ナカヤマフェスタ(ウマ娘 プリティーダービー)

登録日:2022/11/16 Wed 01:07:30
更新日:2024/04/29 Mon 23:52:10
所要時間:賭けるか?約 23 分で読み切れるかどうか…!





勝てば天国、負ければ地獄……。
世の中ってのは、そういうもんだろ?


ナカヤマフェスタ(Nakayama Festa)とは、『ウマ娘 プリティーダービー』の登場キャラクターである。
CV:下地紫野

モチーフ元である競走馬『ナカヤマフェスタ』は当該項目を参照。

+ 目次

◆プロフィール

キャッチコピー:一か八か!ギリギリ攻めるアウトロー勝負師
誕生日:4月5日
身長:159cm
体重:レースに支障なし
スリーサイズ:B78・W54・H79
靴のサイズ:左右ともに24.0cm
学年:高等部
所属寮:美浦寮
得意なこと:植物と小動物の世話
苦手なこと:するめ
耳のこと:帽子の耳用の穴は、自分で切って縫った
尻尾のこと:賭け事の際は尻尾の動きをブラフに使う
家族のこと:家族全員、寝相が悪い
ヒミツ:①炭酸飲料が飲めない/②歌劇にはほんのちょっと詳しい
自己紹介:ナカヤマフェスタだ。生ぬるいレースじゃ、スリルを感じねぇ。なァ…もっとアツくヒリつかせてくれよ…!


いかなる逆境でも 希望はある
わずかな可能性に賭ける勇気は 己次第だ

(テレビ東京 土曜名バ座アルバム「サプライズ」より)

◆概要

ステイゴールド産駒きっての気性難で、2010年には8番人気ながら当時の最強格牝馬ブエナビスタを下し宝塚記念を制覇、凱旋門賞制覇までわずかアタマ差まで迫った競走馬・ナカヤマフェスタがモチーフのウマ娘

どこか無気力に見えるが、その内面は一か八かのギャンブルを心から愛してやまないギャンブラー気質
常にギリギリの状況に身を置かないと燃えない──すなわち"生"を実感できないこともあり、常にスリルを探し求めている。
麻雀やポーカーといった定番のテーブルゲームはもちろん、ゴールドシップ即興で作った謎の遊びまでなんでもござれ。
持ち前の天運としか言えないような豪運に、リスクをリスクとも思わぬ度胸と勝負強さ、勘の鋭さやブラフなどの対人戦術に加えて願掛けも欠かさないという、勝負事に関しては徹底的な対策をしている。
この能力は勝負事にも限らず、テストでヤマを張ると高確率で的中させている。いいのかそれで
また鉛筆転がしは否定派。曰く「自分の意志で攻めてこその"賭け"」らしく、全てを天運に任せるようではダメらしい。
かつては日々を無気力に生きており、"生"を実感するために危ない遊びにも身を投じていたようだ。
だが、"先生"との出会いによってレースの世界、そしてレースに己の全てを賭けるスリルを知ったことでトゥインクル・シリーズを志すようになり、トレセン学園に入学した。

路地裏によく足を運んでおり、安くてうまい行きつけの店をいくつか抱えている。特にホルモン煮込みが好みらしく、路地裏で見知らぬ人とつついているのが目撃されている。
また台所仕事には覚えがあるらしいが、レシピ通りに作る気は毛頭ないとのこと。


◆アプリ版での活躍

性能

バ場 芝:A ダート:G
距離 短距離:G マイル:C 中距離:A 長距離:B
脚質 逃げ:G 先行:A 差し:A 追込:D
2022年11月9日に☆3「死中求活」として実装。
中距離の先行・差しを得意とするが、マイル適性はC、長距離適性はBと因子で補える範囲で、固有スキルの発動条件的には差しがメインとなる。
またスタミナトレーニングではビート板を使用する。

[死中求活]

全て手に入れるか、全て失うか。そんな瞬間の象徴だ。

画像出典:ウマ娘 プリティーダービー「[死中求活]ナカヤマフェスタ」勝負服
© Cygames・JRA

「ナカヤマ」冠名で知られる和泉信一氏*1に所有が移った2010年以降の勝負服「白二本輪青袖」がベース。
赤い飾りベルトにスミレの花の模様が入った青のロングコートに黒のダメージジーンズ、スニーカーという出で立ちで、コートの下は白二本輪の再現か太い白のラインが2本入ったダメージシャツのへそチラ。
首にはギャンブルの象徴たるサイコロを象ったアクセサリーを着けている。

