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ゆっくりいじめ系3220 リセットさん

旧wikiより





#15
ゆっくりの額にトランプのカードが張ってある。その日の番号は各ゆっくりには知らされていない。

「今日はごはんさんのはいぶん、どう決めようか?」にんげんさんが問いかける

(カードの)数字が強いものの総どりと、あるまりさが主張した。

「さいっきょうのものがごはんさんを ひとりじめするべきなんだぜ。
よわいやつらは、さいっきょうのゆっくりのあしもとにあたまを
こすりつけておすそわけしてもらうのがとうぜんなんだぜ。
それもたーだ、わけあたえるのじゃだめなのぜぇー?
つよさにおうじてわけられるべきなんだぜっ!
さいっじゃくのやつは、おなかぺーこぺーこでしねばいいんだぜ
げーらげらげらっ」

「まりさぁ、それはやめたほうが。もっとみんながしあわせぇ~になれる
ほうほうがあるとおもうのだけれど。それをかんがえましょ?ねっ」

ゲームのルールをおぼろげながら理解している聡いぱちぇなどは、まりさの発言を
なんとか撤回させようとする。

他のゆっくり達も、とりあえずまりさの額の数字は理解したようで、

「そうなんだよー、やめたほうがいいんだねー」

「そうだみょん、つよさとか かんけーないみょん」

自らが真に強くなければなかなか言い出せない台詞をみょんが吐いた。

みな同情しているような、心配しているような口ぶりだが、顔には蔑みのにやにや笑いが
隠せないのがゆっくりという生ものの人(ゆん)格の低さを如実に物語っている。
他ゆんの不幸を見て、めしうまぁー!と思わないほどのゆっくりにはなかなかお目に
かかれたためしがない。

さいっじゃくのやつは、おなかぺーこぺーこでしねばいい、そう言いきったまりさは、
その日、なにもごはんを分けてもらえなかった。額の数字が最弱の2だったからである。

おなかを鳴らしながら、まりさはつぶやいた。
「なんでなんだぜ、まりさはさいっきょう!のはずなんだぜ?どぼじでこーなるのー?」

残念な餡子脳では、ゆっくり固体の強さとカードの強さが何の関係もなく独立して決まること、
そしてこの場でもっとも意味を持つのがカードの強さであるというゲームのルールにまだ気づけて
いないようである。
ちなみに言えば、まりさはさいっきょう!というのもまりさの思い込みに過ぎず、最強は、順当に
みょんかちぇん(除く、れいぱー化したときの強化ありす)ではないか、というのは誰もが
うすうす気づいている事なのだが、まりさのことを慮って誰もそれを口にしないだけである。





『ゆっくりポーカー、ヴェールと愛のむち。』(副題)





ルールをある種の生き物とみなして、人間が関与することでその進化を促そうという社会実験の
ごときものがこの実験棟ではゆっくりの群れを使って行われている。実験のプロジェクト名を
「無知のヴェール・プロジェクト」という。
上の文章の人間を神、ゆっくりを人間に置き換えれば、その位置づけはよりはっきりするだろう。
人間が神の領域に迫るための、いわば超人計画だ。

この実験のコンセプトを一言で言えば、公正・正義に関する思考実験である。
ある社会集団の中に自生的に公正なルールを発生させるためにはどうすればいいか。
自分の強さがわからない(=無知のヴェール)という状況をつくってやれば、もし自分が最弱でも
生き延びられるように、ルールは進化・改変されていくだろう、と。
理念型のモデル上は、最弱のものが一番利益を得られるようなシステムに進化するはずだ。




100平米ほどの実験モジュールの中に60頭ほどのゆっくりの群れが起居している。三面は
打ちっぱなしのコンクリート、一面は強化ガラス張りで、その面にだけ人の出入りが可能な、気密性の
高いドアがあつらえられている。実に殺風景で寒々とした風景だが、人工太陽ともいうべき明かりと
森林を模した植樹が、あたかもPC上のゆっくりウムを想起させる。

部屋の隅には、箱舟が置かれている。いや、箱舟であるという言及がなされなければ、このいかだが
ある種の舟であると気づくものはいないかもしれない。長ぱちぇはなんとなくこの舟の名前と役割を
知っているような気がしていた。この舟の名は「"のいらーと"のふねさん」。ゆっくりたちが信じ、
やがてたどりつくはずの約束の地、伝説のゆっくりプレイスへとぱちぇたちゆっくりをいざなって
くれる、ゆっくり神からの預かり物。
これは大切に手入れをして、後代に守り伝えなくてはならない。この木に蟲食うもの、菌糸を生や
して徐々に蝕もうとするものは長の威信にかけて全力で排除しなくてはならない。
長の手入れに余念はない。

