嵐山十郎太

登録日:2021/03/04 (木曜日) 16:17:25
更新日:2023/11/03 Fri 14:25:20
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———参る。



嵐山(あらしやま)十郎太(じゅうろうた)とは『ケンガンオメガ』の登場人物。


●目次


【プロフィール】

異名;「柔王」「双王(そうおう)
所属:煉獄→拳願仕合
身長:202cm
体重:134㎏
拳願仕合戦績:15勝0敗
年齢:40歳
誕生日:11月9日
住所:山の中(山ごと所有)
一番好きな麺類:蕎麦とうどん(一番は選べない)


【概要】

拳願会と並ぶ日本最大規模の裏格闘技団体「煉獄」のA級最強闘士。
煉獄の絶対王者にして「キング」の異名を持つ最強闘士であるロロン・ドネアに比肩する実力者で、ロロンと合わせて双王(そうおう)と呼ばれ、呉雷庵から殺気を向けられても動じない胆力を持つ。

若干20歳にして柔道世界選手権100キロ超級を制するという凄まじい経歴を持つが、その後は表舞台のみならず裏からも完全に姿を消したとされる。
活動期間の短さ故に世間一般の知名度はそこまで高くないが、当時の実力でも現在の柔道100キロ超級世界王者であるテディ・ネルネールですら「勝てる保証がない」と述懐。
更には黒木玄斎が「同類」と評したほどの猛者であり、現役時代より更なる高みに到達しているとされる。

古風な雰囲気から煉獄でも人気は高く、観客からは「兄貴」とも呼ばれていた。


人物

柔道着に下駄と一見コスプレにしか見えない出で立ちをしており、古風な口調で話す。
拳願会に負けず劣らずイロモノが多い煉獄側の対抗戦メンバーの中では比較的冷静で穏当な性格であり*1、洞察力も優れている。
また「」についても噂程度に知っていた。
また山下一夫に対しては加納アギト三朝ら上位闘技者が跪いていたことから勘違いに等しい警戒感を抱き、メンバーに忠告している*2
またカーロス・メデル「わが友」と評していたり、呂天と戦友として酒の席で親交があったりと、寡黙な割に煉獄内での人間関係自体は概ね良好。


柔道に対して非常にストイックに己を鍛え続ける典型的な求道者。
「ルールに左右される強さなどたかが知れている」「如何なる条件であろうと勝つことこそ真の強者の証」という信念から煉獄の不殺ルールが自分にとって不利になることを承知で煉獄に身を置き、煉獄のルールを愚直なまでに遵守する姿勢を取る。
それゆえに一撃で決着をつけられなかったことに対して自らを「まだまだ未熟」と称して謙虚に高みを目指し続けている。
雷庵の残忍な言動や振る舞いに嫌悪を見せたように、生殺に関する倫理観も至極真っ当な部類に入ると言えよう。


……とまあここまでは良識あるストイックな武人であるが、実態は煉獄代表選手の中でも随一のぶっ飛んだ性格。
過去には16歳で柔道日本選手権100kg超級で初優勝したことを皮切りに3連覇を成し遂げるも、あまりに強くなり過ぎたことで高みを目指す意義を見失うなど黒木玄斎カーロス・メデルと同じような状態となり、大会にも出場しなくなる。

彼が自らと同じ柔道家で、かつて「少年M」と呼ばれていたサイコキラー・目黒正樹*3を初めて認識したのは19歳の頃。
ニュースで見た当時12歳の目黒正樹が「いずれ自分を脅かす宿敵になる」と直感、それからは目黒と戦うことを目標とすることで活力を取り戻し、自ら世界王者という王座に君臨することで目黒を待つことを決意した。
そして20年前には弱冠20歳で柔道世界選手権100キロ超級を制すも、奇しくも同じ年に目黒が連続殺人犯となったと知ると、失踪した彼を追うように表舞台のみならず裏からも完全に姿を消し、以降15年間は山中に籠りひたすらに修練に没頭。
5年前に対人稽古を解禁して煉獄に参戦し、闘士達との実戦を重ねて己の柔を極限まで研ぎ澄ませ現在の強さにまで辿り着いた。


…そう、実はこの男、目黒とは因縁どころか直接的な面識すらなく、たまたまテレビで見た目黒を一方的に宿命のライバル認定し、彼と戦うためだけにこれまでの栄光の全てを捨てて15年もの間山籠りをしていたのである。
その目黒への執着心は十鬼蛇王馬に異常な執着を見せていた桐生刹那に匹敵する*4