原案からデザインが大きく変わったウマ娘で、同配色のスカジャンの下にベスト、白の超ショートスカートという原案にありがちだった改造制服組の1人だった。
特に首にぶら下げた「ヒト用のヘッドホン」が実装時にどうなるのかと話題に挙げられていた*2曰く付きのシロモノであり、これがデザイン変更の一因になったのではないかとも囁かれる。

ステータス成長率はスピード・スタミナ・パワーにそれぞれ+10%。
覚醒スキルでは「博打うち(「あやしげな作戦」上位スキル)」と「勝負師(「やまっけ」上位スキル)」のレアスキルを習得可能。
「博打うち」はレース後半に速度がすごく上がる一方でスタミナを大きく消費してしまう場合があるギャンブルスキル。
「勝負師」は新規の緑スキルで、「レースでたまにさらなる力を発揮し、スピード・パワー・根性がすごく上がる。人気が低いと力を発揮しやすくなる」というこれまたギャンブルスキル。
「たまに」の文字通り発動するかしないかすらランダムであるが、4番人気以下であれば発動確率は大きく跳ね上がるロマンスキルで、その上昇幅は驚異の+80(「やまっけ」の場合は+40。発動確率は半分)。
しかし育成中はだいたいの場合で1番人気になってしまうため、育成中はスキルを最大限活かしにくいのがネックか。
進化スキルは博打うちが「乾坤一擲の大博打」に、勝負師が「鉄火のギャンブラー」に進化。共に元効果がすごくからものすごくに強化されている。
特に鉄火のギャンブラーはただでさえロマン色強めだった勝負師のそれを更に上回り、スピード・パワー・根性が各+100、ランク2つ分の差が生じるというトンデモないことになっている。



さて、仕掛けどころだ。


サイアクで最高の時間…焦げ付くほどに、楽しもうぜ…!


画像出典:ウマ娘 プリティーダービー「[死中求活]ナカヤマフェスタ 固有スキル発動」
© Cygames・JRA

固有スキルは「剣ヶ峰より、狂気に嗤え」。
発動条件と効果は「最終コーナー以降に追い抜こうとすると残り400m以降に好位置で速度が上がる。人気が低い場合はすごく上がる」というもの。
追い抜き状態にはどこかで入ればいいので概ね自然な流れで満たせる条件ではあるが、「好位置」の指定が狭く、400mに入るまでに前に出すぎて裏目に出るケースがある。
そのうえ最大限効果を発揮するには人気が低い場合、具体的には4番人気以下である必要があるという制御困難な条件が立ち塞がる。満たさなくても普通の「上がる」効果はあるのが幸いだが。
特に育成中は普通にやっていたら1番人気になってしまうため、発動が非常に難しい。
意図的に人気を下げる方法としてはバクシン育成が候補に挙がるが、それでも4番まで下げるのはかなり困難。菊花賞を超えられるだけのスタミナは確保しておきたいところ。
事実上は同格のウマ娘同士で競う対人コンテンツ前提の条件と言え、特に3チームで競うので単純計算で6/9が4番人気以下になるチャンピオンズミーティングが最適と言える。

スキル発動の演出では、ナカヤマが薄暗い教室でウマ娘イラスト牌使用麻雀らしきもの*3をしており、ハロン棒仕様の立直棒を投げて宣言、間もなくツモって手牌が倒されるものとなっている。
手牌はミスターシービーナリタブライアンシンボリルドルフの絵柄の牌が3つずつ揃えられている。大三元ならぬ大三冠
捨て牌を見るともっと早く別役ができそう*4なのに明らかに高めであろう三冠を狙いにいっている辺りも博徒らしさが出ている。
なおこの演出にオンライン麻雀ゲーム「雀魂」の公式アカウントがリプライで反応していた。
また2023年11月29日には、ドンジャラNEOとウマ娘のコラボ商品の予約が開始されたのだが、通常のドンジャラとは別に、このスキル演出で使用されているイラストを使用したパイも「ナカヤマフェスタver.」として予約が開始されている。

ハッハハハッ!心臓がほえてやがる!