しかし誰もが長の労苦を認めるわけではない。非協力的どころか、中にはあからさまに不平や不満を
口にするものさえいる。

「なんでまりささまのきちょうなじかんが
そんなめんてなんすさん
とやらにうばわれなくちゃいけないんだぜ?
ばーかばかしいのぜっ!」

群れの総意は、やるなら、ぱちぇ1ゆんでやれということらしい。あぁ、ただでさえ群れ運営の
通常業務だけでも忙しいのに身体がいくつあっても足りないのだわ、むっきゅん。
長はひとりため息をつく。それでも長は1ゆん黙々と作業をこなす。

群れの日々の生活は安定していた。毎日、朝晩の2回に分けて、上手く配分されれば優に群れ全体が
飢えの恐れなく過ごしていけるだけの安定した分量のごはんさんを、にんげんさんが運んでくれる。

長の仕事はといえば、「今日はどうやって、分ける?どういうルールにするの」
というにんげんさんの問いかけに応えて、群れの話し合いで今日の配分ルールを討議し、
一定の結論へと導くことである。
それも、長の独断ではなく、なるべく群れ全体の意思と議論の流れを踏まえた、まとまった
1つの方向へそれとなく誘導しながらである。ぱちぇ自身の意見は極力抑える。もちろん、立場のない
立場など存在しないので、時には自説を強く押し出すこともある。だが、議論のマナーを弁えない
ものなどが議論を荒らしたときなどの限られた場合にしかそういう品のないことはしない。ぱちぇは
自ゆんを黒子だと思っている。

ある朝、声のでかいまりさがにんげんさんにかみついた。いや、物理的に噛んだのではなく、
文句をつけたのだ。

「やい、くそじじぃ、ごはんさんがすくなすぎるんだぜぇー?」

ネコと呼ばれる手押し車のようなものに山盛りっ!でごはんさんは毎日運ばれてくる。
朝3杯、夜4杯。もっとも3より大きい数を認識できないゆっくりにとっては微妙に絶妙な
数字ではあった。

だめっ!潰される。群れの被害をせめて最小限にしないとっ。まりさ、ゆっくりして逝ってね。
さいあく、ぱちぇも ゆん柱になって、にんげんさんの怒りを沈めないと。長は覚悟を固めた。
だが、にんげんさんは怒りもせずに、一見折れたような態度を示す。

「むーん、わかった、こうしよう。いままでは朝3ばい、夜たっくさんはい、だったけど。
明日からは朝にたっくさん持ってくるよ『ゆぉーー!!やったのぜ』そのかわし、夜は
3はいにするよっ!」

「むきゅ、それは"ちょ-さんぼし"といって、てんけいてきな だましなのだわ・・・」

だが、ぱちぇの賢明な声は声の大きな集団の前ではかき消されてしまうのだった。

「ゆふふっ。まりささまのこうっしょうじゅつ!のおかげで、ごはんさんのわりあて
がふえたのぜ!これでどんどんおちびをそだてることができるんだぜぇぇー!
もっともっとすっきりして、もっともっともーっとゆっくりするんだぜぇ!」

「「「「ゆんゆん、やぁー」」」」

「まりさ、すてきっ!」

「それほどでも・・・、あるのぜぇー!もっとまりさをたたえてねっ!」

「ばかにつけるくすりはないのだわっ。むっきゅん」

一週間後、まりさは頭を悩ませる。(おかしいんだぜ、ごはんさんのわりあては
たしかにふえたはずなのに。あたらしいおちびのぶんがぜんっぜん まかなえない
んだぜぇ?)

当たり前だ。馬鹿なの?死ぬの?餡子脳なの? 


