俊敏策士ヒュドラム

登録日:2022/01/01 Sat 00:00:01
更新日:2024/04/28 Sun 21:08:06NEW!
所要時間:約 8 分で読めます





これは失礼。私の言葉が理解できますか?


「俊敏策士ヒュドラム」とは、特撮テレビドラマ『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』に登場する敵キャラクターである。

CV:高橋良輔
スーツアクター:永地悠斗


【データ】

身長:57m(地球人サイズまで縮小可能)
体重:5万2千t(〃)


【概要】

本作のメイン敵役である闇の巨人の一人であり、第3話から登場。
青と白、黒を基調とした細身の姿で、左胸にはカラータイマーを思わせる青く光る結晶体が埋め込まれており、まるでウルトラマンナイスのよう*1
ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』における俊敏戦士 ヒュドラに相当する……のだが、
他の2人が原典の面影をそれなりに残した姿をしているのとは打って変わって彼の場合は殆ど別人(そもそもパーソナルカラーからして異なる)。
加えて性格的な意味でもあちらと割と似通っている2人とは違い、冷酷(残忍)さはさておき三下臭いヒュドラと一見丁寧なこちらとでは性格・言動もかなり異なる。

妖麗戦士カルミラ剛力闘士ダーゴンとは違って本編開始時には既に封印が解けており、2人よりも100年も早く目覚めていたらしい*2


【人物像】

一人称は「私」。口癖は「エクセレント」
基本的に常に敬語で話すが、相手の感情を逆撫でしたり、甚振ることを好む陰湿且つ卑劣な性格で、
戦いにおいても自分が直接出向くことは少なく、怪獣を送り込んだりして暴れさせ、労せず成果を得ようとすることもしばしば。

「策士」と付いているように、激情に駆られやすいカルミラや戦闘を好むダーゴンと違い目的のために策を弄することも多く、
普段の言葉遣いが敬語であることも手伝って闇の巨人陣営の冷静沈着な頭脳派にも見えるが、舐めてかかった相手から手痛い反撃を受けてペースを狂わされると……



エクセレントじゃねぇなぁ!!

俺は、お楽しみを邪魔されるのが、宇宙一嫌いなんだよォォォ!!


冷静さを欠いて残忍かつ粗暴な本性をさらけ出し、口調も荒くなり一人称が「俺」になる。
このようにキレてしまった時のヒュドラムの凶暴ぶりはカルミラから「アンタがキレるとこの星(地球)が滅ぶ」と称されるほどで、
キレた際のパワーも、力自慢のダーゴンですら羽交い締めにするのが精一杯で、カルミラと2人掛かりでなければ抑えられないほど強い。
その為、普段の振る舞いに反して沸点や煽り耐性は低く、二つ名にある「策士」を名乗るにはやや詰めの甘い部分も散見される。
ただ、味方だったはずのトリガーダークが暴走した時やユザレの覚醒で追い込まれた時は冷静だった事から、
予定外のことが起こると頭に血がのぼるカルミラとは異なり、ヒュドラムがキレるのは「甘く見ていた相手から思わぬ痛手を受けた時」の模様。

先述の通り他の2人よりも早めに目覚めていた為に単独行動を働いていた期間もあり、
以前にはイグニスの故郷であるリシュリア星に襲来し、闇の巨人としての力でその文明を蹂躙したばかりか、
「食事」と称して生命エネルギーを根こそぎ吸い取り、大人はもちろん幼い子供も含めたイグニス以外の住民達を皆殺しにしている。
この出来事からイグニスからは故郷・同胞の仇として激しい憎悪を抱かれているが、ヒュドラムはその憎悪も含めて気にも留めていない上、
イグニスの素性に気付いてからは時に彼を挑発して怒りに狂うその姿を愉しんでいる節すら見受けられる。

カルミラやダーゴンと行動を共にしながらも、内心では「自分が彼らを従える闇のになる」という密かな野心も抱いており、将来的にはエタニティコアの力を独占しようと目論んでいる。
トリガーダークに関してもティガに対するヒュドラと比べれば仲間意識や認めている面も見られるが、
「人間なんかに身体を奪われるとは無様なものですねぇ……あんな奴を可愛がっていたなんて、あなたの目も節穴のようだ」とカルミラを煽ることもあるなど、やはり内心の野心には変わりない様子。
また、本心では他人を一切信じておらず、「繋がり」を軽視している。


