ゆっくりいじめ系118 ゆっくりのなくころに

「ゆっくりしていってね!」
『ゆっくりしていってね!』

「ゆっくりしていってっちゃう?」
『ゆっくりしていってね!』

「ゆっくりしていくのかな…かな」
『ゆっくりしていってね!』

「ゆっくりしていってねッ!!」
『ゆっくりしていってね!』

「ゆっくりしていくんで夜露死苦!」
『ゆっくりしていってね!』

「YOU!ゆっくりしていきなYOH!チェケラ!」
『ゆっくりしていってね!』

「うーんやはり間違いないようだな」
俺は5分間ほどゆっくりまりさとゆっくりれいむと様々な形でゆっくりしていってねという挨拶を交し合っていた。
おっとかわいそうな人を見る目はやめなさい、今はリリーホワイトが出る季節じゃない。
決して俺は頭の中まで春一番なゆっくりブレインなどではない、ちょっとした探究心から生態実験に挑んでいただけだ。
仮に紙一重だとするならどっちかというと八意医師側の人間なのだ。
断じて吸血鬼(妹)側ではない。
実験内容はゆっくりまりさはいついかなるときでもゆっくりしていってね!といわれたらゆっくりしていってね!と返事をするか否か。
ちょうどそこの道端に昼寝をしているゆっくり二匹がいたから以前から疑問に思っていたことを実行に移したのだ。
結果、ゆっくりまりさやゆっくりれいむはたとえ寝ていてもゆっくりしていってね!されるとゆっくりしていってね!してしまうことがわかった。
さあ納得行く実験結果も出たし家に帰るか。
あ、それと
『ゆ?』
俺はこの実験結果からさらにおもしろい実験計画を思いついたので実験用にゆっくりまりさとゆっくりれいむを掴むとゆっくりと家路についた。


「ゆっくりだしてね!ゆっくりだしてね!」
「こんなところにとじこめるおじさんとはゆっくりできないよ!おうちかえして」
家に着いた俺はゆっくり二匹を玄関先に置いてある自作の檻の中に入れた。
檻はスペースにかなり余裕を持っておりゆっくりが2、3匹入ってもそれなりに遊べるように作っているのだがご不満らしい。
「そこが今日からゆっくりまりさとゆっくりれいむのおうちだからゆっくりしていきなさい、今食べ物持ってくるから」
「ゆ!?まりさおなかすいた!たべものはやくちょうだい!」
「ゆっくりもってきてね!」
ゆっくりもってくるべきかはやくもってくるべきか、それが問題だ。
まあどっちでもいいんだけど。
俺は家の裏に紐で縛って吊るしておいた保存食のゆっくりれいむを引き裂く。
「ゆ゛っ…ゆ゛…」
半分干からび始めているゆっくりれいむが痙攣しているのに苦戦しながら餡子を取出すと、皿に盛っていってゆっくり二匹に差し出した。
二匹はおいしそうにその餡子を食べた。

数日後
「おはようおにいさん!きょうもゆっくりしていってね!あとゆっくりおなかすいたからとっととごはんもってきてね!」
餌をあげるとゆっくりまりさはすぐに人懐っこい性格に、というかずうずうしい奴になった。
ゆっくりとしてゆっくりまりさはごくごく普通にずうずうしいゆっくりだった。
「ゆっくりまってるよ!」
それに対してゆっくりれいむは多少まりさよりゆっくりとしていて人のいいゆっくりだった。
「まあまあそう急かさない急かさない、今週のびっくりどっきりメカ~」
懐から黒い折りたたみ式の薄っぺらい板を取り出し、パカリと開いた。
「ゆ~?おにいさんそのはこなーに?たべもの?」
「ゆっくりたべさせてね!」
「これはだな、えーっとこーしてこーして」