               *


毎日の配分ルールを決定する朝会が今日も開かれる。一日の最初に必ず行われるのが、にんげんさん
たちによるナンバリングと呼ばれるものである。ゆっくりの額にトランプのカードを貼り直す作業だ。
一日ごとにトランプAとトランプBの組を交互に使い分ける。中身は寸分変わらない。
単に作業の便宜上。
カードの数字は毎日入念にシャッフルされたカードから切り出され、その日ごとに成体ゆっくりの額に
貼り改められるのでランダムであり、階層が固定化されるという心配は確率上はない。


このところ、ルールの決まり方に1つの変化が現れてきた。
すなわち、自ゆんの額の数字を推し量った上で、自ゆんの属する階層ぎりぎりで配給がストップされる
ようなルールをそれぞれのゆっくりが主張しだしたのである。

カードの数字は相手ゆっくりの自ゆんへの侮り具合でおおよそ知ることができる。
ゆっくりには、相手がゆっくりしているか、ゆっくりしていないかを本能的に察知する高性能な
ゆっくりセンサーのようなものが標準装備されているようで、自分の額のカードを見せたときの相手の
リアクションを見て、こいつは舐めた態度をとった。ならば、今日のカードはだいぶ悪かったな。
低階層だ、と判断。逆にふつー、それなりーの反応だと中階層、相手がびびった態度を見せたら高階層
のカードであると予想がつく。

ちなみに、たいがいのゆっくりに数は数えられないのに、どうしてこんな芸当が可能かというと、トラ
ンプには数字に加えて、スペードやハートのマークが書き込まれているからである。
地が多くのマークで埋め尽くされていればいるほど、強いカードであるということは、ゆっくりにも
認識可能なのだ。絵札などはお手の物。
ゆっくりはビジュアル処理に関しては並の人間を凌駕するほどのスペックを発揮することはお飾りの
微細な違いで固体識別している事実からも明らかである。そういうことだ。

声のでかいまりさの数日間を観察することで、その様子を素描してみよう。

ある日のまりさは、7のカードを引いた。まずまずの位置である。まりさは群れのみなにちらちらと
額のカードを見せ付ける、が、さして目だった反応はない。これでまりさは自ゆんの数字の強さは
中くらい。とあて推量ができた。
まりさの今日の主張はこうである。

「まりさはこうおもうのぜ。やっぱりこのよは じゃくにっくきょうしょっく!なんだぜ!
さいじゃくのやつらは、とうたされるほうがむれぜんたいのためなんだぜぇええええ!!!!!」

「まぁ、いちりなくもないみょん。ぶげいはたしなむべきだみょん」

「わかるよー、かりははやいものがちなんだよー。おくれを
とるものがだんだん、ちからをなくしていくのはしかたないんだねー
わかれよっ!」

こうして、武闘派ゆっくりのシンパたちを説得するのである。

結果、今日のルールは数字の大きさに比例して分配、という形に落ち着いた。
低階層にも広く厚く行き渡るはずの分配を最小にすることで、自ゆんの取り分が増える。
そういう計算である。


またある日のこと。今日のまりさのカードは最悪の2であった。まりさを見る他のゆっくり
の目が明らかに、ゆっくりしていない。誰もが道端におちたうんうんを見るような目で自分を
にやにやみている。やばい、今日は最下層だ。

こんな日のまりさは、シンパとこそこそ密談である。やがて、比較的いいカードを引いたちぇんが
口火を切る。カードの強さはそのまま意見の説得力に、いつのまにかなっていた。

「このまえは、よわいゆっくりはとうたされてもしかたない、なんていっちゃったけど
どうしてそんな ひゆんどうてきなこといっちゃったのか、わっからないんだよー!!」

「みょん?どういうこころがわりなんだみょん?」

「ちぇんははんせいしたよ、もっとほかのゆっくりにもやさしくしなくっちゃって。
みんなもちぇんのきもち、わかるよねぇー?」

「ッ! ありす、かんどうしたわっ。ちぇんのえんぜつにこころをうたれたわ。
そうなのよっ。よわいものどうし、さべつされたものどうしがてをむすんで
ささえあうべきなのよ」

