FINAL FANTASY Ⅷ

「FINAL FANTASY Ⅷ」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

FINAL FANTASY Ⅷ - (2022/03/11 (金) 12:17:29) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2010/01/25(月) 13:30:50
更新日:2024/03/02 Sat 16:10:48
所要時間:約 4 分で読めます






遠く、潮騒が聞こえてくる。


薄桃色の花が咲き乱れる草原を、海風が渡っていく。


少女は、待っていた。


――誰を?


そう彼女は問い掛ける。随分長い間、ここで待ち続けているように思う。
あるいは刹那の時を。


時間は意味を持たない。大切なのは、誰を待っているのかを思い出す事……。


突風が花びらを舞い上げ視界を薄桃に染める。
美しい嵐の中で、少女は握り締めた拳を開く。


包まれていたのは一枚の純白な羽根。
それは少女の想いを乗せ、風に高く運ばれていく。


空の果てへ。
時の狭間へ。
傷付き迷う、待ち人の下へ――。





『FINAL FANTASY Ⅷ』は、1999年2月11日にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売された、ファイナルファンタジーシリーズの8作目となるプレイステーションソフト。
2019年9月3日にはPS4・Xbox One・Switch向けに、グラフィックをリマスターした『FINAL FANTASY Ⅷ Remastered』が配信限定でリリースされた。


【ストーリー】

兵士養成学校で傭兵となった主人公・スコールは、パーティー会場でリノアという少女に出会う。

一方その頃、大国ガルバディアが突如全世界へ宣戦布告。
演説する大統領の傍らには、人々の記憶から消えかけていた『魔女』の姿があった――


【評価】

斬新な世界観とは裏腹に比較的オーソドックスなシステムが導入されていた前作と比べて、本作は独特なシステムが多数導入された為、発売当時意味が分からずクソゲーと評価する人が多かった。
例を挙げると
  • 魔法はMP制ではなく、個別の魔法を敵から吸収するか専用ポイントで得る回数制の「ドローシステム」
  • キャラクター育成要素として、ガーディアンフォース(G.F.、他シリーズでの召喚獣にあたる)を身につける「ジャンクションシステム」
  • 味方と敵のレベル連動制
  • 地味に難易度の高い強制ミニゲーム
  • 武器は素材を使用して強化、防具は一切ない
  • 所持金は一定歩数進むことで入る「給料制
など。
特にキャラの育成が、今までのようにレベルを上げてればいいという物ではなく、前作のマテリアをさらに複雑化したような、G.F.と魔法での2段構えのカスタマイズであった。
プレイヤーがキャラを自らカスタマイズしていく形のゲームは数あるが、そういうのは割とマニアックな物であり、
それを国民的ゲームに成長したFFに適応したところ、自由度が高すぎて大半のユーザーが「(゚Д゚)」になった。

頻繁に槍玉に挙げられるのは、ドローや、敵の強さがこちらのレベルで変動するシステムだろう。
従来のようにレベルを上げ、ちまちまドローするだけで進めていては苦戦どころかマゾゲーになる。
レベルを上げ過ぎると不利になるから低レベルで攻略する方がいいという誤解も広まってしまった(まぁ単純にクリアするだけならば楽と言えば楽だが)。
今作特有のキャラのカスタマイズやアイテム・魔法の効率的な収集等の手順が分かるかどうかがこの作品に対する評価の分かれ目になるが、如何せんゲーム中では序盤に最低限のチュートリアル行われるのを最後に、詳細な解説がほぼされないのが痛かった。
一応メニュー画面から読めるチュートリアルは親切過ぎるレベルでかなり丁寧に解説されているのだが、ゲームをする上で必読ではない上に踏み込んだ知識を得るための誘導やヒントが与えられていなかった為、大半のユーザーにスルーされていた模様*1
公式でもやや不親切な仕様である事は理解していたのか、発売当時のゲーム雑誌では度々特集が組まれ、そこで丁寧に解説されていたりはしたのだが、当然の事ながら誰もが雑誌を購読するわけではないため、それらの解説をしっかり読んで知識を得ていたプレイヤーとそうでないプレイヤーとでシステムの理解度に大きな差が付いてしまい、それが後年このゲームに対してネットユーザーの評価が別れる事になっている。
尚、批判が多かったためかこれ以降のFFは最初から複雑怪奇なシステムを実装するのではなく、ストーリーを進める毎に新要素が解放され、その都度チュートリアルが挟まれる、という事が多くなった。