性能に関しては、徹頭徹尾ランダム仕様と安定感のカケラもない構成ではあるが、一か八かの勝負師らしいナカヤマのキャラクター性とも合致し、全てがハマった時には低人気をひっくり返し、鮮やかな差し切り勝ちを収めてくれるなど、スリルを求めるギャンブラーには堪らない仕様となっている。

固有二つ名は「生粋のギャンブラー」。
取得条件は「シニア級の宝塚記念、ジャパンCを勝利し、失敗率30%以上のトレーニングを成功させ、トレーニングに1度も失敗しないで育成を完了する」。
シニア級宝塚記念とジャパンCは育成目標レースであり、かつ1着が要求されるためここに関しては問題にはならないが、問題は後者。
失敗しようものならペナルティの大きい「無茶は厳禁!(3種ステータス大幅ダウン、やる気3段階ダウン、確率で「練習ベタ」付与)」は避けられないため、失敗しても怪我をしない賢さトレーニングでトライするのが一番安全だろう。
もっとも、どちらにせよ失敗した時点で二つ名獲得は不可能になるため、二つ名獲得ありきで考えるならどのトレーニングに突っ込んでも同じとも言える。
またクライマックスシナリオで使用可能な「健康祈願のお守り」は失敗率を0にするアイテムなため条件を満たせない。

サポートカード

ガチャで入手できる汎用Rのほか、2021年10月20日にSSR【43、8、1】のほか、2022年7月29日にSSR【一天地六に身を任せ】、2023年8月31日にSSR【鉄火場に咲く菫】が実装されている。
汎用イベントの1つ「夕暮れの独り飯」では選択肢に応じ「中山レース場〇」「阪神レース場〇」のヒントを入手できる。
「ホルモン煮込み」を選ぶと「中山レース場〇」、「カツカレー」を選ぶと「阪神レース場〇」になるが、どちらも各競馬場の名物料理である。

SSR【43、8、1】

得意練習はスタミナ。
中距離の差しや汎用緑スキルを多く所持しており、ヒントレベルアップや発生率も高め。
レベルアップによるスタミナボーナスと固有ボーナスによる根性ボーナス、完凸すればトレーニング効果10%を得られるのもあり、練習性能としては悪くない。
ただレースボーナス・ファン数ボーナスが共に0なのがネック。
連続イベントでは確率で「決死の覚悟(「ありったけ」上位スキル)」のヒントを入手可能だが、失敗するとその下位スキル「ありったけ」のヒントにやる気ダウンとデメリットが非常に大きい。
また1回目の連続イベントの時点で分岐が発生し、上の選択肢を選ぶと3回目に「ウマ好み」のスキルヒントになる。
イラストは原案の勝負服。その後ろには黄色基調の制服っぽい勝負服のウマ娘がぼんやり映っており、史実勝負服との合致およびウマ娘プロジェクト発足当初に存在したが音沙汰なく消えた4人のウマ娘*5のうち1人とも特徴が一致している点を考慮するとブエナビスタと思われる。
なおカード名の数字の意味は2010年の宝塚記念。鞍上は43歳の柴田善臣*6、当日は8番人気*7で出走し、結果は1着である。

SSR【一天地六に身を任せ】

得意練習は賢さ。
固有ボーナスが変則的で、「参加したトレーニングの失敗率が0%になることがある」というもの。要はランダムで「健康祈願のお守り」が発動するのである。
高いヒントレベルやヒント発生率は変わらず。またトレーニング効果は完凸で15%へと上がっており、高いやる気効果と賢さ・スキルptへのボーナスも所持している。
ただし得意率が0なのがネック。
連続イベントを進めると確率でレアスキル「博打うち」のヒントを入手可能。
連続イベント2回目の選択肢で成功率が変動し、上の選択肢だと成功率が高い代わりにヒントレベル+1だが、下の選択肢だと成功率が低い代わりにヒントレベル+3、かつステータスアップ量も多い。
「一天地六」はサイコロのこと。要は「運に身を任せる」ということである。

