自分は叔父に呼ばれ彼の家に行くことになった。溜息が漏れる
正直叔父の事は好きではない。人間的に彼が嫌いと言うわけではない。多少変人な所を除けばいい人だ。
腕を組んで考え込んでるうちに叔父の集落に着いた。
叔父の家は四方を生け垣に囲まれて大きな邸宅と蔵を何個も建ててるこの集落でも一番大きさだ。
何でも製菓業でひと山あてたとかで羽振りがいいらしい。なんとかの加工場に出資してるとか…
家の前で掃き掃除をしている下女を捕まえて用件を伝える。母屋の中で待つように言われたので
屋敷の中に案内された。客間に通され待ってる間は適当に出された茶を啜りながら調度品を眺めていた
そうしていると勢いよく襖が開けられ威勢のいい声をあげて叔父が入ってきた
「よっ、待ってたぞ坊!最近会っとらんかったなぁ!本家の様子はどうだ?
お前にコレとかできたか?そうだ、分家のバァさんまだくたばっておらんか?」
叔父は次から次へと話を変えるので何を言ってるか理解するのに時間がかかる
これも叔父が変人と言われる由縁の一つであるが、こんなの可愛いものである
「そうそうお前に実は見せたいもんがあってな!オイ!だれか書斎からすぐにアレもってこいアレ!」
しばらくすると使用人の一人が小走りでこちらへ来る音が聞こえた。部屋に入る使用人が両手でようやく
抱えられるほどのかなり大きな本を持って入ってきた
「今日お前を呼んだのはなコイツを見せる為なんだ」
自分は天を仰ぎ露骨に表情を歪めて見せた。叔父は全く意に介してないが....
叔父が変人と言われる最大の理由は蒐集家…ただの壺とかならまだ良いだろう
彼が集めるのは処刑道具やら曰くつきの異国風の恐ろしげな絵やら、誰も飾っておきたくないような物を集めるのが好きなのだ。
子供の頃叔父に女性が火に焼かれて苦悶の表情に顔を歪めてる絵を見せられて未だにトラウマとなっている
「安心せい坊、こいつはお前でも気にいると思うぞ」
そういって持ってきた書物を開いてみせた。
「どうだ凄いだろ!」
のぞいてみると....何ととんでもない物がそこにあった!
思わず叫び声をあげて飛びのいてしまった
肌色のひらべったい布みたいなものが本に透明な膜を被せられて張り付いていた。
数か所に大小の穴がついていた。何か見覚えがある...
これは....の顔面の皮だ。つまりデスマスクと言うやつだ
「ハーッハッハ驚おきおったな。よく見てみな、ホレ」
叔父が促すので恐る恐るのぞく,,,,しかしよく見たら人のデスマスクではない。
有るべきはずの人間の鼻の穴がないし、それに人間にしては顔の造りがおかしい。それに間近で見ると人の皮ではない
「こいつは
ゆっくりのツラの皮だ。本当の人間の物なんぞいくらワシでも集めるのは無理だからなハッハッハ!」
確かにこれはゆっくりの皮だ。ご丁寧にリボンもそえてあり、それがゆっくり霊夢の物であることがわかった
「コイツはゆっくりの加工場で死んだ奴の皮を譲ってもらった奴だ。なかなか迫力があるだろ」
パッとみれば本当に人の皮かと思える程だ。その皮には目を見開いていて死に際の苦悶の表情がたたえられており今にも喋りだしそうな迫力だった
「こいつは生きたまま中身の餡を抜かれて死んだ奴の顔だ。まぁこいつはほんの序の口だ。こいつなんてどうだ」
ページをめくるとそこにはさらにおぞましい様子の物があった
最初はは判別がつかなかったが、しばらく見てると顔面が異様に歪んでおりまるで別の生き物様に見える
「これはプレス機に潰されたもんだ。中々良い顔してるだろ」
他には小さな潰れた子供の皮の横に目の部分だけがふやけた苦悶の表情を浮かべたゆっくり魔理沙の顔
とても信じられないと言った表情で泣き叫んでいる時の様子のゆっくりれみりゃの顔
ページを一面に広がっている物は水を吸って広がったゆっくりパチュリーの顔だ
どこかだらしない表情を浮かべてているのは発情中のゆっくりアリスを殺した物
初めのうちは嫌悪感を持っていたのに、この世の物と思えない顔をしているゆっくりの表情に自分の意識が吸い込まれるような感覚がした
ページを開きながら、デスマスクの解説をする叔父の語りはヒートアップしている。
そうこうしてる内に日が暮れるまでそれを自分は見ていた
「おや!もう夕方か。そろそろ帰らんと危ないな。いやぁ~スマンスマンついつい語りん込んでし回ったワイ。もう遅いし今日は泊まってくか?」
自分にも稼業があるので休むわけにはいかない叔父に丁重に断って帰る事にした。それに歩いて行っても暗くなるまでには帰れるはずだ。
帰り道に何で残酷なものが苦手な自分がこんな時間になるまで見れたのか不思議に思った。
そういえば昔男なのに押し花に嵌まってた事があったのを思い出した
押し花は作ってってしまえばその美しさは永くに残る
同じ花でも一つ一つが別々の美しさを持っていた。
ゆっくりも死に際によってみせる表情は様々だ。
今まで厄介者として潰していたが、できるだけ苦しませて死なせたらどんな表情を遺すだろう...
そう考えると居ても立っても居られなくなった。そうだうちの家の周りに野生のが何匹かいたな....
最終更新:2008年09月14日 05:34