NAM-1975
【なむ いちきゅうななご】
ジャンル
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アクションシューティングゲーム
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対応機種
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アーケード(MVS)
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販売・開発元
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SNK
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稼働開始日
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1990年
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プレイ人数
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1~2人(同時プレイ)
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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配信
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バーチャルコンソール 【Wii】2013年1月22日/926ポイント アーケードアーカイブス 【PS4/One】2017年3月2日/823円(税8%込) 【Switch】2017年3月9日/823円(税8%込)
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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戦場は地獄だぜフゥハハハーハァー
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概要
ベトナム戦争末期の1975年、誘拐され投獄されたアメリカ陸軍の科学者リチャード・ムックリー博士及び、博士の娘のナンシーを救出する使命が、コードネーム「シルバー中尉」、同「ブラウン中尉」に与えられ、2人が任務を果たすべくベトナムに乗りこむ…という設定のアクションシューティングゲーム。
MVS及びネオジオのローンチタイトルの1つでもある。
特徴・システム
システムは『カベール』及び、『ブラッドブラザーズ』と似ている。
プレイヤーキャラは手前にいて、左右に動きつつ奥の側へと攻撃を行う。
但し、固定画面だった前述の2作品とは違い、本作では(基本的に)横方向に強制スクロールしながらステージが進行する。
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8方向レバー+3ボタンで操作。全6面。
1P側がシルバー中尉、2P側がブラウン中尉となっているが性能に差は無い。
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Aボタン:メイン武器のマシンガンで攻撃。
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押しっぱなしにした場合、自機の位置を固定したまま連射状態となり、レバーでカーソルだけを動かすことが可能。
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Bボタン:回数制限ありの手榴弾を投げる。マシンガンより高威力の爆発(小規模)を起こす。
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ミスするかステージクリアで、所持数が初期値の10発に戻る。
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Cボタン:押しっぱなしで左右に移動するとダッシュとなり、左斜め下か右斜め下にレバーを入れながらボタンを押すと、無敵状態で一定距離を移動する側転をする。
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側転は中断も方向転換もできないし、終わり際には僅かながら隙が発生するので乱用は禁物。
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特定の敵キャラを倒すとアイテムが出現する。以下はアイテムの詳細。
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得点:得点が加算される。200~10000点まで、様々な種類がある。
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手榴弾:手榴弾のストックが1増える。
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バルカン砲:メイン武器が一定弾数、通常のマシンガンより遥かに連射性能の高いバルカン砲になる。
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火炎放射器:メイン武器が一定弾数、触れた物を焼きつくす火炎放射器になる。但し高い位置を飛ぶ敵には攻撃できないという難点もある。
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ミサイル:着弾した位置で大爆発を起こし、周囲の敵を一掃する。
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スパーク弾:1個取ると手榴弾の代わりに3回使える。着弾した位置で何度も小爆発を起こし、広範囲の敵に連続してダメージを与える。
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ツインカーソル:照準が2個に増える。このアイテムのみ、ミスしてもステージクリアまでは効果が持続する。
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1UP:残り人数が1増える。
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ステージ中、敵兵に捕われている女性諜報員、クリス=ヘルパーがいるが、敵兵を倒して救出すると、ミスするかステージクリアするまで援護射撃をしてくれる。
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ステージクリア後、ランダムで「敵部隊に発見される」場合があり、その際、次のステージに進む前にペナルティステージ(ボス戦)が課される。
評価点
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ドット絵の描きこみが非常に秀逸。当時としては大容量の48メガビットを使った基板性能を存分に生かしている。
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1990年と、今から30年以上前の作品ではあるが、全くそれを感じさせない美しさである。
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また、演出も非常に芸が細かい。
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床や建物に銃弾を撃ち込むと弾痕が残る。
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主人公のやられパターンだけでも5パターンあり、いずれも滑らかなアニメパターンでスムーズに動く。
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「銃弾を受けてもがき苦しみながら倒れる」「手榴弾の爆風で吹き飛ばされる」「毒ガスで紫色に変色してもがき苦しみながら倒れる」「火炎放射を喰らって黒焦げになる」「レーザー砲を喰らって骨だけになる」。
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敵兵士のやられパターンも、銃で普通に倒れるものの他に火炎放射器での黒焦げ、手榴弾での爆散が用意されている。
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BGMもベトナム戦争の雰囲気をよく表現している。
