大逆鱗II

【だいげきりんつー】

ジャンル アクションRPG
対応機種 Windows 95
Windows 98 / Windows XP(再販以降)
発売元 ゲームバンク
サイバーフロント(再販以降)
開発元 日本アプリケーション
発売日 1997年6月19日
PCゲームBestシリーズ Vol.16 大逆鱗II:1999年11月19日
大逆鱗&大逆鱗 II PACK:2005年9月30日
定価 7,800円(税別)
大逆鱗&大逆鱗 II PACK:1,980円(税別)
判定 なし
ポイント 前作の順当進化版
演出やストーリー、街の発展要素を強化
良くも悪くも作業ゲーなのはそのまま
100万F降りるゲームではなくなった
逆鱗シリーズ
逆鱗 / 大逆鱗 / 大逆鱗II / 大逆鱗III


概要

  • ひたすらダンジョンを降りることを主軸としたアクションRPG『大逆鱗』の続編。
    • 前作と同様、ローグライクRPG系のシステムを取ってはいるが、実際の所はアイテムの収集・強化要素をメインにしたゲームである。

ストーリー

辺境の町・フロンティア。
そこにある教会の祭壇には、9つの宝石が嵌め込まれた、神が宿るとされる伝説の剣「逆鱗の剣」が安置されていた。
遠き昔、「逆鱗の勇者」と呼ばれる勇者がこの剣を用いて、魔物を封印したのだと言う。

だが、数百年の長き平穏な時が経ち、民衆の剣に対する信奉心は薄れてしまっていた。
教会には売っ払って金にしてしまおうと、邪な考えを持つブラッドら街の人々が「逆鱗の剣」を取り上げに来た。
剣はブラッドの手では抜くことができなかったため、司祭の止める声も聞かずブラッドは剣に嵌められていた9つの宝石を取り外してしまった。
すると、宝石を失った「逆鱗の剣」は煙のようにその姿を消してしまった。

驚く人々の前に、自身を闇に仕える者と称する魔導士「ゾア」が現れる。
剣がある限り魔の存在は近づけなかったのだが、剣が消えたお陰で出て来られたのだとゾアは高笑いする。
そして宝石を全て奪い、魔法で街を廃墟にした上でどこかへ消えて行った。
街も人の心も荒廃したフロンティアの町に、一人の冒険者が現れた……

システム

  • 進行のフォーマット自体はほぼ前作と同様なので、そちらを参照。
  • 本作の目的は、9つのダンジョンを全て制覇することにある。
    • 各ダンジョンの最奥部にボスがおり、倒すと9つの宝玉の1つが手に入ってストーリーが進行する。
      • ダンジョン毎に手に入れられるアイテムは決まっており、序盤のダンジョンでは強力なアイテムは手に入らない。
    • ダンジョンは各99Fで、最終ダンジョン「絶望の塔」のみ2999F。前作のような100万F単位のダンジョンはない。
    • 最終ダンジョン「絶望の塔」は2999Fであるほか、下りではなく上りになっており、楽に進むには「○F上る」系のアイテムが必要になる。
      • 前作で1万F降りるアイテムとして大活躍した「メルトダウン」だが、この仕様により本作では打って変わって微妙アイテムに。
  • 拠点となる街にマップが用意され、店主以外の住人にも話しかけられるようになった。
    • 街は最初荒廃しきっているが、ストーリーの進行につれて復興する。
    • 単なるモブの町人のほか、貴族ブラッドやその家族、教会関係者などストーリーに関わる人物も存在する。
  • 主人公の性別を選べるようになった。
    • 性能には無関係、イベントにも大きな影響はないので好きに選べる。
  • 道具屋や武器屋でアイテムを売る際、「ゴミ箱の中身を全部売る」ボタンが実装された。
    • 前作のダブルクリックで1つずつ売って行く作業はかなり煩雑だったため、これで楽になっている。
    • ただし、ゴミ箱を「ダンジョン内で持ち物枠が無くなった際の保管庫代わり」としても使うプレイヤーは、結局ゴミ箱で必要なアイテムを出す作業は必要になる。

評価点

  • 街の発展要素の追加。
    • 最初は建物はボロボロでまともに入れる家さえ存在せず、死体まで横たわっているというひどい状況。おまけに「色」がなくなっており、人物以外の道や家はモノクロになってしまっている。
    • ゲームの進行と共に段々と復興して色はカラーに戻り、ゴザの上で物を売っていた道具屋や武器屋も店を構える。
    • 単なる配色や台詞だけでなく、実感しやすい形で発展要素を設けていることは好評価。
  • 街には30人近くのキャラクターがおり、それぞれに進行やイベントがある。
    • 前作に引き続き、キャラクターの立ち絵グラフィックは良い。キャラクターが増えているのでより楽しめる。

