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*風のクロノア2 ~世界が望んだ忘れもの~ 【かぜのくろのあ つー せかいがのぞんだわすれもの】 |ジャンル|アクションゲーム|>|&amazon(B00005OVT1)| |対応機種|プレイステーション2|~|~| |発売・開発元|ナムコ|~|~| |発売日|2001年3月22日|~|~| |定価|7,140円|~|~| |廉価版|PlayStation2 the Best&br()2002年6月27日/3,129円|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|『1』の要素を正統進化&難易度上昇&br()新たなる冒険の舞台「ルーナティア」&br()更に奥が深く内容が濃いストーリーや伏線|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[風のクロノアシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ナムコのアクションゲーム、風のクロノアシリーズの3作目で、据置機作品としては2作目にあたる。~ シリーズ第1作『[[door to phantomile>風のクロノア door to phantomile]]』の続編という位置付けではある。~ だが、本作の2年前に発売された『[[ムーンライトミュージアム>風のクロノア ムーンライトミュージアム]]』同様、それぞれの作品の世界観やストーリー上での直接の繋がりはない。 ---- **あらすじ ここは異世界<ルーナティア>。ルーナティアにそびえる巨大な塔の中には「世界を支える鐘」が納められています。~ 鐘は全部で4つあり、ルーナティアの4つの国にそれぞれ1つずつまつられ、世界の調停を司っているのです。~ しかし、この世界にある異変が起き始めました。幻獣が世にはびこり、悪い気に当てられた巫女たちが病に倒れてしまったのです。~ それは5つ目の鐘、どこの国にも属さない「闇の鐘」が生まれようとしているのが原因らしいのです。 ルーナティアで一番の予言者、バグジはこう言いました。~ 「泪の海荒れるとき、夢見る黒き旅人が世界を救う。そのリングの力が……、リングの力が世界に和をもたらす」と。 ある日のこと、泪の海でクロノアは巫女見習いのロロとポプカに出会いました。~ 「私はロロ、巫女見習いのロロっていいます」~ 「このコはポプカ」~ 「うっす!」~ 「僕はクロノア」~ 「クロノア……!? 夢見る黒き旅人さまと同じ名前……」~ 「お願いですクロノア様、力をお貸しください」~ 「えっ、夢見る黒き旅人……? 力を貸すって?」~ さて、夢見る黒き旅人とはどういうことなんでしょう?そして、ルーナティアとは?~ クロノアには何のことだかさっぱりわかりません。でも好奇心が不安を吹き飛ばしてくれますし、ロロ、ポプカのように心強い仲間もいます。~ クロノアは未知なる世界ルーナティアでロロ、ポプカと一緒に、世界を救うために旅立ちます。 さあ、クロノアの冒険の始まりです! ---- **特徴 -今作の舞台はファントマイルではなく、「安らぎ」「喜び」「怒り」「まどい」のそれぞれを司る4つの国があるルーナティアという世界。 --「わふぅ」「るぷるどぅ」に代表されるファントマイル語は健在で、アクション中やイベントムービーなどでクロノアをはじめとした登場人物たちが熱演してくれる。 -アクションは前作のシンプルなアクションと操作性を継承している。 --本作ではワールドマップが採用されており、1度クリアしたビジョン(ステージ)に戻って再プレイすることが可能になった。 --これにより取り逃したアイテムの取得や残機稼ぎも容易になったが、とある問題点を1つ生んでしまっている。詳細は後述。 -ハードがPS2に変わったことでグラフィックや音楽、ストーリー演出、ステージギミックが目に見えてパワーアップした。 --フロートボード(スケボーのようなもの)に乗って駆け抜ける高速スクロールのステージがいくつかあり、疾走感と爽快感のあるアクションが楽しめる。 --また2Pを利用したサポートモードというシステムが取り入れられており、仲間キャラクターのポプカを使って穴に落ちそうになったクロノアを上に弾き返すなどの手助けができる。 ---- **評価点 //文章量的に大見出し化する必要性がないので通常太文字に変更。 ''グラフィック''~ -ハードがPS2に移ったことでグラフィックの表現力が向上した。 --キャラクターたちはトゥーンシェーディング技術に似た「クロノアフィルター」と呼ばれる独自技術で描かれており、イベントシーンでもアクションシーンでもぬるぬる動いてくれる。 --前作ではムービー再生で対処していたイベントシーンが今作では全てリアルタイムに描写され、技術力の向上が見て取れる。 -メルヘンチックな世界観、温かみのある色使い、可愛らしいだけでなく時にはおどろおどろしいグロテスクな描写なども健在。 -背景の玉乗り大道芸人に風だまを投げると華麗に避けて別の玉に乗り移る、ミサイルが背後の家屋に落下してステージの地形が変わる、などの背景とステージが一体化した演出も豊富。 --またよく背景を見ると、ステージの先の地形が遠景で見渡せるようになっているところがかなりある。2Dアクションゲームながらハードの性能とグラフィックを活かした3D表現の豊かさは特筆に値する。 ---スイッチを押すと進行方向が別の角度に変わる、徐々に回転していくフロアなど3D表現そのものをギミックにしたステージやボス戦もある。 ''わかりやすく楽しいアクション''~ -使うボタンは前作同様に「十字キー=移動((コントローラーのアナログモードをオンにすれば左スティックでも可能。))」「×or△=ジャンプ」「□or〇=敵を風だま(攻撃)にして捕まえ、投げる」の3つだけ。小さな子供や初心者プレイヤーでも簡単に覚えられる。 --そんなに簡単では単調なアクションになってしまうのでは? と思われるかもしれないが、アクションの多様性がない代わりにステージギミックや敵のバリエーションが豊富。~ そのおかげで最初から最後まで飽きさせることがないゲームデザインとなっている。この点も前作からきっちりと受け継がれている。 --中でも前述のフロートボードに乗って進むステージはノリのいい音楽やほどよい疾走感、ステージ演出の巧みさなどから特に面白い。 --また、それらのステージギミックの多くはただ無造作に配置されているわけではなく「ストーリー上の展開や世界観とリンクしている」ものが多いためそこにある必然性が自然と備わっていて違和感を感じない。 ---一例を上げると、鏡に反射した光景やくぐることでステージが上下反転する扉を活用して進む美術館ステージ、巨大ボスを倒すもそのボスが暴走し追いかけられ続けるステージ、~ 遊園地のアトラクションがそのまま舞台となっておりギミック説明も兼ねたステージ、世界が闇に包まれたため明かりを補充しながら進まなくてはダメージを受けてしまうステージなど……。 -敵もただいやらしい存在なだけでなくアクションギミックの一種となっているものが多い。 --「別の敵にぶつける度に風だまのパワーが上がる敵」「捕まえた状態でジャンプすると一定時間飛行できる敵」「捕まえるとロケットのような高高度ジャンプが行える敵」等々…。 ''優しいながらもよく考えられたゲームバランス''~ -アクションゲームとしての難易度は前作同様、初心者向けで低めなのだが、パズル的なギミックが多く頭を捻らなければならない箇所がいくつもあるため大人が遊んでも面白みのある手応えを感じられる。 --またアクションの難易度自体も序盤から順当に上がって行き、中盤以降はふとしたうっかりでやられる可能性がある侮れないゲームバランスになっていく。 ---しかし再開ポイントが多く、残機も溜まりやすいため、やられてもストレスは感じにくい。ボス戦も、ある程度までダメージを与えて形態が変化した後などにやられた場合、形態が変わった時点から再開できる。 ---ボスのデザインはご丁寧にも弱点が的のように色付けされているため、どこを攻撃すればいいのかわかりやすい。 -ステージのボリューム自体も前作と比べれば増加しており、標準的なアクションゲーム程度の時間は遊べる。 --ステージ中に隠されているモメットドールを集めることにより隠しステージが解禁される、ステージ中にある夢のかけらを全て集めることでギャラリーに絵が追加されるなどやり込み要素も増えている。 ---クリアするだけなら簡単なゲームであるが、ステージ中の全ての夢のかけらを集めようとすればかなりシビアな難易度となる。 ---隠しステージをクリアするとサウンドモードが解禁される。 -目立つバグや処理落ちも特になく、隅々に渡って丁寧に作られている。 ---ロードはセーブ前や再開時に長くかかるものの、プレイ中はほとんど感じられずとても快適。もっともそのロード時間もPS2のソフトのなかでは短い方。 ''好評なストーリー・世界観''~ -登場人物のセリフは終始架空の「ファントマイル語」で日本語字幕を見ながら意味を把握するといった要素など、前作に引き続き「プレイヤーをクロノアの世界に没頭させる」演出や工夫は随所に見られる。~ クロノアとの冒険を通して成長するパートナー・ロロをはじめ登場人物たちも個性豊かで、敵役たちも「そうなるに至った理由」があることもあってなかなか憎めず、ファンからの人気もかなり高い。 --各声優の演技も秀逸。