「修正依頼」が出ています。対応できる方はご協力をお願いします。依頼内容は「アーケード版」と「移植版」の記事内容の分割、補強です。
※注意
この項では基本的にアーケードからの移植作であるスーパーファミコン版に関して取り扱います。
ただし、大元となるアーケード版の記事が現状本Wikiに存在しないため、概要・評価点・問題点・総評以外は基本的にスーパーファミコン版で括らず『マッスルボマー』という作品全体の紹介となっています
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些か解りづらい構成となってしまっておりますが、あらかじめご容赦頂けると幸いです
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【まっするぼまー】
ジャンル | アクション/プロレス | |
対応機種 | スーパーファミコン | |
メディア | 24MbitROMカートリッジ | |
発売・開発元 | カプコン | |
発売日 | 1994年3月30日 | |
定価 | 9,800円(税別) | |
プレイ人数 | 1人~4人 | |
周辺機器 | マルチプレイヤー5(マルチタップ)対応 | |
判定 | なし | |
ポイント |
何かにつけて本気の連打が必要 それ以外のゲームを構成する要素には魅力的なものが多い |
1993年7月頃からアーケードで稼働を開始した作品のスーパーファミコン向け移植作。
キャラクターデザインに漫画作品『北斗の拳』や『花の慶次』等を描いた漫画家の原哲夫氏を起用しており、タイアップも兼ねて当時の『週刊少年ジャンプ』に前後編の読み切りが掲載されている。ちなみにこちらは原作が沢村烈氏(*1)、漫画が柳田東一郎氏(*2)となっている。
1対1のシングルマッチモードと2対2のチームバトルロイヤルモードの2つのゲームモードを搭載し、周辺機器のマルチタップを使用することで最大4人同時プレイ(チームバトルロイヤルモードのみ)が可能となっている。
本作ではファイナルファイトシリーズに登場する「マイク・ハガー」が「マイク・“マッチョ”・ハガー」のリングネームで登場するが、時系列での本作は『ファイナルファイト』の過去の話であり、ハガーはメトロシティの市長になったばかりの頃となる。
サブタイトルまで含めて表記すると『MUSCLE BOMBER -THE BODY EXPLOSION-(マッスルボマー ザ・ボディ・エクスプロージョン)』となるが、本項のタイトルは解り易さの観点から一般に広く使われているカタカナ表記のタイトルを採用している。
1990年代初頭からプロレス界は団体乱立時代を迎え、世界各地で大小様々な団体が生まれては消え、消えては生まれを繰り返していた。
その様な状況下で地道な活動を続けていた8つの団体が手を結び、1つの連合を結成した。
それが「CWA(CAPCOM WRESTLING ASSOCIATION)」である。
1980年代。空前のプロレスブームで、世界各地に多数のプロレス団体が乱立し、抗争に明けくれていた。
そのような状況下、「マスター・オブ・マッスルボマー」と呼ばれていた初代チャンピオン、「ヴィクター・オルテガ」が率いる連合組織「CWA」として8つの巨大団体が、ひとつにまとまる。
が、ある日突然、オルテガが失踪してしまい、彼を軸としていた秩序は乱れて再び混乱の時代を迎えた。
その機に乗じて闇の地下組織「BWA(BLOOD WRESTLING ASSOCIATION)」が動き出す。
このままでは危険と判断したCWA首脳部は「マッスルボマー=運命の強者たち」をテーマにCWAの新王者を決めるべく、ワールドツアー「クラッシュ・カーニバル」を開催。
運命の強者、マスター・オブ・マッスルボマーを決めるゴングが今、鳴らされる…。
+ | クリックで展開 |
+ | クリックで展開 |
所謂1レバー+3ボタン制で、ボタンは左から攻撃・ジャンプ・フォールとなっており、相手の攻撃を防御することは出来ない。
リング内は上下左右に自由に移動出来るので、相手の攻撃は移動でかわすのが基本となる。
