ゆっくりれみりゃが空き家に住んでいた。
 空き家でもそれなりに丈夫な外観、そしてまだ綺麗な状態のベッド。
 自称紅魔館のお嬢様を自負するれみりゃのぷっでぃん脳では、随分と豪華なお屋敷に映っている事だろう。
「う~♪ さくや~だっご~♪」
 起き掛け、一人空き家でそんな事を言うれみりゃ。
 れみりゃは取り合えず朝はこう言って起きる、たとえ咲夜が居なくても。
 しかし、このれみりゃは違った、きちんと咲夜がいたのだ。
「おぜうさま!! さくやがまいりましたぁ!!!」
 勢いよく寝室に入ってきたのは、一匹の饅頭。
 青紫の髪の毛にカチューシャ、そして青い瞳。
 ニコニコとれみりゃに話している顔。
 その外見的特長からゆっくり咲夜と呼ばれている。
「う~♪ しゃくや♪ だっご~♪」
 そう言って手を伸ばすれみりゃ、しかしどう考えても体の大きいれみりゃを饅頭の咲夜が持ち上げられるはずも無く、渋々ベッドから降りるれみりゃ。
「おぜうさま!!! おきがえのじかんです!!!!」
 笑顔のまま、そう言ってれみりゃに着替えを促す。
 勿論、紅魔館でご寵愛を受けて無残に食べられるれみりゃは代えの服は有るのかも知れないが、唯の空き家に住んでいるぷっでぃん脳しか持たないれみりゃに代えの服が有るはずも無く、一度服を脱いでまたその服を着る、という作業をするだけである。
「う~♪ れみりゃはひどりでおきがえできるぉ~♪」
 前が見えなくなり十六回ほどあちこちにぶつかりながら上着を脱ぐ。
 足がもつれ、十六回ほどあちこちにぶつかりながらスカートを脱ぐ。
 裏返しになりながらシャツを脱ぎ、一回頭をぶつけてドロワーズを脱ぐ。
 それを逆に繰り返せばお着替えは終了である。
「はぁはぁ!! おぜうさま!! おうつくしい!!!」
 その様子をじっと見ていた咲夜はそんな台詞を呟きながら、何故かある鼻から蕨餅を滴らせていた。
「しゃくや~♪ れみりゃおぎがえおわっだどぉ~♪」
 俗に言うれみりゃスマイルと言う破壊力抜群の笑顔で咲夜に報告する、自分でパチパチと拍手までしている。
「おぜうさま!! さすがです!!! ……そろそろちょーしょくです!!」
「う~♪ しゃくやおがじたべどぅ~♪」
 二つの食べ物は仲良く一階に移動する。
 奥の部屋、そのぽっかり空いた床は二メートルほどの穴が開いていた。
 穴を見ればゆっくり霊夢一家。
「ゆ!! おかーさんおなかへったよ!!!」
「ゆっくりできないよ!!!」
「がんばってここからでようね!!!」
 どうやらここに落ちたらしい、しきりにジャンプして上がろうとする一家。
 それが叶わないとピラミッドを組んで上がる。
 しかし、重みと人数が足らずそれも無理。
 するとさっきの事は忘れてまたジャンプ。
 その繰り返し。
 一日三回ピラミッド中に潰れた子供を食べるので、ドンドン人数が減っていく一家。
 そうやら霊夢の中でもオツムが極端に弱いらしい。
「う~♪ おまんじゅ~おまんじゅ~♪」
 言うが早いか穴に飛び込むれみりゃ、勿論今日の朝ごはんだ。
「ゆゆ!! こんにちは!! れいむたちゆっくりできないの!! ゆっくりたすけてね!!!」
「「「ゆっくりしようね!!!」」」
「う~♪ た~べちゃ~うぞ~♪」
 大きい母親霊夢から食べ始める。
「ゆ!!! なにずるのーー!!!」
 必死に抵抗するが、今まで散々意味の無い運動を続けていたゆっくり達は殆ど抵抗できない。
「ゆゆ!! ゆっぐりやめでね!! れいむはだめののじゃないよ!!!」
「「「やめてね!!! おかあさんをゆっくりはなしてね!!!」」」
「う~♪」
 子供たちの抵抗なんて何のその、ゆっくり半数の饅頭を食べ終えたれみりゃはお腹を擦りながらご機嫌な様子で穴から出てくる。
