宝箱

登録日:2018/03/18 Sun 23:08:27
更新日:2023/05/14 Sun 17:55:40
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しかし たからばこは からっぽだった

...と おもったら
たからばこの なかには
ひときれの かみが はいっていた

「たぬきの たからばこ」



宝箱……それはドキドキワクワクのRPG最大のお楽しみである。


現実世界における宝箱

権力者や金持ちが自分の大切な財産を守るために保有している金庫。
中身は、宝石金貨であることが大半。
基本的には隠し資産なので、存在が公になることは滅多にない。

ロマンもへったくれもないことを言うと、
大半の隠し資産はとうの昔に使われているので、現実に中身の残っている宝箱が発見される可能性はゼロに近い
まぁゼロではないので、そのロマンに賭けるのは自由であるが……。開かずの金庫みたいなものとも言える。

なお、「なぜ宝箱の上の蓋は丸いのか?」という疑問が存在する。
確かに、平べったい方が生産性もいいし、上に他の箱も積めるので省スペースになるはずである。
いくつかの理由が考察されているが、
  • 「長期間保存するものなので、箱が腐食することを避けるために上部を丸くして水や土砂が流れ落ちる構造にしてあるのではないか?」
  • 「カーブしている内側に隠しスペースを設けて、本当に隠したいものはそこに入れておくのではないか?」
などの理由が考えられている。

ちなみにこの外観の元ネタは中世の「チェスト」と呼ばれる私物入れ。
本来は化粧品やらドレスやらを入れるものであり、現代で言う「女性用バッグ」や衣装箱に近い物である。



フィクションにおける宝箱

冒険小説『宝島』などにより、「海賊の残した財宝」として「宝箱」というイメージが確立する。
同時に「そうしないと宝箱ってわからないから」という記号的な理由で件のデザインも定着する(爆弾が「導火線付きの黒い球」として描写されるのと同じ)。

コンピューターRPGでは「ここにアイテムがありますよ」と示す記号。
ぶっちゃけると 初期コンピューターゲームにおける省データのための努力の一つ である。
アイテム全てに一々アイコンを設定する訳にはいかないので、「宝箱があったらアイテムがある」と記号付けてしまうことで効率が良くなるのである。
そのせいか、結構キレイめに見えても「箱そのもの」に興味を示してくれる作品は非常に少ない。
これがTRPGなら、マスター次第で箱そのものに工夫が凝らされたりもするのだが。

ちなみにドラクエシリーズでは、モンスターのアイテムドロップも「モンスターが宝箱を落としていった」と表現される。

中身は大抵の作品でアイテム一つだが、よくよく考えると 宝箱なのに中身一個ってものすごく寂しい
特に序盤は 宝箱開けて金貨数枚 だったりすると、ガッカリってレベルじゃない。
尤もその辺のインベントリ的な表現をリアルにし過ぎると鎧や武器などは嵩張り過ぎるし、
薬草やポーション99個とか9999枚の硬貨(それも重い金貨)を持ち歩くってどんな四次元収納してるんだ、
という様な逆ツッコミも生じがちなのであまりツッコミ過ぎない様に。

ダンジョン内に放置されているものはともかく、城の中や民家に置かれている明らかな個人の所有物でも貰っていけるのはRPGの不思議の一つ。
ちゃんと「これ取っていいよ」と住民と会話してから取る物は話が別だが、
リアル寄りの作品では勝手に取ると*1犯罪になり場合によっては悪人寄りに属性が傾く こともある。

作品によってはプレイヤーの期待感と同時に、緊張感も否応なしに高まる。
特に洋ゲーだと 即死級のトラップ が仕掛けられている(しかも場合によってはトラップが発動すると中身をロストする)こともザラなので、
高レベルの盗賊などが居ないことにはせっかく宝箱を見つけても諦めざるを得ないことも結構頻繁にある。
和ゲーだとそこまで意地悪なことはあまりない。特にドラクエでは最悪でもひとくいばこミミックにエンカウントするぐらいである。
また、 和ゲーではなぜか鍵の掛かっていない宝箱が非常に多い (ウィザードリィなどでは鍵のロック解除スキルを持つ盗賊がいないとそもそも宝箱が開かない)。
宝箱の役割を本当に果たしているのか、疑問になる。

アクションにおいても多くはRPGとポジションが変わらないが、一部の作品となると話が違ってくる。
宝箱にアイテムが入っているのは当然として、宝箱自体に当たり判定が存在する場合のことだ。
つまるところ、アイテムを取り空になった後の宝箱はただの箱。しかし、それ自体を動かせたり持ち上げられたり
あるいは宝箱の開閉自体がギミックとなるのなら、謎解きギミック攻略、果ては攻撃手段として運用できてしまえるのである。
「うーんこのスイッチを押しておくために重りが必要なんだけどな……何もないな……」と思ってるすぐ近くにれっきとした重しがあるのだ。
ある意味、“空になった宝箱は無価値”という無意識の法則を逆手に取った手法なのかもしれない。

また、作品によっては「宝箱自体を持ち帰って収納・インテリアとして再活用する」ことができる、
というか知らないとアイテム整理に大変苦労する仕様が存在する。


ちょっと待った、その宝箱は安全か!?

作品にもよるが、「危険な宝箱」には大抵兆候がある。
特にダンジョン内で宝箱を発見したら、喜び勇んで駆け寄る前にまずは一度周囲を確かめよう。

  • 宝箱の周囲に骸や血痕がある
    • 危険度A 。開けた瞬間、というか近くに隣接するだけでもヤバイことになる可能性大。というか、宝箱に限らずダンジョン内でこういった「愚かな先駆者」の前例を見かけたら必ず注意しよう。 自分がその後を追うことも多いのだから……

  • 入口から入ってすぐなど、簡単に荒らされそうな場所なのになぜか蓋が閉じたまま残っている
    • 危険度B 。他の冒険者が既に手を付けていてもおかしくなさそうなのに、なぜか残っている……それはなぜか? 先駆者が罠の兆候を感じ取ったから ではないだろうか?

  • 複数の宝箱が一か所に固まっている
    • 危険度C 。そこが宝物庫ならば問題ないが、実際には愚かなトレジャーハンターを狩るトラップである可能性も十分にある。いくつかは本物の宝箱を混ぜて置き、油断させたところに 致命的なデストラップ を配置する意地の悪い例もある。

まぁ 危険を承知で危ない宝箱に挑戦する のも、冒険者の自由である。
特にミミック系モンスターは手強いものの報酬も良い事が多いので、準備を整えた上で ミミックだと分かって開ける 冒険者も数多い。稀にラスボスよりも強いボスが出てくる場合もあるが…


危険な宝箱の特殊な例の一つに、真・女神転生if...の"貪欲界"がある。何も考えずにこのダンジョンの宝箱を開けアイテムを貪り続けると…。


危険な宝箱の回避方法

  • 盗賊などの専門職を連れていく。
    • 直接戦闘力に欠けるこの手の職業の存在意義こそロックやトラップ解除。彼らがいれば、トラップの危険度はグッと減るだろう。

  • インパス(ドラクエ)やカルフォ(Wiz)などの専門鑑定能力。
    • 開ける前に危険かどうかを察知できる能力。これがあれば、危ない宝箱も事前に用意を整えて挑める。

  • いっそ力押し
    • 罠が発動しても体力で耐える、トラップモンスターはごり押しで仕留める……そんなプレイスタイルだって自由である。

宝箱の類例

宝箱の形をしていなくても、アイテムボックスの役割を果たす存在も多い。
基本的には現代やSF的な世界を舞台にしたゲームなどで「ファンタジーな宝箱があるのは不自然」という場合に、世界観とマッチするアイテムボックスが用意される。
作品によっては「町やダンジョンによってアイテムボックスのデザインが異なる」なんてこだわりを見せる事もある。
この場合「宝箱」という分かりやすい記号を用いない分「初見でアイテムボックスと気づかれない」恐れもあるため、ある程度特別感があり、プレイヤーが調べたくなるようなビジュアルをしていることが要求される。
逆に、普段は宝箱を見かけることの無い作品中にイメージ通りの「宝箱」が登場した場合、中身は単なるアイテムではなく宝と呼ぶのに相応しい貴重品であるという期待が持てる。

アイテムボール

ポケモンシリーズにおける宝箱。宝箱だと世界観に合わないので、モンスターボール型の何かの中にアイテムが入っている。色は中身によって異なる。
最初のハードがゲームボーイでモノクロだったことも相まって宝箱よりも簡素な形状になった。
よく勘違いされるが、 これ自体はモンスターボールではない 。じゃあ何か、というとそれはそれで答えに困るのだが。
アイテムボールが目印であるという事情を差し引いても毎回毎回誰が設置しているんだ……?
稀にマルマインモロバレルであることがある ので、一応注意。

プレゼントボックス

MOTHERシリーズの宝箱。ポケモンと同じく、宝箱では世界観に合わないので。何で洞窟内にまでこれがあるのか気にしてはいけない

ミステリーデータ ミステリーウェーブ

ロックマンエグゼシリーズ流星のロックマンシリーズの宝箱。ネット上に転がっている中身不明のデータ。そんなもんホイホイ開けるなよ
案の定ミミックよろしく中身がウイルスな事もある。現代のウイルスメールと異なりその場でウイルスを始末してしまえるのは唯一の救いか。
ミステリーデータは見た目はほぼラミエルとその色違い。ミステリーウェーブはそれに直方体を足したような見た目。
青は一度取るとなくなるが、緑は電脳世界に入り直すと何度でも出現。紫はロックがかかっているのでオープンロックが必要。
6からはレアアイテムが出現する金色も登場。
4からは戦闘中も出現するようになった。攻撃を当てると勿論消えてしまうので、これが出現した場合多くのプレイヤーはいつもより慎重に戦う事になる。
そしてそんな事はお構いなしにウイルスが破壊してしまい、プレイヤーは怒りと共にそれまでの戦いが嘘の様な激しい攻撃を叩き込むのもお約束。