配役も前作と異なってスタッフクレジットで明らかにされており、クロノア役の渡辺久美子氏はもちろん、ロロ役の川上とも子氏・ポプカ役の水田わさび氏・レオリナ役の渕崎ゆり子氏・タット役のこおろぎさとみ氏などなかなかに豪華。 -ストーリーは前作同様、一見メルヘンチックでほのぼのとしていながらも、世界観やストーリーは深みがあり、またしつこくない程度に教訓を含んだものとなっている。 --「感情に固執するあまり孤立した国々」「力に執着するライバルキャラ」「ラスボスが世界を滅ぼそうとする理由」など、分かりやすいものから難解なものもある。 --特に最終ステージは間接的な形でとある演出が施されており、初見のプレイヤーではすぐには分かりにくいが、その意図を知ったプレイヤーからは非常に高く評価されている。 --また、前作では4-1のみストーリーパートが用意されていなかったのだが、今作は表ストーリーには全ステージ余すことなくしっかりとストーリーパートが用意された((ただし本作では、本編とは関係のないタワー系のエクストラステージはない。))。 #region(最終ステージについての詳細。重大ネタバレ注意) -最終ステージ『哀しみの国 ヒューポニア』はその国名((前作(厳密には外伝作の『ムーンライトミュージアム』も含む)でのクロノアの相棒だったキャラクターの名前が「ヒューポー」である。この国名はゲーム中のステージ名としては未表記だが、当ステージで流れるBGMのうち1つの曲名が『HYUPONIA / RUIN OF SADNESS』となっている。))から推測できるように、前作を彷彿とさせる要素が随所にあり、その内容は発売から約20年を経た現在でもファンの間で考察が交わされるほど。 --各所の背景やBGMはよく見聞きすると前作の『風の村 ブリーガル』の明確なオマージュ((道中に前作のクロノアの家の中を模した家具が放置されていたり、BGM『HYUPONIA / RUIN OF SADNESS』には前作の最初のステージで流れる『THE WINDMILL SONG』のフレーズが入っていたりする。))で、前作で多くのプレイヤーが感じたであろう「哀しみ」を具現化したような国となっているのである。 -ラスボスの『哀しみの王』は、自分の国=「哀しみという感情」を封じて忘れ去ろうとしたルーナティアに絶望、異変を起こして全てを哀しみで覆おうと企むが、その姿や声はどこかクロノアと似ている。~ その台詞でも「そんなに悲しみを認めないのか…僕はこの世界にいちゃいけないのか!!」などと、これもまた「前作のクロノア=プレイヤーが感じた哀しみ」を体現したかのようなキャラとなっている。 --哀しみの王の声優はスタッフクレジットでも未公表だが、その声色・公式攻略本で明言された「クロノアの分身と言える存在」との設定から、クロノアと同じ渡辺久美子氏が演じているものと推測されている。 --本作のタイトルである『世界が望んだ忘れもの』とは哀しみの王を含む「哀しみという感情」のことであり、この世界にクロノアを召喚した人物も他でもない哀しみの王自身なのである。~ ルーナティアに異変を起こしたのも、その根底には人々に「哀しみという感情」を思い出してもらい、自身も永く続く苦しみから解放されたいという願いがあった。~ 事実、クロノアとの対決前には前述の恐ろしい企みを話した哀しみの王であったが、クロノアに深手を負わされた際には我に帰り、クロノアに心からの助けを求めている。 ---そんな身の上や性格からか、境遇は似通いつつも王道的な悪役に徹していた前作の魔王ガディウスとは異なってプレイヤーも比較的感情移入しやすいラスボスとなっており、ファンからの人気も高い。~ 公式での扱いも、スタッフクレジットでの一枚絵((後日談的な風景が静止画で紹介されるもの。赤子として転生した描写がある。))、2002年に公式開催された[[キャラクター人気投票>https://www.bandainamcoent.co.jp/cs/list/kloweb/tou_keka.html]]で3位((1位はクロノア、2位は当時『ビーチバレー』『G2』に登場していたガンツであった。))に入ってイラストが書き下ろされたりと、かなり優遇された扱いを受けている。 #endregion -エンディングに関しては、衝撃的な内容で話題となった前作と比べると、良く言えば王道、悪く言えばインパクトに欠け、前作並みにびっくりする展開を期待するとやや肩透かしかもしれない。 --ネタバレにならない範疇で説明すると、前作と同様に人によって様々な捉え方ができるような深いエンディングとなっており、ファンからの評価も総じて高いものではある。 ''素晴らしい音楽''~ -前作も音楽方面の評価はかなり高かったが、今作ではハードがPS2に切り替わったことにより音質・音源が見違えて向上している。