「ゆっ! ゆっくり、……ゆっくりしてたけっかがこれだよーーー!!!」
「おがーざーん」
「どうじでおがあざんをたべだのぉー!!!」
 今度はそのゆっくりが掴まれた、感動の親子再開である。
「う~♪ おいじがっだどぉ~♪」
「おぜうさま!!! それはよかったですね!!!!」
 それを聞いて、ゆっくり独特の笑顔で返答する咲夜。
 この穴に一家が入ったのは偶然ではない、このゆっくり咲夜がやったのだ。
「ゆっくりしていってね!!!」
 と屋敷の周りで言えば。
「ゆっくりっするよ!!!」
 とゆっくりが駆け寄ってくる。
「なかでもっとゆっくりできましゅよ!!!」
 そういってすんなりと中へ招き入れる。
「ほんとだ!!」
「おかーさん!! ここれいむたちのおうちよりおおきいね!!!」
「ここならもっとゆっくりできるよ!!!」
「そうだね!! ゆっくりみんなではなしあったけっか、ここはれいむたちのおうちになったよ!!!」
「ゆっくりできないゆっくりは、でていってね!!!」
 れみりゃスマイルと同程度の破壊力を持った発言。
 それを聞いてもゆっくり咲夜は顔色一つ変えないで言い放つ。
「いいですよ!! でもこのおくに、もっとゆっくりできるばしょがありましゅよ!!!」
「ゆ!! さっさとはやくあんないしてね!!!」
 つまりはこういう訳である。
 これで食事に事欠かなくて済むれみりゃ。
 咲夜の自身は他のゆっくりと同様の食事で困らないので、これは全てれみりゃのご飯になる。
 れみりゃが足りないと我侭を言っても、直ぐに咲夜が調達してくる。
 やはり、れみりゃは何処でも我侭なのだ。
 そのご飯に今までゆっくりアリスが入っていなかった事を付け加えておく。
「う~♪ おでかけするぉ~♪」
「おぜうさま!!! ごいっしょいたしますわ!!!」
 安っぽい、一部剥がれたビニール傘をさしながらお屋敷を出る。
 特に目的は無い、ただ周りを見て回るだけだ。
「う~♪ おはないっぱいだどぉ~♪ !!! じょうじょだどぉ~♪ までー♪」
「おぜうさま!!! おまちになってください!!!」
 とてとて歩くれみりゃの後ろをピョンピョン付いていく、れみりゃは目の前の蝶を追いかけるので精一杯だ。
「う~? じょうじょどご~? どご~?」
 蝶が目の前から居なくなり、漸く周りの景色に目を向ける。
「おぜうさま!!!」
「う~♪ おっきなおやしぎ~♪」
 目の前に映る屋敷に目を奪われているれみりゃ。
 追いついた咲夜も目を奪われる。
 それは正真正銘の紅魔館。
 当然、れみりゃは大きなそのお屋敷に吸い込まれるように近づいていく。
「う~♪ れみりゃのおやしきだどぉ~♪」
 辺りをぐるっと回って正面へ、勿論門番が立っていた。
 のだが先ほどの魔理沙との先頭で気絶中。
「う~♪ ばぁ~か♪」
 その横を得意げに通って行くれみりゃ、勿論傘で叩くのも忘れない。
「う~~~~~♪」
 目の前には綺麗な庭、そして大きなお屋敷。
 そして……
「「「「う~♪」」」」
 数匹のゆっくりれみりゃ、みな一様にれみりゃスマイルでヒゲダンス。
「う~♪ れみりゃもずるどぉ~♪」
 当然ものれみりゃも参加する。
 口をニヘラァと開けて笑顔を作る、両手を腰にあてお決まりの言葉を発すれば、そこには楽しそうに踊っているれみりゃの姿を見ることが出来る。
「うっう~♪ あうあう♪」
 本人達は楽しそうに踊っていたその頃、ゆっくり咲夜は未だばてている門番の所に居た。
「も~しょうがないわね!!!」
 がぶり。
 普通のゆっくりより遥かに鋭いその歯で門番の腕に噛み付く。
「!!! ちゅ~~~~ごっく!!!」
 鋭いとはいえゆっくりの歯、妖怪やましてや人間の皮膚を傷つけるには居たら無いが、門番を起こすことは出来るようだ。
