ディクタストライカ(ウマ娘 シンデレラグレイ)

登録日:2023/09/27 Wed 04:17:06
更新日:2024/05/01 Wed 09:05:12
所要時間:約 12 分で読めます





ディクタストライカは、『ウマ娘 シンデレラグレイ』の登場キャラクター。
史実で活躍した「とある競走馬」をモチーフとしたオリジナルウマ娘

+ 目次

◆プロフィール


戦績:4戦3勝(内G1が1勝)(あくまでも初登場時の戦績)
モデル:サッカーボーイ(1985年4月28日~2011年10月7日 ♂)?


走ることに、安心なんて求めるな。

「危険と呼ぶか。冒険と呼ぶか。」

見る者すべての心を搔き乱す、その末脚を、人は愛した。

そのウマ娘の名は、「ディクタストライカ」。

無難を笑え。

2012年 URA CM「THE WINNER」マイルチャンピオンシップ編より

◆概要


主人公であるオグリキャップ中央トレセン学園のクラスメイトで、転入時点での学年のエース。登場時の二つ名は「栗毛の弾丸」
7巻では表紙担当に抜擢。本作オリジナルのウマ娘としてはオベイユアマスターに続く2例目。
65話のおまけイラストでは名前をディグダストライカと間違われて怒っていた

髪は異名の通りの栗毛で、フード付きのパーカーを愛用。一人称は「オレ」。
三白眼に5つもの耳ピアスという不良然とした外見だが、普段の性格はわりあい温厚で人付き合いもよいタイプ。クラスメイトのメジロアルダンらとも普通に会話するくらいには打ち解けている様子。
おまけ絵ではサクラチヨノオーの髪をモフる姿も描かれた。
一方で、「強い相手と戦って勝ち、"最強"(オレ)を証明したい」という比類なき闘争心も持ち合わせており、その実力は同期のウマ娘たちからも一目置かれている。

阪神ジュニアS(ステークス)を制し、クラシックの有力候補として注目を集める。
しかし春のクラシックでは順調さを欠き、脚を痛めて皐月賞出走を断念。
ダービーには何とか間に合わせるも、故障は癒えておらず大敗を喫してしまう。

結局春のクラシック戦線は未勝利に終わり、秋のG1戦線に望みをかけることとなったのだが……。


◆作中の活躍


不滅の弾丸

阪神ジュニアSを制し、「世代最強」の評価を手にしたディクタストライカ。
……しかし、春のクラシックを前にして脚を故障。
オグリキャップの日本ダービー出走を巡る騒動の陰で、かつての天才ウマ娘はアスリートとしての地獄を見ていた。

皐月賞は出走すらできず、ダービーでは1番人気を背負いながら15着と大敗。
メディアにはディクタの不振を嘆く記事が躍り、「ただ早熟だっただけ」「もう終わったな」との声まで聴かれるようになった。
プライドを傷つけられたディクタは「なに勝手に終わらせてんだ、フザけんな!!」と激昂。
ダービー上位組が秋に向けて休養を取る中、夏のG3函館記念への出走を決める。

この年の函館記念は面子が揃い、ダービーウマ娘のメリービューティーとシリウスシンボリが出走。
いかにクラシック級の実力者とはいえ、シニア級の猛者が集う中にあってはさすがに分が悪い。
周囲からは焦りゆえの無謀な挑戦とみられ、惨敗を危惧する声さえ上がる始末であった。

そしてレース本番。
ディクタはコーナーを回りながら加速し、直線を前にして早くも先頭に並びかける。
「もう終わった」なんて言わせない。
自分自身の全てを賭けて、最強を証明する。
心ない声への怒りと勝利への渇望を糧に、ディクタは自らの限界を超え───その先の世界の扉をこじ開けた

