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---- *鉄拳3 【てっけん すりー】 |ジャンル|対戦格闘アクション|CENTER:&image(198900_10980_front.jpg,width=160)[[高解像度で見る>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3289&file=198900_10980_front.jpg]] [[裏を見る>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3289&file=198900_10980_back.jpg]]| |対応機種|アーケード(SYSTEM12)&br;プレイステーション|~| |発売・開発元|ナムコ|~| |稼動開始日|1997年3月20日|~| |発売日|1998年3月26日|~| |定価|5,800円|~| |廉価版|PlayStation the Best&br;2000年8月24日/2,940円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[鉄拳シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) //#image(tekk0009.png,width=300,height=250) ---- **概要 3D格闘ゲームを代表するシリーズの3作目。~ 前作『[[鉄拳2]]』から19年後を舞台とし、既存キャラの多くが世代交代を遂げることになった。~ 新主人公として前作までの主人公格「三島一八((本作は前作の平八のエンディング「一八を敗北に追い込み火山の火口に投げ捨てる」を踏まえたストーリーとなっているため、プレイヤーキャラとしては未登場。AC版のデモでのみカメオ出演。))」の息子である「風間仁」が登場。~ システム面でも大きな改良が施され、後のシリーズの基礎を確立させた作品となった。~ 今作品も家庭用に移植され、2018年までに全世界で832万本を売り上げた。~ これはカプコンの『[[ストリートファイター2>ストリートファイターII]]』を抜き、格闘ゲームジャンルでは最大の売上本数である。 ---- **ストーリー //長いので畳みます #region >第2回大会は三島平八の優勝で幕を閉じ、敗北した三島一八は火山の火口に投げ込まれた。~ 一方、一八の中に眠る神秘的な力にただひとり気づいていた大会参加者の一人・風間準は、~ その不思議な力から彼を解放しようと試みるも果たせず、彼の神秘的な力に吸い込まれるようにして~ 一八との間に身ごもった子・風間仁と共に、故郷の屋久島で静かに暮らしていた……。 > 平八は世界征服の野望を果たすためには世界各国の信頼を得る必要があると考え、第3回大会を長らく開催せず、~ 紛争地域への鉄拳衆派遣や貧困国の開拓などの慈善事業に尽力する。~ こうして、三島財閥の力で世界は平和に近づいていった。 > >第2回大会から15年の月日が流れたある日、鉄拳衆が古代文明の遺跡で謎の生命体を発見する。~ 平八は回収を命じるが、謎の生命体の襲撃を受け、鉄拳衆は全滅。~ 悲しみに暮れる一方で、その圧倒的な力を目の当たりにしたことで平八は若き日の世界征服の野望を再燃させ、~ なんとしてもその生命体「闘神(オーガ)」を手に入れようと考える。~ 一方、復活した闘神の襲撃により、各地の名だたる格闘家が襲われるという事件が起きてゆく。 >胸騒ぎを感じた準は、仁に三島家のこととこれまでに起きたことを話し、~ 何かあれば祖父である平八を頼るように告げるが、その直後、闘神の襲撃を受ける。~ 母の制止を振り切って立ち向かうもあえなく敗れた仁が目を覚ました時、既に母の姿はなく~ 目の前に圧倒的な力の前に蹂躙された大地が広がるばかりであった。~ 自分の力不足を痛感した仁は母の言葉に従って祖父・平八を訪ね、闘神への復讐のために自らを鍛えるよう乞う。~ 平八は知る由もなかった孫の出現に驚くが、事情を聞いて仁を受け入れ、彼に三島流喧嘩空手を叩きこんで鍛え上げる。 > >それから4年の時が流れ、19歳となった仁は三島流喧嘩空手と風間流護身術を扱う一流の格闘家となった。~ 機は熟したと見た平八は闘神を誘き寄せるため、格闘家の集まる舞台として第3回大会を開催する。~ かつての参加者の弟子や息子、仁と同じく闘神への復讐を誓うものなど、様々な思惑を抱えた者たちが集うのであった。 #endregion ---- **特徴 -「横移動」システムが追加((厳密には2の一八にあった固有ダッシュ(霧足)を、全キャラが使用できるようにしたものといえる。それ以外にも軸移動技自体を持つキャラは数名のみだが、2の時点で存在していた。))。 --レバーを上・下のいずれかに素早く入れてからニュートラルに戻すことで、軸をずらして画面奥もしくは手前に移動できる。 ---代わりに従来の「小ジャンプ」「一瞬だけしゃがむ」がレバーの上下で行えなくなったが、これはレバーの斜め上下で代替えが可能。 -キャラごとに異なっていた中ボスの概念の削除 --前作までは各使用キャラに対応した中ボスキャラが存在していたが、対応キャラのコンパチに当たるキャラクターが多かったため、廃止によって技構成・操作体系の面において重複していたキャラクターの大部分が淘汰された。 --本作では1人プレイの際に固定で登場する中ボスが三島平八(平八使用時は風間仁)のみとなっている。 ---- **キャラクター #region(デフォルトのプレイヤーキャラクター) -風間 仁(かざま じん) --本作の主人公。平八使用時の中ボス。前作のボスキャラ「三島一八」と前作のプレイヤーキャラ「風間準」の間に生まれた子供。母を奪った闘神への復讐を誓い、祖父・平八に師事して格闘を学び第3回大会に臨む。 ---格闘スタイルは「三島流喧嘩空手改+風間流護身術(母から教わったもの+我流)」。前作までの一八の後継・発展キャラとして風神拳など同種の技を用い、それに準の固有技を加えたハイブリッドキャラとなっている。 -凌暁雨(リン・シャオユウ) --前作までに登場した「王椋雷」の遠戚かつ拳法の弟子である中国人の女子高生。大人顔負けの拳法使いながら世界中のテーマパークや遊園地が大好きな子供っぽい性格で、理想の遊園地を中国に建てる当てを求めて平八に接近。取り押さえようとした鉄拳衆を返り討ちにしたことで平八に実力を認められ、「第3回大会に優勝したら思い通りの遊園地を建ててやる」という約束を取り付けて大会に参加する。 ---格闘スタイルは「八掛拳・劈掛拳をベースとした各種中国拳法」。設定に反してワンとの共通性は少なく、「鳳凰の構え」や「背中を向ける」など、構えの変化を駆使したテクニカルな動きを持つ。 -花郎(ファラン) --前作に登場した「白頭山(ペク・トー・サン)」の弟子にあたる若きテコンドー拳士。普段はストリートファイトを利用した詐欺集団のトップとして活動しているが、ある日訪れた三島財閥をカモにしようとしたところ、対決した仁を相手に生まれて初めて「引き分け」の屈辱を味わうことになる。ペクから三島家のことを聞いた彼は三島流喧嘩空手と仁への対抗意識を燃やし、今大会で決着をつけようと考え参加。また、大会前に失踪したペクの行方を追っている。 ---格闘スタイルは「テコンドー」だが、ペクの固有技をほとんど使わず、代わりにシャオユウらと同様の構えチェンジを組み込んだスタイルになっており、仁のような後継キャラというより設定を引き継いだ新規キャラのような趣となっている。 -エディ・ゴルド / タイガー・ジャクソン --ブラジルの資産家の息子。麻薬シンジケートを追っていた父が殺害された後、父の遺言に従いあえて父殺しの犯人として捕まり服役した後、刑務所内で出会った謎のカポエイラマスターの老人からカポエイラを習い、出所後、復讐の足掛かりとして三島財閥に接近すべく大会に参加する。 ---格闘スタイルは「カポエイラ」。逆立ちなど後述の特徴が大きく表れたキャラとして評価が高い。 --当初はナンバリング上の次作『[[鉄拳4]]』に登場するクリスティが用意されていたが、諸事情からデザインし直されたという経緯を持つ。その没デザインの一つであるアフロヘアーの「タイガー・ジャクソン((設定上はエディとは別人らしいが関係は不明。))」が3Pカラーとして使用可能。 -キング --ジャガーのマスクのプロレスラー「キング」の2代目。前作までに登場した「キング」の孤児院で育った青年。 --先代キングが何者かに殺された後、先代の遺志を継いで孤児院の経営維持のためリングに立つも、慣れないプロレスに苦戦を続けていた。~ そんな中、先代のライバルであったアーマーキングと出会い、彼を師匠と仰いで修行を積んだ末、ジャガーのマスクを受け継いで名実ともに2代目となる。~ そして師匠から先代殺害の犯人が闘神であることを知らされ、復讐を果たすべく大会に参加する。 ---格闘スタイルは「プロレスリング」。本作では漫画『キン肉マン』のキン肉バスターをモデルとする技「マッスルバスター」が搭載された。 -フォレスト・ロウ --前作までに登場した「マーシャル・ロウ」の息子((マーシャルはOPとEDムービーのみ登場))。道場の2代目師範となるべく修行中であり、他流試合を禁じられているのだが、「修行に行く」とのポールのウソに乗せられ大会へと連れ出された。一方で自分の実力を試したいという思いもあり、そのまま大会に参加。 ---格闘スタイルは「マーシャルアーツ」だが、やはり父と同じくジークンドーのような技を使う。 ---4以降のナンバリングタイトルでは再び父親マーシャル・ロウに戻された((4で父マーシャルに戻した理由は開発陣が「親父キャラが好きだから」とのこと。))。その為番外編のタッグシリーズを除けば息子フォレストが使えるタイトルは本作のみに留まっている。 -ポール・フェニックス --多くのキャラが世代交代する中、前作から引き続き登場。逆立てた金髪と赤い道着が特徴の自称宇宙一の格闘家。髭を蓄えた顔になるなど、彼もまた相応に年を重ね渋くなった。前大会もまたクマに阻まれ優勝を逃してしまい、その後数々の大会を制覇して今や子供たちの憧れの格闘家になったものの、物足りなさを感じていたところに第3回大会開催の通知を受け取る。46歳まで修行を怠らず続けた自身の優勝を確信し、今度こそ大会制覇を狙って参加する。 ---格闘スタイルは「柔道をベースとした総合格闘技」。投げ技・打撃技ともに増加した他「浮草」というスウェー動作とそこからの派生も追加された。それでいて「崩拳」の一撃も健在である。~ またお遊び要素として、前作『2』のロウのエンディングで見られたサマーソルトキック(を真似ようとして失敗し頭から落ちる動作)を「サマーソルトNG」という技として実装。当然(?)