 意味不明な叫び声をあげて飛び起きる、必死に咲夜の姿を探すが近くにはその顔をしたゆっくり咲夜だけ。
「??? 咲夜さん……?」
 完全に覚醒しきれていない門番は何が起きたのか理解できない。
「もう! はやくゆっくりしごとにもどってね!!!」
 それだけ言って屋敷の中へ消えていく咲夜の頭。
「?」
 取り合えず、言われたとおり仕事に戻った門番だった。
「うっう~♪ れみりゃう~♪」
 その頃庭では踊りも終盤、全員が肉汁だらだら出しながら満面の笑みで踊っていた。
「う~、……! れみ☆りゃ☆う~☆ ニパ~」
 極上の笑顔を残し、肉まん集団御遊戯会は終了した。
 それを待っていたかのように、屋敷から一人の人影が近寄ってくる。
「れみりゃ様。すばらしいダンスでしたよ!! さぁさぁ疲れてでしょう? プリンをお持ちしました」
 本物の十六夜咲夜だ。
 差し出されたプリン丁度全員分、ご丁寧にスプーンまで用意されている。
「う~♪ ぷっでぃん♪ ぷっでぃんだべどぅ~♪」
「ぷっでぃ~~~んちょ~だい~♪」
 一目散に咲夜に駆け寄ってプリンを奪い取っていくれみりゃ達。
「う~? う~♪」
 勿論、あのれみりゃも例外ではない。
 少し不思議がってはいたが、一目見るとあっという間に上機嫌。
「うっう~♪ おいち~♪」
 他のれみりゃと同じように、スプーンをグーで持って食べ始める。
 たくさんのれみりゃがニコニコしながらプリンを食べている。
「「「「「ん~♪ おいちいどぅ~♪ れみ☆りゃ☆う~☆ 」」」」」
 それをニコニコしながら見つめる咲夜。
 と。
「さくやさ~ん? どこですか~♪」
 自分を呼ぶ小悪魔の声、仕方が無いがその場を後にする咲夜。
 なに、これだけ人数が増えてのだ、また明日見ることが出来るだろう。
「どうしたの小悪魔?」
「はい。ぱちゅりー様が御用時があるそうです」
「そう」
 連れだって図書館へ赴く。
 この時、小悪魔が後ろを振り向いてプリンを貪るれみりゃ達に笑みを浮かべたことは、咲夜は死んでも知らない。
「うっう~♪ ぷっでぃ~んおいしいどぉ~♪」
「うーー!! もっどぷでぃんだべたいどぅ~♪」
「「「「「「「ぷっでぃ~んたべたいどぅ~♪」」」」」」」
「おぜうさま!!!」
 ゆっくり咲夜が着いた時には、既にプリンは食べ終えられ高級なカップが地面に転がっていた。
「う~♪ ざぐや~♪」
 ゆっくり咲夜のもとへ、あのれみりゃが近づいてゆく。
「しゃくや? しゃくやどご~♪」
「どご~、ざぐや~♪」
 その一声に、他のれみりゃも近づいてくる。
「う~ざぁぐや~♪」
「おぜうさま!!! なんでしょう!!!!」
 腰を屈めて、両手を自分の胸の前に持ってくる。
 所謂ぶりっ子の仕草をする、このれみりゃがゆっくり咲夜に我侭を言う時のポーズである。
 周りを見ると、他のれみりゃも大分近寄ってきた。
 ぷっでぃん脳でも人間ではなくゆっくりだと理解できるらしい。
 始めてみるゆっくり咲夜だが、生得的なものか、これが自分に対してどういう存在か知っているようだ。
「れみりゃね~、おがしだべだいの~♪」
 代表して言うのは勿論あのれみりゃ、ここぞとばかりにれみりゃスマイルを浮かべて話を続ける。
「おぜうさま!!! おがしですね!!!! れいむですか?まりさですか?」
「ん~ん♪ れみりゃ、ぷっでぃ~んがたべたいのぉ~♪」
 にぱーっと笑顔を浮かべてゆっくり咲夜にお願いするれみりゃ。
 外野でもぷっでぃ~んコールが沸き起こる。
「ぷっでぃ~ん? ぷっでぃ~ん。……ぷっでぃ~ん!!!!!」
「う~♪ ぷっでぃ~ん♪ ぷっでぃ~ん♪」
 咲夜が連呼したぷっでぃ~んに合わせて自分も叫ぶ。
 咲夜の目が真っ赤になっているとも知らないで。
