「ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー」(2023/07/08 (土) 20:32:18) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

本稿ではニンテンドー3DS用ソフト『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』と、その完全版である『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』について紹介する。判定はどちらも「良作」とする。 ---- #contents ---- *ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー 【ぶれいぶりーでふぉると ふらいんぐふぇありー】 |ジャンル|RPG|&amazon(B008F29CRM)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売元|スクウェア・エニックス|~| |開発元|シリコンスタジオ|~| |発売日|パッケージ版:2012年10月11日&br()ダウンロード版:2012年11月1日|~| |定価|パッケージ版:6,090円&br()ダウンロード版:5,400円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|ブレイブ&デフォルトシステムの奥深い戦闘&br()ストーリー及びゲームバランスは賛否両論&br()&bold(){「FF」ではない}&br()|~| |>|>|CENTER:''[[ファイナルファンタジーシリーズ関連作品>ファイナルファンタジーシリーズ]]''| **概要 『[[光の4戦士 -ファイナルファンタジー外伝-]]』の主要スタッフ陣が開発した新作RPG。~ 「原点回帰」を謳う「王道ファンタジーRPG」として制作された。 システムは光の4戦士を発展させたものとなっているが、世界観は完全に一新。従来の「FFシリーズ」ではない完全新作扱いとなっている。~ ただし、クリスタル、ジョブシステム、魔法の名前など、『FF』を思わせる要素は多々存在する。~ タイトルはしばしば『''BDFF''』と略される。 **システム -ジョブチェンジ --『FF』シリーズの一部にも存在するジョブチェンジシステムが本作でも採用されている。 --そのジョブに就いているボスキャラクターを倒して「アスタリスク」と言う特別なアイテムを手に入れる事で、そのジョブにチェンジ可能となる。 --「ジョブによってコマンド1つ・サポートアビリティ1つとステータスが決定」「さらにコマンドもう1つといくつかのサポートアビリティが装備可能」と、『[[ファイナルファンタジーV]]』にかなり近い。ただし、全ジョブ最大14レベルで、ジョブレベルアップに必要な経験値もすっぴんを除いて全ジョブ共通。 --サポートアビリティはジョブ固有のものが1つに加え、特定の枠数((最初は1枠だが、ストーリーが進むごとに最大5枠まで増加する。))だけ装備出来る。それぞれのアビリティに1~3の決められた枠数が存在し、強力なサポートアビリティはそれだけ複数の枠を使用する。 -ブレイブ&デフォルト --本作の最も特徴的な戦闘システム。ターンを跨いで行動の前借り/後回しを行う事ができる。 --防御行動である「デフォルト」を行うと、BPと呼ばれる数値が溜まっていく(最大3)。それを「ブレイブ」で消費する事で、ブレイブを行った回数だけ追加行動出来る((ブレイブは1ターンに最大3回、行動は本来の物と合わせて4回まで。))。なお、BPは戦闘ごとにリセットされる。 --またBPが無い場合でも、-3になるまで前借りを行う事ができる。戦闘が終わってしまえばゼロに戻るが、もしトドメをさせなかった場合、マイナスとなったターン数だけ無防備に攻撃を受ける事になってしまう。 --アビリティの中にはBPをコストとして使用するものやBPを増減するもの、最大BPを1つ上げるもの等も存在する。 -戦闘ボーナス --敵を1ターンで倒すなどの条件を満たす事で、獲得経験値などにボーナスを得る事が可能。上述のブレイブによる前借りと合わせて、雑魚戦では「やられる前にやる」事が推奨されるシステムとなっている。 -必殺技 --装備ごとに決められた条件を満たす(戦闘終了後も持ち越し可能)事で、必殺技が使用可能となる。攻撃力が高いだけではなく、追加で味方を強化する効果が発生する。 --強化効果は「必殺技発動時に流れるBGMが続いている間」と言う一風変わったシステム。迅速にコマンド入力したりエフェクトの短い攻撃を行う事で、必殺技の恩恵をより多く受けられる。 ---また、BGMが流れている最中に別の必殺技を使用して新しいBGMを流す事が出来れば、最初の必殺技の強化効果もその新BGMが終わるまでに延長される。 --必殺技は「必殺技パーツ」によってカスタマイズ可能。威力を上げたり、属性や追加効果をつけたり出来る。 -フレンド召喚・配信 --フレンドコード登録やすれちがい通信で、フレンドをセーブデータに登録する事ができる。このフレンドを戦闘中に召喚する事で、フレンドが予め登録した技が発動する。 -アビリンク --フレンドコード登録で招いたフレンドとは「アビリンク」が可能。リンクした相手が習得しているアビリティを使用する事ができる。ただし、効果は自力習得したアビリティより小さい。 --すれちがい通信で招いて登録したフレンドとはアビリンク不可。 --ストーリーが進むとCOMプレイヤー((COMタロウ・COMジロウ・COMサブロウ・COMシロウの4名。))が登場し、彼らとアビリンクを行う事もできる。ただしお試し版といった具合であり、実際のフレンドとのアビリンクほど劇的な効果は得にくい。 //---なお、フレンドはとある部分でシナリオに絡んでくる。実在のフレンドがいるなら熱いシーンなのだが、いない場合、上述のCOMタロウ・COMジロウらが登場し、かなりお寒い演出となる。 //クライマックスの不満点を全部ネタバレ項に回すため、こっちを隠す。 -ノルエンデ村復興 --フレンドコード登録やすれちがい通信で登録したフレンドを使って、滅んだ村を復興させる事が出来る。 --住人を多く作業に当たらせるほど、早く復興する。例えば1人で2時間かかる作業に2人で当たらせると1時間で済み、10人なら12分しかかからない、など。 --ゲーム起動中にリアルタイムで時間が進み、3DSを閉じていても復興は進む。このゲームを起動していない場合は復興は進まない。 --村が復興すると、前述の必殺技や必殺技パーツが手に入ったり、強力な武具・アイテムが買えるようになったり、消費アイテムが無料でプレゼントされたりする。特にほとんどの必殺技と全ての必殺技パーツは復興でしか手に入らない。 -ネトフレ招待 --フレンド召喚、ノルエンデ村復興に関しては、すれちがい通信やフレンドコード登録だけではなく、毎日1回、ネット上からランダムに1~4人を自分のセーブデータに連れてくる事ができる。 --これによってすれちがい通信にありがちな地域格差がある程度解消されている。 -Dの手帳 --いわゆるコレクター図鑑。ゲーム進行に伴い、アイテム、モンスター、登場人物、用語などが記述されていく。 --図鑑以外にも、未来の出来事であるかのような謎の文章が書かれており、ストーリーにも密接に関連している。ゲームにミステリアスな要素を与え、プレイヤーを物語に引き込む事に一役買っている。 **評価点 -王道ストーリーの中に「正義とは何か」「世界を救うとはどういうことか」を深く描いたシナリオ。 --最近のスクエニRPGの大規模なシナリオに不満を抱いていた古参プレイヤーからの評価が特に高く、その一方で最近のゲーマーにとっても十分評価に足る質となっている。 --メインストーリーだけでなく、サブシナリオやパーティチャットなどの寄り道ストーリーもキャラクターたちの魅力が最大限に引き出されたテキストにより評価が高い。 --シナリオライターは『[[CHAOS;HEAD]]』『[[STEINS;GATE]]』などを手掛けた5pb.の林直考。『[[メモリーズオフ>メモリーズオフシリーズ]]』シリーズや[[科学アドベンチャー>科学アドベンチャーシリーズ]]シリーズなど、ADVのシナリオに携わってきた氏にとって初めてのRPGシナリオとなる((一応、氏はアドベンチャーRPGの『アイテムゲッター~僕らの科学と魔法の関係~』を手掛けた事はあるが、正統派のRPGという意味では本作が初である。))。 -上記のシナリオを彩る魅力的なキャラクター陣。テキスト面の秀逸さもあってパーティキャラ・敵キャラ・その他サブキャラ問わず印象的なものとなっている。 --特にエタルニア公国軍のアスタリスク持ちキャラクター陣は、短いイベントの中で最大限に濃いキャラクター付けがなされており、どのキャラも「倒すには惜しい」と言われている。 -ブレイブ&デフォルトシステムの奥深い戦闘。 --1ターンに最大4回行動できるため、戦闘の展開が早い。BPをマイナスにしてもトドメを刺し切れなかった場合、最大3ターンも無防備に殴られるので油断出来ない。 --また本作は全体的に敵の攻撃力が高めでレベルカンスト後でも即全滅がありうる((よくある全滅例としてはブレイブ3回使った味方が攻撃前に混乱させられ4連続パーティアタック・・・など。))ピーキーなバランスとなっており、B&Dでの力押しだけでなくアビリティ選択の見極めも重要。 --上述した必殺技やフレンド召喚によりプレイヤーの手で戦闘を格好良く演出できるのも魅力。 //--前身である『光の4戦士』のAPシステムはボス戦に備えるにはザコ戦でAPを貯めたり節約した戦いを強いられるなど戦闘面の閉塞感が否めなかったが、本作のBPは戦闘ごとにリセット=1戦闘ごとに全力で戦えるため『光4』での煩わしさが解消されている。 -ジョブシステム --どのジョブも育成すればそこそこに戦える。 --ジョブを手に入れるたび、その時点で漏れなくコマンドアビリティの選択肢が一つ増える。このためすぐにはチェンジしづらい状況でも、ジョブを手に入れたことそのものがパーティ強化の一端に繋がる。 --ジョブチェンジするとキャラの衣装も変わるため、見た目重視で選んでしまうスタイルも有り。見た目で選んだジョブが弱すぎて足手まといにしかならない、といった事態は「あんまり」起きない。 ---ただ、ソードマスター・魔人など、使いどころに困るジョブも存在する。 -BGMの評価が高い。 --全曲をアニメ「進撃の巨人」のOP曲などで知られる「Sound Horizon」のRevoが手がけている。フィールドテーマやバトルテーマなど、まさにファンタジーRPGの王道BGMといえる良スコア揃い。 ---ハードロック調の激しい戦闘曲から電波系アイドルソングまで幅広い作風のBGMが楽しめる。特にアスタリスクボス戦で流れる「彼の者の名は」とラストバトルのBGM「地平を喰らう蛇」の人気が高い。 -声優 --声優で売るゲームでは無いのだが、声優陣は非常に豪華かつバラエティ豊か。 --20人以上いる敵サイドの要人全てがベテランor人気声優。 --登場機会の多いキャラはもちろん、一度しか登場機会のないキャラでも檜山修之や保志総一朗といった何度も主役を務めているクラスの声優ばかり。 -本作は発売前より、頻繁に体験版を配信しユーザーより積極的に意見を募って製品版へフィードバックさせるという制作スタイルが取られていた。 --先行体験版による内容のブラッシュアップは先のスクエニ作品である『FF零式』『シアトリズムFF』でも実施されていたが、本作では特に熱心に意見交換が行われた。 --体験版時点では戦闘が非常に遅く、不満が続出したため、以降、早送り機能が搭載されるなどスピードがアップしている。 -美麗なアートワーク --『[[サガ フロンティア2]]』を彷彿とさせる水彩画タッチのグラフィックは評価が高い。溶岩の上に建造された要塞都市、巨大な大風車が回るスチームパンク風都市など街のデザインも「光の4戦士」同様に凝っている。 --当然ながら3Dの立体視にも対応しており、特に街のグラフィックは「飛び出す絵本」のような見応えが感じられる。 **賛否両論点 -一部声優の人選。 --幼児の姿をしたとあるキャラには子役、つまり本物の子どもが声を当てており、かなり浮いている。 --「浮世離れしたキャラに合っている」「明らかに雰囲気を壊す」「子役にこんな残酷な事言わせるな((このキャラクターは幼児の姿をしているが精神年齢は並の人間を上回っており、加えて世界に対してかなりの憎しみを抱いているため、「殺す」「死ね」等の言葉を頻繁に口に出す。))」等様々な意見があり賛否両論。 ---一応、ボイスはオフにすることも可能。 -ジョブコスチュームの好みが分かれがち。 --一部のジョブ衣装デザインとキャラデザインはゲストイラストレーターが担当しているのだが、全体的に癖が強く好みが分かれるものも少なくない。コスチュームはゲーム中のイベントにも反映されるので気にしがちなところ。「吉田絵の雰囲気にそぐわない」という意見もある。 --一応、衣装を持っていればそれを装備させて外見を変更することが可能である。 **問題点 -一部のユーザーインターフェースが悪い。 --ブレイブシステムの関係で、1ターンに複数コマンドを入力したり、同じアビリティを連続使用するのだが、その際のテンポがあまりよくない。ブレイブを1ボタンで行えればよかったという意見も。 --アイテムのソートが不可能。使用時はまだ種類別に並ぶのだが、売却時は入手順にバラバラのため目当てのアイテムを探すのが非常に面倒。 --ボタンとタッチパネルの振り分けが中途半端。例えば、Dの手帳はタッチパネルを利用しなければ開けないのに、操作自体はボタンで行う。 --セーブデータは1つだが、取り返しの付かない要素は少なくない。特にDの手帳による記述追加の中には、非常に気づきにくく後から回収出来ないものも。 --全てが不親切というわけではなく、左手だけでも操作出来るボタン配置やカーソルの位置記憶など、親切な面も存在する。それだけに不親切な点がもどかしい。 ---ただし、左手だけで操作できるように十字キーの左右に決定、取り消しを当てがったため、スライドパッドでコマンド入力や店での売買を行うと誤操作が発生しやすい。 -戦闘面のバランス取りが極端。 --反則的な性能を持つジョブコマンドが少なくないため、それらを用いると大幅に難易度が下がってしまい戦闘の緊張感がなくなる。 --強アビリティの代表例としては、BP1消費で簡単にカンストダメージが出せる「点穴」「マルチバースト」、修得の手間無しにザコを簡単に一掃できる「クレセントムーン」、パーティ全体に全属性無効を付与する「大精霊の加護」など。 ---カンストダメージ・9999を割と簡単に出せてしまうため、攻撃系アビリティの多くが実質死んでいる。敵を眠らせたりする間接攻撃系のアビリティは、もはや存在意義が疑われるレベル。 ---ワールドへイスト+ハイジャンプの組み合わせで、敵から攻撃を受ける前にジャンプで退避しつつ落下ダメージを一方的に与え続けるハメ技が可能。反撃を使うような一部の敵を除いてほとんどに有効である。 --必殺技や強力なアビリティを用いると、中盤までのボスは1ターン・ノーダメージで撃破するのも難しくない。終盤もそれほど苦戦する事はない。 --雑魚戦は「殺られる前に殺れ」が基本で先手を取って一方的に殲滅するか、先手を取られてボコボコにされるかという両極端状態。 ---しかも緊張感を残そうとしたのか行動順に「素早さ×1.0~2.0」という大雑把な補正がかけられており、どれだけ素早さを強化しても先手を取られる事がある。また敵側の先制攻撃を防ぐアイテムやアビリティはかなり後にならないと入手できないため、出会い頭に先制されて事故死という状況がよく発生する。 ---ボーナスの中でも最も重要な「ノーダメージ((取得できるJpが増える。5戦、10戦と繰り返すと上昇量も増える。基本的に本作の重要度はJp>EXP>G。))」は一発でも敵に先に攻撃されると獲得出来ず、また上述のアイテムが手に入るまではプレイヤーの工夫でどうにかなるものではないので、この先制仕様は結構なストレスとなる。 --ノルエンデ村復興で手に入る上位武器や必殺技、フレンド召喚やアビリンク等は初心者救済の面が強く、バランスを崩す恐れがある。 ---対策はプレイヤーが「縛りプレイ」をするしかないのが現状。 --ボス敵との戦闘中には会話がたびたび入るが、この会話中も必殺技の有効時間が過ぎていくため、イベント会話の多いボス相手には必殺技の有効度が落ちる。 -やり込み要素が薄い。隠しボスが少なく、普通にシナリオを進めるだけでレベルがカンストしてしまうのも要因の一つである。セーブデータが1個しか作れないため、周回プレイをするにはこれまで進めたデータを消さなければならず勇気がいる。 -鬱展開が多い。 --人間タイプのボスを倒した場合、基本的に相手は死ぬ(例外はあるが)。 --多くのサブシナリオでは、相手がこちらを殺そうと襲ってくるため戦闘となるが、一部のサブシナリオでは、相手がそれほど悪い奴では無かったり、説得すれば平和的に別れられそうなキャラと衝突し、倒す事になる。 ---倒した際、まるで死んだかのような台詞を口にするため、「悪い事をしていないのに意味もなく殺した」ような印象を受けてしまう。 ---さらに、その後いきなりパーティチャットにて主人公達が平和的な世間話を始めたりする。酷い場合は「(今倒したキャラ達は)とってもお似合いのカップルだったね」などとなごやかな雰囲気で会話しだす事もあるほど。不評だったからかFtSではリレイズで蘇生している場面が追加された。イベントをスキップしてしまった場合はイベントビューワーやDの手帳の記述を参照するほかなく、見落としてしまう可能性もある。また、「蘇生したとしても殺害している事に変わりはない」「そもそもシナリオ上でリレイズが登場するのがそこくらい」「該当キャラはリレイズを使用できない」などの問題も。 --とあるサブイベントはブラックかつ救いようのない展開になっており、人によっては不快になる可能性がある。しかも、アスタリスク獲得がかかっているため大半のプレイヤーは見ざるを得ない。 #region(ネタバレ注意・ブラックな展開の詳細について) -簡単に言うと「''ボスによって仲の良い幼い姉妹が発狂させられ、殺し合わせられる''(そして互いに死ぬ)」というかなりアブない内容。ボスの変態じみた発言もあってCOLOR(blue){''CERO:C''}(15歳以上対象)の大きな要因と言われている。 #endregion -アスタリスク(ジョブ能力)獲得に人間タイプのボスの撃退(大半が殺害)必須となることが、鬱要素とは別の観点からも難点となっている。 --大半の敵はちゃんと憎むべき敵扱いの描写をされているのだが、そのためせっかく手に入れたジョブの印象が悪くなり、ジョブ能力に沿った悪事を働いている連中が多いこともあって、同じジョブを名乗って同じ能力を使うのがとても嫌な気分になるという意見も。衣装がアスタリスク所有者のコスプレになるあたり重ねて更に心証が悪い。 -シナリオのネタバレを見てしまうと楽しみを大きく損なう。 #region(ネタバレ注意・シナリオ全体の流れについて) -中盤までは王道ストーリーが展開されるのだが、中盤も終わりに差し掛かった辺りから雲行きが怪しくなってくる。そして終盤に突入すると同時に大ドンデン返しが待っている。 --この劇的なストーリーを「奥が深い」「面白い」と評価するプレイヤー、「奇をてらい過ぎている」「よくわからない」と評価するプレイヤーによって、本作のストーリーの評価が分かれる。 ---本作のシナリオライターの過去作を見るに、このようなシナリオになる事ははじめから織り込み済みだったようであるが。 -5章以降、コピペのような繰り返しが多い。 --特にあるイベントの「石碑から・・・ドラゴン!?」というセリフはよくネタにされる。((既に何度も同じ目にあっているのに全く同じことを繰り返し言う。このイベントの度に毎回言うので、人によっては何十回も聞くことになる。)) --そんな展開の中で、ほとんど同じ能力値のボスと何度も(最大3回)戦うことになる。 -終盤のシナリオ練り込みが非常に甘い。 --5章以降でルート分岐があり、「終章」と「真・終章」に分岐するのだが、シナリオの流れの通り敵の罠を破った場合、進めるのは「終章」の方。 ---トゥルーエンドである「真・終章」に向かうためには、シナリオの流れを大きく無視して''敵の罠に嵌る必要がある。''すでに罠である事が(プレイヤーだけでなく、キャラにとっても)ほとんど明々白々な状況なのに、衝撃的な事実が判明したように振る舞うキャラクター達は非常に白々しい。 ---さらに、この際に似たようなシナリオを繰り返す羽目になり、作業感が非常に強い。任意であるサブシナリオはもちろん、メインシナリオでも同じボスを何度も倒したり同じダンジョンに何度も行ったりする羽目に。またその際のイベントが度々使い回されており、毎回同じ状況で同じリアクションをとる主人公たちにも違和感を覚える。 --本作のタイトル『ブレイブリーデフォルト』とは「勇気」を持って「拒否」するという意味であり、本作のテーマ、及び「終章」の展開を暗示したものである。スタッフも「終章」の方にたどり着いてほしいとインタビューで答えているが、ではなぜもう一方が「真・終章」なのか。 ---ざっくり言ってしまうと、「終章」ではラスボスの降臨を阻止して完結する。一方、災厄の根源を絶つためにラスボスを倒そうとした場合、わざと敵の思惑を成就させてラスボスを降臨させなければならない――というわけである。だが、その結果「テーマに反した行動を取らないとトゥルーエンドに到達できない」という仕様になってしまっている。 ---当初は「終章」で真ラスボスと激突する展開だったが、プロデューサーの「真ラスボスを隠しにしたら面白いんじゃないか?」と言う発案で変更された…とインタビューで語られている。だが、シナリオ演出の点においても、間延びと言う点においても、面白くなるどころか完全に盛り下げる結果となってしまった。 --全体的に良作としての評価が多い今作だが、この終盤部分だけは多くのプレイヤーが口を揃えて欠点として挙げるポイント。ここで挫折したプレイヤーも少なくないようなので、下手にイベント全てを体験しようと思わず、ストレートに真終章を目指した方が良いかもしれない。 ---ニコニコ動画の生放送で行われたアンケートのうち「どの章が一番嫌い?」という項目では、この終盤部分にあたる7章が77%の票を得た。 --あるキャラクターの正体が明かされるが、過去の人間関係と照らし合わせると「幼い頃から家族同然の扱いであったはずの人物を含め関係者が誰一人として素顔を知らなかった」という非常に不自然なものになってしまっている。これに関してはスタッフインタビューでも指摘されているが、「深く考えていなかった」「素顔を見ていないか、覚えていないか、どちらでもいい」と投げやりな回答をするばかりか、「きっと風呂に入るときでも兜を被っていたのでしょう」などと半ばギャグ混じりの発言をしている。