ウルトラマンデッカー(作品)

登録日:2022/08/21 Sun 23:29:38
更新日:2024/03/30 Sat 14:34:40
所要時間:約 8 分で読めます




輝け!


弾けろ!


飛び出せ!


デッカー!!!


「やるしかねぇ!今、やるしかねぇんだ!」


『ウルトラマンデッカー』とは、2022年7月9日から2023年1月21日にかけて放送されたウルトラシリーズの特撮ドラマ作品。
令和ウルトラマンとしては第4作目、ニュージェネレーションヒーローズとしては第10作目にあたる。




◆概要

前作『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』が『ウルトラマンティガ』の真髄を受け継ぐ作品として製作されたのと同様に、
この作品は2022年に放送開始25周年を迎える平成3部作の一つである『ウルトラマンダイナ』の要素を取り入れた作品として製作されている。

そのためか、『ダイナ』が『ティガ』の数年後という設定だったのと同様に、『デッカー』は『トリガー』から10年後という舞台設定となっている他、
  • 地球人類の宇宙進出を阻む謎の存在「スフィア」
  • 前作から登場する組織「GUTS-SELECT」「地球平和同盟TPU」
  • 『ダイナ』のマスコットキャラをモチーフにした「ハネジロー」の存在
  • EDがダイナの後期EDである「Ultra High!」を歌唱した影山ヒロノブによる楽曲
  • ダイナと似た容姿や能力を持つ、正体不明の光の巨人「ウルトラマンデッカー」
という風に、『ダイナ』を連想させる要素が多い。

一方で、トリガーとは違い、「NEW GENERATION」のサブタイトルは冠していない。
良くも悪くも『ティガ』要素(と言うより『TFO』要素)が全体を貫く軸として構成されていた『トリガー』に対し、
本作はあくまで「『ダイナ』の要素を取り入れた作品」に留まっている*1

監督である武居正能氏は、
トリガーが過去が現代に影響を及ぼし、過去に向かって戦いを挑む物語であるならば、デッカーは『未来をどうするか』、『起こってしまったことに対してどのように順立て、打破するのか』
と、『ダイナ』よりも『トリガーの正統続編』である事や『未来』をテーマにおいた物語であると語っている。
また、「若者たちの躍動」もテーマの一つであり、今作の防衛チームである新生GUTS-SELECTの主要メンバーに20代の若者達を置くことで、未来を担う若者達の成長劇を描くようにしている。

本作では前作が商業的に大成功し、予算にも余裕ができたのか、出来るだけ本作独自の新怪獣を出していく模様。
他にも、『ウルトラセブン』が放送開始55周年になることからカプセル怪獣も「ディメンションカード怪獣」と名を改めて登場する。

ちなみに今作では『ウルトラマンZ』以来に放送終了後のミニコーナーが復活。本放送の内容に連動するコンテンツことTSUBURAYA IMAGINATION(ウルトラサブスク)で 
前作『ナースデッセイ開発秘話〜特務3課奮闘記〜』にも登場した特務3課のホッタ マサミチとマルゥルのコンビに加えて、GUTS-SELECTメンバーも1話につき1名登場するスピンオフドラマ『GUTS-SELECT交流紀〜帰ってきた特務3課〜』が2022年10月より全5話が配信されている。
その一方で、『ウルトラマンタイガ』以降YouTubeで連動して配信されていた恒例のボイスドラマは配信されなかった。
その代わりとして、最終回放送後バンダイ公式チャンネルにて一人の小学生とウルトラソフビの交流を描く『ウルトラソフビワールド』が8週に渡って配信された。


◆スタッフ

本作のメイン監督は、『ウルトラマンR/B』以来2回目の登板となる武居正能。
『R/B』よりはシリアスな作風となっているが、ウルトラマンの王道を踏襲しつつも武居監督が得意とする細やかな人間ドラマが前面に出た作風となっている。
シリーズ構成は、ニュージェネの歴代シリーズの脚本のほか、『マクロスΔ』などアニメ作品のシリーズ構成を担当してきた根元歳三と、
前作より引き続き担当となる足木淳一郎が共同で担当。
武居監督と根元氏のコンビは、『ウルトラマントリガー エピソードZ』から連続となる。

エピソード毎の監督陣では、辻本貴則・坂本浩一・越知靖・内田直之・中川和博・田口清隆と、ニュージェネお馴染みの面々、
脚本陣は中野貴雄・継田淳・皐月彩のほか、前作でシリーズ構成を担当したハヤシナオキ、『ウルトラマンオーブ』などでプロデューサーを務めた鶴田幸伸が名を連ねている。