「しょくりょーが!!!」
 そのまま声を張り上げ目の前のれみりゃへ。
 勢いよく跳躍し、自慢の歯でれみりゃの両腕を噛み千切る。
「ほんじゃぎゃーーーーーーー!!!!!!」
 今まで自分の我侭を聞いていたゆっくり咲夜の突然の行動と腕の痛みに、涙を流しながら転がり悶えるれみりゃ。
「こんなのおぜうさまじゃないわーーーーー!!!!!!!」
 そう言って、引きちぎった両腕を貪る咲夜。
「うがぁ!! れみりゃの! ……それはたべものじゃなぐでれみりゃのー!……」
 そんな声はお構いなしにそのまま全身を貪っていく咲夜。
「う~!! ♪ えい! えい♪ うっう~れみりゃはつよいどぉ~♪」
 咄嗟に、回復した右腕でビニール傘を使い反撃にでる。
 しかし、お世辞にも早いとは言えないその攻撃を食らうほどゆっくり咲夜は馬鹿ではない。
「むっしゃむっしゃ!!!」
 あっけなく再生したての右腕を再び口ちぎられ、その牙はれみりゃの頭に向けられる。
「おぜうさまとはちてもにつかないわ!!!」
「んぎゃーーー!!! うっ、う゛わ゛ーーー!!!」
 頬を食いちぎる、そのまま顔面を恐ろしいスピードで飲み込んでいく。
 周りのゆっくりは逃げもせずただおろおろするばかりである。
「う~!! う~~~~!!!!」
「ばっ、ばぁ~か!! ざぐやにいいづげでやどぅ~!!!」
「ざぐや!!! ざぐやーーー!!!! どごーーーーー!!!!」
 通常自分たちが食すゆっくり饅頭。
 それが攻撃してくると、れみりゃは唯おろおろしてなすがままにされるしかない。
 それは、アリスに襲われた時、自らの子孫を残すためでもあるのだ。
 それだけを遺して息絶えるれみりゃ。
 間髪居れず次の肉まんへ狙いを定めるゆっくり咲夜。
「こんなにぐまん!!!! しょぶんじますーーーー!!!!!」
 次の肉まんも圧倒的だった。
 足を食いちぎりそのままお腹へ。
 たくさんの肉まんの具を掻き出しながら飲み込んでいく。
「ざぐやーーー!!! ごわいひどが!!! ごわいひどがいるどぉーー!!!」
 それを言い終わる頃には既に残すは首から上のみ。
「ざぐやーー!! だずげでーーー!!! それがらぷっでぃ~ん!!!」
 それが最後の言葉になった。
 次の肉まんは珍しく、飛んで逃げようとした。
「う~♪ れみりゃはどべるんだぞぉ~♪」
 しかし、見せびらかすようにゆっくり咲夜の目の前で浮かんでいたため即座に羽が食べられる。
 そして落下する体。
「んびょん!! ……!! う~!!」
 勢いよく地面にぶつかったこのれみりゃはそこで抵抗を諦めたようだ。
 それ故、一番早い時間で完食された。
「ふー……。!!!」
 まだ残っているれみりゃ達の方へ向き直るゆっくり咲夜。
「う……。う~♪」
「う~♪ う~♪」
「うっう~あうあう♪」
 一致団結してご機嫌をとる、それを白けた顔で眺める咲夜。
「う~~♪」
「「「うっ~♪」」」
 れみりゃ達も、その様子を見てほっと一安心、もう食べる気は無いと判断したのであろう。
「れみ☆ry、うーーーー!!!」
 咲夜のもとへ近づいてきた一匹に狙いを定めて食事を再開する咲夜。
 御遊戯の雰囲気から一変、再びそこは地獄絵図と化した。
「おぜうさまのにせものめ!!!」 
「う゛わ゛ーーーー!!! ざぐや゛ーーーーーー!!!!!」
 今まさに食べられている一匹が発した言葉、それが咲夜に届くことは無かった。
 そして、ゆっくり咲夜に耳にも届くことは無かった。

 ……。
「それではこれで失礼します」
「ご苦労様」
「おう、ありがとさん」
「お二人とも、プリン食べたくないですか?」
 パチュリーと魔理沙に紅茶をだして図書館を後にする咲夜。
「今日は安心して普通の紅茶を飲みたい」
