はろー、ミキは星井美希。たぶん中学生!
おっぱいとかおっきいのが特徴で、アイドルやってまーす。あふぅ。
そんなミキなんだけど、今ちょーっとめんどくさい感じになっちゃってるの。
どこだか知らない島に目が覚めたらいて、おまけにこわーいオジサマが殺し合いをしろーだって。
んー、ミキの記憶が確かなら、明日はCMのオーディションがあったはずなんだけど、こんなことしてていいのかな。
え? よく仕事の予定を覚えてたね、って?
へへーん、ミキだって“ぷろ”だもーん。
まあ、それはいいや。仕事の予定はハニーの決めることだし、きっと大丈夫なんだよね。
ハニーはきっと、ミキならできる、ってスケジュールを組み立ててるんだろうから、多分ミキはなにも心配しないでいいの。
……そう、お仕事。
あの凝った血糊も、わけわかんないオジサマの話も、全部お仕事。
――ねえ、これってドッキリだよね?
○
"Honey, please lead me."
○
まったくハニーにも困ったもんなの。ミキに断りもなくこんな気持ち悪い仕事を受けちゃうなんて。
小鳥しかいない事務所で気持ちよく寝てたはずのに、気づいたらこんなところにいて、気分はもうほんとに最悪。
寝起きだからなんだかお化粧が崩れてる気がするし、服もテレビに映るならもっと考えて選ぶのに。
持たされた荷物には聞いたこともないブランドの口紅とタンバリン。
タンバリンはもちろん言わずもがなで、 何じゃそら、て感じ。
もう一つの静かで落ち着きすぎた色の口紅もミキの趣味じゃないし、それにこんなものを渡すならせめて手鏡くらいは欲しかった。
何より、これで殺し合いをしろとか言われても……。おへそでお茶が湧かせちゃうの。雪歩のお株奪っちゃうの。
文句はまだまだある。
単純に企画の趣旨が気持ちよくないのとか、この地味ーに重い首輪とか。
あと、こんな山奥にうら若き乙女をひとりでほっぽり出すこととか!
いくらなんでもひどすぎ、ディレクター出てこい! なの。
歩くたびに舞う土で靴が汚れてく。お気に入りだったのに。
周りのガサガサ! っていう音にいちいちびっくりしちゃうけど、撮影スタッフがいるでもない。
自然の音ってこんなのだったんだ。なんか久しぶりなの。
こういう企画って、ひとりひとりにピッタリ張り付く専属のカメラマンがいるものだと思ってたけど、そうじゃないみたい。どこにカメラがあるのかもわからないから、格好のつけようもない。
いつも通りでいいのかなぁ。グラビア撮影でよく言われる“自然なミキ”を求められてるとか?
それにしたってやり過ぎだけど……。
まあ、ハニーがミキにも秘密で受けた仕事ってことは怪我とか危険とかを心配する必要もないし、黙ってたってことは、ハニーはミキにこの仕事ができるって信じてくれてる、ってことだよね?
じゃあここはひとつ、ミキもハニーを信じてみようかな。
とりとめもなく歩いて、すこし開けた道にでる。もう山道を歩かないで済むんだ、助かった~。
木々の向こうには街灯と月明かりに照らされてる街が見えた。半分ぐらいは暗さに包まれてて、仕事帰りのネオン街を見慣れたミキにはちょっと変な感じ。
夜って、こんなに暗いんだ……。
急に怖くなって、ぶるっと体が震えた。ハニーを信じるって言ったばっかりなのにね、あはっ。
千早さんも真クンも、この島のどこかにいるらしい。
あの二人にもハニーは秘密にしてたのかな。もし知ってて、ミキにだけ教えてなかったら、結構ショックなの……。
でもどっちにしろそばにはいる訳だし、みんなもこんな風に不安なんだろうと思うと、震えはすぐに引っ込んでちょっと笑っちゃった。
だってミキね、ちょっと楽しいんだ。こんな嫌な気持ちもいつかキラキラするためのものだって、そう思えるから。そしてそれは多分アイドルなら誰だって、今同じような気分のはずの二人だってそう思ってることで、そんなことにすら今までのミキは気づいてなかったから。
だから、楽しいし嬉しい。
アイドルとして、ハニーに任されたお仕事。千早さんにも真クンにも負けないぐらい頑張らなきゃ!
どこかにあるだろうカメラを意識して頷く。かっこよく写ってるといいな。
つらーい現実に立ち向かう覚悟を決める美少女。テレビ映えするいい絵になりそうなの!
