「もうそんなに人が!?」
「ふむ、どうやらくつろいでいる場合では無さそうじゃな。」
ピクルとの戦いから数時間後。結局その場に留まって睡眠を取った後、
ディバッグに入っていたテーブルセットとティータイムセットでお茶を楽しんでいた
巴マミ、ウルキオラ・シファー、四楓院夜一(猫)の三人は放送を聞いて微妙な雰囲気になる。
この面子の知り合いは誰も死んでいないというのが不幸中の幸いというものか。
「休憩は終わりだ。そろそろ出発するぞ。」
「でも……気になるのは『他にも参加してる奴ら』もいるってところよね。」
「ブロリーとやらを倒せばなんでも願いを叶える。それが本当なら
恐らく主催者サイドにもその商品目当ての輩がいるということか。」
「じゃあ名簿の人たちの他にも当て馬っぽい人が紛れてるというわけね。
……ん?待って!何かがこっちに近づいてくる。」
マミは急いで返信して臨戦態勢を取る。
三人の数メートル先に立っている体格の大きいその者は――。
「なんだあれは?さっきの原人か?」
「いいえ、彼よりかなり毛深いわ。純粋な猿よ。」
「しかし、なんだあの恰好は?防弾チョッキ?」
ひゅんと、高速で何かがマミに向かって投げつけられた。
パァン!
瞬時にマスケット銃を召喚し、それを打ち落とす。
「……人の頭部に向かって正確無比な投石攻撃。
あの猿は人間並みの知能を持っていることになるわね。」
「下がってろ、マミ。俺がやる。あんな塵(ゴミ)一人で十分だ。」
そういってウルキオラは椅子から立ち上がった。
「鎖せ、黒翼大魔(ムルシエラゴ)。」
―――帰刀(レスレクシオン)。
斬魄刀に封じ込めた虚本来の力を開放する破面(アランカル)の刀剣解放である。
黒い液体が舞い上がり、雨のように降り注ぐ格好いい演出にマミは目を輝かせる。
光の槍(フルゴール)を霊圧で形成し、猿に一瞬で接近する。
「全く反応ができていないな。所詮は屑(クズ)か。」
その言葉を聞いて猿はいいようのない不快感を露わにする。
マミの額から汗が零れ落ちた。
「猿がブチ切れた?待ってウルキオラ!あの猿何かを隠し持ってるわよ!」
フルゴールが猿の喉に穴を空ける寸前、異常な速度のスゥェーバックで槍を躱し、
腰に手を回してガードの空いたウルキオラの腹部に向けて「それ」を発砲した。
ガオンッ!
集約された散弾が、ウルキオラの硬皮(イエロ)をあっさり貫いた。
「ショットガン!?」
着地したウルキオラは何が起こったか分からずゆっくりと顔を下げる。
腹の真ん中に、喉元に空いている孔よりはるかに大きい空洞が空いていた。
「がはぁっ!?」
「ウ、ウルキオラーーー!!!」
血を吐いて膝をつくウルキオラ。ニヤリと笑い、
彼をまるで虫けらでも見るような目で見下す猿。
もう勝負は着いたとばかりに座っているマミと夜一を次の標的に定める。
椅子から勢いよく立ち上がるマミ。
「……馬鹿な、この俺が……?」
「すぐ助けるわ!待ってて!」
「く、来るな!マミ!」
普段全く感情を見せない彼らしくもない表情を見せ、ウルキオラは叫んだ。
「みんな逃げろ!!死人がでるぞーーーー!!!!」
◆ ◆ ◆
判断ミスを認めざるを得ない。いくら猿とはいえ恐らくは主催サイドの刺客。
やはり二人で挑むべきだったのだ。重体のウルキオラを無視して猿はこちらに走ってくる。
(ウルキオラの硬皮(イエロ)があっさり破られるなんて。
恐らくあの散弾は覇気を纏っているわね。喰らったら終わり。
でも射撃戦はこちらが有利!近づく前に仕留める!)
そう考えたマミは周囲に大量のマスケット銃を召喚する。
魔弾の舞踏(ダンサ・デル・マジックブレッド)による全方位攻撃で
早期決着を目指す算段だ。
(これでフィナーレよ。―――え?)
夜が明け、太陽がまぶしく周囲を照らしている。
こちらに近づく猿のはるか背後の空に、それが視えた。
(なに……あれは……?)
