対症療法

進行する症状や、それに伴う問題に対処するのが重要となる。ALSは個人の進行の差や症状の差が大きく、個々の症状を診て判断するのが重要である。


嚥下障害に対して

 ALSでは筋肉の萎縮に伴って飲食物の咀嚼・飲み込みが障害されてくる。口からの栄養摂取が困難になるため栄養不足や脱水症状を引き起こして全身の健康状態を悪化させるほか、誤嚥の原因にもなる。誤嚥による肺炎(誤嚥性肺炎)はいったん発症すると治療は困難で、死亡率も高い。
様々な対処法が挙げられる。

食物自体の工夫
   ・食べ物を柔らかいものにする
   ・水気の多いものにする
   ・熱すぎる食べ物は避け、冷ますなどする
   ・食物を小さくする

食べ方の工夫
   ・少しずつ口に運ぶ
   ・顎を引いて飲み込む

胃瘻形成術、経鼻経管栄養、経静脈栄養
嚥下がかなり困難となった場合にこれらが検討される。患者本人の希望を重視して検討されなければならない。一般的には胃瘻で栄養補給するのが多い。
 胃瘻 - Wikipedia
 経管栄養 - Wikipedia
 高カロリー輸液 - Wikipedia



構音障害に対して

 進行するとコミュニケーションを取るのが困難となるため、なんらかのコミュニケーション手段を考慮することは重要である。症状に応じた手段を評価し、それに応じたコミュニケーション手段を習得する。具体的に検討する項目としては、
   ・コンピュータの入力が可能か
   ・筆談は可能か
   ・体や目の動きはどの程度可能か
などが挙げられる。意思伝達装置および入力スイッチの選択により、コミュニケーションが可能となることが多い。脳波を使う方法も報告されている。




呼吸障害に関して

 呼吸困難に対しては呼吸補助のための様々な方法がある。適応のタイミングは個々の患者で大きく異なり、いつ必要となるかが不明確である。そのため呼吸障害が進行し肺活量が低下してきた際に検討するというより、症状が初期の段階から患者本人と十分に検討しておかなければならない。
 補助の方法には非侵襲的な呼吸補助と気管切開などの侵襲的な呼吸補助があり、進行と患者本人の希望に従ってこれらを選択していく。しかし症状が進行すると最終的には気管切開を迫られる。
 人工呼吸器 - Wikipedia



運動麻痺(四肢麻痺)に関して

 ALSの筋萎縮に伴って手足が動かすのが困難となってくる。運動麻痺がどのように進行してくるかは個人差があるため、その人の現在の状態にあった様々な対処が必要となる。

リハビリテーション
 筋肉の萎縮の進行を遅らせ、患者のQOLを少しでも長く維持するために重要となる。しかし、患者本人が疲労してしまうほどのリハビリは逆に症状を悪化させる可能性もあるため注意が必要である。
 筋が萎縮することで筋肉痛や関節痛を生じる場合もあり、これらへの対処としてもリハビリは重要となってくる。



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最終更新:2010年05月09日 22:44