MOTHER(ゲーム)

登録日:2011/03/05(土) 02:17:38
更新日:2024/01/21 Sun 23:46:07
所要時間:約 7 分で読めます





MOTHER





MOTHER』(EarthBound Beginnings)は、任天堂が1989年7月27日に発売したファミリーコンピュータRPG
開発はパックスソフトニカとエイプ。

日本国内のみの売上本数は約40万本。

後にGBAのMOTHER1+2で移植される。



キャッチコピーは「エンディングまで泣くんじゃない」
(ただしこれは糸井氏のコピーではなく、一倉宏が手がけている)
TASさんによって超速で進められたストーリーがエンディングを迎えた時にはこのキャッチコピーをもじって「エンディングだぞ、泣けよ」とよく言われる。


※以下ストーリーのネタバレあり










★ストーリー
1900ねんだいのはじめ
アメリカのいなかまちに くろいくものようなかげがおち
ひとくみのふうふが
ゆくえふめいになりました。
おっとのなはジョージ つまのなはマリア。
2ねんほどしてジョージはいえにもどりましたが
どこにいっていたのか なにをしていたのかについて
だれにはなすこともなく
ふしぎなけんきゅうに ぼっとうするようになりました。
つまのマリアのほうは
とうとうかえっては きませんでした。

そして…1988年‥。


★登場人物(デフォルト名)

●主人公/ぼく

赤い帽子に、しましまの服を着た少年。主な武器は野球少年の為、バット。野球のポジションは右翼手でサンフランシスコ・ジャイアンツのファン。MLB観戦の際に偶々隣の席だったシゲオ・ナガシマのサインボールを宝物にしている。年齢は12歳で1976年生まれ。ゲーム中では一切喋らない
「ニンテン」がデフォルト名と言われているが、これは説明書のゲーム画面に載っていたものであり、特に設定されていない。
動物の言葉が分かり、自宅に起きた不思議な現象をきっかけに旅に出る。
補助系のPSIを使用できるが、攻撃系PSIは一切使えない。
ただしトップクラスの戦闘能力を持ち、PSIも回復と補助のバランスが取れている。ドラクエの勇者のような性能。
主人公としては珍しく喘息持ちの設定があり、戦闘時に発作が起こることがある。発作中は一切の行動が取れなくなる。

●おんなのこ(アナ)

スノーマンの教会に住む少女。
金髪でおさげ髪、ピンク色の可愛らしい服を着ている。趣味はボランティア活動、切手、封筒、便箋収集も趣味。日本のペンフレンドであるヨシエが送ってくれたオノ・ヨーコのレコード『ただいま』が宝物。主な武器はフライパン。ニンテンと同い年の12歳で1976年生まれ
父親と2人暮らし。初期は非常に弱いが、主人公と違い攻撃系のPSIを使えるようになる。
一度仲間に加わると抜けることはないが、仲間にせずにゲームをクリアすることもできる。

●おともだち(ロイド)

サンクスギビングのティンクル小学校の生徒。銀髪でメガネ。主な武器は銃など。ニンテンより一つ下の11歳で1977年生まれ
いろいろな物を開発できる天才児だが、いじめられっこ。だが旅を経て徐々に成長していく。
PSIは使えないが、彼専用の様々な武器や強力なアイテムを使える。ただし非常に打たれ弱い。
仲間にしないといけないが、テディが仲間になると、交代する。テディが抜けると再び仲間になる。
3歳の時に相対性理論の本を読んだり、アインシュタインの生まれ変わり…らしい。
非科学的な物は信じないが、スーパーマンだけは例外。
TVCMでニンテンとアナがPSIを使っているのを横で見ているだけのシーンが色々な意味で印象に残る。

●もうひとりのおともだち(テディ)

