11月の下旬、寒さが気になり始め冬の訪れを感じる季節、
丁度ゆっくり達が必死になって
冬篭り用の餌を蓄えている時期だ
そしてこのゆっくり一家もそうだった
「ゆーー!!がんばってあつめないとふゆがこせないんだよ!!」
「ゆっきゅりしたいからがんばっちぇあちゅめるんだじぇ!!」
「おきゃーしゃん!どんぐりみちゅけたよ!!」
「ゆ!!すごいねれーむのあかちゃんは!これだけあればふゆもゆっくりできるよ!!」
必死に冬篭り用の食料を集めるゆっくり家族、そこには大量の木の実や虫が積み重ねられていた
これだけ集まれば30匹近くからなるこの大家族でもこれだけあれば簡単に冬が越せる。
母れいむはそう思っていた
―――だが数分後母れいむの思惑は音を立てて崩れる事になる
ゆっくり達は食料を母れいむの口に詰め込み帰宅する。
だが自分達の家に居たのは見たこともないゆっくりありすとゆっくりまりさだった
「ゆ!ここはまりさとありすのあいのすなんだぜ!!はやくでていくんだぜ!!」
「ゆ!?なにいってるの!?ここはれいむたちのうちだよ!!ゆっくりでていってね!!」
「なにいってるのよ!ここはとかいはのありすたちのゆっくりぷれーすよ!!でてくのはあなたたちでしょ!!」
「ばかいっちぇないではやきゅでってっちぇね!!」
ゆっくり達の口論が始まった、20分経った今でも全く話に進展がない。
すると痺れを切らしたゆっくりまりさが赤れいむに勢い良く体当たりを食らわせた
「ゆびゅっ!!」
赤れいむは勢い良く壁にぶつかり餡子を吐いて絶命する
「ゆぎゅううううう!!?れーぶのあがぢゃんになにずるのおおお!!?」
「ゆっゆっゆ!ゆっくりできないやつはゆっくりしぬのがいちばんだぜ!!」
「ゆ゛ーーーー!!おねえしゃんになにしゅるのーー!!」
一斉に10匹程の赤ゆっくりがゆっくりまりさとゆっくりありすに飛び掛る
だが考えてみて欲しい、例えば成人の大人2人に10人の赤ん坊が飛び掛ったところで勝てる訳がない。
そしてゆっくりも例外ではなかった
「ゆぎゃっ!!」
「ゆぐぴっ!!」
「ゆぎゃああああああ!!」
繰り返される地獄絵図、親れいむは発狂寸前
とうとう30匹近くいたゆっくり家族は20匹まで数を減らしてしまった
「れいぶだぢのあがぢゃんになにずるのおおお!?」
「とかいはなありすにさからったんだからこうなるのはとーぜんよ!!」
「それよりおまえさっきからおいしそうなにおいがするんだぜ!!」
ゆっくりまりさはニヤニヤしながら目から滝のような涙を流す母れいむを見ている、
多分その様子から見て母ゆっくりが食料を持っているという事に気づいているのだろう
「ゆっくりだすんだぜ!!」
「げぽォっ!!?」
ゆっくりまりさが母れいむの腹部に体当たりを仕掛ける。
すると口に溜めておいた木の実が少しこぼれ落ちた
父まりさは助けるどころか逃げようとしている
「ゆっゆっゆ!!もっとだすんだぜ!!」
「ゆごぺぇッ!!!」
ゆっくりまりさは再度腹部に体当たりを仕掛ける。
さらに木の実がこぼれ落ちる
「こんなんじゃたりないんだぜ!!!もっとだすんだぜ!!」
「ゆぶゥッ!!」
今度は餡子も出た
「まだまだたりないんだぜ!!もっと」
「ゆ!わかったよ!!そのきのみをぜんぶあげるからおかーさんをゆるしてね!!」
そう提案したのは兄弟の中で一番母親思いの子れいむだった
「ゆ!?でもこれがなかったら・・・!」
「またあつめればいいんだよ!!ゆっくりがんばればふゆまでにはさがせるよ!!」
「ゆううううう・・・」
親れいむは泣く泣く口の中の木の実をゆっくり達に渡す
「ゆ!なかなかのでなーね!!これでふゆがこせるわ!!」
「じゃあまけいぬのゆっくりはすぐにここからでてくんだぜ!!」
家族ゆっくり達は自分達を嘲笑うゆっくり達から逃げるようにとぼとぼと元おうちから離れていった
「ゆっひゃっひゃ!!まけいぬはゆっくりにげるんだぜ!!」
「ねえまりさ!これだけでなーがあればふゆがこせるわね!!」
そう、このゆっくり達は秋の間は遊んでばかりで冬篭りの準備を全くと言っていいほどしていなかったのだ
それで困り果てていたとき、この巣を発見し食料を奪いに来たのである
「ゆ!!じゅうぶんすぎるんだぜ!!これでふゆはまいにちゆっくりできるんだぜ!!」
