「ゆあああああ!!!!おねえしゃんがあああ!!!!」
「ゆ!!!」
我が子の叫び声にまりさは我に返った。
「ど…どうじだの!!???」
「おねえしゃんがああ!!!おねえじゃんがあ……」
「い…いきしでないよ……れいむの…いもうどがぁ……」
「いやじゃあああ!!!!おねえじゃんじんじゃやだああ!!!!」
片目だけ目を開けていた赤ゆっくりが永遠にゆっくりしてしまったようだ。眠っていたのではなく死んでいたのだ。
「ゆっぐ……えっぐ……ごべんね……まりさが…おとうざんが……ばかで…ごべんね…」
「ゆわあああああああああああん!!!!!!おねえしゃああああん!!!」
「まだいっじょにおうだうだおうっでやぐぞくじだのにいい!!!!ゆええぇえぇえん!!!」
「おびぇびぇあげでよおおおお!!!!おぎでよおおお!!!」
「うう………っぐ……ひぐっ……」
家族は悲しんでいた。と、まりさが急に声を上げた。
「ゆ!!だ…だれかくるよ!!」
まりさの声に家族はビクッと固まりすぐさま段ボール箱の隅っこへ逃げ出した。
「み…みんなは…でてきちゃだめだよ…まりさが……おとうさんがどうにかするよ……」
まりさは外に出た。
「ゆ~ん。おさんぽはたのしいなあ~」
歩いていたのは人間や犬ではなく同じまりさ種のゆっくりだった。しかも金バッジをつけている。
「よ…よかった……。ゆ!そ…そうだよ!!あのまりさならきっと!!……」
まりさは安堵した。それだけでなく少々顔に生気が戻ってきた。元銀バッジのまりさだ。金バッジの優秀さは分かっている。
あの金まりさに頼んで助けてもらおうと思ったのだ。優秀な金バッジならきっと助けてくれるだろうと期待した。
「ゆ!まりさ!!まりさ!!ゆっくりしていってね!!」
「?」
金まりさはチラッと乞食まりさを見た。
「…………」
「ゆ!ゆ!まってね!!まってよぉ!!まりざあぁ!!ゆっくじ!!ゆっぐじじようよおぉ!!!」
「…………」
「どぼじでえぇ!!!!どぼじでゆっぐりじでぐれないのおおぉ!!??ゆっぐじじでいっでね!!!ゆっぐりしでいっでね!!!」
金まりさはあたかもそこには何も無かったかのように通り過ぎて行ってしまった。
「ゆゆ!まりさ!ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!ありす!」
しかしそこから数m先で出会った銀バッジを付けたありすにはいつも通りに挨拶をした。
「だんでええええ!!!!まりざをむじじないでよおおおお!!!!」
実はこれには訳があった。金バッジ試験は超難関である。その理由の1つが『ゆっくりしていってね!』という挨拶だ。
ゆっくりは本能的にこの言葉を聴いてしまうと挨拶を返さずにいられなくなってしまう。相手が人間だろうと人工音でもだ。
ゆっくりの駆除方法の1つにこの言葉をラジカセなどでループさせて流し、動きを止めてから一網打尽にするという手法があるくらいだ。
挨拶されたら挨拶し返す。世知辛い世の中で一見微笑ましい一面のようにも思えるが大きな問題があった。
野良による襲撃である。誘き寄せられて付いて行ったところ複数の野良に攻撃されて殺されたりレイプされるといった事件が多発した。
飼いゆっくりへの羨望や嫉妬が生んだ結果である。また野良と接触することで影響されゲス化してしまうゆっくりもいた。
そこで金バッジ試験に"接触の制限"が付された。要するに野良と関わるなということである。飼いゆっくりには飾りにバッジが付いている。
バッジが付いているゆっくりであれば銅であっても接触はしてもいいが野良は話しかけることも相手にすることも禁じられている。