ただし、ダッシュは左右方向にしか出来ないが、ダッシュしながら方向を徐々に上下方向に変えることは可能。
どのキャラクターにも体力が設定されているが、本作では体力が0になってもKO負けと言うことにはならず、あくまでフォール(*8)して3カウントを奪うか、一部の締め技(本作では「ギブアップ技」と呼ばれている)でギブアップさせることで初めて勝利となる。
体力が少なくなるほどフォールされた時やギブアップ技を含んだ締め技を受けた際、抜け出すためにより多くのボタン連打を要求され、体力が0の時に至ってはフォールから抜け出すことが出来なくなり、ギブアップ技を受けるとそのままギブアップしてしまう。
逆に、体力が残っていてもフォールされた時に3カウント取られる前に抜け出せなければそのまま負けとなってしまう。
試合は3分一本勝負で時間内に決着が付かなかった場合は残体力の多い方が勝ちとなるが、チームバトルロイヤルの場合はチーム全体の残体力となる。
なお、スーパーファミコン版ではオプション設定で制限時間無制限に出来る。
その他、コーナーポストにのぼってのアピールや掴んだ相手をロープに振っての追撃など、プロレスの試合で見られるアクションも可能である。
オルテガの後継たる新チャンピオンを決める1対1の対決を行うモード。
CWA所属レスラー8名の中から1人を選び、世界各地で繰り広げられる試合に勝利し、チャンピオンの座を手に入れるのが目的となる。
BWA所属レスラーのキマラとアストロはCOM専用のボスキャラとなり、使用することが出来ない。
このモードに限って場外に出ることが出来、場外には凶器が落ちていることがある。
これを用いて攻撃することも可能だが、物によって攻撃出来る回数が決まっており、その回数分だけ相手に当てると壊れて消えてしまう。
また、場外に出た時は20カウント以内(*9)にリングに戻らなければ「リングアウト」となり、そのまま負けとなってしまうが、場外ではフォールは取られず、ギブアップ技でギブアップしてしまうこともない。
9戦勝ち抜くとチャンピオンの座を手に入れられるが、今度は防衛戦として2周目に入り、ここでまた9戦勝ち抜くと晴れてゲームクリアとなる。
つまり、トータルで18戦勝ち抜けばエンディングを見られるということになる。
2対2のタッグマッチを行うモード。
通常イメージされるタッグマッチとは異なり、最初から両チーム2名、合計4名のレスラーがリング上で入り乱れる。
BWA所属レスラー2名含めた10名のレスラーから操作するキャラクターを選ぶことが出来、プレイヤーが一人の場合はコンピューターが担当するパートナーも決めることになる。
勝敗は相手チームのレスラー2名を先にフォール、またはギブアップで脱落させた方が勝ちとなり、前述の通り、制限時間内に決着が付かなければチーム全体の残体力で勝敗が決まる。
残体力が0でない状態で3カウントを取られて脱落したレスラーは、残体力が0であるものとして扱われる。
このモードでは場外に出ることが出来ない。
しかし、アーケード版ではどこからともなく凶器が投げ込まれることがあったのでシングルマッチ同様に凶器を使うことが出来るが、スーパーファミコン版では凶器が投げ込まれることがなくなった。
これにより、スーパーファミコン版の本モードでは凶器を使うことが出来なくなっている。
シングル戦では残体力が0の時にフォールされたり、ギブアップ技を掛けられると敗北確定になってしまうが、チーム戦であるため、パートナーがフォールやギブアップ技を仕掛けている相手レスラーに攻撃を当てて妨害(=「カット」)する事で、抜け出すことも出来る。
コンピューターのパートナーの場合、キャラによってAIのパターンが違う。カットを優先してくれるのもいれば、こちらのピンチもお構いなしに好き勝手に暴れるのもいるので、それぞれのレスラーの特徴を掴んでおくことが重要。
ちなみに、1人プレイの場合はプレイヤーチームのパートナーが健在の状態で先にプレイヤーが脱落すると、相手チームの状況に関係なく、その瞬間に「ノーコンテスト(無効試合)」とされ、ゲームオーバーとなってしまう。
先にパートナーが脱落している状態でプレイヤーが脱落した場合は、そのまま相手チームの勝利となる。