黒い板についているボタンをピッピッと押す。
これは一体何なのかというと魔法の森の近くに店を構えている外の世界の品物を扱う店で仕入れた品物だ。
店主の話によるとなんでも外の世界ではこれを使って遠くの人と話すらしいが、使い方が誰もわからずそういう風に使っているところは一度も見たことが無い。
恐らく店主が何か勘違いしているのだろう。
何百もの種類があるらしく似たようなものが次々と幻想入りしているとのことで、大した希少価値も無いし風情もないと店主には安く譲ってもらった。
大抵はすぐ元気が無くなって使えなくなってしまうのだがこいつは充電器というものを使って力を送り込むことが出来るので長いこと使えていた。
力を送り込むための機械が一緒に幻想入りして来たらしくそれを店主の知り合いが見つけて勝手に持っていき
河童達の所へ持っていって送り込むための力を出す機械を作ってもらって遊び倒して
その後すぐに飽きて店主のところにゴミでも捨てるかのようにポイと返していったというのは店主の談。
遠くの人と話すのには使えないが天狗の道具のように景色を写したり、音をそのまま残したりとなかなか便利な道具だった。
と、やっと音を残す準備が出来た。
俺はゆっくりまりさの口を押さえた。
「ゆゅ!?」
「ゆっくりしていってね!」
ピコッ
「ゆっくりしていってね!」
ピッ
これでゆっくりれいむのゆっくりしていってね!という声を残すことが出来た。
さらにこいつはとっておいた音を好きな時間に鳴らすことが出来て、鶏や鐘付き台の代わりになってとても便利なのだ。
この機械を手に入れてから鶏を飼っていない俺も朝にちゃんと起きて畑に出られるようになった。

さて、何故この外界の品物をこと細やかに解説したのかというとそれは予定している実験に必要になってくるからだがそれははまた先の話。
後は実験に必要なゆっくりに合う耳栓を探さなくては。


四日後
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
「く、これも駄目だったか」
ゆっくりに合う耳栓を作る段になり、計画の変更を余儀なくされつつあった。
ここのところずっとゆっくりまりさを部屋の奥に新たに作った檻に入れておいて、玄関で先でゆっくりれいむにいろいろと作った耳栓を試しているのだが
どれだけきつく耳栓を詰めてもゆっくりしていってね!にだけは必ず反応してしまうのだ。
計画のために音の聞こえないゆっくりを一匹作る手はずだったのにこんなところで行き詰ってしまうとはと頭を抱える。
ここのところ知恵熱が出そうなくらい悩んでいるのだが結局ゆっくりの耳を聞こえなくする耳栓は作れずにいた。



その時玄関の方からコンコンと戸を叩く音が響いてきた。
「ごめんくださーい、永遠亭からきましたー集金でーす」
「あ、今行きまーす!」
俺はゆっくりは玄関先に置いて永遠亭の方から渡されたくすり箱を台所の棚へと取りに行った。