ある意味ではこのあたりの姿勢からすでに次回作への片鱗をのぞかせていたとも言える。 -全体的にキャラクターの言葉が足りていない。 --やたらと勿体ぶっていたり、人の話を聞かなかったりするキャラが多く、「もっと早くにちゃんと説明してくれれば/説明しておけばこんな事にはならなかったのに」という事が非常に多い。 ---ストーリー上の事情により、これらを何十回も繰り返すことになる。 --事態が起こったあとに反省や後悔が足りないキャラが多い。 ---スタッフインタビュー等を見る限り、これらはわざとやっている面もある様子。だが、それにプレイヤーが納得出来るかは人によって意見が分かれる。 -実は''全てのプレイヤーが必ず見ている所に物語の最も核心的な部分に迫るネタバレが仕込まれている''という仕掛けが施されている。その仕掛けが明かされるのはエンディングの後であり、先入観を用いて隠蔽し続けたという巧みなもので、多くのプレイヤーを驚かせたものとして好評を得た。 --しかし、その仕掛け自体が高度なものではないが故に不運にも気づいてしまうことも有り得る。それが分かった所で全く面白くなくなるような陳腐なストーリーではないが、何割か魅力は減じてしまうと言える。 #endregion #region(最重要ネタバレ注意・シナリオの核心により具体的に触れています。''未プレイの方は見ないことを推奨します。'') -本作のシナリオライター・林直考の名から察した方もいるかもしれないが、実は本作は王道ファンタジーに見せかけたパラレルワールドもの、より具体的に言えば林の過去作『STEINS;GATE』等と同じ「''世界線移動もの''」である。 --本家ファイナルファンタジーに倣い、ファン間ではこれらの並行世界は移動する順に「第一世界」「第二世界」…と呼び分けられている。公式の呼称ではないので注意。 --第四章クリア後、主人公一行は最初の町で目覚め、今までの冒険をもう一度追体験していくこととなる。しかし過去の経験とは微妙に異なる立ち位置のキャラクター、展開、そして以前は起きなかった事件に悩まされる中で、自分達の行いが正しいのかどうかということに疑念を感じ始める。 ---本作の死亡キャラの多さはこのための布石であり、以前に壮絶な死を遂げたキャラクターと再戦することで「プレイヤーが生殺与奪を握っている」という事実をより明確に実感させられる。しかも嫌らしいことに二回目以降の戦闘は不可避のイベントではなく、あくまでプレイヤーの任意戦闘である。 --本作の最大の不評点である「似たようなシナリオの繰り返し」という感覚が何故起こるのかというと、プレイヤー側は第一世界から第二世界に移行した時点、遅くとも第三世界時点でこのシナリオの全体構造に気付くのだが(リングアベルが丁寧に解説してくれるため)、その後も暫くシナリオの流れのままプレイする必要があるため。 ---終章突入の場合は繰り返しも少なく、シナリオの流れ的にも問題ない。だが、真・終章に入りたい場合、第五世界までラスボスの企みに乗り続ける必要がある。シナリオとしては不自然な上、サブイベントの回収なども行うとかなりの手間であり、おまけにその頃にはレベルもカンストしているので戦闘すら楽しめない。 ---また、真終章突入時は「企みを知っている筈なのに、全く知らないように振る舞う」と言うあまりに不自然な展開となる。どうしても企みに乗るにせよ、「わざと企みに乗った」とか「企みを知っていたのに決意出来なかった」などのもう少し自然な展開も出来た筈なのだが。 -ネタバレ事故の起こる危険性。 --上記のように本作のシナリオはかなり練られているので、是非とも初見で、驚きを持ってプレイして頂きたいのだが、本作では最も重要な謎の核心部分が誰の目にも明らかな部分にいくつも仕込まれているため、それらに意図せず気づいてしまったプレイヤーの楽しみを減じてしまった。 ---まず、本作冒頭ムービーに登場する精霊・エアリー。実は彼女、作中に登場して主人公たちのガイド役を務めるエアリーとは声や服装が異なる。つまり別人。このことに気付くと、エアリーが最重要キャラクターだと知ってしまうこととなる。 ---エアリーの羽根の模様は数字をあしらったものであり、話を進めると数字が変わっていく。この事実は作中でとあるキャラにより明かされるのだが、メニュー時の下画面にエアリーの全身像が表示され、じっくりと見ることができるため、その前に気づいてしまう可能性がある。 ---そして本作のタイトル。本作は「FF(ファイナルファンタジー)」ではないので「FLYING FAIRY」から「FF」を取ると、「''LYING AIRY(嘘つきエアリー)''」という文字列が浮かび上がる。本作発売前から何度も言われていた「本作はFFではない」というスタッフの言は、このタイトルに込められた真意を伝えているものであり、発売前からこのネタバレに気づいてしまう購入者もいた。 -何かと不満の多い「真・終章」だが、その最後を飾るラスボス戦の演出も賛否両論。 --「フレンドの世界から力を借りる」と言う熱い演出があるのだが、実在のフレンドがいない場合、前述したデフォルトのフレンドである「COMタロウ・COMジロウ」らから力を借りる事になる。熱い展開に大きく水をさす事は間違いない。 ---スタッフは「昔、COMタロウっていたよね」と話のタネにしてくれたらいいな」などと考えてこのような仕様にしたようだ。確かに話のタネにはなるだろう……悪い意味で。 ---また、逆に「自分の世界がフレンドの世界のラスボス戦に力を貸す」ような展開が無いため、「本当にフレンドと協力している」感が薄い。それどころか、シナリオの過程でフレンドの世界が一つ滅んだりする(もちろん実際のフレンドの世界は滅ばないが)。メタ要素としてはいまいち練り込みが甘いと言わざるを得ない。 --さらにラスボス戦が開始すると、3DS内側のカメラが起動し、''自分の顔を背景に戦闘を行う''事になる。「自分の目の前で戦闘している」感を出したかったようだが……。 ---本来なら外側のカメラが起動し、「自分の部屋を映し出し、その中で戦闘を行う」と言う予定だったが、プロデューサーの発案により、内側のカメラに変更した。しかし、ゲーム中に自分の顔を見ながら盛り上がれる人は早々いないだろう。実際、スタッフに「ギャグになっちゃいますよ?」と心配されている。何故そこで忠告に従わなかったのか…。 -真終章の存在を始めとして、全体的に「プロデューサーが思いつきで改変した部分」が大きな賛否両論となっていると言える。 --なお次回作ではシナリオライターの林が抜け、今作のプロデューサーやディレクターらが共同でシナリオを担当している。これによりプロデューサーの意向がより多く反映されるようになったことが不評につながったとも言える。 #endregion //上記の記事ではシナリオのネタバレを恐れるあまり、曖昧な表現に終始してしまっているように感じられたので、具体的なネタバレの項を追加しました。勿論本作の魅力は出来る限り初見として味わうべきものですが、シナリオ全体像を見渡すことで全く異なる見方が可能となるという部分もまた魅力です。発売から時間も経過したことですし、ネタバレ項を見て本作の魅力を知ってもらうということも考慮すべきだと捉えた次第です。勿論、反対意見が多数であれば、このネタバレ項は削除して頂いて構いません。 -「『FF』ではない」と繰り返し宣伝していた割に、内容はFFそのものである。 --スタッフが攻略本で「『FF』のジョブシステムが5からさらに進化していたらどうなっていたか」「加えてFFタクティクスも参考にして、もちろん光の4戦士の流れもくみつつ」といったことを考えていたと語っている。 --一部モンスターのデザインは『FF外伝 光の4戦士』の使い回し。また、「冒険家」と「相棒」など『光の4戦士』のキャラが再登場している。 ---こういった事のため「完全新作」というより光の4戦士の実質的な続編にあたるという意見もある。ちなみに本作の設定資料集には『光の4戦士』のイラストも収録されている。 --''現在の''『FF』シリーズとはコンセプトが異なるため、『FF』ではないと解釈をすることも可能ではあるが。 --一応、これを用いた演出が存在する。意味はこれだけといっていい。 -クリスタル解放イベントが面倒臭い。 --ひたすらボタン連打しなければならず、かつ中盤以降はクリスタル解放が何回も続くため面倒になってくる。 ---しかし、終章へ進むためにはこの解放イベントで「とあること」をしなければならない。 **総評 賛否両論だったり詰めが甘い面も少なくないが、コンセプト通りに「原点回帰・温故知新の王道ファンタジーRPG」を達成した作品。~ 「昔のJRPGが好きだった」という古いRPGユーザーにも、今のJRPGが好きな新しいRPGユーザーにも等しくお勧め出来る。 **余談 -発売後、本作終了後の世界観を使ったブラウザゲームがサービスを開始している。 -本作は海外でも『Bravely Default』というタイトルのまま発売されているが、''英語としては意味不明すぎて''混乱する海外プレイヤーが続出した。 --一応“勇気を持って、果たすべき約束・責任を放棄する”という趣旨が込められているのだが、''意訳(むしろ超訳)すぎて伝わるわけがない。''また「Default」は「(意思的・主体的に)しない」というより「怠る」のニュアンスが強い語で、ポジティブな意味ではまず使わない。 -本作のプロデューサー浅野智也氏によると「わりと良い評価を頂いたブレイブリーデフォルトですが、クリアまで到達された方は20%もいませんでした。」とのこと。 --この数字はスクエニのメンバーズサイトにアップロードされたクリアデータ数の割合=クリア後に3DSからインターネットに接続してデータ更新を行う必要があるため、実数とはズレがある可能性がある。 --ちなみに本作は、ラストダンジョンの最終セーブポイント以外でセーブした場合、完全クリア済でもクリア率99%になってしまう。これをクリアと数えているのかどうかは不明。 //---明らかにゲームのイメージを下げるような発言だと思うのだが、何故このような発言をしたのだろうか…。 -(次回作での扱いだが)『[[LORD of VERMILION III]]』にメインキャラの一人「イデア・リー」がゲスト参戦。今作のシステムをほぼ完璧に再現したアビリティを搭載している。 ---- *ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル 【ぶれいぶりーでふぉると ふぉーざ・しーくうぇる】 |ジャンル|RPG|&amazon(B00EVN4T40)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売元|スクウェア・エニックス|~| |開発元|シリコンスタジオ|~| |発売日|パッケージ/前作購入者向けDL版:2013年12月5日&br()ダウンロード版((「たっぷり無料で遊べる版」の配信開始に伴い、配信終了となった。内容はパッケージ版と同一。)):2014年2月1日|~| |定価|パッケージ版:4,990円&br()前作購入者向けダウンロード版:2,900円&br()ダウンロード版:3,900円|~| |廉価版|無料版アップグレード:2014年7月28日/2,000円&br()アルティメットヒッツ:2014年8月7日/2,700円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|戦闘テンポの改善、難易度などを調整可能&br()不評だった7章以降のストーリーを一新&br()&bold(){「続編のために」}|~| |>|>|CENTER:''[[ファイナルファンタジーシリーズ関連作品>ファイナルファンタジーシリーズ]]''| ---- **概要(FtS) 前作『フライングフェアリー』(以下『FF』と表記)の加筆修正・完全版。