アドリブでそれらしい台詞を呟いてから歩き出す。目的地は見えてるけどそこそこの距離があるのでやっぱりめんどくさい。ハニーが迎えに来てくれたらいいのになぁ……。
――暇だし、何だかんだ言っても不気味なことには変わりないから黙って足を動かす間にゴチャゴチャ考えるんだけど、そんな中で映画をひとつ思い出した。
こんな風に人を島に集めて殺し合いをさせる映画。クラスメイトに殺し合いをさせる悪趣味な映画。
確か国の政策で、っていう設定だったかな。もちろんフィクションで、この世界にそんな制度は存在しない。
ミキたちはクラスメイトじゃないけど、もしかしたらこれはアイドルの殺し合いごっこの企画なのかもね。
じゃあ、他のみんなもアイドルとかかな?
見たことない人ばっかりだったから、Eランクとか、Dランクアイドル限定の殺し合い、とか。
……趣味悪ーい。映画も真っ青の悪趣味さなの。
そんな風に毒にも薬にもならないことを考えてたら、道の向こうに人影が見えた。
お互いに気づいたのは同時らしくて、ミキが足を止めたら、あっちは大袈裟なリアクションつきで立ち止まる。
漫画みたいに両手と片足をあげて、どこからか「ギョッ」なんて効果音が聞こえてきそうなポーズ。
自然な反応からは程遠いけど、少し敗北感……。ミキもなんかすればよかった。演技派アイドルさんめ。
意趣返しに、まずミキから声をかける。
でっかく口を開けて、おーい、って。
ちょっとはしたないかな? 律子……さんがいたら、角を生やして怒りそう。
おーい、逃げないで。ミキの話を聞いて!
手を振って走り寄る。あっちの子もすぐにこっちへやってきて、ちょうど半分ぐらいいったところで顔が見えた。
やっぱり知らない子だ。でもあんないいリアクションをするんだから、きっとしばらくすればバラエティ番組でお茶の間を賑わせるようになるんだろう。
ミキの出てるCMが間に流れたりしたら、ちょっと運命感じちゃうね。
そんな未来のライバルさんの名前は、折部やすなっていうんだって!
◯
しばらくして。ちょっと立ち話をした結論からいうと、やすなはアイドルじゃなかった。
あなたはアイドルですか? って直接聞いた訳じゃないけど、多分間違いない。素人すぎるっていうか、なんていうか。
予想がまったく外れて、思わずポカンとしちゃった。
ミキのイメージにあってないぐらいに間抜けな顔しちゃったけど、やすなはミキを知らないみたいだから笑われたりはしなかった。複雑なの……。
ていうか!
ミキのこと知らないなんて、遅れてる!
……そうでも思わないと、ミキが負けた気がして悔しいの。ちょっと。嘘、結構。
「しっ、失礼な! 華の女子高生が流行に疎いなんて、そんなことないよっ!」
いや、さっきミキのこと知らないって言ってたし。
「あれは勘違いですぅー! 気のせいですぅー! ソーニャちゃんじゃあるまいし、私はちゃんと常識ありますぅー!」
なんだか亜美と真美を思い出すの……。ミキより年上なのに。
ほんとに高校生?
地団駄を踏んで悔しがるやすなもミキとおんなじに、どうしてこんなところにいるのかわからないんだって。
開口一番、「これってドッキリだよね!?」なんていうあたり、この企画の意味を全然わかってないシロートさんだ。
だってはじめからターゲットがドッキリだってわかったら、見てる人は拍子抜けしちゃうじゃない? そういうのはわかってても隠さなきゃ。
だからミキ、慌ててやすなの口を塞いだりまでしちゃった。カメラさん、みっともないからさっきのとこはちゃんとカットしてね。
まあ、それはよくて。
問題は普通の人であるやすながここに呼ばれたことだ。
やすなの友達も呼ばれてるらしいし、どうしてこんな企画に巻き込まれたのかがさっぱりわからない。
一般人を巻き込んだ企画なんてあるのかな。一般人って設定のアイドルかとも思ったけど……うん、間違いなくそれは違うと思うな。
途方に暮れてても仕方がないから、ミキたちは肩を並べて歩き出した。
そこで聞いたんだけど、やすなは友達を探したいんだって。
「ソーニャちゃんとあぎりさんもここにいるみたいだから、私は二人を探したいかな」
仲良しさんなのね、って言ったら、ものすごい勢いで否定された。なんでも、絶対に合流しなくちゃならない理由があるんだとか。
その理由を聞いても、やすなは口ごもるだけで教えてくれなかった。
どうしたんだろう?