「えーと畑で怪我した時に傷薬を使ったのとちょっと眠れなかったので睡眠薬を一つ…」
「はいわかりました、しめて40銭になります
それと副作用とかは大丈夫だと思うけど病気でも無いのに睡眠薬は使わない方がいいですよ」
「すみません、ここ最近少し寝不足だったんでつい…」
ばつが悪そうに永遠亭から来た兎の妖怪に頭を下げた。
「あら、何かあったんですか」
「いやそのゆっくり…」
「ゆっくりが?」
ゆっくりと聞いて永遠亭の妖怪兎の赤い目が少し光ったように見えた、びゅーちほー。
いかん、彼女のかわいらしさについこれからの俺の趣味兼計画を暴露しそうになってしまった。
とか誤魔化さなくてはならない。
「その…飼っているゆっくりが外のどこかで鳴いてるゆっくりの声を聞きつけて夜中に例の鳴き声を出してうるさくて眠れなくて…
耳栓とか作ってみてるんですけどあの鳴き声だけはちゃんと聞こえるみたいなんですよ、ハハハ」
妖怪兎の目が今度は確かにギラリと鈍く光りを放つとポツリと彼女はつぶやいた、君の瞳は百万ボルトだ。
「ゆっくりの耳を聞こえなくする方法なら知ってるけど…」
「え、ほんとですか?」
「へ?あああるにはあるんですけどでもこれやると二度と耳が使えなくなりますし」
彼女は独り言を聞かれてびっくりした様子だった、驚いてぴょこんと耳が立ったつ仕草がまたかわいらしい。
「全然構わないんで是非、そういう薬も作ってるんですか?」
「いや薬じゃないけど、構わないんだったら今ここでやってみる?」
「それじゃ一つお願いできますか?そこのゆっくりれいむなんですけど」
「まかせて、ちょっとしたツボがあるんだけのよ」
今までの事務的な態度とは一転、妖怪兎は水を得た魚のようにハキハキとしだした。
さっきまで他人行儀な敬語だったのにゆっくりの話題になった途端いきなりタメ語だ。
これはこれでかわいいな、嫁に欲しいなどと思っていると妖怪兎はしゃがみこんでゆっくりの耳の辺りに両親指をブズリと突き刺した。
「ゆぎゅ゛!?い゛だい゛よ゛!やべでお゛ね゛え゛ざばうう゛う゛う゛うう゛!!!?」
「ここを少しえぐりとって、で皮を中にめり込ませつつ少しねじりながら接合しちゃって…」
悲鳴を上げるゆっくりを無視して、いやあの顔からして悲鳴を愉しんでいるといった方が正しいだろうか。
俺もあんな顔で下半身を中心に責め立てられたい。
「はい出来上がり!これでこのゆっくりの耳は二度と聞こえないわ」
満面の笑みでなかなかに酷いことをいいながら立ち上がった。
「おお、手早い
しかし今ので本当に聞こえなくなったんですか?」
妖怪兎が心外だというようにむっとした顔をする、かわいい。
「ゆ!いきなりいたいことするなんてひどいよおねえさん!れいむにあやまってね!
…ゆ?」
普通にしゃべれているようだが
いや、よく見ると少し様子がおかしい。
「どおじでれ゛い゛む゛おごえがでない゛の゛おお゛お゛!?」
「ね、完璧でしょ?」
妖怪兎はベストサイズとしかいいようのない胸を張って得意げに言った。
「いやあ失礼しました、見事なものですね」
「どおじでえ゛え゛え゛!?お゛ねえざん゛もおにいざん゛も゛お゛く゛ち゛をぱく゛ぱく゛し゛て゛な゛い゛でな゛に゛がいっでよ゛お゛お゛お゛お゛!!!」
「1、2週間もすれば喋り方も忘れて静かになるわよ」
「助かります
あ、これ薬代、丁度で」
「はい毎度…あ、少し多いですよ」
「それは今の診療代ということで、にんじんでも帰りに買っていってください」
「そんなに大したことはしてないんだけど…それじゃあお言葉に甘えて、それではどうぞ今後とも永遠亭の薬をご贔屓に」
彼女はお釣りとして返そうとしていたお金をポケットに入れて軽く会釈すると再び事務的口調と、無邪気な笑みで手を振ってまた別の家へ薬代の回収に行った。
「はい、またおねがいしますね」
俺はにんじんに味をしめてまた家に来てくれないだろうかと淡い期待を込め、餌付けの成功を祈りつつ彼女の後姿を見送った。
「み゛んな゛な゛に゛がしゃ゛べっでよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」


それから一週間ほど経ったある雨の日の夜。
準備も整いそろそろ実験を始めようと思い最近放置気味だったのでゆっくりまりさに話しかけていた。
「どおじでずっどれ゛い゛む゛とあぞべないの゛お゛おお゛お゛お!!」
「だから言ってるだろ、れいむは病気で元気が無くてふさぎ込んでしまっているんだ
近づいたらお前にも病気が移ってしまう危険がある以上近づけるわけにはいかないよ」
実際の所、ゆっくりれいむは始めの頃は聞こえないながらもいろいろと喋って異常を訴えていたのだがどんなに声を出しても
誰も反応してくれないので段々と喋らなくなり、今では時折「ゆー…」だの「ゆっ…ゆっ…」だのしかいえなくなっていた。
「いや゛あ゛あ゛あ゛!ざびじい゛の゛お゛おお゛お゛!ひ゛と゛りぼっぢは゛いや゛あ゛あ゛あ゛!
ひどり゛じゃゆ゛っぐりでき゛な゛いよ゛お゛お゛お゛お!!!」
ゆっくりれいむが居ないからひとりぼっちとは、俺は全く数に入っていないようだ。
まあ餌をあげるとき以外は最近放置してたけど。
それはそれとしてもうすぐ準備していたあれが動き出す時間だ。
俺はわざとらしく嘆息してまりさの熱意に折れたかのようにこう言った。
「仕方ないな、そこまで言うなら連れてくるよ」
そういって家の奥へとれいむをとりに行った。

