ゆっくりいじめ系602 淡々とゆっくりを尾行してみた3

※この作品はfuku1991.txtの続きです







「「「ゆっきゅりしちぇっちぇね!」」」

『・・・・・・』

最終的にゆっくりまりさ2匹とゆっくりれいむ1匹の計3匹が無事に産まれた。

しかし、にんっしん出産にしては子どもたちはやけに幼い。

まりさたちは知る由もないが、それは紛れなく24時間監視され続けたストレスによって早産になったことが原因だった。

「れいむ~、みてよ~。みんなゆっくりしたこだよ~」

「そうだね~、まりさ~」

けれど、我が子の誕生の喜びのせいで親馬鹿全開のまりさたちにとってはそんなことはどうでも良いのかもしれない。

でれ~っとにやけた表情で無邪気に巣の中を跳ね回る子どもたちを見守っている。

親馬鹿パワーの前には100人の視線すらも何のその。

以前は気になって気になって仕方なかった男たちの存在が、今では洒落たオブジェのようにさえ感じられる。

と、妙な物思いにふけっていると、子どもたちが「おにゃかがしゅいたよ!」と言っているのが聞こえてきた。

「ゆ!まりさおとーさんはごはんをとってくるよ!」

すっと立ち上がった?まりさは喜び勇んで我が子の最初のご飯を確保しに行った。

今は晩秋。そろそろ食料を探すのも大変になってくる時期だ。食べ盛りの子どもたちがお腹いっぱい食べられるだけの食料を確保するのは難しい。

一応、巣の中にもそれなりの蓄えはある。しかし、越冬のことも考えるとそれらに手をつけることは断じて出来ない。

もっとも、今のまりさは我が子のあまりの可愛さにやられてしまっていて、そんな難しいことを考える余裕はないし、外に餌を探しに行ったのもそんなたいそうな理由によるものではない。