「それにしてもほかのゆっくりからでなーをうばうなんてありすたちはとかいはね!!」
「そうだぜ!!くろうせずにたべものがてにはいるなんてまりさたちはてんさいだぜ!!」
「ほう、略奪程度で天才とは、月の天才が聞いたら呆れるだろうな」
突如聞こえてきた声に戸惑うゆっくりまりさとゆっくりありす、
「ゆ!?だれなの!?」
「かくれてないではやくでてくるんだぜ!!」
「言われなくとも!!」
謎の声の主はなんと天から降りてきた。
実際には木の上からだが
「ハロー!元気かい!?皆大好き虐待お兄さんだよ!!」
謎の声の主は人間の青年だった
声の正体を知ったゆっくり達は自分が驚かされた事に腹を立てて青年を罵倒する
「わたしたちをおどろかそうなんてそうとうないなかものね!!」
「さっさとまりさとありすのあいのすからでていくんだぜ!!」
青年は構わず続ける
「それより君達、さっきここに住んでいたゆっくりを追い出さなかったかい?」
ゆっくりまりさは少し躊躇ったがこう言った
「なにいってるんだぜ!?ここはさいしょっからまりさのものだぜ!!ばかなの?しぬの!?」
「そうよ!ここはまりさとありすのあいのすよ!!いなかものはさっさとしんで!!」
「あくまでシラを切り通すとは・・・では力づくで吐かせるまでだっ!」
実はこの青年は木の上で最初から様子を見ていたので全て分かっているのだが
「ゆっゆっゆ!!まりさたちにたたかいをいどむなんてすくいようのないじじいだね!!」
「あんたみたいないなかもののじじいにとかいはのわたしたちがまけるわけないでしょ!」
「みのほどをわきまえるんだぜ!!」
「いなかものはかくのちがいもわかんないの!?」
「口だけならなんとでも言えるよ♪それとも低脳餡子脳味噌君にはこんな難しいこと言っても分からないかな?」
「ゆゆっ!!?」
突然の言葉攻めに驚くゆっくり、
「あれ?来ないの?低脳でチキンなんてフナムシの方が百倍いいかもね!」
「ゆぐぅっ!!?」
「じゃあお兄さんは帰ろうかな、こんなに不細工な饅頭と一緒にいたら不細工がうつっちゃうからね!!」
「ゆがっ!!」
罵倒することはあっても罵倒されたことはないこのゆっくり達の無駄に高いプライドはズタズタだろう
顔中に餡子筋が浮かんでいて、般若のような顔をしている
青年が背を向けた次の瞬間逆上したゆっくりまりさが飛び掛かってきた
ゆっくりまりさのは青年の後頭部めがけて一直線に跳んでいく
「ゆがああああああ!!ゆっくりじねええええええ!!」
丁度30cm程ゆっくりまりさが迫ってきたと同時に青年がふいに後ろへ振り返る
「この時を待っていたのさ!!」
「ゆ・・・ごがぁッ!!?」
振り返った青年はゆっくりまりさの顔面に(ゆっくりにとっては)強烈なヘッドバッドを入れる
歯が7本程抜け落ちたゆっくりまりさは地面に叩きつけられ、5m程転がっていった
「ゆばがッごぇ!!」
ゆっくりまりさの餡子が少しはみ出る
もちろん加減をしていなかったら青年のヘッドバッドが当たった次の瞬間には餡子の塊と化していただろう
「ゆぐううう・・・・!!いじゃいよおおおおお!!」
「ゆあああああ!!ばりざああああ!!じなないでえええ!!」
「さて・・・さっき君はお兄さんの事いなかものって言ったよね・・・?」
青年はゆっくりありすに詰め寄る
駄目だ、この人間には勝てない、
そう悟ったゆっくりありすはカスタード脳をフル回転させて打開策を探す
痛い思いはしたくない、まりさもたすけたい、ゆっくりしたい。
ここからゆっくりありすが導き出した答えは―――
「ゆあああああ!!すいませんでしたあああ!!ゆるしてくださいいいい!!」
そう、命乞いだった
昔人間の家に勝手に入った時も許してもらえた、畑を荒らしたときも許してもらえた、だから今回も許してもらえるはず
そんな絶対的な自信がゆっくりありすにはあった
「・・・じゃあ君は許してもらってどうしてほしいのかな?」
「まりさをたすけてくださいいいい!!ゆっくりさせてくださいいいいい!!」
「分かった許してやろう」
ほらやっぱり、人間はどうしようもなく馬鹿なんだ
ゆっくりありすは下を向きながら必死で笑いを堪えている
後で仲間のゆっくりを集めてこいつに復讐しよう。