、使うと自らもダメージを受ける((自らダメージを受ける技を持つキャラはシリーズでは吉光に続き2人目。))。 -雷武龍(レイ・ウーロン) --ポールと同じく、前作から引き続き世代交代せずに登場。前作でブルースとの接触に失敗するが、その後は警察官として八面六臂の活躍により「スーパーポリス」の異名をとるほどに躍進する。そんな中、謎の格闘家連続失踪事件を捜査することになるが、そこに平八が現れて第3回大会への参加を依頼される。怪しみつつもこれを承諾し、出場。 ---格闘スタイルは「五形拳を主軸とした各種拳法」。ジャッキー・チェンがモデル((本作以降、対戦中のボイスもジャッキー・チェンの吹き替えでお馴染の石丸博也氏となった。))だけに、五形拳の構えを使いこなす姿は格闘ファン必見である。 -ニーナ・ウィリアムズ --ポールらと同様に前作から引き続き世代交代なしで登場するが、彼女は前大会で三島財閥に捕まり''コールドスリープ技術の実験台に使われた''という設定で、外見や肉体年齢は『2』の時代から全く加齢していない。闘神の呼びかけに応じて記憶喪失状態で目覚め、闘神に操られるまま仁抹殺のため動き出す。 ---格闘スタイルは「骨法、合気道をベースとした暗殺格闘術」。 ---本作では安室奈美恵を思わせるモデリングがなされている。また、前作までは%%オバサンじみた%%年齢にそぐわない声を発していたが、本作からは後述のアンナ共々ボイスが一新され、肉体年齢相応の声が当てられた((なお、ニーナに関しては同じ声優による再録である(アンナは不明)。))。これにより、加齢していないどころかむしろ若返った印象すらも受ける。 -吉光(よしみつ) --前作から引き続き登場の、義賊集団「卍党」頭領の忍者。恩人であり協力者のDr.ボスコノビッチが研究中の事故で謎の病原体に侵され、それを救うために闘神の血が必要と知り、大会に参加。 --般若面のデザインが完全に骸骨でプレデターのような頭部と一体化したものとなり、さらに人間離れした容姿へと変化。加えて所持する妖刀吉光までも怪しげな光を発するライトセーバーのようなものになっている。 --以降の作品でもさらにデザイン変更が重ねられるが、『[[鉄拳タッグトーナメント]]』は当時の最新である本作の容姿で出場。その後は『[[鉄拳6]]』と同時期の設定であるクロスオーバー『ストリートファイター×鉄拳』でも本作のデザインが採用された。 ---格闘スタイルは「卍忍術進化型」。地面に刀を立ててその刀に乗ったり、胡坐をかいて祈るようなポーズで回復したり、刀で切腹したりとトリッキーな動きは健在。 #endregion #region(タイムリリースキャラ) -クマ(2代目)/パンダ --''もはやシリーズを象徴する色物枠として定着した動物キャラの一角''。選択時のボタンでキャラが変わり、パンチボタンでクマ、キックボタンでパンダとなる。ただし、顔グラフィックは両方ともクマのまま、性能も同じ。 --クマは平八のペットにして修行仲間であった先代の息子。19年という時の流れ故に初代は老衰で死去し、初代が果たせなかったポール打倒を目標に大会に参加する。 --パンダはシャオユウのペット兼お目付けで、性別はメス。平八によってクマと同じ技を叩きこまれ、シャオユウに付き合って参加。クマからは惚れられているが、パンダは相手にしていない。 ---格闘スタイルは「平八流熊真拳改」。 ---冗談のような話だが、本作がリリースされた後で中国大使館からナムコに電話があり、パンダを格闘ゲームのキャラに使った抗議だと思って恐る恐る出たら「パンダの尻尾は黒じゃない、パンダの尻尾は白」と指摘されたという逸話が残っている。 -ガンジャック --吉光・クマと並びシリーズきっての色物キャラであるジャックシリーズの1体。前作の「ジャック-2」が助けた少女ジェーン((前作のオープニングやジャック-2のストーリーとエンディングで幼い姿で登場。ジェーンの名は本作が初出。))は成長して物理学者となり、Dr.アベルの手で破壊された彼を復活させようとしていた。そのためにジャック-2と「プロトタイプ・ジャック」を材料として作られたが、記憶部分の修復ができず、そのプログラムが三島財閥の系列会社によるものと知った彼女により参加させられる。前作までのジャックと違い銀色のパーツが追加されたいかにもロボット然とした見た目だが、3Pカラーで前作までと同様の人間に近い姿が使える。 ---格闘スタイルは「力任せ」。これまでのジャック系の技に加えて''何故か前作までの巌竜の技が追加''された(通称・巌ジャック)。ジャックが四股を踏んだりちゃぶ台を返したりする光景はある種異様。 -ジュリア・チャン --前作までに登場した「ミシェール・チャン」の義理の娘で、拳法を受け継いだ少女。平八によってミシェールが誘拐されたと知り、母を救うために大会に参加する。エンディングではミシェールも登場。 ---格闘スタイルは「心意六合拳・八極拳を基本とした各種中国拳法」。~ 設定の通りミシェールの後継キャラだが、オリジナルの固有技が多く追加された他に、共通の技にも若干の仕様変更があり、かなり操作感の異なるキャラになっている。 -ブライアン・フューリー --元はICPOに所属する刑事でレイの同僚だったが、ある事件で殉職((『2』のレイのストーリーで登場した、マフィアや一八を追っている最中で殉職した同僚とは別人(そもそも本作でのブライアンの年齢は29歳なので、単純計算すると『2』では10歳ということになる)。))。その後三島財閥のDr.アベルに拾われてサイボーグ((公式設定では「レプリカント」とされている。レプリカントは彼がモデルになってもいるルドガー・ハウアーの代表作でもある映画『ブレードランナー』における人造人間の呼称である。))として蘇生。彼の命令でボスコノビッチの開発した永久機関を狙い、大会に参加する。 ---モデルは俳優のルトガー・ハウアー。ビジュアル面の癖はそこまで強くない部類だが、一部技の使用時や勝利ポーズ時に不気味な笑い声を発したり、PS版のエンディングでは完全武装の鉄拳衆相手に素手でハチャメチャに暴れたりと、色物具合は吉光やジャックに負けず劣らず。 ---格闘スタイルは「キックボクシング」。ブルースの後継キャラとして扱われるが((本作の後継キャラの中では唯一、元キャラとのストーリー上の繋がりが存在しない。))、彼もまたマッハパンチなどオリジナル技を多く有しており異なるキャラ造形になっている。全体の挙動もムエタイ寄りだったブルースとは一線を画し、ハンマーナックルやプロレス技などキックボクシングの範疇を外れた技も持つ。 -木人 --練習用の木で出来た人形が闘神の影響で動きだしたもの。''最早生き物ですらない。'' ---格闘スタイルは「木人拳」となっているが、ラウンドごとに他のキャラクターの技構成やモーションに入れ替わるという独自の仕様になっている。~ 家庭用ではコマンドリストが「?」だけになっており、他のキャラの技性能の把握と、どのキャラクターに変化したかの見極めを要する。 ---ちなみに吉光になった場合は、刀を手にして登場するため一目でわかる。 --他のキャラクターに変わっても木人の背丈や手足の長さは変わらない。例えばガンジャックになると、ガンジャックの攻撃判定の広さが木人の標準体型のせいで狭くなるし、短足のクマ/パンダになった場合は足技のリーチが本家に比べて長くなるなど。標準体型になることで技の攻撃判定が元キャラと変わることがあり、元キャラが使っていたコンボが出来なくなる、元キャラよりリーチが上で牽制しやすくなるなどメリット・デメリットが更に発生する。全キャラへの幅広い知識と、木人の体型を考慮した限定コンボを考えなければいけない場合もあるため、相当な玄人向けキャラである。 -三島 平八(みしま へいはち) --前作の主人公。本作では中ボス(平八本人を使用している場合は仁が中ボス)。仁の祖父にして三島財閥の現総帥。年を重ね顔に皺が増え、髪も髭も真っ白になったが未だ鍛え抜かれた肉体は衰えておらず、最強の鉄拳王として君臨する。 --本作稼働前に発売された『初代』『2』のOVA版からの逆輸入で、本作より声優が平八のモデルとなった『魁!!男塾』のアニメ版で江田島平八役を務めていた郷里大輔氏に変更された((その後『6』まで担当した。なお郷里氏は『6』発売後の2010年に死去したため、以降の作品では声優が石塚運昇氏に変更されたが、石塚氏も『7』発売後の2018年に死去してしまった。))。 ---格闘スタイルは「三島流喧嘩空手」。 -オーガ(闘神) --本作のラスボス(の第一形態)。古代文明の遺跡から現れた謎の生命体。宇宙人が置き去りにした戦闘兵器とも言われる。マヤ文明の英雄風の見た目だが肌は緑色。強力な格闘家の魂を欲しており、第3回大会の衝突にいざなわれる。 ---「世界各地の強者達の魂を欲し、取り込んでいった」という設定の通り、固有の格闘スタイルは無く、過去作の登場人物の固有技を組み合わせて戦うキャラクター((ただし、彼が持つ技の元の使用者のうち正史において接点があった人物は風間準、初代キング、ペク・トー・サンのみ。))。 -トゥルー・オーガ((トゥルー・オーガの名は家庭用版で初出で、次回作『TAG』でもこの名が使われている。アーケード版ではオーガ第一形態とは別キャラでありながらも名前が同一のままであった。)) --前述のラスボス、オーガの第二形態であり真の姿。オーガから一本でもラウンドを取ると、倒れている平八(平八使用時は仁)の肉体と魂を吸収してこの姿に変化する。二本の角が生え巨大な翼と尻尾を持つ怪物の姿。 --変身前と同様の技に加えて、前作のデビルブラスターのように火を噴く技なども使うようになる。また腕のリーチが大幅に伸びる強化が施されるが、その一方で脚のリーチは短くなり、喰らい判定が極端に大きくなるデメリットも。 --余談だが、本作(AC版、PS版共に)と次回作タッグトーナメントのAC版でトゥルー・オーガをどちらか一方でも使用すると、ステージ問わず背景が真っ暗(黒)で何も表示されていない状態になる。 ---理由はトゥルー・オーガのキャラサイズが見た目通り非常に大きく、その分一度に表示できる容量を食うため。~ しかし一方で人外でラスボスというキャラも相まって、「発生させた固有結界みたいでかっこいい」と演出の一種に見えるという意外な評価?も見られた。 #endregion #region(家庭用での追加キャラ) -アンナ・ウィリアムズ --ニーナの妹。アーケードではニーナの3Pカラーだったが、家庭用では技構成が差別化され独立キャラとなった。彼女もまたニーナと同様のコールドスリープを受けたため加齢していないが、目覚めたニーナだけは記憶が失われていることから姉妹喧嘩もままならないと考え、回復の手がかりとなりそうなボスコノビッチに接触することを目的に参加した。 --格闘スタイルは「暗殺格闘術」。 --余談だが、国内版と海外版とでエンディングの内容が若干異なっている((エンディングの一部シーンが海外では「セクハラに該当する」という指摘があったため。))。 -ゴン --田中政志の漫画『GON』からのゲストキャラクター。他キャラの膝ほどの背丈しかない小型の恐竜で、前作のアレックスと同様ボクシンググローブを付けている。火を噴いたり屁で攻撃したりとコミカルなモーションで戦う。 ---ストーリーには当然かかわってこないが、エンディングムービーはちゃんと用意されている。 -Dr.ボスコノビッチ --ジャックや永久機関などを開発した天才科学者で、ストーリーの一端を担う重要人物。 --老人らしいぎくしゃくとした変な動きが特徴で、すぐに倒れ込んだりして扱うことすら難しいというトリッキーすぎるキャラ。~ スタッフ曰く「老人らしい動作を他のキャラクターのモーションから適当に詰め込んだ」らしい、ブラックボックスである。 --性能に関しては、オーガ同様、本作に登場していない様々な過去作のキャラの技を多く持っているほか、それを独自にアレンジしており、非常に奥が深くバリエーション豊かな独特の中の独特とでも言うべきキャラになっている。 --後に『タッグトーナメント2』でプレイアブルキャラとして再登場したが、本作から大幅な調整が加えられ、残念ながらほぼ別キャラと化している。 #endregion ---- **評価点 &bold(){システム面の刷新と調整} -横移動の追加による3D空間を活かした駆け引きの概念の導入 --横移動そのものは『バーチャファイター3』で既に採用されていたシステムではあるが、そちらでは専用のボタンを使う必要があったのに対し、レバー入れだけで出すことができ、非常に入力しやすい。 --この操作形態はVFにも受け継がれていくことになる。 --その他にも「投げ抜け」や「受け身」など、様々な細かい点で新要素の追加や調整がされている。 &bold(){キャラクター造形と設定の一新} -前作まではキャラクターがビジュアルやデザインコンセプト両面で濃くB級な雰囲気を漂わせていたが、前作より高性能の基板を採用しグラフィックが強化され、キャラの体型のデフォルメが無くなった。それに加え、主人公の空手家「風間仁」やそのライバルであるテコンドー拳士「ファラン」、中国拳法を使うヒロイン「リン・シャオユウ」など、新キャラの面々は往年の格闘ゲームキャラの王道を意識し、アクの取れた純粋に格好いいキャラ造形となっている。~ 前作からのキャラもイメージが一新されるなど、イロモノ的な雰囲気はやや抑えめで全体的にスタイリッシュになっている。ボイスも大幅に一新され、インターフェイスやBGMなどもそれに合わせたものになっている。~ その一方で、旧作からさらに人間離れした宇宙忍者「吉光」や、人間ですらない「クマ」も引き続き登場、果ては生物やロボットという概念すら超越した新キャラ「木人」など、『鉄拳』シリーズのイロモノ感満載の濃さはキッチリと引き継がれている。 -本作で特筆すべきはキャラクターの技モーション。実際の格闘家からモーションチャプチャーすることで、非常にリアルで滑らかな動きを実現している。 --それが最もよく現れているのが新キャラであるテコンドー使いの「ファラン」とカポエイラ使いの「エディ」。どちらもその道の達人のモーションをキャプチャーしている。 --前作まではニュートラルポーズの流用が多く、流用以外でも「左腕を立て、右手を左肘の高さに構える(ポールや一八など)」「両拳をボクサー風に水平に構える(平八や準など)」といった似たり寄ったりなものが目立っていたが、本作ではニュートラルポーズが前作のイメージを残しつつ多様化し、他のキャラとの共有がなくなった。木人の登場により、元キャラの判別性を高める必要が生じたことも影響していると思われる。 ---この傾向は『タッグトーナメント』で再登場した旧キャラにも引き継がれている。 -1キャラあたりの技の数が全体的に前作より大幅に増えている。加えて、通常時とは別の技を出せる「構え」の存在。 ---これにより、ライト層には「適当なガチャプレイでも様になったような動きが可能」、ヘビー層には「的確な操作は非常に複雑で奥深く、慣れれば操作するだけでも快感が得られる」という、お互いのユーザーを満足させる反目するような特徴を両方備えることができた。勿論、難しい操作を要求しないポールやロウなど、極める目的でも使いやすいキャラもいる。 ---- **賛否両論点 //BGMは多数から評価された訳ではないが曲や音質として破綻したいるものはなく、一部人気も高い楽曲もあるので賛否に移動します -BGMが地味。 --当時としては珍しいデジタルロック((「デジタルロック」自体は日本特有の呼称だが、日本でもケミカルブラザースやファットボーイ・スリムといったミュージシャンが取り上げれられていた時期でもあり、後にこれらのサウンドは「ビッグビート」という名称で浸透していった。))を採用しギターサンプリングやシンセエフェクトを主体とした楽曲群はメロディーや生楽器の音色などによる特徴付けを意図的に排した構成になっている。 --ラウンドが進む毎にフレーズをターンオーバーさせ展開を盛り上げるという試みも取り入れられていたが、ゲームセンターの騒音と相性が悪く、効果的とは言えなかった。~ またシームレスに変化を付けるという性質上、メモリレベルでの演奏でないと実現できなかったためか、プレイステーション1版では再現されなかった。 --ゲームミュージックとしては斬新な試みであったがユーザーの評判は良くなく「ほとんど評価された事がない」「『バーチャファイター』のような曲がいいと言われた」等と作曲者自身が述懐している。 ---評価は芳しくはなかったものの、曲の質そのものは極めて高い。ジャンルを統一したにもかかわらず、キャラクターとステージの雰囲気やイメージを的確に捉えており、地味ながらも味わい深い作りになっている。~ 続編でもこういった打ち込み系のサウンドや最新のジャンルを意図的に使用しており、シリーズのBGMの色として少しずつながらも定着していった。 ---- **問題点 ***対戦バランス面 //後年の作品と比べるのはNG //BGMとは逆にこちらを改善の余地のあるゲーム上の「問題点」として入れ替えました 前作から大きく改善・進化したとはいえ、対戦バランスは、キャラ性能面、ゲームシステム面共にやはりまだまだ未成熟。さらに当時流行していたバックダッシュを使いこなしたスカし戦法は多くから批判の的にされがちだった。 -横移動の調整不足 --3D空間を活かしたシステムではあり、前作で一部キャラに既に存在した軸移動を発展させたこともあって発想は評価されてはいたが、横移動と攻撃判定に関わる部分に調整不足が目立つ。本作では横移動で敵の攻撃を回避しようとしても''やるだけ無駄と言いたくなるレベルで相手の攻撃が刺さってくる''上、上述のようにバックステップでのスカ狙いが強すぎるため、実質的には旧作同様に前後移動で戦うゲームのままになっている。横移動は一部キャラの横移動からのみ出せる専用技を出すためだけに使うようなものになってしまっているのが残念なところ。 -その他共通するシステム面での難点 --下段回し蹴り系の技はクリーンヒットでなくても1発でダウン。しかもガード時の弾かれモーションが存在しない。ローリスク・ハイリターン。 --ロウ以外のキャラのスラッシュキックはガード後17Fの間ガードできない。平八ならスラッシュキックをガードされても崩拳などが確定する。 --バックステップ強し。稼動当時は後ろに下がってスカしを狙う戦法はチキンとみなされ、自粛する空気があった。 以下各キャラ毎の調整不足な点の中でも目立ったものを記す。 #region() -仁 --奈落払い・螺旋幻魔脚がガードされても止まらない。適当にクルクル回ってるだけで結構強い。 --紫雲二段蹴りの1段目が下段。手動でガードしてないと2段目まで食らって浮かされる。 --「鬼八門キャンセル」(アーケード版限定)。バグ技だが、これを使った連携が非常に強力。ヒットガードを問わず圧倒的有利な状況に立てる。 -ファラン --ハンティングホークの3発目入力していると2発目をガードされても17F有利。その後半月蹴りなどが確定。 -ポール --崩拳にクリーンヒット判定がなく、距離を問わず大ダメージ。 --落葉1段目が距離によらずダウン属性。ガードされても止まらず、2段目が中段なので、ガードしきるのは困難。&br;さらに崩拳ステップから直接出せるため、ディレイ崩拳との二択が超強力。 --また、崩拳にホーミング性能が付加されており、攻撃判定の発生の瞬間に相手の位置を追尾するため横移動での軸ずらし回避に強いという特徴がある。 -ロウ --ハイキックライトサマーがノーマルヒットで連続ヒットする。当たれば5割以上のダメージ。 --システムとしての下段さばきが存在しないため、ドラゴンラッシュが脅威。 --下段技のドラゴンテイルがガードされても弾かれない。といっても反撃は受けるので、他キャラの足払いに比べればおとなしい方だが。 -レイ --各種後掃腿がガードされても止まらない。反撃はせいぜい立ち途中RKしか入らない。 --龍声中段脚が連続ガード。反撃も入らない。 -平八 --風神拳が中段。奈落払いとの完全二択が成立する。 --奈落払いはガードされても止まらない。踵落としに派生すればノーリスク。 -オーガ --ケツアルクアトルが隙の少ない中段からガード不能の連携技であり、喰らうとコンボ直行。横移動で回避できるがタイミングに癖がある。 --魔神拳が仁と比べると超高性能で(以前の一八仕様)、クリーンヒットでよろけを誘発しその上回復不可。&br;よろければコンボで5割以上のダメージは確定、お手軽なものではバックスピンキック(RK)を当てるだけで大ダメージ。 ---コマンド投げの残月が投げ抜け不可で更に追撃が見込める。この投げ抜け不可の仕様上、魔神拳よろけから残月がコンボになる。 -トゥルー・オーガ --腕が長くなる事によりパンチ技のリーチが伸びる一方で、足が短くなる、巨躯でやられ判定が大きくなるなどデメリットも沢山。 --異常に喰らい判定が大きく、ダウンしていても様々な技を食らってしまう。特に仁の胴抜きは圧巻。 --ダウンしていなくても、吉光の朧車には手も足も出ない。ジャブ・朧車・吉光ブレード。この3つでほぼ完封できる。 #endregion などとまだまだ改善の余地が多い。本シリーズにおいて完全ではなく批判が全くない訳ではないが、「対戦バランスが良い」と評される作品は次回作『タッグトーナメント』まで待つことになる。&br; 余談だが、あまり知られていないが、鉄拳3には目に見えない「壁(画面端)」が存在し、敵を壁際まで追いつめて浮かせればLP×αという超簡単な永久コンボを決めることができる。 -もっとも壁までの距離は非常に長く、実戦で目にすることはないだろう。