- 石油の原油から揮発性の油成分が除かれた半固体あるいは固体の黒い物質。
石油を蒸留精製した残渣である石油アスファルトと、
天然のアスファルトとに分けられる。後者のことを「瀝青」という。
- 天然アスファルトは地層中で自然の蒸留作用をうけて形成され、
掘り出したまま利用が可能。
100℃以下の熱で簡単に軟化する。
弾力性があり、水に溶けず、耐酸性、耐アルカリ性、耐薬品性に優れる。
「ゴーフェルの木で一つの方舟を作り、方舟の中に個々の部屋を作り、
方舟の内外とも土瀝青で塗りなさい」という記述がある。
- 日本では、『日本書紀』天智天皇七年七月条に「越国、燃土(もゆるつち)と燃水(もゆるみず)を献る」
とあり、「燃水」は石油、「燃土」は「土」とあることから、
石炭よりは天然アスファルトではないかと思われる。
ちなみに越国は現在の
新潟県を含み、新潟は古くから石炭・石油の産地として知られる。
現在でも天然ガスの産地。
発掘されたシカ角製の釣り針に天然アスファルトで補強された跡が見つかっている。
また
青森県の
三内丸山遺跡でも、発見された石鏃にアスファルトが付着していたのが
発見されている。
天然アスファルトの工房が発見されている。直径約50センチメートル、深さ約30センチメートルの土坑と、
その四隅に直径20センチメートルの小さなくぼみがあり、
土坑の中央部で火を焚き、溶けだしたアスファルトを石鏃や釣り針の接着、土器の修復などに
使ったのではないかと見られるとのこと。
(『古代日本の超技術』志村忠夫)
最終更新:2012年05月08日 09:30