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そこは小さな部屋だった。

5帖ほどの間取りは清潔感に溢れている。
まるで裕福な家庭における子供部屋のような、そんな場所。
フローリングの床に敷かれた赤いカーペットには埃一つない。
天上からは小振りなシャンデリアがぶら下がっており。
部屋の中央、四角い机の上に数個おかれた玩具は、どれも童子むけの人形だ。
壁際には蚊帳のついたベッドまでが置かれ、そこでは一人の少女が眠っている。


「……ぁ」


ベッドの接する壁にある、大きめの窓。
そこから差し込む月光が、少女と、部屋全体を青白く染めている。
どこか幻想的な雰囲気すら纏う、そんな場所で。


「私、は……?」


少女――福路美穂子は眼を醒ました。




「痛っ」

視界を取り戻さないままで、身を起こす。
気だるさと疲労を訴える体に力を込めて、福路美穂子はベッドから上半身を引き離した。
同時に開いていく目蓋。もう何年も昔に慣れきった、狭い視界で周囲を捉える。
茶色い天上、正面の白い壁、自分自身の白い両手、制服姿の膝元。
そしてもう一度、手、僅かに血の付着した指、順に。
只ならない事態でも、少なからぬ動揺に襲われていても、長年続けてきたクセは容易に忘れないものなのか。
片目のみを開くことと同じ容易さで、美穂子は周囲の観察を行っていた。

「……やっぱり」

赤い指先を、見つめる。
白いシーツだけがかけられたベッドの上で、美穂子は一人、理解する。

「やっぱり夢なんかじゃ、ない」

俯きながら。
置いた両手でシーツを強く掴み、肩を震わせながら。
傍らの窓から差し込む、病的に青白い月光を、身に受けながら。


「どうして……っ」


言葉にならない。
その残酷を理解した。




◇ ◇ ◇














――おぼろげに憶えている。


最後に見た光景。


「やめて」

そう叫ぼうとして、声が出なかった。

「行っちゃ駄目」

そう伝えようとして、体が動かなかった。

「あの人を、止めないと」

そう分かっていたのに、どうしても出来なかった。


全身が、不思議な力によって、痺れたように動かない。
目は見えているのに、なぜか手足に力が入らない。
座らされた机に見えない縄で縛り付けられたまま、喉を震わせることすら、出来ない。

死にゆく誰か。
自ら断頭台に歩んでいく少女を、止める事ができなかった。
彼女は強く、気高く、そしてあっけなく、命を散らせていった。
私という存在は最後まで無力で、それを見ていることしか出来なくて。

胸が痛くて、辛くて、切なくて、でも本当に痛いのは彼女のはずで。
なのに彼女は恐怖など知らないように、気丈に立ち続けていて。
それが一番、切なく、思えて。

気力を振り絞って体を動かそうと足掻く。
でも結局、僅かに腕と指先が動いただけ。
遥か届かず、背に掠ることもなく、落ちる。



ぱっと、咲くように、血が、流れた。







彼女の赤い血糊だけが、私の指に、届いた。







◇ ◇ ◇





「悪い配牌、ね」

ディパックを開けて中身を確認した美穂子はそんな言葉を発していた。
苦味を抱えながら、机に置いたものを見下ろす。

「こんなもの、いらないのに」

ディパックに入っていた中で、特徴的な物は二つ。
そのうちの一つを、月明かりに翳してみせる。

黒い、拳銃。

漆黒を反射する。
それは人を殺す道具。
大人でも、子供でも、男でも、女でも、
向けて撃てば、簡単に、誰でも誰かを殺せる道具だった。

「怖いな」

ただ触れているだけで、そこから冷たさが体内まで流れ込んでくるようだと、美穂子は思った。
弾丸は一発も装填されていないけれど、それでも一秒すら触れていたくない。
怖い、と。自分が今どんな場所に居るのかを、痛感する。

耐え切れなくなって机の上に銃を戻す。
それでも、冷たさと重さが手の平に残された。ずしんと重い銃だった。
長く持っていたら手が痺れてしまうかもしれない。
けれどその重さが、果たして人の命の重さに釣り合うだろうか。