「ゆー、れいむもおおむね さんっせいだね。やっぱりきめてはぼせいだよっ!」

「むー、みながそういうみょんか。しかたないみょん。そういうひもないとよわいのが
さすがにうえじにしてしまうみょん。それはさすがにやりすぎかもしれないみょん」

「(ゆぷぷっ、まりささまのすじがきどおりなのぜっ。これできょうもおまんまさんに
ありつけるんだぜェぇええええええ!!!!!!!!)」

朝の分配のあと、まりさは軽くちぇんに親愛のこづきであいさつを交わす。

「ちぇん。おかげでまりさ、おおだすかりだったのぜ」

「わかるよー、こまったときはおたがいさまなんだねー」(ニヤリ

「わかってるんだぜぇ。こんどちぇんのすうじがよわいとき、
このかりはかならずかえすんだぜ」

「わかってるとおもうけど、これでまりさへのかしかりは、ちぇんの
"かしかた"2、なんだねっ、わかれよー」

「まりさにたいして"かりかた"3のれいむから、ちぇんがかわりに
2だけとりたてるのは、ありなのかぜ?」

「むー。めどくなるから、わからないってこたえるよー」

相撲の星の貸し借りにも似た八百長的な世界になってきた。これって、ひょっとして談合?
やっぱり、少しでも知恵がつくとゆっくりは穢れるものなのだなぁ。
つくづくエデンの園からは出たくないものだ。
純朴なるものよ、ゆめゆめ知恵の実などお齧りなさいますな。
     アップルシンジャニナッチャダメッ!
まぁ、ゆ虐コンテンツに手を出した時点で純朴なるものなどどこにもいないとは思うのだが。



ゆっくりが育んでいるルールの進化は明らかに、実験者側の望まない方向へと変化を続けている。
その日の午後、実験棟の会議室に責任者以下、実験に携わる主要なスタッフを集めた緊急集会が
開かれた。

「・・・いけませんなぁ、これは失敗ですぞ。そろそろやりますか?」

「已むを得んでしょう」

「では、そういうことで。散会っ」



その夜。どどどどどっ。なにかのすたんどさんが出てきそうな効果音が実験棟を襲う。

「な、なんなんだぜ? ものすごくゆっくりできないよかんが
びんっびんするんだぜぇぇーー!」

「むっきゃー、あれをみるのよ、まりさ!」

「「ゆっぎゃぁぁーー!」」

そこには、天井の隅のパイプさんから滝のように水が流れ落ち、みるみるリノリウム張りの
床とその上のカットじゅうたん式天然芝を黒々と覆っていくという怖ろしい光景が拡がっていた。

どどどどどどっ。

「ゆっ、おちびちゃんはおかーしゃのおくちにゆっくり
はいってね。おかーしゃのおくちはてっぺきだよっ」

「ゆっち、ゆっち、ゆっゆーん。おかーしゃのおくちはゆっきゅりできるにぇっ」

「まちゅのじぇー、ま、まりちゃがのりおくれちぇりゅんだじぇー?」

「さぁ、のりおくれた『れいみゅ』はいないねっ。ゆっくりひなんするよーっ!」

「「「ゆん、ゆん、やー!」」」

「だきゃら、まりちゃをかずにいれるのじぇー、このくじゅおやー。
れいみゅはしねっ!ちんでしまえっ。おとーしゃ、どきょー?」

とっくにお食べなさいをさせられた父まりさが、もやーんとまりちゃの視界に浮かび、お空の
ゆっくりぷれいすからきらーん☆とうぃんくを送った。

「(おちび、つよく、たくましくいきのびるのぜぇー!)」

「むりっ、ムリゲーなのじぇー」

「ゆぷぷっ、うまくまりちゃをやっかいばらいできたよっ!おくちのていいんは
かぎられているからねぇ、わるいのはれいむじゃないよっ。ていいんいっぱいまで
れいみゅをつくった やりにげくずまりさのせいなんだよぉぉーー!!!」

このゆっくりたちは、いったい、どこへ向かっているのだろう。冒頭で言及したノイラートの舟、
といういかだを読者諸兄は覚えておられるだろうか。そう、大洪水の際のノアの箱舟のように
ゆっくりたちを伝説のゆっくりプレイスへと運んでくれると、賢者ぱちぇだけは信じていたアレだ。
信心の厚い長だけは日頃のメンテナンスを怠っていなかった。

普段は馬鹿にして、まともに取り合わなかった長の話を、いざ危機が目前に迫ったときにだけ都合
よく思い出すというのが、いかにも餡子脳で腹立たしいが、ゆっくりはいまひとつの大きな流れを
作りながら棟の一角に向けて一斉に移動を始めた。

