アメリカ、コロ○ド州ウィラ○ッテ。
人口53594人。
特産物特になし。
目立つのは大きなショッピングモールのみ。
この何の変哲も無い街が突如として厳重な情報規制の下、完全に封鎖された。
やぁ、俺はフランク。
フリーのジャーナリストさ。
この街ははじめて来るんだが、なにやらスキャンダルの匂いがする。
ということで、ヘリをチャーターして空から侵入する事にしたんだ。
ギャグが好きなパイロットのおっさんと軽い談笑をしながら街の様子をフィルムに収めようとしたとき、俺は唖然とした。
なぜかって?
そりゃそうさ、生首が跳び回ってるんだぜ?
「おい、なんだあれは……」
さっきまでつまらんギャグを抜かしていたパイロットのおっさんもちらちらと街に目をやる。
俺はとっさにカメラを構えてズームした。
すると、タクシーの上に一人の人間らしき物体が必死で生首を振り払う。
息を呑んで写真を撮っていると、ついに生首が人間のズボンの裾をひっぱり、地面に引きずり降ろした。
そこに群がるようにして生首がジャンプする。
そこから先は見ていない、たぶん人間は死んでいるだろう。
「おい、あそこもだぜ!」
おっさんが指差した方向をみると、工場か何かの屋上に、女性らしき物体が生首に囲まれていた。
逃げ道をさがして走り出すが、その行く手を生首にさえぎられてしまう。
ついに逃げ場をなくした女性、どうするのか見守りながらカメラを構える。
「なんてこった」
俺は思わず声を漏らす。
逃げ場がなくなり追い詰められた彼女は、なんと屋上から飛び降りたのだ。
あの高さなら多分死ぬか重度の骨折だろう。
たとえ骨折だけだったとしても、生首に襲われてしまう。
その時、このヘリと似た音が背後から鳴り響いた。
「ヘイ!軍隊さんのおでましだ!」
おっさんが慌てて操縦するため、俺は危うく振り落とされそうになる。
「どうする!?」
「……、あそこに降ろしてくれ」
俺が指差したのはショッピングモールの屋上だった。
「正気か!?」
「いいから、72時間後に迎えに来てくれ」
結局、俺は屋上に飛び降り、ヘリを見送った。
たぶん、あのおっさんなら大丈夫だろう。
俺はズボンについた土ぼこりを払い、立ち上がると目の前にプレスリーみたいな服を着た男が立っていた。
「その目で確かめるがいい。ここは、地獄だ」
そう言って立ち去ってしまった。
よく分からないがここが安全な場所ではない事くらいは知っている。
大丈夫、なんとかなるさ……。
■■■
一日目。
ショッピングモール入り口に行ってみると、そこは生存者達が多数いた。
モール内の店からありったけのものを取り出し、生首が入ってこないようにバリケードを作っている。
俺はその様子もカメラに収めた。
「ゆっくりしていってね!」
そとからはそう聞こえる。
意味不明だ。
「ねぇあなた、私の愛犬のマドンナちゃんを見なかったかしら?」
カメラで撮影していると、変なおばさんが俺に話し掛けてきた。
「いや……」
「そう」
残念そうな顔をすると、再び愛犬とやらの捜索にでかけた。
そういやモールの奥に行こうとしたらシャッターがかけられていて中にいたじいさんに怒られた。
その時。
「おい婆さんなにしてる!」
振り返ると、あの時のおばさんがバリケードを放り投げて出口へ向かっていた。
バリケードがなくなったことによって少し扉が開く。
「ゆっ!とびらがひらくよ!」
「もうすこしだね!」
なんかよく分からんがこいつらはとにかく中に入りたいらしい。
「マドンナちゃん!」
おばさんはそんな事気にせずに出口に突っ込む。
どうやら愛犬がみつかったらしい。
外に。
「やめろって言ってんだ、おい!」
周りの生存者の制止を無視しておばさんは扉を開けてしまう。
「ひらいたよ!」
「おばさんありがとう!
ゆっくりしんでね!」
ゆっくりゆっくり五月蝿いのでとりあえずあの生首はゆっくりと名づける事にした。
出口がゆっくりで埋め尽くされて行く。
逃げ惑う人々、俺はそれを写真で撮る事を忘れない。
「こっちだ!」
階段越しに黒人の男が俺に叫んだ。
しかし、目の前はゆっくりだらけ。
下手をすれば押しつぶされるかもしれない。
「だぁらっしゃあああああああああああああああああっ!!」
俺は意を決してゆっくりに突っ込む。
「ぶぎゅっ!」
「ゆ゛っぐべぇ!」
「どお゛じでぞん゛な゛ごどばぎょうげおあうあぐおあ!」
五月蝿いがとりあえず踏み潰して走る。
ぶちゅぶちゅつぶすたびに悲鳴を上げるので、ちょっと俺のサディスティックな面が出てきた。
「おらおらおらおら!」
プロレスでいうスタンピングでゆっくりを捻りつぶす。
「ゆ゛ぐえ゛ぁっ!」
目玉を飛び出し、中身が飛び出た。
思わず口に入ってしまい、あわてて吐き出そうとする。
が、
「あ、あめぇ~~っ」
思わずうまさにうっとりしてしまう。
「おいこらなにやってんだ」
黒人に正気に戻されて俺は慌てて階段を上った。
「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!」
ゆっくり達はモール内を行進する。
圧倒的な量に思わず俺は息を飲んだ。
「ほら、こっちだ!」
黒人は俺をひっぱり、俺はカメラを撮りながら引きずられていった。
男にひきずられて来たところは警備室だった。
ダクトなどが入れ込み、そう簡単にゆっくりたちが入れないようなつくりになっていた。
まぁここからは説明が面倒なのですっ飛ばす。
とりあえず黒人のほかにプロポーションの良いナイスバディな女と少ない生存者がいた。
んで俺は他の生存者を助けに行くことになった。
ダクトをこじあけて。
もちろんだがナイスバディな女はカメラに収めた。
オー、ファンタスティック!