人間も不審人物や見知らぬ人とは接触をしない。知らない人に付いて行っては駄目だと子供の時に教えられるし、それが普通だ。
一見簡単そうであるがゆっくりにとっては本能に抗うことになる。非常に難しいのだ。
「ありず!!ありず!!!ゆっぐりじでいってね!!!ゆっぐじじでいっでね!!!ゆっぐりいぃ!!!!」
「………」
金まりさと挨拶した銀ありすも乞食まりさをチラッと見てからプイッと視線を逸らし無視して通り過ぎて行ってしまった。
試験を通ってないせいかまだワザとらしいというか露骨な仕草だ。
「どぼじで!!!どぼじでみんなむじするのおおおぉ!!!!!ゆわああぁああぁあぁあん」
ゆっくりは無視されることが辛い。銀ありすの露骨なシカトも相まって大ショックであったようだ。
路地にはもう誰もいない。ただまりさの泣き声が聞こえるだけだ。そんな姿を見ていたれいむもまりさの子供達も泣き始めた。
「「「「「ゆわあぁあぁぁああぁああん!!!ゆええぇぇえぇえん!!!!」」」」」
親まりさもれいむも子供も同じ泣き声だった。5匹の赤ゆっくりの悲しい合唱だった。何もかも失った。おうちも家族も。
この家族はこの先どうやって生きていくのだろうか。いや、そんな心配は無用だ。もうじき死期が来るであろう。
ほら、向こうから加工所の車がやってきた。早速誰かがゆっくりが泣いてて煩いと通報したのだろう。車は段ボール箱の前で止まった。
夕方になった。公園に1人の少女がいた。ベンチの前でしゃがみ込んでいる。ベンチの真下にリボンを付けたゆっくりがいた。
「れいむ…おやつ食べない?」
そう言うと少女はシュークリームを3つ取り出した。袋を破りゆっくりの周りに置いた。
「ゆ!ゆ!ゆ!れいみゅのだいしゅきなしゅーくりーむしゃんが…いち……ゆ!いっぱいありゅよ!!」
まだ赤ちゃん言葉が残っている。大きさも少し小さめだ。
「たびぇていい?」
「うん…。いいよ」
「ゆわーい!!!」
子れいむは嬉しそうにシュークリームに飛び込んだ。
「れいむ……」
「むーちゃむーちゃ、ちあわせぇ♪」
「ごめんね…」
そう呟くと少女は子れいむを置いて走り去ってしまった。目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
最近急増しているのはこうした子供がゆっくりを捨てるというケースだ。子供というのは犬や猫といった動物を飼いたがるものだ。
小説やドラマや漫画でもこういったお話はある。歩いていたら野良を見つけた。可愛いからこっそり飼おうと密かに家に持ち帰った。
自室に隠していればバレないだろうと高をくくっていたが直ぐ親に見つかった。子供の挙動がおかしいとか少し臭うとか鳴き声がするとか。
子供の考えなど親は簡単に見破ってしまう。
でもゆっくりなら…。子供や赤ちゃんサイズなら小さい。しかもそのサイズのゆっくりはペットショップで数百円から数千円で購入できる。
子供にも手が届くのだ。小さいからきっとご飯も少なくて済む、あまり大きな声も出さないだろう。それに言葉が分かるから躾やすい…。
ゆっくりの中身同等甘い考えだ。子ゆっくりや赤ゆっくりの食欲は半端無い。倍以上の大きさに成長するのだから空腹を我慢できないのだ。
それに声が甲高く泣けば騒音レベル。躾は難しい。さらに大きな盲点があった。
『いい?私が帰ってくるまで静かにお留守番しててね』
『わかっちゃよ!まりちゃしずかにおりゅちゅばんすりゅよ!』
言いつけを守り静かに留守番しようと決心する子ゆっくりや赤ゆっくり。たまにレベルが高いのがいる。だがどこで留守番をするだろうか?
