イジルデ(機界戦隊ゼンカイジャー)

登録日:2021/10/03 Sun 23:04:00
更新日:2024/04/20 Sat 13:54:20
所要時間:時間?…え、えーと…約 27 分で読めるぞ






これがトジルギアの力か。実に興味深い……


イジルデとは、『機界戦隊ゼンカイジャー』に登場する敵キャラクターの一人である。

CV:竹田雅則
スーツアクター:村岡弘之*1


データ


身長:190cm
体重:302kg
世界:キカイトピア

概要

本作の敵組織「キカイトピア王朝トジテンド」に所属する最高幹部の一人で、「機械イジリ」を得意とするトジテンドの最高技官。
外見は顕微鏡を思わせる姿の白いキカイノイドで、右目にはモノクルを付け、丸ごとキャタピラになった下半身はさながら車椅子のようにも見える。

トジテンド最高の科学者でトジテンド政権の科学技術部門のトップ。知識層としては最上位に位置し、主にキカイノイド兵の強化を担当する。
彼がトジルギアの開発者……なのだが、
  • トジルギアの対を成すセンタイギアの存在を知って驚愕して焦りまくる。
  • トジルギアがクダイテストをダイワルドに変える効果について全くの無知
と色々怪しい部分があり、トジルギアの盗作疑惑が浮上している。
とはいえ短時間でゼンカイジャーのアイテムを解析し、ギアトジンガーとダークセンタイギアの開発に成功した技術力は本物。介人も「イジルデ天才全開じゃん!」と素直に称賛していた。
一方で彼の研究所には介人の両親が協力者として存在していたとされており、フリントがギアダリンガーの開発の参考にしたのはトジテンドパレスにあったセンタイギアの設計図だったと語られている。

その後イジルデが五色田夫妻を行方不明にさせた張本人であり、実際にトジルギアのアイデアも五色田夫妻からパクっていたことが劇中では明らかにされた。


人物

一人称は「我輩」で、ボッコワウスの前では「小生」
研究のためなら一切の良心や倫理観が働かない典型的なマッドサイエンティスト。自分より立場が下の存在を等しく自分が利益を貪るための実験動物或いは踏み台としか思っていない。

トジテンドの繁栄には実直な一方で常にボッコワウスの癇癪を気にし、体面の維持と保身にも余念が無いなど根は保身欲に凝り固まった小心者という顔も持つ。
その保身欲は凄まじく、トジルギアの消滅が世界の解放に繋がっているとブルーンに知られた際は、保身と口封じのため迷いなく刺客を送り秘密裏に抹殺しようとした非道な顔を持つ*2
自尊心と目下の者に対する偏見も高く、かつて自分直属の掃除係として雇っていたブルーンに自分の名前を忘れかける程のブラック労働を課し、ヒドケイワルドの作戦時にはヒドケイワルドの発言を聞いた途端「時間操作を行った」という説明に対して、「時間移動などという高等技術!ワルドごときが使えてたまるか!」と逆上し、ヒドケイワルドの忠言を一切聞く耳持たず逆に制裁を下していた*3
同じパワハラ上司であるバラシタラに比べれば、自分の一方的な癇癪で部下を処刑したりしない分、マシではある…目くそ鼻くそを笑うだけどな!

その一方で、良くも悪くも研究欲が強い為、必要とあれば混血児のステイシーのような被差別対象の相手とすら手を組んで、実験兵士として重用するなど、自身の利益と研究の為なら選民思想に囚われない臨機応変さや柔軟さも持ち合わせている。
これはトジテンドの幹部としては珍しいタイプだと言える。
加えて、上記の通り保身の余念がない割には、直ぐに動揺が顔や態度に出る為、意外と腹芸の類は下手。
何か痛いところを突かれては目に見えて動揺するイジルデをステイシーが呆れた目で見るといった描写も多く、総合的に見て俗っぽいキャラとも言える。

また、他人の手柄やアイデアをパクることに何の躊躇いもなく、劇中では五色田夫婦を「サンプル」と称してコールドスリープ状態にしてラボに保管しておき、2人の脳内の情報を吸い上げて、自身の技術開発に転用・悪用する形で利益を貪っている。
更にはステイシーの戦果を丸ごと自分の成果にしようと、口八丁でボッコワウスに取り入る姿勢を見せており、ステイシーが中々トジテンドで功績を上げられない原因を作っている。ただし、これについては流石にステイシーに直接追及された際にはバツが悪そうにしていた。
五色田夫妻のことは自分の地位を揺るがすスキャンダルに直結する関係から厳重に秘匿しており、初めてセンタイギアを見た際は

ぐ、偶然だなぁ…。我らのトジルギアは、我輩が開発したのだ!