~ 全体的にポップで明るめの曲が多いが、シーンやステージに応じてシリアスだったりコミカルだったり神秘的だったりかっこよかったりと実に様々な曲が収録されている。 --本作のテーマ曲といえる『GOING TO LUNATEA』、神秘的で澄んだ旋律が美しい『ARK Ver.1』、5番目のボス戦曲『CURSED LEORINA』等々、捨て曲は1つもないと言っても過言ではない。 --特にフロートボードで雪山を疾走するステージ「ミラ・ミラ大雪山」で流れる『STEPPING WIND』は''クロノアが全編ファントマイル語で熱唱する''という、作中でも屈指のノリのいい曲。~ ステージ内容とも抜群に合っている曲で、『[[太鼓の達人>太鼓の達人シリーズ]]』シリーズに収録されたり、『[[NAMCOxCAPCOM]]』でもクロノア達のテーマとして流れるほど、シリーズを代表する曲でもある。 --前作と同様、同じステージでも屋内と屋外とで曲のアレンジが変わったり、状況によってBGMが切り替わったりと音楽を用いた演出も手抜きがない。 --なお、『1』のBGMの流用はたった2曲、過去作のフレーズの流用・及びアレンジは数曲にのみ絞っており、それ以外は完全に新規のBGM・及びフレーズとなっている。 -目立たないが効果音も秀逸。アクションの爽快感を高めたり演出の表現の幅を広げたりするのに一役買っている。 ---- **問題点 -『ムーンライトミュージアム』から反映されたのか、ライフが3つと前作の6つに比べて2分の1となったため、相対的に難易度が高く感じる。 --それなのに無敵時間が非常に短いのも変化なしで、ゴリ押しをしようとするとすぐにこちらが倒れるなんてことも。 --なお、ステージ道中ではライフ配置が前作より相対的に多くなっているので、この面に関してはプラマイゼロとも言える。 -ワールドマップを採用した弊害なのか、「ストーリーシーン((公式名称は「パペットDISP.」(パペットディスプレイ)。))のみがあるステージを再プレイ=ストーリーシーンを再視聴する」機能が無い。 --また、一部のステージではステージクリア時のイベントが変化するというものもあるため、片方しか視聴することができない。 ---世界観をとても重視している作品だけにストーリーシーンでの伏線も多く、「各ストーリーシーンだけを見る機能」が無い事を残念がるシリーズファンも少なくない。 //--余談だが[[前作>風のクロノア door to phantomile]]に関してもラスボス戦の戦闘場所に移動する前の場面''だけ''が何故か見れない仕様だった。[[リメイク版>風のクロノア door to phantomile (Wii)]]では6-2クリア後に用意されているため何度も観れるようにはなっており、パペットビューワーでも視聴可能。 //書かなくてもいい情報なのでCO -『お化けバルーンズ』や『スーパータットロボ』のみの単一の戦闘が出来ないため、ボスが専用ステージに分割されていることも相まってタイムアタックの存在意義が薄い。 --一応、名義は『大』幻獣館でありモメットからは「でっかいボスを再現した」とフォローが入っている。 -3Dになった影響か、極一部のステージで非常に複雑な操作をするとマップにハマって進行不能になるバグがある。 --ただし、よっぽどのことがない限りは発生しないため、大きな実害はない。 ---- **総評 前作のような衝撃的なエンディングこそないものの、PS2のハード性能を生かした進化をあらゆる点で感じさせ、感動させてくれる作品。~ 最初から最後までプレイヤーを楽しませようとあの手この手のギミックや演出で迎えてくれるゲームデザインは発売から10年以上が経過した現在でも独自の存在感を持つ。~ 単純なアクションゲームとして見ても苦手な子供や初心者だけでなく、大人やアクションゲームに慣れたプレイヤーでも十分楽しめる良作である。~ ---- **その後の展開 -『クロノア』シリーズのナンバリングとしては現時点で本作が最後であり、本作以降は携帯機を中心としたスピンオフが主となった。 --本作に登場したキャラクターは後のシリーズ作品にも一部再登場しているが、世界観や設定はやはり本作とは異なっている。 -後のクロスオーバー作品『NAMCOxCAPCOM』では、キャラクターの設定は『クロノアヒーローズ』準拠だがマップは本作から登場という折衷した内容になっている。 -2022年に『1』『2』のリマスター版『風のクロノア 1&2アンコール』が発売された。 --なお、前述の一部のイベントシーンが視聴できない問題点は1のリメイクでの逆輸入としてゲームをクリアすることで解放されるパペットビューワーが追加されたことで改善されることになった...のだがスタッフロールだけは視聴不可能。
*風のクロノア2 ~世界が望んだ忘れもの~ 【かぜのくろのあ つー せかいがのぞんだわすれもの】 |ジャンル|アクションゲーム|>|&amazon(B00005OVT1)| |対応機種|プレイステーション2|~|~| |発売・開発元|ナムコ|~|~| |発売日|2001年3月22日|~|~| |定価|7,140円|~|~| |廉価版|PlayStation2 the Best&br()2002年6月27日/3,129円|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|『1』の要素を正統進化&難易度上昇&br()新たなる冒険の舞台「ルーナティア」&br()更に奥が深く内容が濃いストーリーや伏線|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[風のクロノアシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ナムコのアクションゲーム、風のクロノアシリーズの3作目で、据置機作品としては2作目にあたる。~ シリーズ第1作『[[door to phantomile>風のクロノア door to phantomile]]』の続編という位置付けではある。~ だが、本作の2年前に発売された『[[ムーンライトミュージアム>風のクロノア ムーンライトミュージアム]]』同様、それぞれの作品の世界観やストーリー上での直接の繋がりはない。 ---- **あらすじ ここは異世界<ルーナティア>。ルーナティアにそびえる巨大な塔の中には「世界を支える鐘」が納められています。~ 鐘は全部で4つあり、ルーナティアの4つの国にそれぞれ1つずつまつられ、世界の調停を司っているのです。~ しかし、この世界にある異変が起き始めました。幻獣が世にはびこり、悪い気に当てられた巫女たちが病に倒れてしまったのです。~ それは5つ目の鐘、どこの国にも属さない「闇の鐘」が生まれようとしているのが原因らしいのです。 ルーナティアで一番の予言者、バグジはこう言いました。~ 「泪の海荒れるとき、夢見る黒き旅人が世界を救う。そのリングの力が……、リングの力が世界に和をもたらす」と。 ある日のこと、泪の海でクロノアは巫女見習いのロロとポプカに出会いました。~ 「私はロロ、巫女見習いのロロっていいます」~ 「このコはポプカ」~ 「うっす!」~ 「僕はクロノア」~ 「クロノア……!? 夢見る黒き旅人さまと同じ名前……」~ 「お願いですクロノア様、力をお貸しください」~ 「えっ、夢見る黒き旅人……? 力を貸すって?」~ さて、夢見る黒き旅人とはどういうことなんでしょう?そして、ルーナティアとは?~ クロノアには何のことだかさっぱりわかりません。でも好奇心が不安を吹き飛ばしてくれますし、ロロ、ポプカのように心強い仲間もいます。~ クロノアは未知なる世界ルーナティアでロロ、ポプカと一緒に、世界を救うために旅立ちます。 さあ、クロノアの冒険の始まりです! ---- **特徴 -今作の舞台はファントマイルではなく、「安らぎ」「喜び」「怒り」「まどい」のそれぞれを司る4つの国があるルーナティアという世界。 --「わふぅ」「るぷるどぅ」に代表されるファントマイル語は健在で、アクション中やイベントムービーなどでクロノアをはじめとした登場人物たちが熱演してくれる。 -アクションは前作のシンプルなアクションと操作性を継承している。 --本作ではワールドマップが採用されており、1度クリアしたビジョン(ステージ)に戻って再プレイすることが可能になった。 --これにより取り逃したアイテムの取得や残機稼ぎも容易になったが、とある問題点を1つ生んでしまっている。詳細は後述。 -ハードがPS2に変わったことでグラフィックや音楽、ストーリー演出、ステージギミックが目に見えてパワーアップした。 --フロートボード(スケボーのようなもの)に乗って駆け抜ける高速スクロールのステージがいくつかあり、疾走感と爽快感のあるアクションが楽しめる。 --また2Pを利用したサポートモードというシステムが取り入れられており、仲間キャラクターのポプカを使って穴に落ちそうになったクロノアを上に弾き返すなどの手助けができる。 ---- **評価点 //文章量的に大見出し化する必要性がないので通常太文字に変更。 ''グラフィック''~ -ハードがPS2に移ったことでグラフィックの表現力が向上した。 --キャラクターたちはトゥーンシェーディング技術に似た「クロノアフィルター」と呼ばれる独自技術で描かれており、イベントシーンでもアクションシーンでもぬるぬる動いてくれる。 --前作ではムービー再生で対処していたイベントシーンが今作では全てリアルタイムに描写され、技術力の向上が見て取れる。 -メルヘンチックな世界観、温かみのある色使い、可愛らしいだけでなく時にはおどろおどろしいグロテスクな描写なども健在。 -背景の玉乗り大道芸人に風だまを投げると華麗に避けて別の玉に乗り移る、ミサイルが背後の家屋に落下してステージの地形が変わる、などの背景とステージが一体化した演出も豊富。 --またよく背景を見ると、ステージの先の地形が遠景で見渡せるようになっているところがかなりある。2Dアクションゲームながらハードの性能とグラフィックを活かした3D表現の豊かさは特筆に値する。 ---スイッチを押すと進行方向が別の角度に変わる、徐々に回転していくフロアなど3D表現そのものをギミックにしたステージやボス戦もある。 ''わかりやすく楽しいアクション''~ -使うボタンは前作同様に「十字キー=移動((コントローラーのアナログモードをオンにすれば左スティックでも可能。))」「×or△=ジャンプ」「□or〇=敵を風だま(攻撃)にして捕まえ、投げる」の3つだけ。小さな子供や初心者プレイヤーでも簡単に覚えられる。 --そんなに簡単では単調なアクションになってしまうのでは? と思われるかもしれないが、アクションの多様性がない代わりにステージギミックや敵のバリエーションが豊富。~ そのおかげで最初から最後まで飽きさせることがないゲームデザインとなっている。この点も前作からきっちりと受け継がれている。 --中でも前述のフロートボードに乗って進むステージはノリのいい音楽やほどよい疾走感、ステージ演出の巧みさなどから特に面白い。 --また、それらのステージギミックの多くはただ無造作に配置されているわけではなく「ストーリー上の展開や世界観とリンクしている」ものが多いためそこにある必然性が自然と備わっていて違和感を感じない。 ---一例を上げると、鏡に反射した光景やくぐることでステージが上下反転する扉を活用して進む美術館ステージ、巨大ボスを倒すもそのボスが暴走し追いかけられ続けるステージ、~ 遊園地のアトラクションがそのまま舞台となっておりギミック説明も兼ねたステージ、世界が闇に包まれたため明かりを補充しながら進まなくてはダメージを受けてしまうステージなど……。 -敵もただいやらしい存在なだけでなくアクションギミックの一種となっているものが多い。 --「別の敵にぶつける度に風だまのパワーが上がる敵」「捕まえた状態でジャンプすると一定時間飛行できる敵」「捕まえるとロケットのような高高度ジャンプが行える敵」等々…。 ''優しいながらもよく考えられたゲームバランス''~ -アクションゲームとしての難易度は前作同様、初心者向けで低めなのだが、パズル的なギミックが多く頭を捻らなければならない箇所がいくつもあるため大人が遊んでも面白みのある手応えを感じられる。 --またアクションの難易度自体も序盤から順当に上がって行き、中盤以降はふとしたうっかりでやられる可能性がある侮れないゲームバランスになっていく。 ---しかし再開ポイントが多く、残機も溜まりやすいため、やられてもストレスは感じにくい。ボス戦も、ある程度までダメージを与えて形態が変化した後などにやられた場合、形態が変わった時点から再開できる。 ---ボスのデザインはご丁寧にも弱点が的のように色付けされているため、どこを攻撃すればいいのかわかりやすい。 -ステージのボリューム自体も前作と比べれば増加しており、標準的なアクションゲーム程度の時間は遊べる。 --ステージ中に隠されているモメットドールを集めることにより隠しステージが解禁される、ステージ中にある夢のかけらを全て集めることでギャラリーに絵が追加されるなどやり込み要素も増えている。 ---クリアするだけなら簡単なゲームであるが、ステージ中の全ての夢のかけらを集めようとすればかなりシビアな難易度となる。 ---隠しステージをクリアするとサウンドモードが解禁される。 -目立つバグや処理落ちも特になく、隅々に渡って丁寧に作られている。 ---ロードはセーブ前や再開時に長くかかるものの、プレイ中はほとんど感じられずとても快適。もっともそのロード時間もPS2のソフトのなかでは短い方。 ''好評なストーリー・世界観''~ -登場人物のセリフは終始架空の「ファントマイル語」で日本語字幕を見ながら意味を把握するといった要素など、前作に引き続き「プレイヤーをクロノアの世界に没頭させる」演出や工夫は随所に見られる。~ クロノアとの冒険を通して成長するパートナー・ロロをはじめ登場人物たちも個性豊かで、敵役たちも「そうなるに至った理由」があることもあってなかなか憎めず、ファンからの人気もかなり高い。 --各声優の演技も秀逸。配役も前作と異なってスタッフクレジットで明らかにされており、クロノア役の渡辺久美子氏はもちろん、ロロ役の川上とも子氏・ポプカ役の水田わさび氏・レオリナ役の渕崎ゆり子氏・タット役のこおろぎさとみ氏などなかなかに豪華。 -ストーリーは前作同様、一見メルヘンチックでほのぼのとしていながらも、世界観やストーリーは深みがあり、またしつこくない程度に教訓を含んだものとなっている。 --「感情に固執するあまり孤立した国々」「力に執着するライバルキャラ」「ラスボスが世界を滅ぼそうとする理由」など、分かりやすいものから難解なものもある。 --特に最終ステージは間接的な形でとある演出が施されており、初見のプレイヤーではすぐには分かりにくいが、その意図を知ったプレイヤーからは非常に高く評価されている。 --また、前作では4-1のみストーリーパートが用意されていなかったのだが、今作は表ストーリーには全ステージ余すことなくしっかりとストーリーパートが用意された((ただし本作では、本編とは関係のないタワー系のエクストラステージはない。))。 #region(最終ステージについての詳細。重大ネタバレ注意) -最終ステージ『哀しみの国 ヒューポニア』はその国名((前作(厳密には外伝作の『ムーンライトミュージアム』も含む)でのクロノアの相棒だったキャラクターの名前が「ヒューポー」である。この国名はゲーム中のステージ名としては未表記だが、当ステージで流れるBGMのうち1つの曲名が『HYUPONIA / RUIN OF SADNESS』となっている。))から推測できるように、前作を彷彿とさせる要素が随所にあり、その内容は発売から約20年を経た現在でもファンの間で考察が交わされるほど。 --各所の背景やBGMはよく見聞きすると前作の『風の村 ブリーガル』の明確なオマージュ((道中に前作のクロノアの家の中を模した家具が放置されていたり、BGM『HYUPONIA / RUIN OF SADNESS』には前作の最初のステージで流れる『THE WINDMILL SONG』のフレーズが入っていたりする。))で、前作で多くのプレイヤーが感じたであろう「哀しみ」を具現化したような国となっているのである。 -ラスボスの『哀しみの王』は、自分の国=「哀しみという感情」を封じて忘れ去ろうとしたルーナティアに絶望、異変を起こして全てを哀しみで覆おうと企むが、その姿や声はどこかクロノアと似ている。~ その台詞でも「そんなに悲しみを認めないのか…僕はこの世界にいちゃいけないのか!!」などと、これもまた「前作のクロノア=プレイヤーが感じた哀しみ」を体現したかのようなキャラとなっている。 --哀しみの王の声優はスタッフクレジットでも未公表だが、その声色・公式攻略本で明言された「クロノアの分身と言える存在」との設定から、クロノアと同じ渡辺久美子氏が演じているものと推測されている。 --本作のタイトルである『世界が望んだ忘れもの』とは哀しみの王を含む「哀しみという感情」のことであり、この世界にクロノアを召喚した人物も他でもない哀しみの王自身なのである。~ ルーナティアに異変を起こしたのも、その根底には人々に「哀しみという感情」を思い出してもらい、自身も永く続く苦しみから解放されたいという願いがあった。~ 事実、クロノアとの対決前には前述の恐ろしい企みを話した哀しみの王であったが、クロノアに深手を負わされた際には我に帰り、クロノアに心からの助けを求めている。 ---そんな身の上や性格からか、境遇は似通いつつも王道的な悪役に徹していた前作の魔王ガディウスとは異なってプレイヤーも比較的感情移入しやすいラスボスとなっており、ファンからの人気も高い。~ 公式での扱いも、スタッフクレジットでの一枚絵((後日談的な風景が静止画で紹介されるもの。赤子として転生した描写がある。))、2002年に公式開催された[[キャラクター人気投票>https://www.bandainamcoent.co.jp/cs/list/kloweb/tou_keka.html]]で3位((1位はクロノア、2位は当時『ビーチバレー』『G2』に登場していたガンツであった。))に入ってイラストが書き下ろされたりと、かなり優遇された扱いを受けている。 #endregion -エンディングに関しては、衝撃的な内容で話題となった前作と比べると、良く言えば王道、悪く言えばインパクトに欠け、前作並みにびっくりする展開を期待するとやや肩透かしかもしれない。 --ネタバレにならない範疇で説明すると、前作と同様に人によって様々な捉え方ができるような深いエンディングとなっており、ファンからの評価も総じて高いものではある。 ''素晴らしい音楽''~ -前作も音楽方面の評価はかなり高かったが、今作ではハードがPS2に切り替わったことにより音質・音源が見違えて向上している。~ 全体的にポップで明るめの曲が多いが、シーンやステージに応じてシリアスだったりコミカルだったり神秘的だったりかっこよかったりと実に様々な曲が収録されている。 --本作のテーマ曲といえる『GOING TO LUNATEA』、神秘的で澄んだ旋律が美しい『ARK Ver.1』、5番目のボス戦曲『CURSED LEORINA』等々、捨て曲は1つもないと言っても過言ではない。 --特にフロートボードで雪山を疾走するステージ「ミラ・ミラ大雪山」で流れる『STEPPING WIND』は''クロノアが全編ファントマイル語で熱唱する''という、作中でも屈指のノリのいい曲。~ ステージ内容とも抜群に合っている曲で、『[[太鼓の達人>太鼓の達人シリーズ]]』シリーズに収録されたり、『[[NAMCOxCAPCOM]]』でもクロノア達のテーマとして流れるほど、シリーズを代表する曲でもある。 --前作と同様、同じステージでも屋内と屋外とで曲のアレンジが変わったり、状況によってBGMが切り替わったりと音楽を用いた演出も手抜きがない。 --なお、『1』のBGMの流用はたった2曲、過去作のフレーズの流用・及びアレンジは数曲にのみ絞っており、それ以外は完全に新規のBGM・及びフレーズとなっている。 -目立たないが効果音も秀逸。アクションの爽快感を高めたり演出の表現の幅を広げたりするのに一役買っている。 ---- **問題点 -『ムーンライトミュージアム』から反映されたのか、ライフが3つと前作の6つに比べて2分の1となったため、相対的に難易度が高く感じる。 --それなのに無敵時間が非常に短いのも変化なしで、ゴリ押しをしようとするとすぐにこちらが倒れるなんてことも。 --なお、ステージ道中ではライフ配置が前作より相対的に多くなっているので、この面に関してはプラマイゼロとも言える。 -ワールドマップを採用した弊害なのか、「ストーリーシーン((公式名称は「パペットDISP.」(パペットディスプレイ)。))のみがあるステージを再プレイ=ストーリーシーンを再視聴する」機能が無い。 --また、一部のステージではステージクリア時のイベントが変化するというものもあるため、片方しか視聴することができない。 ---世界観をとても重視している作品だけにストーリーシーンでの伏線も多く、「各ストーリーシーンだけを見る機能」が無い事を残念がるシリーズファンも少なくない。 //--余談だが[[前作>風のクロノア door to phantomile]]に関してもラスボス戦の戦闘場所に移動する前の場面''だけ''が何故か見れない仕様だった。[[リメイク版>風のクロノア door to phantomile (Wii)]]では6-2クリア後に用意されているため何度も観れるようにはなっており、パペットビューワーでも視聴可能。 //書かなくてもいい情報なのでCO -『お化けバルーンズ』や『スーパータットロボ』のみの単一の戦闘が出来ないため、ボスが専用ステージに分割されていることも相まってタイムアタックの存在意義が薄い。 --一応、名義は『大』幻獣館でありモメットからは「でっかいボスを再現した」とフォローが入っている。 -3Dになった影響か、極一部のステージで非常に複雑な操作をするとマップにハマって進行不能になるバグがある。 --ただし、よっぽどのことがない限りは発生しないため、大きな実害はない。 ---- **総評 前作のような衝撃的なエンディングこそないものの、PS2のハード性能を生かした進化をあらゆる点で感じさせ、感動させてくれる作品。~ 最初から最後までプレイヤーを楽しませようとあの手この手のギミックや演出で迎えてくれるゲームデザインは発売から10年以上が経過した現在でも独自の存在感を持つ。~ 単純なアクションゲームとして見ても苦手な子供や初心者だけでなく、大人やアクションゲームに慣れたプレイヤーでも十分楽しめる良作である。~ ---- **その後の展開 -『クロノア』シリーズのナンバリングとしては現時点で本作が最後であり、本作以降は携帯機を中心としたスピンオフが主となった。 --本作に登場したキャラクターは後のシリーズ作品にも一部再登場しているが、世界観や設定はやはり本作とは異なっている。 -後のクロスオーバー作品『NAMCOxCAPCOM』では、キャラクターの設定は『クロノアヒーローズ』準拠だがマップは本作から登場という折衷した内容になっている。 -2022年に『1』『2』のリマスター版『風のクロノア 1&2アンコール』が発売された。 --なお、前述の一部のイベントシーンが視聴できない問題点は1のリメイクでの逆輸入としてゲームをクリアすることで解放されるパペットビューワーが追加されたことで改善されることになった...のだがスタッフロールだけは視聴不可能。

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