そうしたらこいつを奴隷にして毎日とかいはなでなーを持ってこさせて、まりさと2人きりで・・・
「って今まで何人の人間に言われてきた?」
「ゆ?」
青年はゆっくりありすの髪を掴んで持ち上げる
「いだい!いだい!いだい!はなじで!!」
「確かに普通の人だったら君を許してくれるだろう・・・でも俺は許さん!」
「なんでええええ!!?ゆるじでよおおおおお!!」
「何故?それは・・・俺が虐待お兄さんだからだっ!!」
ゆっくりありすの髪を引きちぎる
「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛・・・・!!」
ゆっくりありすはあまりの痛みで気絶してしまった。
「あれ?もう気失っちゃったの?早いなー・・・まあ手間が省けていいけど」
「ゆああああ!!ありずがづるづるになっじゃっだよおおおお!!」
「大丈夫、大丈夫髪なんてなくても変わりないから」
「ゆがあああ!!きちくううううう!!」
青年は喚くゆっくりまりさの口の中に手を突っ込んだ
「おごおおおおお!?おじはんはにひてるのおおおおおお!?」
「あー、虫歯がありますよーあまあましゃんの食べすぎですねー。もう手遅れだし抜いちゃいましょうかー(笑)」
「なにいって・・・・ゆごがあ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
青年の手には餡子まみれになったゆっくりまりさの歯が何本も握られていた
「とうもろこしみたいに抜けますねー、歯槽膿漏の疑いがあるので検査しまーす(笑)」
青年は指を歯が抜けた後の歯茎に押し当てる
「ゆォべェええ!!!ぐギャおォオオおおお!!あがががががっが・・・・!」
ついにゆっくりまりさも気を失った
「いやー!ゲスなゆっくり共を虐めるのはまさにすっきりー、だな!!」
そういうと青年は2匹の気絶ゆっくりを巣穴に押し込みフタをする
「今度子供でも生んだら真っ先にお兄さんに報告してくれよ!虐めてやるから!!」
ちなみに数年後この2匹のゆっくりは10人程の子供を引き連れ、再び青年と再会することになるがそれはまた別の話、
「あ、あと」
虐待お兄さんがUターンして巣穴の前に戻り一言
「お兄さんどっちかってーと田舎派なんだよね!!」
木枯らしが吹き始めた森の中には青年の笑い声だけが響いていた
一方追い出されたゆっくりの家族はただひたすらと食物を探していた
しかし今は11月の下旬である。ゆっくり家族が冬篭りできる量の餌などある訳がない
「じぇんじぇんたべものみちゅかんにゃいよーー!!」
「ゆーーー!!もうやだーー!!ゆっくちしちゃいーーー!!」
ついに我侭を言い始めた赤ゆっくり達、ゆっくり家族の疲れは限界に達していた
「もとはといえばおねーしゃんがわりゅいんだよ!!」
「そうだじぇ!!よわいおきゃーしゃんをたしゅけなかったりゃいまごろゆっくちできたんだじぇ!!」
「ゆ・・・!」
終いには母を助けた子ゆっくりまで罵倒する赤ゆっくり。一家のムードは険悪そのものである。
そんな時見つけたのが人間の家だった
「ゆ!!ここならゆっくちできしょうだじぇ!!」
「ゆ!だめだよ!!にんげんはすっごくこわいんだよ!!ゆっくりかえろうね!!」
「よわいおきゃーしゃんはだまっちぇね!!」
「ゆぐ・・・!!」
「にんげんなんちぇこわくないじぇ!!みんなであちゅまりぇばすぐにたおしぇるんだじぇ!!」
赤ゆっくり達の勢いに負けて母れいむは仕方なく手頃な石を咥えて低めの窓ガラスに突っ込んだ
ガシャンという音と同時にゆっくり達が歓声をあげる
「やっちゃね!!こりぇでゆっくちできりゅよ!!」
「こりぇならふゆのあいだもゆっくちできりゅね!!」
「おかーしゃんはすごいね!!」
明らかに母れいむに媚びているゆっくりがいたが母れいむは子供たちの喜ぶ顔を見て微笑んだ
「ゆ!ゆっくりはいるよ!!」
「おきゃーしゃんひっぱっちぇね!!」
子供達がガラスで足を切らないよう親ゆっくりは上から慎重に子供達を引っ張りあげる
そこはまさに天国だった、
布団やソファーがあるおかげで寒さはしのげるし、なにより大量の食料があった
「ゆっくりできるね!!」
それから2日後
「ゆっゆ〜♪ゆっくりできるよ〜♪」