いずれにせよ、プレイヤーが脱落した時点でゲームオーバー。
こちらでも9戦勝ち抜くとチャンピオンの座を得られるが、やはり防衛戦の体で2周目に入り、また9戦勝ち抜いて初めてエンディングとなる。
つまり、このモードでもトータルで18戦勝ち抜けばオールクリアということになる。
原哲夫氏デザインによるキャラクター達
比較的簡単な操作
質の高いBGM
連打のウェイトがかなり大きい
コンピューターのパートナーがおバカ
アクション面やキャラクター、BGMなどの魅力的な部分はとても多い。
だが、ボタン連打が何かとついて回るゲーム仕様は正直あまり褒められたものではない。
それ以外の部分でもゲームバランスは良いとは言い切れず、調整には大いに疑問が残る。プレイ感覚的には決して悪い訳では無いだけに、勿体ない限りである。
もう少しハードルを下げることができれば、より多くのプレイヤーが楽しめたであろう。
名作となり得るだけのポテンシャルは間違いなく持っていただけに、それを逃してしまい、万人に勧められない作品となってしまった…そういう意味で本当に惜しい作品である。
本作は北米向けにも発売されており、海外向けにありがちだが、日本版と様々な差異が存在している。
まずタイトルからして北米版では『Saturday Night Slam Masters(サタデーナイトスラムマスターズ)』となっており、更に登場するレスラーもハガー以外は全て名前や設定が日本版と大きく入れ替わっている。
厳密に言えばハガーもリングネームが「マイク・“マッチョ”・ハガー」から「マイク・ハガー」と変更になっているが、リングネームから本名になったというもので、ハガーというキャラクターの設定そのものが変更された訳ではない。
ゲームは最初のステージが日本版が東京であったのに対し、北米版ではロサンゼルスが最初のステージでそこから各地のステージを巡っていく形になる。
なお、北米版のレスラーの設定から何からまで書き出すと情報量が無駄に膨大になるので、ここでは名前の比較と一部の設定をピックアップして紹介するにとどめる。
+ | レスラー名比較および一部変更された設定 |
本項ではあくまでフォールカウントを「3カウント」としているが、下記のカウントの仕様により、本作のフォールカウントは実質4カウントとも言える。
通常、フォールするとレフェリーは「ワン! ツー! スリー!」とカウントを取るが、本作では「フォール! ワン! ツー! スリー!」とカウントを取る。
勿論、コンピューターは体力が僅かでも残っていれば「フォール!」の段階で普通に返してくることもザラである。
ちなみに、上記の北米版でのカウントは「ピン! ワン! ツー! スリー!」となっている。
元々フォールは「ピンフォール(Pinfall)」というのが正式で、略して「ピン(Pin)」や「フォール(Fall)」と呼ばれているというものであるため、意味合いとしては「ピン」も「フォール」もどちらも同じである。
『マッスルボマー』という作品には厳密には2つのバージョンがある。
まずは本項の『マッスルボマー ザ・ボディ・エクスプロージョン』(以下「無印」)、これに関しては今まで説明をしてきたので詳細は省略する。
そして、1993年12月に稼働を開始した『MUSCLE BOMBER DUO -HEAT UP WARRIORS-(マッスルボマー デュオ ヒートアップ・ウォーリアーズ)』(以下「DUO」)。
こちらは無印のゲームモードのうち、シングルマッチを削除して4人同時プレイのチームバトルロイヤルモードに特化した仕様となっている。
更に技が追加されたり、ゲームバランスが調整されたり、操作系統も所謂1レバー+3ボタンは変わらないものの、フォールボタンが掴みボタンとなり、配置も左から掴み・(打撃)攻撃・ジャンプと変更されている。
これにより、無印では一部を除いて「レバー(十字キー)+攻撃ボタン」の操作に集約されていた「掴み」「掴んでからの投げ」などのアクションが、掴みが一つのボタンとして独立したことも手伝って操作が複雑になった(*13)。
加えて、攻撃をガード出来るようになったり、同キャラクターでの対戦が出来るようになったりと、ただのバージョンアップには留まらない作品となっている。
