賢者の石

  • 「賢者の石は、真正で、きわめて確かなものであり、あらゆる奥義の中の奥義だといわれている。
    なおかつそれは、この世に存在するものの目的であり、すべての賢者による作業の驚異的な最終的結論である。
    また、あらゆる元素の完全な本質であり、いかなる元素によっても破壊できない第5元素なのである。
    さらに、それは己のうちに神的な霊魂を含んだ生ける2重の水銀であり、
    不完全な金属を変成させる永遠の光であり、光に満ちあふれた不死鳥(フェニックス)なのである。
    要するに、あらゆる秘宝の中でも最も貴重な宝であり、自然全体の最も重要な財産なのである」
    (『ヘルメス博物館』)
(zsphereコメント:気になったので引用した。「生ける2重の水銀」って何だろ?)


  • 多くの錬金術書において、賢者の石は一度死に(=黒色化、腐敗の事と言う)、
   その遺骸から蘇った物質であるという。
   故に、賢者の石を表す象徴として不死鳥(フェニックス)が使われると云々。

   次第に深紅色に変化していくという。また、重さは見た目から想像するよりはるかに重い、とか。

  • コスモポリタンによれば、賢者の石は「自然によって最終的に完成された状態では、
    蜜蝋やバターのように可融性(摂氏64℃で溶ける)を持っているという。」
(zsphereコメント:やけに具体的な数字である)

  • フルカネッリによれば、賢者の石は浸透力、絶対的な不変性、耐食性、
    強い耐火性、化学薬品に反応しない性質などの化学的特性を持っているという。

  • この賢者の石を固体状で、純金や純銀に直接溶解させながら、発酵させることで錬金薬になるといい、
   この錬金薬によって卑金属を貴金属に変えるという。
   半透明の塊で、金に変えるものは赤い色、銀に変えるものは白い色をしているという。
(zsphereコメント:耐食性もあり化学薬品にも反応しない不変性も持っているのに、
            発酵はするという謎物質ぶりであるw)


  • 賢者の石は塩の形では、あらゆる生物の病を直し、健康を維持する万能薬として用いられるという。
   また、植物を急激に成長させる力も持っているという。

  • 液体状の賢者の石を、再結晶化せずに冷却すると、その後も永遠に液体のままとどまり、
   発熱を伴わずに光(ルミネセンス)を発するという。


  • 一般に、賢者の石を造り出すための「大いなる作業」には三つの行程があったという。
     1、水銀の原質を抽出する
     2、硫黄の原質を抽出する
     3、水銀と硫黄を結合させ、「大調理」によって賢者の石を作り出す


(『「知の再発見」双書72 錬金術』アンドレーア・アルマティコ)


最終更新:2012年05月28日 02:25