『おねえちゃん……ゆっくちしすぎだよ……くりゃいよ…きょわいよ…』
大体は机の中やクローゼットの中である。サイズといい隠し場所といい最適であろう。だがそうしたところは真っ暗である。
赤ゆっくりや子ゆっくりが長時間そのような所にいられるだろうか。
『きょわいよ……ゆっぎゅ…ゆぅぅ…おきゃあしゃん……ゆえぇえぇえぇえん!!』
『ゆぅ~ゆぅ~ゆゆゆゆ~ん………ゆ…ゆ…ゆううううん………ゆぁあぁああぁああぁあん!!!!!ひちょりはやぢゃよおおお!!』
怖くなって泣き出したり寂しさを紛らわそうと歌を歌ったりする。当然親にバレてしまう。よくて1週間でゆっくりが悲鳴を上げてしまう。
そして親にバレてそのまま飼えるというケースは少ない。
躾や手間などが面倒だから、マンションだから…というのではなく親に黙っていたというのが一番の問題だからだ。結局捨てることになる。
理由はまだまだある。子供というのは惹かれやすいが同時に冷めやすいものだ。
生き物を飼ってみたい…だが1週間もすればその興味は満たされどうでもよくなってしまう。ゆっくりは所詮饅頭である。
興味が満たされれば犬や猫よりもその扱いは酷い。
『おにいしゃん!きょうもゆっくちちようね!!』
『もう飽きたわ。ト○のほうが可愛いよ』
『なにちてあしょぶの?』
『バイバイ』
『ゆ!おしょらをとんでりゅ……ゆびゃっ!!!!!』
大抵はこうなってしまうと窓から投げ捨てられてしまう。
『うわっ!なんだこれ?』
『ゅ……』
『あ、ゆっくりだ。そうだ思い出した!ちょっと前に隠したまんま忘れてた…』
『も……っちょ……ゅ……』
酷いのになると隠して飼っていたことを忘れてしまう子供もいる。見つかった頃には干乾びた饅頭になってるか瀕死だ。
やはりこれらも捨てられてしまう。もしかしたら生きているうちに捨てられたほうがマシなのかもしれない。
「いった?」
「もういないね…」
「じゃあいくよ」
少女が走り去った後、子れいむがいるベンチの後方に数匹のゆっくり達が集まっていた。
「むーちゃむーちゃ♪」
子れいむは背後にいるゆっくり達に気付いていない。嬉しそうにシュークリームを食べていた。もうじき1つ目を食べ終わろうとしている。
「「「「そろーり…そろーり…」」」」
「「「「しょりょーり…しょりょーり…」」」」
ゆっくり達がベンチを囲んだ。
「いまだよ!!」
「りぇいみゅがいちばんだよ!!」
「まりさがたべるんだ!!!」
「ぱちぇにも!!ぱちぇにも!!!」
「とかいはああ!!とかいはああ!!!」
一斉にシュークリームに飛びついた。
「「うめええ!!!ちょううめええ!!」」
「「はふっ!!はふっ!!」」
「「ちあわしぇええ!!!」」
これに驚いたのは子れいむだ。目の前で自分のおやつが食べられているのだから。
「にゃにしてるのおおお!!!!!それはれいみゅのおやつだよおお!!!かえじでえええ!!!ゆびゅっ!!!」
1匹の子まりさが子れいむに体当たりを喰らわせた。
「いじゃいよおお!!!なにしゅるにょおおお!!!」
「うるさいんだぜ!!!!まりさだって…まりさだって…おなかすいてるんだよ!!!!!このっ!!このっ!!!」
「やべ…ゆぎゃっ!!!おねえ…おねえちゃああん!!!たしゅけてええ!!!」
「こn……ゆぎゃっ!!!!……はっ!!!……」
子まりさが何かに弾き飛ばされた。
「…………」
帽子を被った少し大きめのゆっくりがじっと子まりさを睨み付けていた。
「あ…あああ……り…りーだ…こ…これは…その…」
「だれがそこまでやっていいっていった?」