(その前に決着がつく) ***その他の問題点 -打撃音が前作までに比べて全体的に軽くなっており、重厚感が薄い。 -過去作の多くのキャラのリストラ --ストーリー設定を見てもわかる通り、本作は前作『2』より実に19年もの時が流れたと言うこともあり、キャラ選出も世代交代が図られたのだが、それに伴い多くのキャラがリストラされた。特にジャックとミシェールのリストラは、『1』からそれしか使っていなかったプレイヤーを路頭に迷わせる結果となった((後にタイムリリースでコンパチキャラが登場するが、発売当初はタイムリリースキャラの存在自体がアナウンスされていなかった。))。 --勿論、これは冒頭でも述べたようにあまりにも性能と技の重複が多かったコンパチキャラの淘汰と整理、あとはマンネリ化を避けるという理由もあったり、一部は各キャラのストーリー内で登場したり(シャオユウの遠い親戚であり師匠のワン、ファランの師匠であるペクなど)、性能的にも過去作のキャラを受け継いだ新キャラもしっかり用意してはあったが、やはり過去作からのファンからは否定的な声もあった。 --前作初登場キャラもレイ以外は全員リストラ。特に前作のヒロイン的ポジションであった風間準は、ストーリー設定((『3』では設定上「闘神に襲われ消息不明」とされていたが、『5の時点では「死亡」と変更されていた。))上、長らくナンバリングシリーズでの再登場の機会に恵まれない状態になってしまったため、ファンとしては微妙なところ。 //---後にTTシリーズでプレイアブルキャラとして復帰は果たしている。 //本編ストーリー上は「死亡」という扱いになっているため、ナンバリングでの再登場の見込みは薄い。 //後付け設定による変更は本作でも珍しいことでないし、最新作でも復帰がアナウンスされてるからここは消しときます。 --とはいえ本作から登場した弟子や子供などの後継キャラの評価が悪いわけではなく、むしろ師匠や親との関係でよりストーリーに熱さと深い味を持たせるに一役買ったキャラも多い。 ---特に、2代目キングと初代キングやアーマーキングとの師弟関係、ファランとペクとの師弟関係や、何度破壊や機能停止をしても幾度となく復活とバージョンアップが施され、ジェーンとの絆も次第に描かれていったジャックシリーズ(本作ではガンジャック)のストーリーは後作でも掘り下げが行われていき、評価も高い。 --その後外伝のタッグシリーズを除き、『4』以降のナンバリングタイトル上でも、リーやブルース、ペク、ワン、(名目上では子供に世代交代してだが)ロジャーJr.、巌竜、そして一八など、様々なキャラが復活。しかもただの復活だけでなく、重複を避けるために既存のキャラとの性能の大幅な差別化も図られた。 --一応、リストラされたキャラの固有技の一部はオーガに取り込まれる形で収録されている。 -縦の解像度も倍になったが、インターレース表示なので常時フリッカーが発生して画面がちらついていた。 --これは設定でオフにすることができる。オフにすると縦の解像度が半減するが縦2ドット分をミックスするわけでなく単純に片側ラインをスキップするだけ。 -抱き合わせの汎用筐体がいまいち使いづらい --当初はナムコ製新汎用筐体「サイバーリード」((主な特徴としては「基板との配線及びハーネスは新旧JAMMA規格両方に対応」、「外部モニタ接続可能」、「対応ソフト稼働時は筐体上部にある電光掲示板に各種インフォメーションが流れる」、「対戦台を構築する際は配線1本で比較的簡単に筐体同士を接続可能」など))と抱き合わせでの販売((『鉄拳タッグトーナメント』でも抱き合わせ販売がされていた。))から始まった本作だが、その筐体の設計はコンパネの位置が少し高くレバーが少し長い等お世辞にも褒められたものではなかった。 --当時、本作とこの筐体を込みで購入したオペレーターは、『鉄拳3』の基板だけを広く普及していたセガのシティ系汎用筐体(アストロ/ブラスト/バーサスシティなど)や他社の汎用筐体に移して、件のサイバーリード筐体はゲーセンの隅に追いやっていた。 --その一方でこの筐体は&bold(){構造上縦画面に出来ないと言う欠点があり}、店舗運営上それを補うために各社汎用筐体はもちろんのこと、ナムコ直営店舗では前世代の筐体である「エクセリーナ2」((こちらは基板と接続するハーネスに旧JAMMA規格のものしか使用できない))を併用していたほどである。 ---- **総評 新機軸の「横移動」の追加による3D空間を活かしたゲーム性の導入やビジュアルイメージの一新とグラフィックの向上によるゲーム全体の雰囲気の変化、より個性的になったキャラクターたちやストーリーなど、見どころは多い。 一方でやはりというべきか、対戦バランスの面では粗が否めず良くいえば爽快感あふれる、悪くいえば大味すぎるゲームとなったが、前作までの粗削りさはだいぶ改善されてきてはいる。~ システムやゲーム性の根幹も本作て確立され、対戦ツールとしての基盤がここにきてようやく整ったと言えるだろう。 以降、本作そのものが後続のシリーズ作品のベースとして受け継がれていくことになる。 ---- ---- **家庭用版 ''PS版'' -アーケード版稼動から一年後にプレイステーション版が発売。 --AC版がPS上位基板であるSYSTEM12((SYSTEM11と比べてCPUクロックが1.5倍高速化されている。一方でメモリはSYSTEM11からの変更はないもののサウンドや画像出力等のアナログ回路が強化されている。ちなみに本作がSYSTEM12基板最初の作品である。))を採用していたために背景が簡略化((シャオユウステージでは背景のメリーゴーラウンドが回転しなくなっている。))されている等若干の劣化は見られるが、それでも非常に完成度の高い移植。 ---実は元々アーケード版がPSへの移植を考慮して作られていてキャラクターのポリゴン数は鉄拳2と同程度に抑え、SYSTEM12で増えたポリゴン数は全て背景に回されている。 --PS版鉄拳シリーズ全般に言える話であるが、開発者によるとハードの制約上PSへの移植時にデータを圧縮したり等色々苦労していた。 ---具体的には各キャラのモーションデータをAC版の半分に減らす必要があったが、あまりカットすると動きがカクカクになるので、動きをスムーズに補間する特殊ルーチンを入れるなど涙ぐましい努力でアーケード並みのモーションを再現させている。 --見た目はあまり変わらないが、実は横の解像度が512ドットから384ドットに下げられている。 -『鉄拳』シリーズの恒例として家庭用の追加要素も充実している。 --プリレンダCGによるオープニングおよび各キャラのエンディングムービー。美麗なCGムービーはPS時代のナムコ、そしてPSというハードを牽引する要素であった。 --豊富な家庭用オリジナルモード。「鉄拳フォース」というオリジナルのベルトスクロールアクションのようなモードが追加され、後のシリーズにも採用されていった。また「鉄拳ボール」というボールに技を当てて相手サイドに打ち返すビーチバレーのようなゲームも追加されている。 --また、このPS移植版ではアーケード版には登場しない追加キャラクターとして、天才科学者「Dr.ボスコノビッチ」と、漫画『GON』からのゲスト出演で体格の小さい恐竜(オス)の「ゴン」が隠しキャラとして登場している。また、アーケード版では姉であるニーナの3Pカラーという扱いだった「アンナ」も固有キャラとして登場。 --木人の出るステージでは、ステージ毎にモーションデータを読み込むローディングが発生するが、既にモーションデータがメモリにある場合はローディングが発生しないので、ローディングの有無でキャラクターを判別することもできた。 -本作は前2作と違ってゲームアーカイブス配信が行われておらず、家庭用の独自要素は長らく実機でしか楽しめなかった。 --このため一部のユーザーからは、『前述した「ゴン」が版権的に使いづらいのが原因ではないか』等と推測されていた……が、「ゴン」の権利は特に問題なく、実際には移植の難易度(PSの性能を限界まで使っていた)とタイミングを逃したことが原因だったようだ。 --その後、2018年12月発売の初代本体を縮小復刻した「[[プレイステーション クラシック>http://www.jp.playstation.com/psclassic/]]」内蔵20タイトルの1つとしてようやく収録となった。 ''PS2版(『[[鉄拳5]]』内に収録)'' -PS2版『[[鉄拳5]]』のおまけであるアーケードヒストリーモードにて、初代『[[鉄拳]]』と『[[鉄拳2]]』と共に本作のAC版が収録された。 --AC版準拠のため、上記PS版の追加要素はエンディングを含めて存在しない。 --AC版のラウンド進行に応じたBGM変化は、サウンドトラック同様に予めフレーズ変化を含めた全パートを通して収録するという形が採られているらしく、一応ではあるが再現されることとなった。ただしあらかじめ収録されたサントラが垂れ流されるだけでラウンドの境目でフレーズ変化が発生するわけではない。つまりPS版鉄拳3と同じ仕様。 --型番がSCPH-75000番台のPS2本体ではアーケードヒストリーの『鉄拳3』が正常に動作しない不具合がある。それ以外の型番では問題なく動作する((2005年に発売された75000番台のPS2本体はコストダウンのために内部の設計が変更されているのが原因で一部のPS/PS2用ソフトが正常に動作しない不具合がある。2006年発売の77000番台では不具合が発生するPS2用ソフトの一部が動作するように改善されている。))。 ---- **余談 -雑誌『ゲーメスト』では、本作の攻略記事内に「''猿者への鎮魂歌''」という連載コーナーがあった。内容は、各キャラでよく使われる技への対策を紹介するもの。 --ちなみに「猿者」とは、同じ技ばかり猿のように出し続けるプレイヤーの事。確かにそれで勝ててしまうゲームだったが…。 ---いずれにしろ、本作の粗削りなゲームバランスを象徴した連載コーナーと言える。 -ストーリーでは「復活した闘神の襲撃により、各地の名だたる格闘家が襲われる」とあり、オーガにリストラキャラの固有技が取り込まれているため、それらの中で闘神に殺された者も多いと思われていた。 --だがシリーズが進むにつれて実は生きていたキャラが多くなり、プレイヤー間で&bold(){「闘神、殆ど誰も殺せてない」}とネタにされる形になった。 //-前作から19年後にしたのは「色モノキャラをリタイヤさせて格好いいキャラに入れ替えたい」という思惑もあった。 //-タイトル名はナンバリングではなく『炎の鉄拳』にするという案があったが早々に没になった。 //-仁の名前は両親の「一八」と「準」から一文字ずつ取って「準八」にするという案もあった。読み方は公表されていないが、おそらく「ジュンヤ」と思われる。 //余談としても些末なのでCO。