あまりに巨大すぎてもはや会場のどこに居ても視認できる物体。無数の触手が生えた巨大な樹木。
救済の魔女、クリームヒルト・グレートヒェン。
(なんなの、あの怪物は?あれも参加者?それに、何?この胸騒ぎは?
私はあれを知っている……?でも、そんな?なんで?)
(―――なんで、私はアレを鹿目さんだと思っているの!?)
魔法少女とは、魔女とはなんなのか、今考える事ではないのだと分かっていても
思考を止めることができない。混乱は絶望に変わりソウルジェムの汚染をまねき――。
ブチィッ!
その隙を見逃さなかった猿に頭を掴まれ、強烈な力で首を引き千切られた瞬間、
巴マミの絶望は頂点に達した。
◆ ◆ ◆
「マミィィィィィーーーー!!!!」
マミの首が跳ね飛ばされるのを目撃しウルキオラは叫ぶ。
だがテーブルで寝ていたところを猿に襲われ既に体の大半を捕食されている
夜一(猫)を目の前にしても体が思うように動かない。
なんという事だろう。十刃の第四位(クアトロ・エスパーダ)である自分が、
ただの人間どころかただの猿に後れを取るなんて決してあってはならないことである。
(……傲慢ゆえの、失敗か。許せ二人とも。だが、只では死なん!)
そういってウルキオラはよろよろと立ち上がり、黒い瘴気を身に纏う。
長い二本角と鋭い四肢の爪、黒い体毛に覆われた半身をもつ悪魔そのものを思わせる姿に変貌した。
―――刀剣解放第二階層(レスレクシオン・セグンダ・エターパ)
十刃で唯一ウルキオラのみが可能としている二段階目の刀剣解放である。
この形態は藍染も知らないため、実際は彼こそが十刃で一番の実力者であるという説もある。
「まさか猿相手にこの形態になることになるとはな。行くぞ。」
そういって消耗の激しい雷霆の槍(ランサ・デル・レランパーゴ)を命がけで放とうとする。
すると、何かが足元でつんつんと自分を小突いているのに気が付いた。
「なんだ、虫か?……な!?なんだお前は?」
そこに居たのは、水色のワンピースに黄色の巨大なボンネットをかぶった姿の小人であった。
猫になった夜一より小さいそれはウルキオラを小突いているリボン状の腕と別の方の腕で
ある方向を指さしていた。引き寄せられるようにそっちを向くウルキオラ。
「あれは!そうか!その手があったか!」
そこには森林があった。なんだかよく分からないが自分に味方してくれるらしい
手のひらサイズの虚?を肩に乗せ、黒い翼を広げてそこへ飛び込む。
猿もそれを追いかけて森の中へ入っていった。
「やはりあの猿、森の中へ誘い込んだ理由を理解していないな。」
木の隙間から見えたウルキオラを人間より正確な射撃で撃ち落そうとする猿。
だが散弾は生い茂った樹木に阻まれ全く命中しなかった。始めて動揺する猿。
「人間の武器に頼っている以上、貴様が不利になる。こんな木の密集した場所で
動く標的の射撃はたとえショットガンでも至難の業。」
ウルキオラはフルゴールを構えて、投擲(ルス・デ・ラ・ルナ)の構えを取る。
すると小人が腕のリボンをウルキオラに巻き付け始めた。
その様子を見てフッとウルキオラは笑った。
「一緒に戦うぞ。巴マミ。」
小人の名前は、おめかしの魔女キャンデロロ。
巴マミの死の間際の絶望から生まれたご招待の魔女である。
この魔女は自身の戦闘力は低いが憑依した使い魔等を強化する術に長けている。
腕にリボンが巻かれたウルキオラの持つフルゴールが何倍も巨大化した。
「卍解?いや……そうか、これが。」
テ
ィ
ロ
・
フ
ィ
ナ
I
レ
か
投擲された巨大な光の槍が逃げる猿の体を貫き、そのまま絶命させた。
キャンデロロに応急処置を施してもらったウルキオラはテーブルセットとティータイムセットを
片づけてディバックに仕舞い、石を積み上げて作った足元の夜一(猫)の墓を見つめる。
「何故俺はこんな人間みたいなことをしているんだろうな。」
肩で踊っているキャンデロロに手をやりながら左右非対称の表情をする。
「わけがわからないよ。」
ウルキオラはその言葉を思わず口にした。
◆ ◆ ◆
モニター室で土御門が会場を眺めている。
