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山村美紗サスペンス 京都花の密室殺人事件」(2022/05/29 (日) 22:43:38) の最新版変更点

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*山村美紗サスペンス 京都花の密室殺人事件 【やまむらみささすぺんす きょうとはなのみっしつさつじんじけん】 |ジャンル|アドベンチャー|&image2(kyouto.jpg,height=200)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|1MbitROMカートリッジ|~| |発売元|タイトー|~| |開発元|トーセ|~| |発売日|1989年2月11日|~| |定価|5,900円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|女王が手がけるミステリサスペンスADV二作目&br;舞台は花の世界|~| |>|>|CENTER:''[[山村美紗サスペンスシリーズリンク>山村美紗サスペンスシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 推理作家・山村美紗がシナリオを担当したFCミステリーADV三作品の内の第二作目。~ 本作までがタイトー製になっており、前作、本作は「キャサリンシリーズ」を土台に作られている。~ 基本的な設定やシステム周り、キャサリンに狩矢警部といった主な登場人物は、前作『[[龍の寺殺人事件>山村美紗サスペンス 京都龍の寺殺人事件]]』と同じ。 **ストーリー -生け花の個展会場で友人が殺害された事件の謎を追うキャサリン。しかしその裏には華道界の影の部分が関係すると思われ、混迷を極めたまま事件は連続殺人に発展してしまう…。 --一部のトリックは、小説のキャサリンシリーズ本編から採られているものもある。 ''登場人物'' -主人公 --主人公はキャサリンと友人関係という設定。説明書によると職業はゲームデザイナーらしいが、今作ではその設定は事件と特に関係ない。 --設定から推察するに前作主人公と同一人物の可能性もあるが、「生け花を通じて知り合った」(前作の出会いのきっかけは生け花ではない)という表現もあり、いまいち人物像は掴みきれない。 -その他の人間関係 --「京本流」という華道の流派を中心とする。最初の被害者である「松野愛子」は、京本流随一の実力者。その他の主な登場人物は、京本流家元夫妻、京本流理事、愛子とは兄弟弟子にあたる3人の女性、家元の一人息子、愛子の生徒など。 **特徴 -タイトルにある通り、本作で発生する事件には「密室殺人」が含まれる。 --キャサリンは主にそちらのトリック解明にあたり、主人公は前作同様、関係者への聞き込み調査や証拠集めなどを行う。 -自室に時計が置かれ、表示時刻と捜査の進捗状況がシンクロするようになった。 --その日の捜査が完了している事を目で確認できるため、便利。 -アイコンに関する仕様変更 --モノクロだったコマンドアイコンは多少色が増えて、一部手直しもされている。 ---もっとも、目・耳・口などのリアルな身体パーツというデザインの方向性は据え置きであり、やっぱり見た目が若干不気味。 --場面に応じて必要なコマンドを絞り込んでくれるようになった。 ---- **評価点 -シナリオの出来は前作同様安定して良好。 --シリーズ通例で舞台は京都。また、今回は「華道」というやや特殊な世界観を下敷きに、後継者争いの模様を絡めた物語が展開される。 ---単に華やかで風情があるというだけでなく、事件の内容や推理のロジックにも、花の世界ならではの要素が絡んでくる。 -前作と比べるとグラフィックの質が向上している。 --人物の立ち絵も上手くなり、髪型や顔のシワなどの表現力が上がった。中には、表情変化のあるキャラクターもいる。 ---パスワード担当でおなじみのマダムも、こちらを向いた顔と横顔の2パターンあり。 -BGMの種類が増え、場面ごとに使い分けられるようになった。 --OPで流れている哀愁漂う曲やそのアレンジ版を含め、地味に良曲が多い。 --事件発生時などで曲調に緊迫感の加わるシーンには、(人物の顔がリアル調な上サイズが大きい事も相まって)子供心に「怖かった」という印象を抱いているプレイヤーも少なくない。 -前作に比べてかなり遊びやすくなった。 --不要なアイコンが非表示になった事で無駄なコマンドを大量にチェックする必要がなくなり、テンポよくシナリオを進められるようになった。 ---それもあってか、本筋と関係ないメッセージでのお遊びは少な目。ただし、前作の時点からお遊びは少なく、のみならず「テキストがまだない」状態のケースもあったので、実質的には改善点と言えるだろう。 --プレイヤー自身が頭を捻る必要は特にないほど、コマンド表示やキャサリンのリードが懇切丁寧なので、詰まる事も減った。 **問題点 -シナリオの物足りなさ --ボリュームは並程度であり、肝心のゲーム性の面でもコマンド表示や推理のリードなどの親切設計が増えたことも相まって、本腰を入れてプレイすると2日くらいで終わってしまう。 ---前作が遊びづらさが実質的にプレイ時間の水増しに繋がっている状態だったので、プレイ時間が減っていると言っても悪化しているわけでもないのだが、ファミコンのADVゲームのプレイ時間としては物足りなさは否めないところ。 //-今作も一部に子供向けではない部分がある。 //--地域柄や犯人の動機といった深いところに突っ込もうとすると低年齢層には理解しにくい部分があるのは前作から変わっていない。 //前作同様に低年齢層に配慮する必要のあるゲームではないと思うのでCO化。 -ラストに主人公が真犯人と対峙するいわゆる「崖の上」のシーンがない。 --真犯人およびトリック、動機が分かったあと、その事実を狩矢警部に報告してそのままエンディングとなる。 ---上記の通り推理の簡単さもあり、サスペンスドラマ(特に山村美沙シリーズ)のファンにとっては非常に物足りない印象がある。 //事件内容を書いてるわけではないし、隠さなくて良いように思う。 -何故か無音になる場所がある。 --曲が流れない事で逆に妙な緊張感が出て、結果的にはシナリオの流れと無関係に気になるシーンになってしまっている。意図的な演出だったのか単なる指定ミスなのかは判らない。 -前作同様、誤植が多い。 --シリアスなストーリーにもかかわらず、「キャサリん」などの誤植や人名のミスなどが所々で見られるので気が抜けてしまう。 ---- **総評 本作のシナリオは、ストーリーや謎解きに「京都の華道界」という個性的な設定を上手く織り交ぜた面白さがある。またシステム面が前作から大きく改善された事で、作品本来の良さを自然に受け取れるようになった。~ 攻略難度が低くストーリー進行のテンポが良い点と、肝心の密室トリックは特別な知識を必要とせず誰でもわかりやすいものである点が功を奏し、奥深いシナリオでありながらミステリーADVとして接しやすい作品である。~ 遊び心はあまりなく、またゲームとして見るとやや受動的な作りではあるものの、全体的に発売年相応にきちんと作られているので、火サスなどの2時間ドラマの雰囲気が好きな人なら触って損はない作品である。
*山村美紗サスペンス 京都花の密室殺人事件 【やまむらみささすぺんす きょうとはなのみっしつさつじんじけん】 |ジャンル|アドベンチャー|&image2(kyouto.jpg,height=200)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|1MbitROMカートリッジ|~| |発売元|タイトー|~| |開発元|トーセ|~| |発売日|1989年2月11日|~| |定価|5,900円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|女王が手がけるミステリサスペンスADV二作目&br;舞台は花の世界|~| |>|>|CENTER:''[[山村美紗サスペンスシリーズリンク>山村美紗サスペンスシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 推理作家・山村美紗がシナリオを担当したFCミステリーADV三作品の内の第二作目。~ 本作までがタイトー製になっており、前作、本作は「キャサリンシリーズ」を土台に作られている。~ 基本的な設定やシステム周り、キャサリンに狩矢警部といった主な登場人物は、前作『[[龍の寺殺人事件>山村美紗サスペンス 京都龍の寺殺人事件]]』と同じ。 **ストーリー -生け花の個展会場で友人が殺害された事件の謎を追うキャサリン。しかしその裏には華道界の影の部分が関係すると思われ、混迷を極めたまま事件は連続殺人に発展してしまう…。 --一部のトリックは、小説のキャサリンシリーズ本編から採られているものもある。 ''登場人物'' -主人公 --主人公はキャサリンと友人関係という設定。説明書によると職業はゲームデザイナーらしいが、今作ではその設定は事件と特に関係ない。 --設定から推察するに前作主人公と同一人物の可能性もあるが、「生け花を通じて知り合った」(前作の出会いのきっかけは生け花ではない)という表現もあり、いまいち人物像は掴みきれない。 -その他の人間関係 --「京本流」という華道の流派を中心とする。最初の被害者である「松野愛子」は、京本流随一の実力者。その他の主な登場人物は、京本流家元夫妻、京本流理事、愛子とは兄弟弟子にあたる3人の女性、家元の一人息子、愛子の生徒など。 **特徴 -タイトルにある通り、本作で発生する事件には「密室殺人」が含まれる。 --キャサリンは主にそちらのトリック解明にあたり、主人公は前作同様、関係者への聞き込み調査や証拠集めなどを行う。 -自室に時計が置かれ、表示時刻と捜査の進捗状況がシンクロするようになった。 --その日の捜査が完了している事を目で確認できるため、便利。 -アイコンに関する仕様変更 --モノクロだったコマンドアイコンは多少色が増えて、一部手直しもされている。 ---もっとも、目・耳・口などのリアルな身体パーツというデザインの方向性は据え置きであり、やっぱり見た目が若干不気味。 --場面に応じて必要なコマンドを絞り込んでくれるようになった。 ---- **評価点 -シナリオの出来は前作同様安定して良好。 --シリーズ通例で舞台は京都。また、今回は「華道」というやや特殊な世界観を下敷きに、後継者争いの模様を絡めた物語が展開される。 ---単に華やかで風情があるというだけでなく、事件の内容や推理のロジックにも、花の世界ならではの要素が絡んでくる。 -前作と比べるとグラフィックの質が向上している。 --人物の立ち絵も上手くなり、髪型や顔のシワなどの表現力が上がった。中には、表情変化のあるキャラクターもいる。 ---パスワード担当でおなじみのマダムも、こちらを向いた顔と横顔の2パターンあり。 -BGMの種類が増え、場面ごとに使い分けられるようになった。 --OPで流れている哀愁漂う曲やそのアレンジ版を含め、地味に良曲が多い。 --事件発生時などで曲調に緊迫感の加わるシーンには、(人物の顔がリアル調な上サイズが大きい事も相まって)子供心に「怖かった」という印象を抱いているプレイヤーも少なくない。 -前作に比べてかなり遊びやすくなった。 --不要なアイコンが非表示になった事で無駄なコマンドを大量にチェックする必要がなくなり、テンポよくシナリオを進められるようになった。 ---それもあってか、本筋と関係ないメッセージでのお遊びは少な目。ただし、前作の時点からお遊びは少なく、のみならず「テキストがまだない」状態のケースもあったので、実質的には改善点と言えるだろう。 --プレイヤー自身が頭を捻る必要は特にないほど、コマンド表示やキャサリンのリードが懇切丁寧なので、詰まる事も減った。 **問題点 -シナリオの物足りなさ --ボリュームは並程度であり、肝心のゲーム性の面でもコマンド表示や推理のリードなどの親切設計が増えたことも相まって、本腰を入れてプレイすると2日くらいで終わってしまう。 ---前作が遊びづらさが実質的にプレイ時間の水増しに繋がっている状態だったので、プレイ時間が減っていると言っても悪化しているわけでもないのだが、ファミコンのADVゲームのプレイ時間としては物足りなさは否めないところ。 //-今作も一部に子供向けではない部分がある。 //--地域柄や犯人の動機といった深いところに突っ込もうとすると低年齢層には理解しにくい部分があるのは前作から変わっていない。 //前作同様に低年齢層に配慮する必要のあるゲームではないと思うのでCO化。 -ラストに主人公が真犯人と対峙するいわゆる「崖の上」のシーンがない。 --真犯人およびトリック、動機が分かったあと、その事実を狩矢警部に報告してそのままエンディングとなる。 ---上記の通り推理の簡単さもあり、サスペンスドラマ(特に山村美沙シリーズ)のファンにとっては非常に物足りない印象がある。 //事件内容を書いてるわけではないし、隠さなくて良いように思う。 -何故か無音になる場所がある。 --曲が流れない事で逆に妙な緊張感が出て、結果的にはシナリオの流れと無関係に気になるシーンになってしまっている。意図的な演出だったのか単なる指定ミスなのかは判らない。 -前作同様、誤植が多い。 --シリアスなストーリーにもかかわらず、「キャサリん」などの誤植や人名のミスなどが所々で見られるので気が抜けてしまう。 ---- **総評 本作のシナリオは、ストーリーや謎解きに「京都の華道界」という個性的な設定を上手く織り交ぜた面白さがある。またシステム面が前作から大きく改善された事で、作品本来の良さを自然に受け取れるようになった。~ 攻略難度が低くストーリー進行のテンポが良い点と、肝心の密室トリックは特別な知識を必要とせず誰でもわかりやすいものである点が功を奏し、奥深いシナリオでありながらミステリーADVとして接しやすい作品である。~ 遊び心はあまりなく、またゲームとして見るとやや受動的な作りではあるものの、全体的に発売年相応にきちんと作られているので、火サスなどの2時間ドラマの雰囲気が好きな人なら触って損はない作品である。

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