【戦闘能力】

流儀は「柔道」
その練度は目黒正樹を上回り、加納アギトですら今まで見たことがないほどの「投げ技」の使い手。
表舞台を去ってから20年に渡って「投げ」のみを追求し続けた果てに後述する投げ技の弱点を克服した技術「振り」を発明。
掴まず(組まず)に相手を投げ飛ばすという超人的な技術を会得したケンガンシリーズ最高峰の柔術家である。
後述の「振り」を用いた嵐山の放つ投げ技は全て予備動作が存在せず、嵐山本人の技量も合わさった結果、「拳眼」の超人的な動体視力ですら初見では相手が近づいた次の瞬間には相手が投げられ地に叩きつけられているようにしか知覚できなかった人智を超えた超速の投げを実現した。
重心の操り方も人間離れしており、同じ原理の二虎流の操流の使い手としては十鬼蛇王馬自身が「自分の上を行っている」と評価している。*5

一方で柔道に特化している分、打撃技を含めた柔道以外の技は一切習得しておらず、異種格闘が基本の仕合でも蹴りなどの打撃を一切使わないのが最大の欠点。
そして何よりも余りに強くなり過ぎたが故に煉獄の不殺ルールとは致命的に相性が悪い*6という悩みも抱えている。
一撃で人間を投げ殺せる力量を持つが故に煉獄ルール下では常時手加減を強要されている状態にある。
言い換えれば、本来なら難しい「投げの威力のコントロール」もこなせるからこそ、煉獄トップクラスまで上り詰めたのだと推測できる。
まさしく投げの達人である。

また怪物的な投げ技の技量に隠れがちだが素のフィジカル性能も頭抜けている。
131kgという自身とほぼ同体重である、超重量級の身体を持つアギトに組みつかれた際は、アギトを身体にぶら下げながらこともなげに起き上がり、振りを応用して力づくで腕ひしぎを振り解いて片腕でアギトの巨体を放り投げるなど高い身体能力を見せつけた。
何より対抗戦後は柔道専門のスタイルを封印し、柔道には無い打撃技も解禁。
打撃技を見ていた王馬によると、「フォームは出鱈目だが重い」と評価しており、荒削りではあるが、「振り」との複合によって、僅か2年でアギトに通じる重い打撃を繰り出す技術を会得した。

なお仕合を観戦した申武龍は、アギトとの力関係は「全くの互角」と見立てている。


振り


問題ない。

触れられる物ならば、私は全てを投げる。

嵐山が20年の歳月をかけて完成させた新たなる「(とう)」。
具体的には
  • 衣服の袖などを二指で挟むだけ
  • 一本の指先を前襟に引っ掛けるだけ
  • 自身の指先が相手の皮膚に触れた際の摩擦だけ
で、相手を手で掴まず(組まず)、さながら無造作に刀を振るように投げ飛ばす…というもの。
理屈は二虎流の「操流ノ型」と同じく、相手の力の流れ・重心を利用した投げ。
最早合気の域に足を突っ込んでおり、端的に言えば嵐山の指先が一本でも相手の衣服の端或いは皮膚に触れただけで相手は投げ飛ばされる。
掴むという所作を不要としているため、柔道家の天敵の代表格であるノーギ*7の格闘家に対しても有効。
打撃を受け流せば相手の関節をいとも容易く外し、強く投げれば投げた地面にクレーターを作り出すほどの威力がある。
交流戦後には更に鍛え上げて練度を上げたのか、相手の指先と自分の指先がわずかに触れ合った一瞬だけで投げが成立していた。

そもそも柔道の投げ技には
  • 投げるまでの「予備動作」が必要。
  • 組み(掴み)と投げの間に「時間差」が生じる。
という2つの弱点があり2つの弱点をどこまで埋められるかが柔道家の力量の見せ場だが、この技術は相手を掴まない関係で予備動作がそもそも発生せずその弱点が存在しない。
先に組み付かれたとしても相手が投げの動作に移る前に一瞬で投げ飛ばすことが可能で、超人的動体視力を持つ拳眼ですら初見では全く見えないその超速度は、柔道の大天才であっても受け身を取ることはほぼ困難。
故に殺傷力も十分に高く、あらゆる戦闘技術を模倣できるアギトを以てしても再現は不可能と即座に断言した絶技である。