「…!ゆ!ゆ!」
まりさのところまでれいむを連れてくると
最近何も喋らずにただ餌を食べるだけだったゆっくりれいむがゆっくりまりさの姿を見て声を上げて腕の中から飛び出ようとする。
俺は怪我をさせないようにゆっくり檻の中に入れた。
「れ、れいむ!れいむうううううううううううううう!!!!」
「ゆ!ゆ!ゆ!」
二匹は再開を喜んで頬をこすりつけ合って喜びを表現しあった。
「れいむ!ずっとあいたかったよ!いっしょにふたりきりでゆっくりしようね!」
「ゆっゆゆ、ゆあーっゆ!」
おやおやまた俺は無視して二人きりとかいいましたよ。
お兄さん寂しいなあ、まあ最近餌あげて観察してただけだから仕方ないんだが。
ゆっくりれいむは口の動きを見てゆっくりしていこうね!といっていると判断して返事をしようとしたようだが
やはり喋り方はほとんど思い出せないようだ。
「ゆ?れいむどうかしたの?ゆっくりしてね?」
ゆっくりれいむがゆっくりしていってね!といわないのでゆっくりまりさは全身で怪訝な顔をした。
「れいむは病気の後遺症で二度と言葉を喋れなくなっちゃったんだ」
「ゆ!?ひどいよ!ちゃんとれいむをなおしてね!」
「こればっかりはどうしようもないんだよ…ゆっくりなれてね!」
「い゛や゛あ゛ああ゛ああ゛!!れ゛い゛む゛どおじゃべりぢだい゛い゛い゛い゛!!!」
親友ともう二度と語らえないことを知って泣き叫ぶゆっくりまりさ。
「ゆ、ゆー…ゆゆ…」
「ゆ…」
親友が泣き出してとても不安そうな顔をするゆっくりれいむとその顔を見て泣くのをやめてゆっくりれいむと向き合うゆっくりまりさ。
「ゆっくりごめんね、おはなしできなくなったってれいむはまりさとおともだちだよ」
「ゆ、ゆゆー!」
「ずっといっしょにゆっくりしようね!」
声は聞こえないが気持ちは伝わったのだろう、二匹は再び頬をこすり合わせ始めた。
なんて感動的な光景だろう。
人を身体的特徴で差別しているような連中にこの二匹の姿を見せてやりたいものだ。
俺はこころが震え、感動の涙を流した。

それはそれとして実験開始のためにそろそろ発電機に燃料を入れに行かないといけない。
とりあえず感動の対面を続けている二匹はそのまま放置して河童製の発電機に燃料を入れるために棚を探した。
「ゆ…おなか…すいた…」
「お、あったあった」
餓死寸前のゆっくりれいむを箱から出して風呂敷に包んで発電機のところへ持っていくと充電機の蓋を開ける。
「あーやっぱり止まってる」
中身は回し車が設置されており、それをゆっくりが廻して力を生み出すらしい。
「ほーらこれに入りな、回すと餌が出てくるから頑張って回すんだよ」
「…!?ゆ…ゆっくりまわすよ…!」
息も絶え絶えでゆっくりが回し車を回し始めると、少しずつ餡子が出てくるのでゆっくりは夢中でそれを貪りながら回し続ける。
「ゆぅううう!うっめ!これめっちゃうっめ!!!」
もう大体わかっただろうと思うが今ゆっくりが食べてる餡子は前にこの回し車を回し続けていたゆっくりだ。
回し車が止まると壁が迫でてゆっくりを横に押し出し、そのままひねり潰して餡子にして次のゆっくりの餌にするシステムだ。
ゆっくりの補給と歯車の整備を怠らなければ長いこと動いてくれるらしい。
今はこれを例の外の機械の力ほ補充するのに使っている。

さて、発電機が動き出したところでそろそろあの二匹のところへ戻るか。

「ゆー♪ゆー♪」
「ゆ、ゆゆ♪」

[ゆっくりしていってね!]
「ゆっくりしていってね!
ゆ?いまれいむしゃべったよ!
やったね!これでゆっくりおしゃべりできるね!」
「ゆ、ゆー?ゆっゆっ♪」
れいむが喋ったと思ってはしゃぎまわるまりさとよくわからないがまりさが喜んでいるので一緒に喜んで跳ね回るれいむ。
実のところ今の声は前に外の世界の機械を使って音を取って置いたものを再び鳴らしただけだ。
それも定期的にその音が鳴るように設定しておいた。
このまま放置すると普通すぐに力がなくなってしまって動かなくなるのだがこれは常に発電機に繋いであるので
ゆっくりの補給さえ怠らなければ夜中中ずっと動かしっぱなしでも大丈夫だ。
しかしゆっくりまりさが勘違いするのも無理も無い、あの声はゆっくりれいむの声を取って置いたものなのだから。