「あーあ。べ…トロルコングがやられちまったかぁー。」
隣に立っている小松が溜息をつく。
「でもべ…トロルコングは『他にも参加してるやつら』の中でも最弱。
あの体たらくで果たして参加者が生き残れるかどうか……。」
「かみやんも死んじゃったしね。あー行っちゃった。
しかし勿体ないねぇ。アイツには結構いい装備を渡してたんだけど。……ん?」
ウルキオラ達が立ち去ってからしばらく後、何者かが猿の死体を漁っているのが見えた。
そのものは引き剥がした防弾チョッキを着こなし、ショットガンを構える。
小松は思わず叫んだ。
「ピクルが完全武装している!」
―――惨劇は終わらない。
【四楓院夜一@BLEACH 死亡】
【ベン(トロルコング)@トリコ 死亡】
【G-2 /1日目・朝】
【ウルキオラ・シファー@BLEACH】
【状態】 疲労(極大)、重傷、腹部に穴(応急処置済み)
【装備】 なし
【持ち物】 ランダム
支給品1~3、ティーセット、テーブルセット基本支給品一式
【思考】
基本:愛染様の元へ帰るため、脱出する。
1:人間には興味があるので、なるべく殺さないようにしておく
2:あれ(ピクル)は人間じゃないだろあれは
3:黒崎一護と決着を
4:崩玉があればマミに理性を戻せるかも
5:心か
【備考】
※参戦時期は破面編開始~黒崎一護との決着前のようです。
※衣装の一部をピクルに食べられてしまいました。
【巴マミ@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】 魔女化(キャンデロロ)
【装備】
【持ち物】
【思考】
基本:お茶会にご招待しなきゃ
1:お客さま(ウルキオラ)を決して逃がさない
【備考】
※参加者に取り憑くことにより、ティロ・フィナーレのような攻撃を放つことができます。
【ピクル@グラップラー刃牙】
【状態】 完全武装
【装備】 ショットガン、防弾ベスト
【持ち物】 予備弾薬、ランダム支給品1~3、基本支給品一式
【思考】
基本: 強い者と闘って喰らう
1:さっき何故か食べ損ねた少女はどこにいったのかな?
2:なんで変な空間に閉じ込められたんだろう?
3:現代は分からないことだらけだなあ
4: たまには文明的なこともしてみよう
【備考】
※野生を棄てました
一方その頃。
「ヴィータ!無事やったんやな!」
「う……うわぁぁぁぁん!はやてーーー!」
「し、師匠ぉ!?」
「ふぅ、久々に腕がなったぞぃ。」
「すげぇなおっさん!素手で巨大ロボを倒すなんて!」
「はっはっはっ。武を極めればこれ位はできて当然よぉ!」
再会を喜ぶ四人の男女。
巨大化した本田忠勝との放送を跨いだ戦いは
突如乱入した東方不敗が空を飛びながら超級覇王電影弾で
忠勝の周辺を乱舞したことによってあっさり終了していた。
【更木剣八@BLEACH 死亡】
【本田忠勝@戦国BASARA 死亡】
【G-5 山岳地帯/1日目・朝】
【八神はやて@魔法少女リリカルなのは】
【状態】 健康
【装備】
【持ち物】 ランダム支給品1~3、基本支給品一式
【思考】
基本:主催者を倒す
1:なのは、フェイトと合流する
【備考】
※A,sの時期から参戦
【東方不敗@機動武鬪伝Gガンダム】
【状態】 健康
【装備】
【持ち物】 ランダム支給品1~3、基本支給品一式
【思考】
基本:地球を汚染から救い出す
1:この調子でどんどん行くぞ!
【ドモン・カッシュ@機動武鬪伝Gガンダム】
【状態】 疲労
【装備】 ゴッドガンダム
【持ち物】不明支給品1~2、基本支給品
【思考】
基本:主催者を打倒して脱出する
1:レインが死んだ?
2:師匠!
【ヴィータ@魔法少女リリカルなのは】
【状態】 疲労
【装備】グラーフアイゼン、メダリオン(神殺槍)
【持ち物】不明支給品1~3、基本支給品
【思考】
基本:主はやてを守る
1:シグナムの仇を討つ
【備考】
※A,sの時期から参戦です
※落雷の後遺症で死亡した更木剣八からメダリオンを受け継ぎました。
※その際にとても熱いドラマがあったと思われますが詳細は不明です。
最終更新:2014年12月19日 23:47