「ご…ごめんなさいいい!!!!!れ…れいむ…ゆるじでえええ!!!」
子まりさは慌てて逃げ出した。
「そろーり…そろーり…」
1匹の子ありすがまだ誰も手を付けていない最後の1つのシュークリームに近づいていた。
「そのこえはありすだね!!!なにしてるの?」
「ゆああああ!!!な…なんでもないですううう!!!」
子ありすも逃げ出した。
「ふぅ…ごめんね。おどろかせちゃった?」
「ゆ…ゆ…ゆ……」
子れいむは目の前で起こったことに少し混乱していた。が、暫くして
「か…かえじでよおお!!!れいむの!!!れいみゅのだよ!!そのしゅーくりーむはりぇいむのおやつううう!!!」
子れいむはまりさにぽこんぽこんと体当たりをした。まりさは抵抗せず悲しそうな目をして子れいむを眺めていた。
「ごめんね…。おねがい。おねがいだから…しゅーくりーむさんわけてあげて」
まりさは最後の1つのシュークリームを帽子の中に入れた。
「とったあああ!!!れいみゅのしゅーくりーむしゃんかえじでええ!!!!おねえちゃんがくれだのにいいいい!!!!」
「その…おねえさんは…いまどこにいるの?」
「ゆ?」
まりさは子れいむに近づき頬をくっつけた。
「よくきいてね…。れいむはね…すてられたんだよ」
「にゃ…にゃにいってるの?そんなことにゃいよ……」
「じゃあかいぬしさんは?あのおねえさんはどこにいったの?」
「ゆ!!」
シュークリームを食べることに夢中で飼い主だった少女が走り去ってしまった事に気付いていなかった。
「おねえちゃん!!ど…どごいぢゃっだにょ!!!?りぇいむをひとりにしにゃいでよ!!!」
子れいむはベンチの下から飛び出した。
「どごにいりゅの!!???おねえちゃん!!おねえぢゃあぁあん!!!!ゆっくちちないででてきてね!!!りぇいむはここだよ!!」
周りを見回すが誰もいない。
「どびょじで!!!!!どぼじで!!!!!!ゆええぇええぇええん!!!!ゆえぇぇえええん!!!!」
子れいむは泣き出してしまった。
「わかった…?だかr…」
「ごみじゃにゃいよおおぉおお!!!!!りぇいむは…りぇいむはぁ…ゆっぎゅ…ごびなんがじゃないよおぉおお!!!!!」
「そうだよ。れいむは…ごみなんかじゃないよ…」
「じゃあどぼじでずでられぢゃっだのおぉぉ!!!!すてらでるのはごみだっで……いっでだもん!!!!!!」
子れいむは思い出していた。少し前に飼い主と一緒に部屋を掃除したときのことを…
『おねえちゃん!!ひろってきちゃよ!けほっ!きぇほっ!!』
『ありがとう。あー、ほこりだらけになっちゃったね』
『しゅ~りしゅ~り。ゆゆ~ん。おねえちゃんのおててゆっくちできるよ!』
机と壁の間に落ちてしまったゴミを拾ってきた。埃まみれになった。でも子れいむは嬉しかった。大好きな飼い主のお手伝いができたから。
『しゅ~りしゅ~り。あっちゃかいね!!』
飼い主のおてては温かかった。とっても気持ちが良かった。
『ごみしゃんはゆっくちできないよ!ちゃんとすてにゃいとね!!』
ペットショップのお兄さんにそう教わった。ゴミはゆっくりできない。だからゴミはちゃんと捨てないとね。汚いし。
子れいむはちゃんと覚えていたのだ。
『れいむはえらいね』
『ゆっひぇん!!ゆゆ~おへやきれいになっちゃね!』
『れいむがお手伝いしてくれたからだよ。まだほこりが付いてるね。洗ってあげないと』
こっそりと飼われていたがたまたまこの日は両親が不在だった。だから洗面所で洗ってもらえた。
子れいむは初めて部屋の外の世界を見ることができた。見たことの無いものが一杯あった。あれはなんだろう?これはなんだろう?