[ゆっくりしていってね!]
「ゆっくりしていってね!」
「ゆ、ゆー、ゆー♪」

さて、夜が明けたころにはどうなっているか楽しみだ。
「まあ遊ぶのは明日にして今日はゆっくり眠っていきなさい」
そうして俺は耳栓をして寝床に入った。

「ん…もう大分明るいな…」
布団から出るともう既に日が高く上っていた。
目覚ましを使えなかったのでついつい寝過ごしてしまったようだ。
「…っく…ぃってね」
「ゆ…っ…ぃってね」
何かぼそぼそとした音が聞こえたがうまく聞き取れない。
そういえば耳栓をしたまま寝たんだったと思い出してすぐに耳からそれを外すとゆっくりまりさの怒号が聞こえてきた。
「れいむがなんどもゆっくりしていってねっていうからぜんぜんゆっくりねむれなくてかったよ!
もっとゆっくりしてね!ゆっくりできないれいむはまりさにはやくあやまってね!」
「ゆ、ゆー?ゆー!ゆー!?ゆゆー!?」
まりさだけが全く寝ていないらしいことを確認する。
予想道理夜中の間何度もゆっくりしていってね!の声に対して何度も目を覚まして返事をしていたようだ。
やはりゆっくりしていってね!と言われるとつい返してしまうゆっくりの本能はかなり強いものらしい。
そしてまりさは完全にれいむがなんどもゆっくりしていってね!と言っていると信じ込んでいるようだ。
濡れ衣を着せられ、といってもれいむには何を言っているのかわからないだろうがとにかく怒っていることだけはわかったらしく
よくわからないが自分は何もしていないんだとれいむは必死に首を横に振っていた。
しかしまだ限界には程遠い、もっとギリギリの状態までやってみないとな。
[ゆっくりしていってね!]
「ゆっくりしていってね!
…いいかげんにしてね!ゆっくりおこるよ!」
「ゆー!ゆー!ゆあー!」
おやおやれいむが泣き出してしまった。
何とかしてやりたいが寝坊してしまっているので早く畑に出ないとな。

さて、そんなこんなでまたあっという間に日が過ぎて行き三日ほどたった。
[ゆっくりしていってね!]
「ゆっくりしていってね!
…うああああああああ!!!ゆっくりでぎな゛いよ!ゆっぐりでぎな゛いよおお!!!
どおじでま゛り゛ざをねむらぜでくでないの゛お゛お゛お゛お゛お!!!」
「ゆ、ゆー?ゆゆーゆゆー」
「HA☆NA☆SE☆」
「ゆっ!?ゆ、ゆー」
ふむ、もう三日三晩寝ていないはずなのだが餌はしっかりあげているせいかまだまだ元気だな。
れいむは起きる度に壊れていくまりさを見て心配で心配で堪らないようで必死に頬を擦り付けてなだめようとしているが
まりさに振り払われてしまったようだ。
もう少しこの状態を続けてみよう。


