本堂

本堂

本尊


画像はwikipediaより転載。妙法院蔵
本尊は千手観音です。さまざまな苦を抱える人々に対し、どんな苦でも取り除く無限の慈悲を千本の手に象徴されます。
さらに深読みしますと、千本の手は大自然のさまざまな姿を象徴します。鳥は飛んで鳥のままに、魚は泳いで魚のままに、それぞれあるがままの世界こそが悟りの世界であり、本来救われている世界です。

千手観音さまの真言は「おん ばざら だらま きりく (そわか)」ですが、密教と違って禅宗では本来、無言を好みます。何もお唱えせず、寂かにお参りいただいて結構です。しかし善昌寺は密教のお寺様方と一緒に瀬戸内観音・備後西国霊場に名を連ねておりますので、密教式で真言をお唱えいただいても結構です。お心次第です。

須弥壇(しゅみだん)

善昌寺の須弥壇&br
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入って正面の高い台に本尊さまが安置されています。これを須弥壇と言います。左右に階段がありますが上るのは厳禁です。古代インドの世界観で世界の中心にある山を須弥山(しゅみせん)と呼びます。この須弥山になぞらえて須弥壇と呼ばれます。

一番奥の幕の中に本尊さまが安置されます。その手前の3つの位牌は中央が道元禅師、向かって右が瑩山禅師、左が最初に善昌寺を開いた仏心慧燈国師(ぶっしんえとうこくし)の位牌です。

須弥壇の左右の柱に掛けられている書には、右に扶桑大小神祇(ふそうだいしょうじんぎ)、左に三国伝燈祖師(さんごくでんとうそし)と書かれています。
扶桑とは古い言葉で日本の意味を指し、扶桑大小神祇で日本全国の八百万の神々を指します。
三国とはインド、中国、日本のことです。伝燈(灯)とはロウソクの火を次のロウソクに移すように、師から弟子へ脈々と教えを伝えていくことです。つまり三国伝燈祖師でお釈迦さまから代々続くお師匠さまがたを指します。

達磨大権(だるまだいげん)

達磨大師&br
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大権修利菩薩(だいげんしゅりぼさつ)&br
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須弥壇の左右の通路の上にも仏像があります。右が大権(だいげん)さま、左が達磨さまです。

達磨さまは禅宗の中国に最初に禅を伝えたお祖師さまとして有名です。

大権さまは曹洞宗しか祀らないためあまり知られていません。元は中国にある、貿易船が多く行き来する海を臨む山の神さまであり、航海の安全を守っていました。遠くを眺めるように手を挙げている姿はそのためです。
曹洞宗では道元禅師の修行留学に縁が深く、お寺の守護者として祀ります。道元禅師は中国に修行留学した最後の夜、全十巻の貴重な本(公案集)と出会ってしまいました。道元禅師はこれをなんとしても書き写して日本に持ち帰りたいと考え、十冊すべてを一夜で書き写しました。一夜で十冊を書き写すというのは並大抵のことではありませんが、この時、大権さまが現れて手助けしたという伝説があります。

賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)

賓頭盧尊者&br
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お釈迦さまのお弟子さまの中でも特に優れた十六羅漢の第一に数えられます。赤く塗られているのは満ちあふれる生命力を象徴しています。日本では「病人が自分の患部と同じところを撫でると病気が治る」という撫で仏の信仰があります。

東大寺大仏殿の前にある賓頭盧さんが有名です。不飲酒の戒を犯してしまったため仏殿の中に入れてもらえないのだという話がありますが、ちゃんとした辞書で調べてもその記述はなく、インドや中国では良い扱いで祀られているようです。
姿が赤いことと東大寺で外に祀られていることから後付けで生まれた風説かもしれません。外に祀られていた事情は、当時、一般人が仏殿の中に立ち入ることが出来たかどうかが関わってくると思われます。

うぐいす張りの廊下

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構造(クリックで拡大)

wikipediaより
歩くとキュッキュツと音が鳴ります。床下に日本の釘が設置され、歩いた重みで擦れて音が鳴る仕組みです。京都府の知恩院、二条城のものが有名です。善昌寺では1560年の本堂建て替えの際に京都より名工を招いて制作されました。日本の伝統技術ですが、その技術は失われ今日では同等の床の製作は難しいそうです。本堂内にご参拝の折にはご自由に歩いていただいて結構ですが、走ったり大きな荷重のかかることはご遠慮ください。

戦災供養塔

最終更新:2016年09月10日 12:14
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