※ゆっくりとはあまり縁のなかったお兄さんが主人公です
年に何回かある親族会議の日。
俺は特に荷物も持たず叔父の家に行った。
親族会議とは言っても、別に何か特別なことをするわけでもなく、ただ親族が集まって宴会をするだけなのだが。
「いらっしゃーい! 仁お兄ちゃん!」
「おー、ちーちゃん。 また大きくなったなぁ」
と、俺は従妹のちーちゃんの抱えているゆっくりに気付く。
「ゆっくりしていってね!」
「ん? これこの前のゆっくりか? 随分デブったなぁ・・・」
「おっきくなっただけだよ! 下膨れなのは健康なゆっくりの証拠なんだって。」
「ふぅん・・・」
俺の住む地域にはあまりゆっくりがいないのでよく分からんが・・・
まぁ、飼ってる当人が言っているのだからそうなんだろう。
「おにーさん! れいむにもあかちゃんができたよ! ゆっくりみていってね!」
「・・・うん? こいつは妊娠できないとか言ってなかったか?」
「うん。 だからお向かいの三架凪さんにもらったの。」
「みんなれいむのじまんのこだよ! ゆっくりみてね!」
「あー、後でな」
とりあえず親戚一同に挨拶しなくちゃならんからな。
つーか子供もらって来るくらいなら避妊済みのやつ買うなよ・・・
居間の扉を開けると、既に従兄弟の楓兄貴と録が到着していた。
「お、兄貴。 久しぶりだな。」
「よぉ、仁。 久しぶり・・・っつー程でもないけどな」
「やあ、お久しぶりだね!」
「お前はいつもハイテンションだよなぁ、録」
「兄さん達も趣味に打ち込めばテンション上がると思うよ!」
「常態でそんなハイテンションにはなりたくねぇなあ・・・」
やはり同年代の方が気が合う。
全く緊張せずに話せるってのは結構いいもんだ。
「そうだ、近くにういろう屋が出来たんで土産に持ってきたぜ。」
「ほぉ・・・んじゃあっちで開けるか」
「ああ」
そう言って扉を閉めようとし、
ブニッ
「ゆ゛っ」
「うん? げっ・・・」
取っ手の奇妙な感触に視線を下ろすと、さっきのゆっくりが扉に挟まって変形していた。
どうやら居間に入ろうとしていたらしい。
「あー、わ、悪ィ・・・」
「ゆ゛ゆ゛ぅ・・・とってもいたかったよ!」
「まさか入ってきてるとは思わなかったんでな・・・悪かったよ」
「ゆー・・・ゆ? なあにそれ?」
どうやら俺の持ってきたういろうに興味を示したらしい。
「これか? これはういろうと言って・・・食うか? ほれ」
ゆっくりは甘いものが好きと聞いたことがあったので一つ放ってみた。
「ゆゆ? ぱくっ・・・むぐむぐ・・・おいしー!!」
かなりお気に召したらしい。
面白いのでもう一つ放ってみた。
と、
「ゆっ! れいむのあかちゃんたちにもあげるよ!」
1本丸々咥えて出て行った。
「へぇ・・・巣に持ち帰るのか。 その辺はやっぱり動物っぽいな」
「あれでもかなりいい方だがな」
「んあ?」
「普通のゆっくりは基本自己中心主義だからね。 子供がいようと自分が腹いっぱいになるまで食い尽くすやつも多いよ」
「そんなんじゃ野生でやっていけねぇだろ・・・」
「だからちょくちょく全滅する群れもいるよ。 よかったらその話を詳しく・・・」
「叔父さん達に挨拶してからな。」
兄貴はゆっくり関係の仕事に就いてるらしいから分かるが・・・
何で録はそこまで詳しいんだ?