しかしシステムを理解し始めると一転面白い程すらすらゲームが進むようになる。
やり込みが行き過ぎるとボスが特殊技一発で沈むヌルゲーとなるのはご愛嬌。
カードからアイテムや魔法を精製できるようになると敵を蹂躙するゲームに変貌する


シナリオに関しては、メインストーリーからモブキャラの台詞まで緻密に伏線が張られている点がよく話題になる。
普通先に進む所を少し戻ったり特定の一瞬のタイミングで話を聞くと、とんでもない発言が飛び出してきた…なんてことが何周プレイしててもしばしば起こる。


メインの軸が恋愛である点や学園物である点も若干批判される事もある。しかし、
  • 強がりで臆病な閉じた心を開く、愛する人の図式
  • 時間が経つにつれて忘れてしまう絆、記憶
  • ただ明るいだけで無茶ばかりしていた青年が守りたいモノが出来た事に喜び、それを失う恐怖を知る
  • 学園で恋人を作ったら報告しあおうと語り合う女子生徒のようになんでもない日常の中に生き生きとした青春を送る学生達
…等々、青春や学生時代を遠い昔に感じる歳になった時に振り替えるとより深みが増すストーリーになっている。
要はパーティメンバー全員が子供から大人になる過程を見る青春物なのだ。

PS史に残る美麗なグラフィックや秀逸なBGMは非常に評価が高く、エンディングムービーはその完成度から多くのプレイヤーから絶賛された。
発売当時はネタバレも辞さない勢いで色んなムービーが色んな番組で流された。ユーザー増加の一因だっただろう。 


他には
  • 一部のG.F.はボスからドローしないと手に入らない上に(というかこの方法での入手が殆ど)、入手せずに倒すと二度と手に入らない。しかもそのことはノーヒント。
  • G.F.召喚攻撃時の演出が長い上に飛ばせない(一応、アビリティ「おうえん」で演出中に操作すれば攻撃の威力を少し上げることはできる)。
  • 強制的にジャンクションが解除されてしまい、ゲーム中で一切通知が無いまま放り出される場面が度々ある。
なんかは慣れたプレイヤーからも問題点として挙げられる事が多い。
特に最後は直後に戦闘がある場面もあるので忘れると非常に辛い戦いを強いられる。
操作キャラが変わる時に起こる事が多いので操作キャラが変わったら必ずステータスを確認するようにしよう。

だが、同じスクウェアの『ゼノギアス』『クロノ・クロス』『サガフロンティア2』のように資料集を見ないと分からない設定は殆どなく、ストーリー上重要な事柄は全て本作で説明されている点は評価されている。


【主なキャラクター】


スコール・レオンハート
主人公。イケメンなクール野郎。Disc3からの彼は別人との噂が。
リア充。そして生粋のカード好き。任務中だろうが漂流中だろうが脱出中だろうがカードバトルを辞さないデュエリスト(受ける相手も大概だが)。
作中の時折現れる選択次第では、割と愉快な事を真顔で言う面白い奴に。
『(大丈夫だよ、ママ先生)』

銃撃の振動で強力な斬撃を放つ「ガンブレード」使いの戦士。
コマンド入力に成功すれば必中&クリティカルとかなり優秀。
特殊技『連続剣』もアクション要素が強いスタイリッシュな攻撃

リノア・ハーティリー
ヒロイン。子供っぽい所があり、真っ直ぐな性格。
世間知らずでやや空気も読めない所があるが、人懐っこく活発な性格。
力の最終値は主人公を越える。
スクウェア三(四)大悪女の一角とよく間違われる。賛否両論あるキャラクター性だったが。
『好きにな〜る、好きにな〜る』

チャクラムを射出する「ブラスターエッジ」を駆使して戦う。攻撃モーション長いよ!
愛犬アンジェロと共に放つ特殊技『コンバイン』は片手で犬をぶっ放したり流星アタックしたりとやりたい放題。犬ではなくG.F.だと言われることも
終盤には半ば暴走状態で魔法を乱発する『ヴァリー』も取得する。