どどどどどどどどどどどどどどっ。

「ずーり、ずーり、ゆふー、どうやらゆっくり まにあったよっ!」

「むっきゅーん。よく、ぶじだったわね、れいむ。おちびちゃんは?」

「ゆっ?おくちのなかだーよ。おちびちゃん、ゆっくりしないででてきてねっ!」

あんぐりと口を開けたれいむの口からは、どろどろとしたもはや生きたゆっくりどころかそれぞれが
何なのだか見分けのつかないパーツや物体どもが流れてきた。白い葛餅のような半透明な中に黒餡の
ような漆黒が塗り込められたものは、かろうじてれいみゅのおべべだと見分けがついた。
溶け残っているのは、こういう場面の定番どおり、やはりお飾りさんであった。

「ゆひっ?こ、これは、おちびちゃんの、おりぼんさんっ!どぼじで~!」

「・・・・ざんねんだけど、おくちのなかにおちびちゃんをかくまっていられる
あんぜんなじかんは、とてもかぎられているのよ。まりちゃもれいみゅたちも、
おきのどくさまなのだわ」

「まりちゃ?・・・ゆーっ」

とたんにれいむが気まずそうな顔をする。ぱちぇは気づく余裕がなかったが、一応れいむには
これでもやましい気持ちがあったようだ。
長がみなに指示をてきぱきと与える。

「みんな。じゅんびはよくって?そろそろ、ふねがじめんをはなれるわ。しょうげきに
そなえて、みんな、ゆかさんにしっかりしがみついてね?」

「「「「「「ゆっく(きゅ)り りか(きゃ)いしたよ!!!!」」」」」」

そのときだ。遅れて先のまりちゃが必死で飛び跳ねてきた。よくぞ溶けずにここまでこれたものだ。

「まつのじぇ~。かんじんのまりちゃちゃまがまだなのじぇー」

ゆふふ、千両役者は遅れて登場するんだじぇ?などとのんきなことを考えていたまりちゃの
頭頂部に、ゆっくりと動き出したいかだが乗り上げた。ざぶんざぶんと出航まぎわの不安定さで
いかだが上下に波打っていたせいもあるのだが。

「いじゃ・・・やべっt!!」

ぐりぐりとあっという間に赤ゆが潰された。偶然のアクシデントである。

あまりにも気分の悪い、幸先の悪い光景を見てしまったことについてはみんな、精神衛生上
よろしくないので、見なかったことにしようと決めたようである。だれもなにも言わない。
特に見ものだったのが、母れいむの表情の変化である。
彼女の顔の変化から、ゆっくりの内心の動きを想像してみようと思う。

最初、地平線と思われるほど遠くからまりちゃの姿をとらえたとき、れいむの顔が醜く歪んだ。
まるで、犯罪を暴く検察官にこれから告発されるような、苦々しい顔。
恐らく、(まずいよぉぉ、まりちゃをみすてたことがむれのみんなにばれてしまうよっ?)
ではないか。

次に、まりちゃが、丸太ん棒にどーん、ぐちゃっ!されたとき、宿便に悩まされていた人間が
踏ん張ってうんうんしゅっきりー!した後のような、爽やかな笑顔がぱーっと拡がった。
直後、世間体を気にするように一瞬悲しそうな顔を作るが、まわりの空気を読んで、別に悼まなく
ても大丈夫そうと気づいて、表情を緩める。能面のような無表情。

これは多分(ぷぎゃぁー、れいむさまをおびやかす くそまりちゃは、やっぱり、てんばつで
しんじまったよぉぉーー!さっすがれいむさまだねぇ、いっしゅん かんねんしかかっちゃったよ。
おっと、しおらしいかおをしないと、こころのこえがだだもれだーよ?
ゆっ?みんなそれどころじゃないみたいだねぇ、れいむ、ちょっとゆっくりさせてもらうよっ)
まぁ、こんなところか。

最後に、乱れた髪やおリボンさんなどの身づくろいを始めたのは、
(ゆぷぷっ、これでれいむは はれてどくっしんだね?こんかつせんせんになぐりこみをかけるよ。
すーぱーれいむたいふーんたいむ、はっじまるよぉぉーー!!!れいむのみりょくに きゅんじに
してねっ?みばえのいい、べんりなまりさに いろめをつかうよっ!?)ではないのか。


どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどっ。

舟はゆっくり波間をゆらゆらと漂う。

「むきゅー、せまいのだわ。みんな、もっとみをよせて。でも、まんなかのぱちぇは
おしつぶさないでほしいのだわ」←死亡フラグ

すごくまわりくどくて、相矛盾するオーダーを長が出してきた。ざわざわ。どうするんだぜ?
はしっこのゆっくりは、さっきからぴちゃぴちゃと跳ねる返り水に顔を濡らして、早くも溶ける
一歩手前である。