叔父さんたちへの挨拶も済み、男3人で入れ替えながら花札をやっていた昼下がり。
「うわーーーーーん!!」
突然ちーちゃんの泣き声が轟いた。
「何だ!?」
「どうした!?」
「何があったんだい!?」
泣きながら居間に飛び込んできたちーちゃんに詰め寄る男3人(後で思い返して後悔した)。
「知らないゆっくりが入って来てて・・・ヒック・・・千歳のれいむと赤ちゃん達が・・・」
と、そこまで聞いたところで一目散に駆け出す兄貴と録。
「お・・・おい!?」
ちーちゃんの説明では何も分からなかったが、とりあえず俺も後を追う。
ゆっくりにあてがっていると言う舞踊部屋(舞踊の稽古をする部屋)に到着すると、そこにはよく分からない光景が広がっていた。
「れいむうううううぅぅぅ!! とってもかわいいわああああああああぁぁぁ!!」
「ゆぎいいいいぃぃぃ!! やべでええええええええええぇぇぇ!!」
さっきのゆっくり(ちーちゃんのヘアピンをしているのですぐ分かる)に、金髪のゆっくりがのしかかって身体をこすり付けている。
そのゆっくりは、阿片の吸いすぎで行くところまで行ってしまった奴のようにハイな表情をしていた。
そしてその横では、
「まりさたちのおうちからさっさとでていってね! でていかないならゆっくりしんでね!」
「ゆぅぅぅ! やめちぇええぇぇ!!」
「おかーしゃ・・・ゆぴゅっ!!」
黒い山高帽をかぶっているゆっくりがそこらじゅうを跳ね回っていた。
よく見ると、部屋に散らばっている小さなゆっくりを潰して回っているらしい。
更にその横で、
「ゆっゆっ。 おちびちゃんたち、ゆっくりあがってきてね!!」
「ゆーちょ、ゆーちょ」
「ゆゆっ、あまあまがありゅよ!?」
「「むーちゃむーちゃ・・・ちあわちぇー!!」」
ちーちゃんのゆっくりに似た大きなリボンのゆっくりが、庭に面した障子から小さなゆっくりを引き上げていた。
上がってきた小さなゆっくり達は畳の上のういろうに群がっている。
「なん・・・だ、こりゃ?」
「チッ。 チビゆっくりがほとんど全滅してんじゃねーか・・・面倒くせぇ」
「う〜ん・・・この村って確か近くのゆっくりの群れと何とか協定を結んでるんじゃなかったっけ?」
「その協定をガン無視した結果が目の前の光景なんだろうよ」
「そしてこいつらの運命もまた然り・・・だね」
「?????」
どうやら野生のゆっくりが入り込んできたらしいのは分かったが・・・
まだ話についていけない俺を尻目に、2人はさっさと行動を始めた。
「ゆ゛っゆ゛っ、もういきそうよおおおおおぉぉぉ!! ゆふううううぅぅ・・・ゆ゛ゆ゛っ!?」
「っと、危ねぇ危ねぇ」
兄貴が金髪のゆっくりの髪を掴み上げ、ちーちゃんのゆっくりから引き剥がす。
「仁、悪ィがこのありす持っといてくれ」
「あ・・・ああ。 髪掴んで大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。 絶対に離すなよ」
「ああ」
「どおじですっぎりざぜでくれないのおおおおおおお!?」
この金髪はアリスというのか。
顔(身体か)全体でぶるんぶるん震えて気色悪いことこの上ないが、兄貴に言われているのでしっかりと掴み直す。
「ここはれいむたちのみつけたおうちだよ! なんでにんげんがはいってくるの!? さっさとでていってね!!」
「さてと、君達はこっちだよ」
ゆっくりの言葉を完全に無視した録が、小さなゆっくりたちを袋状にした風呂敷の中にひょいひょいと放り込んでいく。
「ゆゆ!?あまあまどこ〜!?」
「ゆっきゅりだちてね!!」
「おかあしゃん! たしゅけて〜!!」
「あかちゃんたちになにするの!? ゆっくりはなしてね!!」
「まぁまぁ。 どうせ君達も捕まえるんだから」
そういって淡々と小さなゆっくりたちを(庭にいたのも全部)袋に詰め終えていく録。
逃げようとするやつもいたが、動きがとろいためにすぐ捕まっていた。
「ゆ゛ぅ・・・ゆ゛ゆ゛ぅ・・・」
「さてと・・・ちーちゃん、こいつを向こうで手当てしてやってくれるか?」
「うん・・・」
「大丈夫、赤ちゃんの代わりのあてはあるんだ。」
「ほんと!?」
「ああ。 ただ、いいというまでこの部屋に入らないって約束できるか?」
「うん! 分かった!」
ちーちゃんがゆっくりを抱えて部屋を出て行くと、兄貴は録に体当たりしていたゆっくり2匹を鷲掴みにした。
「ゆゆっ!? はなしてね!!」
「まりさのぼうしにさわらないでね!!」
あの山高帽はまりさと言うのか・・・
んであのちーちゃんのと同じのが・・・確かれいむ、だったか
「おい録! それ持ってく前にこっち手伝え!」
「分かってるよ。」
そういって兄貴の腕の下でもがいているれいむの方を受け取る録。
何してるんだと思って見ていると、
「仁、そいつの視界に俺達が入らないようにしてくれ。」
「あ? あぁ・・・」
いまさら理解できるとも思わないので、言われた通りにゆっくりアリスを背中に回す。
と、いきなり
パァン!!