2着のメリービューティーに5バ身差。日本レコードでの圧勝*1
どん底まで墜ちた天才は、これ以上ない形での復活を遂げたのであった。

迎えた秋のG1戦線。
ディクタは自らの資質を最も活かせる舞台───G1マイルチャンピオンシップへの参戦を決める。
目下のライバルは同期で高いマイル適性を見せていたオグリキャップ。サクラチヨノオーらと談笑していたオグリの前に現れ、中央2敗目をプレゼントしてやると意気込む。
……しかし、当のオグリはタマモクロスとの勝負しか頭になく、次走にはG1ジャパンカップを選択。
ディクタとの勝負は年末の大一番───G1有馬記念までお預けとなった。

弾丸蹴脚


最初は「何か変な奴が転入して来た」くらいにしか思ってなかった

けど… いつの間にか…

なぁ オグリ…

お前にとっちゃオレは 一度も戦ったことのないただのクラスメイトだろうけど

オレにとってお前は


「ライバル」だったんだぜ


マイルチャンピオンシップを勝利し、日本最強格のウマ娘となったディクタストライカ。
かつて紙面を賑わせた限界論もすっかり消え失せ、有馬記念は芦毛の2人に彼女を加えた「三強対決」の様相を呈していた。

レース直前の校内トラック。
ひとり自分を追い込むオグリキャップの前にディクタが現れ、「遊び」の並走を提案する。
本番さながらのスピードでペースが流れる中、ディクタはオグリが追い求めているモノ───「領域」について語り出す。

生まれ変わったような気分だったよ…

身体の芯から滾る躍動感

あれはとても言葉じゃ言い表せられねぇ

頂点への渇望。
求めるのは自分と同じ「領域」で戦える強者。
ひとりはシニア級最強のウマ娘───タマモクロス。そして、もうひとりは……


「こっち」へ来いよオグリキャップ!!


もっとオレを… 熱くさせろ!!!


叱咤の叫びとともにディクタが加速し、オグリを引き剥がす。
タマモクロス同様、オグリも「こちら側」にいる。ならば、必要なのは……


来い! オグリィ!!


お前が戦うべき相手は誰だ!?


ディクタの言葉に、オグリが自問自答を繰り返す。
誰よりも先へ、誰よりも速く、誰よりも強く。
共に競い戦う相手の誰よりも───

違う…

私が戦うべきなのは… 誰でもない(・・・・・)


……しかし、オグリが答えを出しかけたところでディクタが減速。
ゴール目前で2人の並走は中断されることとなってしまった。
そしてトラックからの帰路、唐突に表れた自らのトレーナーに対し、ディクタが本心を口にする。

勝った時… 万全じゃなかったなんて言い訳されたくねぇだけだ

ツンデレというやつですか?

うっせ!! 蹴るぞ!!


迎えた有馬記念。
オグリを打倒すべく闘志を燃やしたディクタだったが、スタートの瞬間勢い余ってゲートに激突頭から血を流し、左の視界が赤く染まるという悪条件のもとで走ることになってしまう。
スタンドにざわめきが広がる中、先に動いたのはタマモクロス。「領域」突入から豪快にまくりをかけ、前を征くオグリキャップに並びかける。
先行勢が軒並み心を砕かれる中、後方に控えていたディクタは冷静に状況を把握し、自らが走るべきルートを導き出した。

ちょーっと面食らっちまったけど おかげで息は入った

お前が作ったルート 使わせてもらうぜ

タマモクロスのとったルートに狙いを定め、ディクタは自らの領域───弾丸蹴脚へと突入。
天賦の末脚を爆発させ、オグリとタマモクロスの争いに割って入らんと加速する。
……そして、追われるオグリもまた、自らの領域───灰の怪物へと突入。
ついに目覚めたオグリの姿を目の当たりにし、ディクタは歓喜の叫びを上げた。


やっとお前と 戦える!!!


