凍てつく寒さの中で季節外れの大水害から半年、重苦しいブレザーから爽やかな半袖のワイシャツに変わり季節は夏を迎えた。
この季節は一日が長いから深夜まで稼げる。夜とはいえ、人はいる。酒が上手い季節だからな。酔っ払いはよく拾う。
カーラジオでは連日富坂の水害についてのニュースが流れてる。なんでも、田辺知事は大量殺人を計画してたとかなんとかで。恐ろしいねぇ。さて、この客を送って今日は終わりにするかな。
「えー、3400円です」
派手な客「あら、意外安かったわね。でも流石に命知らずのドライバーさんね。運転上手だし。あ、お釣りはいらないわ」そういうと5000札でその客は払ってくれた。
「それに‥。運転手さんとっても体付きいいわね」
「あの‥電車が。」
「あら、大変!じゃあね運転手さん。」プチュ!
「!!!」
‥野郎にキスされるような趣味はねえ。
オカマ「またねん~。」オカマちゃんは手を振っている。俺は見なかった事にしてタクシーを走らせた。
「かぁ‥最悪これで二度めだな」一度めは酔ったサラリーマンだったな確か。
富坂の件ですっかり有名になった。が、変な客乗せる事も増えた。まあ、あの人を超える変わった客は流石にいないがな。
頬に付いた口紅の後を吹きながら、携帯を確認する。‥本多涼子からの着歴は‥‥‥‥、
ない!
「おっし、今日は家でのんびりビールが飲めるな」
本多を乗せるのは嫌ではない。退屈な時は良いのだが、こう忙しいときにこきつかわれるから勘弁して欲しい。毎日乗せてるようなもの、つけで。本人は美人だし人柄は悪いわけではないのだが。
もうすぐ、車庫だ。
車が交差点に差し掛かった時だった。
「ん?なんだ?人か」
横断歩道の真ん中で人が仰向けで倒れている。
「まさか、ひき逃げされたのか」
確認のため降りて近づく。ノースリーブのシャツに、黒のハーフパンツに髪は短く体格的に女のようだ。外傷ななさげだが。顔を覗くと‥‥、
「‥‥‥‥‥。ふー‥。本多さん?何してんだ‥」
倒れていたのは、何の悪戯が腐れ縁なのか。本多涼子だった。しかもかなり、酒臭い‥。
「んーー?ああ!運転手さんだあぁーー」
呂律が回らない声で子供の様に手足をバタバタさせている。
「こんなとこで寝てたら轢かれますよ」
「ちかうよう、帰るとこだって。でも立てないんだよねーアハハ」
まさか、本当に怪我でもしたのか?さすがに少し心配になった。
「立てないって‥、起き上がる事はできるだろ」
「うーん、どうかなぁ、よいしょーっと、やん~できないー♪」
と半身を起き上がらせたかと思うと、本多はまたぺたんとわざと寝転び、脚をバタバタしている‥。大丈夫なようだな。やれやれ‥。
「だーかーらー‥」
「乗せていけって言うんだろ?いわれなくてもそれじゃ無理だ。家までなら送るよ。」
「さっすが、あたしのうんてんしゅさんね。じゃお願いー」両手広げて、俺を待ち構えてる。
「やれやれ‥」と本多を乗せようと抱き抱えようとしゃがんだら、
ひしっ!
「!!ちょっと、本多さんっ」
首に腕を絡ませて凄い力で抱き着かれてしまった。
「んふふー、運転手さんは優しいんだぁ。大好きぃ」
大好きか‥。まあ、悪い気はしないが‥‥、苦し‥こんなに重かったか?
「ほ、本多さん苦しいから離、‥して‥くれ」
「んんー?ちゅうしてくれー?いいわよ~。ん~♪」
言ってない!言ってない!思わず反射的に首を横に向いて避けてしまった。‥‥勿体ない事を!
