SONIC WINGS 2

【そにっくうぃんぐす つー】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード(MVS)
発売元 SNK
開発元 ビデオシステム
稼働開始日 1994年7月
プレイ人数 1~2人
判定 なし
ポイント STGにおけるヒット作の続編だが…
画面構成の変更
プレイヤー性能の平均化
SONIC WINGSシリーズ


-天空野郎再び!!-


概要

名作『SONIC WINGS』の続編。横画面の縦スクロールシューティング。
個性的なキャラクター、テンポのよさはそのままで、本作では2人プレイの際、自由にキャラクターを選択できるようになった。
また、MVS筐体での稼働になったことも大きな特徴。当時『餓狼伝説シリーズ』を代表する対戦格闘ゲームで隆盛を誇っていた筐体であり、リアルタイムで本作をゲームセンターで見かけたプレイヤーも多いだろう。

ストーリー

かつて世界の破壊を目論んだ謎の組織は、8人の戦士の活躍によって壊滅した。
しかしその2年後、強力な軍隊が突如出現!世界各地を次々と占領していった。
そして、その軍隊は2年前に各地を襲った軍隊が使用していた超兵器を装備していた。
…謎の組織は壊滅していなかったのだ。
国連から依頼を受けた国際秘密救助隊のリヴァー・N・ホワイト隊長は、組織の撃滅を指令。
そしてここに平和を取り戻すために戦士達が集結したのである。

システム

  • 操作は1レバー2ボタン(ショット、ボム)。全10ステージを2周するとゲームクリア。
    • 最初の京都ステージを攻略すると第2、4、5ステージとなるアメリカ、フランス、ブラジルステージをランダムに攻略する(第3ステージはボーナスステージで固定)。第6ステージ以降は固定。
    • ステージ開始前にはデモメッセージが表示され、2人プレイの際はキャラクター同士の掛け合いを見ることができる。
  • 自機はPアイテムを獲得するとショットがパワーアップし(最高で4段階まで)、Bアイテムを獲得するとボムが1発支給される(最大6発まで所有可能)。ごく稀に出現するFPアイテムは、獲得するとショットが一気に最高段階までパワーアップする。
    • なお、ショットのレベルが最高の状態で一定の弾数を撃つとするとレベルが1つ下がる。この弾数に関しては選択した自機によって差がある。
  • 特定の地上物を倒すとボーナスアイテム(使用キャラの母国の通貨)が出現する。得点は画面上方で取るほど高くなる(10000→4000→2000→1000→500→200の順で変化する)。

キャラクター・自機紹介

※括弧内は搭乗機体

  • メカキートン(F-117)
    + イカすボディは100万馬力

    本名ブラスター・キートン。前回の戦いで宇宙空間に吹き飛ばされ深手を負い、機械の体となることで一命を取り留めた。自らの正義に基づいて戦う熱血アメリカン。

    • 所属:アメリカ
    • ショット:ニードルレーザー 前方集中型。連射速度はトップクラス。54発でレベルダウン。
    • サブウェポン:スネークナパーム 正面に敵を貫通するナパーム弾を発射。第3段階で2発、第4段階で4発同時に発射可能。
    • ボム:サテライトレーザー 衛星軌道上から援護レーザーで画面全体を攻撃。発動と同時に敵弾を消し、発生した爆風でダメージを与える。
    • 移動速度:速い
  • シルバー大尉(A-10 サンダーボルトII)
    + 亡き戦友のために!

    退役軍人。2年前に命を落とした戦友ランディの敵を討つために参戦。ランディが飼っていたインコのフリントを肩に乗せており、しばしば大尉の言葉を真似て話す。

    • 所属:アメリカ
    • ショット:ガトリングショット 前方集中型のショット。54発でレベルダウン。
    • サブウェポン:スプレッド 正面に爆弾を発射する。敵に当たると爆発し、爆風によってダメージを与えられる。威力は非常に高い。第3段階で1発、第4段階で3発同時に発射。
    • ボム:ピンポイントボム 宙返りを行い、前方に爆弾を投下する。持続時間はあまり長くないが、威力は高い。
    • 移動速度:非常に遅い
  • 緋炎(FS-X)
    + 謎!全てが謎の男!