と激しく動揺しながら誤魔化す場面もあった。
ステイシーにこの事実を知られた際は普段の飄々とした態度をかなぐり捨てて彼を脅している。ただし、この際にはステイシーの疑問に答えて五色田夫妻の事をきちんと説明している辺り、何だかんだでステイシーのことは素直に信頼していることも伺える*4
というか、上記した腹芸の下手さといい、案外色んな意味で根は素直なところもあるのかもしれない。

第36カイ!では遂にボッコワウスにあらゆる盗作がバレて危うく首が飛びかけたが、ゲゲが「トジルギアを使って侵略が出来たのはその五色田夫妻のアイデアのおかげでもある」と、フォローを入れたおかげで評価が反転。
そもそもボッコワウスがキレかけたのは自身に虚偽報告を行っていたという点だけであり、アイデアを盗用した件については、それで発明したアイテムで実際に大きな成果を出していたこともあって「目の付け所が良い!トジテンドの最高技官に相応しい実行力だ!」と、逆に褒められて不問となっている。
これについては流石にイジルデも予想外だったのか、若干戸惑いながら褒められた事への返礼をしていた。


対人関係

前述の通り、色々と胡散臭い部分は多いものの「トジテンドの繁栄」という目的意識は確かであり、主君ボッコワウスへの忠誠心も高い。
しかし、何かと当たり散らされる事が多い為に、本人と面と向かって謁見する時はすっかり萎縮してしまっている。

同僚たる軍隊長バラシタラとは犬猿の仲であり、互いに手柄を巡って権力闘争に明け暮れている。
バラシタラから「下らんものばかり作っている」「技術だけ提供していれば良い」と見下されている一方で、
  • バラシタラが失態を犯せば嬉々として揚げ足取りや、ネチネチとした嫌味でバラシタラを責める。
  • 「つまらんではないか」という理由で互いに相手の作戦に勝手に横やりを入れる。
など互いに相手への当てつけのような作戦を立案することもある*5
ボッコワウスの前でいがみ合う事もしばしばで、その度に揃って床ドンを喰らって叱責されるのがお約束になっている。

ステイシーに関してはモルモット兼自身の手駒として見做しており、ぞんざいに扱いながら事ある毎に自分の地位とステイシーを治してやったことに付け込み、恩着せがましい態度を取り続け、前述通りステイシーの戦果を丸ごと自分の成果にしようとする姿勢すら見せている。
とはいえステイシーに協力的な態度を取る唯一の幹部である為に、良くも悪くも関係性はビジネスライク。
また「バラシタラが気に食わない」という一点では気が合う他、前述通り何だかんだでトジテンドの兵士として最低限の信頼を置いて、ステイシーのことを頼っている様子は随所で伺える。
加えてぞんざいに扱うとは言っても、ステイシーにある程度の現場での権限や自由を与えたり、重要な任務を託したりと、トジテンド内では遥かに真っ当にステイシーの事を一人のトジテンドの兵士としてちゃんと扱っている。
また、バラシタラとの権力闘争が長いことから、色んな意味で彼の嫌味には慣れているらしく、バラシタラが絡むと熱くなりがちなステイシーを冷静に諫める場面もあった。

そもそも本来なら人間との混血児であるステイシーのトジテンド内での立場など、吹けば飛ぶようなものであり、そんなステイシーがまがりなりにもある程度の地位でしっかりと地に足を着けて活動できているのは、全てイジルデの後ろ盾のおかげに他ならない。
そしてステイシーもステイシーでイジルデの見えない所でガンガン暗躍し、時にはイジルデの不利益になる行動も取っているので、どっちもどっちの関係性である。