「ゆぶっ!?」
「なっ・・・!?」
兄貴がゆっくりまりさの頬に思い切り平手打ちをかました。
が、それでは終わらず、更に往復で
パンッ!! 「ゆ゛っ!」 バンッ!! 「ゆ゛ぶっ!」 バシッ!! 「ゆ゛ぐっ!」
パンッ!! 「ゆ゛びゅうっ!!」 パァンッ!! 「ゆ゛ぎっ!?」
加減無くビンタをしていった。
「ふぅ・・・こんなもんか・・・いや、もうちょいか・・・?」
「そんなんじゃ全然だと思うけどね」
散々往復ビンタをした後、兄貴達はそんな会話をしている。
「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・ゆ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇぇぇん!!! い゛じゃい゛よ゛お゛お゛お゛お゛ぉぉぉ!!!!」
「ま゛り゛ざに゛な゛ん゛て゛ごどす゛る゛の゛お゛お゛お゛おおおおおおぉぉぉぉ!?」
両頬が真っ赤にはれ上がったまりさとそれを見ているしかなかったれいむが涙をぼろぼろこぼして泣き喚いている。
俺はさすがに気がとがめ、
「おい・・・いくらなんでもやりすぎなんじゃ・・・」
「何言ってるんだい? こんなんじゃ全然足りないって言うのに」
「だな。 普通の成体ならもっとやっていいんだった。 最近ひ弱いのを扱うことが多かったんでつい、な」
「へぇ・・・んじゃ、僕も始めるかな」
しかし俺の意見は全く無視され、2人は泣き喚いている2匹を殴り始める。
ただし、今度は2人ともグーで、だ。
バグッ!! 「びゅっ!?」 ボグン!! 「ぎゅぐ!!」 ボゴッ!! 「ゆびゅぅぅっ!!」 ゴッ!! 「ゆ゛っ!」
バギッ!! 「ゆびっ」 ベゴッ!! 「ぎゅっ・・・」 バキィッ!! 「ゆ゛っ・・・・・」
だんだん叫び声の小さくなっていくゆっくりに思わず声を上げそうになったとき、兄貴が振り向いた。
「お前、自分家の鶏小屋に野良猫や野犬が入り込んで鶏襲ってたらどうするよ?」
「あ・・・あ? そりゃすぐさま殴り殺すだろうが・・・」
「それと同じだ。 人間に似てるがこいつらは人間とは全く別の生物だよ。 性格から言えば猫が近いか?」
「猫から警戒心の3文字を引いて残ったものがゆっくり、と考えると分かりやすいよ」
「だな。 だから俺達も普通の野生動物と同じように処理する。 それだけだ。」
そういっている間も2人の腕は休まず動き続けている。
だが、まだ疑問は残っている。
「それならさっさと殺せばいいんじゃねえか? さっきから何を・・・」
「こいつらはこの家のチビゆっくりどもを殺してくれたからな。 それの代わりを作ってもらう。」
「そういうこと。 まぁ見ててよ、兄さんも僕もゆっくりに関してはプロなんだから。」
「はぁ・・・」
納得したわけではないが、2人が俺よりゆっくりに詳しいのは事実なので、大人しく静観する事にする。
しかし、背中に回したアリスの動きが全然衰えねぇんだが・・・随分元気なんだな。
さすがにそろそろ腕が疲れてきたぞ。
2人が腕を止めたとき、ゆっくり2匹は既に虫の息だった。
全体に不自然な凹凸ができ、全身が赤黒く腫れ上がっている。
