1 はじめに
以下の理由から、白ネギの皮はぎ作業の効率化に取り組むこととした。
(1)白ネギの皮はぎ作業時間は、作業全体の20%程度を占めるため改善効果が大きい。
(2)作業時間の個人差が大きく、効率化の余地が残っていると考えられる。
2 実施の経過
(1)皮はぎ選手権の開催
作業速度の速い人を見つけるため、皮はぎ選手権を開催した。
10本の皮はぎ時間を競ったところ、以下の結果となった。
【松谷】32秒 【優勝者Kさん】27秒(1本あたりの松谷との時間差0.5秒)
(2)優勝者との映像比較
映像から、皮はぎの各工程の時間を計測した結果、以下の結果となった。
|
松谷 |
優勝者Kさん |
Kさんのほうが |
①ネギを掴む→皮はぎ開始 |
平均1.04秒 |
平均0.76秒 |
0.28秒速い |
②皮はぎ開始→皮はぎ終了 |
平均0.88秒 |
平均1.09秒 |
0.21秒遅い |
③皮はぎ終了→ネギを置く |
平均0.54秒 |
平均0.62秒 |
0.08秒遅い |
④ネギを置く→ネギを掴む |
平均0.64秒 |
平均0.21秒 |
0.43秒速い |
①と②は作業手順の(1枚目を①で剥くか②で剥くかの違い)によるため、考慮の必要なし。
④に関しては、松谷が右手だけでネギを置いて掴んでいるのに対し、Kさんは右手でネギを置きながら、左手はすでに次のネギに向けて動いていることが映像から分かった。
図1-A.ネギ置き
※ネギを置いているときにすでに次のネギに左手が近づいている
図1-B.ネギ掴み
(3)改善方法の決定
(a)いままで右手で掴んでいたネギを左手で掴む。
(b)また、右手で置きつつ、左手を伸ばすことを意識する。
以上の2点を実践したところ、左手に切り替えたことに伴う体勢の無理を感じ、さらに以下の改善を行った。
(c)いままでよりも少し右側を向く姿勢とした。
(d)ネギの向きを90度程度自分側に向くようにした。
図2-A.改善前の姿勢
図2-B.改善後の姿勢
3 実施結果
改善後の方法に慣れるため1週間の練習を行い、ネギを置いてから掴むまでの時間を計測したところ、以下の結果となった。
【改善前】平均0.64秒 【改善後】平均0.15秒(平均0.49秒の短縮)
※姿勢改善による他の工程の有意な時間差は発生しなかった。
4 考察
- 私の場合、1日800本程度の皮はぎをするため、1日6分32秒の短縮となる。大幅な改善とはならなかったが、他の作業も随時見直すことでさらなる効率化が期待される。
- もっと剥きにくいネギで選手権を開催できれば、他の改善点も発見できたかもしれない。
- 空いている体の部位を次の作業に向けて動かすことが、効率化の大きなポイントであると感じた。
5 波及効果
- 他の農家に今回の改善方法をいかに伝えれば受け入れてもらえるか、という課題があります。
- 皮はぎ選手権を開くことで、参加農家の技術交換の場となった。他の作業に関しても、互いの技術を見せ合う場を作りたい。
- その際の映像を記録を残すことで、地域の技術蓄積に努めたいと考えています。
最終更新:2019年12月18日 21:53