バレンタインに住むグラサンをかけた不良少年。「ブラックブラッド団(通称ブラブラ団)」のヘッド。
主な武器はナイフ。年齢は不明。
ホーリーローリーマウンテンに潜む化け物に両親が殺され、荒れた生活を送るようになった。
そのトラウマから、今もホーリーローリーマウンテンを目にするのを嫌っている。
少年時代から警察の世話になっていて、3人と会ったときにはブラブラ団のヘッドにまで登りつめていた。
荒々しい性格で暴力的な印象が強いが、他人思いの優しい一面もある。
エイキチ・ヤザワの自叙伝『成り上がり』が愛読書。
PSIは使えないが、スピードと直接攻撃が強力なため戦闘能力は高い。しかし仲間となる期間は短い。
仲間に加わるとロイドは抜けるため、ホーリーローリーマウンテンにある小屋を無視すればロイドなしでゲームをクリアすることも出来る。


★サブキャラクター

●ピッピ
主人公の隣家に住む少女。行方不明となるため探すことになる。赤髪で7歳。
彼女も少しの間戦ってくれる。主人公に好意を寄せている発言が垣間見れる。
実はステータスはテディのものが参照されている為、レベルを上げると主人公より強くなる。
別れる際に「フランクリンバッヂ」をくれる。イースター東の湿地帯に別荘を持っている模様。

●キャロル
主人公の母親。
冒険に出る主人公たちを見守ってくれていて、家に帰ると主人公の好きな物を作ってくれる。

●ミミー&ミニー
主人公の妹。
双子なため容姿が似ていて間違えやすい。ミニーは主人公たちのアイテムを預かってくれる。

●パパ
主人公の父親。電話をかけることで話せる。
単身赴任中で自宅にはおらず、主人公の銀行口座にお金を振り込んでくれるが意外と間抜け。
リメイク版ではエンディングの最後に、ちょい役で登場している。

●ミック
飼い犬。スヌーピーよりハンサムなことが自慢らしい。
攻略本『MOTHER攻略ガイドブック』の「糸井重里Q&A」によると、名前の由来は主人公の母親の初恋の相手だという。

フライングマン
マジカントに住んでいる5人兄弟。1人ずつNPCとして仲間になってくれる。トラウマ。詳しくはリンク先へ。

●ジョージ
主人公の曾祖父。
ある事件がきっかけで行方不明となりその後帰ってきた。
帰ってきてからは研究に夢中になった。

●マリア
主人公の曾祖母。
ある事件がきっかけで行方不明となりその後帰って来なかった。

●クイーンマリー
マジカントの女王。
ある事が思い出せず悩んでいる。実は……

●忘れられた男
地下大河の出口を塞ぐように立っているオレは忘れられた男。いないのも同然。気づいてくれなくてもよかったのに。

●イヴ
ジョージが作ったロボット。湖底の工場で長い間主人公達を待っていた。
仲間になり戦闘もしてくれるが、悲しい別れとなる。

スターマン
謎の宇宙人。詳しくはリンク先へ。


ギーグ
ラスボス
地球侵略を企てる宇宙人。傲慢な性格で人類を虫けら扱いしている。
どんな攻撃でも倒せないが……

どことなくミュウツーに似ているが、これはミュウツーがギーグをモデルにしたため。
と言われていたが、ポケモンのデザイナーの杉森氏は否定している。


●プレイヤー
五人目のパーティー。
つまりゲームの前のあなた。
ゲームを進めている途中でプレイヤーの名前を聞かれるが、その時に入力した名がエンディングで表示される。


★戦闘

ランダムエンカウント方式(敵の姿が見えない)となっている。戦闘はターン制。
プレイヤーがキャラクターに指示を出せる他・キャラクターの行動をコンピュータが決める「オート」もある。
オートは他のゲームと違い、直接攻撃だけしかしないというわけだけではなく、状況に応じてPSIを使うこともある。
また先制攻撃は存在せず、常に素早い者から順番に攻撃する。

登場する敵には動物やおにいさんといった人間もいる。
敵との対戦に勝った際のメッセージは敵により異なる。また、相手によってはBGMも異なってくる。
特に人間や動物に対しては「○○はわれにかえった」や「○○はおとなしくなった」などで、敵を殺したわけではないことを表現している。