……だが、スタートでのトラブルは着実に彼女の体力を奪っていた
待ち焦がれたライバルとの叩き合いを目前に、ディクタの脚が限界を迎える。
「領域」も途切れ、無念の失速。そのままスーパークリークにかわされ、4着での入線となった。
クリークは斜行の咎で失格となったため、最終的にはオグリとタマモクロスに続く3着という結果になったが、ディクタにとっては不完全燃焼としか言いようのないレースとなってしまった。

レース後はオグリとの再戦を誓い、ともにウイニングライブを敢行。歯が飛んだことは気にするな
翌日のクリスマス会では失格に消沈するクリークを励ます一幕もあった。
翌年はオグリ、クリーク共々脚周りの故障が発覚。秋を迎えてもまだレースへの復帰は叶っておらず、選手生命自体が危ぶまれる状況となってしまっている。

そんな中、同期の安田記念ウマ娘、バンブーメモリーがオグリにマイルチャンピオンシップでの勝負を持ちかけたことを知る。
自分がかつてバンブーと遭遇した際の感覚を思い出した後、マイルCS→ジャパンカップというアプリ版では再現不可能な無茶なローテをトレーナーに反対され思い悩むオグリの前に顔を出す。
そして自身の故障の具合を吐露するとともに、半ば発破とも取れる助言をオグリに送る。
最終的にオグリ陣営は連闘を決断し、ディクタもまた京都レース場に登場。かつてマイル戦線を制圧したウマ娘、アキツテイオー共々オグリとバンブーの戦いを見届けることになる。


そしてモデルがサッカーボーイなら、結局オグリとの再戦は叶わず引退してしまうことになるのだが、果たして……?

◆関連キャラクター


学園でのクラスメイトにして最大のライバル
互いの事情でローテが噛み合わず、共に走る機会は有馬記念までなかった。
それでもディクタにとって「倒すべき好敵手」であることは揺るがず、万全の状態で勝負するために「領域」突入のヒントを与える一幕もあった。

史実では同期だが、対決したのは有馬記念の一度のみ。

学園でのクラスメイト。
同期のダービーウマ娘であるが、オグリほど強く意識はしておらず、ライバルとしてバチバチにやり合うようなシーンはない。
有馬記念以降はともに行動していることが多く、互いに故障からの復帰を目指して頑張っていることがうかがえる。
なお、アプリ版の彼女の育成シナリオでもディクタらしきウマ娘について言及されるシーンがある。

史実では同期で、東西の3歳GⅠ*2を分け合ったライバル。
直接対決の結果はチヨノオーの2勝0敗。

  • ブラッキーエール
本作オリジナルのウマ娘で、学園でのクラスメイト。
ディクタとは気が合うらしく、休日には連れ立って出かけることもある。

モチーフ馬と思われる「ラガーブラック」とは史実における同期。

  • アキツテイオー
本作オリジナルのウマ娘。
ディクタとの対戦経験はないものの、彼女を「弾丸」と呼んで気にかけている。

モチーフ馬と思われる「ニッポーテイオー」は2つ上の世代で、マイルからインターミディエイトにかけて優れた実績を残している。
天皇賞(秋)・マイルCS・安田記念とGⅠを3勝しているが、そのすべてが古馬になってからという遅咲きの名馬であり、
ディクタを気にかけるのも苦難を乗り越えて頂点に立った経験がゆえと思われる。

  • 小内 忠
担当トレーナー。
2mという規格外の長身だが、姿勢が悪く雰囲気も暗い眼鏡男子。
しかしデータの扱いや栄養管理は得意なようで、ディクタとの関係は極めて良好。
またオグリ陣営がジャパンカップとマイルCSの連闘問題で悩む中、オグリのトレーナー六平と会話しマイルCS行きを進めるような発言をしていた。

モデルは恐らくサッカーボーイの主戦を務めた河内洋騎手。
河内騎手はサッカーボーイと並行してオグリキャップ号の初代中央主戦も務めており(1988年ジャパンカップを最後に降板)、ディクタがオグリに助言するのはその縁かもしれない。