その日の夜、俺は床についていると、耳栓越しからでも家の中でドタンバタンする音が聞こえたので泥棒かと思い慌てて起きて
枕元に置いてある防犯用の金属バット(例の外の品を扱う店で買った)を片手に家中を哨戒した。
歩きながら落ち着いてよく聞くとどうやらゆっくり檻の方から物音がしているようだ。
早速見に行って見た。
[ゆっくりしていってね!]
「ゆっくりしていってね!
ゆ゛う゛う゛う゛う゛!いいかげんにしてねれいむ!」
「ゆすー…ゆっ!?…ゆゆ?」
物音の正体はゆっくりまりさが眠れず怒り来るって暴れる音だったようだ。
遂に怒りの矛先はゆっくりれいむに向かい、体当たりをされたれいむは眠気眼をこするようなしぐさをしながら起きた。
「ゆー?ゆーゆゆゆ、ゆぃゆぁ
ゆぁいゆぉぅゆ、ぇいゅぁゆぉっゆゆゆぅゆ」
観察を続けた結果、最近はゆっくりれいむの口元の動きである程度何を言っているのかがわかるようになってきた。
そういうことが出来るのもれいむがまりさが話すのを見て自力で喋り方を習得しようと努力して口の動きを段々思い出してきているのも大きい。
今のは恐らく
どーしたのまりさ、だいじょうぶ
れいむがまもってあげるよ
と言ったのだろう。
「おしゃべりできないふりはやめてね!まりさはれいむがいたずらしてるのちゃんとわかってるよ!
いままりさにあやまらないとほんとうにゆるさないからね!はやくあやまってね!!!」
まりさはもう後一歩で完全にブチぎれるところまで追い詰められているようだ。
やはり睡眠不足から来るストレスは計り知れない。
さて、れいむも状況はある程度把握出来ているようだがジェスチャーだけで謝罪の意を伝えられるかどうか。
「ゆ、ゆんゆぁゆゆ」
[ゆっくりしていってね!]
「ゆっくりしていってね!
…ゆっくりしねええええええええええええ!!!!!!!」
あ、まりさがキレた、なんというタイミング、なんという運命の悪戯。
ゆっくりまりさが怒りに任せ、ゆっくりれいむに対して何度も何度も体当たりを食らわせた。
「ゆぐっ!?ゆ゛っ!ゆ゛ぁ!」
「ゆっくりしね!ゆっくりしね!ゆっくりしねええええええええええ!!!!」
まりさの体がれいむにぶつかるたびにれいむから餡子が飛び散った。
それは一方的な暴力だった、れいむは反撃しようとさえしていない。
「ぁ…っ!ぇゆぃぅ…ぃゆ゛ぉ…!」
「よくもまりさがおねむなのにいじめたな!
そんなれいむだいきいらいだよ!
はやくゆっくりしんでねえええええええええええ!!!!!」
おや、れいむが何かまりさに言おうとしているようだ。
体当たりで体が揺れてよく見えないが、口元に集中して見続けて、なんとか読み取れた。
「ぇゆ゛ぃぅ゛ぉ…ゆゅっ!ぃゆぇっ…!」
「ゆっくり…しねえええええええええええええええええええええええ!!!!!」
「れいむを信じて…か」
そう小さくつぶやくのと同時にれいむが餡子を撒き散らして弾けとび、その音で俺のつぶやきはかき消された。
「やった…これで…これでゆっくりできる…うふ、うふふふふふ、れいむがいったとおりゆっくりしていくね!
うふふふふふふふふふふ…!やった…やった…」
面白いものが見れたので俺は満足して、ゆっくりれいむの亡骸を掴むと潰して畑の肥やしにでもしようと玄関から外へ出た。
「ゆっくりそのゴミクズをどこかにやってね!うふふふふふ…!」

「ゅ…ま…ぃ…」
おや、まだ息がある様だ。
しかしもう長くあるまい、実験動物とはいえ無為に苦痛を与えるのも気の毒だ。
トドメを刺してあげよう。
そう思い俺は持っていた金属バットを振り降ろした。

フォンっ…グシャッ

次の日の朝、俺が目を覚ましてゆっくりの檻の方を見に行くと、まりさは恐怖に髪を振り乱して白目をむいて震えていた。
[ゆっくりしていってね!]
「ゆっくりしていってね!
あああ…どうじで…どうじでれ゛いむ゛のごえがずるどお゛お゛お゛お゛!?」
「どうして?れいむとまりさは友達なんだからいつでも声が聞こえるくらい近くに居て当然だろ?」
「だっでぇえ゛え゛え!!だっでれ゛いむ゛ばも゛うい゛な゛いはずな゛の゛に゛い゛い゛い゛い゛い゛い!!!
ま゛り゛ざが…ま゛り゛ざがごろ゛じだどに゛い゛い゛い゛いい゛いい゛い゛!!!」
そういってまりさは頭をガンガンと壁にたたきつけた。
「じゃあきっと幽霊になってもまりさと一緒に居たいんだな」
「い゛や゛あ゛あ゛あ!ゆっくりきえてよおおおおおおおおおおおおお!!!!」
[ゆっくりしていってね!]
「ゆっくりしていってね!
い゛や゛い゛や゛い゛や゛い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああ゛あ!!!」


一週間後。
「ゆ…ゆ…」
[ゆっくりしていってね!]