音楽は『逃げるは恥だが役に立つ』『炎炎ノ消防隊』などの末廣健一郎と、『アンナチュラル』『MIU404』『デカダンス』などの得田真裕が共同で担当。
両名とも一般ドラマの劇伴担当が多く、特撮ドラマは初登板となる。


◆主題歌

  • オープニングテーマ「Wake up Decker!」
歌:SCREEN mode

  • 前期エンディングテーマ「カナタトオク」
歌:影山ヒロノブ
第1話から第13話まで使用された。

  • 後期エンディングテーマ「ヒカリカナタ」
歌:影山ヒロノブ
第14話から使用されている。


◆ストーリー

ウルトラマントリガー闇の巨人イーヴィルトリガーを倒して7年……。
地球平和同盟TPUは宇宙開発を進め、今では地球と火星は旅行感覚で往来できるようになっていた。
そして火星では第2のコロニーが開発されることになり、世間では「ネオフロンティア時代」という言葉が謳われるようになった。

ところが、そんな平和な日常は突如襲来した謎の存在「スフィア」によって破壊されてしまう。
スフィアは火星と地球に同時に出現し、大都市を破壊。挙句の果てに地球をバリアで覆い、孤立無援の星へと変えてしまうのだった。
この緊急事態にTPUはGUTS-SELECTを対スフィア部隊として復活させ、訓練校の生徒達から引き抜いたメンバーを取り入れて活動させることになる。

そんな中、祖父の営む煎餅屋で働く青年アスミ・カナタは、スフィア襲来の際に人々を助けようとしてスフィアソルジャーに取り込まれ、同化されかけてしまう。
しかし、カナタはその際に謎の「光」と遭遇し、一体化したことによって、謎の光の巨人・『ウルトラマンデッカー』に変身して脱出し、スフィアと融合した怪獣を撃破する。
その後、カナタは「何故自分がデッカーに変身する能力を得たのか」という疑問を抱きつつも、スフィアによって砕かれた「当たり前の日常」を取り戻す為にTPU訓練校に入校。
そして、1年の訓練期間を経て、同じ訓練生であるイチカやソウマと共にGUTS-SELECTの隊員に任命され、仲間たちと共にスフィアの脅威に立ち向かっていく。


◆登場人物

前作同様、キャラクター名はカタカナ表記。

対スフィア部隊 GUTS-SELECT

前作にも登場した防衛部隊。
今作では対スフィア部隊として再編成されつつ、復活した怪獣災害や宇宙人犯罪にも対処することになる。

  • アスミ カナタ
演:松本大輝
本作の主人公。20歳。漢字では「明日見彼方」*2と書く。
祖父のダイジロウ共々家族で切り盛りする煎餅屋「明日見屋」で働く青年だったが、スフィア襲来をきっかけに「当たり前の日常を取り戻す」ためにTPU訓練校に入校。
1年間の訓練期間を経てGUTS-SELECTの隊員に入隊することになる。
明るいお調子者で、店の接客で鍛えられたのかコミュ力は高め。そのため明日見銘菓・宇宙せんべいにちなんだ煎餅ジョークを披露することも
困っている人を見過ごせない優しい部分もあり、また、目の前の物事に対し必要以上に全力で取り組むひたむきな努力家としての一面もある。
スフィアに襲われた際、謎の「光」と一体化して『ウルトラマンデッカー』に変身する能力を得たが、普段は(HANE2以外には)それを隠している。

  • キリノ イチカ
演:村山優香
カナタ、リュウモンと同じくGUTS-SELECTの隊員に入隊することとなった女性。別名「まっすぐの天才」
実家はお寺で、バイクでのツーリングが趣味。
前向きな性格で強い使命感と責任感を持っているが、思いつめすぎる部分もあるのが玉に瑕。
スフィア襲来時、火星に旅立ち連絡がつかなくなってしまった先輩達を助ける為に、誰もが夢を追いかけることを邪魔されない世界を実現したいという大きな夢を持っている。

  • リュウモン ソウマ
演:大地伸永
カナタ、イチカと共にGUTS-SELECTに入隊した青年。別名「見つめる天才」
完璧主義かつ感情をあまり出さないクールな性格だが、入隊前は自らの夢を叶えたい故にかなりピリピリしていた。
それ故に意見の相違などでカナタと対立することもしばしばあるが、やがて良きライバルとして理解を深め合っていく。そして回を追うごとに徐々にツッコミ役が板に付きつつある。
実家はかなり裕福だが、幼い頃怪獣災害でTPU特殊部隊だったムラホシ隊長に助けられたことから強い憧れを抱き、父の反対を押し切って入隊したという経緯がある。
それ故に父に認められたいという一心で優秀な隊員になるのが夢だが、同時に「自分達は人の命を守るのが仕事だから優秀でなくてはならない」という強い責任感を持っている。
そんな性格故か、カナタ、イチカ、リュウモンの3人で任務にあたる際には、彼が実質的なリーダーとなることが多い。

  • ムラホシ タイジ
演:黄川田雅哉
新生GUTS-SELECTの隊長。元々はTPU訓練校の校長を務めており、旧GUTS-SELECT隊長ことタツミ セイヤの後輩にあたる。メトロン星人マルゥルからは「ムラちゃん」と呼ばれている。
常に笑顔を絶やさない穏やかな性格だが、メガネを外している時は相当キレているらしい。
一般市民だけでなく、隊員の命と「大切なものを守る意思」を尊重するだけでなく、
「自分達を助けてくれる存在が都合よく現れることはない」という現実的な考えを持ち合わせており、突如出現したデッカーにも当初は慎重な態度を取っていた。
その一方で、ガッツファルコンを初めて操縦するカナタにアドバイスと称して愚痴をこぼしたり、初陣後の食事の代金を自らおごる、グレースに体力と栄養を与えるために手料理を振舞うなどユーモアあふれる人物。

  • カイザキ サワ
演:宮澤佐江
新生GUTS-SELECTの副隊長で、生物学の博士号を持つ怪獣の専門家。元々はTPUの怪獣研究を専門とした部署に勤めていた*3
ナースデッセイ号の操舵士およびオペレーターを担当するが、怪獣に対しての専門知識でメンバーをサポートすることもある。
優しい隊長に代わってカナタ達を厳しく指導する。
なお、実年齢は29歳(宮澤氏は当時32歳)と若いのだが、第20話でイチカ(20歳)とコンビを組んで任務にあたった際には何度か年齢を気にする素振りがあった。

演じた宮澤氏は『ウルトラマンサーガ』以来のウルトラシリーズ出演。地味にそちらでの役名も「サワ」だったりする。

演:小柳友
TPU技術部に所属する科学者で、新装備の開発や設計を担当しており、それが完成すると自らメンバーの元へ届けに行く。
穏やかかつ冷静な性格で、実戦に巻き込まれても的確にメカを操りパイロットへ指示を出す判断力の持ち主。
その一方で、カナタに「あてもない善意というものは、逆に人を傷つける結果になる」と、戦いの先に何を見据えるのかと忠告するなど、謎が多い。

演じた小柳氏は『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』にてランを演じており、番組のオンライン発表会にてウルトラマンゼロの変身ポーズを披露したことも。

  • HANE2
CV:土田大
TPUが開発したAIユニット。元々は宇宙探査用に使用される予定だったが、スフィア襲来時にGUTS-SELECTに導入され、GUTSホークの操縦を任される。
見た目はダイナに登場したハネジローをデフォルメ化したような丸いボディが特徴で、普段はナースデッセイ号の司令室におり、隊員達と音声会話が可能。
AIということもあり、基本的には丁寧な口調だが、カナタたちから提案されたことで彼らにはフランクな口調で話すようになり、
特にお調子者のカナタに対しては、軽くキャラ崩壊しているレベルでフランクな接し方をすることも。
また、当初は自他共にロボットとしての名称で呼称されていたが、カナタの提案でハネジローのあだ名を付けられ、それで呼ばれるように。
GUTSファルコンを操縦するカナタとは、戦闘機のパイロットとしてもタッグを組んでおり、
流石に誤魔化しきれないと踏んだか、カナタから自身がデッカーの変身者であることを明かされ、それを秘密にしつつ彼のフォローをするようになった。
また、周囲からカナタがデッカーとして戦ってる際にカナタの事を聞かれると彼の声真似をしたり、
第11話でテラフェイザーを動かす際に必要な戦闘経験豊富なAIを探してる際にカナタ達から視線を集められた際に素っ頓狂な声を上げたりと、妙に人間臭い一面も。

  • メトロン星人 マルゥル
旧GUTS-SELECTの隊員だったメトロン星人の少年。
現在はTPU技術部特務3課に所属している。
物語の本筋には絡まず、総集編回とスピンオフにおける事実上の進行役として登場する。

  • ホッタ マサミチ
演:田久保宗稔
マルゥルの同僚である中年のメカニック。
特別総集編とスピンオフに登場する。
登場自体が一種のファンサービスということもあり、前作履修済みを前提としたセリフが多い。

◆登場ウルトラマン

  • ウルトラマンデッカー
輝け、フラッシュ!

カナタがスフィアソルジャー内部で遭遇した新たなる巨人。
ウルトラDフラッシャーとウルトラディメンションカードを用いて変身する。
ダイナ同様状況に応じて基本形態のフラッシュタイプ、パワー特化のストロングタイプ、超能力などの遠距離攻撃を用いるミラクルタイプの3つにタイプチェンジできる。

ビジュアルはティガの意匠が盛り込まれたトリガーよろしく、ダイナの意匠が盛り込まれたものとなっているが、
カラータイマーが胸の中心ではなく左寄りに付き、周囲にはコズミックなカラーリングのプロテクターを装備する、
各タイプ共通で左腕側のみ(ストロングは右膝にも)に鎧のようなプロテクターが装備されるなど、左右非対称なシルエットとなっている。

ウルトラマン本人には意思がなかったトリガーとは異なり、デッカーは自己主張こそしないが独自の意思を有しているようで、
変身が必要ないと判断した時にはカナタが召喚しようとしてもウルトラDフラッシャーを彼の手に出現させなかったり、
逆に彼が危機を感じていれば、例え現実に怪獣がいないシミュレーション中でもウルトラDフラッシャーを出現させて正体バレの危機を招いたりした他、
当初はフラッシュタイプ用のウルトラディメンションカードしかカナタには渡していなかったが、
後に必要と判断したのか、ストロング、ミラクルのカードを渡し、これを使うように(おそらくテレパシーで)彼に促している。

また、『ウルトラセブン』に登場したカプセル怪獣の「モンスディメンションカード」をウルトラDフラッシャーでリードすることで、
カードに描かれたカプセル怪獣を「ディメンションカード怪獣」として召喚し、戦闘のサポートを行わせることも出来る。

第9話以降はウルトラマントリガーことマナカ ケンゴから手渡された神秘の剣・ウルトラデュアルソードも使用。
結晶部にウルトラディメンションカードをスラッシュすることで刀身に能力が付加。さらに、決められた二枚・三枚のカードをスラッシュすることで「ウルトラコンボ」が発動。更なる特殊攻撃が発動する。

第15話では、カナタの強い意思に応えるかのように、強化形態であるダイナミックタイプへのタイプチェンジ能力と、
そのダイナミックタイプでのみ使用できるデッカーシールドカリバーを入手。
強化形態だけあって格闘能力や光線技の威力は格段に上昇している他、金色に輝いて高速移動することも可能。
また、デッカーシールドカリバーは、その名の通り「盾」と「剣」の二つの用途で使用できる武器で、
小型の手持ち盾のような形状のシールドモードは、相手の光線技を防御・吸収して光弾として弾き返せる高い防御能力を持ち、
そこから展開して逆S字型の形状(持ち手部分は剣の真ん中で、左右に刃が設置されている)のカリバーモードは、通常の剣としての使用用途の他、
紫色の斬撃を飛ばす遠距離攻撃と、フラッシュ、ストロング、ミラクルの名を冠し、それぞれのタイプの特徴を表したような必殺技を使用できる。
なお、片手武器故にウルトラデュアルソードとの併用も可能で、ダイナミックタイプではシールドカリバーとデュアルソードの二刀流も多用されている。

ユザレ……使わせてもらうよ!君の力を!!

元GUTS-SELECTの隊員であるマナカ ケンゴがGUTSスパークレンスで変身するウルトラマン。
『ウルトラマントリガー』から既に10年が過ぎ、地球に現れなくなって久しいが、カナタたちにとっては今でも救世主のような存在と認識されている。

今でもトリガーのGUTSハイパーキーと特別製GUTSスパークレンスを所持しており、基本三形態とグリッタートリガーエタニティの力を使えるが、
トリガーダークのハイパーキーをイグニスに託していることもあり、光と闇の力を宿すトリガートゥルースには変身不可能と思われる。
なお、ケンゴの言から、地球を覆うスフィアのバリアはグリッタートリガーエタニティの力でも突破できないことが明かされている。

『エピソードZ』で描かれたイーヴィルトリガーとの戦いの後、ケンゴは宇宙開拓の任務のため、旧GUTS-SELECTと共に火星に帰還し植物学者として人々を笑顔にするために活動していたが、
突如として起こった地球・火星へのスフィア襲来により、その夢は断たれてしまう。
ケンゴは火星に来ていた旧GUTS-SELECTの面々と共に、新たな戦いに仲間達と共に身を投じスフィアから火星を守っていた。
そんな中、彼は突如メガロゾーア復活のビジョンを垣間見、直後に自分の知るユザレとは少し違う『未来のユザレ』と邂逅。
彼女からウルトラデュアルソード、トリガーの三形態とスフィアソルジャーのウルトラディメンションカードを託されたケンゴは、
火星に残る仲間たちに激励され、『未来のユザレ』の依頼に応じる形で、ウルトラマントリガーに変身して地球に向かった。

地球に降り立って早々、トリガー/ケンゴは『闇の力』を宿す触腕に襲われるデッカー/カナタを救出し、彼を通じて新生GUTS-SELECTと合流。
スフィアを取り込んだメガロゾーアが『スフィアメガロゾーア』となって復活したと聞いたケンゴは、再会したシズマ ユナの助力も得て、
デッカー・新生GUTS-SELECTと共にスフィアメガロゾーアと戦うが、斬りつけた傷口から聞き覚えのある声を聞いて戦闘を中断。
その声とは、10年前に戦った『闇の巨人』であり、メガロゾーアのコアとなったカルミラの声であった。

ケンゴはカナタに10年前の戦いの顛末と、その時は笑顔に出来なかったカルミラを、復活したのなら今度こそ笑顔にする(=救出する)という決意を語り、
スフィアメガロゾーアの復活に呼応するように出現した、ルルイエの花を模したギジェランにも苦悩・苦戦しつつ、デッカーと共に立ち向かう。
そして、デッカー、ユザレ(ユナ)の協力もあってカルミラを救出すると、悲願であった彼女との和解を果たし、その協力も得てスフィアメガロゾーアを撃破。
ケンゴは「地球を守る」という目的で『未来のユザレ』から託されたデュアルソード、トリガーのウルトラディメンションカードを、これからも地球を守るカナタに託すと、
再会をユナに約束し、かつての仲間と思しき2つの光と共に新天地を目指すカルミラと宇宙に飛び立ち、再び火星に戻るのであった。


◆敵

スフィア

ウルトラマンダイナ』にも登場した人類の宇宙進出を妨害する謎の存在。
今作では「宇宙浮遊物体」と肩書が変更されており、火星と地球を同時に襲撃。

地球を襲撃したスフィアザウルスは、突如として出現したウルトラマンデッカーに倒されたものの、
スフィアは地球全体をバリアで覆い、地球側からも宇宙(火星)側からも相手側に接触できない、一種の鎖国状態にしてしまった。

果たして本作のスフィアは『ダイナ』に登場したものと同一の存在なのか、それとも…?

  • 巨大宇宙球体 キングスフィア
スフィアの母艦ともいうべき巨大スフィア。
地球各都市(ソラフネシティ、ニューヨーク、パリ、シドニー、ギザ)の上空に出現し、大量のスフィアソルジャーを使役する。
上記のバリアを展開し、人々を地球に閉じ込めた張本人というべき存在。

  • 精強宇宙球体 スフィアソルジャー
キングスフィアが使役する小型の浮遊物体。見た目は緑色の楕円をしており、戦闘機の役割を果たす。
光線を発射し地上を攻撃するほか、接触した生物を取り込んで融合してしまう性質を持つ。


◆【本作初登場の怪獣・宇宙人】

地球に出現した、スフィアの使役する怪獣。
大量のスフィアソルジャーが合体して誕生したという特異な経歴の持ち主であり、巨大な前足による踏み付けや衝撃波、更にはEMPを含んだ咆哮を放つ。
無人機となったGUTSファルコンとナースデッセイ号をEMPで行動不能にしたが、ウルトラマンデッカーとの激闘の果てに敗れた。

古代怪獣 ゴモラが大量のスフィアソルジャーに同化されたことで誕生した『デッカー』初のスフィア合成獣。
遺伝子レベルで変異しており、パワーはおろか、超振動波もパワーアップしている。