「とりあえず、おくへ。なかのほうへいっぽずつ つめるみょん」

屈強なみょんの指示に皆が従う。
ゆーえす、ゆーえす。わーわー。おすな、おすな。

「むきゅー、ちゅ、ちゅぶれりゅー」

四方八方から寄ってたかっておしくら饅頭されたものだから、中心の長ぱちぇはたまったものでは
ない。えれえれえれー。予想通り、ぱちぇがえれ死にをした。

これでこの舟は船頭を失ったようなものである。群衆を襲うパニック心理のようなものが
ゆっくりたちを襲う。
そんななか、いち早く舟からの離脱を図るものがいた。声のでかいまりさである。

「ゆっがぁぁーーっ! まりささまにはおふねなんてチンケなものはひつようないのぜ。
さいっきょうのあかしをいまこそみせつけるんだぜぇ~」

舟なしで自律して移動できる、ただそれだけのことがどうして最強の証になるのか。ゆっくりの
餡子脳の中のロジックなど、とても知る由もないのでわからないしわかりたくもないが、ともかく、
まりさは自殺したいようだ。死亡フラグがありありと見える。

「ゆふん、まりさごう、はっしんっ!なのぜぇ~」

逆さにしたうぃっちはっとにぴょ-んとまりさが飛び乗る、手馴れたものである。
通常、水上まりさでもない限りはある程度の訓練を要する水上移動モードにやすやすと
移行してみせた。

まりさ帽の浮力の源は大きく2つ。1つは幅広な"つば"自体が生み出す上方への力。もう1つは、
お帽子さんの空洞部分の空気が生み出す浮き輪効果である。お尻をすっぽり帽子にはめ込むことで
空気の漏れをふさぎ、その密閉空間に充満する空気を浮きに水面を移動するのだ。
もちろん、実験責任者がこの理に対して手をこまねいていたはずがない。

「ゆぴっ。あにゃるさんのあたりが、なんだかちべたーいんだぜ?」

そう、実験前に、全てのまりさ帽には先端に切れ目ないし穴が加工されている。
そこから容赦なく水攻めをされたというわけだ。

ゆらゆらとまだ水面をキープしていたまりさが、徐々に波間に沈む秒数を増やしていく。
先ほどはコンマ半秒ほどの沈み込みで浮かび上がったまりさが、次には3秒ほども波を被って
浮上しない。

「ぶはぁー、ぷぴゅーっ。だだれか、まりささまをたすけるんだぜぇ?」

飲み込んだ水をマンガのようにぴゅーと吐き出しながら、まりさが最後の鳴き声をあげた。

「ちーんぽ。ばかにつけるくすりはない、じごうじとくなんだみょん」

とぷん、という音を最後にまりさは床の方へとゆっくり沈んでいった。水中を沈むまりさの姿が
水面に屈折して朧に映る。救いの手を伸ばすようにまっすぐ天へと向けられたおさげさんが
憐れさをいや増している。ざまぁ。いや、なんでもない。つい心の声が漏れてしまった。
水中にはやがて餡子椿の花が咲くであろう。

天からごうごうと滝は流れ続ける。この神の怒りはいったいいつ収まるのだろう。気づくと
天が大分近づいてきたような気がする。

残りのメンバーの中では恐らくもっとも知能が高いありすがこう問うた。

「このまま、すいいがあがりつづけると、いったいありすたち、どうなっちゃうのかしら」

ある程度の知性がないと、破滅的な未来を直視することはできない。嫌な未来は見たくない
という本能の縛りから逃れて直視するのは大変な克己心がいる。だが、群れのみなが恐らく
うすうす気づいていながら、あえて口にしなかった確定的未来に関する推論をついにありすが
口にしてしまった。

「ちっくしょぉぉー!!!わかってたよっ!このままだとれいむさまもてんじょうといかだの
あいだでぺっちゃんこさっ。それがいやなら、おぼれじぬんだね、おまえもぉ、おまえもぉー、
みんな、みんな、みんな、ゆっくりしねぇぇぇぇぇぇぇええええぇえっぇえーーーー!!!」