他のゲームではHPが0になると死亡となるが、MOTHERシリーズではHPが0になった状態は意識不明となる。これは4作目から戦闘不能と表現するようになったFFシリーズよりも先駆けている。
また石の素を使いプレイヤーを石化させる敵もいる。
味方全員が意識不明か石化のいずれかになると全滅となり、パパからの電話でゲームを続けるかどうかを聞いてくる。
ここで"はい"を選ぶと所持金が半額になり最後にセーブした場所に戻ってゲームを開始する。"いいえ"を選ぶとゲームオーバーとなる。


装備

現代のアメリカが舞台なため、剣は無く、バットといった我々の身近にあるものを武器にする。
武器の材質は名前に使わず、「ボロの○○」・「ふつうの○○」・「いい○○」とステップアップする。
これは名前を「金属バット」など生々しいものにしてしまうと殴った感触がプレイヤーにも想像できてしまうからである。
この工夫は糸井氏が発売当時から現在まで「自分にしか出来ない仕事」と発言している。
防具は異世界で入手するコイン・腕輪・ペンダントで、他のRPGのように鎧・盾・兜など、直接身体を覆うものは存在しない。


★町・地点

アメリカが舞台であるが、あくまで架空の地域。町の名前はアメリカの祝祭日や記念日の名前から採られているものが多い。


音楽

またこのゲームでは音が重要である。
Eight Melodiesはその名の通り8つのメロディーを合わせて初めて一つのメロディーとなる。
NHKのゲーソン三昧でも流れた。
流れたのは原曲では無くメロディーをアレンジして歌詞をつけたものだが名曲。
他のBGMも名曲中の名曲である。
この曲無くしてMOTHERは語れない程の鍵。


★海外での扱い

本作は海外では『EarthBoundZero』として知られていたが、実は海外版が存在するのはWii Uのバーチャルコンソール以降の話であり、この名称は公式なものではない。
製作はされていたものの何らかの理由によりお蔵入りとなっていたのだが、どこからか入手した人間が現れそこからROMデータが拡散。
そしてタイトルがこの時点で『EarthBound』でMOTHER2と紛らわしいので、
じゃあ前作だからとこの呼び方が誕生し、実際にタイトル画面を書き変えたハックロムまで作られ現在に至る。

当初の海外版データはのちに逆輸入されて『MOTHER1+2』収録の『MOTHER』のベースになったが、結局これも海外では発売されていない。

2015年、E3内で『EarthBound Beginnings』というタイトルでWii Uバーチャルコンソールでの即日配信が発表された。
(日本でもFC版『MOTHER』が同タイミングで配信開始した)


★余談

バンプレストからMOTHERのコレクションフィギュアが出ている。
プライズ限定品で、ラインナップはニンテン・アナ・ロイド・テディそして何故かピッピの5種類。

町とフィールドとの縮尺が変化しないシームレス形式のマップで、画面も斜め上から見下ろしたような斜投影図になっている。
さらに、斜め歩きが可能なところも斬新だった。*1

本作のゲームバランスはやや大味で、敵のエンカウント率が凄まじく高く、終盤のホーリーローリーマウンテンから出現する敵が格段に強くなる。
この辺りはドラクエ2共通してしまった。

発売当時としては珍しい、現代の世界を舞台としたRPGである。*2
宝箱が「プレゼントボックス」、お金を引き出す「ATM」、パパに「電話」してセーブ等、現代的な要素が豊富に表現されている。

後に本作に影響を受けて作られたのが『ポケットモンスター』であり、主人公の設定やフィールドマップなどで共通する要素が幾つかある。




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最終更新:2024年01月21日 23:46

*1 斜め歩きが可能なRPGは『元祖西遊記スーパーモンキー大冒険』の方が先なのだが、クソゲーなせいで話題にならなかった。

*2 同じ現代の世界が舞台のRPGである『ラサール石井のチャイルズクエスト』の方が1ヶ月ほど発売が早いため、史上初ではない。