しかし、ハカイザーをゼンカイジャーに奪回された件で責任を取らされ、電撃による拷問に苦しんだ末に「この際真実などどうでもいい!誰かに責任を押しつけねば…!」というゲスすぎる考えに辿り着き、「バラシタラの息子である為に競争相手の自分に手柄を立てさせないようにステイシーが邪魔をした」と、今までの関係やステイシーの過去や境遇を全否定する掌返しを行い、その責任の全てをステイシーに丸投げした。
ただし、イジルデは出まかせのつもりだったが、実際にハカイザー奪回が成功したのはステイシーがハカイジュウオーのデータをゾックス達に渡したからなので、本当にほぼ全てステイシーのせいである*6
しかもステイシーはゼンカイジャーの作戦によってハカイザーが混乱させられている際に、イジルデが出撃要請をしようとしたにも関わらずそれを無視していたことから、この時点でイジルデからの信頼は既に地に堕ちていたと言ってもいいので、罪を擦り付けたのはともかくイジルデがステイシーを見限ったこと自体は当然の成り行きだと言える。
そもそもハカイザーが奪回された件にはステイシーにも大きな責任があるにも関わらず、当初ステイシーは自らの情報漏出を隠して懲罰を受けたイジルデをフォローしようとする様子も見せなかったことから、この件についてもどっちもどっちだったとも言える*7

また、口から出まかせとはいえ結果的にはスパイ同然の行為をしていたステイシーを拘束し、組織の膿出しを行ったことから、この件についてトジテンドの幹部としては相応しい働きをしたとも言える。
そもそもパクリが多いとはいえ、トジルギアを初め彼の発明品はトジテンドに大きく貢献しているアイテムが多く、何だかんだでボッコワウスも評価していた通り、トジテンドに大きな成果をもたらしており、最高技官に相応しい働きはしっかりとしている人物である。

加えてステイシーに罪を擦り付けた件については、ファンの間では「トジテンドはスパイを炙り出す事ができ、ステイシーは後腐れなくトジテンドを離反する理由ができた」として、結果的にはステイシーを後押しして双方に益をもたらしたと評価する声もある。勿論本人にそんなつもりは一切ないが。

もっとも、ステイシーの裏切り行為に全く気が付いていなかったのは事実なので、ハカイザーを奪還されたことも含めて、第42カイ!以降は完全にボッコワウスからの信頼は失墜してしまい、バラシタラからここぞとばかりにこき下ろされ、それをネタに畳みかけるようにボッコワウスのご機嫌取りの為の作戦を始められても、何も言い返せずに気まずそうに横で小さくなっていた。
さらに第43カイ!では、ゲゲに乗っ取られたステイシーが脱走したことに加えて、脱走の際に没収していたギアトジンガーとダークセンタイギア一式を盗み出されたことで、ますます縮みあがっていた*8。そもそも第41カイ!以降のワルドはオミクジワルドを除いて全てバラシタラが作ったワルドであり、最早ワルドを作って作戦を実行する権限すら危うい模様。

なお、上記の通り五色田夫妻を誘拐、及び功博士達が発明した並行世界関連の技術の悪用や、トジテンドパレスの掃除係だったブルーンをこき使っていたことなどから、トジテンド幹部の中では介人達ゼンカイジャーとは最も因縁深い。加えて功博士をハカイザーへ改造した件やステイシーの件など、多くのキャラクターにとってイジルデはまさしく全ての元凶である。
加えてツーカイザーの誕生も、カイゾクトピアに侵略した際にゾックス達に研究データを盗まれたことがきっかけであり、何気にゼンカイジャー、ツーカイザー、ステイシーザー、ハカイザーの全ての者達の誕生に直接的・間接的に関わっているのがイジルデである。

さらに最終カイ!では、ある存在がイジルデがトジルギアを開発したことに目を付けて、それをきっかけにゲゲの身体に憑依して暗躍を始めたことを明かしており、つまりその存在をトジテンドに招いて暗躍させ、最終的にトジテンド滅亡まで持って行ったのもイジルデである。

即ち、この『機界戦隊ゼンカイジャー』という作品は、イジルデが五色田夫妻を拉致してトジルギアを開発したところから、全てが始まった物語であると言える。


戦闘能力

主に指先からレーザーを照射して攻撃を行い、さらにこれは開発作業にも使える。
ただし、彼自身はあくまで技術屋に過ぎない為、戦闘は得意ではないらしく、素の身体能力は何の強化もされていないただの人間に張っ倒される程度。下手すればワルドや上級戦闘員のクダイターより弱い。

このような人物なので当然ながら、前線に出向いてワルドやクダックを指揮しても自ら戦う事は滅多になく、現場でのワルドの支援などは専らステイシーやハカイザーに任せている。