巫女のように、なにかの霊を自ゆんへ降ろしたかのように、れいむがおたけびをあげた。

洗脳効果が高いのが、まだ自我が弱く幼い子ゆ・赤ゆである。

「「「「「「ゆっきゅりりかいしちゃよっ!」」」」」」

レミングのペンギンのように舟の縁から次から次へと水面へダイブする。

「まってぇー、ありすのかわいいおちびちゃん、と、とかいはぁあー!」

「くっ、ちぇんはきょうほどちぇんたちの あんよのはやさをうらめしく
おもったことはないんだねぇーー!おちびちゃんのダッシュがはやすぎて、ちぇんでも
つかまえられなかったよー。らんしゃまぁー、ごめんなしゃいぃー」

「おばえがぁぁー、おばえがぁぁああ、だぎづげだがらだあああ!
むのーなでいぶは はくろーけんのさびになれみょん!!!」

「ゆぎゃぁぁぁーーーー!」

脳天から中枢餡へ向けてまっすぐ刺さるように頭頂部から一突き。しかる後にポジションを上手く
調整して迫りくる天井自体が剣を押し込むように位置取りをさせる。
いわば突っ張り棒と処刑装置が一体化したようなものである。

「ゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っ・・・・」

「おまえのつみはそぉんなあまいものじゃすまされないみょん。でも、せめて、つっぱって
てんのくずれをすこしでもおくらせるみょん。それがせめてものおまえにできるつみ
ほろぼしなんだみょん」

足から溶けるのが先か、天井に押しつぶされるのが先かはもう誰にもわからない。
いかだの上には余命短き成体ゆっくりしか乗っていない、この先の未来を託すべき希望の子らは、
我先にみな舟を降りてしまった。これから、いったい何を希望に生きていけばいいのだろう。

どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどおくまんっ。

やがて、じゃっじめんと・たいむが厳かに全てのゆっくりの元へ訪れる。くぇっーくぇくぇ。
桜○花道より、ぼかぁ青田赤道の方が好きだなぁ。リビドー出し切ってるとこが好感持てる。
なぎら健Ⅰとかさいこーっ。

「「「「「(ちんぽっぽぉー)ちゅぶれりゅーーー!!!!!」」」」」

溶け残ったわずかな生き残りを容赦なく水神が屠る。先ほどまでぎりぎり突っ張っていたはくろー
けんは、とうに折れてれいむの亡骸を真っ二つに裂いている。

ぺしゃんっと、裂けたあにゃるから放屁したような気の抜けた音を最後に水の流れがせき止められた。
単にもはや水が流れ込む余地が微塵もなくなったからだ。神が怒りを静めたわけではない。


                 *


「いやぁ。いつ見ても、このリセットさんは最っ高だねぇ。私はこれが見たくて、こんな『社会実験』
なんてご大層な名目をつけて、本局から予算を分捕ってくるんだ。大掛かりなグラン・ギニョールを
タダで特等席に座って見ているようなものだからね、こんな役得はないよ」

バスローブを羽織った「責任者」がワイングラスを片手で回しながら、ゆっくりとくつろいだ表情を
見せている。

天からの降り止まぬ雨。それは最初から最重要項目として工事計画に密かに埋め込まれていた。
でなければ天井に水道パイプを後付けで工事するなどという、およそ不可能な工事や、水漏れのしない
気密性の高いドア一式をはめ込みなおすなどという、とんでもない面倒なことを後からしなくては
ならなかっただろう。大抵の人は遅れて気づく。そして後から賛辞の声を上げるのだ。

「だれの言葉だったかな。増長したまりさの出現は、群れの死亡フラグだと。だから、まりさは
増長しないよう活かさず殺さずでいぶが絞りつくさないとね。奥で家を守るのはれいむ、陰で群れを
守護するのはでいぶだって。いや、これは将来語られるSSの台詞だったかもしれないな」

増長したゆっくりどもを一瞬でリセットする、しかも神のごとき圧倒的な立場から無力なゆっくりに
徹底的に無力感を味わわせながら。無慈悲な天使による一瞬の圧殺を断行する。
今回は巫女れいむがなにかに乗っ取られたかのように神言をほざいたから、だいぶ乗組員が途中で
減ってしまったが、本来ならもっと最後の一瞬でカタルシスが高まっていたはずだ。

「まったく、れいむというやつは、どこまでもむのーで、われわれの足を引っ張ろうとするなっ。
れいむ種はぜんゆん死ねばいいよっ!」


 終)


【書いた人・兵庫あき】





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最終更新:2023年05月21日 22:33
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