調和と繁栄の罠

登録日:2016/03/15 Tue 18:55:09
更新日:2023/12/26 Tue 21:13:40
所要時間:約 7 分で読めます







その罠は、あらゆる外敵を遮断し一切の干渉を許さない。




調和と繁栄の罠》とは、TCGデュエル・マスターズ」の呪文である。
登場はDM-11「聖拳編 第2弾 無限軍団の飛翔」。同弾における高レアリティ多色呪文サイクル、いわゆる「エターナル呪文」の一つで、読み方は「エターナル・トラップ」。


解説


調和と繁(エターナル)栄の罠(・トラップ) VR 光/自然文明 (5)
呪文
S(シールド)・トリガー
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
文明をひとつ選ぶ。次の自分のターンのはじめまで、その文明のクリーチャーは自分を攻撃することができない。(この呪文を唱えた後にバトルゾーンに出たクリーチャーも含まれる)

文明を一つ指定し、その文明の相手クリーチャーのプレイヤー及びシールドへの攻撃を禁止するという効果を持つ。
S・トリガーによって相手ターン中に出れば、それ以降の追撃を抑えることが出来るし、前もって唱えておいても効果がある。

しかし、このカードは「カスレア」という評価を下されていた。というのもいくつかの原因がある。


汎用性がない

ロックできる文明が一つだけ、クリーチャーへのアタックは止められない、
このカード自体が多色といった部分で《ホーリー・スパーク》《スローリー・チェーン》といった呪文に比べて汎用性がなく、わざわざこのカードを使う理由が薄いというのがもっぱらの評判であった。


多色デッキへの影響が薄い

聖拳編は多色全盛期時代。
速攻】デッキ以外ではほとんどのデッキが2、3色の構成であり、一つの文明しか縛れないこの呪文ではそこまでの抑制にはならなかった。
さらにその後単色推しと銘打たれた転生編及び不死鳥編のカードが全体的に低スペックだったこともあり、単色デッキの居場所は速攻以外になかったため余計このカードを使う理由がなかった。


他の《エターナル》呪文が軒並み派手

  • クリーチャー2体とマナ2つを一度に除去できるアドバンテージの塊《英知と追撃の宝剣(エターナル・ソード)
  • たった3マナでサルベージしにくい除去を放つ《魂と記憶の盾(エターナル・ガード)
  • 相手のシールドを自分と同じになるまで減らせ、様々な1ショットキルに利用される《憎悪と怒りの獄門(エターナル・ゲート)
  • クリーチャー破壊と山札からのコスト踏み倒しを行える《破壊と誕生の神殿(エターナル・サンクチュアリ)
同じく「エターナル呪文」と呼ばれるこれらは派手さと強さを両立したヒロイックなカード群であり、特に前者2つは殿堂入りも経験したほどのカードパワーである。
そんな中で効果範囲の狭いロックしかできないこの呪文が地味とみなされるのは仕方のないことだろう。


とはいえ、「自分のターンの始めまで」という効果範囲のおかげもあって当時は悪名高き《無双竜機ボルバルザーク》対策としてかろうじて使われることはあった。
しかしそれがプレミアム殿堂となってからはこのカードを使う意味は無くなってしまい、結果コレクションにしまわれる運命をたどることになってしまったのである…。







































まさかの再評価


しかし、それから長い時間が経った頃、環境の変化とあるカードの登場により、このカードの価値はひっくり返されることとなる。


公式による単色推し

ドラゴン・サーガ」「革命編」と、再び単色推しが進められてきたのである。

それも、転生編や不死鳥編のようなチャチなものではない。
特定文明のマナが一定枚数ある時に発動する「マナ武装」や、特定文明のクリーチャーの攻撃をトリガーとする「侵略」、
そして何よりも多色カードに追いつき追い越せと言わんばかりの単色カードのスペックのインフレ…それらによってこれまででは考えられないほど単色デッキが強化された。


注釈文の存在

この呪文の効果にはこのような注釈文がついている。

(この呪文を唱えた後にバトルゾーンに出たクリーチャーも含まれる)

デュエル・マスターズにおいては、「呪文の能力がカードに影響を及ぼす効果を生み出すとき、それはその呪文を唱えた時点で影響を及ぼす範囲にあるカードにのみ影響する」というルールがある。
つまり、普通は呪文を唱えた後に出たクリーチャーに対してはその呪文の効果は適用されないのである。
しかしこのカードはこの注釈がついているため、唱えた後に出たクリーチャーにも効果が及ぶ。