    「御前」と呼ばれる人物から命令を受けて世界平和のために戦う航空忍者。身長を除くプロフィールが一切不明*1であり、禅と芋ようかんが好きだという。

    • 所属:日本
    • ショット:忍者ショット クナイ手裏剣型の前方集中ショット。87発でレベルダウン。
    • サブウェポン:傀儡手裏剣 手裏剣型の誘導兵器。第3段階で4発、第4段階で8発同時に発射。
    • ボム:忍者ビーム 自機を完全に覆うほどの極太ビームを正面に発射。発動した瞬間から無敵状態になる。
    • 移動速度:普通
  • 真尾まお(F-15J イーグル)
    + 天下無敵の超高速アイドル

    21歳のアイドル歌手。「緋炎の素顔を見たい」という理由で参戦。不思議な力を持っており、少しの間だけ時間を止めることができる。

    • 所属:日本
    • ショット:ワイドバルカン 第3段階で2way、第4段階で正面に特化した3wayのショットになる。40発でレベルダウン。
    • サブウェポン:レーザーガン 敵を貫通するレーザーを発射する。第3段階で2発、第4段階で4発同時に発射。
    • ボム:パルスター 発動と同時に画面全体の敵弾を消し、敵を一定時間行動不能にする。
    • 移動速度:全機体中最速
  • シンシア&エレン(F-14 トムキャット)
    + 天空のお嬢様

    大富豪の娘シンシアと何でも出来るスーパーレディの家庭教師エレンの2人で参戦。参戦理由はシンシアがテレビ番組から影響を受けたから、らしい。搭乗機体のF-14はシンシアが誕生日に親からプレゼントされたものだという。元々は同社の『爆裂クラッシュレース』に登場したキャラクター。

    • 所属:国連
    • ショット:バルカンショット 前方集中型。全機体中最高の連射性を誇る。87発でレベルダウン。
    • サブウェポン:サイドワインダー 誘導ミサイルを複数発射する。第3段階で2発、第4段階で4発同時に発射。
    • ボム:サポートミサイル 自機後方からミサイルが飛来して画面全体を爆撃する。発動から敵弾が消えるまで若干の時間差があり、注意が必要。
    • 移動速度:速い
  • ホワイティ(YF-23)
    + 水中からの挑戦者

    大阪梅田のミニ水族館で育った、自称「天才イルカ」。自然を破壊する人間を許せないとして参戦する。大阪弁を話し、自然を守るためならば爆弾の使用も辞さないという。

    • 所属:国連
    • ショット:アクアショット レベルアップで2wayの拡散型になる。威力は比較的高いが正面を攻撃できないため扱いには多少の慣れが必要。95発でレベルダウン。
    • サブウェポン:フロートマイン 当たった敵弾を消す機雷を発射する。機雷に自機を重ねることで移動方向を制御できる。画面内に一度に存在できる機雷の数は限定されており、必要なときに使用するためには上手く機雷を処理しておく必要がある。第3段階で2発、第4段階で4発同時に発射可能。
    • ボム:ウェーブビーム 自機を中央として、左右に波のようなビームを広げる。発動と同時に無敵状態になる。
    • 移動速度:やや遅い
  • アンジェラ(ラファール)
    + フランスより愛をこめて

    フランスのミュージカルダンサー。自由・平等・博愛のために戦う。言動がやや気障っぽいが、本人は否定している。「男装の麗人」ということで女性であるはずだが…。

    • 所属:フランス
    • ショット:ニードルショット 前方集中型のショット。性能は一番平均的。54発でレベルダウン。
    • サブウェポン:メタルストーム 前方広範囲にロケット弾を発射する。発射される方向はランダムであるため、狙った場所・敵に必ず向かうとは限らない。
    • ボム:グラビティボム 宙返りをし、前方に重力波を発生させる。
    • 移動速度:普通
  • アーサー(AV-8 ハリアー2*2)
    + 小さな名探偵