子れいむの小さな目はキラキラと輝いていた。
『ゆぴゃっ!ちゅめたいよ!!……ゆー、あったきゃくなっちゃよ!』
洗面所に連れられて優しく洗ってもらった。
『ゆゆ~ん。しゃっぱりー。りぇいむもきれいきれいになっちゃよ!』
『ちゃんと…いつかママとパパに許してもらうから…。それまで待ってね』
『ゆ?おねえちゃんどうしたの?』
少女は呟いたが子れいむには聞こえていなかったようだ。
『ん、何でもないよ。れいむ、お菓子食べない?』
『たべちゃいよ!!』
飼い主と食べたお菓子はとっても美味しかった。お手伝いをしたらまた食べさせてくれるって約束したっけ……。
「きちゃなくないもん……りぇい…りぇいむはぁ…ずっど…お…ねえぢゃんど…いっじょに……」
「わかってるよ…。れいむは…きれいだよ…きたなくなんかないよ…」
結局少女は両親に許してもらえなかった。やはり黙ってこっそりと飼っていたのが問題だったようだ。
さらに運の悪いことに少し前、庭にゆっくりが侵入し花壇を滅茶苦茶にしてしまった。育てていた母親はゆっくりを憎むようになった。
父親は許可を出したが母親は強く反対した。時期が悪かったのだ。時期が違っていたら許してもらえたのかもしれなかった。
「ゆわああぁあぁああぁあぁん!!!!ゆえぇえぇえぇえぇえぇえん!!!!」
まりさは子れいむのもとへ近づきそっと頬ずりをした。
「れいむはわるくないよ…。わるくなんかない。ね、これから…いっしょにすもう。みんなと。あのこたちも…れいむとおなじなんだよ」
実はこの公園には捨てられたゆっくりがあちこちにいる。このまりさはあの子ゆっくり達のリーダーだった。
「やじゃよおおお!!!おねえしゃあああああん!!!!!!むがえにぎでよおおおお!!!!」
「おねがい…。まりさが…れいむのおねえさんになるよ。おねがいだから…いっしょにいてね…」
まりさは舌を伸ばし子れいむを帽子の上に乗せた。そしてゆっくりと歩き出しベンチの前で止まった。
「みんな、たべおわった?」
「おいちかったよおおお!!!」
「またたべたいよ!!!!」
「すっごくとかいはなあじだったわぁ!!!」
「わかりゅよー!!!」
子ゆっくり達は地面を舐めてまでシュークリームを堪能したようだ。ベンチの下には何も残っていなかった。
「じゃあみんなかえるよ!!ゆっくりしているといぬさんやねこさんにたべられちゃうからね!!」
まりさを先頭に子ゆっくり達が並んで付いていく。子れいむを攻撃した子まりさやシュークリームを取ろうとした子ありすも一緒だった。
「ゆえええぇぇえぇええん!!!!おねええぢゃああああああん!!!!おねえぢゃあああんん!!!!りぇいむはここだよおおお!!!」
まりさの帽子の上で子れいむはまだ泣いていた。
「うるさいんだぜ……」
「むきゅ…そんなこといわないで……ぱちぇもまりさも…」
「わかってるんだぜ……みんな…さいしょはこうだったんだぜ……」
まりさ一行は草むらの中へ入っていった。子れいむの泣き声はまだ聞こえているがもうじき泣き止むだろう。
「かえってきたよ!!」
「おちょうしゃんおきゃえり!!」
「どぼじでおがあざんがえっでぎでぐれないのおおお!!!??」
「お…おちびぢゃん???れいむのかわいいおちびぢゃんがまだかえっでぎでないよ!!!どこにいぢゃったのおお!!」
公園のあちこちでゆっくりの声が聞こえる。餌探しから帰ってきた親ゆっくりにそれを迎える子ゆっくり。
どこかで永遠にゆっくりしてしまった親の帰りを待ち続ける子ゆっくり、我が子の帰りを待つ親ゆっくり……。
公園の電灯がポッと灯った。そろそろ日が暮れて夜が訪れようとしていた。
また会う日まで
最終更新:2011年07月29日 18:24