賛否両論点

  • 前作同様、進行は 「敵とは基本戦わず適当にあしらいつつ、アイテムだけ拾って帰る」 を繰り返す、良くも悪くも作業ゲーである。
    • 設計としてそこを楽しむゲームではあるが、この要素には殆ど手が入っていないため、前作が合わなければ結局本作も合わないだろう。
    • ただ本作の場合、ゲーム開始時に主人公の近くにいるNPCが「敵はいちいち相手にしているときりがないから基本逃げろ」と教えてくれるので、これで本作の方針を早めに知ることができる分前作よりは改善されていると言える。
  • 前作のような100万階のスケールは無くなってしまった。
    • もっとも、 「1万階一気に降りるアイテム」 があった前作でこの数字にあまり意味はなかったと言われればそれまでなのだが。
  • 発展要素は追加されたものの、ストーリーに沿って発展していくだけであるため、主人公が関与しているという感覚は薄い。
    • 前作では自分で金を払って店を買い取れたが、本作ではその要素はなくなっている。
    • 本作で工事を請け負っている建築家ポムからは最初「お金次第で直す」と言われるため、プレイヤーがお金を払って復興させる形かとも思ってしまうが、結局実際は勝手に町が発展していくことになる。
    • イベント自体もプレイヤーの介入の余地はなく、プレイヤーがダンジョン探索している間に良い方向に転がって行く。
    • それでも前作の無いも同然だった発展要素よりは進歩しているので、この点は気にならないプレイヤーも多いとは思われる。

問題点

  • ダンジョン探索はほぼ前作と同じで、変わり映えしない。
    • 戦略性の低さを設計上の問題と割り切るにしても、やや単調な進行という問題は依然として残っており、それについてはほぼ手が入っていない。
    • アイテムの種類的にも、規模はほぼ前作から据え置き。特にユニークなアイテムが追加されたということもあまりない。
    • 街は人が増えただけで、店(ワープ屋・道具屋・武器屋・鍛冶屋)と倉庫以外のゲーム上利用できる施設は増えていない。
  • 段階式の進行になったことの弊害。
    • ダンジョンが分かれて入手アイテムもそれに準ずるようになったため、序盤の進行がかなり単調で苦痛。
      • 序盤からでも、武具以外はある程度強力なアイテムを入手できた前作と異なり、本作はダンジョン毎に宝箱から入手できるアイテムが決められており、序盤のダンジョンでは浅層・深層に関わらず大したアイテムは入手できない。
      • 最初のダンジョン「採石場」では、武具以外はキャンディとラックドリンク(回復アイテム)、鍵と換金用の砂金袋、使用回数回復の巻物ぐらいしか入手できない。階のアイテムが全部キャンディと鍵と砂金袋だった、なんてことも割と起こる。
      • おまけに、 最初のダンジョンから深さは99階まである。 このアイテムのバリエーションの乏しさで98F降りるのはかなり冗長さがキツい。
      • 階を自動的に降りてくれるアイテムもこの時点では無いため、全て自力で降りなければならない。
    • まだ町が修復されていないために、序盤では一部の機能を使うことができない。全ての機能が使えるようになるのは2番目のダンジョン「水没都市」のクリア後である。
      • 鍛冶屋と倉庫がそれにあたるが、鍛冶屋はともかく倉庫が使えないのはやや厳しい。手持ちできるアイテムの数は前作から増えているものの、都合約200F分のアイテムをそれだけでやりくりしなければならない。
      • いらなくなったアイテムはすぐに捨ててしまえる型のプレイヤーなら恐らく問題ないが、「使わなくなったアイテムも一応持っておきたい」型のプレイヤーだときつい。本作は後者の型のプレイヤー向けのゲームのはずなのだが……
      • 一応、ゴミ箱は最初から解放されており、倉庫が使えるようになれば前作同様にゴミ箱から物を取り出せるようになるため、いざという時はここに捨ててしまえば処分せずに済むことは可能。「ゴミ箱のアイテムを全て売る」機能は実質使えなくなり、誤って使うと売られてしまうが。
  • 前作にあったUI問題も、多くがそのままになっている。
    • 「アイテムがまとめ買い、個別売りできない」「オプションが乱雑に一画面に纏められているだけ」といった点は改善なし。
    • 前作と違ってマップやミラーが当初宝箱に入っていないため、序盤は道具屋でまとめ買いせざるを得ず、連打して買うことはほぼ必須である。
    • ダンジョン毎に音楽が固定になっている本作では、BGMのループがない点は前作以上に深刻。降りていると大抵切れて無音になってしまう。

総評

 全体的には前作の正統進化といった趣である。
 前作同様に、戦略性や緊張感のある作りではなく「作業ゲー」であることに違いはないが、それは前提とした上で収集や育成を楽しむ進行となっている。
 前作の難点であった「演出面がちゃちでストーリーも浅く、モチベーションを維持しづらい」、「進行の達成感に乏しい」といった点は、ローグライクRPGと相性の良い拠点の発展要素を取り入れたことである程度解消傾向にある。
 総じて、「仕様としては」前作の長所を残しつつ欠点を埋めた作品である。

 ただ、前作からの改善点はストーリーや進行面が大半で、プレイ時間の多くを占めるダンジョン探索部分の変化は乏しい。
 戦略性を求めるゲームではないことを考慮しても、前作がシステム的に完成されていたとは言い難く、そこに手が入っていないのはややいただけない。
 また、問題点で挙げた序盤の単調さはかなりキツく、本作のファーストインプレッションはかなり悪いものになりかねない。
 特に目立った改悪があった訳ではなく、前作が楽しめたのならそのまま遊べる作品だが、多くのジャンルが急成長する最中であった90年代の作品としては成長不足の感は否めないところではある。

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最終更新:2022年01月20日 19:43