葛籠(つづら)

桃太郎伝説シリーズや天外魔境シリーズなど和風のゲームだと、洋風チェストデザインの宝箱を出す訳にはいかないので、大抵代役としてこれの出番になる。

瓶・壺・樽

壊すと中身が飛び出す事がある。表現が大変なせいか、文字での解説ならともかくビジュアルで液体がぶちまけられる事はあまり無い
元ネタが食料品などの貯蔵に使われていた事もあって、中身は食料などが担当する回復用消耗品系アイテムである事が多い。これもモンスターが擬態している場合がある。
アクションゲームにも登場し、時代を選ばない。

木箱

女神転生シリーズメタルマックスシリーズなど、現代〜近未来な世界観の作品に出てくる。宝箱も木で出来ていることが多いが、こちらは実用性重視の無骨な外観である。現実でも工場や倉庫などにある。

金庫

これも現代〜近未来な世界観の作品に出てくることがある。ただ、こちらは開けるのにやパスコード入力などが必要なケースが多い。

コンテナ

主にラグランジュポイントゼノギアスなど近未来の世界が舞台のゲームで登場。木箱と併用される事も有り、その場合はこちらの方が箱が頑丈で中身も豪華だったりする。
一部のスパロボシリーズでは、マップ上に点在するこれに資金や強化パーツが入っていた。

ゴミ箱

現代的な世界観のものだと時々出てくる。
倫理とか衛生面とかが多少アレでも冒険のためには、背に腹は代えられないのだ。

ダンボール箱

こちらも現代的な世界観の作品に登場する。正直、特別感はかなり薄れるので、中身はそれほど期待できない。それよりも隠れるのに使う
本当に貴重なアイテムには別の箱が用意されていたりする。
背景のダンボール箱と混ざらないように、テープの色が違うなどの工夫がされている場合もある。

ピラミッド系のダンジョンではお馴染み。
とても罰当たりだし、中に安置されていた遺体であろうものがモンスターとなって襲い掛かってくることも。「やはり、ただのしかばねのようだ」ということも

遺体、

洋ゲーやソウルシリーズの様な戦闘者の多い世界観だと、
「そこら辺の箱に装備があったら先に戦ってる連中が既に使ってるだろ」みたいなツッコミを受けがちである。
そこで登場するのがこの遺体。
これ一つで上記ツッコミへの解答になるし、棺と違い「死体が野晒しにされている」という事実で凄惨な世界観のアピールも出来る。まさに一石二鳥。
とはいえ力及ばず命尽きた様な人々なので、そんなにいいものは出てこない(あるいは他の先行冒険者やモンスターに目ぼしい物は取られ済み)事が多い。
ちなみにフロム作品では開祖であるキングスフィールドシリーズの時点で実装済みの要素だったりする。

完全に白骨化している場合は、遺体とは違って背景の一部にしか見えないことも多い。
また、調べても何もないことも多いため、そこにアイテムがあると気付けない事もたまにある。

タンス

単なる泥棒である
ちなみに住人の側も無抵抗ではないのか、一部ドラクエでは たんすミミック なる防犯装置(?)も登場している。ちなみにドラクエよりも前に、メタルマックスシリーズでは タンスゴン というモンスターが存在していた。

ロッカー

現代世界の作品でよくある。対応する鍵が必要な場合も有り、またアイテムが入っているだけでなく、中から何かが飛び出す自分が中に隠れたり物を隠したりする用途として使われることも多い。

その他

ファイナルファンタジーⅣのゾットの塔やバブイルの塔などにある宝箱は、壁と見た目が似ているため見落としやすい(イージータイプでは通常の宝箱と同じデザイン)。

近年の女神転生シリーズでの宝箱は「宙に浮かんだ立方体」という作りをしている。

スパロボα外伝の「マウンテンサイクル」も宝箱と同じような扱いであり、そこへ行くと強化パーツやMSなどの機体が手に入る。山の中に1マスだけ穴が空いている地形なのだが、これも初見では気付きにくい。

SDガンダム外伝のジークジオン編(SDガンダム外伝)においては、箱状に変形するバウンド・ドックが元ネタの
「モンスターバウンドミミック」がミミック枠で登場するため、 宝箱もそれに合わせてバウンド・ドックのMA形態をしている。
「バウンド・ドックのMA形態」以外に形容し難い形状の物体が普通に宝箱として扱われる様はちょっとシュール




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最終更新:2023年05月14日 17:55