平原遺跡


  • 同遺跡にある方形周溝墓の1号墓より、副葬品として39面の銅鏡が出土した。
   これは一つの墳墓から出土した鏡の数としては日本最大(2013年現在)。

  • また、そのうちの四面は、超大型の内行花文鏡で、直径はいずれも46.5cm、重さが7950g(約8kg)。

  • また、ここで発掘された内行花文鏡のうち一面には、銘文に「長宜子孫」とあるものが含まれる。
   意味は「とこしなえに子孫によろし」、すなわち「永久に子孫は続くであろう」の意と考えられる。
   この鏡は、発掘についての報告書『平原弥生古墳』の中で「八咫鏡」に比定されたもので、一考の余地があると云々。

  • 他、出土した方格規矩四神鏡32面のうち、31面にはおぼ同じ内容の銘文が刻まれていた。
    「尚方作竟(鏡)真大巧 上有仙人不知老
     渇[さんずいに欠]王(玉)泉飢食棗 保」
    意味としては、「官の工房、尚方で作った鏡はまことに大いに巧みである
    その図文の上には仙人がいて、老いることを知らない。仙人は渇えると玉泉を飲み、
    飢えると棗を食べて生活をしている」といったところ。
(zsphereコメント:つまり、方格規矩四神鏡が神仙思想=個人の長生を刻んでいるのに対して、
             内行花文鏡は「長宜子孫」=血筋の永続を刻んでいるという事。
             コノハナサクヤヒメイワナガヒメの対立構図と類縁を感じるけれど……)

  • 他に、この平原遺跡では「陶氏作鏡」ではじまる銘文を持つ鏡が最低六面は確認されている。
   古墳時代に発掘された鏡の銘に「陳氏」「張氏」「周氏」は知られているが、「陶氏」は見られないという。


      参考文献

『日本神話の考古学』森浩一



最終更新:2013年09月04日 03:12