかけられた。
「むっきゅーーー!!!」
その後ゆっくりパチュリーは洋菓子用の天然ゆっくり生クリームに加工されその生涯を閉じたのであった。
最終更新:2023年02月26日 11:40