◆余談


モチーフ馬

モチーフはおそらく『サッカーボーイ』。
1985年4月28日生まれの尾花栗毛の牡馬。父ディクタス、母ダイナサッシュ、母父ノーザンテーストという社台グループゆかりの血統。
父馬から「ディクタスアイ」とも呼ばれる特徴的な「輪眼」を受け継いでおり、産駒や親族達もそれを受け継いだ馬が多い。ディクタの目つきがきついのは恐らくその再現と思われる。
「弾丸シュート」と称された強烈な末脚を武器にマイル路線で活躍し、87年の阪神3歳ステークスや88年マイルチャンピオンシップを制覇。
函館記念では2着のメリーナイスに5馬身差をつけて圧勝。この時の走破タイム1.57.8は当時の芝2000m日本レコードタイムで、30年以上経った現在も函館競馬場のコースレコードとして残っている。
これらの活躍が認められ、1987年最優秀3歳牡馬・1988年最優秀スプリンターに選出。
有馬記念3着(スーパークリーク失格による繰り上がり)後は故障に苦しみ、結局復帰は叶わずに引退した。

詳しくは上記の勝ちレースの映像を観ていただきたいのだが、完調時のパフォーマンスは異常の一言であり、「もうコイツが最強で仕方ない」と思わせるほどの驚異的な末脚で他馬を圧倒した。
一方で負ける時のだらしなさも凄まじく、そうした振れ幅の大きさが競走馬としての人気につながっていた感もある。又甥のアイツと同じだな……
項目冒頭の「その末脚を人は愛した」というフレーズ*3はたいへん有名で、サッカーボーイが語られる際には必ずと言っていいほど引き合いに出される。
88年クラシック世代の中でも有数の(そして不運に泣かされた)名馬として高く評価されており、件の有馬記念についても「ゲートでしくじってなければ勝負はわからなかった」と主張する脳の焼かれたファンは未だに多い。

引退後は種牡馬として活動し、産駒からはナリタトップロードヒシミラクルがウマ娘化を果たしている。
サッカーボーイ自身はマイルからインターミディエイトを主戦場とした馬だが、活躍した産駒は牡も牝も中長距離馬ばかりであり、
孫世代(母父サッカーボーイ)には安田記念馬ツルマルボーイと天皇賞(春)馬マイネルキッツがいるというなんともよくわからない系譜である。
サイアーラインは残念ながら途切れてしまったが、内国産馬としては規格外の大成功だったと言えるだろう。
他のウマ娘関連馬だと、ナカヤマフェスタ・オルフェーヴル・ゴールドシップはサッカーボーイの全妹「ゴールデンサッシュ」の孫にあたる。
またイクノディクタスも名前通りのディクタス産駒で、母父も同じノーザンテーストと血統が類似している。

また史実では他に父・母父・故郷・馬主が共通し毛の色も似た同期の重賞馬「ディクターランド」もおり、漫画でも皐月賞と2回目の天皇賞(秋)時に似た顔をした「ディクタアース」なるウマ娘が登場している。

作中での扱いについて

本作オリジナルのウマ娘という立場ではあるが、オグリどころかタマモクロスよりも先に「領域」への突入を成し遂げたり、
単行本の表紙を飾ったりとたいへん優遇されており、ファンの人気も非常に高い。
サッカーボーイの馬主である社台レースホースの馬は一切ウマ娘化されていなかったため、実名で実装されないことを悲しむ声も多く聞かれた。
しかし、連載中に社台レースホースの所有馬であるネオユニヴァースがまさかのウマ娘化。こちらについても実名化の望みが出てきた。
……もっとも、ディクタ自身にファンがついてしまったためか、「名前はともかくデザインや性格が変わってしまうのは嫌」との声もぽつぽつ聞かれる。


追記・修正は無難を笑いながらお願いします。

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最終更新:2024年05月01日 09:05

*1 史実では1分57秒8のスーパーレコード。コースレコードとしては2023年現在でも更新されておらず、未来永劫破られないだろうとの声も多い。

*2 当時の阪神3歳ステークスは西側の頂点を決めるレースという位置づけで、牡馬も出走可能だった。

*3 元ネタは2012年のJRAのCM「THE WINNER」。