---- *鉄拳3 【てっけん すりー】 |ジャンル|対戦格闘アクション|CENTER:&image(198900_10980_front.jpg,width=160)[[高解像度で見る>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3289&file=198900_10980_front.jpg]] [[裏を見る>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3289&file=198900_10980_back.jpg]]| |対応機種|アーケード(SYSTEM12)&br;プレイステーション|~| |発売・開発元|ナムコ|~| |稼動開始日|1997年3月20日|~| |発売日|1998年3月26日|~| |定価|5,800円|~| |廉価版|PlayStation the Best&br;2000年8月24日/2,940円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[鉄拳シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) //#image(tekk0009.png,width=300,height=250) ---- **概要 3D格闘ゲームを代表するシリーズの3作目。~ 前作『[[鉄拳2]]』から19年後を舞台とし、既存キャラの多くが世代交代を遂げることになった。~ 新主人公として前作までの主人公格「三島一八((本作は前作の平八のエンディング「一八を敗北に追い込み火山の火口に投げ捨てる」を踏まえたストーリーとなっているため、プレイヤーキャラとしては未登場。AC版のデモでのみカメオ出演。))」の息子である「風間仁」が登場。~ システム面でも大きな改良が施され、後のシリーズの基礎を確立させた作品となった。~ 今作品も家庭用に移植され、2018年までに全世界で832万本を売り上げた。~ これはカプコンの『[[ストリートファイター2>ストリートファイターII]]』を抜き、格闘ゲームジャンルでは最大の売上本数である。 ---- **ストーリー //長いので畳みます #region >第2回大会は三島平八の優勝で幕を閉じ、敗北した三島一八は火山の火口に投げ込まれた。~ 一方、一八の中に眠る神秘的な力にただひとり気づいていた大会参加者の一人・風間準は、~ その不思議な力から彼を解放しようと試みるも果たせず、彼の神秘的な力に吸い込まれるようにして~ 一八との間に身ごもった子・風間仁と共に、故郷の屋久島で静かに暮らしていた……。 > 平八は世界征服の野望を果たすためには世界各国の信頼を得る必要があると考え、第3回大会を長らく開催せず、~ 紛争地域への鉄拳衆派遣や貧困国の開拓などの慈善事業に尽力する。~ こうして、三島財閥の力で世界は平和に近づいていった。 > >第2回大会から15年の月日が流れたある日、鉄拳衆が古代文明の遺跡で謎の生命体を発見する。~ 平八は回収を命じるが、謎の生命体の襲撃を受け、鉄拳衆は全滅。~ 悲しみに暮れる一方で、その圧倒的な力を目の当たりにしたことで平八は若き日の世界征服の野望を再燃させ、~ なんとしてもその生命体「闘神(オーガ)」を手に入れようと考える。~ 一方、復活した闘神の襲撃により、各地の名だたる格闘家が襲われるという事件が起きてゆく。 >胸騒ぎを感じた準は、仁に三島家のこととこれまでに起きたことを話し、~ 何かあれば祖父である平八を頼るように告げるが、その直後、闘神の襲撃を受ける。~ 母の制止を振り切って立ち向かうもあえなく敗れた仁が目を覚ました時、既に母の姿はなく~ 目の前に圧倒的な力の前に蹂躙された大地が広がるばかりであった。~ 自分の力不足を痛感した仁は母の言葉に従って祖父・平八を訪ね、闘神への復讐のために自らを鍛えるよう乞う。~ 平八は知る由もなかった孫の出現に驚くが、事情を聞いて仁を受け入れ、彼に三島流喧嘩空手を叩きこんで鍛え上げる。 > >それから4年の時が流れ、19歳となった仁は三島流喧嘩空手と風間流護身術を扱う一流の格闘家となった。~ 機は熟したと見た平八は闘神を誘き寄せるため、格闘家の集まる舞台として第3回大会を開催する。~ かつての参加者の弟子や息子、仁と同じく闘神への復讐を誓うものなど、様々な思惑を抱えた者たちが集うのであった。 #endregion ---- **特徴 -「横移動」システムが追加((厳密には2の一八にあった固有ダッシュ(霧足)を、全キャラが使用できるようにしたものといえる。それ以外にも軸移動技自体を持つキャラは数名のみだが、2の時点で存在していた。))。 --レバーを上・下のいずれかに素早く入れてからニュートラルに戻すことで、軸をずらして画面奥もしくは手前に移動できる。 ---代わりに従来の「小ジャンプ」「一瞬だけしゃがむ」がレバーの上下で行えなくなったが、これはレバーの斜め上下で代替えが可能。 -キャラごとに異なっていた中ボスの概念の削除 --前作までは各使用キャラに対応した中ボスキャラが存在していたが、対応キャラのコンパチに当たるキャラクターが多かったため、廃止によって技構成・操作体系の面において重複していたキャラクターの大部分が淘汰された。 --本作では1人プレイの際に固定で登場する中ボスが三島平八(平八使用時は風間仁)のみとなっている。 ---- **キャラクター #region(デフォルトのプレイヤーキャラクター) -風間 仁(かざま じん) --本作の主人公。平八使用時の中ボス。前作のボスキャラ「三島一八」と前作のプレイヤーキャラ「風間準」の間に生まれた子供。母を奪った闘神への復讐を誓い、祖父・平八に師事して格闘を学び第3回大会に臨む。 ---格闘スタイルは「三島流喧嘩空手改+風間流護身術(母から教わったもの+我流)」。前作までの一八の後継・発展キャラとして風神拳など同種の技を用い、それに準の固有技を加えたハイブリッドキャラとなっている。 -凌暁雨(リン・シャオユウ) --前作までに登場した「王椋雷」の遠戚かつ拳法の弟子である中国人の女子高生。大人顔負けの拳法使いながら世界中のテーマパークや遊園地が大好きな子供っぽい性格で、理想の遊園地を中国に建てる当てを求めて平八に接近。取り押さえようとした鉄拳衆を返り討ちにしたことで平八に実力を認められ、「第3回大会に優勝したら思い通りの遊園地を建ててやる」という約束を取り付けて大会に参加する。 ---格闘スタイルは「八掛拳・劈掛拳をベースとした各種中国拳法」。設定に反してワンとの共通性は少なく、「鳳凰の構え」や「背中を向ける」など、構えの変化を駆使したテクニカルな動きを持つ。 -花郎(ファラン) --前作に登場した「白頭山(ペク・トー・サン)」の弟子にあたる若きテコンドー拳士。普段はストリートファイトを利用した詐欺集団のトップとして活動しているが、ある日訪れた三島財閥をカモにしようとしたところ、対決した仁を相手に生まれて初めて「引き分け」の屈辱を味わうことになる。ペクから三島家のことを聞いた彼は三島流喧嘩空手と仁への対抗意識を燃やし、今大会で決着をつけようと考え参加。また、大会前に失踪したペクの行方を追っている。 ---格闘スタイルは「テコンドー」だが、ペクの固有技をほとんど使わず、代わりにシャオユウらと同様の構えチェンジを組み込んだスタイルになっており、仁のような後継キャラというより設定を引き継いだ新規キャラのような趣となっている。 -エディ・ゴルド / タイガー・ジャクソン --ブラジルの資産家の息子。麻薬シンジケートを追っていた父が殺害された後、父の遺言に従いあえて父殺しの犯人として捕まり服役した後、刑務所内で出会った謎のカポエイラマスターの老人からカポエイラを習い、出所後、復讐の足掛かりとして三島財閥に接近すべく大会に参加する。 ---格闘スタイルは「カポエイラ」。逆立ちなど後述の特徴が大きく表れたキャラとして評価が高い。 --当初はナンバリング上の次作『[[鉄拳4]]』に登場するクリスティが用意されていたが、諸事情からデザインし直されたという経緯を持つ。その没デザインの一つであるアフロヘアーの「タイガー・ジャクソン((設定上はエディとは別人らしいが関係は不明。))」が3Pカラーとして使用可能。 -キング --ジャガーのマスクのプロレスラー「キング」の2代目。前作までに登場した「キング」の孤児院で育った青年。 --先代キングが何者かに殺された後、先代の遺志を継いで孤児院の経営維持のためリングに立つも、慣れないプロレスに苦戦を続けていた。~ そんな中、先代のライバルであったアーマーキングと出会い、彼を師匠と仰いで修行を積んだ末、ジャガーのマスクを受け継いで名実ともに2代目となる。~ そして師匠から先代殺害の犯人が闘神であることを知らされ、復讐を果たすべく大会に参加する。 ---格闘スタイルは「プロレスリング」。本作では漫画『キン肉マン』のキン肉バスターをモデルとする技「マッスルバスター」が搭載された。 -フォレスト・ロウ --前作までに登場した「マーシャル・ロウ」の息子((マーシャルはOPとEDムービーのみ登場))。道場の2代目師範となるべく修行中であり、他流試合を禁じられているのだが、「修行に行く」とのポールのウソに乗せられ大会へと連れ出された。一方で自分の実力を試したいという思いもあり、そのまま大会に参加。 ---格闘スタイルは「マーシャルアーツ」だが、やはり父と同じくジークンドーのような技を使う。 ---4以降のナンバリングタイトルでは再び父親マーシャル・ロウに戻された((4で父マーシャルに戻した理由は開発陣が「親父キャラが好きだから」とのこと。))。その為番外編のタッグシリーズを除けば息子フォレストが使えるタイトルは本作のみに留まっている。 -ポール・フェニックス --多くのキャラが世代交代する中、前作から引き続き登場。逆立てた金髪と赤い道着が特徴の自称宇宙一の格闘家。髭を蓄えた顔になるなど、彼もまた相応に年を重ね渋くなった。前大会もまたクマに阻まれ優勝を逃してしまい、その後数々の大会を制覇して今や子供たちの憧れの格闘家になったものの、物足りなさを感じていたところに第3回大会開催の通知を受け取る。46歳まで修行を怠らず続けた自身の優勝を確信し、今度こそ大会制覇を狙って参加する。 ---格闘スタイルは「柔道をベースとした総合格闘技」。投げ技・打撃技ともに増加した他「浮草」というスウェー動作とそこからの派生も追加された。それでいて「崩拳」の一撃も健在である。~ またお遊び要素として、前作『2』のロウのエンディングで見られたサマーソルトキック(を真似ようとして失敗し頭から落ちる動作)を「サマーソルトNG」という技として実装。当然(?)、使うと自らもダメージを受ける((自らダメージを受ける技を持つキャラはシリーズでは吉光に続き2人目。))。 -雷武龍(レイ・ウーロン) --ポールと同じく、前作から引き続き世代交代せずに登場。前作でブルースとの接触に失敗するが、その後は警察官として八面六臂の活躍により「スーパーポリス」の異名をとるほどに躍進する。そんな中、謎の格闘家連続失踪事件を捜査することになるが、そこに平八が現れて第3回大会への参加を依頼される。怪しみつつもこれを承諾し、出場。 ---格闘スタイルは「五形拳を主軸とした各種拳法」。ジャッキー・チェンがモデル((本作以降、対戦中のボイスもジャッキー・チェンの吹き替えでお馴染の石丸博也氏となった。))だけに、五形拳の構えを使いこなす姿は格闘ファン必見である。 -ニーナ・ウィリアムズ --ポールらと同様に前作から引き続き世代交代なしで登場するが、彼女は前大会で三島財閥に捕まり''コールドスリープ技術の実験台に使われた''という設定で、外見や肉体年齢は『2』の時代から全く加齢していない。闘神の呼びかけに応じて記憶喪失状態で目覚め、闘神に操られるまま仁抹殺のため動き出す。 ---格闘スタイルは「骨法、合気道をベースとした暗殺格闘術」。 ---本作では安室奈美恵を思わせるモデリングがなされている。また、前作までは%%オバサンじみた%%年齢にそぐわない声を発していたが、本作からは後述のアンナ共々ボイスが一新され、肉体年齢相応の声が当てられた((なお、ニーナに関しては同じ声優による再録である(アンナは不明)。))。これにより、加齢していないどころかむしろ若返った印象すらも受ける。 -吉光(よしみつ) --前作から引き続き登場の、義賊集団「卍党」頭領の忍者。恩人であり協力者のDr.ボスコノビッチが研究中の事故で謎の病原体に侵され、それを救うために闘神の血が必要と知り、大会に参加。 --般若面のデザインが完全に骸骨でプレデターのような頭部と一体化したものとなり、さらに人間離れした容姿へと変化。加えて所持する妖刀吉光までも怪しげな光を発するライトセーバーのようなものになっている。 --以降の作品でもさらにデザイン変更が重ねられるが、『[[鉄拳タッグトーナメント]]』は当時の最新である本作の容姿で出場。その後は『[[鉄拳6]]』と同時期の設定であるクロスオーバー『ストリートファイター×鉄拳』でも本作のデザインが採用された。 ---格闘スタイルは「卍忍術進化型」。地面に刀を立ててその刀に乗ったり、胡坐をかいて祈るようなポーズで回復したり、刀で切腹したりとトリッキーな動きは健在。 #endregion #region(タイムリリースキャラ) -クマ(2代目)/パンダ --''もはやシリーズを象徴する色物枠として定着した動物キャラの一角''。選択時のボタンでキャラが変わり、パンチボタンでクマ、キックボタンでパンダとなる。ただし、顔グラフィックは両方ともクマのまま、性能も同じ。 --クマは平八のペットにして修行仲間であった先代の息子。19年という時の流れ故に初代は老衰で死去し、初代が果たせなかったポール打倒を目標に大会に参加する。 --パンダはシャオユウのペット兼お目付けで、性別はメス。平八によってクマと同じ技を叩きこまれ、シャオユウに付き合って参加。クマからは惚れられているが、パンダは相手にしていない。 ---格闘スタイルは「平八流熊真拳改」。 ---冗談のような話だが、本作がリリースされた後で中国大使館からナムコに電話があり、パンダを格闘ゲームのキャラに使った抗議だと思って恐る恐る出たら「パンダの尻尾は黒じゃない、パンダの尻尾は白」と指摘されたという逸話が残っている。 -ガンジャック --吉光・クマと並びシリーズきっての色物キャラであるジャックシリーズの1体。前作の「ジャック-2」が助けた少女ジェーン((前作のオープニングやジャック-2のストーリーとエンディングで幼い姿で登場。ジェーンの名は本作が初出。))は成長して物理学者となり、Dr.アベルの手で破壊された彼を復活させようとしていた。そのためにジャック-2と「プロトタイプ・ジャック」を材料として作られたが、記憶部分の修復ができず、そのプログラムが三島財閥の系列会社によるものと知った彼女により参加させられる。前作までのジャックと違い銀色のパーツが追加されたいかにもロボット然とした見た目だが、3Pカラーで前作までと同様の人間に近い姿が使える。 ---格闘スタイルは「力任せ」。これまでのジャック系の技に加えて''何故か前作までの巌竜の技が追加''された(通称・巌ジャック)。ジャックが四股を踏んだりちゃぶ台を返したりする光景はある種異様。 -ジュリア・チャン --前作までに登場した「ミシェール・チャン」の義理の娘で、拳法を受け継いだ少女。平八によってミシェールが誘拐されたと知り、母を救うために大会に参加する。エンディングではミシェールも登場。 ---格闘スタイルは「心意六合拳・八極拳を基本とした各種中国拳法」。~ 設定の通りミシェールの後継キャラだが、オリジナルの固有技が多く追加された他に、共通の技にも若干の仕様変更があり、かなり操作感の異なるキャラになっている。 -ブライアン・フューリー --元はICPOに所属する刑事でレイの同僚だったが、ある事件で殉職((『2』のレイのストーリーで登場した、マフィアや一八を追っている最中で殉職した同僚とは別人(そもそも本作でのブライアンの年齢は29歳なので、単純計算すると『2』では10歳ということになる)。))。その後三島財閥のDr.アベルに拾われてサイボーグ((公式設定では「レプリカント」とされている。レプリカントは彼がモデルになってもいるルドガー・ハウアーの代表作でもある映画『ブレードランナー』における人造人間の呼称である。))として蘇生。彼の命令でボスコノビッチの開発した永久機関を狙い、大会に参加する。 ---モデルは俳優のルトガー・ハウアー。ビジュアル面の癖はそこまで強くない部類だが、一部技の使用時や勝利ポーズ時に不気味な笑い声を発したり、PS版のエンディングでは完全武装の鉄拳衆相手に素手でハチャメチャに暴れたりと、色物具合は吉光やジャックに負けず劣らず。 ---格闘スタイルは「キックボクシング」。ブルースの後継キャラとして扱われるが((本作の後継キャラの中では唯一、元キャラとのストーリー上の繋がりが存在しない。))、彼もまたマッハパンチなどオリジナル技を多く有しており異なるキャラ造形になっている。全体の挙動もムエタイ寄りだったブルースとは一線を画し、ハンマーナックルやプロレス技などキックボクシングの範疇を外れた技も持つ。 -木人 --練習用の木で出来た人形が闘神の影響で動きだしたもの。''最早生き物ですらない。'' ---格闘スタイルは「木人拳」となっているが、ラウンドごとに他のキャラクターの技構成やモーションに入れ替わるという独自の仕様になっている。~ 家庭用ではコマンドリストが「?」だけになっており、他のキャラの技性能の把握と、どのキャラクターに変化したかの見極めを要する。 ---ちなみに吉光になった場合は、刀を手にして登場するため一目でわかる。 --他のキャラクターに変わっても木人の背丈や手足の長さは変わらない。例えばガンジャックになると、ガンジャックの攻撃判定の広さが木人の標準体型のせいで狭くなるし、短足のクマ/パンダになった場合は足技のリーチが本家に比べて長くなるなど。標準体型になることで技の攻撃判定が元キャラと変わることがあり、元キャラが使っていたコンボが出来なくなる、元キャラよりリーチが上で牽制しやすくなるなどメリット・デメリットが更に発生する。全キャラへの幅広い知識と、木人の体型を考慮した限定コンボを考えなければいけない場合もあるため、相当な玄人向けキャラである。 -三島 平八(みしま へいはち) --前作の主人公。本作では中ボス(平八本人を使用している場合は仁が中ボス)。仁の祖父にして三島財閥の現総帥。年を重ね顔に皺が増え、髪も髭も真っ白になったが未だ鍛え抜かれた肉体は衰えておらず、最強の鉄拳王として君臨する。 --本作稼働前に発売された『初代』『2』のOVA版からの逆輸入で、本作より声優が平八のモデルとなった『魁!!男塾』のアニメ版で江田島平八役を務めていた郷里大輔氏に変更された((その後『6』まで担当した。なお郷里氏は『6』発売後の2010年に死去したため、以降の作品では声優が石塚運昇氏に変更されたが、石塚氏も『7』発売後の2018年に死去してしまった。))。 ---格闘スタイルは「三島流喧嘩空手」。 -オーガ(闘神) --本作のラスボス(の第一形態)。古代文明の遺跡から現れた謎の生命体。宇宙人が置き去りにした戦闘兵器とも言われる。マヤ文明の英雄風の見た目だが肌は緑色。強力な格闘家の魂を欲しており、第3回大会の衝突にいざなわれる。 ---「世界各地の強者達の魂を欲し、取り込んでいった」という設定の通り、固有の格闘スタイルは無く、過去作の登場人物の固有技を組み合わせて戦うキャラクター((ただし、彼が持つ技の元の使用者のうち正史において接点があった人物は風間準、初代キング、ペク・トー・サンのみ。))。 -トゥルー・オーガ((トゥルー・オーガの名は家庭用版で初出で、次回作『TAG』でもこの名が使われている。アーケード版ではオーガ第一形態とは別キャラでありながらも名前が同一のままであった。)) --前述のラスボス、オーガの第二形態であり真の姿。オーガから一本でもラウンドを取ると、倒れている平八(平八使用時は仁)の肉体と魂を吸収してこの姿に変化する。二本の角が生え巨大な翼と尻尾を持つ怪物の姿。 --変身前と同様の技に加えて、前作のデビルブラスターのように火を噴く技なども使うようになる。また腕のリーチが大幅に伸びる強化が施されるが、その一方で脚のリーチは短くなり、喰らい判定が極端に大きくなるデメリットも。 --余談だが、本作(AC版、PS版共に)と次回作タッグトーナメントのAC版でトゥルー・オーガをどちらか一方でも使用すると、ステージ問わず背景が真っ暗(黒)で何も表示されていない状態になる。 ---理由はトゥルー・オーガのキャラサイズが見た目通り非常に大きく、その分一度に表示できる容量を食うため。~ しかし一方で人外でラスボスというキャラも相まって、「発生させた固有結界みたいでかっこいい」と演出の一種に見えるという意外な評価?も見られた。 #endregion #region(家庭用での追加キャラ) -アンナ・ウィリアムズ --ニーナの妹。アーケードではニーナの3Pカラーだったが、家庭用では技構成が差別化され独立キャラとなった。彼女もまたニーナと同様のコールドスリープを受けたため加齢していないが、目覚めたニーナだけは記憶が失われていることから姉妹喧嘩もままならないと考え、回復の手がかりとなりそうなボスコノビッチに接触することを目的に参加した。 --格闘スタイルは「暗殺格闘術」。 --余談だが、国内版と海外版とでエンディングの内容が若干異なっている((エンディングの一部シーンが海外では「セクハラに該当する」という指摘があったため。))