「んもう!なんでにげるのよぅー。あたしの『ちゅう』が嫌なのー」
「嫌じゃな‥、!?、いやそのー、本多さん飲み過ぎだって‥あ!」
本多が俺の首に‥‥‥‥、唇を当てた。
くっ‥、そこ、俺弱いんだよな。少しだけ性感帯に響いた。
「えへへー、しちゃったー運転手さん嬉しい?」
無邪気に笑う本多。これが素面だったらな。少し残念だ。
「‥痛い。」
だが、歯が当たったのか、痛む。
「そっかーよかったぁー」聞いてないな。
‥まあ、ういか、ちょっと嬉しいアクシデントだったが、いつまでも、路上で抱きあってたら、流石にに警察に職務質問される。
「しかたないな」
本多を抱っこして、車の後部座席へ座らせた。
「おとなしくしててくれよ。」
「はぁい」
素直に返事はしてるが、彼女の上司に、酒癖がかなり悪いと聞かされていた。運転中に先程みたいな事されたら、喜ぶどころか命取りになる。
本多が眠る事を祈りつつ、再びタクシーを走らせた。
車内では意外にも本多はおとなしくしていた。なにやら捜し物でもしているのか、モゾモゾしているが、こちらに危害を与える感じはない。須藤さんから聞かされていたほどの悪癖はなさそうだ。
さて、早く酔っ払い本多を送ってやらないと‥。
「うんてんしゅさぁん、窓開けてくれるー?」
「クーラーは嫌いでしたって?」運転席から、本多のいる座席の窓を開けてやった。
「ありがとー♪」といって走る窓から何かを投げる、というより、捨てた。
おいおい‥。
「本多さん、危ないから窓から物を投げないでくださいよ」
「はぁいごめんなさぁい、」
と身を乗り出してきた。
「危ないからっ座って‥、」
ふと、ルームミラーごしに本多が写った。
先程の本多なんか違う。何か足りない。
ノースリーブのシャツの襟がなく、見えるのは細く白い首のラインと男と違うくっきりと色気のある鎖骨、さらに、谷間がちらり‥、おっ、もう少しで見えそう‥。て、何考えてる俺!
恥じ入て慌ててミラーから目を離す。顔が紅潮する。けして見たくて覗いたんじゃないぞ。
あくまでも。それにしても‥。なんで脱いでるんだ!
「‥ほ‥、本多さん?何てたんだ‥?」
「ん~?あたしの服~‥湿っぽいから脱いだの」
「‥‥‥‥‥。そうか。」とルームミラーにうつる本多に気がくあまりに無関心な返事を返してしまう。
「ちよっとー運転手さぁん?聞いてるのー?」
と、少し怒り気味で助手席と運転席の間から本多は身を乗り出した。横目で、本多が上半身が何も付けていないのが見えてしまった。くっ!
ブレーキを踏み車を停めた「きゃあ!」
やや、急ブレーキの気味だったため本多が反動で前へ飛び出しかけた。
「びっくりしたー!でも 面白かった今ー♪」
‥‥俺は、いろんな意味で危なかったよ。
須藤の言葉を甘く考えてしまった。全くこの女は‥。自分の制服シャツを脱ぎ、本多に渡す。
「本多さん、あんたの服捜してくるから、ちょっといいかい。それまでこれ着ててくれ。」
「早速来てみるね」と喜んで本多は俺のシャツを着てみせた。体格差がよくわかる。五分袖になって可愛いらしい。
タクシーをUターンさせて路肩に、停め外へでた。
一応キーは抜いておく。
「はあ‥」タクシーから少し離れた路上で一服ついた。正直、本多の服を捜そう思ってない。とにかく外へ出たかった。年頃の半裸の女性と狭い車内にいるのは精神的に辛い。とにかく逃げたかった。
ミラーに写った本多の姿が消えない。白い素肌が消えない。女である事を実感してしまった。触れたら‥いや、本多は客だ。お客様にそんな事はやっては行けないんだ。
でも‥‥。
身体は正直だ。下半身は反応しはじめていた。
「くそ‥起きっちまったか」
自分の股間に圧迫感をんじてる。本多の裸体に反応してしまうとはな‥。AVや雑誌なんかではなんともないのに久しぶりだ。
たが、本多は良い身体していたのは事実。鎖骨が綺麗で胸は以外にあったな‥。触れてみたい。彼女は処女‥ではなさそうだが、もっと‥‥‥!?