ゆっくりまりさの帽子は既にズタズタで、ぼろ雑巾にしか見えない。
ゆっくりまりさ自身の髪の毛も半分ほど抜け落ち、左目が潰れているようだ。
ゆっくりれいむのほうも大差なく、髪の毛は引き毟られ、こちらは右目が潰れているらしい。
どちらも、潰れているらしい眼球の残骸から半透明な液体が流れ出ている。
「ゆ゛っ・・・ゆ゛ぐっ・・・ごべ・・・ぢゃ・・」
「ゆ゛っゆ゛っ・・・ゆぶぅ・・ゆるじでぐだ・・・ざ・・・」
息も絶え絶えに許しを請う2匹の様子に若干心が痛んだが、兄貴は何ら思うところが無いようで、
「こんなもんか。 録、もういいぞ。 そのちびどもはいらんから好きにして来い」
「あれ? 好きにしていいの?」
「あ〜・・・まぁ何匹か生き残しておいた方がいいか。 それ以外は好きにしていいぜ」
「そう? それじゃ・・・ヒャッハァーー!! 待ち望んだ瞬間が来たぜェーー!! 虐待だァーー!!」
「!?」
録がちびゆっくりをつめ込んだ風呂敷を抱えて跳び出て行くと、兄貴は何事もなかったかのように
「よし。 仁、いいぞ。 そのアリス貸してくれ」
「んあ・・・ああ」
「はやぐううううぅぅぅ!!ずっぎりざぜでええええぇぇぇ!!」
兄貴は受け取ったゆっくりアリスを無造作にさっきの2匹のそばに放り投げた。
「ゆぶっ!! ・・・ま、まりさ!? れいむ!?」
「ゆぶ・・・だ・・・ぢげ・・・」
「ゆびゅえ・・・あ・・・りず・・・」
「ふたりともどうしたの!? ぜんぜんとかいはじゃないわ!! それにありすのこどもたちはどこにいったの!?」
あれだけ発情していても、今まで行動を共にしてきた家族の事は分かるらしい。
しかし、今あのゆっくりアリス何て言ったんだ?
都会がどうとか聞こえたが・・・何の話だ?
「その二人はお前を誘っているんだ。 体が赤黒くなってとてもすっきりしたそうだぞ?」
「ゆっ・・・ゆっ・・・そうだったのおおおおお!? いますぐすっきりさせてあげるわああああああ!!」
「ゆぐ・・・ぢがうよ・・・ごっぢごないでねぇ・・・」
「やべで・・・や・・・いぎ・・・ぃぃい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!?」
「きたなくてとかいはじゃないけど、とくべつにあいしてあげるわあああああああぁぁぁ!!」
瀕死のゆっくりまりさにのしかかり、体を小刻みに揺らし始めるゆっくりアリス。
そのシュールかつグロテスクな光景に、俺は
「なぁ・・・何してんだ一体? 何なんだこいつ?」
さすがに嫌悪感を抱いた。
対する兄貴は
「あ〜・・・そういやお前本当に何も知らんのだったな。 あれはゆっくりの生殖なんだよ。」
「生・・・殖?」
「あいつらが潰したちびどもの代わりをあいつらに産んでもらう。 理に適ってるだろう?」
「適ってねぇよ・・・それにあのゆっくりアリスは・・・」
「アリス種にはいったん発情すると手がつけられねぇのがいるんだ。 きっかけさえあれば、我が子でさえ犯し殺すぜ」
「・・・・・・」
俺の中で、このゆっくりアリスに対する嫌悪が確立された。
「んっ・・・んほおおおおおおおおおおぉ!! すっぎりいいいいいいぃぃぃ!!!!」
「ゆぎゅえええええぇぇぇ・・・」