~ 『FF』のシステムを練り直し、同時に新規要素を多数盛り込んでいる。~ 略称は前作の『BDFF』に対して、『BDFS』或いは『FtS』など。 前作をプレイ済みであれば、スクエニメンバーズ特設サイトを通じてセーブデータの引き継ぎが可能。~ 引き継ぎ項目は「キャラレベル」から「Dの手帳の内容」に至るまでかなり自由に選択することが可能なので、全てのデータを引き継いで最強状態で新しく遊ぶ、あるいは図鑑などの手間がかかる部分のみ引き継いで遊ぶ、といったように個人の裁量でプレイの幅を設定できる。 また、前作を所持していれば2014年1月31日まで優待価格でDL版を購入できた。~ ただし本作のDL版は4GB程度とかなりの容量なので、購入の際は手持ちのSDカードとの兼ね合いも考える必要がある。 「フォーザ・シークウェル」とは直訳すると「続編のために」であり、続編『[[ブレイブリーセカンド エンドレイヤー]]』の新システム「ブレイブリーセカンド」を先んじて使用可能。 **評価点(FtS) -ストーリーの練り直し。 --メインシナリオにほぼ変更はないが、7章・8章のアスタリスク所持者に関するサブシナリオが一新されている。 --詳細は避けるが、前作ではかなり強かった7・8章の作業感が緩和されている。 ---ただしこの影響で、前作よりもフラグ管理が煩雑化している。 -UIの改善。 --特にメニュー画面が改善されており、スキル・ジョブを変えることによる数値の変化が分かり易くなっている。 --また戦闘中にスライドパッドを左右に動かすことで敵・味方のステータスを切り替えることが可能になった。 -戦闘テンポの改善。 --前作では2倍速までだったが、本作では4倍速の実装により更に戦闘がテンポアップ。 --ブレイブ・デフォルトをそれぞれL・Rボタンでショートカット入力可能になった。 --戦闘中の会話はAボタンでスキップ可能になり、必殺技有効時間中に会話が挟まってロスする時間が減った。 --前作で望まれ続けていた''リピート入力機能の実装。'' ---これが何故待望の機能なのかと言うと、本作はブレイブシステムにより1ターンに1人につき最大4回行動が可能であり、戦闘に於いては先手で4回行動を行うことが勝利のカギとなる。 --つまり毎戦闘4人パーティで16回行動を入力させられるので、率直に言って''指が痛い。''リピート入力機能はYボタンで「前回と同様の行動を行う」機能で、この問題を解決するものとして歓迎された。 -コンフィグで難易度調整が可能に。 --戦闘の難易度を通常のNORMALに加え、EASYからHARDまで設定可能となった。 --エンカウント率が+100%から-100%まで50%刻みで調整可能となった(2倍出る~全く出ないまでを調整できる)。 --戦闘での経験値、お金、ジョブポイント入手の有無という制限プレイ向けの設定まで可能。下記の通り、セーブスロットも増えているので、さまざまな制限プレイにも挑戦しやすくなった。 ---引き継ぎ無しで開始し、最初から最後までエンカウント0%でクリア(難易度は問わない)したデータをアップロードすると、公式メンバーズサイトにて「殿堂入りプレイヤー」としてリストアップしてくれる。 -ジョブのパラメーターや、アビリティのコスト・効果には多数の調整が入った。 --「節制」「クレセントムーン」など、一部の強アビリティはコスト増大や弱体化が行われている。 --一方で、ソードマスターの反撃系アビリティなど、使い勝手が向上したアビリティもある。 -セーブスロットの拡大。 --前作で1つだったセーブスロットが3つに拡充された。単純な変更ではあるが、本作にはシナリオ分岐が存在するため、プレイを非常に補助してくれる。また、お気に入りのイベントシーンを鑑賞する際などにも役立つ。 -クリア後は、タイトル画面に「NEW GAME+」が追加され、データを引き継いだ状態でニューゲームが可能になる。 --レベル・ジョブ・アイテム・所持金・フレンドのデータ等、引き継ぎたい項目は細かくプレイヤーが設定できる。 --これにより、何度も周回プレイすることが可能になった。周回を繰り返せば個数限定アイテムを幾つも集めることも可能。 -「強敵」という本編のストーリーとは無関係なボス敵が公式に配信された。 --配信される敵は一定期間で変更。また、受信した強敵は7体まで保持でき、通信で他のプレイヤーに送り込むことも可能。 --「推奨レベルが99」というまさに強敵が多く用意されており、やりごたえは十分。また、強敵を倒すと各種能力値が上昇する「饅頭」を入手できるメリットもある。 ---これは実質本作のエンドコンテンツなので、強敵であることは問題ない。本作と関係のある「光の4戦士」をリスペクトした演出も好評である。 -イベントビューワー追加 --一度見たイベントを再生できるイベントビューワーが追加された。ジョブ衣装は再生時のものが反映されるため、一部の衣装がイベントの空気を損ねてしまう問題もある程度改善された。 -ボイスは日本語と英語を選択可能になった。日本語のボイスに不満がある人は、英語音声でプレイするのも良いかもしれない。 --さらに、ゲーム中のテキストは日本語・英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語・スペイン語に設定可能となっている。 -エンディング後に次回作のPVを収録。 --「フォーザ・シークウェル(続編のために)」というサブタイトルからも分かるように、本作は「FF」を次回作へと繋げるための布石となっている。 **賛否両論点(FtS) -戦闘システムの変更は賛否両論。 --大きく追加されたのは、「ブレイブリーセカンド」と呼ばれるシステム。これは戦闘中に「SP」と呼ばれるポイントを消費して、敵味方ターンを問わず追加行動を入力できるシステム。 --本作の戦闘ではターン開始時に全ての行動を入力するが、その後の行動順がかなり曖昧な基準で決定されるため、状況に即時対応し難いという問題があった。本システムはその穴を埋め、柔軟な戦闘を可能とするものである。 --また、ブレイブリーセカンド中の攻撃は、通常のダメージ上限9999を突破し、最大999999ダメージまで叩き出せるようになる。 ---問題はこの「SP」が3DS本体をスリープさせた時間に応じて溜まるポイント((ちなみに課金アイテムを使用することでスリープせずに回復することも出来る。))だということ。これにより一気に長時間プレイすることがゲーム的に不利なプレイスタイルとなってしまっている。 ---また、厳密には敵の行動に割り込んで発動することは出来ないので、例えば「相手が魔法を使ったのを見て発動し、味方にリフレク((敵の魔法攻撃を無効にし反射する魔法。))をかけるなどして対処」といった活用法は出来ず、そのまま相手の行動を許してしまう。 ---そういう事もあって、使い勝手は万能とは言いきれない。実際使わなくてもクリア出来る難易度なので、若干システムの影が薄くなってしまった。 ---余談だが、ヘルプのこのシステムの項目では「[[俺が時を止めた>ジョジョの奇妙な冒険シリーズ]]」「[[俺のターン>遊☆戯☆王シリーズ]]」といった、『FF』ではほぼ見られなかった露骨なパロディネタが用いられている。 -高難度化・やりこみゲー化。 --7・8章の練り直しに伴い、特に8章のサブイベントはかなりの高難度に設定された。味方を全員レベル99に育成する事は基本として、その上でスキルと戦略を練る必要があると言えばどの程度か分かるだろうか。 ---前作がヌルゲーと言われていた反動だろうが、今度は難易度を上げ過ぎているという声もある。 --サブイベントはゲームクリアの上で必須ではないこと、クリアデータをロードすると8章冒頭に戻る(未消化のサブイベントに再挑戦できる)ことから、8章のサブイベントはクリア後のやりこみ要素と割り切ってしまうべきかも知れない。 ---事実、ラスボス戦よりも遥かに高難易度に設定されている。 **問題点(FtS) -強敵の配信期間の短さ。なんと最短で''1日限定''の配信ボスが存在し、その日を逃したプレイヤーは大いに落胆することとなった。 --公式配信が終了している強敵と戦いたいなら、その強敵を保持している他のプレイヤーから通信で受け取るしかない。 -完全版商法。 --本作は前作購入者に様々な優遇措置を設けるなど、ある程度良心的な形態を取ってはいる。しかし本作はそもそも、続編の制作などが予定されていない単発作品として発売されたため、それが評判になるや否や完全版を作成したことについてはやはり批判が強い。 --また「続編のために」というサブタイトルは「最早作品を単品として完結させようとしていない」「シリーズ商法の開き直り」とも受け取れる。「完全版」という表記を避けたがっているのは分かるが、完全に逆効果で、購入者心理を逆撫でしている。 **総評(FtS) 前作の詰めの甘い部分を練り直した完全版。UIから戦闘バランスに至るまで様々な部分が改善されており、追加要素も多いため、実質前作の上位互換として機能している。~ 意味が分かりにくく、ファン心理を逆撫でもするサブタイトルにより購入意欲が減退した人も少なくないが、次作へ引っ張るような要素は最後に広告が追加された点のみで、内容的には無印同様、本作単体できちんと完結している。~ 前作から価格が下がっており(現在は廉価版もある)手に取りやすいため、今からブレイブリーデフォルトの世界に触れたいという方は是非こちらを購入していただきたい。 **余談(FtS) -公式サイトの謳い文句で「完全版というには、続編の新システムが搭載され、廉価版というには、細部にわたる品質向上が施され、続編の体験版というには、前作の全てが楽しめる。」と述べられているが、日本語の文章としては非常に不自然な構成となっているため、発売前からネット上で不評を買った。 -2014年7月28日、『セカンド』の公式サイトオープンに合わせて、「たっぷり無料で遊べる版」と称して『フォーザ・シークウェル』の無料体験版のダウンロードが開始された。物語の節目でもある4章までをプレイ出来るが、容量軽減のためボイスや一部のムービーは削られている。 --2000円のアップグレードキットを購入することでボイスを含め通常通り最後までプレイ可能になる。ただし、ボイスは日本語のみ・ARムービーはオープニングのみなど、ダウンロード版及びアルティメットヒッツ含むパッケージ版との違いはある。 ---なお、本作より追加されたチュートリアルクエストのテキストでは無料版においても言語設定に関する説明が残ってしまっている。 ---- **その後の展開 -本作の世界観を継いだ続編『[[ブレイブリーセカンド エンドレイヤー]]』は『FtS』発売の約1年半後の2015年4月23日に発売された。 --しかし「続編のために」とうたっていながら、好評だったにもかかわらず『FtS』から引き継がれていない要素がある。さらに本作で不評だった内容が修正されずに続投しているケースもある。 -2021年には、本作から''世界観を一新した''続編『[[ブレイブリーデフォルトII]]』が発売。 --タイトルがややこしいが、『セカンド』は言わば初代ストーリーが繋がった「I-2」、『II』は心機一転の完全新作といった立ち位置である。 -また「ブレイブリーシリーズ」ではないものの、本シリーズの流れを汲む作品として2017年に同スタッフによるHD-2D作品『[[OCTOPATH TRAVELER]]』が登場している。こちらも後にシリーズ化された。