SSR【鉄火場に咲く菫】

得意練習は賢さ。
固有ボーナスは「絆ゲージが80以上の時、トレーニング効果アップ」というもの。完凸すると友情ボーナス25%,やる気効果60%,賢さボーナス+2,得意率80と高い練習性能を持ち、固有ボーナスが発生した時には凄まじい性能を叩き出す。
その代わりレースボーナスやファン数ボーナス、ヒントレベルアップやヒント発生率アップといったものは全て無くなっており、高いトレーニング性能と引き換えにその他を捨てたナカヤマフェスタらしいピーキーなサポートカードとなっている。
連続イベントを進めると確定でレアスキル「右回りの鬼」のヒントを入手可能。
ただし、全ての連続イベントに成功判定が存在し、成功したときには大幅なステアップが見込めるが、失敗するとSRにも劣るステアップしか恩恵を受けることが出来ない。
レアスキルのヒントレベルも、大成功なら「右回りの鬼」のヒントレベル+3&「右回り〇」のヒントレベル+2と格安に手に入るのに対し、失敗だと「右回りの鬼」のヒントレベル+1と割高になってしまう。
総じて言えば育成で上手く使えるかどうかはプレイヤーの運次第のサポカと言えよう。
余談だが、イラストのナカヤマフェスタがどう見てもコレにしか見えないのはたぶん気のせい。

育成シナリオ

オイオイ、こんなヤツがナカヤマの代打を買って出るとはな。
チキンレースなんてやったことあんのか~?

トレセン学園に着任して数か月、路地裏で不良に因縁をつけられていたウマ娘をかばったらどういうわけかチキンレースをさせられることになったトレーナー

恐怖と守りの違いがわかんねぇなら、下手にブレーキをかけるな。
ためらう必要なんてねぇ。死線なんざ飛び越えればただの線だ。
恐れなんて不要な荷物はさっさと捨てろ。
身を軽くして自由に飛ばせ。勝利だけを見て──攻め続けろ。

どう見ても『アカギ』です、本当に(ry
チキンレース、開始。
助言通り、アクセル全開で不良と並走。不良が先にブレーキをかけたのを確認し、ブレーキをかけた。
…が、止まらない。バイクごと空中に投げ出されるのを感じ、血の気が全身から引いていく。
瞬間、ウマ娘は猛然と加速。トレーナーの背中を引っ掴み、全身濡れたものの間一髪事なきを得た。
チキンレースの結果は言うに及ばず。結果として不良から逃れることができたのだが、そのウマ娘は名乗ることなく別れてしまった。

そんな彼女と再会したのはトレセン学園の選抜レース。6枠10番…名前は「ナカヤマフェスタ」。
トレーナーは目をかけていたのだが見せ場なく後退し13着と大敗。しかしその走り方からして、脚にはまだ残っていたであろうにも関わらずである。
レース後に先輩トレーナーから聞いたところによれば、ナカヤマの素行は教官の間でも目立っており、いくら指導してもやりたい放題、模擬レース中に問題を起こして停学ものの騒ぎになっていたという。
手に負えるウマ娘ではない、関わらない方がお互いのためだと先輩トレーナーに忠告されるが、コースを去る彼女の目はどこか助けを求めているようにも見えたのだった。

ナカヤマフェスタについてレースに関わる情報は無論のこと、因縁をつけてきた不良にまで話を聞いても一向に情報は得られなかったところに、噂を聞きつけたシリウスシンボリが現れる。
シリウスについて行った先はフリースタイル・レース場。走りたいウマ娘が集う場所だが、トレセン学園のような芝の整備はなされていない。
しかしそういう粗野な芝を好むウマ娘も多く、ナカヤマもその一人であったというが、選抜レースへの出走が決まった時点で足を洗ったこともあり、既にここを去った後。
しかし結果は惨敗。シリウスもこれには失望していたが、彼女には心当たりがあった。

アイツには致命的な欠陥がある。
病院にいる"先生"ってヤツが詳しいはずだ。

居場所と連絡先を受け取り、その場所に向かう。そこにいたのは、病院のベッドに横たわる女性。
話をする前に、と先生は映像──フェスタが初めて"世界"に挑んだ時のものだというレース映像を見せてくれる。

対戦相手は、世界で名を馳せるあるフランス出身のウマ娘。「自分とはレベルが違いすぎる」とその場にいたウマ娘が誰も名乗りを挙げなかった中、
ナカヤマはその対戦相手を買って出たのだという。
故郷の芝に似たフリースタイルのレース場で軽く流す程度のつもりだったのだが、いざレースが始まると本気で走っていた。
ナカヤマが挑発したのである。暴力的な力量差のある相手に対しても臆することなく──それどころか笑顔ですらあった。

ああッ! うっせぇ!うっせぇ、うっせぇ!
バカみたいに心臓がうるせぇ! ハハッ、私は──

──生きてる

結果は敗北。しかし一瞬だけ、世界の首元まで迫っていた。
デビュー前の身でありながら、歴戦のウマ娘相手にあわやの接戦を演じたのだ。
熱く語りすぎたのか、先生が激しくせき込む。体調はあまり良くないのだろう。

……トレーナーさん。
どうかあの子を『生かして』ください。

かつてのフェスタは路地裏に入り浸って危険な遊びばかりしていた。危ない橋を渡れば、手軽に心臓が脈打つことを知っていたからであろう。
しかし本当に求めていたのは、本能を燃えたぎらせ、自分を解放できるレースの世界なのだ。

病院からの帰路で、トレーナーはレース映像を振り返る。
誰もが無理だと思う状況で、もしも勝てたなら…そういう一か八かの賭けがフェスタの心を熱く燃やすのだろう。
その状況を意図的に生み出せるなら…"あの"世界にも通用する才能を、"この手"で世界の頂に連れ出せる方法は……。

その日の夜、寮の前でフェスタを待つことにした。
自分がトレーナーであること、選抜レースを見ていたこと、そして"先生"に見せてもらったレース映像のことを話す。

あのレースは幻だ。まぐれだったんだよ。
選抜を見たならわかるだろ。あんなレース、2度とできない。
下手すりゃデビュー戦も未勝利でも駄々こねて、そのまま終わるウマ娘になるだろうさ。……燃えねぇって、ガキみてぇに。

そうはさせない、君を生かすから
──世界にケンカを売りに行こう

ヒリつく賭けを求めるなら、退路を断ちヒリつくしかない環境に陥ればいいのだ。
イチかゼロか、賞賛か蔑視か。勝負の先にあるのは、そのどちらかだけでいい。

それから数日、トレーナーとナカヤマが忍び込んだのはエルコンドルパサーの会見会場。
凱旋門賞2着ののち、後継者を探し長く活動休止していたのだという。

エルはしばらくエルのマスクを継ぐ者を探していました。
が、決めたのデス! やはり、世界を獲るべきはこのエル自身だと!
ということで長期遠征プランを企て中デェェス!
みなさん期待していてくださいね、早ければ来年には──

その前に俺たちが君と勝負し、勝ちます

記者陣、騒然。
エルの会見に乱入した挙句挑戦状を叩きつける行為が意味するところは……

アンタが背負ってる世界への挑戦権を、そのまま私に譲り渡してくれよ、エル。
……そのチケットを有意義に使えるのは、1度勝負を終えて過去になったアンタじゃなくて、私だ。

俺たちは、俺たちの未来を賭けに来たんだ

時は数日前に遡る。

あのエルに勝負を挑む? 凱旋門賞で結果を出したアイツに?
デビュー前の私が記者の前であおるって?

そしてそのまま世界に君を連れていく

こんな大見得を切れば、必ずマスコミは食いつく。デビュー戦から注目を集め、全てがヒリつくレースになるのは間違いない。
勝てば期待を浴び、負ければ冷笑は避けられない。これから挑むレースは観衆の目を奪うことになるだろう。

そんな毎日になるなら、燃えざるをえないだろうけどよ。
最初のエルとのレースで、無様をさらすだけに終わったらどうする?
今後を見据える価値すらもないと思われたら、その時点で終わりだぜ?

そんな"恐れ"、君がする勝負に必要?

……ハハッ、なんてこった。
あの時のアンタに余計なことを吹き込んだのは──……私のほうだったか。

かくして今、退路は断たれた。
ならばやることは一つ。

さあ未来を獲り合おうぜ、エル。
アンタがOKしてくれれば、後のセッティングはこちらでする。私のデビュー戦前にな。

世界に挑んだ自分とのレースをデビュー戦前の前哨戦扱いされることに、世界を知らなさすぎだとエルは憤慨。

しかしその態度をエルが許せば、世界自体がみんなに侮られる。
さあ……劣敗、屈辱、絶望。アナタはどれをお望みデスか?