これが強く影響するのはドラグハート・クリーチャーである。
例えばこのカードと良く比較されるカードとして、以下のカードが挙げられる。

スローリー・チェーン R 光文明 (4)
呪文
S・トリガー
このターン、クリーチャーは攻撃することができない。
この呪文を裏向きにし、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加える。その後、自分のシールドをひとつ墓地に置く。

S・トリガーで相手ターン中に出てくると相手クリーチャーはそれ以上のアタックが出来なくなる。
調和と繁栄の罠と違ってクリーチャーへの攻撃も制限でき、すべてのクリーチャーを対象にとれることから防御手段としてはこちらのほうが優秀だと言われていた。

しかし、ドラグハート・ウェポンを装備したクリーチャーがシールドをブレイクし、その攻撃によってドラグハート・ウェポンがクリーチャーに龍解したとき、このカードがトリガーしてもそのクリーチャーの攻撃は止められない。
この呪文が唱えられたときまだそのクリーチャーはクリーチャーとして場に存在していなかったため、呪文の効果の影響を受けないのである。(S・トリガーは他の効果と同時に発動した時一番先に処理する)
しかし、調和と繁栄の罠は上記の注釈文があるが故にこの状況下でもドラグハート・クリーチャーの攻撃を制限できる。
さらに、スローリー・チェーンやスパーク系呪文と違って、自分のターンに唱えても相手ターン中の攻撃を制限できるため、スピードアタッカー持ちや進化クリーチャーにも有効である。



もうわかったであろう。現在、このカードは当時のカスレア扱いが嘘のように評価され、使用されている。
特に《龍素記号Sr スペルサイクリカ》と組み合わせて使うことで複数ターンに渡って単色デッキの動きを大きく制限することが出来るため、トップメタである《龍覇 グレンモルト》《超戦龍覇 モルト NEXT》《轟く侵略 レッドゾーン》などに対してのメタカードとして機能している。
そのため再録が希望されているが、2016年3月時点このカードはまだ一度も再録されていない。そのため非常に値段が高騰しているようである。当時を知る人はまさかこのカードがここまで高額になるとは思わなかったのではないだろうか…


その後

しかしその後(2016年10月頃)、龍解は「バトルゾーンに出た」扱いにならないため止められないと裁定変更されてしまっている。
さらにどうあがいても止められない無色のカードが登場。かつてほどの有用性は失われてしまった。

その後、2019年6月になりついに再録。
テキストの変更によって龍解を止められるようになっており、穴こそあるものの改めて一定の地位を築いている。


デュエル・マスターズ プレイス


DMPP-05 第5弾「永遠の戦渦 -VORTEX OVERLOAD-」に収録。能力もレアリティも変更点はないが、現在の裁定に合わせたテキストになっている。
プレイスで本家から能力が変わったが、結局追加ターンで暴れる《無双竜機ボルバルザーク》に対してS・トリガーで発動出来れば、ボルバルザークを起点にしたフィニッシュに対する抑止力になれる。
「10ターン目以降にボルバル出しとけば勝負を決められるでしょ」なんて考えているであろう相手に対して少し痛い思いをさせてやろう。


メディアミックスでの活躍


アニメ『デュエル・マスターズ WIN』にて、ゴッド・オブ・アビスシリーズの区切りに当たる斬札ウィンVSカイザ戦(二戦目)での最終局面でまさかの登場。
ウィンの最後のシールドが割られた際にS・トリガーとして発動され、アビスロイヤル主体と思われていたウィンのデッキから光・自然文明の呪文が登場した事は対戦していたカイザのみならず視聴者も驚かせた。
効果で火文明を指定する事により、SA化していた《轟炎の竜皇 ボルシャック・カイザー》・《ボルシャック・ドラゴン》×2・《ボルシャック・NEX》・《ボルシャック・フォース・ドラゴン》×2・《ボルシャック・栄光・ルピア》・《アニー・ルピア》というカイザの絶望的な布陣を足止めし、逆転の突破口を作り上げた。

ウィンはそのタイミングまで手札に《調和と繁栄の罠》が来てもマナゾーンに置く事もせずにそのまま温存し続けるプレイングによって、あたかも自分のデッキが闇文明単色であるかのように見せかけていたのだ。
闇に飲まれないどころか逆に支配してのける」ウィンのメンタルを象徴する1枚として、古参のカードながら見事な活躍を見せてくれた。



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最終更新:2023年12月26日 21:13