好きだった人たちと。
自分の好きだった、あの学校、あの部室、あの戦いの場所にいた、人たちと。


『――キャプテン』


そう、呼んで慕ってくれた。
暖かく、いまの自分を支え、包んでくれていた、大切な仲間達と。
誰の命とも、比べるまでもない。

「うん……負けちゃ駄目、だよね。みんな」

これっぽっちの重さで、つりあう筈がないのだから。
「いかなくちゃ」

人を殺したりなんて、しない。
強く、人として生き抜くと、福路美穂子は決めていた。
未だ状況はよく掴めなくて、恐怖は体を縛って、自分が弱い存在だと知っていて。
けれど、大切な物が何か、分かっている。

「生きなくちゃ」

この残酷を、許しては駄目だと、当たり前のことを知っている。
守るべきものがある。
それは、福路美穂子の大切なもの。
汚してはならない物がある。
それは、福路美穂子の大切な気持ち。
誰もがひとつ胸に抱える、帰るべき場所だ。

机の上の銃を、もういちど手に取る。
寒いと感じるそれは、やはり恐怖からか。
けれど、ここにある物が現実だった。
向かう先に何があるのか、何が起こるのか。
美穂子の心を揺さぶり、痛みを伴う衝撃となるだろう。

それでも自分の根幹は絶対に変わらない。
立ち向かってみせると覚悟する。
だから、黒き銃はもういちどディパックにしまって。

「まずは、基本から。理牌しましょう」

現在位置の確認から始めよう。
使えるもの、できることを探そう。
何のためか、もちろん決まっている。
大切な物を守るため。
そう、少女は、決めて――

「…………」


取り出した地図。つかむ自分の指に残された赤に、視線を留めた。
そして噛み締めるように目を閉じ、呟くように一言。

「ごめん、なさい」

守れなかった誰かへと。
届かなかった誰かへと。
別れるように。

そっと拭って、地図(げんじつ)を開いた。




◆ ◆ ◆






「はぁ~、私ってやっぱ呪われてるかも」


山道を歩く少女の声は木々の幹が反射する。
芯の強さを伴って、響く。

エリアC-4。
山中のやや下部にあたるそこは、十分に樹海と呼べる景観に満ちていた。
林の連なりで構成された緑の天幕と、土の色がそのまま現れた地表。
歩む少女の行く先は薄暗い。

「いきなり変なところに連れてこられて、殺し合いって……もうわけがわからないよ」

ため息まじりにとぼとぼと進む。
少女の名を立花響といった。
年齢15歳、私立リディアン音楽院高等科1年生。
身にまとう、黒地に赤のラインの入った制服には少量の汗。
短めに切り揃えた、きつね色の髪には少量の癖。

「しかも、ここがどこか分かんないし、ああもう!」

シンフォギアシステム3号「ガングニール」適応者。
立花響は道に迷っていた。

「こんなコトしてる場合じゃないのに!」

山中に建てられた小屋のなかで目覚めた彼女は、迅速な行動を開始していた。
自分の支給品、地図、それぞれを確認した後には、居ても立ってもいられなかった。
人類の敵、ノイズと戦う日々も今や短くはない。修羅場には慣れてきている。
しかしそれ以上に、彼女には動かなければならない事情があったのだ。

「……未来」

殺し合いなんて冗談じゃない。
友人がここにいる。大事な親友が危険に晒されている。
一刻も早く駆けつけなければ。
そしてこの大事件を、何とかしなければならいないのだ。
にも関わらず。