ただ単にたくさんの餌を取ってきて「おとーしゃん、しゅごーい!」と言われたいだけなのだ。なんと言う馬鹿っぷり。

そんな愉快な妄想で頭をいっぱいにしながら、まりさは意気揚々と餌を探しに出かけていった。

『・・・・・・』

そして、100人の男たちの内50人が、いつも通りにまりさの後を追いかけていった。



そんな感じでまりさが親馬鹿モードに突入していたその頃、れいむと子どもたちの待つ巣に危機が訪れていた。

その危機の名は捕食者。もっと正確に言うならばゆっくりゃだった。

胴体を持ち、圧倒的な強さを誇り、他のゆっくりにとっては恐怖の対象以外の何者でもないそれが、巣に近づいていた。

そして、れいむがその気配に気付いたときにはそいつはすでに入り口の前に立ちはだかっていた。

「ここはれみりゃたちのすだど~♪」

ゆっくりの巣にしては破格の大きさを誇るその巣に目をつけたらしい。

ゆっくりゃは巣の入り口に居座って「はやくでてこないとたべぢゃうど~♪」などと口にしている。

勿論、それは罠だろう。このゆっくりゃは巣の中に罠を設置している可能性を想定しているのだ。

「「「たべられだぐないよーっ!」」」

食べる、という言葉の力に圧倒されてたまらず巣を出て行こうとする子どもたち

しかし、れいむは親としてそれを自分の体で制した。

「だいじょうぶだよ!おかーさんがまもってあげるから、みんなはここでゆっくりしててね!」

そう言い残すと、れいむはただ1匹ゆっくりゃの待つ巣の入り口へと向かっていった。

「うっう~♪えみりゃのぱーふぇくとなさくせんだど~♪」

のこのこと出てきたれいむを見たゆっくりゃはもし虐待お兄さんが見ていたらお兄さんの理性がはちきれんばかりの笑みを浮かべる。

どうやら、自分の脅しに引っ掛かったものだと思っているらしい。

「ゆ!れみをたべれるものならたべてごらん!」

しかし、そんなゆっくりゃのことなど意にも介さず、れいむは自信満々の様子を見せ付ける。

「う~!なまいきだど~!」

安い挑発。しかし、それでもゆっくりゃ相手ならば効果は十分すぎた。

「ゆ!こっちだよ!」

「ぎゃおーーーー!!」

怒りに任せて突っ込んでくるゆっくりゃの攻撃を2,3度かわしたものの、れいむは壁際に、正確には壁にいる男たち際に追い詰められた。

『・・・・・・』

今、れいむのいる場所はちょうど人間の股の下。その人間は脚を肩幅に開いており、その空間はれいむ1匹が入り込むにはちょうど良い大きさだった。

したがって次のゆっくりゃの攻撃は人間の足に邪魔されない軌道のものに限定される。

正面から突っ込んでくるか、上から圧力をかけてくるか、両腕を駆使して上下から挟み込むように手を伸ばすか。

いずれにしても、攻撃の軌道は単調で読みやすく、ぎりぎりまで引きつければいくらでも反撃の隙を作ることが出来るものになるだろう。

そう、れいむは追い詰められたのではない。自らゆっくりゃを誘い込んでいたのだ。

「たべちゃうど~!」

ゆっくりゃは予想通りに真正面から両腕を伸ばして突っ込んできた。

れいむはその腕をぎりぎりまでひきつけたところで飛び跳ね、ゆっくりゃの頭の上に飛び乗る。

「うぎゃ!?」

れいむに両腕をめり込ませるはずだったが、すかされた上に頭に蹴りを喰らったゆっくりゃは盛大にずっこける。

両手は勢い良く洞窟の壁にぶつけたせいで潰れてしまい、手とは呼べない状態になってしまった。

更に全身を景気良くすりむいたせいで顔から、膝から中身の肉汁がだらだらと溢れ出している。

「うぎゃあああああああああああああああ!いだいーーーーー!!」

そして、あまりの痛みに耐えることのできなかったゆっくりゃはその場に尻餅をついて泣き始めてしまった。

しかしれいむの攻撃は終わらない。いや、正確に言えばれいむの攻撃ではない。

ゆっくりゃに止めを刺した攻撃はゆっくりゃの頭を蹴ったときに洞窟の外に飛び出していたれいむを追いかける50人の男たちの突撃だった。

『・・・・・・』

れいむを追いかけること意外に何の反応も示さない男たちは容赦なくゆっくりゃという障害物を蹂躙していく。

「うぎゃ!?」

右足が踏み潰される。

「う、げっ、ぎゅ、くぅ、べぇ、ぶほ、ぱぁ!?!?」

左足を潰され、膝蹴りによって仰向けにされ、胸を、腹を、腕を、腰を、顔を次々に踏み潰され、ぼろぼろと中身が零れ落ちる。

数にものを言わせた怒涛の暴力は、ゆっくりゃに悲鳴を上げる暇すらも与えない。

男たち全員が巣の外に出て、れいむを追いかけ始めた頃には、ゆっくりゃは物言わぬ肉まん、いやただの肉塊に成り果てていた。



その日以来、まりさたちはこの男たちが大好きになった。

確かに無感動で無反応で不気味である。しかし、彼らの視線も自分たちを守ってくれたもののものだと思えば心地良くさえあった。

理由も、意味も、目的も何一つ分からないし、何故まりさたちなのかもよくわからない。

また、子どもたちには一切関心を払わず自分たちだけを凝視している理由も分からない。

それだけではない。この人間たちはいつ食事をしているのか、寝ているのか、用を足しているのか・・・何一つ分からない。

けれど、ひとつだけ確かなことは、この人間たちのおかげで子どもたちを守ることが出来たということだった。

「「「ゆっくりしていってね!」」」

季節は初冬。子どもたちも少しは成長し、にんっしん出産で生まれる子どもの標準的なサイズになっていた。

『・・・・・・』