武装

  • イジックハンド
先端にマジックハンドが付いたマニピュレータ棍。先端から激しい電撃「イジル電撃」を放てる。
ただし用途は戦闘ではなく、劇中では部下への制裁目的で使われる場合が殆どである。


指揮官として

基本的にあくまで技術屋な為に、自身が作戦指揮を執る場合は戦略面に関しては門外漢である為か割と力押しの作戦が多く、総合的には詰めの甘さが出ている作戦も多い。

とはいえ技官である彼に本来指揮官としての能力など必要なく、実戦での前線指揮やデータ取りなどは全て軍隊長のバラシタラに一任して良いはずである。
これについてはイジルデが技官であるにも関わらず自ら作戦の立案・指揮を行おうとすること自体と、そもそもそれでバラシタラと互いに手柄争いをさせているトジテンドという組織の体制の問題が大きい。

その一方で、直接的な殺傷力という点ではかなり危険度の高い作戦を考案し実行させることが多いのが特徴。



科学者として

現状イジルデの発明品でイジルデがゼロから発明したと言えるのは、ステイシーザーへの改造とバトルシーザーロボと並行世界間ゲートぐらいで、後は基本五色田博士達の脳内にあったアイデアや記憶の盗用ばかりである。
ただし、トジルギアやダークセンタイギア、ブラックジュラガオーンのように、製作物は本家以上に凶悪極まりない性質となっていることが多く、実際に劇中ではそうやって作り出したアイテムでトジテンドに様々な貢献をし、ゼンカイジャー達を幾度となく苦しめている。
加えて、ハカイザーのスーツやゼンリョクゼンカイキャノンのように、あくまで理論上だけで実際に開発はされていなかった物ですら、忠実に再現して完成させている。
総評すると、イジルデは他者の理論や構想を、元のものより実用性を高めて形にすることについては、確かな才能と技術を持った紛れもない天才科学者である。

どちらかと言えばイジルデの科学者としての最大の問題点は、彼の発明は多くは元々あるデータや理論を、あまり深掘りせずにそのままパクったり自分が考える応用を後付けするだけなので、イジルデ自身も自分が開発したアイテムの全容や欠点を自分で把握しきれていないという点である

加えて、彼の専門はどちらかと言えばキカイノイド兵の強化改造である為に、自分で一から理論を考えてそれを深掘りしてアイテムを開発するというのはそもそも専門外なようであり、イジルデ一人に全てを丸投げしている体制にも大いに問題があると言える。

強化改造

トジテンドでの兵士の強化改造を一手に担っており、功績を挙げた戦闘員のクダックを上級戦闘員のクダイターへ、さらに最上級戦闘員のクダイテストへと昇格と共に強化改造する。
ちなみにクダックをワルドへ変化させる際には、自動的にクダイターへ強化改造される。
さらに後に功博士の脳から新たに出たアイディアを盗用して、新型のクダイテストであるニュークダイテストへの強化改造に成功したが、こちらは量産性が無いのが欠点となっている。

他にもステイシーの強化改造や、五色田功をハカイザーへ改造しており、さらにボッコワウスの命令で先々代大王の身体の一部を使って、ハカイザーをハカイザー改へ強化改造している。これらはいずれも改造後は高い戦闘力を発揮している。
これらの事実からも、やはり彼の改造技術は確かなことが伺える。  

開発アイテム

  • トジルギア
並行世界を封じ込め、世界ごと無力化し支配下に置く歯車型侵略兵器。
五色田夫妻が開発したセンタイギアのデータをパクって、それを基に開発した物であり、それ故に開発者のイジルデ本人もその全容を把握しきれておらず、ワルドへの強化にも利用されているがこの効果は想定外であり、当初はワルドやダイワルドの創造に使えることも、ワルドが倒された場合封印した並行世界が解放されることも知らなかった。 
後にバラシタラから「事前に生まれるワルドの能力を把握できない」という欠点が指摘されるも、そもそもトジルギアでワルドが生まれること自体がイジルデも想定外の副作用だったことから、その後もこの欠点は改善することができないまま半ば放置されている。

  • 並行世界間ゲート
その名の通り、自由に人や物を並行世界に移動させるゲート。
移動できる物体の大きさに制限は無いらしく、クダイテストも毎回このゲートを使って出現する。判明している限りイジルデが開発した数少ないオリジナルの発明品であり、このゲートの開発後に五色田夫妻を発見して拉致した。
しかし、カイゾクトピア侵略時に逆にゾックス達に技術を盗まれてしまい、以降はおそらく生体認証によってトジテンド関係者以外のトジテンドパレスへの侵入を阻むセキリュティが追加された。