「何を考えてるんだ、俺はーっ!」
一瞬でも破廉恥な考えをした事を悔い、街頭の明かりだけの路上で一人喚き髪をワシャワシャと掻きむしった。はたからみたら危ない姿だ。
落ちつきを取り戻すように、まだ半分も吸っていない吸いかけのタバコを捨て、別のタバコに火をつけて、思いきり吹かしたが、落ち着かない。
「ふー‥、どうしたものか。コイツは自分でするしかないのか。」
そう言い聞かせてはいるが頭の片隅に本多との行為を望んでいる‥?。力づくなら簡単だか、人間として男として最低な真似はしたくない。
「ん?」
ふと、視線の先に暗闇に白い布が落ちていた。袖のないシャツ。先ほどにみた本多のだ。本当に見つけてしまったな。さらに、シャツと一緒にランジェリも引っ掛かっていた。
脱いでも捨てるなよと、少し可笑しく思い、先の欲情が少し覚めたので、タクシーへ戻る事にした。と、前方からふらふら歩く人影が「運転手さぁーん」
サイズの合わない半袖を来た本多が降りてきたようだが、おぼつかない歩き方が危なっかしい‥。案の定、歩道の段差に脚を取られ転倒した。
「本多さん大丈夫か!」駆け寄り抱き起こす。
「いたーい!痛いー!!死んじゃうー!」
「肘を擦りむいただけだろ、唾つけときゃ直る」
「うー、じゃあ柘植さん舐めてよぅ‥」
「俺がか?」「だって届かないでしょここ」
変な頼みだが、今の本多ならどうってことははない。むしろ喜ばしいしい事だ。それに、確かに肘は自分では舐められしな。
「やれやれ」と面倒なふりをしつつも、本心は嬉しかった。本多の細い腕を掴み、傷ついた患部へ舌をあてた。擦り傷の跡を血を舌で舐めとりなぞる。
「‥やっ‥‥んふぅ‥くすぐったいっ 」本多はむずがって腕を引いた。
「駄目だろ引いちゃ、あんたが舐めろていったんだろ消毒しなくちゃ」と少し意地悪に言い、
本多の両手首を両手で強く掴み、腕を引きもどしてから本多の腕を吸い付くように唇をつけて舌を滑らせていった。
「あはっ‥‥柘植さんや、めてぇっ‥アハハっ駄目ぇくすぐったいったらー。」
くすぐったさに体をくねらながらもはしゃぎ無邪気に笑う本多は初めてみた。それがかわいくて面白くて、エスカレートしていった。
「ここはどうだかな?」
にやっと笑い、袖を肩までめくりながら、肘から二の腕へと口付けていった。「うふふ」本多は笑い喜ぶ、腕は俺の唾液まみれで何だが。さすがにふざけすぎたので、やめよう。
本多の腕をポケットのハンカチで拭く。
「十分だろ、さあ帰ろう」と抱き抱えたら、本多は俺の首に腕を回し頭を埋めてきて耳元で‥、
「嫌、もっとしてよ」
と囁き俺の耳を軽く噛まれた痛みはないが、耳たぶに熱さを感じ、体に電気のような何が走った。
「本多さん‥それは、つま‥っ!」
答を聞く前に本多に‥‥、
‥‥唇を塞がれてた。
「本多さん‥それは、つまり‥、俺を誘ってるのかい?」
と、いうつもりだった。だが、本多の唇には拒絶はしなかった。むしろ自ら舌を割り込ませた。
触れ合う唇のふんわりとした柔かさと温かさの優越と、繋がる互いの熱い口の中で動き絡まる舌の刺激的な快感に息をするのも忘れ、その行為に夢中になっていた。
ちゅ‥‥‥クチュ‥
闇夜の静かな路上に俺と本多の触れ合う唇の音だけが響いていた。
「んっ‥‥‥っ‥ふ、‥!‥はぁ‥柘‥‥植さん、苦し‥」
「っ、と‥‥ああ‥悪かったな」
息苦しさゆえに唇をはなせば唾液が糸状に張った。
本多は口元に銀糸を残しながら、紅潮した頬で何か言いたげに上目で俺を見つめて、
「お願い‥。」
「やれやれ、わかったよ」
と、いつものマンネリの返事。本多も「わかってるじゃない。」とあいわからずの答と、今までにない可愛微笑みを見せて、耳までを朱くしながら俺の胸に顔を埋めたまま抱き着いていた彼女が望んでいる。
それならなんの問題はない
―お言葉に甘えて、抱かせいただきますよ―
が、ここでするのは落ち着かないな。どうしようか?
1・本多を送るついでだ、彼女の家で。 ◆
Aルートへ
2・今すぐにでも!‥‥タクシー内で。 ◆
Bルートへ
最終更新:2006年12月13日 01:36