【戦闘能力】

二つ名にある「俊敏」の名に違わず、飛行能力や超スピードによる空中戦を得意とするが、公式サイトによると直接的な戦闘力はそこまで高くはない模様。
……なのだが、劇中ではウルトラマントリガー スカイタイプと終始互角以上に渡り合って優勢を保ち、後述のトリガーダーク戦でも当初は正攻法で圧倒していたことや、
上述の「キレたら地球が滅ぶ」発言等からあくまでも「基礎戦闘能力がずば抜けている3人の中では」という意味かもしれない。
明らかに劣勢だった相手はタフネス重視のパワーファイターであるアブソリュートディアボロ程度である。
ぶっちゃけ劇中の描写では「これで戦闘力がそこまで高くないって嘘だろ」なレベルである。

使用技・武器

  • ダガーヒュドラム
右腕に装備している短剣。

  • ヒュドラスト
ダガーヒュドラムから放つ青い斬撃。
基本は三日月状だが、フルパワーで放てば青と黒の光線となり、トリガーダークのダークゼペリオン光線を押し返す程の威力を出す。

使役した怪獣

闇の三巨人の中では使役、または差し向けた怪獣の数が最も多い。
また、その怪獣がどれもウルトラマントレギアの招集した怪獣と似通った外見と生態を持っている点を(ヒュドラムの人物像とも合わせて)一部で指摘されているが、彼との関係性は不明。多分今後も明かされることはないだろう

闇怪獣の一体として、自身のエネルギーをクリッターに注いで誕生させた。
ユザレの力を持つシズマ ユナを覚醒させるべく、彼女の身に及ぶ危険として差し向けられた。

ギガデロスを独自に改造したロボット怪獣。
その強固なバリアと機体の防御力でGUTS-SELECTを大いに苦しめた。

一度は地球に送りこんだが、その悪食ぶりを見かねて休眠状態で放置していた。
その後、イグニスの変身したトリガーダークの暴走振りに興醒めし、その相手役として自身のエネルギーを与えて覚醒させた。

明言はされていないが、どうやら古くからの知り合いらしい。
その大好物である「彗星饅頭1000年分」を報酬にするとをついてユナを誘拐させたが、彼女の言葉でそれに気づいたバリガイラー自身に離反された。


【暴虐と暗躍を尽くした傲慢な策士の最期】


少しは警戒しないと……。気づいていたのでしょう? 私の裏切りに。


エタニティコアを独占しようと暗躍を続けていたヒュドラムは、第22話にてイグニスがユナを誘拐したことを察したかのように一気に目的達成に動き出す。

手始めにカルミラとダーゴンの不意を突く形で、2人を光の紐で拘束し、遂に本性を露わにした。


これにてお別れです。私が『闇の王』になった暁には……せいぜいこき使って差し上げますよ!!
ハーハッハッハッハッ……ハーハッハッハッ!!


そうして彼らを嘲笑してその場に置き去りにすると、3000万年前の遺跡にてエタニティコアに辿り着いたイグニスとユナを奇襲。
ユナを人質に取り、表面上は「コアに辿り着いた以上その女に用は無い」と平静を装うイグニスに対し、わざとユナに斬りかかることで動揺を誘うなどして弄ぶ。


人付き合いというのも考えものですねぇ! 100年の執念すらも鈍らせてしまう!


そしてそのままユナを殺害しようとするが、そこへ駆け付けたヒジリ アキトの銃撃で妨害されると、イグニスが変身したトリガーダークと再び激突。
まだトリガーダークの力を手に入れて間もないイグニスに闇の巨人としての格の違いを見せつけるかの如く圧倒するが、
そこにメカムサシンを倒して間もないグリッタートリガーエタニティが駆けつけ、時間切れですぐにマナカ ケンゴの姿に戻るものの、鹵獲したメカムサシンの愛刀・ムサシンソードを消滅直前にトリガーダークへ投げ渡す。


さあ…とことんまでやろうぜ、ヒュドラム。

ハッハッハッハッハ…全く、イラつかせてくれますねぇ!


ヒュドラムとトリガーダークはそれぞれダガーヒュドラムとムサシンソードで激しく斬り結ぶが、
ヒュドラムはトリガーダークの気迫に圧されるかの如くじりじりと押し込まれていき、遂には逆手の一撃で手痛い一太刀を喰らってしまう。


お友達の声援で強くなる!? ざけんじゃねえよ!!


その一撃に激昂したヒュドラムは、トリガーダークが庇うことを見越して近くで見守っていたケンゴ達にヒュドラストを放つ。
予想通り彼らを庇い、隙を晒したトリガーダークを蹴り倒すと、そのまま踏みつけながら罵詈雑言を浴びせる。



見せつけてくれんじゃねえか……この間抜けがぁ!

カスを守って傷ついてるんじゃ、割に合わねえなぁ!