「…ゆっくりしていってね!
ゆゆ…ゆっくり…ゆっくり…した…い…もうゆるじでれいむ…ごべんなざい…ごべんなざい…ごべんなざい…ごべんなざい…
ごべんなざい…ごべんなざい…ごべんなざい…ごべんなざい…ごべんなざい…ごべんなざい…ごべんなざい…ごべんなざい…」
[ゆっくりしていってね!]
「どおじで…どおじでゆるじでぐれな゛い゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛…!」
ふむ、そろそろ弱ってきたな。
餌だけは必ずあげているからまだ喋るのに問題は無いようだが。
朝から晩までずっとぶつぶつと独り言を言っているようだった。
「ほーら餌の時間だぞー!」
「おにいさ…ん…れいむがゆるじでくれないよ゛…まりさは…まりさはわるくないのに…
れいむに…ちゃんとあやまってねっていっただけなのに…」
もはやまりさは髪は乱れて抜け落ち、白目を常に剥き、トレードマークの帽子はくしゃくしゃになって地面に落ちていた。
「ん、そうか
じゃあれいむが悪いんじゃないか?」
[ゆっくりしていってね!]
「ゆっくりしていってね!
そっか…れいむがわるかったんだ…そうだ…まりさはちゃんとあやまってねっていったのにれいむが…
うぅぅぅうう…!まりさは…ゆっくりしたいだけなのに…れいむ…うふふふふ…れいむがちゃんとあやまるまで…ぜったいに…ゆるざないよ…!
ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…
ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…」
[ゆっくりしていってね!]
「ゆっくりしていってね!
ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…」
ちなみに音の出る間隔をさらに短くしてあります。

さらに三日後
もうまりさは限界に達し、ろくに食事も喉を通らず後は死を待つのみという状態になった。
なので俺は実験の締めくくりとして少し面白い余興を行うことにした。
「まりさ、今日は別のお友達を連れてきたからゆっくりしていってね!」
そういってまりさに頭からオレンジジュースをぶっかける。
これで多少回復するだろう。
「…もう…おともだちなんて…いらない…れいむ…
ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…ゆるざない…」
「そう言うなよ、今までずっとまりさとお話してたお友達がやっと顔を見せてくれにきたんだから」
そういって俺は懐から例の外の世界の品を取り出した。
「ゆ…なに…それ…たべもの…?」
ピッ
俺はボタンを押しあの声を再生した。
[ゆっくりしていってね!]
「ゆっくりしていってね!
…れい…む…のこえ…いま、そのくろいのかられいむのこえが…」
「ははは、ずっと、朝も昼も夜もこいつがれいむの声で言ってたのさ
ゆっくりしていってね!ってさ」
「ゆっくりしていってね!
おにいさん…まさか…まさか…」
多少元気が出てきたようだ、オレンジジュースが十分に浸透してきたか。
「病気が治ったれいむと最初に会わせたとき言ったよな
れいむはもう二度と言葉を喋れないって」
「ぱぴぷぺぽおおおおおおおおおお!!!ぱぴぷぺぽおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
おお、完全に元気になったようだ。
よかったよかった。
それにしても事態がゆっくりブレインでも理解してくれたようでよかった。
この意味をわかってもらえないと興ざめなことこの上ない。
「れ゛い゛む゛は…れ゛い゛む゛はな゛に゛もわ゛る゛いごどじでながっだの゛に゛ぃ゛ぃ゛いい゛ぃい゛!!!
ま゛り゛ざが…ま゛り゛ざがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!」
「ついでだかられいむが最後に言った言葉、お前は聞き取れなかったみたいだから教えてやろう
れいむの最後の言葉は『れいむを信じて』だ」
「ぱぴぷぺぽおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
まりさが白目を剥いた瞬間ブチブチという奇怪な音が鳴り響いた。
何の音かと見ていると目から餡子がだくだくと流れ出している。
まさか視神経が千切れるほど白目を剥いているのだろうか。
そんな奴初めて見た。
「まあまりさよ、いろいろ辛いだろうが俺から言えることは唯一つだ」
ピッ

[ゆっくりしていってね!]
「ゆぐあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
まりさは遂にゆっくりしていってね!と言っても返事をしなかった。
代わりに恐ろしいほど大きな悲鳴を上げて檻に自分の体を押し付けるとそのままめり込んで行き
ぶちゃっぐちゃっという音をさせながら餡子を撒き散らし、半分ほど体をめりこませるとそのまま絶命した。

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最終更新:2008年09月14日 05:36
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