サメ

  • 英名シャーク(shark)は、ドイツ語の悪党(schurke)に由来。
   英語sharkにも「ペテン師」「強欲者」という意味がある。

  • 『酉陽雑俎』に、[魚昔]魚(サメの別名)について、稚魚が母の腹の中で育つことの他、
   頬は赤く金のようであり、強健で、網では捕えられない。
   俗に河伯健児と呼ぶ、とある。
   河伯は黄河の水神であり、サメは河伯の眷属と見なされていた事が知れる由。

  • 日本古代において「ワニ」と表記されている生物は、実際にはサメであると考えられている。
   日本にワニは産せず、また山陰地方をはじめ日本海側に
   サメをワニと呼ぶ地域のあることが報告されているため。
   『日本書紀』や『和名抄』で、「鰐」に「ワニ」と訓を入れているのは、
   したがって当時の知識人の誤りと見られる。
   『和名抄』は『麻果切韻』を引き、「スッポンに似て四足ある。
   啄の長さ三尺、歯は甚だ鋭い、虎や大鹿が水を渡るとき、これを襲撃し、中断する」
   としている。

  • 古代の「ワニ」を爬虫類のワニとしっかり分けた記述は『箋注倭名類聚抄』が
   最初期のもので、「鰐魚皇国に産せず、ワニは鮫魚の一種」とした。
   ワニを騙す話があり、因幡の素兎なども南方起源の可能性を考えた時、
   一概に「ワニ」→サメとする事もできない、云々。

  • 鳥取県立博物館が所蔵している、鳥取県在住の個人が所蔵していた長さ42cmの銅剣に
   鋳造後石器などでサメの絵を刻み付けた痕跡が見られた事が2016年に判明した。
   銅剣の根元の部分に2cmほどの大きさで刻まれており、二つの背びれなどが確認できるという。
   通常、国内で見つかった青銅の剣では、鋳型を用いて絵を描く例は見られるが、
   鋳造後に図像を刻み付けた例は国内初だとのこと。


    参考文献
『世界大博物図鑑2 魚類』荒俣宏

NHKニュース 2016年2月10日記事

最終更新:2016年02月12日 12:57