エルコンドルパサー、受諾。この宣言にメディアも食いつき、ネット配信までされることが決定。
ここに一世一代の賭けが始まるのだった。

会場はフリースタイル・レース場。
無論フェスタとのトレーニングは欠かさない。求められるのは国内の芝ではなく、どんな足元であっても足を取られない、パワーの求められる世界で通用する走り。
そしてレース前日の夜、大雨が降り注いだ。

レース当日は打って変わって快晴。
レース前の下馬評はエル一色。フェスタはデビュー前のウマ娘、勝てるとは誰が思うだろうか。

始まる前から随分なおもてなしだな。
エル、周りのヤツらは全員アンタにベットするらしい。

当然デス。エルは世界を舞ったコンドル。
その期待や責任をもって、アマタをたたき落としてあげます。

レース開始。
加速力も集中力も段違い。観衆はエルにしか目が向いていない。
するとフェスタが速度を落としていく。勝負あった、と観衆は確信する。

……烏合の衆だけに鳥目だな。ただの減速じゃない。
もっとよく見ろよ、アイツらが走る先を。

視線の先──第3・第4コーナーの内側には、昨晩の大雨で大きな水たまり──否、沼ができていたのである。
当然、歴戦のエルが見落とすはずもなく、外に持ち出す。
内側からなんて到底攻められない。泥沼か、大外か。どちらにせよスタミナのロスになってしまう。ならば定石通り……

なんて安牌、いらねえよなァァッ!?

フェスタは沼に突っ込んだ。

そう、一か八かの賭け! 昂るだろう!? 高鳴るだろう!?
これこそがレース。これこそが勝負! これこそが──

──私のッ、私のための生きる場所だッッッ!!



エルよかったな? 大衆は久々のお前のパフォーマンスに沸いて、目がくらんでる。……無事、首の皮一枚つながったか。

シリウス先輩は意地悪デスね。……わかってます。
エルが休養明けだとしてもナカヤマ先輩はヒヨッコ、途上、成長中。
この程度の勝利で喜んでいれば、次はさらに高く飛ばれてしまう。
けど。今度競った時に勝つのも、先に世界を獲るのも──エルです!

結果──奇策を用いて盛り上がりはしたものの大負け。
デビュー前に見事な醜態を晒してしまったのである。次を落とそうものなら散々な記事を書かれることは想像に難くない。

しっかしヤッバいな、このサイアクで……最高の賭けは!
ヒリつくどころじゃねえ。心臓が次を用意しろってうるせえよ!

じゃあ俺と正式に契約してくれるか?

……ハハッ。んな今更かしこまってどうすんだ。すでにお互い、泥船に乗った身だろ?
なれよ、アンタが。私のトレーナーに。んで──



──どうせならたっぷり、私を生かしてくれよな?



育成シナリオではメイクデビューののち京成杯を経てクラシック三冠路線を進んでから中日新聞杯に出走、シニア級は宝塚記念とジャパンCのみと目標レースはかなり少ない。
遠征が無いこと以外は史実の流れに準じているが、何気に史実において勝ったレースがことごとく不採用である*8

条件を満たすことで、シニア級12月後半終了後に隠しイベント「船と見る黄金」が発生。
スピードと根性が大きく上がり、「垂れウマ回避」「静かな呼吸」のヒント+2を入手できる。
なおこのイベントはゴールドシップと共に香港のレースを観戦するイベントで、日本から出走した「銀メダルの女王様」がG1初制覇に届くかを見守るものとなっている。
「銀メダルの女王様」の正体は紛れもなくヤツだろう。

また育成シナリオ中では名前こそ出ないもの、史実を知っていると特定可能なウマ娘の描写もあるため探してみよう。

またL'Arcシナリオではリンクキャラクターに設定されているため2年目凱旋門賞前後に追加シナリオがある。
作中の時系列こそ異なっているものの、実質的に育成シナリオのアフターと言っていい内容になっているため必見。
逆に育成シナリオを読んだ事のない人はL'Arcおよびメイクラ以外のシナリオで先に読んでおく事を強く勧める。


◆関連キャラクター

破天荒な赤きハジケリスト。
刹那の快楽を至上とし、先の読めない奇行はナカヤマにとって好ましいものらしく、「おにぎりじゃんけん」だの「犬ゲーム」といった謎の遊びに熱中しているほか、あしらい方も熟知している。
というか、彼女と絡んでいる時だけは世界観が『アカギ』から『ボボボーボ・ボーボボ』になる*9。特に「おにぎりじゃんけん」の件りは完全にキバハゲデュエルのそれ。