「おきゃーしゃんおうたうまいんだじぇ〜!」
「「「ゆっくりしていってね!!」」」
ここは人間の家屋だが我が物顔でその中心に居座りゆっくりしているのは20匹程のゆっくり家族
あれから2日もここでゆっくりしていたが今だに家の主人は現れず、ゆっくり達は完全にここを自分の家と思い込んでいた
「むーちゃ♪むーちゃ♪ちあわちぇーー!!」
「うっめ!めっちゃうっめ!!」
「まだまだいっぱいあるんだぜ!!」
お腹が減ればスナック菓子や果物を食べ始めるゆっくり家族、今まさにゆっくり家族は幸せの絶頂にいた
しかし予期せぬ事態がゆっくり達を襲った、
家の主人が帰宅してきたのである―――
男は真っ黒な服を着ていてそれに随分やつれていた、目には涙のあとがある
「ゆっくりしていってね!」
いきなり声をかけられた男は少し驚いたが、状況を把握すると声をかけてきたゆっくりまりさを踏み潰した
「ゆぎゃッ!!いだいよおおおお!!だずげでええええ!!」
「ゆぎゃああああ!!まりさあああ!!」
子ゆっくりの悲鳴を聞いてゆっくり家族が駆けつけた
「ゆうう!!!おじさんまりさになんてこと」
「黙れ!!」
「ゆ!?」
男が一喝するとゆっくり達は一斉に口をつぐんだ
更に男は続ける
「てめえら人の気持ちも知らずに・・・!!」
鬼のような形相をした男の目には涙が浮かんでいた
「ゆ、ゆっくりしてね!?」
「おじさんこわいよ!ゆっくりしていってね!?」
身に危険を感じたゆっくり達は必死に媚を売る
が、遅すぎた
「何が・・・ゆっくりだこのクソ饅頭共おおおお!!!」
振り上げた男の拳は赤れいむを餡子の塊に変えた
ゆっくり達はパニックになりそこかしこに逃げ回る
「ゆぎゃあああああああ!!ゆっくりにげゆぎゃああああああ!!」
「ゆっくりしてゆびゃガッ!!」
「だれがだずげでよお゛お゛お゛お゛!!
「もっどゆっぐりじだがっだよおおお!!」
男の家に木霊する饅頭達の断末魔
男は楽しむわけでもなくただ怒りにまかせてゆっくり達を潰した
「お前等なんか!お前等なんかあああああああああああああ!!」
男の拳が母れいむに直撃する
「ゆべっ!!」
母れいむは一瞬で原型をなくした
「ゆぎゃあああああ!!おがあざああああん!!」
「まりさはにげるんだぜ!!おまえらはゆっくりしね!!」
「逃がすわけねえだろおおがあああ!!」
「ゆゲッ!!」
割れたガラスから逃げようとした父まりさは男の足の下で潰れ饅頭となった
「ごれじゃあゆっぐりでぎないよおおおおおおおお!!!」
そして数分後、残ったのは餡子と皮とあの母思いの子れいむだけ一匹だけだった
子れいむは体をがたがたと震わせながら男から逃げようとしている
「ゆ!ゆっくりしていってね!!」
男の拳が子れいむに振り下ろされる
「おらああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「ゆ゛ーーーーーーーーーーっ・・・・・ゆ?」
子れいむに男の拳は当たらなかった
なぜなら男がその場に泣き崩れたからである
「ゆ・・・ゆっくりにげるよ!!」
子れいむはこの隙に割れた窓ガラスで下部を傷つけながらも家を脱出した、今日起こった惨劇を餡子脳に刻みながら
母も死んだ、父も死んだ、姉も死んだ、妹も死んだ
子れいむは初めて孤独というものを知った
ガラスの破片で切った下部の皮が破れて餡子が漏れ出しているが子れいむは気にせず森へと走り続けた
番外編なのに続く
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こんにちわHILOです。
今回は「ゆっくりとかくれんぼ」シリーズの番外編的な物を作らせてもらってます。
今回は本編と違って全体的にシリアスな感じになっています(空気の読めない虐待お兄さんもいましたが)
それにしてもシリアスな話はいかんせん時間がかかって面倒臭いですね・・・
そんな訳で話を分ける事にしました。番外編なのに
とりあえずこれらが書き終わったら「ゆっくりとかくれんぼ」シリーズは完全に終了です。
そしてこれが終わったら自分のペースでちょくちょく短編SS出すようにしたいです。
では
「ゆっくりしていってね!!」
最終更新:2011年07月30日 02:14