    名探偵を自称する1歳の赤ちゃん。世界中で発生する怪事件の謎を解き明かすために参戦。どことなくシャーロック・ホームズを思わせるいでたちをしている。彼の両親については、エンディングで明らかになる。

    • 所属:イギリス
    • ショット:ワイドガトリング レベルアップで3wayになる。54発でレベルダウン。
    • サブウェポン:マベリックミサイル 誘導性のある直進ミサイルを発射。第3段階で4発、第4段階で8発同時に発射可能。
    • ボム:ナパームボム 垂直上昇しナパーム弾を投下する。ただし、爆風はV字状に広がるため自機正面を攻撃できない。
    • 移動速度:遅い

評価点

  • 非常にテンポ良く進行する
    • 普通にプレイするなら前半は1ステージ2分程度で終了する。そのため、後半まで集中力が持続しやすい。
      • 道中やボスの攻撃にランダム要素が少なく、何回かプレイする内に攻略の糸口がつかめるようになっていることも合わせ、だれでも気軽にプレイできる作品となっている。
      • 2人同時プレイでも1人プレイの時と難易度が全く変わらないので、遊びやすい。
  • キャラクターが非常に個性的
    • 忍者やアイドルを始め、どう見てもパイロットとは思えない個性的な人々*3(イルカを含む)が大半を占めており、ステージ前のデモメッセージでは彼らの個性が遺憾なく発揮されている。というか殆どが色物キャラというとんでもないキャラチョイスである。さらに2人プレイの場合はキャラクター同士の会話という形式になっており、これだけ読んでいても十分楽しい内容となっている。
    • 特筆すべきはエンディングの数で、合計39種類もある。ここまでエンディングの豊富なシューティングゲームもそうそうないだろう。
      • これほど多いのは、2人プレイ時のエンディングも組み合わせに応じた掛け合いになっている為。
      • 一部のエンディングにはキャラクターのテーマソングが使用されており、さらにその中には歌詞のついたものも存在する。
+ エンディング内訳
  • 最終ボス撃破で見られるものが8種類(1人プレイ)+28種類(2人プレイ)、最終ボスを撃破できず時間切れになると表示されるバッドエンドが3種類。
    • また2人プレイ時のエンディングのうち2種類には、パターン違いが存在する。

賛否両論点

  • 横画面
    • 本作はネオジオ向けに開発されており、画面が横長になっている。このため、「横画面で縦スクロールシューティングをプレイする」ことに違和感を持つ人も多かった。
      • 実は当初、普通の縦画面STGとしてリリースされる予定で、実際に1994年6月に都内でもロケテストが行われている。当時の開発者の1人である六鹿文彦氏は後に発行された同人誌上で「完成直前の段階になって基板がMVSに変更されたことで現場が混乱し、開発チームの誰もが「横画面縦スクロールシューティングなんか作りたくない」という状況の中、何とか面白いゲームにしようと頑張った」旨を語っている。
      • 続編の『3』も横画面の縦スクロールであり、この違和感はそのまま残ってしまった。再び縦画面に戻るのは『リミテッド』まで待つ事になる*4

