カグツチ

  • 軻遇突智(紀)

  • イザナミから生まれた火の神。『古事記』ではイザナミの女陰を焼いてその死の原因となる。
 『日本書紀』ではそこまで直接的な記述はないが、それでイザナミが死んだのは同じ。

  • 『日本書紀』一書では、カグツチはその後、埴山姫(はにやまひめ)という土の女神と結婚し、
 稚産霊(わくむすひ)を生んだという。この神の頭には蚕と桑が、
 その臍(ほそ)からは五穀が生まれたと書かれ、農業起源譚になっている。
 火と土の神が結婚して農業が生まれた、という展開から、
 これが焼畑による農業の開始を象徴しているのでは、という説がある。

  • 火が女陰から得られるという話は、ニューギニアを中心とするメラネシアと、南米にもあり、
 火切杵と火切臼とを使用する発火法からの連想であろうという。

  • 『日本書紀』一書第八に、イザナギがカグツチを斬り、その血が石礫、樹草にかかり、
 それが草木、沙石(燐のことか)が火を含む起源だと述べている。


                                   (岩波文庫『日本書紀』)
最終更新:2010年11月19日 23:05