ゆっくりアリスは果てた後もまだぶるぶると振動を繰り返している。
と、
「うし。 今度はこっちだ。」
兄貴がゆっくりアリスの髪を引っ掴み、今度はゆっくりれいむの上に落とす。
「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・れいむもあいしてほしかったのねええええぇぇぇえ!?」
「ゆ゛・・・ゆ゛・・・ぢがう・・・よ・・・」
「とくべつにれいむもすっぎりさせであげるわあああああああぁぁぁ!!」
そして始まる二度目の交尾(?)。
「ゆふううううう! んふうううううう!!」
「ゆ゛ぎっ・・・い゛ぎぃ・・・ゆ゛う゛ぅ・・」
タコ殴りにされたところに直接体をこすり付けられるのだから相当な激痛だと思うが、ゆっくりれいむはほとんど声を上げない。
叫ぶ体力と気力が残っていないのだろう。
「んっ・・・んほおおおおおおおお!!!!」
「ゆぎゅううううううぅぅ・・・」
これ以上ないと言うほどの緩んだ表情で絶頂するゆっくりアリス。
しかしまだ満足したわけではないようで、再び体を動かし始めている。
「んふうううぅぅ・・・さあれいむ! もっとすっきりさせて・・・ゆゆ!?」
「よっと・・・こいつはどうすっかなぁ・・・?」
そのゆっくりアリスの髪をまた掴んで持ち上げ、面倒くさそうに見つめる兄貴。
と、
「どおじでなんがいもじゃまずるのおおおおおお!? はやぐはなじでよおおおおおおお!!」
「まぁ・・・保険のためにも、一緒に並べとくか」
「なにいっでるのおおおおおおぉ!? とがいはのありすをはやぐはなし・・・びゅえっ!?」
「・・・あんま調子に乗るなよ」
今度は髪を掴んだまま、面倒くさそうに壁にゆっくりアリスを叩き付け始めた。
べしっ!「ゆぎゅっ!?」 ばしん!「ゆびゅっ!?」 ばすっ!「ぎゅっ!!」
ばちん!「びゅぶっ!」 べしゃっ!「ゆぶ・・・」 ばちゃん!「ぶ・・・」
口から白いもの(クリームらしいが、傍目にはかなりエグい)を吐き出し始めたところで床に放り投げる兄貴。
いや、放り投げたというよりは髪が引きちぎれて放り出されたと言う方が正しいか。
「ゆ・・・ゆぶぇ・・・ごべ・・・ざ・・・ゆるじ・・・ぐ・・・」
よく見てみれば、ちょうど他の二匹と同じくらいの傷になっている。
その辺の加減の仕方は、やはりゆっくりに携わる職業だからこそだろうか?
俺はなんとなく、
「なぁ・・・こいつらに、何が悪かったか説明してやらないと分からないんじゃ・・・」
「別に理解させようとも思ってねぇよ。 しかもこいつらは元から分かってやってるタイプだ。」
「ああ・・・そうなのか」
「こういうのは自分を過大評価してるから、それをいったん崩しちまえば後は楽なんだけどな」
「へぇ・・・」
まぁ、俺にとっちゃどうでもいいんだが。
と、
「お、よし。 2つとも成功してるな」
「ん?」
何かと兄貴の視線を追っていくと、さっき並べたボロボロの二匹が目に入った。
と、よく見ると、ゆっくりれいむの髪がまだらにしか生えていない頭に何か付いて・・・いや、生えている。
なるほど、あれがうわさに聞くゆっくりの妊娠か。
しかし、ゆっくりまりさの方は・・・?