「れいむ、きょうもへんじしてくれなかったね!」

「うん、ざんねんだね!」

「でも、あしたはきっとへんじしてくれるよ!」

いつの頃からか、無反応な人間に朝一番に挨拶するのが子どもたちの習慣になっていた。

勿論、一度たりとも返事を貰ったことはないし、それどころか男たちは両親ばかりを凝視しているのでまともに目線があったことさえない。

それでも子どもたちはいつか自分たちを見て、「やあ、ゆっくりしていってね!」と返事してくれると信じている。

ゆっくりには分からないことだが、それは人間の信仰にも似た感情だった。






ある日、一家が目を覚ますと例の男たちが消えていた。

巣の中は勿論のこと、巣の周辺を探してみても一人の影を見つけることも出来なかった。

「まりさ、あのにんげんたちいなくなっちゃったね!」

「うん、そうだね。ちょっとさびしくなっちゃったけど、これでよかったんだよ」

本来ゆっくりを意味もなく100人もの人間がつけ回すことなんてありえない。

そう、このがらんとした馬鹿でかい空間こそ、この巣のあるべき姿なのだ。

しかし、子どもたちはそう簡単に割り切ることが出来なかった。

「ねえ、おかーさん・・・あのひとたちどこにいったの?」

「どおしてあのおじさんったいはまりさたちをみてくれなかったの?」

「れいむたちがわるいこだから?」

生まれたその日から数週間の間、人間たちの張り付いている壁ばかり見つめていた子どもたちにとって岩の壁はあまりに無骨すぎた。

100人分のスペースが空いてしまった巣はあまりにも寂しすぎた。

毎朝、目を覚ましたときに「ゆっくりしていってね!」という相手が急に100人も減ってしまったことが切なかった。

結局、彼らが自分たちに返事をしてくれなかったことが酷く悲しかった。

「ゆ!ちがうよ!みんないいこだよ!」

両親はそう言うけれど、だとしたらどうしてあの人間たちは自分たちを見てくれなかったのだろう?

どうして、ゆっくりしていってね!って返してくれなかったのだろう?

そんな疑問ばかりが募っていく。

生まれたその日から自分たちのそばにいた人間たちのことだからこそ。

ゆっくりゃに食べられる運命にあった自分たちを助けてくれた人間だからこそ。

まるで、親に見捨てられらかのような絶望を味わっていた。

「そうだよ!これがほんとうなんだよ!これでよかったんだよ!」

「どぼぢてそんなごというのおおおおおおお!!」

だから、その人間がいないのが正しいと言う両親に腹が立った。

「そんなこというおかーさんなんておかーさんじゃないよ!」

「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおおおおおお!!」

「おにーさんたちのことをいないのがいいみたいにいうからだよ!」

「おにーさんたちのことわるくいうおかーさんなんてゆっくりしね!」

勿論、子どもたちは両親の事だって大好きだ。しかし、だからこそ人間たちのことを「いないのが正しい」なんて口にするのが許せなかった。

その日の夜はいつものように家族全員でまとまらずに、両親から離れた場所で子どもたちは眠りについた。



翌朝、両親が目を覚まし、子どもたちの様子を伺うと1匹のまりさが動かなくなっていた。

死因は凍死。ずっと100人の人間がこの巣を埋め尽くしていたせいで気付かなかったがこの季節、夜は酷く寒いのだ。

しかも、その人間たちの体温が巣の中を温かく保っていたことが防寒用の葉っぱなどの収集を怠らせてしまっていた。

そんなときに吹き込んでくる風から自分たちを守ってくれていた両親から離れて眠ったのが原因だった。

「まりざあああああ!どぼぢでうごがないのおおおおお!!」

「ゆっぎぢぢでいってねっでいっでよおおおおおおお!!」

「おがああああぢゃあああああああああん!しゃぶいよおおおお!!」

「さぶぐでゆっぐぢでぎないよおおおおおおおおおおおおおおお!!」

昨日の仲たがいに続いての1匹の死。

そして、全ての引き金になったのはあの人間たちの消失だった。

「おにいいいいざんだちいいい!だずげでえええええええ!!」

「ごれじゃゆっぐぢでぎないよ!!」

れいむとまりさは思った。

きっと自分たちは人間たちの視線がないとゆっくり出来ないんだろうな、と。


---あとがき---
Q.奇形児が生まれるかと思ったのに
A.一応未熟児は生まれました
Q.あのお兄さんたちは結局なんだったの?
A.森の妖精さんです。逞しくなる程度の能力を持っています。
Q.ぶっちゃけ途中で投げただろ?
A.アクセス規制でモチベがガタ落ちしました、さーせんorz

当初は短編のディスコミュものにする予定だったんですが、まりさの精神力が強すぎてうまくいきませんでした。
ディスコミュものを書くときは傲慢で身勝手なクズのほうが良いですね。
思い通りにならないからヒステリーを起こすことに説得力が持たせられるし。
で、何故か最終的に環境変化を利用した虐待になってしまいました。
きっとこの後、まりさたちは人間に見てもらいたい一心で人里を目指してAQNに虐殺されることでしょう。

byゆっくりボールマン

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最終更新:2011年07月29日 18:08
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