DUOでは公式なタッグの組み合わせが設定され、その組み合わせを選ぶと通常は「Zalazof & Colt」のように表示されるレスラー名の欄にタッグチーム名が表示されるようになった。
また、無印ではBWAチームもランダムでチーム編成をされていたが、DUOではキマラとアストロは固定で最終ステージで登場するボスチーム扱いとなっている。
しかしながら、コンピューターが度を超えて強化されている節が見られたり、シングルマッチが出来ない(*14)という仕様に難色を示す意見も少なくなく、無印に比べればあまり出回りも評価もよろしくないようである(*15)。
+ | タッグチーム名一覧 |
『マッスルボマー』『DUO』ともに、1995年にCPSチェンジャーへの移植版が発売されている。
*1 ダイの大冒険の原作で有名な三条陸氏の別名義
*2 原哲夫氏のアシスタントを勤めていたという経歴の漫画家。そのため原氏の絵柄をしっかりと再現出来ており、当時はキャラクターデザイン自ら漫画を執筆してくれていたと勘違いしていた人もいた様である
*3 ゲーム中では一貫して「ニッポン・カマクラ」表記。
*4 メキシカンスタイルのプロレスを「ルチャ・リブレ」と言い、「ルチャドール」はその男性レスラーのことを指す。女性の場合は「ルチャドーラ」となる。また、プロレスのベビーフェイス(善役)・ヒール(悪役)同様に善役のルチャドールを「テクニコ(女性は「テクニカ」)」、悪役のルチャドールを「ルード(女性は「ルーダ」)」と言う。因みにスティンガーはテクニコである。
*5 ちなみに、『NAMCOxCAPCOM』で出演しているハガーの必殺技の中に「マッスルボマー」という技があるが、これは元々オルテガの必殺技である。更に、技を使う時に「オルテガより受け継いだ、この技を!」というボイスがある。そのため、客演作品におけるハガーはこの後にオルテガに勝利し、「マスター・オブ・マッスルボマー」の称号と共に技を受け継いだと考えられる。
*6 『ファイナルファイト』の設定でハガーの趣味が「市長をすること」となっている。
*7 シングルマッチモードをノーコンティニューでクリアするとエンディングでオルテガが登場するが、こちらも今にも戦いが始まりそうな雰囲気になるがそのまま戦わずに終わる。
*8 相手の両肩をリング上に押さえつけること。
*9 このカウントはそれぞれでカウントされず、最初にリング外に出たレスラー基準でカウントされる。一例として、相手レスラーを場外に落としている状況で、仮に19カウント目で何らかの要因でリング外に出てしまった場合は1カウント以内(=20カウント目を取られる前)にリングに戻らなければ19カウント目まではリングの中にいたにもかかわらず、リングアウトとなってしまう。なお、カウントは両方のレスラーがリング内に戻ることで初めて止まり、リセットされる。つまり、一瞬でもお互いがリング内に戻らない限りは継続してカウントされ続けることになる。
*10 ザラゾフの「サンセットスプラッシュ」やハガーの「スクリューパイルドライバー」など、レスラー紹介の所で2番目に紹介した必殺技が該当。一応、アストロ(掴んで82+攻撃。数字はテンキー表記)やゴメス(掴んで28+攻撃)のように他に比べればまだ容易に出せるレスラーもいるが、ハガーやブドーのような「掴んでから一回転+攻撃ジャンプ同時押し」等は相当困難を窮める。
*11 投げ技やギブアップ技を食らっていたり、フォールされている相手レスラーには攻撃が当たらない。
*12 「愚零闘 鬼(ぐれいと おに)」という漢字の当て字が用いられている。
*13 上のボタン配置では「(打撃)攻撃」と表記した攻撃ボタンだが、必殺技の投げは「コマンド+(打撃)攻撃ボタン」となっているし、「コマンド+掴みボタン」での投げも存在する。
*14 これに関しては『スーパーマッスルボマー』にて解決されているが、逆にチームバトルロイヤルモードが不可能になりジャンルが対戦型格闘ゲームに変更されている。
*15 実際、スーパーファミコン版はDUOの後に発売されたにもかかわらず、DUOの要素はまったく搭載されておらず、あくまで無印準拠となっている。