ゼル・ディン
今作のネタ要員にして最強の男(技的な意味で)。
ていうか今作は技のスケールがでかい。地球を一周する事に定評がある。
良くも悪くもまっすぐな熱血漢なので暴走しちゃうことも多い。やらかしの規模ではPT最大。
意外に博識でスコールからその知識量に感嘆されることも。
青春軍団の中で、一人だけ色恋沙汰が無いかわいそうな奴だが、実はリア充。
『チキン野郎じゃねぇ!』

「グローブ」一つでモンスターを殴り飛ばす生粋の格闘家。
『デュエル』は特殊技の中でも最強の火力。ダメージ量でも指へのダメージでも。

セルフィ・ティルミット
天然ボケパンチラ要員にしてラスボスすらも一撃で倒せる技を持つ少女。かわいい。
ていうか広末。
ライブラで縦回転させようとしたら公式が対策済みだった、という話は有名。
残念ながら「まみむめも」は流行らなかった様子。
『(ん?ついてる?)』

FFでも珍しい「ヌンチャク」使い。極めれば必中になるのでやり込みプレイヤーのお供。
特殊技『スロット』を使えば色んな魔法を使い放題!自由に選べないけど!

アーヴァイン・キニアス
ニヒルでヘタレな。セルフィに惚れている。
攻撃速度は最速で、安定した火力を叩き出せるアタッカーでありぶんどる職人。
実は「他所から来た」ということで、パーティメンバーで唯一…。
『誰も判っちゃくれない。狙撃手は一人ぼっちなんだ』

ショットガン」を愛用するガンナー。
選んだ弾丸を乱射する『ショット』はコストこそ掛かるが、火力やお手軽さでは最高クラス。

キスティス・トゥリープ
メガネと教官と脚線美と臭い息。
臭い息の臭さは仲間がしゃがむ程(イヤ、マジで)
なんかもう20後半ぐらいの貫禄があるように見えるが、内面は年相応の乙女。
『私と一緒に居るのはイヤなの?』

「ムチ」を使ってモンスターを薙ぎ払う。
特殊技の『青魔法』は多彩な技を覚える……多彩すぎて溶解液をゲロったりミサイルやビームをぶっ放したり臭い息まで吐いちゃうからもう大変。

ラグナ・レウァール
スコールのに出る男。
おっちょこちょいで能天気な憎めない奴。戦闘BGMが神曲と有名。
作中の台詞をじーーっくり眺めていると、実はスコールが…。
『妖精さんたちが来たみたいだ』

■キロス・シーゲル
エキゾチックなツッコミ役。暴走しがちなラグナを見守る優しい漢。
独特なファッションセンスの持ち主で、曰く「変な恰好のおじちゃん」。
割と重要な事実をサラッと雑談で披露してたりする、彼の台詞は要チェックだ。
『ラグナ無しの人生?…考えられんな』

■ウォード・ザバック
ラグナやキロスと共に行動するデカイ奴。よく喋る陽気な男。
『………。』
キロス「(ありがとうと言いたいらしい)」

サイファー・アルマシー
スコールのライバルにして中二病
ただし健全な意味で。根は悪い奴ではないのだが…。
『クックックッ…』『ぎにゃああああああああ!!!』

■イデア・クレイマー
ガルバディアを陰で支配する《魔女》。
とある因縁があるらしい……?
『SeeD。…腐った庭に蒔かれた種か』

■シド・クレイマー
今作のシド。
バラムガーデンの学園長として登場。

■ビッグス・ウェッジ
毎度お馴染みの常連。
今回はガルバディアの兵士として登場。


余談

FFシリーズで初めて主題歌がついた作品であり、これ以降のFFでは主題歌が当たり前になった。
フェイウォンの歌う主題歌『Eyes On Me』はヒットチャートを席巻し、FF8発売当時のCMで耳タコになった人もいるはず。
Ⅵ・Ⅶ・Ⅷと、近代化が進んでいたFFの歴史は、次回で一旦クリスタルの話に立ち戻る事になる。


シュウ先輩「よかったぁ~、追記・修正してくれて…」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/