史実では時代がわずかにズレているため対戦経験はないものの、ステイゴールド産駒であることや凱旋門賞出走などの繋がりがある。

ネイル大好きギャル。
同期だが爪の弱さが災いしクラシック三冠には出走できなかったが、"希望"のためにレースに挑むナカヤマのレースを見たことで「ウマ娘のトーセンジョーダンとしてちゃんと"生きて"やりたくなった」と、希望を与えてくれた存在として中日新聞杯で勝負を挑まれる。
なお普段はテストのヤマを聞きに来ているようだが、いかんせんジョーダンなので的中させても落第点なのはご愛敬。

こちらも同期で、同じクラスでもあるのんびり屋のばあちゃん。
育成イベントに登場。テスト対策でノートを見せてもらうのだが記号ばかり*10でフェスタ単独では解読ができないこともあり、トレーニングを兼ねてテスト範囲の復習をしている。

世界を股にかけた、唯我独尊の"天狼の王"。寮ではルームメイト。
どちらもアウトローな一匹狼ということもあり意気投合している様子。
ヨーロッパ遠征を敢行し凱旋門賞にも出走した経歴もあるなど、海外遠征の経験や知識は非常に深く豊富であり、育成シナリオで度々登場する。
また育成イベントでは「どちらがトレーナーを口説き落とせるか」の賭けを挑まれる。

凱旋門賞制覇まで半バ身まで迫った"怪鳥"。
レース活動からはほぼ身を引き、後継者を探していたところにナカヤマが現れ、挙句デビュー前の身でありながら世界を獲るのは自分だと挑発されるが、凱旋門賞や世界の壁の高さを身をもって示す。
一方で、自分の脚で世界を獲ろうとする意志が再燃したことでレースに復帰、育成シナリオではシニア級ジャパンCにライバルとして立ちはだかる。

史実では凱旋門賞2着の繋がりに加えて、同じ二ノ宮敬宇厩舎に所属しており、蛯名正義が主戦騎手であった繋がりがある。

エルコンドルパサーの同期たち。
エルがナカヤマに挑発されたことでレースへ舞い戻り、それにつられてスペはレースへ復帰。エルに協力する形でトレーニングのサポートをしたり、世界を知る超えるべき壁としてレースで立ちはだかる。
グラスの方はエルをよく知る間柄ということもあり、トレーナーに「エルの言葉をしっかり受け止めてほしい」とサポートに回る。

スペシャルウィークはシニア級宝塚記念でライバルとして登場する。
間違いなくブエナビスタの代役、通称スペナビスタなのだが、ブエナビスタにあたるウマ娘の描写はクラシック級のイベントテキスト上でしか描かれず、
さらにシニア級からは一切言及されなくなり、ここで戦うのはどちらかというとスペシャルウィーク本人*11と思しい。
なおシニア級宝塚記念に該当する2010年宝塚記念にはグラスワンダー産駒のアーネストリーが出走(3着)していたのだがこちらは不在。

高貴なるジンクスブレイカー。
史実でも凱旋門賞に出走したこともあり、育成シナリオで登場する。
栗東vs美浦のプール掃除対決では、「勝負事には滅法強い」美浦寮代表・ナカヤマフェスタと、「ナカヤマが出てきて以来連敗が続いているというジンクス」を破るための栗東寮の決戦兵器・サトノダイヤモンドの対決がある。

ファン感謝祭で登場。
ファン感謝祭の種目「9000mリレー」への参加にあたって声をかけたウマ娘らだが、フランスに渡った経験を聞き出すための人選でもあった。

史実ではカフェはナカヤマフェスタと同じく蛯名正義を鞍上に凱旋門賞に出走したが惨敗・故障判明で引退、ローレルは出走を目指した前哨戦で重傷を負い引退している。

時間厳守、完璧主義のメッチェン。
ナカヤマ曰く「石橋を自前で作って点検しながら渡るようなヤツ」でスタイルは対極。
一方のフラッシュはというと、勝負への姿勢は対極的であると理解しつつ「だからこそ学ぶものがある」と相互に好影響を与えている。

  • ナカヤマフェスタの元担任
ナカヤマフェスタにレースの世界を教え、トレセン学園へと導いた小学校時代の担任の先生。
宝塚記念とパリに思い入れがあるらしい。
ナカヤマの才能を見抜き、レース教室を運営する父のもとへ紹介し、その後の人生に強い影響を与えたからか恩義を感じ「先生」と深く慕っており、手紙のやり取りもしている。
しかしトゥインクル・シリーズ挑戦時点で大病を患っており入院生活中。トレーナーにはナカヤマを"生かす"よう託し、ナカヤマは先生の生きる"希望"になると約束している。