「これさえ何とかなればなぁ」

手の中のコンパスは動かない。
焦って乱暴に取り出したのが不味かったのか、壊れてしまっていた。
山中にて道標を奪われたまま走り続けた挙句、途方にくれる。

「闇雲に走っても、体力を消耗するだけだよね。わかってるけど」

走るしか出来なかった。
ここに来る前に見た、あの目を忘れられない。
ずっと嘘をついていた、親友に。
それを知った彼女の、辛そうな目が、今も頭から消せない。

そしてもう一つ。
あの教室の中で見た、いるはずのない存在が――

「ええい、こうなったらぁ――――!」

このとき響に、ずっと躊躇っていた最終手段を行使させようとしている。
すなわち、シンフォギアの装着。

一般人への情報秘匿。
装着には歌唱する必要があり、発見される危険を伴う。
けれどそれらは、いま彼女の抱える焦れったさに押し流され。

「ゴメンナサイ! 師匠ッ!!」

己が身に抱えた、その聖遺物の名を、呼ぶ。

「――」

直前だった。






「きゃああああああっ――――――――――――!」



その、悲鳴が聞こえたのは。

「な、い、今の声は……っ?」

近い。それもかなり。
気づいた時には、また足が動いていた。

「こっちだ!」

直前までやろうとしていたことをかなぐり捨てて、立花響は走りだす。
悲鳴の聞こえた、方角へ。


それが立花響という、少女だった。






◆ ◆ ◆













――おぼろげに憶えている。


最初に見た光景。




『おい……、死……なっ!』


体の痛みは、とうに振りきれてしまっていた。
衝撃が私の胸を貫いた一瞬で、目はもうほとんど役に立たなくなった。
胸からたくさん血が出て、ああ私は死んじゃうんだな、って理解した。


『目を……て……くれ!』


だけど、聞こえたんだ。
声が、聞こえたんだ。


『――生きるのを、諦めるなッッ!』


誰かの声が、思いが、この胸に。
消えかけた私の心を、震わせるように。


聞こえたんだ。
歌が、聞こえたんだ。


『そうさ』


閉ざされる瞳。
ぼんやりと見つめた誰かの表情は、笑っているように見えた。


『命を燃やす、最後の歌』


黒く染まっていく私の視界の中で、あの人は灰になって、消えた。







◆ ◆ ◆





「えー」


辿り着いた響を待っていたものは、奇妙な光景だった。


「んぁっ……ひぃぁ……ちょっとっ……なんで……っ」

エリアC-4、山中に建てられた洋館の一室。
『第二PCルーム』と銘打たれた部屋に、その女性はいた。

「なんでいつもこう……なるのぉ……っ!?」

揺れるショートボブの髪型と、片目だけ開けた瞳の、ブラウン。
それが印象的だった。
着衣は白のセーラー型の制服、夏服のようだがピンク色のスカートは長め。
体格は、いいなぁ、恵まれてるなぁ、と若干呑気な感想を抱く。
けれどそんなことよりも何よりも、
部屋中の置かれたPCから伸びる大量のコードによって、
立ったまま全身を巻き込まれたその姿は、やはり奇妙だった。

「もう離し――、あ、」

絡み付いてくる縄から逃れようと、涙目で体を揺する彼女の様子。
暫く、呆けたように見つめていた響であったが、不意に目があった。

「あ、あの」
「はい」
「えっと……」

響に気づき、女性は体を捻るのを止める。
一瞬嬉しそうな表情を浮かべるも。
すぐに状況の気恥ずかしさからか、潤んだ目を伏せて、顔を赤くする。
その、やはり絡まった奇妙な状況でありながら、
どこか艶やかな仕草に、響は何故か自分の顔まで火照ってくるの感じた。

「助けて、頂けないでしょうか?」
「は、あ、はいっ!」

けれどその心から申し訳なさそうな声に、
ようやっと響は『助けなければ』という意識を取り戻した。



◆ ◇ ◆


「ふー、いきなり疲れた……」

数分に及ぶ格闘の末。
意思を持つかのように絡み付いていたコードは全て切断することになった。
散らかったPCルームの床に、響は少し息を荒くしながら腰を下ろす。

「ありがとうございました、立花さん」
「い、いえいえっ!全然っ!大したことはしてませんから!」

深々と下げられる頭に、恐縮する。
目の前で感極まって涙目になっている女性。
襲いかかるコードの群れから解放された彼女は、福路美穂子と名乗っていた。

「でも、もしも立花さんが来てくれなかったら……。本当に、ありがとう」
「まあ私は、人助けが趣味みたいなものでぇ。
 ……ってうわああもう泣かないでください福路さん!」

部屋にあったハサミでコードを捌く間に、軽い自己紹介は済ませている。
二人はひとまず、お互いが殺し合いには乗っていないと告げ、一緒に行動することを決めていた。


「ごめんなさい。悪い癖なの……」

困った顔の響へと。
美穂子は申し訳なさそうに苦笑しながら目元を拭い。

「それじゃもう一度、自己紹介からね」


そうして、彼女は自分の素性を改めて話し始めた。
柔らかな口調で語る彼女に、先ほどまでの涙はなく。
優しげな微笑みを湛えている。
その様子を見て響もほっとしつつ、美穂子の話に耳を傾けた。