■■■
一日目のお昼くらい。
あらためてモールに来ると、ものすごい事になっていた。
なんというか、一面ゆっくり。
「ゆっくりしていってね!」
「うん、ゆっくりするよ!」
「ゆっくりだね、わかるよ、わかるよー」
「ちーんぽ!」
あと、うっさい。
おばさん教師が怒って叫んだときみたいに耳がキンキンする。
俺はとりあえず生存者をさがす。
「おじさん? おじさんはゆっくりできる人?」
オジサン?
オジサンってなんだ、英語でおk。
ゆっくり、と名づけたのはこいつ等が共通(一部除く)して叫んでいるからだが、ほかの言葉は何を言っているか分からない。
ニュアンス的には日本語かなにかだろうか。
「何を言ってるんだお前等」
一応言葉は通じるらしく、俺の言葉に首(というか体)をかしげた。
「おじさんなにいってるかわからないよ!」
「わからないおじさんはでていってね!」
飛び跳ねて俺にアタックを仕掛けてくる。
大してダメージは無かったが、他のゆっくりたちも襲ってきた。
「しね! ゆっくりしね!」
ちりも積もればなんとやらで、こいつらが集まるととてつもなく熱い。
以前ハチは敵を倒すためにおしくらまんじゅうをすると聞いた事があるが、その類だろうか。
見た目が饅頭だしたぶんそうだろう。
「うるせえええええっ!」
俺は体を回転させてゆっくりたちを吹き飛ばす。
「ゆ゛っ!」
「ゆ゛う゛うううっ!」
吹き飛ばされたゆっくりは壁に当たって破裂した。
中から黒っぽいものが溢れている。
「どお゛じでごん゛だごどずる゛の゛! お゛じざん゛どばゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛!」
仲間がやられたのを見ると、皆だみ声になって俺に叫ぶ。
非難されているのだろうか。
あとで外国語わかる奴に聞くか。
「スタンピーンッグ!」
「ゆぶぁ!」
「わ゛がっ」
俺はとりあえず回りのゆっくりを踏み潰してから捜索に戻った。
お、生存者一名はっけーん。
なんだ、子供か。
よく生きていたなと思いながらも近づく。
「お譲ちゃん、ここは危ないからちょっとおじさんと一緒に来てくれないかな」
なんか言ってて犯罪者まがいのことを言ってる気がしたが気にしない。
「うー?」
振り返ると俺はおもわず飛び退いた。
体があるのに顔はあのゆっくりたちと似ている。
違うのは羽が生えてるのと体があるところか。
「お、お譲ちゃん、お名前は?」
恐る恐る話し掛けてみると、そいつは胸の辺りに手を置いて名乗った。
「れみ、りあ、うー☆」
うー、の部分で俺に手を差し伸べる。
相当電波入っているな、親が薬でもやっていたのだろうか。
とりあえず俺はその子の手を掴んだ。
「や゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!ごわ゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」
いきなり泣き叫ぶ。
また外国語かよ。
「うっせ、こいつうっせ!」
この声に気づいてゆっくりが来てしまうかもしれない。
この時を俺はまず彼女を落ち着かせる事を考えたよ。
「ちょっとだまるんだ!」
ぱちん、と軽くはたく。
パニックを起こしてる人間にはこれがちょうど良い。
だが、俺はこいつを『人間』と認識してる自体が間違いだった。
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!ざぐや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
さらに大きな声を上げて喚きたてる。
俺は必死になってそいつをなだめる。
「ご、ごめん! 頼むから泣かないでくれ」
「ぶぁーが! ざぐや゛に゛い゛づげでや゛る゛!」
だみ声になって俺を指差し、負け惜しみのような事を言う。
そのだみ声になってようやく俺はこいつがゆっくり種の一匹だという事に気づいた。
「くそっ!」
さっきからまともに取り合ってた自分が少し恥ずかしくなり、そばにあったマネキンの足で殴りつける。
「びゃびっ!」
奇妙な音を立ててそいつの額が割れる。
だが、そこから流れるのは血ではなく肉汁だった。
とりあえずそれを写真に撮る。(パーフェクツ!)