 そう言われて小悪魔に変わって紅茶を淹れた。
 時間を止め、出来る限り最速で淹れ終えたのだが、時間を戻した時に運悪く躓いていた小悪魔とぶつかって淹れなおし&後始末。
 おかげで大分時間が掛かってしまった。
 そうだ、何時も一つで不満げだったからたまにはもう一つ作ってあげよう。
 それで機嫌がよくなれば、もう一度可愛い可愛い御遊戯会が鑑賞できる。
 先ほどよりも、本気を出してプリンを作っていく咲夜。
 おいしければおいしい程御遊戯会を見れるチャンスが増すのだ、そう考えれば一段と気合が入る。
「できた」
 何時ものプリンの上にさくらんぼと生クリーム。
 その懇親の一品をお盆に載せる。
 そうだ、と思い立ち以前ご機嫌を取るのに使ったきぐるみの帽子も被る。
 準備万端、いざ庭へ。
「れみりゃさまー!! ぷっでぃ~~んをお持ちしましたよ!!! ……」
 元気よく先ほどまでれみりゃが居た場所に向かった咲夜。
 そこにはパラパラと散らばっている肉まんの具と人数分のれみりゃの服と帽子。
 そのうち一枚は何故かシャツが裏返っていた。
 呆然と立ち尽くす咲夜。
 ゆっくりフランなら唯の悪戯だけだし、門番はきつく言い聞かせているから食べない。
 ……?
 全く原因が分からず呆然としている咲夜、一点を見つめたまま辛うじてお盆を支えている。
 そこに近づく一人の人影。
「さくやさん。おいしそうなぷりんですね♪ もらってもいいですか?」
「…………」
 無言で首を縦に振る咲夜。
「えへへ、有難うございます♪」
 そう言って彼女は、もと来た道を戻っていった。

 その頃、ゆっくり咲夜は紅魔館の中へ入り込んでいた。
「ゆ! そこ、ちゃんとしごとしなしゃい!!!」
「そこはみょういいわ!! こっちのおしょうじをよろしくね!!!!」
 そんな事を言いながらまるで本物のメイド長のような態度で屋敷をうろついて行く。
「咲夜~? 紅茶を入れて欲しいんだけど」
「ゆっ!」
 昼間、博麗神社へ行っていたため起きていたこの屋敷の真の主、レミリア・スカーレット。
 従者に紅茶を入れて貰おうと、掴まらない咲夜を探していた所だった。
 それと丁度かち合ったゆっくり咲夜。
 ゆっくり咲夜の顔に笑みがこぼれる。
「おおおお!!!! おぜうさまー!!!!! ほんもののおぜうさまーーー!!!」
 鼻から蕨餅をダラダラ垂らし、まるで発情したゆっくりアリスの様にピョンピョンと近寄っていく。
 勿論、今のコイツは素面である。
 対するレミリアは特に驚かず、一瞥の後に。
「何、コイツ?」
「はぁはぁ、おぜうs……んびゃお!!!」
 一発の弾幕で中の餡子を飛び散らせて朽ち果てるゆっくり咲夜。
 勿論意識は一瞬で途切れた。 
「? まぁ良いわ。さくやー! ……庭かしら?」
 ……
「このプリンとても美味しいわね。小悪魔が作ったの?」
「いえ、咲夜さんが作りすぎたようなので、貰ってきたんです」
「こいつはうめぇぜ! 流石メイド長だけはあるぜ!」
「はい、(元に)戻ったら伝えておきますね♪」
 ……
「ゆっくりたすけてねーーー!!! おかーさーん」
「ゆー!!! ゆっくりたすけてねーー!!!」
「おなかへったねー!!!」
「はやくおうちにかえって、おかあさんたちとゆっくりたべようね!!」
「ゆー、おにゃかへったー」
「……。!!! まんじゅう!! いっぱい!!!」
「ゆゆ!! れいむはまんじゅうじゃないよ!!! ぷりてーなかわいいれいむだよ!!!」
「むっしゃ!! これめっちゃいめぇ!!!!」

True End

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最終更新:2022年05月03日 17:27