福路美穂子。
響より少し年上の高校三年生。
風越女子という女子校でマージャン部のキャプテンを務めていたらしい。
合宿の帰りに気を失い、ここに連れてこられたと本人は語る。


(綺麗な人だなぁ)

服装を正しながら話す彼女の容姿を見る。
先程はコードと格闘していてじっくり見ている暇もなかったけれど。
こうして落ち着いて立ち振る舞いを見なおしてみると、やはり美人だ。
スタイルも良い。

(うーん、比べて私は……)

なんとなく自分の胸元に手を当てつつ。
響はふと、思う。

(この人にも、いるのかな。この場所に、守りたい人……)

どこか安心させるような、穏やかな雰囲気を纏う人物だった。
それが先ほどまで響が抱えていた焦燥を、忘れさせ――




「どうか、したの?」

まじまじと見過ぎたのか、美穂子が小首を傾げていた。
弛緩していた意識に、はっとする。

「ご、ごめんなさい何でもないですっ」

何をやっているのだろう、と。
慌てて取り繕う。
そして我に返った響は己を叱咤する。

「次は、立花さんの番ね」

自分を語る段階になり、ようやく危機感が戻ってきた。

(私のバカ、しっかりしないと!)

何をぼーっとしていたんだろう。
こんなことを考えている場合じゃない。
こんなことをしている場合じゃないのだ。


今この瞬間にも親友が危険に晒されているかもしれない。
一刻も早く駆けつけなければならない、なのに。

(私はこんなところで、ゆっくりしていられない。立ち止まってられないんだ!)

気持ちが緩んでいた事は否定出来ない。
目の前の女性の雰囲気に、どこか甘えていたのかもしれない。
受け入れがたい現実から逃げていたのかもしれない。
状況を反芻し、危機感に駆られた響は、表情が険しくなるのを止められなかった。

「立花さん? 大丈夫?」

咄嗟に隠したはずが、何故か見破られてしまう。
ならば押し通すしかないと即断し。

「福路さん!」

勢い良く立ち上がる。
唐突な動作にキョトンとする美穂子を見下ろしながら、響は口を開いた。

「私、実は……ええっと、あんまり素性は話せないんですけどっ!
 でも力があるんですッ!
 なんて言ったらいいのか分からないけど、とにかく普通の人よりちょっとだけ強くて!
 とにかく、あなたは私が保護しますッ!」

座ったままの美穂子の手を取り、立たせる。
こうしなければならないと思った。
守る力のある響が何故、助けるべき人に安心させられているのか。
美穂子の腕を引っ張ったまま、歩き出す。