本稿ではニンテンドー3DS用ソフト『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』と、その完全版である『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』について紹介する。判定はどちらも「良作」とする。 ---- #contents ---- *ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー 【ぶれいぶりーでふぉると ふらいんぐふぇありー】 |ジャンル|RPG|&amazon(B008F29CRM)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売元|スクウェア・エニックス|~| |開発元|シリコンスタジオ|~| |発売日|パッケージ版:2012年10月11日&br()ダウンロード版:2012年11月1日|~| |定価|パッケージ版:6,090円&br()ダウンロード版:5,400円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|ブレイブ&デフォルトシステムの奥深い戦闘&br()ストーリー及びゲームバランスは賛否両論&br()&bold(){「FF」ではない}&br()|~| |>|>|CENTER:''[[ファイナルファンタジーシリーズ関連作品>ファイナルファンタジーシリーズ]]''| **概要 『[[光の4戦士 -ファイナルファンタジー外伝-]]』の主要スタッフ陣が開発した新作RPG。~ 「原点回帰」を謳う「王道ファンタジーRPG」として制作された。 システムは光の4戦士を発展させたものとなっているが、世界観は完全に一新。従来の「FFシリーズ」ではない完全新作扱いとなっている。~ ただし、クリスタル、ジョブシステム、魔法の名前など、『FF』を思わせる要素は多々存在する。~ タイトルはしばしば『''BDFF''』と略される。 **システム -ジョブチェンジ --『FF』シリーズの一部にも存在するジョブチェンジシステムが本作でも採用されている。 --そのジョブに就いているボスキャラクターを倒して「アスタリスク」と言う特別なアイテムを手に入れる事で、そのジョブにチェンジ可能となる。 --「ジョブによってコマンド1つ・サポートアビリティ1つとステータスが決定」「さらにコマンドもう1つといくつかのサポートアビリティが装備可能」と、『[[ファイナルファンタジーV]]』にかなり近い。ただし、全ジョブ最大14レベルで、ジョブレベルアップに必要な経験値もすっぴんを除いて全ジョブ共通。 --サポートアビリティはジョブ固有のものが1つに加え、特定の枠数((最初は1枠だが、ストーリーが進むごとに最大5枠まで増加する。))だけ装備出来る。それぞれのアビリティに1~3の決められた枠数が存在し、強力なサポートアビリティはそれだけ複数の枠を使用する。 -ブレイブ&デフォルト --本作の最も特徴的な戦闘システム。ターンを跨いで行動の前借り/後回しを行う事ができる。 --防御行動である「デフォルト」を行うと、BPと呼ばれる数値が溜まっていく(最大3)。それを「ブレイブ」で消費する事で、ブレイブを行った回数だけ追加行動出来る((ブレイブは1ターンに最大3回、行動は本来の物と合わせて4回まで。))。なお、BPは戦闘ごとにリセットされる。 --またBPが無い場合でも、-3になるまで前借りを行う事ができる。戦闘が終わってしまえばゼロに戻るが、もしトドメをさせなかった場合、マイナスとなったターン数だけ無防備に攻撃を受ける事になってしまう。 --アビリティの中にはBPをコストとして使用するものやBPを増減するもの、最大BPを1つ上げるもの等も存在する。 -戦闘ボーナス --敵を1ターンで倒すなどの条件を満たす事で、獲得経験値などにボーナスを得る事が可能。上述のブレイブによる前借りと合わせて、雑魚戦では「やられる前にやる」事が推奨されるシステムとなっている。 -必殺技 --装備ごとに決められた条件を満たす(戦闘終了後も持ち越し可能)事で、必殺技が使用可能となる。攻撃力が高いだけではなく、追加で味方を強化する効果が発生する。 --強化効果は「必殺技発動時に流れるBGMが続いている間」と言う一風変わったシステム。迅速にコマンド入力したりエフェクトの短い攻撃を行う事で、必殺技の恩恵をより多く受けられる。 ---また、BGMが流れている最中に別の必殺技を使用して新しいBGMを流す事が出来れば、最初の必殺技の強化効果もその新BGMが終わるまでに延長される。 --必殺技は「必殺技パーツ」によってカスタマイズ可能。威力を上げたり、属性や追加効果をつけたり出来る。 -フレンド召喚・配信 --フレンドコード登録やすれちがい通信で、フレンドをセーブデータに登録する事ができる。このフレンドを戦闘中に召喚する事で、フレンドが予め登録した技が発動する。 -アビリンク --フレンドコード登録で招いたフレンドとは「アビリンク」が可能。リンクした相手が習得しているアビリティを使用する事ができる。ただし、効果は自力習得したアビリティより小さい。 --すれちがい通信で招いて登録したフレンドとはアビリンク不可。 --ストーリーが進むとCOMプレイヤー((COMタロウ・COMジロウ・COMサブロウ・COMシロウの4名。))が登場し、彼らとアビリンクを行う事もできる。ただしお試し版といった具合であり、実際のフレンドとのアビリンクほど劇的な効果は得にくい。 //---なお、フレンドはとある部分でシナリオに絡んでくる。実在のフレンドがいるなら熱いシーンなのだが、いない場合、上述のCOMタロウ・COMジロウらが登場し、かなりお寒い演出となる。 //クライマックスの不満点を全部ネタバレ項に回すため、こっちを隠す。 -ノルエンデ村復興 --フレンドコード登録やすれちがい通信で登録したフレンドを使って、滅んだ村を復興させる事が出来る。 --住人を多く作業に当たらせるほど、早く復興する。例えば1人で2時間かかる作業に2人で当たらせると1時間で済み、10人なら12分しかかからない、など。 --ゲーム起動中にリアルタイムで時間が進み、3DSを閉じていても復興は進む。このゲームを起動していない場合は復興は進まない。 --村が復興すると、前述の必殺技や必殺技パーツが手に入ったり、強力な武具・アイテムが買えるようになったり、消費アイテムが無料でプレゼントされたりする。特にほとんどの必殺技と全ての必殺技パーツは復興でしか手に入らない。 -ネトフレ招待 --フレンド召喚、ノルエンデ村復興に関しては、すれちがい通信やフレンドコード登録だけではなく、毎日1回、ネット上からランダムに1~4人を自分のセーブデータに連れてくる事ができる。 --これによってすれちがい通信にありがちな地域格差がある程度解消されている。 -Dの手帳 --いわゆるコレクター図鑑。ゲーム進行に伴い、アイテム、モンスター、登場人物、用語などが記述されていく。 --図鑑以外にも、未来の出来事であるかのような謎の文章が書かれており、ストーリーにも密接に関連している。ゲームにミステリアスな要素を与え、プレイヤーを物語に引き込む事に一役買っている。 **評価点 -王道ストーリーの中に「正義とは何か」「世界を救うとはどういうことか」を深く描いたシナリオ。 --最近のスクエニRPGの大規模なシナリオに不満を抱いていた古参プレイヤーからの評価が特に高く、その一方で最近のゲーマーにとっても十分評価に足る質となっている。 --メインストーリーだけでなく、サブシナリオやパーティチャットなどの寄り道ストーリーもキャラクターたちの魅力が最大限に引き出されたテキストにより評価が高い。 --シナリオライターは『[[CHAOS;HEAD]]』『[[STEINS;GATE]]』などを手掛けた5pb.の林直考。『[[メモリーズオフ>メモリーズオフシリーズ]]』シリーズや[[科学アドベンチャー>科学アドベンチャーシリーズ]]シリーズなど、ADVのシナリオに携わってきた氏にとって初めてのRPGシナリオとなる((一応、氏はアドベンチャーRPGの『アイテムゲッター~僕らの科学と魔法の関係~』を手掛けた事はあるが、正統派のRPGという意味では本作が初である。))。 -上記のシナリオを彩る魅力的なキャラクター陣。テキスト面の秀逸さもあってパーティキャラ・敵キャラ・その他サブキャラ問わず印象的なものとなっている。 --特にエタルニア公国軍のアスタリスク持ちキャラクター陣は、短いイベントの中で最大限に濃いキャラクター付けがなされており、どのキャラも「倒すには惜しい」と言われている。 -ブレイブ&デフォルトシステムの奥深い戦闘。 --1ターンに最大4回行動できるため、戦闘の展開が早い。BPをマイナスにしてもトドメを刺し切れなかった場合、最大3ターンも無防備に殴られるので油断出来ない。 --また本作は全体的に敵の攻撃力が高めでレベルカンスト後でも即全滅がありうる((よくある全滅例としてはブレイブ3回使った味方が攻撃前に混乱させられ4連続パーティアタック・・・など。))ピーキーなバランスとなっており、B&Dでの力押しだけでなくアビリティ選択の見極めも重要。 --上述した必殺技やフレンド召喚によりプレイヤーの手で戦闘を格好良く演出できるのも魅力。 //--前身である『光の4戦士』のAPシステムはボス戦に備えるにはザコ戦でAPを貯めたり節約した戦いを強いられるなど戦闘面の閉塞感が否めなかったが、本作のBPは戦闘ごとにリセット=1戦闘ごとに全力で戦えるため『光4』での煩わしさが解消されている。 -ジョブシステム --どのジョブも育成すればそこそこに戦える。 --ジョブを手に入れるたび、その時点で漏れなくコマンドアビリティの選択肢が一つ増える。このためすぐにはチェンジしづらい状況でも、ジョブを手に入れたことそのものがパーティ強化の一端に繋がる。 --ジョブチェンジするとキャラの衣装も変わるため、見た目重視で選んでしまうスタイルも有り。見た目で選んだジョブが弱すぎて足手まといにしかならない、といった事態は「あんまり」起きない。 ---ただ、ソードマスター・魔人など、使いどころに困るジョブも存在する。 -BGMの評価が高い。 --全曲をアニメ「進撃の巨人」のOP曲などで知られる「Sound Horizon」のRevoが手がけている。フィールドテーマやバトルテーマなど、まさにファンタジーRPGの王道BGMといえる良スコア揃い。 ---ハードロック調の激しい戦闘曲から電波系アイドルソングまで幅広い作風のBGMが楽しめる。特にアスタリスクボス戦で流れる「彼の者の名は」とラストバトルのBGM「地平を喰らう蛇」の人気が高い。 -声優 --声優で売るゲームでは無いのだが、声優陣は非常に豪華かつバラエティ豊か。 --20人以上いる敵サイドの要人全てがベテランor人気声優。 --登場機会の多いキャラはもちろん、一度しか登場機会のないキャラでも檜山修之や保志総一朗といった何度も主役を務めているクラスの声優ばかり。 -本作は発売前より、頻繁に体験版を配信しユーザーより積極的に意見を募って製品版へフィードバックさせるという制作スタイルが取られていた。 --先行体験版による内容のブラッシュアップは先のスクエニ作品である『FF零式』『シアトリズムFF』でも実施されていたが、本作では特に熱心に意見交換が行われた。 --体験版時点では戦闘が非常に遅く、不満が続出したため、以降、早送り機能が搭載されるなどスピードがアップしている。 -美麗なアートワーク --『[[サガ フロンティア2]]』を彷彿とさせる水彩画タッチのグラフィックは評価が高い。溶岩の上に建造された要塞都市、巨大な大風車が回るスチームパンク風都市など街のデザインも「光の4戦士」同様に凝っている。 --当然ながら3Dの立体視にも対応しており、特に街のグラフィックは「飛び出す絵本」のような見応えが感じられる。 **賛否両論点 -一部声優の人選。 --幼児の姿をしたとあるキャラには子役、つまり本物の子どもが声を当てており、かなり浮いている。 --「浮世離れしたキャラに合っている」「明らかに雰囲気を壊す」「子役にこんな残酷な事言わせるな((このキャラクターは幼児の姿をしているが精神年齢は並の人間を上回っており、加えて世界に対してかなりの憎しみを抱いているため、「殺す」「死ね」等の言葉を頻繁に口に出す。))」等様々な意見があり賛否両論。 ---一応、ボイスはオフにすることも可能。 -ジョブコスチュームの好みが分かれがち。 --一部のジョブ衣装デザインとキャラデザインはゲストイラストレーターが担当しているのだが、全体的に癖が強く好みが分かれるものも少なくない。コスチュームはゲーム中のイベントにも反映されるので気にしがちなところ。「吉田絵の雰囲気にそぐわない」という意見もある。 --一応、衣装を持っていればそれを装備させて外見を変更することが可能である。 **問題点 -一部のユーザーインターフェースが悪い。 --ブレイブシステムの関係で、1ターンに複数コマンドを入力したり、同じアビリティを連続使用するのだが、その際のテンポがあまりよくない。ブレイブを1ボタンで行えればよかったという意見も。 --アイテムのソートが不可能。使用時はまだ種類別に並ぶのだが、売却時は入手順にバラバラのため目当てのアイテムを探すのが非常に面倒。 --ボタンとタッチパネルの振り分けが中途半端。例えば、Dの手帳はタッチパネルを利用しなければ開けないのに、操作自体はボタンで行う。 --セーブデータは1つだが、取り返しの付かない要素は少なくない。特にDの手帳による記述追加の中には、非常に気づきにくく後から回収出来ないものも。 --全てが不親切というわけではなく、左手だけでも操作出来るボタン配置やカーソルの位置記憶など、親切な面も存在する。それだけに不親切な点がもどかしい。 ---ただし、左手だけで操作できるように十字キーの左右に決定、取り消しを当てがったため、スライドパッドでコマンド入力や店での売買を行うと誤操作が発生しやすい。 -戦闘面のバランス取りが極端。 --反則的な性能を持つジョブコマンドが少なくないため、それらを用いると大幅に難易度が下がってしまい戦闘の緊張感がなくなる。 --強アビリティの代表例としては、BP1消費で簡単にカンストダメージが出せる「点穴」「マルチバースト」、修得の手間無しにザコを簡単に一掃できる「クレセントムーン」、パーティ全体に全属性無効を付与する「大精霊の加護」など。 ---カンストダメージ・9999を割と簡単に出せてしまうため、攻撃系アビリティの多くが実質死んでいる。敵を眠らせたりする間接攻撃系のアビリティは、もはや存在意義が疑われるレベル。 ---ワールドへイスト+ハイジャンプの組み合わせで、敵から攻撃を受ける前にジャンプで退避しつつ落下ダメージを一方的に与え続けるハメ技が可能。反撃を使うような一部の敵を除いてほとんどに有効である。 --必殺技や強力なアビリティを用いると、中盤までのボスは1ターン・ノーダメージで撃破するのも難しくない。終盤もそれほど苦戦する事はない。 --雑魚戦は「殺られる前に殺れ」が基本で先手を取って一方的に殲滅するか、先手を取られてボコボコにされるかという両極端状態。 ---しかも緊張感を残そうとしたのか行動順に「素早さ×1.0~2.0」という大雑把な補正がかけられており、どれだけ素早さを強化しても先手を取られる事がある。また敵側の先制攻撃を防ぐアイテムやアビリティはかなり後にならないと入手できないため、出会い頭に先制されて事故死という状況がよく発生する。 ---ボーナスの中でも最も重要な「ノーダメージ((取得できるJpが増える。5戦、10戦と繰り返すと上昇量も増える。基本的に本作の重要度はJp>EXP>G。))」は一発でも敵に先に攻撃されると獲得出来ず、また上述のアイテムが手に入るまではプレイヤーの工夫でどうにかなるものではないので、この先制仕様は結構なストレスとなる。 --ノルエンデ村復興で手に入る上位武器や必殺技、フレンド召喚やアビリンク等は初心者救済の面が強く、バランスを崩す恐れがある。 ---対策はプレイヤーが「縛りプレイ」をするしかないのが現状。 --ボス敵との戦闘中には会話がたびたび入るが、この会話中も必殺技の有効時間が過ぎていくため、イベント会話の多いボス相手には必殺技の有効度が落ちる。 -やり込み要素が薄い。隠しボスが少なく、普通にシナリオを進めるだけでレベルがカンストしてしまうのも要因の一つである。セーブデータが1個しか作れないため、周回プレイをするにはこれまで進めたデータを消さなければならず勇気がいる。 -鬱展開が多い。 --人間タイプのボスを倒した場合、基本的に相手は死ぬ(例外はあるが)。 --多くのサブシナリオでは、相手がこちらを殺そうと襲ってくるため戦闘となるが、一部のサブシナリオでは、相手がそれほど悪い奴では無かったり、説得すれば平和的に別れられそうなキャラと衝突し、倒す事になる。 ---倒した際、まるで死んだかのような台詞を口にするため、「悪い事をしていないのに意味もなく殺した」ような印象を受けてしまう。 ---さらに、その後いきなりパーティチャットにて主人公達が平和的な世間話を始めたりする。酷い場合は「(今倒したキャラ達は)とってもお似合いのカップルだったね」などとなごやかな雰囲気で会話しだす事もあるほど。不評だったからかFtSではリレイズで蘇生している場面が追加された。イベントをスキップしてしまった場合はイベントビューワーやDの手帳の記述を参照するほかなく、見落としてしまう可能性もある。また、「蘇生したとしても殺害している事に変わりはない」「そもそもシナリオ上でリレイズが登場するのがそこくらい」「該当キャラはリレイズを使用できない」などの問題も。 --とあるサブイベントはブラックかつ救いようのない展開になっており、人によっては不快になる可能性がある。しかも、アスタリスク獲得がかかっているため大半のプレイヤーは見ざるを得ない。 #region(ネタバレ注意・ブラックな展開の詳細について) -簡単に言うと「''ボスによって仲の良い幼い姉妹が発狂させられ、殺し合わせられる''(そして互いに死ぬ)」というかなりアブない内容。ボスの変態じみた発言もあってCOLOR(blue){''CERO:C''}(15歳以上対象)の大きな要因と言われている。 #endregion -アスタリスク(ジョブ能力)獲得に人間タイプのボスの撃退(大半が殺害)必須となることが、鬱要素とは別の観点からも難点となっている。 --大半の敵はちゃんと憎むべき敵扱いの描写をされているのだが、そのためせっかく手に入れたジョブの印象が悪くなり、ジョブ能力に沿った悪事を働いている連中が多いこともあって、同じジョブを名乗って同じ能力を使うのがとても嫌な気分になるという意見も。衣装がアスタリスク所有者のコスプレになるあたり重ねて更に心証が悪い。 -シナリオのネタバレを見てしまうと楽しみを大きく損なう。 #region(ネタバレ注意・シナリオ全体の流れについて) -中盤までは王道ストーリーが展開されるのだが、中盤も終わりに差し掛かった辺りから雲行きが怪しくなってくる。そして終盤に突入すると同時に大ドンデン返しが待っている。 --この劇的なストーリーを「奥が深い」「面白い」と評価するプレイヤー、「奇をてらい過ぎている」「よくわからない」と評価するプレイヤーによって、本作のストーリーの評価が分かれる。 ---本作のシナリオライターの過去作を見るに、このようなシナリオになる事ははじめから織り込み済みだったようであるが。 -5章以降、コピペのような繰り返しが多い。 --特にあるイベントの「石碑から・・・ドラゴン!?」というセリフはよくネタにされる。((既に何度も同じ目にあっているのに全く同じことを繰り返し言う。このイベントの度に毎回言うので、人によっては何十回も聞くことになる。)) --そんな展開の中で、ほとんど同じ能力値のボスと何度も(最大3回)戦うことになる。 -終盤のシナリオ練り込みが非常に甘い。 --5章以降でルート分岐があり、「終章」と「真・終章」に分岐するのだが、シナリオの流れの通り敵の罠を破った場合、進めるのは「終章」の方。 ---トゥルーエンドである「真・終章」に向かうためには、シナリオの流れを大きく無視して''敵の罠に嵌る必要がある。''すでに罠である事が(プレイヤーだけでなく、キャラにとっても)ほとんど明々白々な状況なのに、衝撃的な事実が判明したように振る舞うキャラクター達は非常に白々しい。 ---さらに、この際に似たようなシナリオを繰り返す羽目になり、作業感が非常に強い。任意であるサブシナリオはもちろん、メインシナリオでも同じボスを何度も倒したり同じダンジョンに何度も行ったりする羽目に。またその際のイベントが度々使い回されており、毎回同じ状況で同じリアクションをとる主人公たちにも違和感を覚える。 --本作のタイトル『ブレイブリーデフォルト』とは「勇気」を持って「拒否」するという意味であり、本作のテーマ、及び「終章」の展開を暗示したものである。スタッフも「終章」の方にたどり着いてほしいとインタビューで答えているが、ではなぜもう一方が「真・終章」なのか。 ---ざっくり言ってしまうと、「終章」ではラスボスの降臨を阻止して完結する。一方、災厄の根源を絶つためにラスボスを倒そうとした場合、わざと敵の思惑を成就させてラスボスを降臨させなければならない――というわけである。だが、その結果「テーマに反した行動を取らないとトゥルーエンドに到達できない」という仕様になってしまっている。 ---当初は「終章」で真ラスボスと激突する展開だったが、プロデューサーの「真ラスボスを隠しにしたら面白いんじゃないか?」と言う発案で変更された…とインタビューで語られている。だが、シナリオ演出の点においても、間延びと言う点においても、面白くなるどころか完全に盛り下げる結果となってしまった。 --全体的に良作としての評価が多い今作だが、この終盤部分だけは多くのプレイヤーが口を揃えて欠点として挙げるポイント。ここで挫折したプレイヤーも少なくないようなので、下手にイベント全てを体験しようと思わず、ストレートに真終章を目指した方が良いかもしれない。 ---ニコニコ動画の生放送で行われたアンケートのうち「どの章が一番嫌い?」という項目では、この終盤部分にあたる7章が77%の票を得た。 --あるキャラクターの正体が明かされるが、過去の人間関係と照らし合わせると「幼い頃から家族同然の扱いであったはずの人物を含め関係者が誰一人として素顔を知らなかった」という非常に不自然なものになってしまっている。これに関してはスタッフインタビューでも指摘されているが、「深く考えていなかった」「素顔を見ていないか、覚えていないか、どちらでもいい」と投げやりな回答をするばかりか、「きっと風呂に入るときでも兜を被っていたのでしょう」などと半ばギャグ混じりの発言をしている。ある意味ではこのあたりの姿勢からすでに次回作への片鱗をのぞかせていたとも言える。 -全体的にキャラクターの言葉が足りていない。 --やたらと勿体ぶっていたり、人の話を聞かなかったりするキャラが多く、「もっと早くにちゃんと説明してくれれば/説明しておけばこんな事にはならなかったのに」という事が非常に多い。 ---ストーリー上の事情により、これらを何十回も繰り返すことになる。 --事態が起こったあとに反省や後悔が足りないキャラが多い。 ---スタッフインタビュー等を見る限り、これらはわざとやっている面もある様子。だが、それにプレイヤーが納得出来るかは人によって意見が分かれる。 -実は''全てのプレイヤーが必ず見ている所に物語の最も核心的な部分に迫るネタバレが仕込まれている''という仕掛けが施されている。その仕掛けが明かされるのはエンディングの後であり、先入観を用いて隠蔽し続けたという巧みなもので、多くのプレイヤーを驚かせたものとして好評を得た。 --しかし、その仕掛け自体が高度なものではないが故に不運にも気づいてしまうことも有り得る。それが分かった所で全く面白くなくなるような陳腐なストーリーではないが、何割か魅力は減じてしまうと言える。 #endregion #region(最重要ネタバレ注意・シナリオの核心により具体的に触れています。''未プレイの方は見ないことを推奨します。'') -本作のシナリオライター・林直考の名から察した方もいるかもしれないが、実は本作は王道ファンタジーに見せかけたパラレルワールドもの、より具体的に言えば林の過去作『STEINS;GATE』等と同じ「''世界線移動もの''」である。 --本家ファイナルファンタジーに倣い、ファン間ではこれらの並行世界は移動する順に「第一世界」「第二世界」…と呼び分けられている。公式の呼称ではないので注意。 --第四章クリア後、主人公一行は最初の町で目覚め、今までの冒険をもう一度追体験していくこととなる。しかし過去の経験とは微妙に異なる立ち位置のキャラクター、展開、そして以前は起きなかった事件に悩まされる中で、自分達の行いが正しいのかどうかということに疑念を感じ始める。 ---本作の死亡キャラの多さはこのための布石であり、以前に壮絶な死を遂げたキャラクターと再戦することで「プレイヤーが生殺与奪を握っている」という事実をより明確に実感させられる。しかも嫌らしいことに二回目以降の戦闘は不可避のイベントではなく、あくまでプレイヤーの任意戦闘である。 --本作の最大の不評点である「似たようなシナリオの繰り返し」という感覚が何故起こるのかというと、プレイヤー側は第一世界から第二世界に移行した時点、遅くとも第三世界時点でこのシナリオの全体構造に気付くのだが(リングアベルが丁寧に解説してくれるため)、その後も暫くシナリオの流れのままプレイする必要があるため。 ---終章突入の場合は繰り返しも少なく、シナリオの流れ的にも問題ない。だが、真・終章に入りたい場合、第五世界までラスボスの企みに乗り続ける必要がある。シナリオとしては不自然な上、サブイベントの回収なども行うとかなりの手間であり、おまけにその頃にはレベルもカンストしているので戦闘すら楽しめない。 ---また、真終章突入時は「企みを知っている筈なのに、全く知らないように振る舞う」と言うあまりに不自然な展開となる。どうしても企みに乗るにせよ、「わざと企みに乗った」とか「企みを知っていたのに決意出来なかった」などのもう少し自然な展開も出来た筈なのだが。 -ネタバレ事故の起こる危険性。 --上記のように本作のシナリオはかなり練られているので、是非とも初見で、驚きを持ってプレイして頂きたいのだが、本作では最も重要な謎の核心部分が誰の目にも明らかな部分にいくつも仕込まれているため、それらに意図せず気づいてしまったプレイヤーの楽しみを減じてしまった。 ---まず、本作冒頭ムービーに登場する精霊・エアリー。実は彼女、作中に登場して主人公たちのガイド役を務めるエアリーとは声や服装が異なる。つまり別人。このことに気付くと、エアリーが最重要キャラクターだと知ってしまうこととなる。 ---エアリーの羽根の模様は数字をあしらったものであり、話を進めると数字が変わっていく。この事実は作中でとあるキャラにより明かされるのだが、メニュー時の下画面にエアリーの全身像が表示され、じっくりと見ることができるため、その前に気づいてしまう可能性がある。 ---そして本作のタイトル。本作は「FF(ファイナルファンタジー)」ではないので「FLYING FAIRY」から「FF」を取ると、「''LYING AIRY(嘘つきエアリー)''」という文字列が浮かび上がる。本作発売前から何度も言われていた「本作はFFではない」というスタッフの言は、このタイトルに込められた真意を伝えているものであり、発売前からこのネタバレに気づいてしまう購入者もいた。 -何かと不満の多い「真・終章」だが、その最後を飾るラスボス戦の演出も賛否両論。 --「フレンドの世界から力を借りる」と言う熱い演出があるのだが、実在のフレンドがいない場合、前述したデフォルトのフレンドである「COMタロウ・COMジロウ」らから力を借りる事になる。熱い展開に大きく水をさす事は間違いない。 ---スタッフは「昔、COMタロウっていたよね」と話のタネにしてくれたらいいな」などと考えてこのような仕様にしたようだ。確かに話のタネにはなるだろう……悪い意味で。 ---また、逆に「自分の世界がフレンドの世界のラスボス戦に力を貸す」ような展開が無いため、「本当にフレンドと協力している」感が薄い。それどころか、シナリオの過程でフレンドの世界が一つ滅んだりする(もちろん実際のフレンドの世界は滅ばないが)。メタ要素としてはいまいち練り込みが甘いと言わざるを得ない。 --さらにラスボス戦が開始すると、3DS内側のカメラが起動し、''自分の顔を背景に戦闘を行う''事になる。「自分の目の前で戦闘している」感を出したかったようだが……。 ---本来なら外側のカメラが起動し、「自分の部屋を映し出し、その中で戦闘を行う」と言う予定だったが、プロデューサーの発案により、内側のカメラに変更した。しかし、ゲーム中に自分の顔を見ながら盛り上がれる人は早々いないだろう。実際、スタッフに「ギャグになっちゃいますよ?」と心配されている。何故そこで忠告に従わなかったのか…。 -真終章の存在を始めとして、全体的に「プロデューサーが思いつきで改変した部分」が大きな賛否両論となっていると言える。 --なお次回作ではシナリオライターの林が抜け、今作のプロデューサーやディレクターらが共同でシナリオを担当している。これによりプロデューサーの意向がより多く反映されるようになったことが不評につながったとも言える。 #endregion //上記の記事ではシナリオのネタバレを恐れるあまり、曖昧な表現に終始してしまっているように感じられたので、具体的なネタバレの項を追加しました。勿論本作の魅力は出来る限り初見として味わうべきものですが、シナリオ全体像を見渡すことで全く異なる見方が可能となるという部分もまた魅力です。発売から時間も経過したことですし、ネタバレ項を見て本作の魅力を知ってもらうということも考慮すべきだと捉えた次第です。勿論、反対意見が多数であれば、このネタバレ項は削除して頂いて構いません。 -「『FF』ではない」と繰り返し宣伝していた割に、内容はFFそのものである。 --スタッフが攻略本で「『FF』のジョブシステムが5からさらに進化していたらどうなっていたか」「加えてFFタクティクスも参考にして、もちろん光の4戦士の流れもくみつつ」といったことを考えていたと語っている。 --一部モンスターのデザインは『FF外伝 光の4戦士』の使い回し。また、「冒険家」と「相棒」など『光の4戦士』のキャラが再登場している。 ---こういった事のため「完全新作」というより光の4戦士の実質的な続編にあたるという意見もある。ちなみに本作の設定資料集には『光の4戦士』のイラストも収録されている。 --''現在の''『FF』シリーズとはコンセプトが異なるため、『FF』ではないと解釈をすることも可能ではあるが。 --一応、これを用いた演出が存在する。意味はこれだけといっていい。 -クリスタル解放イベントが面倒臭い。 --ひたすらボタン連打しなければならず、かつ中盤以降はクリスタル解放が何回も続くため面倒になってくる。 ---しかし、終章へ進むためにはこの解放イベントで「とあること」をしなければならない。 **総評 賛否両論だったり詰めが甘い面も少なくないが、コンセプト通りに「原点回帰・温故知新の王道ファンタジーRPG」を達成した作品。~ 「昔のJRPGが好きだった」という古いRPGユーザーにも、今のJRPGが好きな新しいRPGユーザーにも等しくお勧め出来る。 **余談 -発売後、本作終了後の世界観を使ったブラウザゲームがサービスを開始している。 -本作は海外でも『Bravely Default』というタイトルのまま発売されているが、''英語としては意味不明すぎて''混乱する海外プレイヤーが続出した。 --一応“勇気を持って、果たすべき約束・責任を放棄する”という趣旨が込められているのだが、''意訳(むしろ超訳)すぎて伝わるわけがない。''また「Default」は「(意思的・主体的に)しない」というより「怠る」のニュアンスが強い語で、ポジティブな意味ではまず使わない。 -本作のプロデューサー浅野智也氏によると「わりと良い評価を頂いたブレイブリーデフォルトですが、クリアまで到達された方は20%もいませんでした。」とのこと。 --この数字はスクエニのメンバーズサイトにアップロードされたクリアデータ数の割合=クリア後に3DSからインターネットに接続してデータ更新を行う必要があるため、実数とはズレがある可能性がある。 --ちなみに本作は、ラストダンジョンの最終セーブポイント以外でセーブした場合、完全クリア済でもクリア率99%になってしまう。これをクリアと数えているのかどうかは不明。 //---明らかにゲームのイメージを下げるような発言だと思うのだが、何故このような発言をしたのだろうか…。 -(次回作での扱いだが)『[[LORD of VERMILION III]]』にメインキャラの一人「イデア・リー」がゲスト参戦。今作のシステムをほぼ完璧に再現したアビリティを搭載している。 ---- *ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル 【ぶれいぶりーでふぉると ふぉーざ・しーくうぇる】 |ジャンル|RPG|&amazon(B00EVN4T40)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売元|スクウェア・エニックス|~| |開発元|シリコンスタジオ|~| |発売日|パッケージ/前作購入者向けDL版:2013年12月5日&br()ダウンロード版((「たっぷり無料で遊べる版」の配信開始に伴い、配信終了となった。内容はパッケージ版と同一。)):2014年2月1日|~| |定価|パッケージ版:4,990円&br()前作購入者向けダウンロード版:2,900円&br()ダウンロード版:3,900円|~| |廉価版|無料版アップグレード:2014年7月28日/2,000円&br()アルティメットヒッツ:2014年8月7日/2,700円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|戦闘テンポの改善、難易度などを調整可能&br()不評だった7章以降のストーリーを一新&br()&bold(){「続編のために」}|~| |>|>|CENTER:''[[ファイナルファンタジーシリーズ関連作品>ファイナルファンタジーシリーズ]]''| ---- **概要(FtS) 前作『フライングフェアリー』(以下『FF』と表記)の加筆修正・完全版。