  • ステイシーザー/ダークセンタイギア/ギアトジンガー
実験兵士ステイシーザーとステイシーザーが用いるアイテム一式。
五色田夫妻の脳内にあったゼンカイザーやギアトリンガー、センタイギアの技術を丸パクりして短期間で完成させた。ちなみにダークセンタイギアの偽戦隊の召喚機能から、下記するゼンリョクゼンカイキャノンの技術も用いられていると思われる。
詳細はステイシーの項目参照。

  • バトルシーザーロボ系統
ステイシーザーのダークセンタイギアの偽戦隊ロボット召喚は、エネルギーの急速消耗を招くという弱点が発覚したことで、その代わりに巨大戦を行う為の新戦力として開発された人型起動兵器。一応分かっている中では数少ない完全なイジルデのオリジナルとも言える作品。しかしデザインや技、なんならステイシーのデザインはバトルフィーバーJのパクリだが…
現在は3号機まで完成して出撃し2/3が大破している。

  • ゼンカイオーブラックジュラガオーン
ステイシーザーの強化に合わせて建造されたゼンカイオージュラガオーンのパチモノ。
無人兵器であるが、単純な戦闘力だけで言えば本家ジュラガオーンを上回る強敵。
召喚はギアトジンガーとゼンカイジュラン・ゼンカイガオーンのダークセンタイギア(機界サイド)を介して行われ、そこから全界合体に繋ぐことになる。

「ワルドの護衛」を目的に開発されたステイシーザーに次ぐ新たな実験兵士。
性能はステイシーザーを上回り、ゼンカイジャーを全員相手取って優位に立てる程だが、ハカイザーの実態は五色田夫妻が当初考えていたゼンカイザーの初期案のスーツを、デザインも含めてまんま丸パクりした物で、言わば「プロトゼンカイザー」である*9
後に、ボッコワウスから渡された先々代大王の一部を組み込んで強化改造された。

ハカイザー専用の武器として開発された大型銃器。
後部のゼンリョクギアを回転させて対応した戦隊1~4人を召喚できる。元は五色田夫妻が考案していたさらなるゼンカイザー用の武器を、これまた丸パクりして「全力破壊銃」という名称で開発した。デザインもハカイザー同様に五色田夫妻の脳内にあったデータそのままであり、イジルデのオリジナル要素など「全力破壊銃」という名前くらいしかない。
しかも、五色田夫妻の脳から抜き出したデータからそのまま作っただけなので、ゼンリョクイーグルへの変形機構が存在することすら知らなかった。

  • ハカイジュウオー
ハカイザーに先々代大王の一部を取り込んで巨大強化改造したロボット怪獣。
イジルデ曰く「最高傑作」との事だが、名前や全体のビジュアルから見る限りゼンカイジュウオーのパチモノにしか見えない。
ハカイザー改自身が自律システムとして頭部の脳ドームに直接組み込まれ、あらゆるデータを吸収しながら破壊衝動のおもむくままに戦闘を行い、ゼンリョクゼンカイオーとも互角に渡り合う程の攻撃力と防御力を持つ。
詳細はハカイザーの項目参照。

イジルデストロイヤー4世



出てこいゼンカイジャー!
我輩の汚名返上の為に倒されるがいい!!

画像出典:機界戦隊ゼンカイジャー 第47カイ!『パレス突入!ボスの前でも頭が高い!』より、(2022年2月13日放送)
©テレビ朝日・東映・東映AG

身長:46.0m
体重:2300t
スピード:350km/h
出力:1200万馬力
世界:キカイトピア

第47カイ!にて登場。
バトルシーザーロボシリーズの戦闘データを元にイジルデが開発した、トジテンドの最終兵器ロボ。
外見はバトルシーザーロボ2世と殆ど同じだが、機体の色はイジルデと同じ白と紫になっている。
コックピットスペースでイジルデとロボが直接コネクトし、トジテンドのパワーをフィーバーさせることでコントロールする。