問題点

  • 悪化したゲームバランス
    • 前作では、キースやコウフルといった広範囲かつ高火力の初心者向け機体から、ティービーやキートンといった低範囲かつ低火力の上級者向け機体まで揃っていたが、本作ではいずれも平均化された様な性能で「これを選べばクリアに最も近い」という機体が存在しない。
      • 本作の機体性能は「ショット範囲が広く移動速度も普通と比較的平均的な性能だが、火力が低く画面が常に敵だらけ」「ボンバーの威力こそ最強だが、メイン攻撃の範囲が狭いうえ移動速度も超遅い」「ショットの威力が高くサブウェポン・ボンバーも比較的マシな性能だが、ショット軌道に癖が有り過ぎる」等々、後の『ストライカーズ1999』に通じるような「1長2短」調整にされているとも言える。
    • 加えて、後述の覚え要素の多さやミスからの復帰の難しさ、そして画面構成が縦から横に変更された事による視認性の悪さから、かえって前作からゲームバランスが大幅に悪化してしまった。
      • フルパワー後のパワーダウンの条件が前作の「時限制」から「弾数制」に変わったが、残弾数の設定が全体的に少なく、少し撃ちまくるだけでパワーダウンを起こしてしまう。
        そのため、アイテムが出現する道中はともかくボス戦では高火力での速攻をかけづらく、本作の難易度の高さに拍車を掛けている。
      • とはいえ、序盤戦の難易度が低く入門者でもある程度は遊べる作りになっていたり、他の機体を置き去りにする様な超強力な性能を持つ自機も存在しない事から、致命的なゲームバランス崩壊を引き起こしていない事は幸いかも知れない。
  • ラスボスが低確率で隠しボスのマンボウに変わる場合がある。マンボウは攻撃もして来ない上に、無条件で通常のラスボスの数倍の撃破点(50万点)が入るお得キャラ。そのため、スコアアタックが運ゲーと化す。
  • 前作同様、覚え要素が強い
    • 敵の攻撃はアドリブで避けるよりパターンを覚えて避けた方が安全な場合が多い。
    • 特に後半はこの傾向にあるが、本作では上述の画面構成の変更や自機性能の平均化によって、前作以上に覚える場面が多いと言える。
  • 前作同様、ミスしてからの復帰が難しい
    • 本作ではミスをするとショットレベルが初期化される上、アイテムも雑魚敵の撃破やミス時しか出現しない。そのため、特にアイテムを獲得する機会のないボス戦ではミスをすると非常に苦しくなる。
      • ミス時はパワーアップアイテムが1つしか出現せず、これを取っても申し訳程度にしか火力が上がらないため、必然的に長期戦となる。
      • ただし、ミスによってボムの所持数も初期化されるため、いざとなればボムのゴリ押しで決着を付けることも不可能ではない。また、ミスをした際に発生する爆風にも攻撃判定があり、威力もそれなりに高い。決して勧められるものではないが、ボムを使い果たしても決着が付かない場合はボスに突っ込むのも一つの手かもしれない。

総評

STGの快作だった前作の作風はそのままにプラットフォームを全盛期のMVSに移した作品。
色物揃いだったキャラクター達も更に個性的にはなったが、画面構成の変更や平均化された自機性能に伴って生じたクリア難易度の高さから、前作の様な人気を得られる事は無かった。

とはいえ、現在はアケアカNEOGEOで配信されている事からプレー自体は容易。序盤程度は入門プレイヤーでも十分に遊べる難易度にはなっているので、初めてSTGに触れてみる作品としては良いかも知れない。


家庭用移植

  • ネオジオ版(1994年8月26日発売、SNK)
  • ネオジオCD版(1994年8月26日発売、SNK)
    • アーケード版、ネオジオ版との違いは「ステージ間にローディングが入る*5」「BGMがアレンジバージョンになっている」この2点である。
  • アケアカNEOGEO版(PS4/Xbox One/Nintendo Switch)(2017年8月3日配信、ハムスター)
    • アーケード版の移植。ネオジオ系以外のハードへの移植は今回が初となる。

余談

  • 次回作『SONIC WINGS 3』では本作で指摘されていたゲームバランスに調整を加えた結果、シューターから愛される作品に変化したのは何とも皮肉である。
  • 京都ステージのボス戦開始時に駅舎をビームが貫通してくる。1周目では触れても何ともないが…。
+ タグ編集
  • タグ:
  • STG
  • 縦シューティング
  • SNK
  • ビデオシステム
  • ソニックウィングス

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年09月30日 14:10

*1 設定では175cm。

*2 ゲーム中ではFRS.2と表記されている。その場合、機体名はシーハリアーとなる。

*3 シルバー大尉は元軍人であるから、あまり違和感はない。肩に止まったフリントを除けば…。

*4 ちなみに『リミテッド』の使用基板はSCE製PS互換基板であるZN-1

*5 流石に格ゲーに比べれば圧倒的に短時間ではあるが。