  • 邪神 スフィアメガロゾーア
『トリガー』のラスボスだった邪神 メガロゾーアがスフィアの力で復活した存在。
当初はスフィア合成獣かと思われたが、実際にはメガロゾーアが主体となってスフィアを利用し復活していた。
外見はメガロゾーアにスフィアの結晶体が生えた程度で、スフィア合成獣とは明らかに性質が異なる。

  • 宇宙格闘家 グレゴール人グレース
「我こそ、格闘チャンピオン。鋼の魔人……グレェェェェス!絶望の3カウントを数えろ!!」
演/声:中村浩二 スーツアクター:桑原良樹
『ダイナ』第31話「死闘!ダイナVSダイナ」に登場したグレゴール人の同種。
宇宙では名の知れた格闘家で、「超古代の光の巨人」ことウルトラマントリガーと戦い名をあげるためにヘラクレス座M-16惑星から地球に来訪した。
しかし、すでに地球は平和になっており、おまけにスフィアに覆われて故郷に帰れずに一人娘のミカ(演:榎本遥菜)と共に慣れない環境での生活をすることになる。
性格は温和で礼儀正しいが、若き日に無茶をしたためか身体に負担がかかり、余命幾許もない状態。それでもグレースは、娘の誇りであろうと気丈に振舞い、GUTS-SELECTとの戦いに挑むが……。
詳細は該当項目にて。

  • 宇宙怪獣エレキング・エリーピット星人ユリコ
『ナースデッセイ開発秘話』にてTPU経理部職員の善良なピット星人ピト子が登場したためか、今作では敵対するのではなくユリコというピット星人がスフィア騒動に巻き込まれ地球に不慣れだったためミスしてエリーというエレキングが怪獣クラスに成長してしまったので助けてほしいという形で登場。
ちなみに今作で初めてエレキングの生態に触れられている。

彼女たちの保護も含め依頼を承諾したTPU側の作戦ミスもあり電力の過剰供給で暴れてしまうが、デッカーがミラクルタイプに覚醒して小さくしたことで元のサイズに戻り、地球での正しいエレキングの飼育方法を教えてもらって元の生活に戻ることができた。

スフィアエレキングにならなくてよかった。

  • どくろ合成獣 スフィアレッドキング
どくろ怪獣 レッドキングが大量のスフィアソルジャーに同化されたことで誕生したスフィア合成獣。
全身から結晶体が露出しており、体色も赤く変化している。
パワーも増大しているだけでなく、結晶体からは電磁パルスを放出。それをバリア状に展開し突進攻撃を繰り出すことも可能。

TPUを追放された怪獣研究家シゲナガ マキが、5年かけて怪獣の化石に複数の怪獣の遺伝子を組み込むことで誕生させた改造怪獣。
ベースは直立二足歩行で長い尻尾を備えた黒い体の典型的な怪獣の姿をしているが、その上から珊瑚を思わせる赤い装甲が被せられ、頭頂部と側頭部、そして背中には鰭が生えており、どこか海洋生物のような印象がある。
また、両胸には青い結晶体が埋め込まれている。
脳内にはコントロール装置が埋め込まれており、シゲナガが持つペンダント型デバイスによって、彼女の意のままに操られている。
主な武器は、胸部の結晶体をスパークさせた後に口から放つ青い光線。
怪獣らしく持ち前のパワーに物を言わせた接近戦や力比べを得意としており、戦闘スタイルそのものはごく普通だが、戦うことに特化して生み出されただけあってそれは非常に強力で、並の野生怪獣ならいとも簡単に一蹴してしまう。

後に、ネオメガスの肉片はスフィアと融合し新創合成獣 スフィアネオメガスに変貌。
パワー・耐久力も強化された上に、スフィアソルジャーを使役し破損した角を再生・両腕部をスフィアザウルスと同じ巨腕に変えて地中に根のようなものを張るなど、謎も目立つ。
事態の悪化を食い止めるため、GUTS-SELECTは総力戦に挑むことになった。

10年前、闇の巨人に対抗するためにTPUの「DG計画001」に基づき開発していた巨大ロボ兵器。
完成する前に戦いが終わったため計画は凍結していたが、スフィア襲来を境にアサカゲ博士を中心に計画が再始動、完成に至った。
AIで制御された無人機で、マキシマエンジンに加え「TR粒子」という特殊粒子で駆動。伸縮自在の「クローアーム」、ホーミングビームを放つ「TRビーム砲」、そして一撃必殺の粒子砲「TRメガバスター」が武器。
ライバッサーにAIを焼き切られてからはハネジローに換装している。

台風の中に住んでいる黄金色の怪鳥。
テラフェイザーの起動実験に呼応するかのように、ガゾートと入れ替わる形で襲来。
全身から常に電磁波をまき散らしており、地上に降り立っただけで通信機器をショートさせてしまう。
腹部からの電撃光線はテラフェイザーの制御AIをも焼き切らせるほどの威力を持つ。
これだけでも厄介なのに、人間サイズの雛鳥・ヒナバッサーの群れも引き連れてカナタらに襲い掛かった。

  • Sプラズマ合成獣 スフィアジオモス
スフィアの亡骸を利用して莫大なエネルギーを生み出すSプラズマ増殖炉の研究棟から無数の触手が伸び、辺りの機械や建物を吸収して甦生するスフィア融合獣。
時空変動を起こし出現させたワームホールを通じて、未来の宇宙からスフィアザウルスを呼び寄せる能力を持つ。
完全新規造形で製作された令和版ジオモスそのネームバリューに恥じない圧倒的な戦闘力と厄介さを見せつけ、GUTS-SELECTを一時は絶望にまで追い込んだ。

今作におけるラスボス怪獣にして、スフィアの親玉的存在。
宇宙でグリッタートリガーエタニティを打ちのめしライダーメテオのごとく大気圏内に叩き落とすだけでなく、全身の突起から放つ無数の光弾や胸部のコアから強烈な破壊光線「スフィアトルネイダー」が最大の武器。
さらに、多数のスフィアソルジャーを放ち複数の相手を同化させる能力をも持っている。


◆【各エピソード及び登場怪獣】

「登場怪獣・宇宙人」の欄で赤文字になっている者はそのエピソードでのメインを務める怪獣ということを表している。
本編終了&ED後、ミニコーナー「カナタのウルトラディメンションナビ」が放送。
カナタ&HANE2/ハネジローがその回に登場したヒーロー/怪獣を紹介する。*4

話数 タイトル 登場怪獣・宇宙人 ディメンションカード怪獣と
ゲストウルトラマン
脚本 監督 ウルトラディメンションナビ
第1話 襲来の日 精強宇宙球体 スフィアソルジャー
巨大宇宙球体 キングスフィア
精強融合獣 スフィアザウルス
根元歳三 武居正能 ウルトラマンデッカー
フラッシュタイプ
第2話 決意のカナタ 破壊暴竜 デスドラゴ ミクラス ミクラス
第3話 出動!GUTS-SELECT 古代怪獣 ゴモラ
古代合成獣 スフィアゴモラ
ウルトラマンデッカー
ストロングタイプ
第4話 破壊獣覚醒 破壊獣 モンスアーガー
暗黒星人 シャプレー星人
宇宙怪獣 ベムラー
中野貴雄 辻本貴則 モンスアーガー
第5話 湖の食いしん坊 宇宙怪獣 エレキング(エリー)
変身怪人 ピット星人ユウコ
ミクラス 継田淳 ウルトラマンデッカー
ミラクルタイプ
第6話 地底怪獣現わる!現わる! 地底怪獣 パゴス
地底怪獣 グドン
地底怪獣 テレスドン
地底怪獣 ツインテール
アギラ 中野貴雄 アギラ
第7話 希望の光、赤き星より 邪神 スフィアメガロゾーア(第二形態) ウルトラマントリガー ハヤシナオキ 坂本浩一 ウルトラマントリガー
マルチタイプ
第8話 光と闇、ふたたび 邪神 スフィアメガロゾーア(第二形態)
妖麗戦士 カルミラ
超古代植物 ギジェラン(巨大ルルイエ)
ウルトラマントリガー
パワータイプ
第9話 誰がための雄姿 宇宙格闘家 グレゴール人グレース
どくろ怪獣 レッドキング
どくろ合成獣 スフィアレッドキング
ウインダム
ミクラス
アギラ
皐月彩 ウインダム
第10話 人と怪獣 新創獣 ネオメガス
海獣 キングゲスラ
岩石怪獣 サドラ
根元歳三 越知靖 ウルトラマントリガー
スカイタイプ
第11話 機神出撃 変形怪獣 ガゾート
稲妻怪鳥 ライバッサー
稲妻怪鳥 ヒナバッサー
足木淳一郎 なし
第12話 ネオメガスの逆襲 新創合成獣 スフィアネオメガス スフィアネオメガス
第13話 ジャンブル・ロック メトロン星人 マルゥル 鶴田幸伸 内田直之 なし
第14話 魔神誕生 騒音怪獣 ノイズラー(14話のみ)
電脳魔人 テラフェイザー(フェーズ2)
バズド星人 アガムス
精強融合獣 スフィアザウルス
ウインダム
ミクラス
アギラ
根元歳三 武居正能 スフィアザウルス
第15話 明日への約束 ウルトラマンダイナ ウルトラマンデッカー
ダイナミックタイプ
第16話 君は君のままで 浮遊幼獣 スピニー
双頭怪獣 パンドン
皐月彩 中川和博 なし
第17話 過去よりの調べ 古代怪獣 ゴメス
メトロン星人 ナイゲル
新宇宙伝説魔獣 メツオロチ(回想)
俊敏策士 ヒュドラム(回想)
継田淳 ヒュドラム
第18話 異次元からのいざない 大蟻怪獣 アリブンタ
電脳魔人 テラフェイザー(フェーズ2)
バズド星人 アガムス
異次元人 ヤプール
ハヤシナオキ 坂本浩一 スフィア
第19話 月面の戦士たち 異次元人 ヤプール
精強宇宙球体 スフィアソルジャー
警備ロボ ゾンボーグ兵
スフィアジャッジメンター ギャラクトロンMK2
ウルトラマントリガー グリッタートリガーエタニティ
第20話 らごんさま 海底原人 ラゴン
海底原人 ラゴン(子ラゴン)
中野貴雄 田口清隆
第21話 繁栄の代償 Sプラズマ融合獣 スフィアジオモス
電脳魔人 テラフェイザー(フェーズ2)
バズド星人 アガムス
精強融合獣 スフィアザウルス
??? 足木淳一郎 ???
第22話 衰亡のバズド 電脳魔人 テラフェイザー(フェーズ2)
バズド星人 アガムス
有翼怪獣 チャンドラー
辻本貴則 ウルトラマンティガ
第23話 絶望の空 電脳魔人 テラフェイザー(フェーズ2)
バズド星人 アガムス
古代合成獣 スフィアゴモラ
どくろ合成獣 スフィアレッドキング
新創合成獣 スフィアネオメガス
最強スフィア獣 マザースフィアザウルス
ウルトラマントリガー 根元歳三 マザースフィアザウルス
第24話 夢の果て 電脳魔人 テラフェイザー(フェーズ2)
バズド星人 アガムス
精強宇宙球体 スフィアソルジャー
最強スフィア獣 マザースフィアザウルス
武居正能 -
第25話 彼方の光 最強スフィア獣 マザースフィアザウルス
精強宇宙球体 スフィアソルジャー
巨大宇宙球体 キングスフィア
-