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1面道中のBGMは、夜明け前の川沿いを進むシーンでの、主人公達の全く先が見えない任務に対する不安な心境、3面ボス戦のBGMは巨大武装飛行船に対して単身で挑む壮絶な状況をより実感させてくれる。
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ステージ間にはデモが入るが、敵地への侵入、突然の敵の襲撃などの演出はまるで戦争映画を見ているかのよう。
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キャラクターのグラフィックは劇画調で描かれ、特に1面ボスのハゲコンビの、狂気に蝕まれているとしか思えない表情は初見だとギョッとする程。
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とはいえ、この作品でも当時SNKが得意にしていた「実写映像をトレース」が使われており、一部の人物画が映画『フルメタル・ジャケット』の映像をそのままトレースしたもの。
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同映画を見た人であれば、映画前半と後半の重要人物が(あんまりな扱われ方で)本作に登場している様はある意味必見かもしれない。
問題点
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ゲームの難易度が非常に高い。
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敵弾は最初から速く、自機の当たり判定も大きい。
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特に足元が危険で、つま先にカスった程度でもミスとなる。
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敵兵や敵兵器は次々と出現するので、撃ち漏らしはすぐにミスにつながる。
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また、耐久力のある敵もかなり多数出現するので、どのタイミングで手榴弾を使うか臨機応変に対処する技量が求められる。
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このタイプのゲーム共通の問題だが操作性そのものにも癖がある。カーソルに気を取られていると自機の回避が疎かに…等々、挙げれば様々な問題が見えて来る。
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ダッシュと回避が同じボタンとレバー操作に割り振られており、更にレバー操作自体にも自機の左右移動と八方向へのカーソル移動という二つの役割があるため、頻繁に切り替えて操作をしていると緊急回避の暴発に悩まされる。前述の通り守りに入るととにかく不利になるため、ここぞという時に出せるようにしておかないとクリアは厳しい。
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ペナルティステージが運次第の割にかなり難しい。
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ボスを倒さなければ先に進めないのだが、このボスが一定間隔で弾を放ってくる上に左右にあるアームを伸ばしてプレイヤーを掴みにくるというもので、実質的に行動が相当制限される状況となる。弾の発射位置もやや近いため、緊急回避が上手く使えなければどうにもならない。
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これだけ難しいにもかかわらず、1面クリアの段階からいきなりこれを挟んでくる可能性がある。ランダムで出現するせいもあってか運が悪いと「3~4回連続でペナルティステージが出てきた」なんてことも起きたりする。
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さらに、熾烈な敵の攻撃をくぐり抜け、何とか終盤まで辿りついたとしても…
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※ネタバレ注意
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5面ボス戦開始前、捕われのナンシーから「貴方達は騙されている!」と警告が。直後にナンシーは銃撃され帰らぬ人に。
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ボス戦後、敵隊長を尋問しムックリー博士が世界を破滅に導く巨大レーザーキャノン砲を造ろうとしているマッドサイエンティストであるという情報が得られる。
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6面のラストでは車椅子に乗りながらやけに機敏な動きで攻撃してくるムックリー博士を倒す事になる。
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その際、画面の両脇に捕らわれている現地の女性2人の縄がほどけ、めでたく救出かと思いきや…
何とその女性が、「罠にかかったな、ここまでだ」というような事を言って襲い掛かってくる。
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ビジュアルシーンに切り替わった際の恐ろしい表情は、ある意味必見である。
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その女性らを倒すと、画面奥から完成途中のレーザーキャノン砲に搭乗したムックリー博士が出現し、最後の戦いが始まる。
砲弾をひっきりなしに飛ばしてくる上、プレイヤーを正確に狙う超高速の熱線でも攻撃してくる。耐久力も非常に高いので手強い。
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ちなみに、ここからはコンティニュー不可、2P途中参加も不可となり、残機が無くなると、博士のレーザーキャノン砲によって地球が壊滅するというバッドエンドになってしまう。
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勝てば無事任務完了となり、故郷へと帰還する事が出来る。
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総評
ベトナム戦争の雰囲気をよく再現しており、画面の向こうから火薬の匂いが漂ってきそうな雰囲気すらあるゲーム。
もう少しバランス面が調整されていれば硬派で熱いゲームとして人気を博し、後のネオジオ移植版が初期のキラータイトルとなれる可能性すらあっただけに、あまりの高難易度が残念でならない。
家庭用移植
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ネオジオROM版(1990年4月26日発売 13,800円)
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当然ながら良移植かつネオジオの同発タイトルの一つ。
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プロジェクトEGGで2011年6月1日から、バーチャルコンソールで2013年1月22日から配信された。
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ネオジオCD版(1994年9月9日発売 4,800円)
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こちらもネオジオCDのローンチタイトルの1つである。初期の小容量タイトルの一つという事もあり、ローディングは最初だけである。
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アーケードアーカイブス(ハムスター、PS4/XboxOne:2017年3月2日、Nintendo Switch:2017年3月9日、PC:2017年12月15日)
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内容はAES版(家庭用)ではなくMVS版(アーケード)準拠になっている。
最終更新:2024年03月02日 10:37