ミキもすることないし、やすなと一緒に街までいこうかな。
街の方が隠しカメラがたくさんありそうだし、そっちの方がいいよね。
「じゃ決まりね。レッツゴー!」
やすなが勝手に走り出しちゃった。
もっとゆっくり行こうよ、ミキはもう眠いのに。
いつもならもう夢の中にいてもおかしくない時間に、なんだか子供っぽい人と一緒に街まで走るなんて、変な感じなの。
改めて見上げた月は、いつも見てるのよりもずっと明るい気がする。
どんな番組になるのかな、少しだけ楽しみ。
ワクワクと、いつか待ってるキラキラに向かって、ミキはそうして走り出した。
◯
誤魔化すのは得意ではない。
馬鹿だ阿呆だと言われたい放題のやすなではあるが、その程度の自覚はある。
だから、不安だった。
私は、待ってよぉ、とひどく億劫そうな声をあげて彼女を追う星井美希に、焦りを隠すことができたのだろうか、と。
それが、不安で仕方なかった。
――やすなはソーニャと、あぎりに会わなければならない。それもできる限り早く。
そうしなければ彼女らは、殺しを生業とする彼女らは、これがドッキリだと知らずに自身らの使命を果たしてしまうだろう。
テレビに出るような有名人をそんな簡単に殺すはずはない。
だからこの企画はドッキリでしかあり得ないのだ。
(止めなきゃ)
更正させなければ、といつも思っていた彼女の手を、こんなところで汚させる訳にはいかない。
(だから、会わなきゃ)
ポケットの中で鉄の塊が動く。
ハイスタンダード・デリンジャー22口径――人を殺すためのもの、と説明書きのあった、その"やすなが無理やり玩具だと思い込んだ"銃を、不安に汗ばんだ手で握りしめる。
(――ねえ、これってドッキリだよね?)
そんな疑問に答えるものも、親切にあざ笑ってくれるものすらも、二人を包む夜の帳の中には、いない。
◯
やってキマシタ殺しの頃合い、
予定は未定人任せ。
裏切り縁切り〆切ギリギリ、
協力抜け駆けなんでもござれ。
百合が散っても徒花は咲かぬ、
残るは荒涼魑魅魍魎。
猫を切り捨て太刀を折り、
行きも帰りも冥府魔道。
次回はいったいどうなることやら。
さて、どうする星井美希。ででん。
【一日目・深夜】
【D-3/路上】
【星井美希@THE IDOLM@STER】
【状態】健康
【装備】なし
【所持品】基本支給品、イドゥラバーズ50番@少女セクト、タンバリン@キルミーベイベー
【思考・状況】
1.南西方面の町へと向かう
2.お仕事、頑張らなくちゃ!
3.やすなと一緒にいこうっと
【備考】
※登場時期は12話以降のどこからかとなります
※「殺し合いをさせる」TV番組のドッキリに巻き込まれたと思っています
【折部やすな@キルミーベイベー】
【状態】健康、ソーニャ達への危惧、若干の焦り
【装備】ハイスタンダード・デリンジャー22口径(2/2)@現実、予備弾薬
【所持品】基本支給品、ランダム支給品0~1
【思考・状況】
1.南西方面の町へと向かう
2.ソーニャちゃんたちと合流しなくちゃ!
3.美希と行動する
【備考】
※「殺し合いをさせる」TV番組のドッキリに巻き込まれたと思っています
※デリンジャーを玩具だと思いこもうとしています
【支給品紹介】
【イドゥラバーズ50番@少女セクト】
少女セクトの主人公、内藤桃子が愛用する口紅
彼女を愛する鳰旦蕗、を愛する犬吠埼雪華も、卑屈ながらも健気な理由で使用している
落ちついた色は、少女が少女であるその一瞬をひと際強く輝かせる力を持っている
【タンバリン@キルミーベイベー】
何の変哲もないタンバリン
うんたん!じゃない
タンバリンは殴って突き破るものではなーい!
【ハイスタンダード・デリンジャー22口径@現実】
言わずと知れた小型拳銃の代名詞、二連装の護身用拳銃
その利便性もといご都合主義力の高さから、昔より多くのフィクションに顔を出している
有名どころでは峰不二子やトライガンのメリルなど?
原典ではオカマの月岡彰に支給されていた
ちなみにこれ、暴発の危険を減らすために引き金がめっちゃ重くなっており、当パロロワに登場する女性キャラの大部分が訓練なしに発砲するには厳しい状態となっている
最終更新:2012年11月08日 09:18