モチーフは史実のナカヤマフェスタ号の最初の馬主・和泉信子氏と思われ、父親は信子氏の実父でナカヤマフェスタを引き継いだ和泉信一氏*12か。
彼女らはナカヤマを珍しく「フェスタ」と呼ぶが、モチーフ両名は馬主なのでナカヤマフェスタのことを冠名である「ナカヤマ」で呼ぶことはなく「フェスタ」と呼ぶためだろう。


◆余談

ナカヤマフェスタとすみれ

勝負服にもあるすみれの花だが、ちゃんと元ネタがある。
そもそも、ナカヤマフェスタ号最初の馬主の故・和泉信子氏は宝塚歌劇団のファンだったが、同団のシンボルはすみれの花*13で、また歌劇に世界観の似たパリがお気に入りだった。
……が、フェスタが3歳のうちに食道がんで他界。彼女が知るのはGⅡ馬となったフェスタまでで、「宝塚」の覇者になるところも彼のパリでの奮戦も見ることはなかった。
その遺志を引き継いた父・信一氏が凱旋門賞に挑む際に、
エルコンドルパサーで2着に入った蛯名正義騎手・二ノ宮敬宇調教師とのチームを「チームすみれの花」と命名したのだった。
また信一氏へのインタビュー記事ではこのようにも述べている。

──スミレの花言葉には謙虚とか誠実という意味があるらしいです。ナカヤマフェスタという馬の生き方にすごく似合っているような気がするんですが。

いま思うと本当にそうですね。そこら辺に咲いていて、派手さもないし、そんなに高く評価されるわけでもない。
フェスタは1000万円の安馬でしたからね。誰も注目なんかしませんよ。だから謙虚、だから誠実に生きるしかない。だけれども、自分の能力だけはきっちり誠実に走ってくる。そういう馬なんだね。
スミレの花はコンクリートの隙間を破って生えてくる。そういう生命力の強さというか、したたかさも秘めていますね。そういうのも全部ひっくるめてフェスタはスミレの花なんだなぁって思いますよ。

【第2回】ロンシャンに咲くスミレの花(中編) 中山馬主協会HP より



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最終更新:2024年04月29日 23:52

*1 「イズミ」「シン」など複数の冠名も使用している。前馬主である和泉信子氏は実の娘。

*2 エアシャカールのサポートカードで「ウマ娘用のヘッドホン」が別にある事が示唆されて以降は特に話題となった。

*3 絵柄に数字が無いことと、手牌の数が9と少ないことから、現実で言う「ドンジャラ」に近いものと思われる。

*4 リーチ宣言がある河をよく見るとライスシャワー柄を3枚切っており、菊花賞ウマ娘の暗刻を崩しているのが見える。浮きを切った後にツモった裏目の可能性もあるが。

*5 ブエナビスタ、オルフェーヴル、ディープインパクト、キングカメハメハの4人。いずれも推定であるが、このうちオルフェーヴルについてはデザインが大幅に変更されたうえで2024年2月に正式にウマ娘化された。

*6 もしくは、ファン投票の順位43位から取ったとも

*7 もしくは枠番

*8 遠征2戦以外では2歳時の東スポ杯(GⅢ)、3歳時のセントライト記念(GⅡ)、4歳時のメトロポリタンS(OP)が抜けているのだが、全部勝ちレース。目標にある勝ちレースは新馬戦と宝塚記念のわずか2つである。

*9 余談だが、『ボーボボ』作中でもナカヤマの固有演出のように「『アカギ』のパロディでドンジャラをする」シーンがある。

*10 書くのが速くないため記号で短縮を図っている

*11 スペナビスタはエイシンフラッシュやトーセンジョーダンの育成シナリオで登場し「ノンストップガール」を所持しているのだが、このスペは所持していない

*12 日本馬主協会連合会の会長や中山馬主協会の会長など要職を務めており、また牧場も経営していた。レース教室の運営はそれが反映されたものか。

*13 愛唱歌『すみれの花咲く頃』など、宝塚歌劇団にゆかりあるものごとに「すみれ」と冠されることが多い。