。 -ゴン --田中政志の漫画『GON』からのゲストキャラクター。他キャラの膝ほどの背丈しかない小型の恐竜で、前作のアレックスと同様ボクシンググローブを付けている。火を噴いたり屁で攻撃したりとコミカルなモーションで戦う。 ---ストーリーには当然かかわってこないが、エンディングムービーはちゃんと用意されている。 -Dr.ボスコノビッチ --ジャックや永久機関などを開発した天才科学者で、ストーリーの一端を担う重要人物。 --老人らしいぎくしゃくとした変な動きが特徴で、すぐに倒れ込んだりして扱うことすら難しいというトリッキーすぎるキャラ。~ スタッフ曰く「老人らしい動作を他のキャラクターのモーションから適当に詰め込んだ」らしい、ブラックボックスである。 --性能に関しては、オーガ同様、本作に登場していない様々な過去作のキャラの技を多く持っているほか、それを独自にアレンジしており、非常に奥が深くバリエーション豊かな独特の中の独特とでも言うべきキャラになっている。 --後に『タッグトーナメント2』でプレイアブルキャラとして再登場したが、本作から大幅な調整が加えられ、残念ながらほぼ別キャラと化している。 #endregion ---- **評価点 &bold(){システム面の刷新と調整} -横移動の追加による3D空間を活かした駆け引きの概念の導入 --横移動そのものは『バーチャファイター3』で既に採用されていたシステムではあるが、そちらでは専用のボタンを使う必要があったのに対し、レバー入れだけで出すことができ、非常に入力しやすい。 --この操作形態はVFにも受け継がれていくことになる。 --その他にも「投げ抜け」や「受け身」など、様々な細かい点で新要素の追加や調整がされている。 &bold(){キャラクター造形と設定の一新} -前作まではキャラクターがビジュアルやデザインコンセプト両面で濃くB級な雰囲気を漂わせていたが、前作より高性能の基板を採用しグラフィックが強化され、キャラの体型のデフォルメが無くなった。それに加え、主人公の空手家「風間仁」やそのライバルであるテコンドー拳士「ファラン」、中国拳法を使うヒロイン「リン・シャオユウ」など、新キャラの面々は往年の格闘ゲームキャラの王道を意識し、アクの取れた純粋に格好いいキャラ造形となっている。~ 前作からのキャラもイメージが一新されるなど、イロモノ的な雰囲気はやや抑えめで全体的にスタイリッシュになっている。ボイスも大幅に一新され、インターフェイスやBGMなどもそれに合わせたものになっている。~ その一方で、旧作からさらに人間離れした宇宙忍者「吉光」や、人間ですらない「クマ」も引き続き登場、果ては生物やロボットという概念すら超越した新キャラ「木人」など、『鉄拳』シリーズのイロモノ感満載の濃さはキッチリと引き継がれている。 -本作で特筆すべきはキャラクターの技モーション。実際の格闘家からモーションチャプチャーすることで、非常にリアルで滑らかな動きを実現している。 --それが最もよく現れているのが新キャラであるテコンドー使いの「ファラン」とカポエイラ使いの「エディ」。どちらもその道の達人のモーションをキャプチャーしている。 --前作まではニュートラルポーズの流用が多く、流用以外でも「左腕を立て、右手を左肘の高さに構える(ポールや一八など)」「両拳をボクサー風に水平に構える(平八や準など)」といった似たり寄ったりなものが目立っていたが、本作ではニュートラルポーズが前作のイメージを残しつつ多様化し、他のキャラとの共有がなくなった。木人の登場により、元キャラの判別性を高める必要が生じたことも影響していると思われる。 ---この傾向は『タッグトーナメント』で再登場した旧キャラにも引き継がれている。 -1キャラあたりの技の数が全体的に前作より大幅に増えている。加えて、通常時とは別の技を出せる「構え」の存在。 ---これにより、ライト層には「適当なガチャプレイでも様になったような動きが可能」、ヘビー層には「的確な操作は非常に複雑で奥深く、慣れれば操作するだけでも快感が得られる」という、お互いのユーザーを満足させる反目するような特徴を両方備えることができた。勿論、難しい操作を要求しないポールやロウなど、極める目的でも使いやすいキャラもいる。 ---- **賛否両論点 //BGMは多数から評価された訳ではないが曲や音質として破綻したいるものはなく、一部人気も高い楽曲もあるので賛否に移動します -BGMが地味。 --当時としては珍しいデジタルロック((「デジタルロック」自体は日本特有の呼称だが、日本でもケミカルブラザースやファットボーイ・スリムといったミュージシャンが取り上げれられていた時期でもあり、後にこれらのサウンドは「ビッグビート」という名称で浸透していった。))を採用しギターサンプリングやシンセエフェクトを主体とした楽曲群はメロディーや生楽器の音色などによる特徴付けを意図的に排した構成になっている。 --ラウンドが進む毎にフレーズをターンオーバーさせ展開を盛り上げるという試みも取り入れられていたが、ゲームセンターの騒音と相性が悪く、効果的とは言えなかった。~ またシームレスに変化を付けるという性質上、メモリレベルでの演奏でないと実現できなかったためか、プレイステーション1版では再現されなかった。 --ゲームミュージックとしては斬新な試みであったがユーザーの評判は良くなく「ほとんど評価された事がない」「『バーチャファイター』のような曲がいいと言われた」等と作曲者自身が述懐している。 ---評価は芳しくはなかったものの、曲の質そのものは極めて高い。ジャンルを統一したにもかかわらず、キャラクターとステージの雰囲気やイメージを的確に捉えており、地味ながらも味わい深い作りになっている。~ 続編でもこういった打ち込み系のサウンドや最新のジャンルを意図的に使用しており、シリーズのBGMの色として少しずつながらも定着していった。 ---- **問題点 ***対戦バランス面 //後年の作品と比べるのはNG //BGMとは逆にこちらを改善の余地のあるゲーム上の「問題点」として入れ替えました 前作から大きく改善・進化したとはいえ、対戦バランスは、キャラ性能面、ゲームシステム面共にやはりまだまだ未成熟。さらに当時流行していたバックダッシュを使いこなしたスカし戦法は多くから批判の的にされがちだった。 -横移動の調整不足 --3D空間を活かしたシステムではあり、前作で一部キャラに既に存在した軸移動を発展させたこともあって発想は評価されてはいたが、横移動と攻撃判定に関わる部分に調整不足が目立つ。本作では横移動で敵の攻撃を回避しようとしても''やるだけ無駄と言いたくなるレベルで相手の攻撃が刺さってくる''上、上述のようにバックステップでのスカ狙いが強すぎるため、実質的には旧作同様に前後移動で戦うゲームのままになっている。横移動は一部キャラの横移動からのみ出せる専用技を出すためだけに使うようなものになってしまっているのが残念なところ。 -その他共通するシステム面での難点 --下段回し蹴り系の技はクリーンヒットでなくても1発でダウン。しかもガード時の弾かれモーションが存在しない。ローリスク・ハイリターン。 --ロウ以外のキャラのスラッシュキックはガード後17Fの間ガードできない。平八ならスラッシュキックをガードされても崩拳などが確定する。 --バックステップ強し。稼動当時は後ろに下がってスカしを狙う戦法はチキンとみなされ、自粛する空気があった。 以下各キャラ毎の調整不足な点の中でも目立ったものを記す。 #region() -仁 --奈落払い・螺旋幻魔脚がガードされても止まらない。適当にクルクル回ってるだけで結構強い。 --紫雲二段蹴りの1段目が下段。手動でガードしてないと2段目まで食らって浮かされる。 --「鬼八門キャンセル」(アーケード版限定)。バグ技だが、これを使った連携が非常に強力。ヒットガードを問わず圧倒的有利な状況に立てる。 -ファラン --ハンティングホークの3発目入力していると2発目をガードされても17F有利。その後半月蹴りなどが確定。 -ポール --崩拳にクリーンヒット判定がなく、距離を問わず大ダメージ。 --落葉1段目が距離によらずダウン属性。ガードされても止まらず、2段目が中段なので、ガードしきるのは困難。&br;さらに崩拳ステップから直接出せるため、ディレイ崩拳との二択が超強力。 --また、崩拳にホーミング性能が付加されており、攻撃判定の発生の瞬間に相手の位置を追尾するため横移動での軸ずらし回避に強いという特徴がある。 -ロウ --ハイキックライトサマーがノーマルヒットで連続ヒットする。当たれば5割以上のダメージ。 --システムとしての下段さばきが存在しないため、ドラゴンラッシュが脅威。 --下段技のドラゴンテイルがガードされても弾かれない。といっても反撃は受けるので、他キャラの足払いに比べればおとなしい方だが。 -レイ --各種後掃腿がガードされても止まらない。反撃はせいぜい立ち途中RKしか入らない。 --龍声中段脚が連続ガード。反撃も入らない。 -平八 --風神拳が中段。奈落払いとの完全二択が成立する。 --奈落払いはガードされても止まらない。踵落としに派生すればノーリスク。 -オーガ --ケツアルクアトルが隙の少ない中段からガード不能の連携技であり、喰らうとコンボ直行。横移動で回避できるがタイミングに癖がある。 --魔神拳が仁と比べると超高性能で(以前の一八仕様)、クリーンヒットでよろけを誘発しその上回復不可。&br;よろければコンボで5割以上のダメージは確定、お手軽なものではバックスピンキック(RK)を当てるだけで大ダメージ。 ---コマンド投げの残月が投げ抜け不可で更に追撃が見込める。この投げ抜け不可の仕様上、魔神拳よろけから残月がコンボになる。 -トゥルー・オーガ --腕が長くなる事によりパンチ技のリーチが伸びる一方で、足が短くなる、巨躯でやられ判定が大きくなるなどデメリットも沢山。 --異常に喰らい判定が大きく、ダウンしていても様々な技を食らってしまう。特に仁の胴抜きは圧巻。 --ダウンしていなくても、吉光の朧車には手も足も出ない。ジャブ・朧車・吉光ブレード。この3つでほぼ完封できる。 #endregion などとまだまだ改善の余地が多い。本シリーズにおいて完全ではなく批判が全くない訳ではないが、「対戦バランスが良い」と評される作品は次回作『タッグトーナメント』まで待つことになる。&br; 余談だが、あまり知られていないが、鉄拳3には目に見えない「壁(画面端)」が存在し、敵を壁際まで追いつめて浮かせればLP×αという超簡単な永久コンボを決めることができる。 -もっとも壁までの距離は非常に長く、実戦で目にすることはないだろう。(その前に決着がつく) ***その他の問題点 -打撃音が前作までに比べて全体的に軽くなっており、重厚感が薄い。 -過去作の多くのキャラのリストラ --ストーリー設定を見てもわかる通り、本作は前作『2』より実に19年もの時が流れたと言うこともあり、キャラ選出も世代交代が図られたのだが、それに伴い多くのキャラがリストラされた。特にジャックとミシェールのリストラは、『1』からそれしか使っていなかったプレイヤーを路頭に迷わせる結果となった((後にタイムリリースでコンパチキャラが登場するが、発売当初はタイムリリースキャラの存在自体がアナウンスされていなかった。))。 --勿論、これは冒頭でも述べたようにあまりにも性能と技の重複が多かったコンパチキャラの淘汰と整理、あとはマンネリ化を避けるという理由もあったり、一部は各キャラのストーリー内で登場したり(シャオユウの遠い親戚であり師匠のワン、ファランの師匠であるペクなど)、性能的にも過去作のキャラを受け継いだ新キャラもしっかり用意してはあったが、やはり過去作からのファンからは否定的な声もあった。 --前作初登場キャラもレイ以外は全員リストラ。特に前作のヒロイン的ポジションであった風間準は、ストーリー設定((『3』では設定上「闘神に襲われ消息不明」とされていたが、『5の時点では「死亡」と変更されていた。))上、長らくナンバリングシリーズでの再登場の機会に恵まれない状態になってしまったため、ファンとしては微妙なところ。 //---後にTTシリーズでプレイアブルキャラとして復帰は果たしている。 //本編ストーリー上は「死亡」という扱いになっているため、ナンバリングでの再登場の見込みは薄い。 //後付け設定による変更は本作でも珍しいことでないし、最新作でも復帰がアナウンスされてるからここは消しときます。 --とはいえ本作から登場した弟子や子供などの後継キャラの評価が悪いわけではなく、むしろ師匠や親との関係でよりストーリーに熱さと深い味を持たせるに一役買ったキャラも多い。 ---特に、2代目キングと初代キングやアーマーキングとの師弟関係、ファランとペクとの師弟関係や、何度破壊や機能停止をしても幾度となく復活とバージョンアップが施され、ジェーンとの絆も次第に描かれていったジャックシリーズ(本作ではガンジャック)のストーリーは後作でも掘り下げが行われていき、評価も高い。 --その後外伝のタッグシリーズを除き、『4』以降のナンバリングタイトル上でも、リーやブルース、ペク、ワン、(名目上では子供に世代交代してだが)ロジャーJr.、巌竜、そして一八など、様々なキャラが復活。しかもただの復活だけでなく、重複を避けるために既存のキャラとの性能の大幅な差別化も図られた。 --一応、リストラされたキャラの固有技の一部はオーガに取り込まれる形で収録されている。 -縦の解像度も倍になったが、インターレース表示なので常時フリッカーが発生して画面がちらついていた。 --これは設定でオフにすることができる。オフにすると縦の解像度が半減するが縦2ドット分をミックスするわけでなく単純に片側ラインをスキップするだけ。 -抱き合わせの汎用筐体がいまいち使いづらい --当初はナムコ製新汎用筐体「サイバーリード」((主な特徴としては「基板との配線及びハーネスは新旧JAMMA規格両方に対応」、「外部モニタ接続可能」、「対応ソフト稼働時は筐体上部にある電光掲示板に各種インフォメーションが流れる」、「対戦台を構築する際は配線1本で比較的簡単に筐体同士を接続可能」など))と抱き合わせでの販売((『鉄拳タッグトーナメント』でも抱き合わせ販売がされていた。))から始まった本作だが、その筐体の設計はコンパネの位置が少し高くレバーが少し長い等お世辞にも褒められたものではなかった。 --当時、本作とこの筐体を込みで購入したオペレーターは、『鉄拳3』の基板だけを広く普及していたセガのシティ系汎用筐体(アストロ/ブラスト/バーサスシティなど)や他社の汎用筐体に移して、件のサイバーリード筐体はゲーセンの隅に追いやっていた。 --その一方でこの筐体は&bold(){構造上縦画面に出来ないと言う欠点があり}、店舗運営上それを補うために各社汎用筐体はもちろんのこと、ナムコ直営店舗では前世代の筐体である「エクセリーナ2」((こちらは基板と接続するハーネスに旧JAMMA規格のものしか使用できない))を併用していたほどである。 ---- **総評 新機軸の「横移動」の追加による3D空間を活かしたゲーム性の導入やビジュアルイメージの一新とグラフィックの向上によるゲーム全体の雰囲気の変化、より個性的になったキャラクターたちやストーリーなど、見どころは多い。 一方でやはりというべきか、対戦バランスの面では粗が否めず良くいえば爽快感あふれる、悪くいえば大味すぎるゲームとなったが、前作までの粗削りさはだいぶ改善されてきてはいる。~ システムやゲーム性の根幹も本作て確立され、対戦ツールとしての基盤がここにきてようやく整ったと言えるだろう。 以降、本作そのものが後続のシリーズ作品のベースとして受け継がれていくことになる。 ---- ---- **家庭用版 ''PS版'' -アーケード版稼動から一年後にプレイステーション版が発売。 --AC版がPS上位基板であるSYSTEM12((SYSTEM11と比べてCPUクロックが1.5倍高速化されている。一方でメモリはSYSTEM11からの変更はないもののサウンドや画像出力等のアナログ回路が強化されている。ちなみに本作がSYSTEM12基板最初の作品である。))を採用していたために背景が簡略化((一例として、シャオユウステージでは背景のメリーゴーラウンドが回転しなくなっている。))されている等若干の劣化は見られるが、それでも非常に完成度の高い移植。 ---実は元々アーケード版がPSへの移植を考慮して作られていて、キャラクターのポリゴン数は『[[鉄拳2]]』と同程度に抑え、SYSTEM12で増えたポリゴン数は全て背景に回されている。 --PS版『鉄拳』シリーズ全般に言える話であるが、PSへの移植時にはハードの制約上、データを圧縮する等色々苦労していた。 ---具体的には各キャラのモーションデータをAC版の半分に減らす必要があったが、あまりカットすると動きがカクカクになるので、動きをスムーズに補間する特殊ルーチンを入れるなど涙ぐましい努力でアーケード並みのモーションを再現させている。 --見た目はあまり変わらないが、実は横の解像度が512ドットから384ドットに下げられている。 -『鉄拳』シリーズの恒例として家庭用の追加要素も充実している。 --プリレンダCGによるオープニングおよび各キャラのエンディングムービー。美麗なCGムービーはPS時代のナムコ、そしてPSというハードを牽引する要素であった。 --豊富な家庭用オリジナルモード。「鉄拳フォース」というオリジナルのベルトスクロールアクションのようなモードが追加され、後のシリーズにも採用されていった。また「鉄拳ボール」というボールに技を当てて相手サイドに打ち返すビーチバレーのようなゲームも追加されている。 --また、このPS移植版ではアーケード版には登場しない追加キャラクターとして、天才科学者「Dr.ボスコノビッチ」と、漫画『GON』からのゲスト出演で体格の小さい恐竜(オス)の「ゴン」が隠しキャラとして登場している。また、アーケード版では姉であるニーナの3Pカラーという扱いだった「アンナ」も固有キャラとして登場。 --木人の出るステージでは、ステージ毎にモーションデータを読み込むローディングが発生するが、既にモーションデータがメモリにある場合はローディングが発生しないので、ローディングの有無でキャラクターを判別することもできた。 -本作は前2作と違ってゲームアーカイブス配信が行われておらず、家庭用の独自要素は長らく実機でしか楽しめなかった。 --このため一部のユーザーからは、『前述した「ゴン」が版権的に使いづらいのが原因ではないか』等と推測されていた……が、「ゴン」の権利は特に問題なく、実際には移植の難易度(PSの性能を限界まで使っていた)とタイミングを逃したことが原因だったようだ。 --その後、2018年12月発売の初代本体を縮小復刻した「[[プレイステーション クラシック>http://www.jp.playstation.com/psclassic/]]」内蔵20タイトルの1つとしてようやく収録となった。 ''PS2版(『[[鉄拳5]]』内に収録)'' -PS2版『[[鉄拳5]]』のおまけであるアーケードヒストリーモードにて、初代『[[鉄拳]]』と『[[鉄拳2]]』と共に本作のAC版が収録された。 --AC版準拠のため、上記PS版の追加要素はエンディングを含めて存在しない。 --AC版のラウンド進行に応じたBGM変化は、サウンドトラック同様に予めフレーズ変化を含めた全パートを通して収録するという形が採られているらしく、一応ではあるが再現されることとなった。ただしあらかじめ収録されたサントラが垂れ流されるだけでラウンドの境目でフレーズ変化が発生するわけではない。つまりPS版鉄拳3と同じ仕様。 --型番がSCPH-75000番台のPS2本体ではアーケードヒストリーの『鉄拳3』が正常に動作しない不具合がある。それ以外の型番では問題なく動作する((2005年に発売された75000番台のPS2本体はコストダウンのために内部の設計が変更されているのが原因で一部のPS/PS2用ソフトが正常に動作しない不具合がある。2006年発売の77000番台では不具合が発生するPS2用ソフトの一部が動作するように改善されている。))。 ---- **余談 -雑誌『ゲーメスト』では、本作の攻略記事内に「''猿者への鎮魂歌''」という連載コーナーがあった。内容は、各キャラでよく使われる技への対策を紹介するもの。 --ちなみに「猿者」とは、同じ技ばかり猿のように出し続けるプレイヤーの事。確かにそれで勝ててしまうゲームだったが…。 ---いずれにしろ、本作の粗削りなゲームバランスを象徴した連載コーナーと言える。 -ストーリーでは「復活した闘神の襲撃により、各地の名だたる格闘家が襲われる」とあり、オーガにリストラキャラの固有技が取り込まれているため、それらの中で闘神に殺された者も多いと思われていた。 --だがシリーズが進むにつれて実は生きていたキャラが多くなり、プレイヤー間で&bold(){「闘神、殆ど誰も殺せてない」}とネタにされる形になった。 //-前作から19年後にしたのは「色モノキャラをリタイヤさせて格好いいキャラに入れ替えたい」という思惑もあった。 //-タイトル名はナンバリングではなく『炎の鉄拳』にするという案があったが早々に没になった。 //-仁の名前は両親の「一八」と「準」から一文字ずつ取って「準八」にするという案もあった。読み方は公表されていないが、おそらく「ジュンヤ」と思われる。 //余談としても些末なのでCO。

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