◆特別編
話数 タイトル 登場怪獣・宇宙人 構成 演出
放送前特番 『ウルトラマンデッカー直前スペシャル』 第1話~第3話の登場怪獣 足木淳一郎 村上裕介
総集編1 『マルゥルの帰還』 メトロン星人 マルゥル
第1話~第4話の登場怪獣
総集編2 『テラフェイザーの脅威』 メトロン星人 マルゥル
電脳魔人 テラフェイザー(フェーズ2)
第1話~第17話の登場怪獣
総集編3 『立ち上がれデッカー』 メトロン星人 マルゥル
電脳魔人 テラフェイザー(フェーズ2)
第1話~第23話の登場怪獣







《Ultra Dimension! TSUIKI・SHUSEI!》






































※推奨BGM:「僕らのスぺクトラ」



永き眠りから目覚める怪獣たち。

地球は今、未曾有の危機を迎えようとしている。

そんな時、遠く宇宙から舞い降りた

その名は……




光は受け継がれ、新たな時代へ突入する。




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最終更新:2024年03月30日 14:34

*1 というのも上層部からの要望は「トリガーの続編」であり、ニュージェネダイナなどのダイナ意識の作品ではなかったため。前番組の『ウルトラマンクロニクルD』も当初はダイナ要素を推す予定ではなかったとのこと。

*2 第1話にて、買い物に来たおばあちゃんに「明日を見る、彼方まで」と自身の名前の由来を告げている

*3 もっとも、スフィア襲来まで怪獣災害がそんなになかったことから「相っ変わらずヒマです」と言うほど暇を持て余していた模様。

*4 第1話はカナタのみで進行。第2話ではハネジロー初登場のためか無機質な口調で解説。第11話はテラフェイザーを動かす際、ハネジローがオーバーヒートに見舞われ冷却を余儀なくされたため、ミニコーナーが休止となった。