リシュリアの時のような気持ちになるのはもうごめんだ……
俺は二度と、仲間を傷つけさせない!


が、絶体絶命に追い込まれつつも“仲間”を守らんとするイグニスの決意に呼応するように、ケンゴ達の想いがケンゴの中からとなって現れた。

以前シズマ ミツクニの中の光をウルトラマンティガの姿で具現化させたように、ユナはユザレの力でその光に形を与え、イグニスへと送った。
その光はイグニスの手の中でエタニティキーに変化する。

“仲間”達の想いの結晶である金色のキーをすかさずブラックスパークレンスに装填、起動。
するとトリガーダークの体はまるでグリッタートリガーエタニティのような金色の光を纏い始めた。


今は2つに分かれていても、もとを正せば同じトリガー!

光と闇の力が合わされば…!

お前を討つ、力となる!!

んなわけあるかあああああ!!


グリッタートリガーエタニティキーの力でブーストされたダークゼペリオン光線とフルパワーのヒュドラストがぶつかり合うが、
“仲間”との絆を背負ったトリガーダークと、自分一人しかないヒュドラムとでは力の差は歴然だった。
あっという間に押し切られ、金色と漆黒の本流に飲み込まれた。


じゃあな、ヒュドラム。お前のおかげで、俺はもう一つのゴクジョーに出会えた!


皮肉たっぷりの礼の言葉とともに、ヒュドラムは大爆発の中に消えた。


ハァ…ウアアアアアアア!!

絶対に許さねえぞ!ゴミカス共ぉぉぉぉぉ!!


この期に及んでしぶとく生き延びていたヒュドラム。
満身創痍で恨み言を喚き散らす彼の体を、一発の光弾が貫いた。


やってくれたねぇヒュドラム…。抜け出るのに苦労したよ…!


そこに現れたのは拘束から脱し、憤怒に燃えるカルミラだった。
間髪入れずヒュドラムの首根っこを掴むと「苦しそうだねぇ…今楽にしてあげるよ!」と言い放ち、ヒュドラムから闇のエネルギーを吸い上げ始めた。


こんな、こんな所で! うわあああああああ!!


間もなく全てのエネルギーを奪われ、無念の叫びを上げながらヒュドラムは消滅した。

自分以外の全てを軽んじ、醜い快楽主義と野心の赴くままに多くの罪なき命を踏みにじったのみならず、
最終的には今まで行動を共にしてきた仲間すらも切り捨てたヒュドラム。
そんな男の最期は、長い漂流の果てに新たな絆を得た相手に引導を渡され、心底で見下していたかつての仲間に全てを奪われて果てるという、この上なく皮肉で因果応報なものだった。

カルミラからの手向けの言葉すら、死体蹴りも同然の侮蔑であった。


不味いね。けど、あんたの闇は私が使ってあげるよ。


【余談】

  • 闇の三巨人の中では最も救いがない自業自得の結末を迎えたヒュドラムだが、次回にてダーゴンが退場した後、SNSでは「ヒュドラムは仕方ないとしてダーゴンまで退場するのか」(要約)と真反対の評価を受けており、「ヒュドラム」を入力すると候補に「ヒュドラムはともかく」が出てくるまでに至った。
    『トリガー』の10年後の世界を描く『ウルトラマンデッカー』にてカルミラが復活した回でも、終盤で彼女がダーゴン・ヒュドラムと思しき赤と青の光を手に持ちながら、和解したケンゴに「(地球から出て)自分たちの居場所を探す」と告げた事で2人にも復活フラグが立ったのだが、こちらでもダーゴンの復活を期待する声とは対照的に、ヒュドラムは「青い方は捨てろ」「青い方はやめた方が…」と視聴者からは散々な言われようだった。
    実際、自分以外の同胞をヒュドラムに殺されたイグニスがトリガーダークとしてケンゴ/トリガーの味方ポジションになっている以上、カルミラによって復活させられた場合、彼女が和解したケンゴ/トリガーの助勢に現れる可能性が高く、そうなったらどこかしらでイグニスと衝突してひと悶着起きるのが目に見えている。




エクセレントじゃねぇなぁ!!

俺は、追記・修正を邪魔されるのが、宇宙一嫌いなんだよォォォ!!!


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最終更新:2024年04月28日 21:08

*1 ナイスは『ティガ』再放送時に一緒に放送されていたミニ番組なので、意識したものなのかもしれない。

*2 本編では示唆程度で終わったが、Blu-ray BOX2の解説書の時系列表によれば100年前、石化したヒュドラムが偶然にもリシュリア星と衝突してしまったのが原因のようだ。