なお、前代機がないにもかかわらずいきなり4世を名乗っているが、これはイジルデ唯一のオリジナル発明品と言ってもいいバトルシーザーロボの系譜にそのまま便乗しているからであり、ファンからは「ステイシーが離反して操縦者の居なくなったバトルシーザーロボ3世を改造したのでは?」と考えられている。
それを裏付ける根拠として、最初からイジルデが乗ることを想定しているにも拘らず、脱出機構が無いというバトルシーザーロボの欠点をそのまま引き継いでおり、急ピッチ感が否めないところや、そもそも物理的にステイシー離反から最終決戦までに、ロボをもう一機新たに建造するような時間的猶予があったとは思えないことも根拠として挙げられる。

武器は本人が持つイジックハンドを、そのまま巨大化させた外見のマニュピレーター棍「ダイイジックハンド」。棍の形状を駆使して相手の攻撃を絡め取って、優位に戦闘を進める戦術を得意とする*10
更にダイイジックハンドから強力な電撃を放ち広範囲を攻撃し、周囲の人々を無慈悲に痛めつける。
イジルデ自身が自分の経験値の低さを自覚していた為か、武装はとことんコンパクトにイジルデが使い慣れたもので纏まっている。

しかし、逆に言うと電撃以外にろくな武装を持たず、暗黒剣やソードシーザーといった複数の武装を駆使することで、多彩なバトルスタイルを持っていたバトルシーザーロボシリーズの長所を完全に潰してしまっている。
それでも機界変形したジュラン、ガオーン、マジーヌを相手に1機で圧倒できるだけのスペックをもつため性能そのものは決して低くない。
しかし、操るイジルデが戦闘はからっきしなせいで、ふとした拍子に逆転されかけることもある等、折角のハイスペックを活かしきれていない部分も否めない。

まとめると、自分で適性のあるパイロットを放逐してしまい、さらに功を焦ったイジルデが強行したことで生まれた、急ピッチの機体というイメージが強く、そのようにあらゆる意味で強引に戦闘を強行した結果が、案の定イジルデ自身の破滅を招いてしまった。


保身と盗作の限りを尽くしたマッドサイエンティストの末路

第47カイ!にてゼンカイジャーが「神」の手引きによってキカイトピアのトジテンドパレスに乗り込んでくると、イジルデストロイヤー4世を駆って自ら迎撃に出る。

ボッコワウスの床ドンとトジテンドパレスのカラクリでゼンカイジャーが分断されているのをいいことに、イジルデストロイヤー4世の性能で巨大化したゼンカイジュランゼンカイガオーンゼンカイマジーヌを同時に相手にして圧倒するが、その「神」によってキカイトピアに強制送還されたターさん達一般キカイノイドの投石に気を取られた隙に3人に取り押さえられる。
それに対して「愚民共がつまらん真似を!」と激昂。
クダイテストを呼んで拘束を解かせて再び優位に立った。

しかし、そこへステイシーやゴールドツイカー一家の助力によって駆け付けたゼンカイザーと巨大化したゼンカイブルーン、更にステイシーに連れてこられたセッちゃんが合流すると形勢逆転。
ゼンカイザーの操るジュラガオーンと、セッちゃんが乗り込むブルマジーンという2体のゼンカイオーの並び立ちを許してしまい、クダイテストもあっさりと倒されてしまう。
それでも怯むことなくイジル電撃を見舞い、「いつもいつも我輩の邪魔をしおって!」と、身勝手に激怒するが…


邪魔してるのはそっちだ!

な!?何を~!?

父ちゃん、母ちゃんさらって…ギアの技術奪って…!

他の世界閉じ込めて…その力酷いことに使って…!

父ちゃん改造して…洗脳して…

皆の平和を、邪魔しまくってるだろ!!!


と、今までの悪行を列挙された上で超特大の正論とブーメランをぶつけられた。
更にそんなゼンカイザーに続くようにキカイノイドの4人もその怒りを吐露しながら猛攻を仕掛けていく。


貴方は勉強が得意かもしれませんが、知識は皆の為に使うのだと、私は学びました!

ぶっちゃけ1つだけ感謝してんだわ…俺らをあっちの世界に連れてってくれたことだけはなぁ!

お陰で介人やヤツデ、沢山の人間ちゅわんや可愛い生き物達…それに、大事な仲間と出会えたから!

でも~!それ以外はぶっちゃけ、ハチャメチャのギタギタにぐぬぬ全開、許せなさブルンブルンっすからね~!