守らなきゃいけない。
助けなきゃいけない。
この人だってそうだ、他にも助けを求める人がるのなら。
力のある自分が、守らないといけない。
そう、響は強く決意する。

「けど、私には助けなきゃいけない人がいて、守らなきゃいけなくて! 今すぐ行かなくちゃいけなくてっ!」

このまま、永遠の別れなんて、許せないから。

「出発しましょう、今すぐに、大丈夫です! あなたは私が守りますからッ! だか、ら……」

そのときふと、何か暖かいものに包まれた。
背中を、全身を満たす感触が、響の言葉を止めていた。

「あ……あの……福路、さん?」
「こうすると、落ち着くでしょう」

引っ張っていた腕からは、少しの抵抗もない。
代わりに、それは響のお腹のあたりに回されている。

「焦らないで。事情は分からないけど、一人で抱えていたら、潰れてしまうわ」

背後から抱きしめられる、くすぐったい、懐かしい感覚。
それは親友と過ごした日常の、ありふれたじゃれ合いに近くて、どこか遠くて。
言葉を、失う。

「ね、あなたの守りたいものって、なにかしら?」

耳元で囁く穏やかな声。
心がまた、緩む、簡単に。

「親友、です」
「そう」

回された手を、掴む。
大切な人を失う不安を、握るように。
不思議と焦る気持ちが消えて、かわりに襲い掛かるのは、無力感と悔しさだった。

「居なくなってほしくない。また会いたい。ちゃんと、謝りたいから」
「大切なのね、その人が」

最後に、響を見ていた親友の目。
傷ついていた。悲しんでいた。
このままお別れするなんて、絶対に嫌だった。




「だって未来は、私の帰る場所だから」
「うん。じゃあ無理はしないで、あなたのできる事をしましょう。一つずつ」


それは柔らかな声だった。
宛もなく、闇雲に駆け出しそうになっていた足を止める。

「あなたにとっての帰る場所はきっと、その子にとっても、同じはず」
「福路さん……」

それは心地良い熱だった。
張り詰めていた心を落ち着ける。

「私も、できる事をするから」


分かっていた。
落ち着いて、ちゃんと考えて、そして今できる事を、やらなければならない。
一人で突っ走っても、潰れるだけ。
分かっていたけど、出来なかった。焦燥がそれを許さなかった。

「一緒に、がんばりましょう。立花さん」
「……はい」

一人じゃ、何もできない。
全身を打ちのめすような無力の中で響は思う。
会って間もない彼女は、だけど、それを教えてくれた。


「私、まだまだ、だなぁ……」





だから響は込み上げる熱いものを、ぐっと飲み込んだ。











◇ ◇ ◇




「私もね、最初は失敗しちゃったのよ」
「そうなんですか?」
「ええ、パソコン使って何かわからないかなって、思ったんだけど……そしたらあんなことに。
 焦って、慣れないことやってしまったの」
「それだけで、あんなことになるんですか……?」



少女から手を放しながら、美穂子はきまりの悪さを感じていた。

(ちょっと強引すぎたかしら……)

余裕のない表情で、焦りに突き動かされるように歩み出す彼女を見て。
つい、部活の子を落ち着かせるように、やってしまっていた。

「他に誰か知ってる人は、ここにいるの?」
「尊敬してる人が、います」

結果的に落ち着いてくれたので、良かったけれど、と。
美穂子は気恥ずかしさを誤魔化ように、話を続けることにする。

「それから喧嘩中、みたいな子もいます。
 あと、それから……」

言葉に詰まる響。
そこで彼女は少し、考えこむようにして。



「会いたい人が、います。
 もう二度と、会えると思ってなかったひとが……ここに」



複雑な感情を浮かべた横顔で、そう言った。



(会ってみたい人、か)


知っている感覚、かもしれない。
あの日、違う道を歩むあの人と、再び会えたあの時までは。
美穂子もまた、同じ思いを心のどこかに抱えていた気がするから。

「会えると、いいわね」
「でも、もちろん守らなきゃいけない人を守って。それからですけど」

照れくさそうに頬を掻く少女。
その姿を見ながら、思う。
真っ直ぐな子だ。
そして、危うい子だ、とも。

立花響。
どこか見ていられない。
危なっかしい何かを抱えた少女。

「福路さん」
「ん?」
「福路さんの守りたい人は、誰ですか?」

見てられない。
ほっとけない。
美穂子はそう思ってしまう。


「私の守りたい人は――」


彼女を見てるとつい、連想してしまうから、かもしれない。
この子と似てまっすぐで、少し不器用で、明るく元気な、大切な人。
福路美穂子の帰る場所、間違いなくその一つ。









――華菜。







彼女を、思わずにはいられないから。








【一日目/深夜】
【C-4/洋館】

【立花響@戦姫絶唱シンフォギア】
【状態】健康
【装備】制服
【所持品】ランダム支給品1~2
【思考・状況】
1.未来を守る。
2.福路さんと協力する。
3.翼さん、奏さんに会いたい。
4.クリスちゃんのことは・・・

※7話途中からの登場。(クリスとほぼ同時期)



【福路美穂子@咲-saki-】
【状態】健康
【装備】制服
【所持品】ランダム支給品1 コルトM1848(未装填)、予備弾薬
【思考・状況】
1.大切なものを守る。
2.出来る範囲で響を助ける。


※四校合同合宿後の登場。

006:スカシユリの少女 投下順 008:"From me to you,from you to..."
006:スカシユリの少女 時系列順 008:"From me to you,from you to..."
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最終更新:2012年05月24日 09:45