いちいちそいつと呼ぶのも面倒なのでさっき自分から名乗っていた……たしかれみりゃだったかな?
そう呼ぶ事にした。
「このっ! おらっ!」
「びっ! ざっ! っぐ! う゛!」
叩くたびに声をあげ、それが弱くなる。
そのとき、ふと俺の頭にあることが浮かんだ。
(こいつ……さっき肉汁を飛ばしたよな?)
頭から覗かせている肉の塊を指で救ってみる。
「い゛ぐっ」
びくりと体を震わせたが、それっきり動かない。
俺は恐る恐るそれを口に含んだ。
「oh...yeah!」
自然と体力が上がった気がする。
こいつは意外といける。
ゆっくり達は強暴だが、食料としては使えるかもしれない。
ついでなので、れみりゃの頭を食った時の瞬間を写真に収めた。(エクセレン!)
俺は、れみりゃがいた店をでて捜索を再開する。
しばらく歩いていると、ガンショップを見つけた。
その店の周りにゆっくりたちが興味心身に見ている。
扉は鍵がかかっているらしく、ゆっくりたちは入れない。
どうやら知能はあまり無いようだ。
俺はゆっくりを蹴散らして店をノックする。
「おじさんなにするの! ゆっくりできないならどっかいってね!」
何か言ってるが無視をする。
すると、店の奥のカウンターからおっさんが一人顔を出した。
「ヘイ! 俺はあんたを助けに……」
次の瞬間、おっさんが銃を構えたので俺は急いで飛び退いた。
逆に、ちょうど俺に飛びかかろうとしたゆっくりが、銃の餌食となった。
「ゆ゛べえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」
一瞬で体中穴だらけになり、ゆっくりは中身をぶちまけながら吹っ飛んだ。
「お゛があ゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!」
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
物陰から小さなゆっくりたちがそのゆっくりに近づく。
もしかしてこいつは小さい奴の親なのだろうか。
だとしたらこいつらは今も繁殖しているのか。
「ここから出て行け! もう誰も信じられるか!」
「おいおい、落ち着いてくれ。 俺がこいつらにみえるか?」
問答無用で銃声が返ってくる。
慌てて避けたが、ショットガンの散弾が俺の頬を掠めて赤い線を作った。
それより後ろの小さなゆっくり達のほうが被害がすさまじい。
「ぎゅえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」
「お゛ね゛え゛え゛え゛え゛え゛ぢゃあ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!」
出口に近かった子ゆっくりが、もろに散弾を浴びて砕け散る。
それを見て涙をながしながら生き残った方が擦り寄った。
(涙出るんだなこいつら)
とりあえず物陰に隠れて泣いてるゆっくりの写真を撮る。(グーッド)
しかたなく、俺はおっさんを倒す事にした。
俺はちいさなゆっくりを捕まえる。
「お、おじさんなにするの!?」
何か叫んでいるが意味がわからないので無視。
俺はそれを思い切りカウンターへ投げ込んだ。
「!!」
とっさの反応でおっさんはゆっくりを撃ち抜く。
「ゆ゛っぐり゛っ!!」
その隙を狙って俺は店内に入り、おっさんを蹴り飛ばす。
吹っ飛ばされたおっさんは、当たり所が悪かったのか気絶してしまった。
俺はとりあえずライフルと拳銃を手に入れ、弾薬をポケットにありったけ詰め込む。
ちなみに拳銃はシグザウエルP226だ。
ライフルは古風なガーランド、大戦中のライフルだ。
他にも銃は欲しかったが、あまり贅沢はできないので他の生存者のためにハンドガンをもう一丁持って店を出た。
「う……うう……」
ガンショップの店主が目を覚ます。
店は荒らされたままで、窓が砕け散っていた。
フランクの姿はない。
「ちくしょうめ、今度あったら……ん?」
不意に、足元に異様な感触を味わう。
下を見れば、ゆっくりの死体が苦悶の表情で踏み潰されていた。
「うわぁ!」
慌てて飛び退けると、勢い余ってしりもちを付く。
その時、店主の目の前にゆっくり達が姿を現した。
皆怒ったように膨れている。
「おじさんはわるいひとだよ!」
「ゆっくりをいじめたおじさんはわるいひと!」
「わるいひとだね! わかるよわかるよー!」
「ぢーんぽっ!」
群れているゆっくりを見て、慌てて店主は銃を取ろうとするが、ゆっくりのタックルで地面に叩きつけられる。
さらにその上にゆっくりたちが乗っかり、仲間を呼ぶ。
するとさらに廊下から大量のゆっくりたちが集まり、店主の上に乗っかった。
「う、うあああっ……!」
べち。
情けない音と共に、店主は圧死した。
餡子を大量に含んだ体を膨らませることによって、ゆっくりの体重は桁外れに上がるのだ。
そしてそれを隠れてみていたフランクはそっと写真を撮った。(ファーンタスティック!)
最終更新:2009年02月06日 09:24