「素人目には分かりづらいかもしれんが、ちゃんと胎生妊娠している。 もう少し経てば分かりやすくなるぜ」
「別に見たいわけでもねぇんだけど・・・」
「だろうな。 まぁ、今日の行程はこれで終わりなんだ。 逃げんようにトリモチで貼り付けて居間に戻るぜ」
「え? これほっといたら死んじまうんじゃ・・・」
「ゆっくりの再生力は人間をはるかに上回ってんだよ。 そのままでも死にゃしねぇからほっとけ」
「は〜・・・」
その後、畳の一部に板を固定し、トリモチを塗ってゆっくり3匹を並べて乗せた。
そして何故かゆっくりアリスにだけ黒い覆いのようなものを掛ける。
「いだいよおお・・・ゆっぐぢでぎないぃ・・・」
「ゆ゛ぅ・・・れいむのあがぢゃん・・・がえじでぇ・・・」
「ゆ゛・・・ゆゆ!? みんなどごおおぉ!? ひどりにじないでええええぇぇ!!」
「・・・・・・?」
疑問の目を投げかける俺に対し、
「まぁ、ついでにこういう事件の再発防止にもちっと役立ってもらおうと思ってな。」
どうやらまだ何かするつもりらしい。
かわいそうではあるが、考えてみればまぁ自業自得なので、ご愁傷様としか言えないな。
俺だって鶏を食い殺した野犬は蹴り殺して庭先に吊るすしなぁ・・・
必死に助けを求めるゆっくり達を尻目に、俺達は舞踊部屋を後にした。
2日後、あまり畑を隣人に任せっぱなしなのも気が引けるので、皆より一足先に帰ることにした。
あれからあのゆっくり達は見ていないが、兄貴の話ではすべて順調らしい。
ちーちゃんのゆっくりれいむもほぼ全快したようだ。
まぁ、今回の件は結構衝撃的だったが、もともとあまりゆっくりに関心が無いので、後は好きにしてくれと言う感じだった。
だったのだが・・・・・・
帰り支度をし、玄関に向かう俺に録が声を掛けてきた。
「仁兄さん、これあげるよ。」
「んあ?」
録が俺に手渡したそれは、俺の手にすっぽり収まるほどの大きさで、黒い山高帽をかぶった・・・
「ゆっくりまりさの、子供?」
「うん。」
「うんって・・・何で俺に?」
「そいつちょっと特別でさ。 僕の手に余るんだよね」
「特別・・・?」
特に変わったところは見受けられんが・・・
などと思いつつそのゆっくりまりさの顔を眺めていると、突然
ニヤァッ
「うおっ!?」
ものすごいニヤリ笑いを浮かべ、
「んっふっふっふっふぅ〜♪」
気味の悪い笑い声(?)を上げたのだ。
「なん・・・!」
「そんなの虐待したくもないからね。 育ててみると面白いかもよ?」
「ゆっくりしてねぇ〜?」
手の中では、ニヤニヤと笑いながら子ゆっくりまりさが蠕動している。
「いやだぜこんな気色悪いの! お前・・・」
「顔にさえ目を瞑れば普通のゆっくりよりよっぽど育てやすいんだよ。 そいつが兄さんの元でどんな風に成長するのか見たいなぁ・・・」
「・・・・・・ッ!」
混乱しているうちに録は家に入っていってしまった。
はぁ・・・仕方ない。
無理やり突っ返しても、多分叩き潰して終わりだろうしな。
一応育てて、どうしても手に余るようだったら兄貴に押し付けよう。
「ゆっくりしてねぇ〜? おにいさぁん♪」
「うるせぇよ・・・」
まぁ、何事も経験だ。
ゆっくりを育てた経験が、何かの時に役立つかもしれないしな。
問題はそんな機会がほぼ確実に存在しないと言うことなのだが・・・
「まぁ、あんまでかい問題起こさなきゃ置いてやるよ。 よろしくな。」
「んっふっふぅ〜♪ ゆっくりぃ〜♪」
長く世話していればこいつの感情とかも分かってくるのだろうか?
俺は家に帰る前に、ゆっくりの育て方のマニュアルを買いに香霖堂に立ち寄った。
_,,_
-''::::::::\ これからよろしくねぇ〜? おにぃさぁん♪
|:;ノ´∨\_,. -‐ァ
_,.!イ,.ヘーァ'ニハ'ヽ、ヘ,_7
. :::::rー''7コ|_,‐"リ´V、!__ハ
!イ´,'イ ノr=- r=ァY.i !
( ,ハ" ー=‐' ノ人
,)、 .ヘ,、)― ‐'´''レヽ
終わり
需要があれば後日談(3匹のその後)ができるかも
- お兄さん達の名前は適当に付けましたが、一応漢字を音読みすると、年上から 楓→ふう、仁→じん、録→ろく、となっております。
- ゆっくり自体をよく知らないお兄さんの反応を書こうとして・・・結局上手く書けませんでした。
- 最後のやつは、以前赤ゆのAAの評価が悪く、↑のようなのだったら〜みたいな話題が出ていたのを思い出し、なんとなく足しただけのものです。
598
最終更新:2022年04月11日 00:08