そんな皮肉と怒りにまみれた2体のゼンカイオーの文字通りのダブルパンチを喰らって大きく吹き飛ばされるも、往生際悪く立ち上がり「我輩の発明が、貴様らに負けるわけには~!」とこの期に及んで自身のプライドに縋りつくがそれも叶わず、最期はゼンカイザーの「父ちゃん母ちゃんの発明は、お前なんかに負けない!」という言葉と共に放たれたゼンカイオーゼンリョクフルブレイクを喰らい、脱出することもできないままイジルデストロイヤー4世と共に大爆発に消えた。


ボッコワウス様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


自身の地位とプライドを守ることに固執し、節操も無く他者の技術・他の世界の力を悪用してトジテンドの暴虐を支えてきた愚かなるマッドサイエンティスト・イジルデ。
自分の為だけに一般市民を虐げ、仲間すらもその場しのぎに切り捨てた身勝手極まりない男の最期は、真に頼る者のない中で、自身が散々利用してきた技術が切っ掛けとなって強固な絆を築き上げた、かつての被差別層と見下していた者達によって、己が盗作した数々の技術のオリジナルの力で引導を渡されるという、まさに因果応報なものだった。

しかし、その一方でイジルデが遺した発明であるステイシーザーの装備一式は、彼の死後に敵対していた同僚であるバラシタラを追い詰め、さらに撃破されたバラシタラが起こした誘爆を、ステイシーは彼が遺したステイシールドで防いでゾックス達を守った。
つまりパクりとはいえ、イジルデの技術や発明品の優秀さは彼の死後に、彼が放逐した元部下のステイシーが、かつての政敵であるバラシタラを滅ぼすことで実証し、さらにその発明品がステイシーやゴールドツイカー一家を守るという、皮肉過ぎる結果になったのである。


余談

大阪弁の「弄るで」が名前の由来。

◆声優の竹田氏は、本作が特撮の初出演作になった。

◆外見がギエンキタネイダスに似ていると指摘する声もあり、後者についてはゴーオンレッド/江角走輔役の古原泰久氏も自身のTwitterでそのことに触れている。

◆車椅子状の下半身という出で立ちや劇中での行動から、イメージは恐らく映画『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』の主人公・ストレンジラブ博士と思われる。なお、そのストレンジラブ博士とは独裁国家に仕えるという点でも共通している。

◆第47カイ!のゼンカイ備忘録によると、当初の末路は「崩れるトジテンドの下敷きになる」という案も考えられていたが、竹田氏及びスーツアクターの村岡氏の演技力を絶賛したスタッフの「せめて最後はボッコワウス大王の忠義と自身の科学者の矜持を持って、正面からぶつかって敗けて貰いたい」という願いから、上記の展開となった。


追記・修正は誰かの発明品を弄ってからお願いします。

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最終更新:2024年04月20日 13:54

*1 ダイコンワルドのスーツアクター・CVも担当

*2 とはいえトジルギアの欠点という最重要機密を、一清掃員に過ぎない上に知的好奇心の強いブルーンが知ってしまったという時点で、処刑しようとするのはある意味当然の行動だが

*3 ただし、これについては時系列がトジルギアでワルドを作れる事が発覚したばかりの頃だったので、時間移動などと言われても信用できないのは当然だが

*4 それに対してステイシーは「告げ口したところでバラシタラが喜ぶだけ」と答えたため安堵した…が、それが祟って結局介人の母・美津子を逃がされてしまった。しかし当のイジルデはそれがステイシーの仕業であることに気付いていないどころか、彼を疑ってすらいない辺りからも彼のことを何だかんだで信頼していたことが伺える

*5 バラシタラはステイシーの作戦中に自分の配下のワルドを乱入させたり、イジルデはバラシタラの配下のワルドを自身の作戦の為にステイシーに倒させたりしている。

*6 ステイシーのデータが無ければ、介人達はハカイジュウオーの頭部にハカイザーがいるという発想すら無かった為、奪回はできていなかった可能性が高い。

*7 実際に後にイジルデの告発で投獄された際には、ステイシー自身も「自業自得か…」と自嘲しており、イジルデを恨んでる様子はなかった。

*8 これについては、ボッコワウスの側近であるゲゲの仕業な時点で、イジルデでは防ぎようもなかったのだが。

*9 トジテンドのマークに充電メーター等、一応スーツに必要最低限のアレンジはされている。

*10 パクりを得意とする、イジルデ自身の性質を表しているとも言える