~ 『FF』のシステムを練り直し、同時に新規要素を多数盛り込んでいる。~ 略称は前作の『BDFF』に対して、『BDFS』或いは『FtS』など。 前作をプレイ済みであれば、スクエニメンバーズ特設サイトを通じてセーブデータの引き継ぎが可能。~ 引き継ぎ項目は「キャラレベル」から「Dの手帳の内容」に至るまでかなり自由に選択することが可能なので、全てのデータを引き継いで最強状態で新しく遊ぶ、あるいは図鑑などの手間がかかる部分のみ引き継いで遊ぶ、といったように個人の裁量でプレイの幅を設定できる。 また、前作を所持していれば2014年1月31日まで優待価格でDL版を購入できた。~ ただし本作のDL版は4GB程度とかなりの容量なので、購入の際は手持ちのSDカードとの兼ね合いも考える必要がある。 「フォーザ・シークウェル」とは直訳すると「続編のために」であり、続編『[[ブレイブリーセカンド エンドレイヤー]]』の新システム「ブレイブリーセカンド」を先んじて使用可能。 **評価点(FtS) -ストーリーの練り直し。 --メインシナリオにほぼ変更はないが、7章・8章のアスタリスク所持者に関するサブシナリオが一新されている。 --詳細は避けるが、前作ではかなり強かった7・8章の作業感が緩和されている。 ---ただしこの影響で、前作よりもフラグ管理が煩雑化している。 -UIの改善。 --特にメニュー画面が改善されており、スキル・ジョブを変えることによる数値の変化が分かり易くなっている。 --また戦闘中にスライドパッドを左右に動かすことで敵・味方のステータスを切り替えることが可能になった。 -戦闘テンポの改善。 --前作では2倍速までだったが、本作では4倍速の実装により更に戦闘がテンポアップ。 --ブレイブ・デフォルトをそれぞれL・Rボタンでショートカット入力可能になった。 --戦闘中の会話はAボタンでスキップ可能になり、必殺技有効時間中に会話が挟まってロスする時間が減った。 --前作で望まれ続けていた''リピート入力機能の実装。'' ---これが何故待望の機能なのかと言うと、本作はブレイブシステムにより1ターンに1人につき最大4回行動が可能であり、戦闘に於いては先手で4回行動を行うことが勝利のカギとなる。 --つまり毎戦闘4人パーティで16回行動を入力させられるので、率直に言って''指が痛い。''リピート入力機能はYボタンで「前回と同様の行動を行う」機能で、この問題を解決するものとして歓迎された。 -コンフィグで難易度調整が可能に。 --戦闘の難易度を通常のNORMALに加え、EASYからHARDまで設定可能となった。 --エンカウント率が+100%から-100%まで50%刻みで調整可能となった(2倍出る~全く出ないまでを調整できる)。 --戦闘での経験値、お金、ジョブポイント入手の有無という制限プレイ向けの設定まで可能。下記の通り、セーブスロットも増えているので、さまざまな制限プレイにも挑戦しやすくなった。 ---引き継ぎ無しで開始し、最初から最後までエンカウント0%でクリア(難易度は問わない)したデータをアップロードすると、公式メンバーズサイトにて「殿堂入りプレイヤー」としてリストアップしてくれる。 -ジョブのパラメーターや、アビリティのコスト・効果には多数の調整が入った。 --「節制」「クレセントムーン」など、一部の強アビリティはコスト増大や弱体化が行われている。 --一方で、ソードマスターの反撃系アビリティなど、使い勝手が向上したアビリティもある。 -セーブスロットの拡大。 --前作で1つだったセーブスロットが3つに拡充された。単純な変更ではあるが、本作にはシナリオ分岐が存在するため、プレイを非常に補助してくれる。また、お気に入りのイベントシーンを鑑賞する際などにも役立つ。 -クリア後は、タイトル画面に「NEW GAME+」が追加され、データを引き継いだ状態でニューゲームが可能になる。 --レベル・ジョブ・アイテム・所持金・フレンドのデータ等、引き継ぎたい項目は細かくプレイヤーが設定できる。 --これにより、何度も周回プレイすることが可能になった。周回を繰り返せば個数限定アイテムを幾つも集めることも可能。 -「強敵」という本編のストーリーとは無関係なボス敵が公式に配信された。 --配信される敵は一定期間で変更。また、受信した強敵は7体まで保持でき、通信で他のプレイヤーに送り込むことも可能。 --「推奨レベルが99」というまさに強敵が多く用意されており、やりごたえは十分。また、強敵を倒すと各種能力値が上昇する「饅頭」を入手できるメリットもある。 ---これは実質本作のエンドコンテンツなので、強敵であることは問題ない。本作と関係のある「光の4戦士」をリスペクトした演出も好評である。 -イベントビューワー追加 --一度見たイベントを再生できるイベントビューワーが追加された。ジョブ衣装は再生時のものが反映されるため、一部の衣装がイベントの空気を損ねてしまう問題もある程度改善された。 -ボイスは日本語と英語を選択可能になった。日本語のボイスに不満がある人は、英語音声でプレイするのも良いかもしれない。 --さらに、ゲーム中のテキストは日本語・英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語・スペイン語に設定可能となっている。 -エンディング後に次回作のPVを収録。 --「フォーザ・シークウェル(続編のために)」というサブタイトルからも分かるように、本作は「FF」を次回作へと繋げるための布石となっている。 **賛否両論点(FtS) -戦闘システムの変更は賛否両論。 --大きく追加されたのは、「ブレイブリーセカンド」と呼ばれるシステム。これは戦闘中に「SP」と呼ばれるポイントを消費して、敵味方ターンを問わず追加行動を入力できるシステム。 --本作の戦闘ではターン開始時に全ての行動を入力するが、その後の行動順がかなり曖昧な基準で決定されるため、状況に即時対応し難いという問題があった。本システムはその穴を埋め、柔軟な戦闘を可能とするものである。 --また、ブレイブリーセカンド中の攻撃は、通常のダメージ上限9999を突破し、最大999999ダメージまで叩き出せるようになる。 ---問題はこの「SP」が3DS本体をスリープさせた時間に応じて溜まるポイント((ちなみに課金アイテムを使用することでスリープせずに回復することも出来る。))だということ。これにより一気に長時間プレイすることがゲーム的に不利なプレイスタイルとなってしまっている。 ---また、厳密には敵の行動に割り込んで発動することは出来ないので、例えば「相手が魔法を使ったのを見て発動し、味方にリフレク((敵の魔法攻撃を無効にし反射する魔法。))をかけるなどして対処」といった活用法は出来ず、そのまま相手の行動を許してしまう。 ---そういう事もあって、使い勝手は万能とは言いきれない。実際使わなくてもクリア出来る難易度なので、若干システムの影が薄くなってしまった。 ---余談だが、ヘルプのこのシステムの項目では「[[俺が時を止めた>ジョジョの奇妙な冒険シリーズ]]」「[[俺のターン>遊☆戯☆王シリーズ]]」といった、『FF』ではほぼ見られなかった露骨なパロディネタが用いられている。 -高難度化・やりこみゲー化。 --7・8章の練り直しに伴い、特に8章のサブイベントはかなりの高難度に設定された。味方を全員レベル99に育成する事は基本として、その上でスキルと戦略を練る必要があると言えばどの程度か分かるだろうか。 ---前作がヌルゲーと言われていた反動だろうが、今度は難易度を上げ過ぎているという声もある。 --サブイベントはゲームクリアの上で必須ではないこと、クリアデータをロードすると8章冒頭に戻る(未消化のサブイベントに再挑戦できる)ことから、8章のサブイベントはクリア後のやりこみ要素と割り切ってしまうべきかも知れない。 ---事実、ラスボス戦よりも遥かに高難易度に設定されている。 **問題点(FtS) -強敵の配信期間の短さ。なんと最短で''1日限定''の配信ボスが存在し、その日を逃したプレイヤーは大いに落胆することとなった。 --公式配信が終了している強敵と戦いたいなら、その強敵を保持している他のプレイヤーから通信で受け取るしかない。 -完全版商法。 --本作は前作購入者に様々な優遇措置を設けるなど、ある程度良心的な形態を取ってはいる。しかし本作はそもそも、続編の制作などが予定されていない単発作品として発売されたため、それが評判になるや否や完全版を作成したことについてはやはり批判が強い。 --また「続編のために」というサブタイトルは「最早作品を単品として完結させようとしていない」「シリーズ商法の開き直り」とも受け取れる。「完全版」という表記を避けたがっているのは分かるが、完全に逆効果で、購入者心理を逆撫でしている。 **総評(FtS) 前作の詰めの甘い部分を練り直した完全版。UIから戦闘バランスに至るまで様々な部分が改善されており、追加要素も多いため、実質前作の上位互換として機能している。~ 意味が分かりにくく、ファン心理を逆撫でもするサブタイトルにより購入意欲が減退した人も少なくないが、次作へ引っ張るような要素は最後に広告が追加された点のみで、内容的には無印同様、本作単体できちんと完結している。~ 前作から価格が下がっており(現在は廉価版もある)手に取りやすいため、今からブレイブリーデフォルトの世界に触れたいという方は是非こちらを購入していただきたい。 **余談(FtS) -公式サイトの謳い文句で「完全版というには、続編の新システムが搭載され、廉価版というには、細部にわたる品質向上が施され、続編の体験版というには、前作の全てが楽しめる。」と述べられているが、日本語の文章としては非常に不自然な構成となっているため、発売前からネット上で不評を買った。 -2014年7月28日、『セカンド』の公式サイトオープンに合わせて、「たっぷり無料で遊べる版」と称して『フォーザ・シークウェル』の無料体験版のダウンロードが開始された。物語の節目でもある4章までをプレイ出来るが、容量軽減のためボイスや一部のムービーは削られている。 --2000円のアップグレードキットを購入することでボイスを含め通常通り最後までプレイ可能になる。ただし、ボイスは日本語のみ・ARムービーはオープニングのみなど、ダウンロード版及びアルティメットヒッツ含むパッケージ版との違いはある。 ---なお、本作より追加されたチュートリアルクエストのテキストでは無料版においても言語設定に関する説明が残ってしまっている。 ---- **その後の展開 -本作の世界観を継いだ続編『[[ブレイブリーセカンド エンドレイヤー]]』は『FtS』発売の約1年半後の2015年4月23日に発売された。 --しかし「続編のために」とうたっていながら、好評だったにもかかわらず『FtS』から引き継がれていない要素がある。さらに本作で不評だった内容が修正されずに続投しているケースもある。 -2021年には、本作から''世界観を一新した''続編『[[ブレイブリーデフォルトII]]』が発売。 --タイトルがややこしいが、『セカンド』は言わば初代からストーリーが繋がった「I-2」、『II』は心機一転の完全新作といった立ち位置である。 -また「ブレイブリーシリーズ」ではないものの、本シリーズの流れを汲む作品として2017年に同スタッフによるHD-2D作品『[[OCTOPATH TRAVELER]]』が登場している。こちらも後にシリーズ化された。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: