「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
ゆっくりが1,2,3・・・たくさん。
休日の散歩から帰宅すると、数えるのも面倒な数のゆっくりが鎮座していた
「てめーら、俺んちで何してる」
「まりさたちはゆっくりしてるんだよ!」
「そんなこともわからないの?ばかなの?しぬの?」
「そんなこともわからないじじいはゆっくりでていってね!」
俺が一言発すると数匹が同時に答えてくれる
しばらくこんな生活を強いられれば聖徳太子にでもなれそうな気分だ
そんな苦行を経てまで聖人君子になろうとは思わない俺としては早急にこの生活を唾棄しなければ
ゆっくり皮剥ぎの刑だよ!
こう、切れ込みを入れて、(サクッ)
「ゆんがあぁぁぁぁ!!!いぢゃいよおぉぉぉぉ!?」
切れ込みに指を突っ込んで、(ズボッ、グリグリグリ)
「ぐびっ!?んがあぁぁぁ!?!?ぐりぐりじないでえぇぇぇ!!!」
後はみかんの皮を剥く要領で(ベリィッ、ベリベリベリッ)
「びっ!?ゆぎぃぃぃぃぃぃ!!!じぬぅぅぅぅ!!!ぎゃめろおぉぉぉぉ!!!」
そんな作業を手早く十数回
「ばりざのおがおがあぁぁぁぁ」
「いじゃいいいぃぃぃ」
「でいぶのおがお、がえじでぇ…」
「あんよがぁ、ほっぺがぁ、がみのげがぁ、おがおがぁぁぁぁ…」
「みえないよぉぉぉ…ぐらいよぉぉ…いだいよぉ…」
実にホラーである
人間なら全身の皮を剥がれればショック死するだろうが、そこは饅頭
痛い痛いと言いつつズリズリ這いずる餡子塊として未だ元気がある
元気があれば何でもできる!
この餡子共の糞気色悪い生命力に感動した俺は今更ながら彼らを助けてやろうと一纏めにして捏ねだした
ぺちぺちこねこねぺちぺちこねこねぺちぺちこねこね・・・
ハンバーグ工場で鍛えられた俺のぺちこね技術により見事一つに纏まった餡子達
後は皮が問題だ
十数匹の餡子を何も考えずその場の勢いで丸めて一つにしてしまったため元の奴らの皮には到底収まりきれないサイズになってしまった
(・・・そういや3日位前に退治されたドスの残骸がまだ村のはずれに放置されてたな
多分カラスか野犬あたりに多少食い荒らされてるだろうが・・・なんとかなるだろ)
俺はゆっくり十数匹分の餡子をゴミ袋に突っ込むとドスの残骸へと向かった
「ゆっくりしていってね!!!!!」
「・・・。」
ゆっくりが適当な生物だとは知っていたがまさか本当に蘇生するとは・・・
ドスの残骸は中の餡子こそほとんど残っていなかったものの、皮は人間が退治する際攻撃した箇所が破れている程度だった
おそらくその破れた箇所から野生動物達が餡子のみを食っていったのだろう
そこに餡子を流し込み皮の中に均等に押し込んでやった
「にんげんさん、たすけてくれてありがとうね!でも、まだめがみえないよ?はやくなおしてね!」
いくら適当な存在とは言え、流石に目玉は治らなかったらしい
まぁ皮剥く時一緒に取れたり、捏ねてる時ぷちぷち潰しちゃったからなぁ・・・
ついでに言えば、この皮の元の持ち主であるドスが人間から受けた攻撃により元々開いていた穴も塞がってはいない
更に言うと、皮から覗く餡子目当てに集まってきたカラスに野犬、猫や蟻までもがその辺に集結している
たぶん、逃げようと跳ねただけでも餡子がどんどん漏れて痛い思いをするだろう
いや、それ以前に目が見えてないから逃げようもないか
それらのことをこのドスもどきに伝えてやり、俺は野犬に襲われる前に退散することにした
「まっでぇぇぇ!!!ドスをだずげでねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
ドスの皮に入ればドスになるのか・・・
変な発見をして少しハッピーな気分になれた休日でした
最終更新:2009年05月14日 23:52