弱点はグラウンドなどの寝技に持ち込まれれば、重心移動も何も関係なくなるため流石に使えなくなること…と思われたのだが、対抗戦後は横方向に強烈な回転を加えるかのような力の掛け方で相手のグラウンド技を外す芸当を発揮。
何より打撃技の解禁によって重い打撃の連続攻撃を繰り出しつつ、打撃を(ブラフ)にして「振り」を交ぜる凶悪なコンビネーション攻撃を手に入れ、その凶悪さを更にハイレベルなものへと昇華させた。


  • 一本背負い
相手の片腕を肩に背負って投げる柔道の代表的な大技。
嵐山の場合「振り」と自身の柔道の練度が合わさり、腕ではなく蹴り込んできた相手の脚を瞬時に捕らえて一本背負いを決められる。


【劇中での活躍】


見つけたぞ…少年M。


対抗戦では第8試合に出場し、速水正樹と対戦。
開始早々驚異的な力量で速水を全く寄せ付けない程の一方的な試合運びを展開する。

が、強くなり過ぎた事で技の威力がほぼ一撃必殺レベルになってしまった嵐山にとって煉獄の「不殺」ルールの中で相手を殺さずに倒すことは実はかなりの足枷になっていた。
速水が目黒正樹そのものであるという彼なりの確信は強まり、引き続き全力の攻撃を繰り返すが、多幸感の作用でダメージが快楽に転化されていた速水は、幾度となく投げられるうちに徐々に嵐山の投げの呼吸を掴んでいき、投げられる最中に鎖骨を肘で打つ相討ち狙いの反撃を許してしまう。

片腕を破壊されても尚技をかけ、足払い程度なら成功するも当然速水は止まらず。
速水にも有効なダメージを与え得る背負い投げを再び狙うも、片腕だけでも投げに移行出来るほど速水は温い相手ではなかった。


嵐山さん 貴方の強さは異常だ。
だけど、片腕で僕を投げようなんて舐め過ぎじゃないですか?

最後まで、柔道に拘ってくれてありがとう。僕の勝ちです。


その宣言通り一本背負いで返された後、マウントポジションを取られ、審判がダウンと判定する前に顔面に鉄槌の連打を打ち込まれるラフプレーを喰らってダウン。
  • 愚直なまでに柔道に拘り過ぎる姿勢と試合のルールを遵守しようとする(真っ当な)倫理観と精神性
  • 速水正樹の特異体質が生む尋常ならざるタフネスと回復力
が複合したことによる致命的な相性の悪さが災いし、本来なら勝てていた筈の格下であった速水に敗北を喫した。
だが、20年に渡る修練を重ねてまで備えていた宿願の戦いを堪能できたからか嵐山の顔には満足気な笑みが浮かんでいた。


そして交流戦から2年後の段階ではなんと拳願仕合に電撃移籍。移籍して僅か2年間で15勝無敗の成績を残している。
リアルチャンピオントーナメント出場権を賭けて加納アギトと試合に挑んだ。


【余談】

その実力は作者からも煉獄最強クラスと評されているが、余りに強すぎてどう負けさせるべきかかなり苦心したらしい。




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最終更新:2023年11月03日 14:25

*1 呉雷庵の挑発行為をスルーしたり、試合での殺人行為に対して特に衝撃を受けたり狼狽えこそしないが「外道め」と露骨に不快感を示していたりと、落ち着いた常識的反応を見せている。

*2 実際は試合でのダメージが原因で膝をついたアギトに三朝と光我が肩を貸そうとしていただけだった。

*3 目黒は全国指名手配こそされているものの、事件を起こした当時は13歳だったため、少年法との兼ね合いから公開捜査ができず、情報を知る者は阿古谷清秋のような警察関係者に限られているが、一部週刊誌では目元に黒線を入れた状態で写真と事件への関与を疑う記事が掲載されている。

*4 ただし刹那のように性的興奮や自殺願望、精神的錯乱はなく、目黒が絡みさえしなければ真っ当な人格者でもある。

*5 なお王馬自身の操流の技量は、オメガの2年前の段階で師・十鬼蛇二虎を上回ると黒木が評している。

*6 投げ技は威力のコントロールが難しい上に、「振り」を用いた投げの殺傷力が高すぎるのが問題点

*7 衣服を着ていない状態